JP5336723B2 - キトサン微粒子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、簡単で不純物の混入が無いプロセスから成り、化粧品・医療等の多分野への有用性が高いミクロンサイズからサブミクロンサイズの均一なキトサン微粒子の製造方法に関する。
キトサンは、キチンのN−脱アセチル化物で2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコースを1構成単位とする塩基性多糖であり、キチン分子とキトサン分子のN−アセチル基の置換度(脱アセチル化度)とその分布、鎖長(分子量)の相違により特異的な分子特性が見られる。
キトサンの溶解性については、水、アルカリ、アルコールなどの一般有機溶媒には溶けないが、希酸水溶液に溶解することはよく知られている。一般的に使用される希酸水溶液としては、酢酸、ギ酸、クエン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、サリチル酸、コハク酸等の水溶性有機酸、及び塩酸、硝酸、リン酸等の硫酸以外の無機酸があげられる。酢酸、ギ酸、クエン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸等の水溶液は室温に於いて、また、サリチル酸、リン酸等の水溶液については加熱するとキトサンを溶解し、冷却してもキトサンは析出せずに安定な溶液のままで存在する。一方、硫酸の水溶液も加熱するとキトサンを溶解するが、溶液は不安定で、冷えるとキトサンが析出する事が知られている。
このような溶解特性を有するキトサンは、抗菌性、生体適合性、免疫賦活作用、植物生長促進作用、凝集作用、金属捕集作用などの性質を持つものである。キトサンは、これらの性質を利用して、近年種々の分野への応用が試みられている。
特に、キトサンは生体適合性が高いという優れた特性により、医薬分野及び化粧品分野での利用が期待されている。例えば、医療分野での創傷被覆剤・治癒促進剤・人工皮膚、化粧品分野での粉体特性改良剤・皮膚保湿剤などが挙げられる。
更には、キトサンの用途拡大や付加価値を高める目的で、キトサンの微粒子化についての試みが行われている。例えば、1)溶液状キトサンと乳化剤を含む疎水性溶媒との撹拌混合によりエマルジョン化させ、次いで、アルカリ水溶液の凝固浴中に滴下し、凝固させることを特徴とする粒状キトサン成形体の製造方法(例えば、特許文献1参照)、2)低分子量のキトサンを酸性水溶液中に溶解して得た溶解液を塩基性溶液中で凝固析出することを特徴とする粒状キトサンの製造方法(例えば、特許文献2参照)、3)キトサンを酸性水溶液中に溶解して得た溶解液を塩基性溶液中で凝固再成し、生成した凝固物を洗浄後粉砕分散せしめ、該分散液を高温雰囲気中に加圧空気と共に吐出乾燥することを特徴とする超微小球状キトサンの製造方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
しかしながら、上記特許文献1〜3は、必ずしも生体への安全性が担保されているとは言えない高価な薬剤を使用するばかりでなく、煩雑な操作が必要であり、これらの方法は安価にキトサン微粒子を製造する方法としては適していない。また、得られたキトサン微粒子は、粒子化のプロセスで使用された凝固剤や分散剤等の薬剤が不純物(例えば、灰分)として混入し、精製工程(一般的な、膜処理の最大除去率はNaClの場合98〜99%である)を経てもこれを完全に除去するのは不可能であるため、化粧品・医療等の多分野への利用には適していない。尚、実際、微粒子の精製を行うにあたり、微粒子が高濃度に分散する状態ではその液の粘性や微粒子状態である故の流動抵抗及び積層性が問題となり、希釈無しには精製の実施は不可能である。その結果、精製工程を経たキトサン微粒子分散液の濃度は希薄にならざるを得ない。
更には、上記特許文献1〜3の様な凝固剤を使用して製造したキトサン微粒子は、水分散性が悪く、その点においても汎用性に欠ける。
凝固剤を使用しないその他のキトサン微粒子の製造法としては、4)キトサンの酸性溶液を、高温噴霧乾燥させ10μm以下(実施例2〜8μm)のキトサン微粒子を得る方法(例えば、特許文献4参照)、5)キトサンの酸性水溶液をデカリン等の疎水性分散媒中に分散させ、攪拌下に水分を蒸発させることを特徴とする粒状多孔質キトサンの製造方法(例えば、特許文献5参照)が知られている。
しかし、これらの方法で得られた微粒子は、そのままでは耐水性が無い為、汎用性をもたせる目的において、強アルカリ溶媒による不溶化処理、若しくは、グルタルアルデヒド等による架橋化処理が必要となる。そして、これらの薬剤処理の後に、洗浄や精製を繰り返し行ったとしても、薬剤の不純物(例えば、灰分)としての混入を完全に防ぐことはできない。また、微粒子の精製を実施するためには、前述の理由により得られるキトサン微粒子分散液濃度の希薄化は避けられない。
更には、上記の様に不溶化、架橋処理して製造したキトサン微粒子は、水分散性が悪く、その点においても汎用性に欠ける。
また、酸と塩基の塩を用いたキトサン微粒子の製造法としては、6)キトサンの酸の水溶液に、硫酸塩を添加してキトサンを析出させるキトサン微粒子の製造方法(例えば、特許文献6参照)、7)キトサンのクエン酸水溶液に、クエン酸塩を添加してキトサンを析出させ、クエン酸塩を添加して析出させたキトサン懸濁液を加熱してキトサンを溶解させ、次いで、得られた水溶液を冷却してキトサンを析出させることを特徴とする平均粒子径が1μm以下のキトサン微粒子の製造方法(例えば、特許文献7参照)が知られている。
しかし、これらの方法は、溶解したキトサンを過剰量の塩添加により析出する方式(所謂、塩析作用を利用した調製法)であるため、得られたキトサン分散液には高濃度の塩が混在し、例え洗浄及び精製を繰り返し行ったとしても、不純物(例えば、灰分)としての塩の混入を完全に防ぐことはできない。また、微粒子の精製を実施すると、前述の理由により得られるキトサン微粒子分散液濃度の希薄化は避けられない。
そして、上記特許文献6の方法では、製造されるキトサン微粒子の大きさは、特許文献6の実施例に示されているとおり、平均粒径が3μm〜15μmとサブミクロンサイズとは言い難いものである。また、上記特許文献7の方法に於いても、均一なサブミクロンサイズのキトサン微粒子を製造する為には、一度析出させたキトサンを加熱により再溶解させ、冷却する工程が必須となり、プロセスの煩雑化を伴うものであり、何れも簡単にサブミクロンサイズの均一なキトサン微粒子を製造する方法とは言い難い。
更に、キトサンの溶解力が低い硫酸を利用したキトサン微粒子の製造法として、8)キトサンを希硫酸に加熱溶解し、その後冷却してキトサンを析出させるキトサン微粒子の製造方法(例えば、特許文献8参照)が知られている。
