JP5863327B2 - グレーインク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
従来、インクジェット用のマゼンタインクに使用する顔料としては、C.I.ピグメントレッド122(2,9−ジメチルキナクリドン)が主流であった。近年、キナクリドン固溶体顔料の検討もさかんに行われるようになってきている。その中でも、C.I.ピグメントレッド202(2,9−ジクロロキナクリドン)と、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)との固溶体顔料は、発色性に優れることが知られている。
以下、インクジェット用にも好適な、本発明のグレーインクを構成する各成分について説明するが、本発明のグレーインクは、他の色相やブラックの顔料インクと組み合わせてインクセットとしても用いることができる。他の色相としては、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン及びブルーなどから1種又は2種以上を選択することができる。
本発明のグレーインクは、複数種の顔料を含有することを特徴とし、該複数種の顔料として、少なくともカーボンブラックとキナクリドン固溶体顔料とを含む。以下、各成分について説明する。
本発明で使用するカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ガスブラックなどの従来公知のカーボンブラックをいずれも用いることができる。インク中のカーボンブラックの含有量A(質量%)は、インク全質量を基準として、8.0×10-2質量%以上1.6質量%以下であることが必要である。下記の理由から、好ましくは、1.0×10-1質量%以上1.5質量%以下である。
本発明のインクには、上記で説明したカーボンブラックに加えて、キナクリドン固溶体顔料も含有させる。本発明における「固溶体」とは、2種以上の顔料分子の混晶体(混合状態で結晶化した状態)として存在する顔料のことを指し、2種以上の顔料を単純に混合したものとは異なる。固溶体の製造方法は、例えば、特開昭60−35055号公報や特開平2−38463号公報に開示されている。2種以上の顔料が固溶体を形成しているかの検証は、X線回折分析などによって容易に行うことができる。2種以上の顔料を単純に混合したものである場合、各顔料のX線回折パターンの重ね合わせに相当するパターンが得られ、そのピーク強度は各顔料の配合比率に比例する。一方、2種以上の顔料が固溶体を形成している場合、各顔料のX線回折パターンとは異なるX線回折パターンを示す。
本発明のインクには、色材として、上記したカーボンブラックとキナクリドン固溶体顔料に加えてさらに、フタロシアニン顔料を含有することが好ましい。使用するフタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントブルー:15、15:1、15:3、15:4、15:6、C.I.ピグメントグリーン:7、36などが挙げられる。これらのなかでも、銅フタロシアニン顔料、さらにはシアンの色相を有する銅フタロシアニン顔料を用いることが好ましく、さらには、C.I.ピグメントブルー15:3やC.I.ピグメントブルー15:4が特に好ましい。このようなフタロシアニン顔料を使用することで、グレーインクで形成される画像を、よりニュートラルな色相とすることができる。インク中のフタロシアニン顔料の含有量C(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0×10-2質量%以上1.2質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクには、上記の顔料のほかに、本発明の効果が得られる限り、その他の顔料を含有させてもよい。このような顔料としては、従来公知のいずれのものも使用可能である。例えば、C.I.ピグメントバイオレット19、23、C.I.ピグメントイエロー:74、83、97、110、128、155、180、C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61、71などが挙げられる。
インクを構成する水性媒体への顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いて顔料を分散する樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散顔料)や、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)を用いることができる。また、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合させた顔料(樹脂結合型の自己分散顔料)や、顔料粒子の表面の少なくとも一部を樹脂などにより被覆したマイクロカプセル顔料なども用いることができる。勿論、これらの分散方法の異なる顔料を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインクは、樹脂微粒子を含有することが必要である。樹脂微粒子を使用することで、画像の耐オゾン性や耐光性を向上させることができる。さらに、画像の耐擦過性や記録媒体への顔料の定着性などを向上する効果もある。
本発明のインクは、先に述べた理由から、1,2−アルカンジオールを含有してなることを特徴のひとつとする。1,2−アルカンジオールとしては、炭素数が3乃至8の直鎖又は分岐のものが好ましい。具体的には、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールが挙げられる。本発明においては、これらの中でも、1,2−ヘキサンジオールが特に好ましい。本発明においては、インク中の1,2−アルカンジオールの含有量(質量%)は、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。含有量が1.0質量%未満であると、画像の平滑性が低下する場合があり、10.0質量%を超えると、インクの粘度が高くなりすぎて、インクジェット用のインクとして用いるのに適さない場合がある。
