JP5336173B2 - 硬質表面用洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
〔1〕 次の成分(A)〜(E):(A)グリセリルエーテルを0.25〜15.0重量%、(B)HLBが12.0〜18.0である、非イオン界面活性剤を1.0〜60.0重量%、(C)炭化水素を1.0〜10.0重量%、(D)グリコールエーテルを1.0〜20.0重量%、及び(E)水を含有してなり、かつ
当該成分(B)の非イオン界面活性剤が下記の一般式(1)
R−X−(EO)m(PO)n−H (1)
〔式中、Rは炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、又は炭素数6〜20の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基で置換されているフェニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基であり、mはEOの平均付加モル数を示しm≧1であり、nはPOの平均付加モル数を示しn≧0であり、かつm>nであって、EOとPOはこの順に、あるいはランダムに配列している。XはO又はCOOである。〕で示され、
かつ、当該成分(B)と当該成分(A)との重量比(成分(B)/成分(A))が4/1〜8/1である、硬質表面用洗浄剤組成物;並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の硬質表面用洗浄剤組成物を用いた硬質表面の洗浄方法;に関するものである。
本発明の洗浄対象となる硬質表面とは、被洗浄物である精密部品、冶工具類、金属、ガラス、陶磁器、プラスチック等の硬質部材の表面をいう。
本発明の洗浄剤組成物の主な除去対象は、前記硬質表面上に付着する液晶、油成分、フラックス(はんだ付けの際に生じる残渣)等の各種の汚れである。本発明の洗浄剤組成物は、特に、油性汚れ、シリコンオイル、具体的には、液晶パネルのギャップに存在する液晶汚れ、半導体パッケージ又はプリント配線基板に残存したフラックス、シリコンインゴット切削後に表面に付着した加工油、粗洗浄で使用される灯油、金属部品の塑性加工時に表面に付着した加工油に対して高い洗浄性を発揮する。さらに、これらの除去対象に加え、金属粉、無機物粉、水分等が混入した汚れに対しても高い洗浄性を発揮する。
本発明に用いられる成分(A)のグリセリルエーテルとしては、高い洗浄性と使用温度範囲での洗浄剤組成物の均一性の観点から、炭素数4〜12の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基又はアルケニル基を有するものが挙げられ、例えばn−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数4〜12のアルキル基を有するものが好ましく、中でも炭素数5〜10のアルキル基、さらには炭素数5〜8のアルキル基を分子中に1個又は2個有するものが好ましく、当該アルキル基を1個有するものがより好ましい。さらに本発明に用いるグリセリルエーテルとしては、グリセリル基が2個以上、好ましくは2〜3個のグリセリル基がエーテル結合で繋がった、モノアルキルジグリセリルエーテル又はモノアルキルポリグリセリルエーテルでもよく、高い洗浄性を得る観点から、モノアルキルグリセリルエーテル、モノアルキルジグリセリルエーテルが好ましい。中でも、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル及びヘキシルグリセリルエーテルがより好ましい。これらのグリセリルエーテルを、成分(A)として単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。本発明においては、かかるグリセリルエーテルを用いることで、炭化水素と非イオン界面活性剤と水との組み合わせにおいて、洗浄剤組成物中の各成分の分散を安定化させることができるため、汚れのひどい油性及び液晶の汚れに対して優れた洗浄性が得られるという利点がある。
本発明に用いられる成分(B)の非イオン界面活性剤のHLBは12.0〜18.0であり、洗浄性、繰り返し洗浄性、すすぎ性及び耐泡立ち性の観点から、12.0〜16.0が好ましく、12.0〜14.0がより好ましい。本明細書において、別に規定のない限り、非イオン界面活性剤のHLBはグリフィン法により算出される値である。
R−X−(EO)m(PO)n−H (1)