この特許文献8の実施例に於いて、サブミクロンサイズのキトサン微粒子が得られたことが記載されている。しかし、実際、硫酸水溶液にキトサンを溶解させる為には、特許文献8の実施例に記載される様に80℃まで製造槽を加温する必要があり、強酸性下の高温製造に因るキトサンの分解変性及び製造装置の劣化をまねくものである。
また、この従来技術は、元々キトサンを殆ど溶解しないという特徴を持つ希硫酸(貧溶媒)に着目し、限られた特定の条件(好ましい条件として特許文献8には、「溶解温度:60〜80℃」、「硫酸使用量:キトサンのアミノ基に対して0.8〜4倍モル」と記載されている)でキトサン溶液を調製する為に、工業的な溶解が容易では無く、更には冷却析出後の微粒子分散液中には余分な硫酸が存在することになり、後工程としてのアルカリによる中和と精製が必須で結果的にプロセスが煩雑となる。そして、微粒子の中和・精製を実施するにあたり、前述の理由により、得られるキトサン微粒子分散液濃度の希薄化は避けられない。また、不純物(例えば、灰分)としてのアルカリ成分の混入を完全に防ぐことはできない。
上述の特許文献1〜8に記載される様なキトサンを溶解した後に微粒子化する方法以外に、キトサンを固体のまま直接粉砕する方法が提案されている。例えば、9)キトサンの溶媒(水)分散液に、分散剤としてHLBが11以上の親水性乳化剤を添加し、媒体撹拌ミルを用いて湿式粉砕して平均粒子径が20μm以下の微粒子キトサンを製造する方法(例えば、特許文献9参照)が知られている。
この粉砕方法に於いては効率的な細粒化を行うために、粉砕メディアとなるビーズを段階的に小さくして行く必要があり、生産プロセスが多段的になり生産性が悪く(製造時間の長期化、収率低下)、コスト高となる問題がある。そして、分散剤として用いた乳化剤が混在する問題もある。
粉砕効率を上げる為に、10)キトサン等の天然高分子にアセトン等の添加物を使用し微粉砕する微粒子の製造方法(例えば、特許文献10)が提案されているが、最終製品へ微粒子構成成分以外の物質が混入する問題がある。
そして、上記特許文献9、10の様な粉砕法で製造したキトサンの微粒子は、形状が不定形で表面が滑らかではなく、水分散性も悪い為、医療品及び化粧品材料としての用途には不向きである。また、キトサンそれ自体が、原料である蟹殻のカルシウム分及び脱アセチル化で使用する濃苛性ソーダに由来する灰分を(一般的に0.1%〜2%程度)含むものであるので、粉砕しただけのキトサン微粒子にはその灰分がそのまま残るものである。
以上の様に、従来のキトサン微粒子の製造方法は、煩雑なプロセスや制御を伴うものである為に装置費用の増大や収率の低下が避けられないものであり、且つ、微粒子構成成分以外の薬剤を使用する為に調製微粒子への不純物の混入を実質防げないものであり、実用性、生産性、汎用性及び安全性が低い点に課題がある。また、従来の製造方法に於いては、微粒子の精製を実施するにあたり、得られるキトサン微粒子分散液濃度の希薄化が避けられない点にも課題がある。この従来法では希薄な微粒子分散液しか製造できない事が、製剤化への障壁及び乾燥工程のコスト増大となり、キトサン微粒子の汎用性低下を招いている。
更には、従来のキトサン微粒子の製造方法は、調製微粒子の水分散性が悪い点やサブミクロンへのサイズ制御が容易では無い点にも課題がある。
そして、従来技術に於いて、キトサンの酸性水溶液に薬剤の添加を一切行わず酸溶媒の除去操作のみによりキトサンを微粒子化させる試みは無く、また、その微粒子化が従来よりキトサン易溶の酸溶媒(良溶媒)として知られている本発明の特定酸3種(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸)により達成されることについての示唆や見解も全く存在しなかった。
また、灰分を殆ど若しくは全く含まない(乾燥重量で0.1%未満)、産業的に生産可能なキトサン微粒子も存在していなかった。
特開昭58−57401号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開昭61−40337号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開昭62−62827号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開昭63−20301号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平1−301701号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平9−143203号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2005−68282号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平7−330807号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2006−233113号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平7−41502号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、産業的に有用なミクロンサイズからサブミクロンサイズのキトサン微粒子の安価で煩雑工程を必要としない製造方法の開発を目指し、従来技術では達成できなかった「微粒子構成成分と水以外の物質(以下、単に、「不純物」という)の混入が無い」製造プロセスによる、高純度(灰分を殆ど若しくは全く含まない)で微細な水不溶性キトサン微粒子を提供することを目的とする。
更には、従来技術では困難であった、均一で分散安定性の良いミクロンサイズからサブミクロンサイズのキトサン微粒子の高濃度分散液を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題及び現状を解決するために、鋭意検討した結果、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の特定の酸がそれ以外の酸には無い特異的な作用を持つことを予想外に発見し、これら特定の酸溶媒を用いたキトサン溶液の酸溶媒を除去する方法により、目的とする「水分散性良好で、高純度、高濃度のミクロンサイズからサブミクロンサイズのキトサン微粒子(分散液)が製造できる」ことを見いだした。
そして、微粒子の構成成分以外の薬剤及び界面活性剤をプロセスに全く必要としない、新規なキトサン微粒子の製造方法として、本発明のキトサン微粒子の製造方法を完成するに至ったのである。
更には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の特定の酸溶媒を用いたキトサン溶液の酸溶媒を除去する方法で得られたキトサン微粒子を特定することにより、従来存在していなかった、灰分を殆ど若しくは全く含まない(乾燥重量で0.1%未満)の本発明のキトサン微粒子を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(8)に存する。
