JP2011256298A - インクセット、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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日出樹 高山
Satoru Iwata
哲 岩田
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秀一 岡崎
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Abstract

【課題】イエローインクで形成する画像の耐光性に優れ、かつ、イエローインク及びシアンインクを少なくとも用いて形成する多次色画像の耐オゾン性を特に向上することができるインクセット、インクジェット記録方法の提供。
【解決手段】色材として顔料をそれぞれに含有してなる、イエローインク及びシアンインクの組み合わせを有してなるインクセットであって、前記イエローインクが、第1と第2の、異なる2種類の顔料を含有してなり、第1の顔料が一般式(I)で表される構造の顔料類から選ばれ、かつ、第2の顔料が、C.I.ピグメントイエロー74及びC.I.ピグメントイエロー129の少なくとも一方であるインクセット。
Figure 2011256298

【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも構造の異なる2種類の顔料を含有してなるイエローインクとシアンインクの組み合わせを含む、インクジェット用としても好適なインクセット、並びに該インクセットを用いたインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録画像に対して高まっている、より一層の堅牢性(光や、オゾンなどガスに対する耐性)の確保への要求に対応すべく、顔料を色材として含有するインクの検討が精力的に行われ、改善されるようになってきている。しかし、色材に顔料を用いた場合においても、イエローインクは発色性と耐光性の両立が難しく、これを両立すべく様々な検討がなされている。そのような中でも、比較的、発色性と耐光性のバランスが良いイエローの顔料として、キノロノキノロン顔料が知られている。このキノロノキノロン顔料をインクに含有させる場合には、理想のイエローの色調を示すように、アルキル基やハロゲン原子を置換基として複数導入した多置換キノロノキノロン顔料が用いられている。そして、この多置換キノロノキノロン顔料を含有するインクジェット用インクにより、発色性と耐光性が改善された画像が得られることが開示されている(特許文献1参照)。
特開平10−130554号公報
しかし、発色性と耐光性のバランスが良い顔料としてキノロノキノロン顔料を使用した場合には、イエロー単色の耐光性は向上するものの、下記に述べるような別の課題が生じることがわかった。すなわち、特にフタロシアニン骨格を有する顔料を使用したシアンインクを少なくとも含むインクセットで形成した多次色の画像について耐オゾン性の試験を行うと、色相の変化が大きくなるという課題が発生した。この課題は、キノロノキノロノン顔料(イエロー)の耐オゾン性に比べて、フタロシアニン骨格を有する顔料(シアン)の耐オゾン性が低いために起こると考えられる。すなわち、イエローとシアンの両者を少なくとも使用した多次色の画像領域では、イエローの褪色に比べてシアンの褪色の方が速く、結果として色相の変化が著しくなるというものである。特に、上記イエロー及びシアンに加えてマゼンタの各インクを用いて形成するグレーの画像領域では、オゾン暴露後における各色顔料の褪色の程度が異なると、褪色しやすい顔料の色成分だけが褪せて見え、特に問題となる。
したがって、本発明の目的は、イエローインクで形成する画像の耐光性に優れ、かつ、イエローインク及びシアンインクを少なくとも用いて形成する多次色画像の耐オゾン性を特に向上することができるインクセットを提供することにある。また、本発明の目的は、上記優れたインクセットを用いることで、耐光性に優れるイエロー画像を形成することができ、かつ、耐オゾン性に優れる多次色画像を形成することができるインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかるインクセットは、色材として顔料をそれぞれに含有してなる、イエローインク及びシアンインクの組み合わせを有してなるインクセットであって、前記イエローインクが、少なくとも第1の顔料と第2の顔料の、異なる2種類の顔料を含有してなり、第1の顔料が下記一般式(I)で表される構造の顔料類から選ばれ、かつ、第2の顔料が、C.I.ピグメントイエロー74及びC.I.ピグメントイエロー129の少なくとも一方であることを特徴とする。
Figure 2011256298
(一般式(I)中、R1乃至R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基であり、かつ、R1、R2、R3及びR4の少なくとも一つが、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基のいずれかである。)
本発明によれば、イエローインクで形成する画像の耐光性に優れ、かつ、イエローインク及びシアンインクを少なくとも用いて形成する多次色画像の耐オゾン性を特に向上することができるインクセット、インクジェット記録方法が提供される。
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、本明細書の記載における「C.I.」とは、カラーインデックスの略語である。
本発明者らの検討により、色材として顔料をそれぞれに含有してなる、イエローインク及びシアンインクの組み合わせを有してなるインクセットにおいて、前記イエローインクに、異なる2種類の顔料を含有させる必要があることがわかった。この異なる2種類の顔料は、少なくとも下記の一般式(I)で表される構造の顔料類から選ばれる第1の顔料と、C.I.ピグメントイエロー74及びC.I.ピグメントイエロー129の少なくとも一方である第2の顔料である。かかる本発明のインクセットの構成によって、本発明の効果が得られる。
