JP5339685B2 - インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、インクセット、及び画像形成方法 - Google Patents
インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、インクセット、及び画像形成方法 Download PDFInfo
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Description
従って、本発明の第1の目的は、耐ブリーディング性が高く、且つ、ブロンズ現象の発生が抑制された画像を形成することができるインクジェット用インクを提供することにある。
本発明における反応性インクとは、記録媒体上において顔料インクと接触した際に、前記顔料インク中の顔料の分散状態を不安定化するインクジェット用インク(以下、インクと呼ぶ)のことである。以下に、反応性インクを構成する成分等について説明する。
〔一般式(I)で表される化合物〕
反応性インクは、色材として、少なくとも下記一般式(I)で表される化合物を含有することが必須である。下記一般式(I)で表される化合物又はその塩はシアンの色相を有し、耐オゾン性に優れるという特徴を持つフタロシアニン誘導体である。
本発明において用いられる色材の凝集性の測定には、小角X線散乱法が適用できる。
小角X線散乱法は、コロイド溶液におけるコロイド粒子間の距離の算出に汎用に用いられてきた手法である。これは、「最新コロイド化学」(講談社サイエンティフィック 北原文雄、古澤邦夫)及び「表面状態とコロイド状態」(東京化学同人 中垣正幸)等に記載されていることからも、その汎用性がわかる。
一般に、試料溶液中の粒子が規則正しく配列していない場合、散乱角プロファイルにはピークが発生しない。本発明において用いられる色材(フタロシアニン系色材)の水溶液の場合、2θ=0°〜5°の範囲に最大値を持つ強いピークが検出され、フタロシアニン系色材分子の凝集により形成される粒子(分子集合体)が、ある一定の規則で配列していることが確認できる。図6に、下記化合物(1)で表される構造を有するトリフェニルメタン系色材、及び一般式(I)で表される構造を有するフタロシアニン系色材、それぞれの10質量%水溶液における散乱角プロファイルを示す。図6より、同じシアンの色相を有する色材においても、フタロシアニン系色材は特異的に散乱角ピークを有することがわかる。つまり、フタロシアニン系色材の場合、水溶液中ではフタロシアニン分子がいくつか凝集して分子集合体を形成する。そして、分子集合体間の距離は、散乱角プロファイルで示されるような一定の分布を有する。
・装置:Nano Viewer(理学製)
・X線源:Cu−Kα
・出力:45kV−60mA
・実効焦点:0.3mmφ+Confocal Max−Flux Mirror
・1st Slit:0.5mm、2nd Slit:0.4mm、3rd Slit:0.8mm
・照射時間:240min
・ビームストッパー:3.0mmφ
・測定法:透過法
・検出器:Blue Imaging Plate。
反応性インクには、前記一般式(I)で表される化合物の他に、調色等を目的として、その他の色材を用いることもできる。尚、その他の色材は公知のものであっても、新たに合成されたものであっても用いることができる。
反応性インクは、多価金属を含有し、前記多価金属の含有量(mol/g)が、2.0×10−6mol/g以上4.0×10−4mol/g以下であることが必須である。上記でも述べたように、反応性インクは、顔料インクと接触した際に、前記顔料インク中の顔料の分散状態を不安定化する。反応性インクが前記したような機能を有するものとするために、本発明においては、反応性インクが多価金属を含有してなるものであることが必要である。即ち、反応性インクが多価金属を含有することで、記録媒体上において前記反応性インク及び顔料インクが互いに接触して混合した際に、反応性インク中のカチオンが、顔料インク中の顔料のアニオン性基と反応する。その結果、顔料の分散破壊が起こり、顔料の凝集が促進され、又、顔料インクが増粘する。尚、本発明における「多価金属の含有量」は、フタロシアニン染料の中心金属である銅は含まないものとする。又、インク中で多価金属はイオンとして存在するが、本発明においてはこのことを「インクが多価金属を含有する」と表現し、「多価金属の含有量」の値はイオンの形態ではなく、金属原子として算出した値とする。
反応性インクは、上記で説明した色材を、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体に溶解することで得られる。水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上70.0質量%以下であることが好ましい。
エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド。アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール。テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル。グリセリン。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等のアルキレングリコール類。1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価アルコール類。アセチレングリコール誘導体。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類。2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリン等の複素環類。チオジグリコール、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物。尿素及びエチレン尿素等の尿素誘導体。トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパン等。