(1) クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の群から選ばれる少なくとも1種の酸の水溶液によりキトサンを溶かす工程(溶解工程)と、該溶解工程より得られたキトサン溶液の酸溶媒を除去する工程(脱酸工程)から成る水不溶性キトサン微粒子(水分散系)の製造方法であって、用いるキトサンが重量平均分子量1万以上〜80万以下、脱アセチル化度80%以上であり、上記脱酸工程が流動状態で実施されることを特徴とするキトサン微粒子の製造方法。
(2) 溶解工程におけるクエン酸、酒石酸、リンゴ酸の使用総量が、キトサンのアミノ基量1モルに対し0.2〜2モルであることを特徴とする(1)に記載のキトサン微粒子の製造方法。
(3) 脱酸工程が透析法、ろ過膜処理法、イオン交換膜処理法、イオン交換樹脂処理法の何れかの酸溶媒を除去する方法から成ることを特徴とする(1)又は(2)に記載のキトサン微粒子の製造方法。
(4) 溶解工程に於いて酸水溶液のキトサンに対する溶媒能力を高める措置を行い、且つ、脱酸工程が該溶媒能力を低下させる措置を実施することを特徴とする(1)〜(3)の何れか一つに記載のキトサン微粒子の製造方法。
(5) (1)〜(4)の何れか一つに記載の製造方法に次いで、キトサン微粒子を乾燥することを特徴とするキトサン微粒子の製造方法。
) クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の群から選ばれる少なくとも1種とキトサンが水不溶性の微粒子を形成し、そのクエン酸、酒石酸、リンゴ酸の総量とキトサン量の構成が重量割合で各々10〜45%と55〜90%であることを特徴とするキトサン微粒子の製造方法
) 水溶性高分子と複合して微粒子を成すことを特徴とする(1)〜(6)の何れか一つに記載のキトサン微粒子の製造方法
) (1)〜(7)の何れか一つに記載のキトサン微粒子の製造方法により得られることを特徴とするキトサン微粒子。
本発明によれば、微粒子構成成分以外の物質及び界面活性剤をプロセスに一切使用せず、溶解と脱酸の簡単な工程により均一な微粒子調製が可能であるため、産業的に有用なミクロンサイズからサブミクロンサイズで汎用性に富む高純度で水分散性の良いキトサン微粒子が安価で安定に提供される。
また、本発明の製造方法は、キトサンを「溶液の状態での脱酸(併せて精製)操作」を施し、本発明微粒子の生成条件(特定酸とキトサンの構成割合)を満たすことで微粒子化を達成させる為、従来の製造方法に於ける「微粒子状態での精製操作」が持つ流動抵抗及び積層性の問題が無く、液の希釈を行わずとも有利に膜処理等の精製操作が可能であるので、従来の製造方法に比べ高濃度のキトサン微粒子分散液を提供できるものである。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明のキトサン微粒子の製造方法は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の群から選ばれる少なくとも1種の酸と水(酸の水溶液)によりキトサンを溶かす工程(溶解工程)と該溶解工程より得られたキトサン溶液の酸溶媒を除去する工程(脱酸工程)から成ることを特徴とするキトサン微粒子の製造方法である。
また、本発明のキトサン微粒子は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の群から選ばれる少なくとも1種とキトサンが水不溶性の微粒子を形成し、そのクエン酸、酒石酸、リンゴ酸の総量、及びキトサン量の組成が、乾物重量で各々10〜45%、及び55〜90%であることを特徴とするキトサン微粒子である。
本発明は、キトサンに対し安定した溶解性を示す良溶媒であるクエン酸、酒石酸、リンゴ酸が、キトサンと特定の構成比で微粒子化する作用を特徴とするものである。その特定の構成比としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の総量とキトサンのアミノ基量の構成比が0.13〜0.95モル:1モルである。尚、微粒子調製のし易さから考えると、該比は0.2〜0.8モル:1モルが好ましい。
本発明では、そのクエン酸、酒石酸、リンゴ酸の特有作用により、微粒子構成成分(キトサンとクエン酸、酒石酸、リンゴ酸)以外の物質をプロセスに一切使用せず、溶解と脱酸の簡単な工程により均一で微細なキトサン微粒子の製造が可能となるもので、その他の1価及び多価の有機酸(例えば、酢酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸等)や無機酸(例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等)には見られない作用である。また、得られた微粒子に関しても、含まれる灰分等の不純物割合が従来法で調製の微粒子と比べ明らかに低く(微粒子の乾物換算で0〜0.1重量%未満)、造膜性・形成性に富む等の優れた特性を持つものである。
本発明に使用するキトサンは、特に限定されるものではないが、カニ、エビの甲殻等の種々の天然物由来のキチンを脱アセチル化したものなどが挙げられる。キトサンの分子量については、特に限定されるものではないが、通常、重量平均分子量(以下、単に「平均分子量」という)5千〜80万のものが使用され、粒子化形成に有利な立体構造を有する点から、平均分子量1万以上、そして、高粘性を示さず濃度を上げてもハンドリングし易い点から、平均分子量50万以下のものが好ましく、この両方の性質を併せ持つ点から、平均分子量2万〜20万程度のものが特に好ましい。
また、キトサンの脱アセチル化度についても、特に限定されるものではないが、通常60%以上が使用され、アミノ基に由来する均一な粒子化特性を有している点から脱アセチル化度80%以上が好ましく、親水性を付与する点から、脱アセチル化度90〜100%のものが特に好ましい。
本発明において、キトサン溶解に用いる酸溶媒は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の群から選ばれる少なくとも1種に限定されるものである。これらの酸は、何れも食品添加物として認められ安全性の高い物質であり、キトサンに対し安定した溶解性を示す良溶媒であるが、キトサンと特定の構成比では微粒子化する特徴を有する特異的な酸である。
尚、本発明で特定する酸であるクエン酸、酒石酸、リンゴ酸が、前述の様な他の酸(キトサンの良溶媒及び貧溶媒)には見られない特異的な作用を示す理由は明らかではないが、何れもその分子構造内に1つ以上のフレキシブルな水酸基を持つことが影響しているとも考えられる。