Figure 2011256298
(一般式(I)中、R1乃至R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基であり、かつ、R1、R2、R3及びR4の少なくとも一つが、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基のいずれかである。)
本発明者らは、本発明の構成によって、前記した本発明の効果が得られるメカニズムについて、以下のように考えている。色材として、一般式(I)で表わされる構造の第1の顔料(以下、単に第1の顔料と呼ぶ)のみを含有するイエローインクを用いれば、イエローの画像の耐光性は向上する。しかし、前記したように、イエローのインクと、特にフタロシアニン骨格を有する顔料を含有するシアンインクとを少なくとも用いて形成した多次色の画像では、耐オゾン性試験を行うと色相の変化が大きくなる。これは、第1の顔料に比べて、フタロシアニン骨格を有する顔料の耐オゾン性が低いため、これらが共存している画像では、イエロー成分に比べてシアン成分の褪色が速く、結果として色相の変化が著しく大きくなったものと考えられる。
そこで、本発明者らが上記の課題を解決するために検討を行ったところ、イエローインクの色材として第1の顔料と第2の顔料とを併用することで解決できることを見出した。具体的には、イエローインクを構成する顔料として、第1の顔料に加えて、C.I.ピグメントイエロー74及びC.I.ピグメントイエロー129の少なくとも一方を第2の顔料として含有させることが有効であることを見出した。すなわち、これら第2の顔料を添加して第1の顔料と併存させることで、第1の顔料の優れた耐光性を維持しつつ、本来良好な第1の顔料の耐オゾン性を若干弱めることができる。この結果、イエローインクとシアンインクとで画像形成した場合に、それぞれのインクに由来する顔料成分の耐オゾン性のバランスが揃い、これにより、特に多次色領域の画像に生じていたオゾンに対する色相の著しい変化を抑えることが可能になる。
イエローインクの色材に、第2の顔料として用いるC.I.ピグメントイエロー74のみを使用すれば、該顔料は第1の顔料に比べて耐オゾン性が若干低いため、第1の顔料のみを使用した場合に比して多次色画像のオゾンに対する色相の変化が抑制される。しかしながら、C.I.ピグメントイエロー74そのものの耐光性はやや弱いため、イエロー画像の耐光性向上についての課題を解決することができない。また、イエローインクの色材に、第2の顔料として用いるC.I.ピグメントイエロー129のみを使用すると、該顔料は耐光性には優れるものの、耐オゾン性はやや弱いため、やはり上記イエロー画像の課題を解決することができない。
これに対し、第1の顔料に加えてC.I.ピグメントイエロー74を第2の顔料として含有させて、これらが併存するイエローインクとすると、下記の効果が得られる。すなわち、イエロー画像の耐光性については、第1の顔料の優れた耐光性によって、耐光性にやや課題のあるC.I.ピグメントイエロー74を同時に用いても、耐光性は高いレベルで維持される。一方、耐オゾン性に関しては、C.I.ピグメントイエロー74は、第1の顔料に比べて若干耐オゾン性が下がるため、オゾンによる著しい色相の変化の発生を抑制することが可能となる。また、第1の顔料に加えてC.I.ピグメントイエロー129を第2の顔料として含有させて、これらが併存するイエローインクとすると、下記の効果が得られる。すなわち、耐光性については、第1の顔料単独の場合と同様な耐光性レベルが維持され、耐オゾン性に関しては、第2の顔料を同時に用いることで、他のインクとの耐オゾン性のバランスを揃えることで、オゾンに対する色相の変化を最小限に抑えることができる。上述したように、かかる構成のイエローインクは、特にシアンインクとの耐オゾン性のレベルを揃えることができ、これらのインクで形成した多次色画像の色相変化を特に顕著に抑制することができる。
<インクセット>
本発明のインクセットは、色材として顔料をそれぞれに含有してなる、イエローインク及びシアンインクの組み合わせを少なくとも有してなるインクセットである。本発明では、インクセットを構成するイエロー及びシアンのインクと併用してグレーなどの多次色画像を形成することができるため、インクセットを構成するインクにマゼンタインクを含ませることが特に好ましい。さらには、ブラックインクなどの、これら以外のインクを有してもよい。本発明におけるインクセットは、上記各インクをそれぞれ独立に収容してなる複数のインクカートリッジのセットや、複数のインクをそれぞれ収容してなる複数のインク収容部を、組み合わせて一体的に構成されたインクカートリッジの状態、を含むものである。なお、さらに記録ヘッドが一体的に形成された構成のインクカートリッジであってもよい。さらに、前記複数のインクをそれぞれ独立に収容してなるインクカートリッジが、1のインクジェット記録装置に対して着脱可能に構成されてなる状態も、本発明のインクセットに含まれる。本発明のインクセットは、少なくとも本発明のイエローインクと、シアンインク及びマゼンタインクとを組み合わせて用いることができるように構成されていれば上記の形態に限られるものではなく、どのような形態であってもよい。