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性、特に油溶性の汚れを溶解する観点から、炭化水素を含有する。本発明に用いられる成分(C)の炭化水素としては、オレフィン系炭化水素及び/又はパラフィン系炭化水素が好ましい。オレフィン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素としては、炭素数8〜18の化合物が好ましく、炭素数9〜18の化合物がより好ましく、炭素数9〜14の化合物がさらに好ましく、炭素数10〜14の化合物がより好ましい。例えば、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、デセン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン等の直鎖又は分岐鎖を有する飽和又は不飽和の炭化水素;シクロデカン、シクロドデセン等のシクロ化合物等の脂環式炭化水素等が挙げられる。これらのうち、洗浄性及び安全性の観点から、炭素数10〜18の直鎖又は分岐鎖を有する飽和又は不飽和の炭化水素が好ましく、炭素数10〜14の直鎖又は分岐鎖を有する飽和又は不飽和の炭化水素がより好ましく、炭素数10〜14の直鎖又は分岐鎖を有する不飽和の炭化水素がよりさらに好ましく、炭素数12のαオレフィン炭化水素がさらに好ましい。これらの炭化水素を、成分(C)として単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の洗浄剤組成物は、組成物の粘度を下げ、洗浄剤組成物の均一性を得る観点から、グリコールエーテルを含有する。本発明に用いられる成分(D)のグリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノアルキル(炭素数1〜6)エーテル;ジエチレングリコールモノアルキル(炭素数1〜6)エーテル;トリエチレングリコールモノアルキル(炭素数1〜6)エーテル;ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、フェニルグリコール、プロピレングリコール又はジプロピレングリコールのモノアルキル(炭素数1〜6)エーテル;ジアルキルグリコール(炭素数2〜12)のモノアルキル(炭素数1〜6)エーテル等が挙げられ、中でも、洗浄剤組成物の均一性を得る観点から、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル及びジエチレングリコールジブチルエーテルが好ましい。
また、本発明における、グリセリルエーテル、非イオン界面活性剤、炭化水素及びグリコールエーテルの好ましい組み合わせとしては、非イオン界面活性剤がそのHLBが12.0〜18.0であってかつ一般式(1)のRのアルキル基の炭素数が8〜10の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基であるものであり、グリセリルエーテルが2−エチルヘキシルグリセリルエーテル及び/又はヘキシルグリセリルエーテルであり、炭化水素が炭素数12のαオレフィンであり、グリコールエーテルがジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルより選択される少なくとも1種である組み合わせが挙げられる。
本発明に用いられる成分(E)の水としては、特に限定はなく、イオン交換水、純水等が挙げられ、精密部品洗浄用途には純水が好ましく、冶工具類、金属、ガラス、陶磁器又はプラスチック洗浄用途にはイオン交換水が好ましく、純水がより好ましい。本発明において、25℃での電気伝導率はイオン交換水で2μS/cm以下であり、純水で1μS/cm以下を示すものである。水の含有量は、本発明の組成物の使用態様にあわせて適宜設定すればよい。
本発明の洗浄剤組成物は、前記の構成を有するものである。硬質表面用洗浄剤組成物のpHとしては、特に制限されるものではないが、例えば25℃において、4〜10の範囲が好ましく6〜9の範囲がより好ましく、6〜8の範囲がさらに好ましい。金属の腐食防止の観点から、当該pHは4以上であることが好ましく、例えばアルミニウムのような両性金属の腐食防止の観点から、当該pHは10以下であることが好ましい。
pHは、例えば、弱酸性塩類、弱塩基性塩類、より具体的には、炭酸塩、硝酸塩、有機アミン等により調整することができる。
以上の構成を有する本発明の洗浄剤組成物は、前記成分及びその他の成分等を常法により混合することにより製造することができる。例えば、前記非イオン界面活性剤、前記グリセリルエーテル、前記炭化水素、前記グリコールエーテル及び前記水を攪拌しながら混合し、さらに必要に応じてその他の成分を混合して製造することができる。
