JP2012072368A - グレーインク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

グレーインク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】色調がニュートラルであり、メタメリズムにも優れ、耐オゾン性や耐光性にも優れる画像を形成することができるインクジェット記録にも好適なグレーインクの提供、このようなグレーインクを用いることで、上記の優れた画像形成を可能とするインクジェット記録方法及びインクカートリッジの提供。
【解決手段】複数種の顔料、水溶性有機溶剤、及び樹脂微粒子を含有するグレーインクであって、水溶性有機溶剤が、1,2−アルカンジオールを含み、複数種の顔料が、カーボンブラック及びキナクリドン固溶体顔料を含み、インク全質量を基準としたカーボンブラックの含有量Aが、8.0×10-2質量%以上1.6質量%以下であり、かつ、カーボンブラックの含有量Aが、インク全質量を基準としたキナクリドン固溶体顔料の含有量Bに対して、質量比率で、1.2倍以上4.0倍以下であるグレーインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録にも好適なグレーインク、該インクを利用したインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録方法に用いるインクの色材として顔料を含有するインクが広く使用されるようになっており、銀塩写真に匹敵する高品位な画像を出力することが要求されている。顔料インクによれば、染料インクよりは堅牢性に優れる画像を形成することができるが、カラー画像のみならず、モノクロ画像やハーフトーン画像においても、高品位な画像を形成することが求められている。そして、この目的から、通常のブラックインクよりもカーボンブラックの含有量が少ない、いわゆるグレーインクが用いられるようになっている。近年における高品位画像に対する要求の高まりから、さらに、グレーバランスをより向上する、つまり、今まで以上にニュートラルな画像を形成することが要求されている。
モノクロ画像の色調をコントロールするという観点では、カーボンブラックを含有するインクに、他の色相の顔料を添加することによって色調をコントロールし、調色することが行われている。例えば、濃度が異なる複数のブラックインクのうち、黒色濃度の低いほうのインクに、カーボンブラック、マゼンタ有機顔料及びシアン有機顔料を含有させることに関する提案がある(特許文献1)。また、カーボンブラック、シアン顔料及びマゼンタ顔料を含有する複数のブラックインクにおいて、各インクの彩度C*の値が3以下となるように、シアン及びマゼンタの各顔料を添加することに関する提案もある(特許文献2)。
また、特許文献3には、マゼンタインクの色材として従来広く使用されてきたキナクリドン顔料に代えて、キナクリドン固溶体顔料を用いることが提案されている。そして、これによって、マゼンタ領域の色域が広がるとともに、メタメリズム(条件等色)にも優れることが記載されている。
特開2000−318293号公報 特開2003−055592号公報 特開平10−219166号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、上記で挙げた従来技術には、それぞれ以下のような問題があることがわかった。先ず、特許文献1及び2に記載の発明においては、確かに画像の黄味は解消されるものの、特に記録デューティの低い画像においては、近年要求されるレベルのニュートラルな色調を有していなかった。さらに、低濃度のモノクロ画像におけるメタメリズムが十分でないことがわかった。ここで、一般的なメタメリズム(条件等色)とは、分光分布が異なる色が一定の観察条件下で等しい色に見える現象のことであるが、本発明においては、同一の記録物が、光源(透過光ではなく反射光)によって色が異なって見える現象のことを指すものとする。記録物において、このメタメリズムが劣る場合、同一の記録物が、例えば、太陽光下と蛍光灯下とで、色が異なって見えるという問題が生じる。
一方、特許文献3に記載されたキナクリドン固溶体顔料を含有したマゼンタインクで形成した画像は、キナクリドン顔料を含有するマゼンタインクで形成した画像よりも、むしろ耐光性や耐ガス性が低下し、特に、耐オゾン性の低下が顕著であることがわかった。
したがって、本発明の目的は、色調がニュートラルであり、メタメリズムにも優れ、耐オゾン性や耐光性にも優れる画像を形成することができるインクジェット記録にも好適なグレーインクを提供することである。また、本発明の目的は、このようなグレーインクを用いることで、上記の優れた画像形成を可能とするインクジェット記録方法及びインクカートリッジを提供することにある。
上記の目的は下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかるグレーインクは、複数種の顔料、水溶性有機溶剤、及び樹脂微粒子を含有するグレーインクであって、前記水溶性有機溶剤が、1,2−アルカンジオールを含み、前記複数種の顔料が、カーボンブラック及びキナクリドン固溶体顔料を含み、インク全質量を基準とした前記カーボンブラックの含有量Aが、8.0×10-2質量%以上1.6質量%以下であり、かつ、前記カーボンブラックの含有量Aが、インク全質量を基準としたキナクリドン固溶体顔料の含有量Bに対して、質量比率で、1.2倍以上4.0倍以下であることを特徴とする。