本発明のインクには、上記で説明した1,2−アルカンジオールの他に、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては脱イオン水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。なお、この水溶性有機溶剤の含有量には、1,2−アルカンジオールの含有量と、後述するグリコールエーテルを使用する場合にはその含有量を含むものとする。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、グリコール類、含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
本発明のインクは、画像の耐オゾン性がより向上するため、水溶性有機溶剤として、さらに、グリコールエーテルを含有することがより好ましい。グリコールエーテルは、1,2−アルカンジオールと類似した性質を有し、インクジェット用のインクに用いられる水溶性有機溶剤の中では、顔料に対する親和性が比較的低い部類に属する。このため、記録媒体にインクが付与された際に、インクの乾燥、定着の過程で、顔料の定着性や粒子同士の密着性を高めることができる。また、グリコールエーテルは、多くの樹脂成分を溶解しやすい特性も持つため、インクの乾燥、定着の過程で、インク中の樹脂材料をより密に、かつ、均一に成膜させることができる。
本発明のインクには、上記成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、必要に応じて所望の物性値を有するインクとするために、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を有し、前記インク収容部に、上記で説明した本発明のグレーインクが収容されてなるものである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、負圧によりインクを含浸した状態で保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室、及び、負圧発生部材により含浸されない状態でインクを収容するインク収容室で構成されるものが挙げられる。又は、上記のようなインク収容室を持たず、インクの全量を負圧発生部材により含浸した状態で保持する構成や、負圧発生部材を持たず、インクの全量を負圧発生部材により含浸されない状態で収容する構成のインク収容部としてもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられ、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。記録媒体としては、どのようなものを用いてもよいが、本発明においては、インク中の顔料や樹脂微粒子を記録媒体の表面やその近傍に存在させることができるような記録媒体を用いることが好ましい。このような記録媒体としては、インク受容層を有する記録媒体が挙げられ、特に表面に光沢を有する記録媒体が好適である。
(樹脂A:樹脂分散剤、添加用樹脂)
顔料の樹脂分散剤やインクに添加する樹脂として使用した、水溶性の樹脂Aを以下のようにして合成した。撹拌機、還流冷却装置及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル100部を仕込んだ。その後、反応系に窒素ガスを導入し、撹拌下で80℃に昇温させた。スチレン40部、n−ブチルメタクリレート20部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、アクリル酸25部、の各モノマーの混合物を調製した。上記のフラスコに、モノマーの混合物と2.0部のt−ブチルパーオキサイド(重合開始剤)のエチレングリコールモノブチルエーテル溶液を3時間かけて滴下した。その後、エージングを2時間行い、さらにエチレングリコールモノブチルエーテルを減圧下で除去して、固形の樹脂を得た。このようにして得られた樹脂を、その酸価と当量の水酸化カリウム及び適量のイオン交換水を加えて80℃で溶解させることで、重量平均分子量8,000、酸価185mgKOH/gである樹脂Aを含み、固形分の含有量が20%である樹脂Aの水溶液を得た。
樹脂微粒子として使用した樹脂Bを以下のようにして合成した。撹拌機、還流冷却装置及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、水100部を入れた後、反応系に窒素ガスを導入し、撹拌下で80℃に昇温させた。水100部、ラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)1.0部、スチレン20部、アクリル酸−2−エチルヘキシル30部、メタクリル酸メチル30部、アクリル酸18部を混合し、モノマーの乳化物を調製した。上記のフラスコに、モノマーの乳化物と5%の過硫酸カリウム水溶液10部を3時間かけて滴下した。その後、エージングを2時間行い、適量のイオン交換水を加えることで、酸価が130mgKOH/g、最低造膜温度が20℃、体積平均粒子径が101nmである樹脂Bを含み、固形分の含有量が30%である樹脂Bの水分散液を得た。
(顔料分散体1)
先ず、顔料10部、樹脂分散剤の水溶液(固形分20.0%)25部、及び水65部を、0.3mm径のジルコニアビーズの充填率を80%としたビーズミルに入れ、回転数1,800rpmで5時間分散した。上記ビーズミルは、アシザワファインテック製のLMZ2を使用した。顔料としては、カーボンブラック(Black Pearls 880;キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製)を用いた。また、樹脂分散剤の水溶液としては、酸価215mgKOH/g、重量平均分子量8,500のアクリル酸系樹脂(ジョンクリル678;BASF製)を、酸価に対して0.95当量の水酸化カリウムで中和して得たものを用いた。その後、回転数5,000rpmで30分間遠心分離を行うことにより凝集成分を除去し、さらにイオン交換水で希釈することで、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である顔料分散体1を得た。
顔料分散体1の調製において、顔料の種類を、キナクリドン固溶体顔料1(C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド202を含む固溶体顔料、商品名:CROMOPHTAL Jet 2BC;チバスペシャルティケミカルズ製)に代えた。また、樹脂分散剤の水溶液を、上記で得られた樹脂Aの水溶液(固形分20%)に代えた。これ以外は顔料分散体1と同様の手順により、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である顔料分散体2を得た。