上記でも説明したように、本発明の第1の実施態様においては、以下の構成とすることが必須である。反応性インクが水溶性有機溶剤を含有してなり、且つ、前記水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)が、インク全質量を基準として、25.0質量%以上であることが必須である。このように、インク中の水溶性有機溶剤の含有量の合計を多くすることで、フタロシアニン系染料や多価金属イオンに溶媒和する水溶性有機溶剤もそれぞれ増加する。このため、フタロシアニン系染料と多価金属イオンが近づきにくくなり、凝集が起こりにくくなる。又、インク中の水溶性有機溶剤の含有量の合計を多くすることで、フタロシアニン系染料と多価金属イオンが共存する場合に、フタロシアニン系染料の極性基のアニオンに多価金属イオンが吸着して、染料がある程度凝集して一次凝集体を形成する。その後、かかる一次凝集体に溶媒和する水溶性有機溶剤が増加する。このため、一次凝集体同士が近づきにくくなり、二次的な凝集が起こりにくくなる。このようなメカニズムにより、インク中の水溶性有機溶剤の含有量の合計を25.0質量%以上とすることで、ブロンズ現象の発生を顕著に抑制することができると考えられる。尚、第1の実施態様においては、インク中の水溶性有機溶剤の含有量の合計が25.0質量%未満であると、上記した効果が得られない場合がある。
上記でも説明したように、本発明の第2の実施態様においては、以下の構成とすることが必須である。反応性インクが水溶性有機溶剤を特定の含有量で含有してなり、前記水溶性有機溶剤が、比誘電率が10.0以上30.0未満の水溶性有機溶剤を特定の割合で含んでなることが必要である。このとき、これらの水溶性有機溶剤の含有量が、以下の関係を満たすことが必要である。先ず、反応性インク中の水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)が、インク全質量を基準として15.0質量%以上であることが必要である。更に、比誘電率が10.0以上30.0未満の水溶性有機溶剤の含有量が、インク中の水溶性有機溶剤の含有量の合計に対して、25.0%以上であることが必須である。即ち、水溶性有機溶剤の含有量の合計が15.0質量%以上であり、且つ、((比誘電率が10.0以上30.0未満の水溶性有機溶剤の含有量)/(水溶性有機溶剤の含有量の合計))が25.0%以上であることが必要である。
反応性インクは、上記した成分以外に、界面活性剤、pH調整剤、キレート剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、消泡剤、及び、水溶性ポリマー等の種々の添加剤を含有しても良い。
(色材)
〔カーボンブラック〕
顔料インクをブラックインクとして用いる場合、色材としてカーボンブラックを用いることが好ましい。顔料インク中におけるカーボンブラックの分散形態は、自己分散型、樹脂等を分散剤として用いた樹脂分散型、等の何れの形態であってもよい。
レイヴァン:7000、5750、5250、5000ULTRA、3500、2000、1500、1250、1200、1190ULTRA−II、1170、1255(以上、コロンビアンケミカル製)。ブラックパールズL、リーガル:330R、400R、660R、モウグルL、モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、2000、ヴァルカンXC−72R(以上、キャボット製)。カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス:35、U、V、140U、140V、スペシャルブラック:6、5、4A、4(以上、デグッサ製)。No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学製)。
ブラックインク以外の顔料インクに用いる色材は、各種の有機顔料が挙げられる。有機顔料は、以下のものを用いることができる。勿論、本発明はこれらに限られるものではない。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッド等の水不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料。インジゴ系顔料。縮合アゾ系顔料。チオインジゴ系顔料。ジケトピロロピロール系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等。
C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185等。C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61、71等。C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192等。又、C.I.ピグメントレッド:215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272等。C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50等。C.I.ピグメントブルー:15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64等。C.I.ピグメントグリーン:7、36等。C.I.ピグメントブラウン:23、25、26等。
顔料インクが更に塩を含有することによって、記録媒体の種類により画像品位が大きく変化することなく、又、光学濃度が極めて高い画像を形成することができる。顔料インク中における塩の形態は、その一部が解離した状態、又は完全に解離した状態の何れの形態であってもよい。