本発明のインクセットを構成するインクを収容するインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えてなり、前記インク収容部に、上記で説明した本発明のインクセットを構成するインクがそれぞれ収容されてなるものである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室、及び負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室で構成されるものが挙げられる。又は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容量の全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部であるインクカートリッジであってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インク>
以下、インクジェット用にも好適な、本発明のインクセットを構成するイエローインク及びシアンインクを構成する各成分について説明する。
(顔料)
〔イエローインクの第1の顔料:一般式(I)で表される構造の顔料〕
本発明のインクセットを構成するイエローインクに含有させる第1の顔料は、下記一般式(I)で表される構造のキノロノキノロン顔料類から選ばれる。イエローインク中の第1の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
Figure 2011256298
(一般式(I)中、R1乃至R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基であり、かつ、R1、R2、R3及びR4の少なくとも一つが、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基のいずれかである。)
一般式(I)におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。本発明においては、画像の耐光性をより向上させることができるため、R2又はR3がハロゲン原子である顔料を用いることが好ましい。より好適な構造としては、2−フルオロキノロノキノロン、3−フルオロキノロノキノロン、2−クロロキノロノキノロン、3−クロロキノロノキノロンが挙げられ、中でも、3−フルオロキノロノキノロンが特に好ましい。これらの構造を有する顔料が特に好適である理由を、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、第1の顔料の優れた耐光性は、記録媒体上において第1の顔料の粒子が密にパッキングされた状態で存在することにより達成されると考えられるが、このパッキングの程度はハロゲン原子の原子半径に依存する。そして、R2又はR3が原子半径の小さいフッ素原子や塩素原子である場合、立体障害がより小さくなるため、顔料粒子が密にパッキングされ、上記の効果が得られるものと推測している。
〔イエローインクの第2の顔料:C.I.ピグメントイエロー74及び/又はC.I.ピグメントイエロー129〕
本発明のインクセットを構成するイエローインクに含有させる第2の顔料は、C.I.ピグメントイエロー74及びC.I.ピグメントイエロー129の少なくとも一方である。イエローインク中の第2の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
〔顔料の比率〕
本発明においては、インク中の第1の顔料及び第2の顔料の合計の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の第1の顔料の含有量(X質量%)と第2の顔料の含有量(Y質量%)との質量比率は、好適なイエローの色調を有するように決定すればよい。例えば、X:Y=95:5乃至5:95、さらにはX:Y=80:20乃至20:80であることが好ましい。
〔シアンインクの顔料〕
本発明のインクセットを構成するシアンインクに用いることができる顔料としては、上記のイエローインクとの耐オゾン性のバランスがとれるものを用いることが好ましく、具体的には、フタロシアニン骨格を有する顔料が挙げられる。このような特性を満足し、シアンインクに含有させることができる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、同15:1、同15:3、同15:4、同15:6、同22、同60、同64などが挙げられる。シアンインク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
(顔料の特性)
本発明の各インクに用いる顔料の一次平均粒子径は、10nm以上300nm以下であることが好ましい。一次平均粒子径が10nm未満であると、一次粒子同士の相互作用が強くなるため、インクの保存安定性が十分に得られない場合があるので好ましくない。一方、一次平均粒子径が300nmを超えると、画像の耐光性が十分に得られない場合があるので好ましくない。
(顔料の分散方式)
インクを構成する水性媒体への顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いて顔料を分散する樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散顔料)や、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)を用いることができる。また、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合させた顔料(樹脂結合型の自己分散顔料)や、顔料粒子の表面の少なくとも一部を樹脂などにより被覆したマイクロカプセル顔料なども用いることができる。勿論、これらの分散方法の異なる顔料を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、画像の耐擦過性などの観点から、樹脂分散顔料や樹脂結合型の自己分散顔料が好ましく、さらには樹脂分散顔料が特に好ましい。なお、イエローインクを調製する際には、第1の顔料及び第2の顔料をそれぞれ個別に分散した顔料分散体を調製した後に混合しても、又は、各顔料を混合した状態で分散してもよい。