本発明の洗浄剤組成物は、精密部品、冶工具類、金属、ガラス、陶磁器、プラスチック等の硬質部材の表面の洗浄に適用することができる。また、本発明の洗浄剤組成物は、低温での金属、ガラス、陶磁器、プラスチック等の硬質部材の表面の洗浄にも好適に適用することができる。特に、本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性、すすぎ性及び耐泡立ち性に優れるため、液晶等に用いられるガラス表面の洗浄に好適に用いることができる。また、製鉄所等における鋼板の連続洗浄、すなわち浸漬洗浄、スプレー洗浄、ブラシ洗浄、電解洗浄等、製鉄所等における銅板の連続洗浄、すなわち、浸漬洗浄、シャワー洗浄、浸漬超音波洗浄等においてその効果を発揮することができる。また、本発明の洗浄剤組成物は、すすぎ液の排水負荷を低減する油水分離法による洗浄にも適用することができる。以上のような洗浄に本発明の洗浄剤組成物を適用することにより、洗浄時間の短縮、省エネルギー等の効果が奏される。したがって、本発明はまた、前記硬質表面用洗浄剤組成物を用いる硬質表面の洗浄方法に関する。
例えば液晶パネル等の工業用の洗浄工程は、一般に、第一工程(洗浄)、第二工程(あらすすぎ)、及び第三工程(仕上げすすぎ)の順で行われる。かかる洗浄工程においては、第一工程の洗浄槽では洗浄剤組成物を循環させて洗浄剤組成物を繰り返し使用することがある。このため、各工程の槽には循環タンクが併設され、洗浄剤組成物には、同じ液を複数回長期にわたり、例えば1〜6ヶ月間繰り返し使用してもその洗浄性が確保できるという、高い繰り返し洗浄性が求められる。本発明の洗浄剤組成物は、かかる繰り返し洗浄性が高いという優れた性質を有する。
前記の洗浄工程で、例えば、第二工程(あらすすぎ)の循環用タンク内の液温を循環用タンク内の液の曇点以上に上げると、汚れと油性物がすすぎ液から分離(浮上)する。次いで上層の汚れと油成分とを排出し、下層に残った液を第二工程(あらすすぎ)のあらすすぎ槽に還流させてすすぎ液として使用することができる。この方法を油水分離法といい、特許2539284号公報記載の方法が好適に利用できる。かかる方法を利用することにより、排水負荷を低減することができる。本発明の洗浄剤組成物を、かかる油水分離法に適用することができる。
本発明の硬質表面の洗浄方法は、前記硬質表面用洗浄剤組成物を用いて硬質表面を洗浄する工程(以下、単に洗浄工程という場合がある)を含む。さらに硬質表面に残存している、洗浄剤組成物の成分に可溶化した汚れ及び/又は洗浄剤組成物の成分を洗い流すためのすすぎ工程、並びに洗浄対象物を乾燥させるための乾燥工程を含むことが好ましい。本発明の洗浄剤組成物は硬質表面の液晶汚れに対して好ましく適用することができるので、本発明の硬質表面の洗浄方法も硬質表面の液晶汚れに対して好ましく適用することができる。
<洗浄剤組成物の調製>
表1に示す成分を用いて洗浄剤組成物を調製した。表2及び表3(実施例1〜4、6〜14、比較例1〜13)に示される含有量となるように、各成分を秤量し、下記条件で混合して洗浄剤組成物を調製した。また、実施例等における各組成物のpHは、25℃における値である。
・液温度:25℃
・攪拌機:マグネチックスターラー(50mm回転子)
・回転数:200rpm
・攪拌時間:10分
・A-1:(花王社製:ペネトールGE−EH;2−エチルヘキシルグリセリルエーテル)
・B-1:(青木油脂社製:ブラウノンEH−6;EO平均付加モル数=6;HLB=13.4)
・B-2:(青木油脂社製:ファインサーフD−1307;EO平均付加モル数=7;HLB=13.2)
・B-3:(日本触媒社製:ソフタノール90;EO平均付加モル数=9;HLB=13.3)
・B-4:(花王社製:EO平均付加モル数=10;PO平均付加モル数=2;HLB=13.9)
・B-5:(花王社製:エマノーン1112;EO平均付加モル数=12;HLB=13.7)
・B-7:(花王社製:エマルゲン840S;EO平均付加モル数=40;HLB=17.9)
・B-8:(花王社製:エマルゲン985;EO平均付加モル数=75;HLB=18.9)
・C-1:1−ドデセン(出光興産社製;リニアレン12)
・D-1:(日本乳化剤社製;ジエチレングリコールモノブチルエーテル;EO付加モル数=2)
・D-2:(日本乳化剤社製;ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル;EO付加モル数=2)
・D-3:(日本乳化剤社製;トリエチレングリコールモノブチルエーテル;EO付加モル数=3)
・AG:(花王社製:アルキルグルコシド(R1-Gy);R1=平均炭素数11.3の直鎖アルキル基、G=グルコース基、y=1.43)
・AES:(花王社製:エマール20;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)