顔料インクは、上記で説明した色材を、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体に分散することで得られる。水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。顔料インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下とすることが好ましい。又、水溶性有機溶剤は、インクの乾燥を防止する効果を有するものが好ましい。顔料インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下とすることが好ましい。
メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類。アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類。エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類。1,2,6−ヘキサントリオ−ル、チオジグリコール等のアルキレン基が2乃至6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類。ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルキルエーテルアセテート類。グリセリン。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類。N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等。
反応性インクは、上記で説明した顔料インクの他に、更にその他のインクと組み合わせて用いることができる。本発明におけるその他のインクとは、例えば、多価金属等を含有しない、即ち、顔料インクと反応しないインク(非反応性インク)を含む。前記非反応性インクは、通常のインクジェット用インクと同様の構成とすることができ、具体的には、少なくとも、色材、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。
上記で説明した反応性インクや顔料インクは、インクをインクジェット方法で吐出して記録を行うインクジェット記録方法に適用することが特に好ましい。インクジェット記録方法は、インクに力学的エネルギーを作用させてインクを吐出する方法、及びインクに熱エネルギーを作用させてインクを吐出する方法等がある。特に、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を好ましく用いることができる。
本発明にかかるインクは、上記で説明した反応性インクにより形成される画像、及び、上記で説明した顔料インクにより形成される画像、がそれぞれ隣接してなる画像を形成する画像形成方法に適用することが好ましい。特に、前記顔料インクを付与する前又は後に、前記顔料インクで画像を形成する領域に前記反応性インクを付与する構成を以下のようにすることが好ましい。即ち、前記顔料インク及び前記反応性インクとが記録媒体上において互いに接触して混合する際に、前記顔料インク中の顔料の分散状態を不安定化することが好ましい。
本発明にかかるインクは、複数のインクを有するインクセットに適用することが好ましい。特に、上記で説明した反応性インク及び顔料インクを有するインクセットとすることが好ましい。
上記で説明した反応性インクや顔料インクを用いてインクジェット記録を行うのに好適なインクカートリッジは、これらのインクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジが挙げられる。以下にインクカートリッジの具体例を示す。
(色材Aの合成)
(1)銅フタロシアニンテトラスルホン酸テトラナトリウム塩(化合物(2))の合成
化合物(4)は、一般式(III)において、Yがアミノ基、R1及びR2が2位及び5位に置換したスルホン酸基である化合物である。
氷水中に、(2)で得られた銅フタロシアニンテトラスルホン酸クロライド(化合物(3))のウェットケーキを加え、撹拌を行って懸濁させ、更に、アンモニア水、(3)で得られた化合物(4)を添加して、反応を行った。これに、水、塩化ナトリウムを加えて、結晶を析出させた。得られた結晶をろ過し、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、再度ろ過を行った後、洗浄、乾燥して、青色結晶として色材Aを得た。上記反応から、この化合物は例示化合物1で示される色材であり、一般式(I)における置換基数の平均がl=1.0〜1.5、m=1.0〜1.5、n=2.0〜2.5の範囲で示される色材であると推定される。
反応性インクの調製に用いる各種の水溶性有機溶剤の比誘電率を、ポータブル式誘電率測定器BI−870(Brookhaven製)を用いて、室温20℃、測定周波数10kHzの条件で測定を行った。結果を表2に示す。尚、エチレン尿素及び1,6−ヘキサンジオールは20℃で固体であるため、本発明における20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤には該当しない。
下記表3−1、表3−2、及び表3−3に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターにて加圧ろ過を行い、各反応性インクを調製した。
各反応性インクをそれぞれ色材濃度が0.5質量%になるように純水で希釈した後、小角X線散乱法によりd75値を測定した。d75値の測定条件は以下に示す通りである。
・装置:Nano Viewer(理学製)
・X線源:Cu−Kα
・出力:45kV−60mA
・実効焦点:0.3mmφ+Confocal Max−Flux Mirror
・1st slit:0.5mm、2nd Slit:0.4mm、3rd Slit:0.8mm
・照射時間:360min
・ビームストッパー:3.0mmφ