〔樹脂分散顔料〕
分散剤として樹脂を用いて顔料を分散する樹脂分散タイプの顔料を使用する場合、樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体に分散させることができるものが好ましい。分散剤として使用することができる樹脂としては、インクジェット用のインクに使用可能な従来公知の共重合体やその塩をいずれも用いることができる。分散剤として使用する樹脂は、その酸価が、50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下、さらには120mgKOH/g以上250mgKOH/g以下のものを用いることが好ましい。また、その重量平均分子量が、1,000以上30,000以下、さらには3,000以上15,000以下の樹脂を用いることが好ましい。
本発明においては、各インク中の顔料の含有量は、インク中における樹脂の含有量に対して、質量比率で、0.30倍以上10.0倍以下であること、すなわち、顔料の含有量/樹脂の含有量=0.30以上10.0以下であることが好ましい。なお、この場合の樹脂及び顔料の含有量の値は、インク全質量を基準とした場合における各成分の含有量のことである。前記質量比率が0.30倍以上10.0倍以下の範囲内であれば、顔料の分散状態を特に安定に保つことができる。前記質量比率が0.30倍未満であると、インク中の樹脂が過剰となり、画像の耐光性が十分に得られない場合がある。一方、前記質量比率が10.0倍を超えると、顔料に対して樹脂が不十分となり、顔料分散体を調製する際に均一な分散体とならない場合や、顔料分散体の調製が難しくなる場合がある。
(1,2−アルカンジオール及び/又はグリコールモノアルキルエーテル)
本発明者らの検討の結果、第1の顔料と第2の顔料を含有するイエローインクに、さらに1,2−アルカンジオール及びグリコールモノアルキルエーテルの少なくとも一方を含有させる形態とすることで、耐光性をさらに向上した画像を記録できることがわかった。本発明においては、インクセットを構成するシアンインクにも、1,2−アルカンジオール及びグリコールモノアルキルエーテルの少なくとも一方を含有させることが特に好ましい。さらに好適には、インクセットを構成する全てのインクが、1,2−アルカンジオール及びグリコールモノアルキルエーテルの少なくとも一方を含有する構成とすることが好ましい。
このような効果が得られるメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。1,2−アルカンジオールやグリコールモノアルキルエーテルは、液体の動的表面張力を下げる能力が非常に高く、インクに含有させると、その動的表面張力を下げることができる。このため、インクが記録媒体に付与された後、インクを構成する水性媒体が記録媒体に吸収される以前に、インクが速やかに濡れ拡がり、ドットの高さが抑えられる。その結果、第1の顔料と第2の顔料は顔料粒子が密にパッキングされ、画像の耐光性がさらに向上する。しかし、その一方で、インクが濡れ拡がりやすいために、インクの単位体積あたりの光暴露面積が大きくなるので、この点では画像の耐光性は低下しやすいことが予想される。しかし、光暴露面積が大きくなることによる耐光性の低下の程度よりも、顔料粒子が密にパッキングされていることによる作用のほうがより強く働く。その結果として、画像の高い耐光性を達成することができたものと考えられる。
1,2−アルカンジオールとしては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ノナンジオールなどが挙げられる。これらの1,2−アルカンジオールは、1種又は2種以上を用いることができる。本発明においては、1,2−アルカンジオールは、アルキル基の炭素数が5乃至8であることが特に好ましい。具体的には、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、及び1,2−オクタンジオールが挙げられる。炭素数が5未満であると、分子構造における親疎水性のバランスが崩れ、動的表面張力を下げる作用が弱くなるため、画像の光沢性を向上する効果が小さくなる場合があるので好ましくない。また、炭素数が8を超えるとほとんど水に溶解せず、水に溶解させるためには何らかの共溶媒が必要となる場合があるので好ましくない。
また、グリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのモノアルキルエーテルが挙げられる。アルキルエーテル部分のアルキル鎖は炭素数1乃至4のものが好ましく、このようなものとしては、例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテルなどが挙げられる。中でも、ジエチレングリコールモノブチルエーテルやトリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いることが、特に好ましい。
本発明においては、インク中の1,2−アルカンジオール及び/又はグリコールモノアルキルエーテルの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。含有量がこの範囲内であると、画像の耐光性と光沢性とがバランス良く向上するためである。
(水性媒体)
本発明のインクセットを構成する各インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。各インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、各インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。なお、この水溶性有機溶剤の含有量は、上述の1,2−アルカンジオール及び/又はグリコールモノアルキルエーテルを含有させた場合は、これを含む値である。水溶性有機溶剤としては、インクジェット用のインクに使用可能なアルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などをいずれも用いることができ、1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