尚、「クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の群から選ばれる少なくとも1種」とは、クエン酸・酒石酸・リンゴ酸の使用について、これら特定酸3種の群から選ばれる1種又は2種又は3種の酸を組み合わせて使用できることを意味するものである。
また、微粒子の用途の必要性に応じて、クエン酸・酒石酸・リンゴ酸の使用に加え、これら特定酸3種の群以外の酸1種以上と併用することもできる。この組合せについて、特に限定されるものではないが、好ましくは、キトサン溶解性が高く安全性の高い塩酸、炭酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、アスコルビン酸、イタコン酸、グルコン酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、葉酸、更に好ましくは、食品添加物として認められている塩酸、酢酸、乳酸、アスコルビン酸、イタコン酸、グルコン酸、コハク酸を使用することが好ましい。
本発明の溶解工程に使用するクエン酸、酒石酸、リンゴ酸の使用量は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の使用総量がキトサンのアミノ基量1モルに対し0.2〜2モルであるのが好ましい(以下、キトサンのアミノ基量1モルに対する酸のモル量を”倍モル”で表記する)。0.2倍モル未満では(幾らその他の溶解条件、温度・撹拌速度等を整えても)キトサンの溶解率が80%未満となり実用性に欠けるものとなり、一方、2倍モルを超えても実用的な溶解性(溶解度、溶解速度)はそれ以上向上せず無駄に過剰な酸を添加する事となるので好ましくない。更に好ましくは、比較的穏和な条件(例えば、温度50℃未満・撹拌速度300rpm程度)で実用的に溶解が進む、0.5〜1.6倍モルである。特に好ましくは、後工程の膜処理等の脱酸が効率的に達成できることを考慮して、0.5〜0.8倍モルである。
また、溶解工程で用いる酸の濃度は、特に限定されないが、通常、0.1〜60重量%である。製造容量の制限から、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは1重量%以上である。また、酸の水への溶解性より判断すると、好ましくは40重量%以下、更に好ましくは20重量%以下で使用される。
溶解工程で調製されるキトサン溶液のキトサン濃度は、特に限定されないが、使用するキトサンの分子量と脱アセチル化度により適切な濃度が決定され、通常、0.5〜30重量%である。生産性(効率)の観点から、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは5重量%以上である。また、溶解の難易度、粘性による操作性から判断すると、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。
本発明の溶解工程は、一般的な調製方法、装置、及び条件により実施可能であり、特に限定されない。例えば、撹拌装置を備えた溶解槽に、水とキトサンを入れて撹拌し、酸溶媒を添加して撹拌を適宜(2時間程度)継続させキトサンを溶解させた後、不溶解分については濾過等の任意の手段で除去し、キトサン溶液を得ることができる。また、酸溶媒の添加については、本発明の酸溶媒(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸)は通常固体である為、適当な濃度(例えば、1〜60重量%)に水で希釈して酸水溶液で添加するのが望ましい。尚、キトサンを該酸水溶液に添加してもよい。
撹拌装置についても、特に限定されず、回転羽根方式、超音波方式、水流循環方式、気泡方式等の種々のものが単独若しくは併せて利用できる。
キトサンを溶解させる時の液温度は、特に限定されるものではないが、本発明の酸(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸)はキトサン易溶の良溶媒であるので、通常は室温で溶解を実施し、酸溶媒の使用量を減らす目的で90℃まで加温溶解することもできる。90℃を超えるとキトサン溶液が着色するので好ましくない。加温条件としては、30〜80℃が好ましい。加温効果をえる為には温度30℃以上必要であり、また、運転コスト面を考慮すると80℃以下となる。更に、装置の耐久性の面から30〜50℃(未満)が特に好ましい。
キトサンを溶解させる時の撹拌速度は、特に限定されるものではないが、通常は300rpm以上、好ましくは500rpm以上(〜3600rpm)で実施することにより、有効な溶解効率を得ることができる。
尚、本発明の溶解工程で得られたキトサン溶液の溶解機序については、一般的に言われる様に、キトサンのアミノ基と本発明の特定酸(クエン酸・酒石酸・リンゴ酸)が塩を形成し、キトサン分子間の水素結合を断ち切って溶媒和しているものと推測される。
本発明の脱酸工程は、本発明の第一工程である溶解工程で得られたキトサン溶液、即ち本発明で特定する酸(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸)が溶媒となり溶解した状態で存在しているキトサンについて、キトサンを系内に残しつつ該特定酸を除去(以下、単に「脱酸」)する操作を施すものである。尚、ここで言う脱酸とは、非解離の酸分子、解離した酸のアニオン、プロトンを除去することを意味するものである。
そして、その脱酸工程の過程においてはキトサンは溶解状態を維持したままで全体系は溶液として進行するが、その終点付近では該特定酸の特異的な作用により溶解していたキトサンは粒子化に向かう状態へ移行し、最終的にはキトサンと該特定酸は相互作用し(終点を迎え)微粒子の状態で存在する様になり本発明の脱酸工程が完了する。尚、本発明の製造方法(脱酸工程)で得られるキトサン微粒子は、水への分散系(以下、「微粒子分散液」)である。
この様な本発明の脱酸工程は、キトサンを系内に残し、特定酸を選択的・速やかに除去(脱酸・精製)可能な機能を持つ処理装置により実施される。例えば、透析装置、ろ過膜処理装置、選択的なイオン交換膜を備えた装置、若しくは、選択的なイオン交換能を持つ樹脂を備えた装置等を挙げることができる。また、この脱酸工程は、均一でサイズが揃った微粒子製造が可能となるので、循環若しくは撹拌等による流動状態で実施されることが、好ましい。
本発明の脱酸工程として、透析法により酸溶媒を除去する方法を採用した場合を以下に説明する。この透析は、キトサンを系内に残し、脱酸・精製ができる一般的な透析方法、装置、及び条件により実施される。例えば、セロハン膜等の半透膜による透析チューブや透析装置等を挙げることができる。透析法の操作条件については、キトサン溶液の粘性や濃度より判断し、温度及び透析液(例えば、水)の交換率を適宜調整するのが好ましい。