1.試験基板の作製
液晶セル(3.5インチTFTパネル、ギャップ間距離5μm)のギャップ内にTFT(薄膜トランジスター)液晶を0.4mg封入し、40℃で60分間静置したものを試験基板とした。
前記のようにして調製された洗浄剤組成物1Lを40℃に加温し、その中に前記試験基板を1枚入れ、3分間超音波洗浄(38kHz、600W)した。その後、4槽の各純水槽(40℃)にて4分間すすぎを行った後、90℃の熱風乾燥機で30分間乾燥を行い、観察サンプルとした。
観察サンプルについて、次の2項目を観察した。即ち、ギャップ内に残留しているTFT液晶、及びすすぎ時に十分に排出されなかったTFT液晶と洗浄剤組成物との混合物を、偏光顕微鏡(倍率25倍)で観察した写真を画像解析することで、液晶セル表面の洗浄性を評価した。具体的には、顕微鏡観察で得られた写真を、2値化(デジタル化)し、「画像解析ソフトWinROOF(三谷商事社製)」を用いて画像解析行い、全画像面積から、残留TFT液晶及びすすぎ時に十分に排出されなかったTFT液晶と洗浄剤組成物との混合物が残留している全面積を引いた面積(洗浄された面積)を全画像面積で除した値(洗浄率)を算出し、以下の評価基準に従って洗浄性を評価した。数値が高いほど洗浄性に優れることを示す。
A:90%以上
B:80〜90%未満
C:40〜80%未満
D:40%未満
洗浄剤組成物の繰り返し洗浄性を評価するために、液晶飽和溶解濃度を調べた。調製された洗浄剤組成物20gを40℃に加温し、その中にTFT液晶を0.02g添加し、3分間40℃で保持した。その後、洗浄剤組成物を目視にて確認し、透明であればTFT液晶が溶解したものと判断して、洗浄剤組成物が白濁するまで同じ操作を繰り返した。洗浄剤組成物が初めて白濁した液晶量から0.01gを差し引いた量から飽和溶解濃度を算出し、液晶飽和溶解濃度と定義した。
A:2%以上
B:1%以上〜2%未満
C:0.5%以上〜1%未満
D:0.5%未満
〈1〉 各洗浄剤組成物の10重量%水溶液(500g)を60℃に加温し、その中に前記試験基板を5枚、10分間浸漬した。
〈2〉 その後、20秒かけてパネルをゆっくり引上げ、40℃の純水500gを入れた第一すすぎ槽に2分間浸漬した。
〈3〉 第一すすぎ槽から〈2〉と同様にパネルを引上げ、40℃の純水500gを入れた第二すすぎ槽に2分間浸漬した。
〈4〉 第二すすぎ槽から〈2〉と同様にパネルを引上げ、40℃の純水500gを入れた抽出槽(超音波槽)に浸漬した。次いで、超音波(38KHz、400W)で10分間パネルを処理し、パネル表面に残存した洗浄剤組成物の成分に可溶化した液晶及び/又は洗浄剤組成物の成分を抽出した。
〈5〉 次に各すすぎ槽(第一及び第二)中のすすぎ水、並びに抽出槽中の抽出水の有機物濃度をTOC(全有機炭素計)により測定し、下式に従って、第一すすぎ槽における油分除去率を算出した。
(第一すすぎ槽中のすすぎ水の有機物重量)/(第一すすぎ槽中のすすぎ水の有機物重量+第二すすぎ槽中のすすぎ水の有機物重量+抽出槽中の抽出水の有機物重量)×100
〈6〉 〈5〉で算出した油分除去率を元に、以下の評価基準に従ってすすぎ性を評価した。その結果を表2及び表3に示す。油分除去率の数値が高いほどすすぎ性に優れることを示す。
A:90%以上
B:70%以上〜90%未満
C:50%以上〜70%未満
D:50%未満
・(原液)100mLのガラス容器に、調製された洗浄剤組成物を30mL充填し、液温を40℃に保持した。その後、ガラス容器を手振りで20回(30cm幅、1往復/秒)振とうさせて静置し、静置直後の洗浄剤組成物と泡体積とを合わせた体積を初期泡体積とした。次いで、そのガラス容器を40℃で3分間静置した後の洗浄剤組成物と泡体積とを合わせた体積を3分静置後の泡体積とした。泡体積の値が小さいほど耐泡立ち性に優れることを示す。また、3分静置後の泡体積の値が小さいほど、破泡性に優れることを示す。ここで破泡性とは、形成された泡が消失する程度をいい、耐泡立ち性の指標の一つである。
・(希釈液)500mLのメスシリンダーに、有機物濃度を200ppmに調整した洗浄剤組成物の希釈液を50mL投入し、液温を40℃に保持した。その状態で泡体積が一定になるまで希釈液中に空気を吹き込んだ。その時点での洗浄剤組成物の希釈液と泡体積とを合わせた体積を飽和泡体積とした。また、その後、空気吹き込みを停止し、40℃で3分間保持した後の洗浄剤希釈液と泡体積とを合わせた体積を3分静置後の泡体積とした。希釈液の有機物濃度はTOC(全有機炭素計)で測定して調整した。空気吹き込み量は1000mL/minとし、空気吹き込み管は、ガラスポールフィルター 503G(木下理化工業社製)を使用した。泡体積の値が小さいほど耐泡立ち性に優れることを示す。また、3分静置後の泡体積の値が小さいほど、破泡性に優れることを示す。