本発明によれば、色調がニュートラルであり、メタメリズムにも優れ、耐オゾン性や耐光性にも優れる画像を形成することができるインクジェット記録にも好適なグレーインクが提供される。また、本発明によれば、このようなグレーインクを用いることで、上記の優れた画像形成を可能とするインクジェット記録方法及びインクカートリッジが提供される。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の記載においてはグレーインクのことを単にインクと呼ぶことがある。
従来、インクジェット用のマゼンタインクに使用する顔料としては、C.I.ピグメントレッド122(2,9−ジメチルキナクリドン)が主流であった。近年、キナクリドン固溶体顔料の検討もさかんに行われるようになってきている。その中でも、C.I.ピグメントレッド202(2,9−ジクロロキナクリドン)と、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)との固溶体顔料は、発色性に優れることが知られている。
本発明者らは検討の結果、以下の事実を確認した。キナクリドン固溶体顔料は、従来多用されていたC.I.ピグメントレッド122と比較して、形成した画像を観察する際の光源が、D50であるときと、F10であるときの色差が特に小さく、メタメリズムに優れることがわかった。なお、光源D50は、昼白光、色温度5,000Kのことであり、光源F10は、三波長型蛍光灯のことである。光学特性の違いとしては、D50の分光放射強度スペクトルは、ほぼピークを有さないのに対して、F10の分光放射強度スペクトルは、430nm付近、550nm付近、620nm付近に3つの大きなピークを有する。
そこで、本発明者らはメタメリズムを低減するための検討を行った。その結果、F10のピーク波長領域と、顔料の分光反射率の強度が大きく変化する波長領域(すなわち、色相が大きく変化する波長領域)とが、できるだけ重ならないようにすればよいという知見を得た。そこで、上記2種の顔料の分光反射率の波長依存性を比較したところ、以下のことがわかった。すなわち、メタメリズムに優れるキナクリドン固溶体顔料の分光スペクトルの反射率立ち上がりは、C.I.ピグメントレッド122と比較して約20nm低波長側にある。それが、F10の光源の分光放射強度スペクトルのピーク波長の一つ(およそ620nm)に対して、遠ざかることになる。このことが、キナクリドン固溶体顔料では、C.I.ピグメントレッド122と比較して、光源がD50であるときと、F10であるときとで色差が小さくなる原因であると考えている。
また、キナクリドン固溶体顔料は、C.I.ピグメントレッド122と比較して、a**平面における色相角が0°側にあるため、ブラックインクよりも薄いインク、つまり、グレーインクに用いることで、その色相をニュートラルにより近づけることができる。一方、キナクリドン固溶体顔料は、C.I.ピグメントレッド122よりも発色力に優れているため、グレーインクに調色用顔料として添加する場合、同じ光学濃度の画像とするために使用する顔料量は少なくてすむ。しかしながら、顔料量が少ないがゆえに、画像を光やオゾンにさらした際に、退色が生じてカラーバランスが崩れるまでの時間がより短くなる。すなわち、キナクリドン固溶体顔料を使用した場合は、画像の耐光性や耐オゾン性が劣るという課題を生じる。
かかる課題に対して、本発明者らが検討を行った結果、インクに、樹脂微粒子及び1,2−アルカンジオールを含有させることで、画像の耐光性や耐オゾン性が向上することがわかった。グレーインクには、色材の含有量が多いブラックインクと比べて、樹脂成分をより多く添加することが一般的に行われている。これは、ブラックインクと比べて、グレーインクは、インク中の顔料や樹脂などの固形分の含有量が少ないため、画像の堅牢性が相対的に弱くなる傾向があるためである。さらに、キナクリドン固溶体顔料を使用した場合は、C.I.ピグメントレッド122を使用した場合よりも画像の耐光性や耐オゾン性が劣るため、樹脂成分によりこれらの性能を向上することが特に重要である。インクに添加する樹脂成分は、水溶性樹脂と樹脂微粒子に大別されるが、本発明においては、インクが付与された後に記録媒体の表面上に存在させ、顔料粒子を光やオゾンによる劣化から保護することができるため、樹脂微粒子を使用する。
1,2−アルカンジオールをインクに添加することにより、記録媒体に付着したインクのドットが隣接するドットと接触して、互いに濡れ広がり、その結果画像表面の平滑性が高まることは知られている。本発明ではこのような作用に加えて、キナクリドン固溶体顔料と併用した場合に特異的に生じる以下のような作用により画像の耐オゾン性や耐光性が向上すると考えられる。すなわち、1,2−アルカンジオールは、インクジェット用のインクに用いられる水溶性有機溶剤の中では比較的キナクリドン固溶体顔料に対する親和性が低い部類に属する。記録媒体にインクが付与された際に、インクの乾燥、定着の過程で、キナクリドン固溶体顔料の定着性や粒子同士の密着性を高めることができる。このような理由から、画像の耐オゾン性や耐光性が向上するものと考えられる。
また、本発明においては、グレーインクとするためには、インク全質量を基準とした前記カーボンブラックの含有量A(質量%)が、8.0×10-2質量%以上1.6質量%以下であることを要す。さらに、該カーボンブラックの含有量Aが、インク全質量を基準としたキナクリドン固溶体顔料の含有量B(質量%)に対して、質量比率で、A/B=1.2倍以上4.0倍以下であることを要す。すなわち、A/Bが1.2倍未満であると、キナクリドン固溶体顔料の割合が相対的に多くなりすぎるため、a**平面における色相が、a*が大きい側にシフトしすぎ、ニュートラルな画像を得ることができない。さらに、理由は明確ではないが、画像の耐オゾン性も低下してしまう。一方、A/Bが4.0倍を超えると、キナクリドン固溶体顔料の割合が相対的に少なくなりすぎるため、メタメリズムが生じ、画像の耐光性も低下してしまう。