本発明の脱酸工程として、ろ過膜処理法により酸溶媒を除去する方法を採用した場合を以下に説明する。このろ過膜処理は、キトサンを系内に残し、脱酸・精製ができる一般的なろ過膜処理方法、装置、及び条件により実施される。例えば、全量ろ過方式やクロスフロー方式のろ過膜処理装置等を挙げることができるが、脱酸を効率良く、且つ、適当条件から極限まで調整可能な方法として、クロスフロー方式のろ過膜処理装置を用いた定容加水ろ過法(ダイアフィルトレーション法)が好ましい。また、ろ過膜の種類については、使用するキトサンの分子量によって限外ろ過膜(UF膜)、精密ろ過膜(MF膜)より適宜選択し使用するのが望ましいが、分画分子量が1千〜10万のものが好ましい。ろ過膜の構造については、ろ過膜処理の最終段階で生成する微粒子の容量調整や回収がし易い点で、平膜、スパイラル膜、チューブラー膜、中空糸膜が好ましい。ろ過膜処理の運転条件については、キトサン溶液の粘性や透過液の速度より判断し、温度及び圧力を適宜調整するのが好ましい。
本発明の脱酸工程として、イオン交換膜処理法により酸溶媒を除去する方法を採用した場合を以下に説明する。このイオン交換膜処理は、キトサンを系内に残し、脱酸・精製ができる一般的なイオン交換膜処理方法、装置、及び条件により実施される。例えば、カチオン膜とアニオン膜を備えた電気透析装置、電解透析装置や拡散透析装置等を挙げることができるが、脱酸を効率良く連続的に行うことが可能な、カチオン膜とアニオン膜とが交互に多室槽を構成する電気透析装置が好ましい。また、イオン交換膜への付着を自己防止可能な極性転換方式の電気透析装置が特に好ましい。イオン交換膜処理の運転条件については、キトサン溶液の粘性やイオンの透過速度より判断し、温度及び2極間電位差を適宜調整するのが好ましい。
本発明の脱酸工程として、イオン交換樹脂処理法により酸溶媒を除去する方法を採用した場合を以下に説明する。このイオン交換樹脂処理は、キトサンを系内に残し、脱酸・精製ができる一般的なイオン交換樹脂処理方法、装置、及び条件により実施される。例えば、陰イオン交換樹脂又は両性イオン交換樹脂を備えた装置や陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を備えた2床式装置、混床式装置等を挙げることができる。イオン交換樹脂処理の運転条件については、キトサン溶液の粘性やイオンの交換速度より判断し、温度、圧力及び供給速度を適宜調整するのが好ましい。
本発明の製造方法について、本発明で特定するクエン酸、酒石酸、リンゴ酸の水溶液のキトサンに対する溶媒能力(キトサンを溶解する力、作用)が外的な操作因子の影響で変化することを利用し、発明の溶解工程に於いて操作因子を加えて特定酸水溶液の溶媒能力を高めながら溶解状態としたキトサンに対し、続く発明の脱酸工程に於いては特定酸水溶液の溶媒能力を低下抑制させる様に該因子を操作し、脱酸を達成させるものである。
即ち、「溶媒能力を高める」為にはキトサン分子間の水素結合を減少させる様な措置を取り、一方、「溶媒能力を低下させる」為にはキトサン分子間の水素結合を増加させる措置を取るものである。溶媒能力を変化させる操作因子としては、温度や溶媒(水)の物性の影響が知られている。但し、この本発明特定の酸水溶液のキトサンに対する溶媒能力(変化)を利用し、本発明のキトサン微粒子を製造する場合は、0.2〜1.6倍モルの本発明の特定酸を溶解工程で使用するのが好ましく、更に好ましくは0.2〜0.8倍モルである。
例えば、操作因子として温度を利用する方法としては、本発明の溶解工程を40〜80℃の温度調整下で実施し、本発明の脱酸工程を室温、若しくは5〜30℃の温度調整下で行いながら本発明の特定酸が持つ作用により微粒子を製造するものである。
また、例えば操作因子として溶媒(水)の物性変化を利用する方法としては、本発明の溶解工程において、特許第3805350号公報(段落〔0002〕等)に記載される様に、超音波、強磁場、強電場、マイクロ波照射、及びマイクロバブル等の少なくともキトサン分子に対する特定酸水溶液の溶媒性向上(キトサン分子間の水素結合が解かれる状態)が望める処置を施して溶液を調製し、続く本発明の脱酸工程では、その処置を解いて、強制的(例えば、低温冷却、減圧)、若しくは自発的(例えば、放置)な溶媒状態の変化(戻り)とともに、本発明の特定酸が持つ作用により微粒子化を達成するものである。
前述した様に本発明のキトサン微粒子は、「クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の総量とキトサンのアミノ基量の構成比が0.13〜0.95モル:1モル(好ましくは、0.2〜0.8モル:1モル)」の特定の構成比(範囲)をとるが、その構成比は、溶解工程で使用する特定酸(種類、量、組合せ)により調整できる。また、その構成比は、脱酸の方法や条件(例えば、圧力・温度)の設定により、脱酸の速度を変化させることでも調整できる。
また、本発明で得られるキトサン微粒子の組成(乾物重量)は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の総量が10〜45%、キトサン量が55〜90%である。尚、微粒子調製のし易さから考えると、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の総量が18〜42%、キトサン量が58〜82%が好ましい。
本発明のキトサン微粒子は、従来のキトサン微粒子と異なり灰分が殆ど若しくは全く含まれず、灰分量が0.1%未満(0%を含む)である。この様な特徴のキトサン微粒子は、キトサンの良溶媒であり且つ特定条件に於いてキトサンと微粒子を構成する作用を併せて持つ本発明の特定酸(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸)を採用することで初めて達成されるものである。また、プロセス的には脱酸工程(溶解系)に於ける精製機能が効率的に進む為でもあり、本発明微粒子に於ける灰分量は、0.03重量%以下(0%を含む)が好ましく、0.01重量%以下(0%を含む)が更に好ましい。
本発明の製造方法以外の製造方法(従来の製造方法)で調製されたキトサン微粒子は、そのプロセス(粒子化、中和、不溶化等の工程)で必然的に使用されるアルカリ等の薬剤により、本発明の微粒子とは異なり灰分量が0.1%以上となる事は避けられない。
尚、キトサン微粒子の「クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の各量」は、キトサン微粒子を1N水酸化ナトリウム水溶液で処理した後、HPLC法で測定し求められる。キトサン微粒子の「キトサンの量」は、キトサン微粒子を硫酸分解によるケルダール法で測定したキトサンアミノ基由来の窒素量より、脱アセチル化度より導き出されるキトサンの単位構造を基に算出される。そして、キトサン微粒子の「灰分量」は、550℃による強熱残分試験法により求められる。
本発明で得られるキトサン微粒子は、光散乱法に基づく平均粒径に於いて、ミクロンサイズ(数10μm〜数μm)からサブミクロンサイズ(平均粒径2μm〜数百nm)であり、そのサイズは容易に制御可能である。