(その他の成分)
本発明のインクセットを構成する各インクには、上記成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。このような水溶性有機化合物の各インク中の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、さらには3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。また、必要に応じて所望の物性値を有するインクとするために、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドにより上記で説明した本発明のインクセットを構成する各インクを吐出して、記録媒体に画像を記録する方法である。より具体的には、少なくとも、特定のイエローと特定のシアンの二種のインクを記録媒体においてその少なくとも一部が重なるように吐出して、二次色を含む画像を記録する方法である。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
(他のインクの顔料)
本発明のインクセットを構成する各インクに、さらに追加して使用することができるマゼンタやブラックのインクに用いることができる顔料としては、上記のイエローやシアンのインクとの耐オゾン性のバランスがとれるものを用いることが好ましい。このような特性を満足し、各インクに含有させることができる顔料としては、以下のものが挙げられる。マゼンタインクに含有させる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド9、同48、同49、同52、同53、同57、同97、同122、同123、同149、同168、同175、同176、同177、同180、同192、同215、同216、同217、同220、同223、同224、同226、同227、同228、同238、同240、同254、同255、同272、C.I.ピグメントバイオレット19などが挙げられる。
また、ブラックインクに含有させる顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。このようなカーボンブラックの中でも、一次粒子径が15乃至40nm、BET法による比表面積が50乃至300m2/g、DBP吸油量が40乃至150mL/100g、揮発分が0.5の10%の特性をもつものが好ましく用いられる。各インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
(他のインクの成分)
インクセットを構成するイエローインク及びシアンインク以外の各色のインクに含有させる、水性媒体や添加剤などの成分は、上記で説明したイエローインクと同様のものを用いることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。なお、以下の記載で、「部」及び「%」とあるものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料の準備>
国際公開第2007/047975号パンフレットの実施例に記載の方法に準じて、下記のキノロノキノロン顔料を合成した。具体的には、3−フルオロキノロノキノロン、2−フルオロキノロノキノロン、3−クロロキノロノキノロン、2−クロロキノロノキノロン、2,3,7−トリフルオロキノロノキノロン、2−メチルキノロノキノロン、3−メトキシキノロノキノロン(それぞれ顔料A〜Gとする)を合成した。顔料A〜Gは、一般式(I)で表される構造の第1の顔料であり、顔料H及びIは、第2の顔料である。また、顔料Kは、シアンインク用の顔料であり、顔料Lは、マゼンタインク用の顔料である。
Figure 2011256298
<顔料分散体の調製>
表1に示す種類の各顔料10.0部をそれぞれ選択し、樹脂分散剤を含む水溶液20.0部、イオン交換水70.0部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散した。前記「樹脂分散剤を含む水溶液」とは、酸価210mgKOH/g、重量平均分子量8,000のスチレン−アクリル酸共重合体を、10.0%水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより得られた、樹脂(固形分)の含有量が10.0%である水溶液である。その後、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去し、さらに、ポアサイズが3.0μmであるセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が2.0%である各顔料分散体を得た。
<インクの調製>
表2に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズが0.8μmであるセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、先に調製した各顔料分散体をそれぞれに用いてイエロー、シアン及びマゼンタの各インクを調製した。なお、サーフィノール465は、エアープロダクツジャパン製のノニオン性界面活性剤である。各インク中の顔料の含有量は、樹脂の含有量に対する質量比率で5.0倍であった。
Figure 2011256298
Figure 2011256298
<評価>