<インク>
以下、インクジェット用にも好適な、本発明のグレーインクを構成する各成分について説明するが、本発明のグレーインクは、他の色相やブラックの顔料インクと組み合わせてインクセットとしても用いることができる。他の色相としては、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン及びブルーなどから1種又は2種以上を選択することができる。
(顔料)
本発明のグレーインクは、複数種の顔料を含有することを特徴とし、該複数種の顔料として、少なくともカーボンブラックとキナクリドン固溶体顔料とを含む。以下、各成分について説明する。
〔カーボンブラック〕
本発明で使用するカーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ガスブラックなどの従来公知のカーボンブラックをいずれも用いることができる。インク中のカーボンブラックの含有量A(質量%)は、インク全質量を基準として、8.0×10-2質量%以上1.6質量%以下であることが必要である。下記の理由から、好ましくは、1.0×10-1質量%以上1.5質量%以下である。
本発明においては、純水で1,000倍に希釈したインクの550nmにおけるabs値が、0.040以上0.800以下、さらには、0.040以上0.640以下であることが好ましい。abs値が0.040未満であることは、カーボンブラックの含有量が少なすぎることに相当し、ニュートラルな色相のインクを得ることができないし、耐光性も十分に得られない場合がある。また、abs値が0.800を超えるようなインクは、中間調からシャドウ(高濃度領域)のモノクロ画像を記録する際に使用することが想定される。この場合、インク中のカーボンブラックの含有量が高すぎることに相当し、色材がカーボンブラックのみでもある程度ニュートラルに近い色相を得ることができる。このため、本発明のインク中に同時に添加するキナクリドン固溶体顔料の影響で、かえって赤味の色相を帯びてしまうおそれがあるので好ましくない。なお、本発明において、abs値を測定する波長を550nmとするのは、上述のA/Bの範囲内において、カーボンブラック及びキナクリドン固溶体顔料とは異なる顔料の影響をできるだけ排除するためである。上記した、純水で1,000倍に希釈したインクの550nmにおけるabs値が0.040以上0.800以下であることは、インク中のカーボンブラックの含有量としてみた場合、およそ1.0×10-1質量%以上1.5質量%以下であることに相当する。
(キナクリドン固溶体顔料)
本発明のインクには、上記で説明したカーボンブラックに加えて、キナクリドン固溶体顔料も含有させる。本発明における「固溶体」とは、2種以上の顔料分子の混晶体(混合状態で結晶化した状態)として存在する顔料のことを指し、2種以上の顔料を単純に混合したものとは異なる。固溶体の製造方法は、例えば、特開昭60−35055号公報や特開平2−38463号公報に開示されている。2種以上の顔料が固溶体を形成しているかの検証は、X線回折分析などによって容易に行うことができる。2種以上の顔料を単純に混合したものである場合、各顔料のX線回折パターンの重ね合わせに相当するパターンが得られ、そのピーク強度は各顔料の配合比率に比例する。一方、2種以上の顔料が固溶体を形成している場合、各顔料のX線回折パターンとは異なるX線回折パターンを示す。
キナクリドン固溶体顔料は、無置換キナクリドン、3,10−ジクロロキナクリドン、2,9−ジメチルキナクリドン、4,11−ジクロロキナクリドン、2,9−ジクロロキナクリドン、2,9−ジメチルキナクリドンなどのキナクリドン顔料から選択される2種以上で構成されるものである。本発明においては、C.I.ピグメントレッド202(2,9−ジクロロキナクリドン)とC.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)を含む固溶体顔料、C.I.ピグメントレッド122(2,9−ジメチルキナクリドン)とC.I.ピグメントレッド202を含む固溶体顔料、C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントバイオレット19を含む固溶体顔料、C.I.ピグメントレッド282(C.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19を含む固溶体顔料)を用いることが好ましい。更には、メタメリズムにより優れていることから、C.I.ピグメントレッド202とC.I.ピグメントバイオレット19を含む固溶体顔料を用いることが特に好ましい。インク中のキナクリドン固溶体顔料の含有量B(質量%)は、インク全質量を基準として、5.0×10-2質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。なお、上述の通り、本発明で規定するA/Bの範囲内において、1,000倍に希釈したインクの550nmにおけるabs値は、キナクリドン固溶体顔料の含有量にも依存する。そのため、インク中のキナクリドン固溶体顔料の含有量は、希釈したインクのabs値が、上述した好適な範囲内となるように決定することが、より好ましい。
(フタロシアニン顔料)