即ち、段落〔0028〕で述べた粒子化へ向かうプロセス(終点付近〜終点)に於いて、脱酸の方法や条件(例えば、圧力・温度)の設定により脱酸の速度を変化させることで、微粒子サイズの調整ができる。一元的に決定されるものではないが、脱酸の速度が高くなると、微粒子のサイズが小さくなる傾向にある。
例えば、膜処理における処理条件(定容加水条件、処理温度、膜ポア選定等)により、微粒子のサイズを容易に調整できる。
本発明のキトサン微粒子の形態は、特に限定されるものではないが、分散液、濃縮したペースト状、乾燥物等の形態が挙げられる。
前述した様に本発明の脱酸工程で得られるキトサン微粒子は分散性に優れた高純度の微粒子分散液であるが、分散液としての形態で用いる場合、更に分散性を高める目的で、その用途に合った範囲で乳化剤等の分散補助剤及び増粘剤等の分散安定剤を添加しても良い。また、本発明の脱酸工程では、その工程に於けるキトサン微粒子の分散液中濃度を任意に設定可能であり、そのキトサン濃度が約4重量%から流動性に富むスラリー様の形態をとるようになる。
更に、本発明の微粒子は、水分散性に優れているので、任意の割合で水に希釈し使用することができる。また、一般的な操作により濃度を上げる(濃縮する)ことが可能であり、例えば熱濃縮を行う場合は、上限加温を60℃とした減圧下での濃縮が好ましい。そして、その濃縮された状態に於いても本発明の微粒子は、水分散性に優れた微粒子である為、流動性に富む均一なペースト状態を維持できるものである。
また、本発明の微粒子を乾燥物としての形態で用いる場合は、加温、減圧方式、凍結乾燥法など一般的な乾燥操作を用いればよく、乾燥の方法及び条件によりその乾燥形態を変えることも可能である。
例えば、スプレードライ装置を用いた高温下の噴霧乾燥により、パウダー状の乾燥体を得ることができる。また、乾燥操作を行う際に、再懸濁時の分散性を向上させる目的で、ポリエチレングリコールや糖類などの水酸基を有する物質を添加しても良い。
また、例えば、凍結乾燥装置を用い凍結速度等の条件を変えることにより、顆粒状、スポンジ状、綿状の乾燥体を得ることも可能である。
更には、例えば、常法(例えば、キャスト法、塗布法、スプレイ法、浸漬法等)により乾燥することで膜成形体を得ることができる。
また、本発明のキトサン微粒子について、上記(段落〔0037〕)の構成比を満たせば、キトサン以外の水溶性高分子、例えばポバール(PVA)、ゼラチンを用いた複合微粒子も調製することができる。このキトサン複合微粒子に於いても、灰分等の不純物の混雑割合は0.1重量%未満(0%を含む、乾物換算)である。
本発明のキトサン微粒子の用途としては、特に限定されず、様々な分野に於ける種々の製剤に使用可能な汎用性の高いキトサン微粒子である。
特に、医療や化粧材料に使用する場合、キトサン微粒子に混在する不純物(灰分等)が多いと生体へのアレルギー反応が懸念される為にその用途範囲が制限される可能性があるが、本発明のキトサン微粒子は、微粒子構成成分以外の物質をプロセスに使用せず灰分を殆ど若しくは全く含まない(乾燥重量で0.1%未満)である為にその心配が無い。
また、本発明では高濃度のキトサン微粒子分散液が提供できるので、様々な濃度に於ける液状タイプの製剤が調製可能である。
次に、本発明を試験例(実施例及び比較例)を挙げて更に詳細に説明する。なお、試験例中、特に断らない限り、実施例中の「%」は重量基準である。
〔試験例1:実施例1〜3及び比較例1〜17〕
平均分子量71,600〜107,400、脱アセチル化度85%(灰分0.1%)のキトサンに対し、キトサンのアミノ基の1.64倍モルに相当する酸量を含む様に調製した表1に示す酸の水溶液(20種類)を用い、キトサン濃度が1%になる様に各キトサン溶液(全量200g)を調製した。尚、このキトサン溶液調製(溶解工程)について、撹拌速度は300rpmとし、温度は室温(約20℃)で実施したが、必要に応じて(室温で溶解しない場合は)60℃まで加温した。
次に、前記で得られたキトサン溶液10mlを透析用セルロースチューブ(分画分子量:約12,000〜14,000)に入れ、室温の純水(500ml、適宜純水交換)で2日間透析した。この透析操作(脱酸工程)について、微粒子生成の有無をマイクロスコープ(ハイロックス社製)を用いた顕微鏡法により調査した。
Figure 0005336723
上記試験例1(表1)の溶解工程に於いて、リン酸、硫酸、フィチン酸以外の表1の17種酸は室温でキトサンを溶解することができ、リン酸(比較例6)は50℃加温でキトサンを溶解することができた。しかし、硫酸とフィチン酸(比較例7と比較例17)は、加温60℃でもキトサンを十分に溶解することはできなかった。更に、同試験の脱酸工程に於いて、前記調製した各酸溶媒のキトサン溶液(18種類)の中で、リンゴ酸、酒石酸、及びクエン酸(実施例1〜3)のみにおいて、脱酸(透析法)によるキトサン微粒子の生成が観察された。
この試験例1の結果より、リンゴ酸、酒石酸、及びクエン酸は、その他の酸には見られない特異的な作用、即ち「キトサンの良溶媒であるが、透析法による脱酸でキトサンと微粒子を形成する」ことが分かった。
〔試験例2:実施例4及び比較例18〕
平均分子量447,500〜537,000、脱アセチル化度85%(灰分0.1%)のキトサンに対し、キトサンのアミノ基の0.7倍モルに相当する酸量を含む様に調製した乳酸(比較例18、キトサン溶解時の濃度0.3%)とクエン酸(実施例4、キトサン溶解時の濃度0.6%)の水溶液を用い、キトサン濃度が0.7%になる様に各キトサン溶液(全量200g)を調製した(48℃、300rpm)。
次に、前記で得られたキトサン溶液10mlを透析用セルロースチューブ(分画分子量:約12,000〜14,000)に入れ、室温の純水(500ml、適宜純水交換)で2日間透析した。この透析操作(脱酸工程)について、微粒子生成の有無をマイクロスコープ(ハイロックス社製)を用いた顕微鏡法により調査した。
上記試験例2の脱酸工程に於いて、前記調製した乳酸とクエン酸溶媒のキトサン溶液の中で、クエン酸(実施例4)のみにおいて、脱酸(透析法)によるキトサン微粒子の生成が観察された。
この試験例2の結果より、試験1で実証された本発明の酸(クエン酸)のその他の酸(乳酸)には見られない特異的な作用が、キトサンの種類(分子量)に依らず適用できることが分かった。
〔試験例3:実施例5、6及び比較例19〜22〕
上記試験例1と同様にして調製した酸量1.64倍モルの表2に示す酸(塩酸、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸)の1%キトサン溶液50mlと水450mlを、分画分子量10,000のUF膜(GE water technologies社製、商品名:PW、有効膜面積60平方cmの平膜構造)を取り付けたフロー式ろ過膜装置(日東電工マテックス社製、RUM−2・C10−T)を用い、操作圧力0.4MPaの室温条件でろ過膜処理して、液量250mlの濃縮液と液量250mlの透過液を得た。この濃縮液全量(250ml)に水250mlを加え、同様な条件でろ過膜処理を更に9回(計10回の定容加水ろ過、最終濃縮液量125ml)実施した。尚、このろ過膜処理(1〜10回)における各透過液中の酸濃度を測定(HPLC分析)したところ、7回目以降の各酸成分の検出がほぼ無くなり、7〜10回目には脱酸が飽和となることを確認した。