それぞれの耐泡立ち性は、以下の指標で判定した。
原液(初期泡体積と3分静置後の泡体積)
A:40mL未満
B:40以上〜50mL未満
C:50以上〜60mL未満
D:60mL以上
A:150mL未満
B:150以上〜250mL未満
C:250以上〜350mL未満
D:350mL以上
油水分離性試験
実施例9及び10で調製された各洗浄剤組成物について、水以外の成分の合計が5重量%となるようにイオン交換水で希釈した。この希釈液を、直径40mm、高さ120mm、容量100mLのガラス瓶に入れ、60℃の雰囲気下にて1時間保温静置した。その後、各希釈液を観察した(状態1)。当該希釈液が上下2層に分層している場合は、さらに、10秒間ガラス瓶を上下に激しく振動振した。その後、再び分層するまでの時間を測定した(状態2)。当該希釈液を振動させてさらに状態2を観察した。当該観察結果を表4に示す評価基準に従って評価した。上下2層に分離する時間が短いほど油水分離性に優れることを示す。
・洗浄性、繰り返し洗浄性及びすすぎ性
比較例9の洗浄剤組成物のアルキルグルコシド及び比較例10の洗浄剤組成物の陰イオン界面活性剤に代えて、B−1、B−2、B−4、B−5及びB−7で示される非イオン界面活性剤を用いた場合、得られた洗浄剤組成物の洗浄性、繰り返し洗浄性及びすすぎ性とも優れていることが分かった(実施例1〜4、6〜14)。一方、成分(B)が本発明の範囲内であっても成分(A)が本発明の範囲外の洗浄剤組成物(比較例1及び比較例8)では、すすぎ性に劣ることが分かった。さらに、成分(B)と成分(A)との重量比が本発明の範囲外の洗浄剤組成物(比較例2、比較例4、比較例5及び比較例7)も、すすぎ性に劣り、洗浄剤組成物として使えないことが分かった。さらに、成分(B)のHLBが本発明の範囲外の洗浄剤組成物(比較例3)及び成分(C)の含有量が本発明の範囲外の洗浄剤組成物(比較例6)においても、すすぎ性に劣り、洗浄剤組成物として使えないことが分かった。さらに、成分(B)の量が本発明の範囲外の洗浄剤組成物(比較例11及び比較例12)においても、洗浄性、すすぎ性が大きく低下することが分かった。さらに比較例13の結果から、非イオン界面活性剤のHLBの値が本発明の範囲を超えると、非イオン界面活性剤が固体となるため、洗浄剤組成物を均一にすることができなかった。
アルキルグルコシド及び陰イオン界面活性剤を用いて得られた洗浄剤組成物(比較例9及び比較例10)は、原液及び希釈液共に耐泡立ち性に劣るものであった。一方、実施例における洗浄剤組成物は、いずれも耐泡立ち性に優れたものであった。
このように、洗浄剤組成物を本発明の範囲とすることにより、洗浄性、すすぎ性及び耐泡立ち性の全ての物性を満足させることができた。
本発明品(実施例9及び実施例10)を用いて油水分離性の試験を行ったところ、本発明品は油水分離性に優れた洗浄剤組成物であることが分かった。従って、本発明の洗浄剤組成物を上記の油水分離法に好適に適用できることが分かった。
Claims (3)
- 次の成分(A)〜(E):
(A)グリセリルエーテルを0.25〜15.0重量%、
(B)HLBが12.0〜18.0である、非イオン界面活性剤を1.0〜60.0重量%、
(C)炭化水素を1.0〜10.0重量%、
(D)グリコールエーテルを1.0〜20.0重量%、及び
(E)水
を含有してなり、かつ
該成分(B)の非イオン界面活性剤が下記の一般式(1)
R−X−(EO)m(PO)n−H (1)
〔式中、Rは炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基、又は炭素数6〜20の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基で置換されているフェニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基であり、mはEOの平均付加モル数を示しm≧1であり、nはPOの平均付加モル数を示しn≧0であり、かつm>nであって、EOとPOはこの順に、あるいはランダムに配列している。XはO又はCOOである。〕で示され、
かつ、該成分(B)と該成分(A)との重量比(成分(B)/成分(A))が4/1〜8/1である、硬質表面用洗浄剤組成物。 - 成分(E)の水の含有量が5〜90重量%である、請求項1記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
- 請求項1又は2記載の硬質表面用洗浄剤組成物を用いた硬質表面の洗浄方法。
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