本発明のインクには、色材として、上記したカーボンブラックとキナクリドン固溶体顔料に加えてさらに、フタロシアニン顔料を含有することが好ましい。使用するフタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントブルー:15、15:1、15:3、15:4、15:6、C.I.ピグメントグリーン:7、36などが挙げられる。これらのなかでも、銅フタロシアニン顔料、さらにはシアンの色相を有する銅フタロシアニン顔料を用いることが好ましく、さらには、C.I.ピグメントブルー15:3やC.I.ピグメントブルー15:4が特に好ましい。このようなフタロシアニン顔料を使用することで、グレーインクで形成される画像を、よりニュートラルな色相とすることができる。インク中のフタロシアニン顔料の含有量C(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0×10-2質量%以上1.2質量%以下であることが好ましい。
本発明において必須の顔料に加えてフタロシアニン顔料を使用する場合、インク全質量を基準とした前記フタロシアニン顔料の含有量C(質量%)が、前記キナクリドン固溶体顔料の含有量Bに対する質量比率で、0.33倍以上2.0倍以下であることが好ましい。すなわち、C/B=0.33以上2.0以下であることが好ましい。C/Bが0.33未満であると、キナクリドン固溶体顔料が相対的に多くなりすぎ、画像の色相がa**平面におけるa*が大きい方向にシフトしてしまい、十分にニュートラルな画像とはならなくなる場合がある。一方で、C/Bが2.0を超えると、メタメリズムが十分に向上しない場合があり、また、画像の色相がa**平面におけるa*が小さい方向にシフトしてしまい、十分にニュートラルな画像とはならなくなる場合がある。
(その他の顔料)
本発明のインクには、上記の顔料のほかに、本発明の効果が得られる限り、その他の顔料を含有させてもよい。このような顔料としては、従来公知のいずれのものも使用可能である。例えば、C.I.ピグメントバイオレット19、23、C.I.ピグメントイエロー:74、83、97、110、128、155、180、C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61、71などが挙げられる。
〔顔料の分散方式〕
インクを構成する水性媒体への顔料の分散方式としては、分散剤として樹脂を用いて顔料を分散する樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散顔料)や、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)を用いることができる。また、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合させた顔料(樹脂結合型の自己分散顔料)や、顔料粒子の表面の少なくとも一部を樹脂などにより被覆したマイクロカプセル顔料なども用いることができる。勿論、これらの分散方法の異なる顔料を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、樹脂分散剤により顔料を分散する方式(樹脂分散顔料)を利用することが特に好ましい。分散剤として樹脂を用いて顔料を分散する樹脂分散タイプの顔料を使用する場合、樹脂分散剤としては、アニオン性基の作用によって顔料を水性媒体に分散させることができるものが好ましい。分散剤として使用することができる樹脂としては、インクジェット用のインクに使用可能な従来公知の共重合体やその塩をいずれも用いることができる。分散剤として使用する樹脂は、その酸価が、50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下のものを用いることが好ましい。また、その重量平均分子量が、1,000以上、さらには1,500以上、また、50,000以下、さらには25,000以下の樹脂を用いることが好ましい。また、インク中の樹脂分散剤の含有量は、インク中における顔料の含有量に対して、質量比率で、0.10倍以上2.0倍以下であること、すなわち、樹脂分散剤の含有量/顔料の含有量=0.10以上2.0以下であることが好ましい。なお、この場合の樹脂分散剤及び顔料の含有量の値は、インク全質量を基準とした場合における各成分の含有量のことである。
(樹脂微粒子)
本発明のインクは、樹脂微粒子を含有することが必要である。樹脂微粒子を使用することで、画像の耐オゾン性や耐光性を向上させることができる。さらに、画像の耐擦過性や記録媒体への顔料の定着性などを向上する効果もある。
本発明のインクに使用する樹脂微粒子は、アクリル樹脂で構成される微粒子であることが好ましい。このような樹脂微粒子を含有するインクは、インクジェット用のインクとして必要となる吐出安定性を容易に満たすことができるためである。アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸に由来するユニットやアクリルエステルに由来するユニットなどのアクリル成分を少なくとも有すればよい。より具体的には、以下に挙げるような親水性ユニット及び疎水性ユニットを少なくとも構成ユニットとして有するものが好ましい。