顔料分散体2の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントレッド122(トナーマゼンタE02;クラリアント製)に代えた以外は顔料分散体2と同様にして、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である顔料分散体3を得た。
顔料分散体2の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントレッド202(CINQUASIA MAGENTA RT−235−D;チバスペシャルティケミカルズ製)に代えた以外は顔料分散体2と同様にして、顔料分散体4を作製した。得られた顔料分散体4は、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である。
顔料分散体2の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントバイオレット19(CINQUASIA RED B NRT−796−D;チバスペシャルティケミカルズ製)に代えた以外は顔料分散体2と同様にして、顔料分散体5を作製した。得られた顔料分散体5は、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である。
顔料分散体2の調製において、顔料の種類を銅フタロシアニン顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3(トナーシアンBG;クラリアント製)に代えた以外は顔料分散体2と同様にして、顔料分散体6を作製した。得られた顔料分散体6は、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である。
顔料分散体2の調製において、顔料の種類をキナクリドン固溶体顔料2(C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントバイオレット19を含む固溶体顔料)に代えた。これ以外は顔料分散体2と同様にして、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である顔料分散体7を得た。なお、キナクリドン固溶体顔料2は、質量比率で等量のC.I.ピグメントレッド122のプレスケーキと、C.I.ピグメントバイオレット19のプレスケーキとを摩砕し、常法により有機溶剤処理による顔料化を行って得たものである。
顔料分散体2の調製において、顔料の種類をキナクリドン固溶体顔料3(C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントレッド202を含む固溶体顔料)に代えた。これ以外は顔料分散体2と同様にして、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である顔料分散体8を得た。なお、キナクリドン固溶体顔料3は、質量比率で等量のC.I.ピグメントレッド122のプレスケーキと、C.I.ピグメントレッド202のプレスケーキとを摩砕し、常法により有機溶剤処理による顔料化を行って得たものである。
顔料分散体2の調製において、顔料の種類をキナクリドン固溶体顔料4(C.I.ピグメントレッド282、商品名:CROMOPHTAL Jet 3BC;チバスペシャルティケミカルズ製)に代えた。これ以外は顔料分散体2と同様にして、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である顔料分散体9を得た。
先に調製した樹脂を含む液体及び顔料分散体などを用い、表1に示す各成分(単位:%)を混合した後、ポアサイズが1.2μmであるメンブレンフィルター(HDCIIフィルター;ポール製)にて加圧ろ過することで、各インクを調製した。プロキセルGXL(S)は、アーチケミカルズ製の防腐剤であり、アセチレノールE100は及びサーフィノール465は、それぞれ、川研ファインケミカル製、日信化学工業製のノニオン性界面活性剤である。
得られた各インクを、それぞれ純水で1,000倍に希釈した各測定試料について、吸光スペクトルの550nmにおけるabs値を測定した。その結果も表1に示した。そして、インクをそれぞれインクカートリッジに充填して、後述するように、各インクについての評価を行った。
上記で得られたインクカートリッジを、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置(PIXUS Pro9500;キヤノン製)に搭載した。このインクジェット記録装置は、縦解像度600dpi×横解像度600dpiで、1/600dpi×1/600dpiの単位領域に、1滴当たりの質量が3.5ナノグラムであるインク滴を8滴付与する場合を、記録デューティ100%とするものである。そして、記録媒体(キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]PT101;キヤノン製)に、12.5%から150%まで12.5%刻みとして、各記録デューティの5cm×5cmの12種のベタ画像を含むパターンを記録した。得られた記録物を24時間自然乾燥した後、以下の各評価を行った。なお、以下の各評価で用いた分光光度計は、CIEL*a*b*表示系に基づく測定を行うことができるSpectrolino(Gretag Macbeth製)である。本発明においては、下記の各評価項目における評価基準で、Cが許容できないレベル、B以上が許容できるレベルとし、A、AAの順に性能がより良くなっていくことを示すものとする。
上記で得られた記録物における12種の画像について、光源D50の条件で、CIEL*a*b*表示系におけるa*及びb*の値をそれぞれ測定した。人間の目視では、グレーラインのa*のブレが大きければ大きいほど色味の変化を認識しやすい。このため、まず、記録デューティが最大(150%)である画像におけるa*と、最小(12.5%)である画像におけるa*との差Δa*と、グレーラインのうちa*b*平面における原点(ニュートラルな色相)に対する色差ΔEを求めた。該色差ΔEは、色差ΔE=[(a*)2+(b*)2]1/2より求め、この値が最大となる記録デューティの画像におけるΔEの値により、色相の評価を行った。評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示した。