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填した。そして、インクジェット記録装置PIXUS Pro 9500(キヤノン製)のイエロー、シアン及びマゼンタの各ポジションに、表3の左側に示した各インクセットを構成するイエロー、シアン及びマゼンタの各インクをそれぞれ装着した。なお、上記インクジェット記録装置では、600dpi×600dpiの解像度で、1/600inch×1/600inchの単位領域に1滴あたり3.5pLのインクを8滴付与する条件を記録デューティが100%であると定義している。そして、記録媒体(キヤノン写真用紙・光沢ゴールド;キヤノン製)に、イエローのベタ画像、及び、グレーのベタ画像を含む記録物を作成した。なお、(1)グレーの画像は、各インクの付与量を体積比で、イエローインク:シアンインク:マゼンタインク=1:1:1として、合計の記録デューティが30%となるようにして得た。また、(2)イエローの画像は、イエローインクの記録デューティを50%として得た。表3に示したように、いずれの評価項目においても実施例のインクセットは、比較例のインクセットと比べて良好であることを確認した。
(インクセットで形成した多次色画像の耐オゾン性の評価)
上記(1)の条件で作成したグレーの画像(記録物)を24時間自然乾燥させた後、オゾン試験装置(商品名:OMS−H;スガ試験機製)の内部に該画像を置き、耐オゾン性の評価を行った。詳しくは、まず、オゾン試験装置内部に、上記グレーの画像を置き、オゾンガス濃度10ppm、相対湿度60%、槽内温度23℃の条件で200時間、オゾンを暴露した。次に、オゾンの暴露前後の画像について、分光光度計(Spectrolino;Gretag Macbeth製)を用いて、イエロー成分、シアン成分、マゼンタ成分それぞれの反射濃度を測定した。そして、各成分についての濃度残存率=(暴露試験後の反射濃度/暴露試験前の反射濃度)×100(%)の値を求めた。さらに、各成分のそれぞれの濃度残存率のうち、最大値と最小値との差をΔODの値として求め、ΔODの値により耐オゾン性の評価を行った。ΔOD値が大きいことは、イエロー成分、シアン成分、マゼンタ成分の少なくともいずれかに色相が大きくずれ、褪色バランスがとれていないことを意味する。耐オゾン性の評価基準は以下の通りである。本発明においては、下記の評価基準でB以上を許容できるレベル、Aが優れているレベル、Cを許容できないレベルとした。評価結果を表3にまとめて示した。
A:ΔODが10未満であった。
B:ΔODが10以上15未満であった。
C:ΔODが15以上であった。
(イエローインクで形成した画像の耐光性の評価)
上記(2)の条件で作成したイエローの画像(記録物)を24時間自然乾燥させた後、さらにキセノンウエザオメーターCi4000(アトラス製)の内部に該画像を置き、耐光性の評価を行った。詳しくは、まず、キセノンウエザオメーター内部に、上記イエローの画像を置き、照射強度0.39W/m2、ブラックパネル温度63℃、相対湿度70%の条件で300時間キセノン光を照射した。次に、キセノン光の照射前後の画像について、分光光度計(Spectrolino;Gretag Macbeth製)を用いて、色差ΔE=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2の値を求めた。そして、ΔEの値により耐光性の評価を行った。耐光性の評価基準は以下の通りである。本発明においては、下記の評価基準でB以上を許容できるレベル、Aが優れているレベル、Cを許容できないレベルとした。評価結果を表3にまとめて示した。
A:ΔEが5以下であった。
B:ΔEが5を超えて15以下であった。
C:ΔEが15を超えた。
Figure 2011256298

Claims (6)

  1. 色材として顔料をそれぞれに含有してなる、イエローインク及びシアンインクの組み合わせを有してなるインクセットであって、
    前記イエローインクが、少なくとも第1の顔料と第2の顔料の、異なる2種類の顔料を含有してなり、第1の顔料が下記一般式(I)で表される構造の顔料類から選ばれ、かつ、第2の顔料が、C.I.ピグメントイエロー74及びC.I.ピグメントイエロー129の少なくとも一方であることを特徴とするインクセット。
    Figure 2011256298
    (一般式(I)中、R1乃至R8はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基であり、かつ、R1、R2、R3及びR4の少なくとも一つが、ハロゲン原子、メチル基又はメトキシ基のいずれかである。)
  2. 前記第1の顔料が、2−フルオロキノロノキノロン、3−フルオロキノロノキノロン、2−クロロキノロノキノロン、及び、3−クロロキノロノキノロンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインクセット。
  3. 前記イエローインクが、さらに、1,2−アルカンジオール及びグリコールモノアルキルエーテルの少なくとも一方を含有してなる請求項1又は2に記載のインクセット。
  4. 前記シアンインクの顔料が、フタロシアニン骨格を有する顔料である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクセット。
  5. 前記インクセットを構成するインクの組み合わせに、さらにマゼンタインクが含まれる請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクセット。
  6. インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクセットを構成する各インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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