重合により親水性ユニットとなる単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸などのカルボキシ基を有する単量体、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有する単量体、(メタ)アクリル酸−2−ホスホン酸エチルなどのホスホン酸基を有する単量体、これらの酸性単量体の無水物や塩などのアニオン性単量体、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基を有する単量体が挙げられる。なお、アニオン性単量体の塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンが挙げられる。また、重合により疎水性ユニットとなる単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する単量体、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、iso−、t−)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有する単量体が挙げられる。
本発明においては、乳化重合法やソープフリー重合法により合成された樹脂微粒子を用いることが好ましい。また、樹脂微粒子の酸価は、40mgKOH/g以上200mgKOH/g以下、体積平均粒子径は、30nm以上200nm以下、最低造膜温度(℃)は−50℃以上25℃以下であることが好ましい。
本発明においては、インク中の樹脂微粒子の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.20質量%以上であることが好ましい。含有量が0.20質量%未満であると、画像の耐光性や耐オゾン性が十分に得られない場合がある。また、インク中の樹脂微粒子の含有量(質量%)の上限は、インク全質量を基準として、5.0質量%以下であることが好ましい。
(1,2−アルカンジオール)
本発明のインクは、先に述べた理由から、1,2−アルカンジオールを含有してなることを特徴のひとつとする。1,2−アルカンジオールとしては、炭素数が3乃至8の直鎖又は分岐のものが好ましい。具体的には、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールが挙げられる。本発明においては、これらの中でも、1,2−ヘキサンジオールが特に好ましい。本発明においては、インク中の1,2−アルカンジオールの含有量(質量%)は、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。含有量が1.0質量%未満であると、画像の平滑性が低下する場合があり、10.0質量%を超えると、インクの粘度が高くなりすぎて、インクジェット用のインクとして用いるのに適さない場合がある。
(水性媒体)
本発明のインクには、上記で説明した1,2−アルカンジオールの他に、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては脱イオン水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。なお、この水溶性有機溶剤の含有量には、1,2−アルカンジオールの含有量と、後述するグリコールエーテルを使用する場合にはその含有量を含むものとする。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、グリコール類、含窒素化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
〔グリコールエーテル〕
本発明のインクは、画像の耐オゾン性がより向上するため、水溶性有機溶剤として、さらに、グリコールエーテルを含有することがより好ましい。グリコールエーテルは、1,2−アルカンジオールと類似した性質を有し、インクジェット用のインクに用いられる水溶性有機溶剤の中では、顔料に対する親和性が比較的低い部類に属する。このため、記録媒体にインクが付与された際に、インクの乾燥、定着の過程で、顔料の定着性や粒子同士の密着性を高めることができる。また、グリコールエーテルは、多くの樹脂成分を溶解しやすい特性も持つため、インクの乾燥、定着の過程で、インク中の樹脂材料をより密に、かつ、均一に成膜させることができる。
グリコールエーテルとしては、グリコール部分の炭素数が1乃至3、また、エーテルを形成するアルコール部分の炭素数が1乃至4のものが好ましい。具体的には、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテルなどが挙げられる。本発明においては、インク中のグリコールエーテルの含有量(質量%)は、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
(その他の成分)
本発明のインクには、上記成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、必要に応じて所望の物性値を有するインクとするために、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を有し、前記インク収容部に、上記で説明した本発明のグレーインクが収容されてなるものである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、負圧によりインクを含浸した状態で保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室、及び、負圧発生部材により含浸されない状態でインクを収容するインク収容室で構成されるものが挙げられる。