Figure 0005336723
このろ過膜処理(脱酸工程)について微粒子生成の有無をマイクロスコープ(ハイロックス社製)を用いた顕微鏡法により調査した結果(表2)、前記調製した各酸溶媒のキトサン溶液(6種類)の中で酒石酸とクエン酸(実施例5と6)のみにおいて、脱酸(ろ過膜法)によるキトサン微粒子の生成が観察された。
この試験例3の結果より、上記試験で実証された本発明の酸(酒石酸、クエン酸)のその他の酸(塩酸、酢酸、乳酸、コハク酸)には見られない特異的な作用が、ろ過膜処理による脱酸工程に於いても適用できることが分かった。
〔試験例4:実施例7〕
試験例1で使用したキトサンに対し、キトサンのアミノ基の0.8倍モルに相当する酸量を含む様に調製したクエン酸(キトサン溶解時の濃度4.6%)の水溶液を用い、キトサン濃度が5%になる様にキトサン溶液(全量200g)を調製した(40℃、300rpm)。
次に、前記で得られたキトサン溶液80mlに弱塩基性イオン交換樹脂(ダウケミカル社製、DOWEXマラソンWBA、遊離塩基形)10mlを加えて、室温で15分間撹拌(500rpm)しイオン交換を行った後、ろ過によりイオン交換樹脂を取り除いた。
このイオン交換樹脂処理した液について、マイクロスコープ(ハイロックス社製)を用いた顕微鏡法により調査したところ、キトサン微粒子が生成されていた。
この試験例4の結果より、上記試験で実証された本発明の酸(クエン酸)のその他の酸には見られない特異的な作用が、イオン交換法による脱酸工程に於いても適用できることが分かった。
(実施例8のキトサン微粒子の調製)
試験例2で使用したキトサンに対し、キトサンのアミノ基の1.64倍モルに相当する酸量を含む様に調製したクエン酸(キトサン溶解時の濃度1.9%)の水溶液を用い、キトサン濃度が1%になる様にキトサン溶液(全量200g)を調製した(40℃、300rpm)。
次に、前記で得られたキトサン溶液100mlと水400mlを用い、上記試験例3と同様な条件でろ過膜処理(計12回の定容加水ろ過、処理速度10ml/min、最終濃縮液量100ml)を行い、実施例8のキトサン微粒子(分散液)を調製した。
(実施例9のキトサン微粒子の調製)
試験例1で使用したキトサンに対し、キトサンのアミノ基の1.64倍モルに相当する酸量を含む様に調製したクエン酸(キトサン溶解時の濃度9.4%)の水溶液を用い、キトサン濃度が5%になる様にキトサン溶液(全量200g)を調製した(室温、300rpm)。
次に、前記で得られたキトサン溶液50mlと水450mlを用い、上記試験例3と同様な条件でろ過膜処理(計10回の定容加水ろ過、最終濃縮液量250ml)を行い、実施例9のキトサン微粒子(分散液)を調製した。尚、実施例9のろ過膜処理(脱酸工程)は、室温による処理速度10ml/minで実施した。
(実施例10のキトサン微粒子の調製)
上記実施例9のろ過膜処理に於けるキトサン溶液の使用量及び実施条件を、250ml(初発の水添加量250ml)及び40℃による処理速度3ml/minにした以外は、上記実施例9と同様にして、実施例10のキトサン微粒子(分散液)を調製した。
(実施例11のキトサン微粒子の調製)
上記実施例10のろ過膜処理に於けるキトサン溶液の使用量、最終濃縮液量及び実施条件を、100ml(初発の水添加量400ml)、100ml及び室温による処理速度10ml/minにした以外は、上記実施例10と同様にして、実施例11のキトサン微粒子(分散液)を調製した。
(実施例12のキトサン微粒子の調製)
上記実施例10の溶解に用いる酸量を、キトサンのアミノ基の0.8倍モルのクエン酸(キトサン溶解時の濃度4.6%、但し40℃溶解)にした以外は、上記実施例10と同様にして、実施例12のキトサン微粒子(分散液)を調製した。尚、実施例12のろ過膜処理(脱酸工程)は、キトサン微粒子の生成が早く、計6回の定容加水ろ過で調製が完了した。
(実施例13、14のキトサン微粒子の調製)
試験例1で使用したキトサンに対し、キトサンのアミノ基の0.8倍モルに相当する酸量を含む様に調製したリンゴ酸及び酒石酸(キトサン溶解時の濃度:3.2及び3.6%)の水溶液を用い、キトサン濃度が5%になる様にキトサン溶液(全量500g)を調製した(40℃、300rpm)。
次に、前記で得られたリンゴ酸及び酒石酸溶解のキトサン溶液各100mlと水400mlを用い、上記試験例3と同様な条件でろ過膜処理(計10回の定容加水ろ過、最終濃縮液量100ml)を各々行い、実施例13(リンゴ酸使用)及び実施例14(酒石酸使用)のキトサン微粒子(分散液)を調製した(室温による処理速度10ml/min)。
(実施例15のキトサン微粒子の調製)
上記実施例14のろ過膜処理に於ける実施条件(温度)を、15℃にした以外は、上記実施例14と同様にして、実施例15のキトサン微粒子(分散液)を調製した。尚、実施例15のろ過膜処理(脱酸工程)は、キトサン微粒子の生成が早く、計6回の定容加水ろ過で調製が完了した。
(実施例16のキトサン微粒子の調製)
試験例1で使用したキトサンに対し、キトサンのアミノ基の1.64倍モルに相当する酸量を含む様に調製したクエン酸(キトサン溶解時の濃度9.4%)の水溶液を用い、キトサン濃度が5%になる様にキトサン溶液(全量53kg)を調製した(室温、400rpm)。
次に、前記で得られたキトサン溶液10Lと水90Lを、分画分子量10,000のUF膜(GE water technologies社製、商品名:PW4040、有効膜面積8.36平方mのスパイラル膜構造)を取り付けたフロー式ろ過膜装置(ムロマチテクノス社製、4インチモジュールテスト機)を用い、操作圧力0.4MPaの条件でろ過膜処理して、液量50Lの濃縮液と液量50Lの透過液を得た。この濃縮液全量(50L)に水50Lを加え、同様な条件でろ過膜処理を更に9回(計10回の定容加水ろ過、最終濃縮液量50L)実施し、実施例15のキトサン微粒子(分散液)を調製した。尚、実施例15のろ過膜処理(脱酸工程)は、室温による処理速度100L/hrで実施した。
(実施例17のキトサン微粒子の調製)
上記実施例15のろ過膜処理に於けるキトサン溶液の使用量及び実施条件を、50L(初発の水添加量50L)及び50℃による操作圧力1MPaの処理速度50L/hr(計8回の定容加水ろ過)にした以外は、上記実施例15と同様にして、実施例16のキトサン微粒子(分散液)を調製した。
(比較例23のキトサン微粒子の調製)