AA:Δa*≦1.5かつΔE≦5であった
A:1.5<Δa*≦3かつΔE≦5、又はΔa*≦1.5かつ5<ΔE≦15であった
B:1.5<Δa*≦3かつ5<ΔE≦15であった
C:3<Δa*、又は、15<ΔEであった
上記で得られた記録物における12種の画像について、D50(昼白光、色温度5,000K)及びF10(三波長型蛍光灯)の各光源のもとで測色を行い、ΔE=[(a*)2+(b*)2]1/2の値を求めた。そして、各画像のうち、上記各光源における2つのΔEの値が最も異なる画像についてのΔEの値から、メタメリズムの評価を行った。評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示した。
AA:ΔE≦3であった
A:3<ΔE≦5であった
B:5<ΔE≦8であった
C:8<ΔEであった
上記で得られた記録物をキセノンウエザオーメーター(Ci4000;アトラス製)に入れ、照射強度0.39W/m2、ブラックパネル温度63℃、湿度70%の条件で300時間キセノン光の照射を行った。キセノン光照射前後の12種の画像について、記録物を放置する前後における測色値からΔE(ΔE=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2)を算出した。そして、12種の画像のうちのΔEの最大値から、耐光性の評価を行った。評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示した。
AA:ΔE≦5であった
A:5<ΔE≦10であった
B:10<ΔE≦15であった
C:15<ΔEであった
上記で得られた記録物をオゾン試験装置(OMS−H;スガ試験機製)に入れ、オゾンガス濃度10ppm、相対湿度60%、槽内温度23℃の条件で200時間オゾン暴露を行った。先ず、オゾン暴露前に測色を行い、ブラック成分の光学濃度が0.5に最も近い画像を選び、以下の評価を行った。そして、オゾン暴露前後の画像について、ΔOD値(ΔOD=各色成分の濃度残存率の最大値−各色成分の濃度残存率の最小値、ここで、濃度残存率=(暴露試験後の光学濃度/暴露試験前の光学濃度)×100(%))から、耐オゾン性の評価を行った。なお、ΔOD値とは、ブラック成分の光学濃度が約0.5であるグレーの画像における、イエロー成分、シアン成分、マゼンタ成分それぞれの濃度残存率の最大値と最小値との差である。ΔOD値が大きいことは、イエロー成分、シアン成分、マゼンタ成分の少なくともいずれかに色相が大きくずれるため、オゾンにさらされた際に褪色バランスが低いことを示す。耐オゾン性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示した。
AA:ΔOD<10であった
A:10≦ΔOD<15であった
B:15≦ΔOD<20であった
C:20≦ΔODであった
Claims (10)
- カーボンブラック、キナクリドン固溶体顔料、1,2−アルカンジオール、及び樹脂微粒子を含有するグレーインクであって、
前記カーボンブラック及び前記キナクリドン固溶体顔料は、それぞれ樹脂分散剤により分散された樹脂分散顔料であり、
インク全質量を基準とした前記カーボンブラックの含有量が、8.0×10-2質量%以上1.6質量%以下であり、かつ、前記カーボンブラックの含有量が、インク全質量を基準とした前記キナクリドン固溶体顔料の含有量に対して、質量比率で、1.2倍以上4.0倍以下であることを特徴とするグレーインク。 - さらにフタロシアニン顔料を含有し、
インク全質量を基準とした前記フタロシアニン顔料の含有量が、前記キナクリドン固溶体顔料の含有量に対する質量比率で、0.33倍以上2.0倍以下である請求項1に記載のグレーインク。 - 前記キナクリドン固溶体顔料が、C.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19を含む固溶体顔料、C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントレッド202を含む固溶体顔料、C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントバイオレット19を含む固溶体顔料、及びC.I.ピグメントレッド282から選択される少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載のグレーインク。
- インク全質量を基準とした前記キナクリドン固溶体顔料の含有量が、5.0×10-2質量%以上1.5質量%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のグレーインク。
- インク全質量を基準とした前記1,2−アルカンジオールの含有量が、1.0質量%以上10.0質量%以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のグレーインク。
- さらにグリコールエーテルを含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のグレーインク。
- インク全質量を基準とした前記グリコールエーテルの含有量が、1.0質量%以上10.0質量%以下である請求項6に記載のグレーインク。
- 前記樹脂微粒子の含有量が、インク全質量を基準として、0.20質量%以上である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のグレーインク。
- インクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジであって、
前記インク収容部に収容されているインクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のグレーインクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のグレーインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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