又は、上記のようなインク収容室を持たず、インクの全量を負圧発生部材により含浸した状態で保持する構成や、負圧発生部材を持たず、インクの全量を負圧発生部材により含浸されない状態で収容する構成のインク収容部としてもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられ、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。記録媒体としては、どのようなものを用いてもよいが、本発明においては、インク中の顔料や樹脂微粒子を記録媒体の表面やその近傍に存在させることができるような記録媒体を用いることが好ましい。このような記録媒体としては、インク受容層を有する記録媒体が挙げられ、特に表面に光沢を有する記録媒体が好適である。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。なお、樹脂の合成、顔料分散体及びインクの調製の記載における「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
<樹脂の合成>
(樹脂A:樹脂分散剤、添加用樹脂)
顔料の樹脂分散剤やインクに添加する樹脂として使用した、水溶性の樹脂Aを以下のようにして合成した。撹拌機、還流冷却装置及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル100部を仕込んだ。その後、反応系に窒素ガスを導入し、撹拌下で80℃に昇温させた。スチレン40部、n−ブチルメタクリレート20部、2−エチルヘキシルアクリレート15部、アクリル酸25部、の各モノマーの混合物を調製した。上記のフラスコに、モノマーの混合物と2.0部のt−ブチルパーオキサイド(重合開始剤)のエチレングリコールモノブチルエーテル溶液を3時間かけて滴下した。その後、エージングを2時間行い、さらにエチレングリコールモノブチルエーテルを減圧下で除去して、固形の樹脂を得た。このようにして得られた樹脂を、その酸価と当量の水酸化カリウム及び適量のイオン交換水を加えて80℃で溶解させることで、重量平均分子量8,000、酸価185mgKOH/gである樹脂Aを含み、固形分の含有量が20%である樹脂Aの水溶液を得た。
(樹脂B:樹脂微粒子)
樹脂微粒子として使用した樹脂Bを以下のようにして合成した。撹拌機、還流冷却装置及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、水100部を入れた後、反応系に窒素ガスを導入し、撹拌下で80℃に昇温させた。水100部、ラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)1.0部、スチレン20部、アクリル酸−2−エチルヘキシル30部、メタクリル酸メチル30部、アクリル酸18部を混合し、モノマーの乳化物を調製した。上記のフラスコに、モノマーの乳化物と5%の過硫酸カリウム水溶液10部を3時間かけて滴下した。その後、エージングを2時間行い、適量のイオン交換水を加えることで、酸価が130mgKOH/g、最低造膜温度が20℃、体積平均粒子径が101nmである樹脂Bを含み、固形分の含有量が30%である樹脂Bの水分散液を得た。
<顔料分散体の調製>
(顔料分散体1)
先ず、顔料10部、樹脂分散剤の水溶液(固形分20.0%)25部、及び水65部を、0.3mm径のジルコニアビーズの充填率を80%としたビーズミルに入れ、回転数1,800rpmで5時間分散した。上記ビーズミルは、アシザワファインテック製のLMZ2を使用した。顔料としては、カーボンブラック(Black Pearls 880;キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製)を用いた。また、樹脂分散剤の水溶液としては、酸価215mgKOH/g、重量平均分子量8,500のアクリル酸系樹脂(ジョンクリル678;BASF製)を、酸価に対して0.95当量の水酸化カリウムで中和して得たものを用いた。その後、回転数5,000rpmで30分間遠心分離を行うことにより凝集成分を除去し、さらにイオン交換水で希釈することで、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である顔料分散体1を得た。
(顔料分散体2)
顔料分散体1の調製において、顔料の種類を、キナクリドン固溶体顔料1(C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド202を含む固溶体顔料、商品名:CROMOPHTAL Jet 2BC;チバスペシャルティケミカルズ製)に代えた。また、樹脂分散剤の水溶液を、上記で得られた樹脂Aの水溶液(固形分20%)に代えた。これ以外は顔料分散体1と同様の手順により、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である顔料分散体2を得た。
(顔料分散体3)
顔料分散体2の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントレッド122(トナーマゼンタE02;クラリアント製)に代えた以外は顔料分散体2と同様にして、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である顔料分散体3を得た。
(顔料分散体4)