・測定法:透過法
・検出器:Blue Imaging Plate
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液を更に15分間撹拌後、比表面積が220m2/gでDBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、更に15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥して、自己分散型カーボンブラック1を調製した。更に、上記で得られた自己分散型カーボンブラック1に水を加えて顔料含有量が10質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子表面に−C6H3−(COONa)2基が導入されてなる自己分散型カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液1を得た。
下記表4に示した各成分を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルターにて加圧ろ過を行い、顔料インクを調製した。
〔耐ブロンズ性〕
インクジェット記録装置(商品名:PIXUS950i;キヤノン製)用のインクカートリッジに、上記で得られた各反応性インクをそれぞれ充填した。得られたインクカートリッジを、インクジェット記録装置(商品名:PIXUS950i;キヤノン製)を改造したものに搭載した。そして、プロフェッショナルフォトペーパーPR−101(キヤノン製)に、記録デューティを10%〜100%の間で10%刻みに変化させた画像を形成した。得られた画像について、記録デューティが30%である部分におけるブロンズ現象の発生の程度を目視で確認した。耐ブロンズ性の基準は以下の通りである。評価結果を表5に示す。
AA:ブロンズ現象が発生していない
A:ブロンズ現象がほとんど発生していない
B:ブロンズ現象の発生が気になる
C:明らかにブロンズ現象が発生している
インクジェット記録装置(商品名:iP3100;キヤノン製)用のインクカートリッジに、上記で得られた各反応性インク、及び顔料インクをそれぞれ充填した。得られたインクカートリッジを、インクジェット記録装置(商品名:iP3100;キヤノン製)を改造したものに、各反応性インク及び顔料インクを組み合わせて搭載した。そして、4024(ゼロックス製)に、反応性インクで形成したベタ画像及び顔料インクで形成したベタ画像が隣接する画像を形成した。得られた画像について、反応性インクで形成した画像及び顔料インクで形成した画像の境界部におけるブリーディングの程度を目視で観察した。耐ブリーディング性の基準は以下の通りである。評価結果を表5に示す。
AA:全ての境界部においてブリーディングが発生していない
A:ブリーディングがほとんど発生していない
B:わずかにブリーディングが発生しているが、実際の使用において問題のないレベルである
C:色の境界線がはっきりしないほどブリーディングが発生している
(反応性インクの調製及びd75値の測定)
下記表6に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターにて加圧ろ過を行い、実施例6及び7の反応性インクを調製した。
〔耐オゾン性〕
インクジェット記録装置(商品名:PIXUS950i;キヤノン製)用のインクカートリッジに、上記で得られた実施例6及び7の反応性インクをそれぞれ充填した。得られたインクカートリッジを、インクジェット記録装置(商品名:PIXUS950i;キヤノン製)を改造したものに搭載した。そして、プロフェッショナルフォトペーパーPR−101(キヤノン製)に、記録デューティを10%〜100%の間で10%刻みに変化させた画像を形成した。得られた画像について、記録デューティが50%である部分の光学濃度を測定した(初期の光学濃度とする)。更に、前記画像をオゾン試験装置(商品名:OMS−H;スガ試験機製)中に置き、槽内温度40℃、湿度55%、オゾンガス濃度3ppmの環境で20時間、オゾン暴露を行った。その後、オゾン暴露後の画像について、記録デューティが50%である部分の光学濃度を測定した(オゾン暴露後の光学濃度とする)。尚、光学濃度の測定には、Spectorino(Gretag Macbeth製)を用いた。初期及びオゾン暴露後の光学濃度の値から、下記式(3)に基づいて、濃度残存率を算出した。耐オゾン性の基準は以下の通りである。評価結果を表7に示す。尚、表7には、実施例1〜7、並びに参考例1、2、及び4の反応性インクを用いて耐オゾン性を同様に評価した結果、及び各反応性インクのd75値も示す。
A:濃度残存率が83%以上88%未満である
B:濃度残存率が80%以上83%未満である
C:濃度残存率が80%未満である
〔耐ブロンズ性及び耐ブリーディング性〕
実施例6及び7の反応性インク、並びに顔料インクを用いて、上記と同様の方法及び基準で、耐ブロンズ性及び耐ブリーディング性の評価を行った。評価結果を表8に示す。
(反応性インクの調製及びd75値の測定)
下記表9に示した各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターにて加圧ろ過を行い、実施例8及び9の反応性インクを調製した。
〔吐出安定性〕
インクジェット記録装置(商品名:PIXUS950i;キヤノン製)用のインクカートリッジに、上記で得られた実施例8及び9の反応性インクをそれぞれ充填した。得られたインクカートリッジを、インクジェット記録装置(商品名:PIXUS950i;キヤノン製)を改造したものに搭載した。そして、プロフェッショナルフォトペーパーPR−101(キヤノン製)に、記録デューティを10%〜100%の間で10%刻みに変化させた画像を形成した。
実施例8及び9の反応性インク、並びに顔料インクを用いて、上記と同様の方法及び基準で、耐ブロンズ性及び耐ブリーディング性の評価を行った。評価結果を表10に示す。
114 液体供給口