上記実施例9と同様のキトサン溶液50mlに、最終濃度が15%になるようにクエン酸ナトリウムを室温で添加(撹拌300rpm)したところ、液が白濁した。この白濁液(全量)を上記実施例9と同様な条件でろ過膜処理を試みたが、処理速度が3ml/min未満と遅く、更に膜への積層現象が見られろ過膜処理の継続が不可能となった。そこで、改めて上記実施例9と同様のキトサン溶液20mlを使用して、前記と同様にクエン酸ナトリウム添加による白濁液を作成し、その白濁液(全量)を用い上記実施例9と同様にしてろ過膜処理(計10回の定容加水ろ過、最終濃縮液量250ml)を実施し、比較例23のキトサン微粒子(分散液)を調製した。
(実施例18〜27、比較例24のキトサン微粒子の調製)
上記実施例8〜17、比較例23のキトサン微粒子分散液をスプレードライ乾燥(東京理化器械社製、SD−1)して、各々実施例18〜27、比較例24のキトサン微粒子(パウダー状の乾燥体)を調製した。
〔試験例5「微粒子サイズの調査」:実施例9、10、16、17〕
光散乱法(シスメック社製粒子物性評価装置、ゼータサイザーナノZS)による粒度分析により、本発明の製造方法で得られるキトサン微粒子のサイズ(平均粒径)を調査し、表3に示した。
Figure 0005336723
上記表3より、本発明の製造方法により種々のサイズ(900nm〜5μm)のキトサン微粒子が得られたことが分かる。
この試験例5の結果より、本発明のキトサン微粒子の製造方法は、脱酸工程の条件(調製濃度、温度、処理速度等)を変えることで、ミクロンサイズからサブミクロンサイズのサイズ制御が可能であることが実証された。
〔試験例6「分散液濃度の調査」:実施例8〜17、比較例23〕
段落〔0038〕で述べた方法により、キトサン微粒子(分散液)のキトサン濃度を測定し、分散液濃度を評価した(表4)。
Figure 0005336723
上記表4より、本発明の製造方法で得られるキトサン微粒子分散液の濃度が、従来の製法(微粒子化した状態で精製する方法)と比べ、高濃度の微粒子分散液であることが分かる。即ち、比較例23の調製事例(段落〔0064〕)で明確の様に、微粒子状態で精製を実施する従来製法がその流動抵抗及び積層性の問題で希釈を余儀なくされるのに対し、本発明の製造方法は溶液状態(脱酸工程)で精製が進むため前記の問題が無く、液の希釈を行わずとも有利に精製操作が可能となる。
この試験例6の結果より、本発明のキトサン微粒子の製造方法は、従来の製造方法に比べ高濃度のキトサン微粒子分散液を提供できることが実証された。
〔試験例7「微粒子組成の調査」:実施例18〜27、比較例24〕
段落〔0038〕で述べた方法により、キトサン微粒子(乾燥体)の酸(リンゴ酸、酒石酸、クエン酸)含量、キトサン含量、及び灰分量を測定した。尚、同キトサン微粒子(乾燥体)について、常法(105℃恒量化)により水分量を測定し、乾物換算の前記酸含量、キトサン含量、及び灰分量を表5(実施例18〜27)に示した。また、比較例24の微粒子については、灰分量(乾物換算)のみを表5に示した。
Figure 0005336723
本発明のキトサン微粒子(乾燥体、実施例18〜27)は、水分約6%(5.8〜7.2%)であったが、それを基に乾物換算で示した微粒子組成、上記表5より、本発明の製造方法で得られるキトサン微粒子が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の総量とキトサン量の構成が重量割合で各々10〜45%と55〜90%であり、且つ、灰分量が乾物重量で全体の0.1%未満(0%を含む)であることが分かる。また、比較例24の従来の製法で調製したキトサン微粒子(実施例9と同等以上の精製操作を実施)に含まれる灰分量は、2.5%(乾物換算)と本発明の微粒子と比べ明らかに高いことが分かる。
この試験例7の結果より、本発明のキトサン微粒子の製造方法は、従来の製造方法では達成できなかった灰分を殆ど若しくは全く含まない(乾燥重量で0〜0.1%未満)、高純度のキトサン微粒子を提供できることが実証された。
また、本発明の水不溶性の微粒子が、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の総量とキトサン量の構成が重量割合で各々10〜45%と55〜90%で、特定できることが実証された。
本発明の製造方法は、微粒子構成成分以外の薬剤及び界面活性剤をプロセスに一切使用せず、溶解と脱酸の簡単な工程により均一な微粒子調製が可能であるため、産業的に有用なミクロンサイズからサブミクロンサイズで汎用性に富む高純度で水分散性の良いキトサン微粒子が安価で安定に提供可能となる。また、従来の製造方法に比べ高濃度のキトサン微粒子分散液を提供できるようになる。

Claims (8)

  1. クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の群から選ばれる少なくとも1種の酸の水溶液によりキトサンを溶かす工程(溶解工程)と、該溶解工程より得られたキトサン溶液の酸溶媒を除去する工程(脱酸工程)から成る水不溶性キトサン微粒子(水分散系)の製造方法であって、用いるキトサンが重量平均分子量1万以上〜80万以下、脱アセチル化度80%以上であり、上記脱酸工程が流動状態で実施されることを特徴とするキトサン微粒子の製造方法。
  2. 溶解工程におけるクエン酸、酒石酸、リンゴ酸の使用総量が、キトサンのアミノ基量1モルに対し0.2〜2モルであることを特徴とする請求項1に記載のキトサン微粒子の製造方法。
  3. 脱酸工程が透析法、ろ過膜処理法、イオン交換膜処理法、イオン交換樹脂処理法の何れかの酸溶媒を除去する方法から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のキトサン微粒子の製造方法。
  4. 溶解工程に於いて酸水溶液のキトサンに対する溶媒能力を高める措置を行い、且つ、脱酸工程が該溶媒能力を低下させる措置を実施することを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のキトサン微粒子の製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れか一つに記載の製造方法に次いで、キトサン微粒子を乾燥することを特徴とするキトサン微粒子の製造方法。
  6. クエン酸、酒石酸、リンゴ酸の群から選ばれる少なくとも1種とキトサンが水不溶性の微粒子を形成し、そのクエン酸、酒石酸、リンゴ酸の総量とキトサン量の構成が重量割合で各々10〜45%と55〜90%であることを特徴とするキトサン微粒子の製造方法
  7. 水溶性高分子と複合して微粒子を成すことを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載のキトサン微粒子の製造方法
  8. 請求項1〜の何れか一つに記載のキトサン微粒子の製造方法により得られることを特徴とするキトサン微粒子。
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