顔料分散体2の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントレッド202(CINQUASIA MAGENTA RT−235−D;チバスペシャルティケミカルズ製)に代えた以外は顔料分散体2と同様にして、顔料分散体4を作製した。得られた顔料分散体4は、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である。
(顔料分散体5)
顔料分散体2の調製において、顔料の種類をC.I.ピグメントバイオレット19(CINQUASIA RED B NRT−796−D;チバスペシャルティケミカルズ製)に代えた以外は顔料分散体2と同様にして、顔料分散体5を作製した。得られた顔料分散体5は、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である。
(顔料分散体6)
顔料分散体2の調製において、顔料の種類を銅フタロシアニン顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3(トナーシアンBG;クラリアント製)に代えた以外は顔料分散体2と同様にして、顔料分散体6を作製した。得られた顔料分散体6は、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である。
(顔料分散体7)
顔料分散体2の調製において、顔料の種類をキナクリドン固溶体顔料2(C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントバイオレット19を含む固溶体顔料)に代えた。これ以外は顔料分散体2と同様にして、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である顔料分散体7を得た。なお、キナクリドン固溶体顔料2は、質量比率で等量のC.I.ピグメントレッド122のプレスケーキと、C.I.ピグメントバイオレット19のプレスケーキとを摩砕し、常法により有機溶剤処理による顔料化を行って得たものである。
(顔料分散体8)
顔料分散体2の調製において、顔料の種類をキナクリドン固溶体顔料3(C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントレッド202を含む固溶体顔料)に代えた。これ以外は顔料分散体2と同様にして、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である顔料分散体8を得た。なお、キナクリドン固溶体顔料3は、質量比率で等量のC.I.ピグメントレッド122のプレスケーキと、C.I.ピグメントレッド202のプレスケーキとを摩砕し、常法により有機溶剤処理による顔料化を行って得たものである。
(顔料分散体9)
顔料分散体2の調製において、顔料の種類をキナクリドン固溶体顔料4(C.I.ピグメントレッド282、商品名:CROMOPHTAL Jet 3BC;チバスペシャルティケミカルズ製)に代えた。これ以外は顔料分散体2と同様にして、顔料の含有量が10%、樹脂分散剤の含有量が5.0%である顔料分散体9を得た。
<インクの調製>
先に調製した樹脂を含む液体及び顔料分散体などを用い、表1に示す各成分(単位:%)を混合した後、ポアサイズが1.2μmであるメンブレンフィルター(HDCIIフィルター;ポール製)にて加圧ろ過することで、各インクを調製した。プロキセルGXL(S)は、アーチケミカルズ製の防腐剤であり、アセチレノールE100は及びサーフィノール465は、それぞれ、川研ファインケミカル製、日信化学工業製のノニオン性界面活性剤である。
得られた各インクを、それぞれ純水で1,000倍に希釈した各測定試料について、吸光スペクトルの550nmにおけるabs値を測定した。その結果も表1に示した。そして、インクをそれぞれインクカートリッジに充填して、後述するように、各インクについての評価を行った。
Figure 2012072368
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<評価>
上記で得られたインクカートリッジを、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するインクジェット記録装置(PIXUS Pro9500;キヤノン製)に搭載した。このインクジェット記録装置は、縦解像度600dpi×横解像度600dpiで、1/600dpi×1/600dpiの単位領域に、1滴当たりの質量が3.5ナノグラムであるインク滴を8滴付与する場合を、記録デューティ100%とするものである。そして、記録媒体(キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]PT101;キヤノン製)に、12.5%から150%まで12.5%刻みとして、各記録デューティの5cm×5cmの12種のベタ画像を含むパターンを記録した。得られた記録物を24時間自然乾燥した後、以下の各評価を行った。なお、以下の各評価で用いた分光光度計は、CIEL***表示系に基づく測定を行うことができるSpectrolino(Gretag Macbeth製)である。本発明においては、下記の各評価項目における評価基準で、Cが許容できないレベル、B以上が許容できるレベルとし、A、AAの順に性能がより良くなっていくことを示すものとする。
(色相)