132A 第二の負圧発生部材
132B 第一の負圧発生部材
132C 第一の負圧発生部材と第二の負圧発生部材の境界層
134 負圧発生部材収容室
136 液体収容室
138 仕切壁
140 連通孔
146 圧接体
150 大気導入溝(大気導入路)
41 容器
42 蓋部材
43Y、43M、43C インク供給口
44Y、44M、44C インク吸収体
45Y、45M、45C インク供給部材
411、412 仕切板
L 液体−気体界面
1001 記録ヘッド
1100 記録素子基板
1200 インク供給口
1300 電気配線テープ
1400 インク供給部材
1500 インク吸収体
1501 インク吸収体
1502 インク吸収体
1503 インク吸収体
1600 蓋部材
1700 係合部
Claims (12)
- 顔料インクと共に用いるインクジェット用インクであって、
前記インクジェット用インクが、色材、二価の多価金属、及び水溶性有機溶剤を含有し、
前記色材が、少なくとも下記一般式(I)で表される化合物であり、
前記二価の多価金属の含有量(mol/g)が、2.0×10−6mol/g以上4.0×10−4mol/g以下であり、
前記水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)が、インク全質量を基準として、25.0質量%以上であり、
且つ、小角X線散乱法により得られた、前記インクジェット用インクの色材濃度が0.5質量%になるように調製したインクにおける分子集合体の分散距離の分布の75%を占める分散距離d75値が、12.60nm以下であることを特徴とするインクジェット用インク。
一般式(I)
- 顔料インクと共に用いるインクジェット用インクであって、
前記インクジェット用インクが、色材、二価の多価金属、及び水溶性有機溶剤を含有し、
前記色材が、下記一般式(I)で表される化合物であり、
前記二価の多価金属の含有量(mol/g)が、2.0×10−6mol/g以上4.0×10−4mol/g以下であり、
前記水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)が、インク全質量を基準として、15.0質量%以上であり、
前記水溶性有機溶剤が、20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満の水溶性有機溶剤を有し、前記20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満の水溶性有機溶剤の含有量が、インク中の水溶性有機溶剤の含有量の合計に対して25.0質量%以上であり、
且つ、小角X線散乱法により得られた、前記インクジェット用インクの色材濃度が0.5質量%になるように調製したインクにおける分子集合体の分散距離の分布の75%を占める分散距離d75値が、12.60nm以下であることを特徴とするインクジェット用インク。
一般式(I)
- 前記20℃における比誘電率が10.0以上30.0未満である水溶性有機溶剤が、イソプロピルアルコール、2−ピロリドン、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、及びポリエチレングリコール(平均分子量200)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のインクジェット用インク。
- 前記二価の多価金属の含有量(mol/g)が、7.8×10−5mol/g以上4.0×10−4mol/g以下である請求項1乃至3の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
- 前記色材の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、3.0質量%以上10.0質量%以下である請求項1乃至4の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
- 前記d75値が、6.70nm以上である請求項1乃至5の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
- 前記水溶性有機溶剤の含有量の合計(質量%)が、インク全質量を基準として、50.0質量%以下である請求項1乃至6の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
- 前記二価の多価金属が、マグネシウムイオンである請求項1乃至7の何れか1項に記載のインクジェット用インク。
- インクをインクジェット方法で吐出して記録を行うインクジェット記録方法において、前記インクが、請求項1乃至8の何れか1項に記載のインクジェット用インク及び顔料インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
- インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、前記インクが、請求項1乃至8の何れか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
- 複数のインクで構成されるインクセットであって、
前記インクセットが、少なくとも、顔料インク、及び前記顔料インクと反応するインクを含んでなり、
前記顔料インクと反応するインクが、請求項1乃至8の何れか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクセット。 - 少なくとも、顔料インク及び前記顔料インクと反応するインクを用いて画像を形成する画像形成方法であって、
前記顔料インクと反応するインクが、請求項1乃至8の何れか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とする画像形成方法。
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