上記で得られた記録物における12種の画像について、光源D50の条件で、CIEL***表示系におけるa*及びb*の値をそれぞれ測定した。人間の目視では、グレーラインのa*のブレが大きければ大きいほど色味の変化を認識しやすい。このため、まず、記録デューティが最大(150%)である画像におけるa*と、最小(12.5%)である画像におけるa*との差Δa*と、グレーラインのうちa**平面における原点(ニュートラルな色相)に対する色差ΔEを求めた。該色差ΔEは、色差ΔE=[(a*2+(b*21/2より求め、この値が最大となる記録デューティの画像におけるΔEの値により、色相の評価を行った。評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示した。
AA:Δa*≦1.5かつΔE≦5であった
A:1.5<Δa*≦3かつΔE≦5、又はΔa*≦1.5かつ5<ΔE≦15であった
B:1.5<Δa*≦3かつ5<ΔE≦15であった
C:3<Δa*、又は、15<ΔEであった
(メタメリズム)
上記で得られた記録物における12種の画像について、D50(昼白光、色温度5,000K)及びF10(三波長型蛍光灯)の各光源のもとで測色を行い、ΔE=[(a*2+(b*21/2の値を求めた。そして、各画像のうち、上記各光源における2つのΔEの値が最も異なる画像についてのΔEの値から、メタメリズムの評価を行った。評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示した。
AA:ΔE≦3であった
A:3<ΔE≦5であった
B:5<ΔE≦8であった
C:8<ΔEであった
(耐光性)
上記で得られた記録物をキセノンウエザオーメーター(Ci4000;アトラス製)に入れ、照射強度0.39W/m2、ブラックパネル温度63℃、湿度70%の条件で300時間キセノン光の照射を行った。キセノン光照射前後の12種の画像について、記録物を放置する前後における測色値からΔE(ΔE=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2)を算出した。そして、12種の画像のうちのΔEの最大値から、耐光性の評価を行った。評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示した。
AA:ΔE≦5であった
A:5<ΔE≦10であった
B:10<ΔE≦15であった
C:15<ΔEであった
(耐オゾン性)
上記で得られた記録物をオゾン試験装置(OMS−H;スガ試験機製)に入れ、オゾンガス濃度10ppm、相対湿度60%、槽内温度23℃の条件で200時間オゾン暴露を行った。先ず、オゾン暴露前に測色を行い、ブラック成分の光学濃度が0.5に最も近い画像を選び、以下の評価を行った。そして、オゾン暴露前後の画像について、ΔOD値(ΔOD=各色成分の濃度残存率の最大値−各色成分の濃度残存率の最小値、ここで、濃度残存率=(暴露試験後の光学濃度/暴露試験前の光学濃度)×100(%))から、耐オゾン性の評価を行った。なお、ΔOD値とは、ブラック成分の光学濃度が約0.5であるグレーの画像における、イエロー成分、シアン成分、マゼンタ成分それぞれの濃度残存率の最大値と最小値との差である。ΔOD値が大きいことは、イエロー成分、シアン成分、マゼンタ成分の少なくともいずれかに色相が大きくずれるため、オゾンにさらされた際に褪色バランスが低いことを示す。耐オゾン性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表2に示した。
AA:ΔOD<10であった
A:10≦ΔOD<15であった
B:15≦ΔOD<20であった
C:20≦ΔODであった
Figure 2012072368
Figure 2012072368

Claims (6)

  1. 複数種の顔料、水溶性有機溶剤、及び樹脂微粒子を含有するグレーインクであって、
    前記水溶性有機溶剤が、1,2−アルカンジオールを含み、
    前記複数種の顔料が、カーボンブラック及びキナクリドン固溶体顔料を含み、
    インク全質量を基準とした前記カーボンブラックの含有量Aが、8.0×10-2質量%以上1.6質量%以下であり、かつ、前記カーボンブラックの含有量Aが、インク全質量を基準としたキナクリドン固溶体顔料の含有量Bに対して、質量比率で、1.2倍以上4.0倍以下であることを特徴とするグレーインク。
  2. 前記複数種の顔料が、さらにフタロシアニン顔料を含有し、
    インク全質量を基準とした前記フタロシアニン顔料の含有量Cが、前記キナクリドン固溶体顔料の含有量Bに対する質量比率で、0.33倍以上2.0倍以下である請求項1に記載のグレーインク。
  3. 前記水溶性有機溶剤が、さらにグリコールエーテルを含む請求項1又は2に記載のグレーインク。
  4. 前記樹脂微粒子の含有量が、インク全質量を基準として、0.20質量%以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のグレーインク。
  5. インクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジであって、
    前記インク収容部に収容されているインクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のグレーインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  6. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のグレーインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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