JP5332533B2 - ゴムクローラ用ゴム組成物及びゴムクローラ - Google Patents

ゴムクローラ用ゴム組成物及びゴムクローラ Download PDF

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Description

本発明は、主として農業機械や土木建設機械等の足回りに装着されるゴムクローラに使用されるゴム組成物及び該ゴム組成物を用いて製造されたゴムクローラに関する。
ゴムクローラは、通常、無端帯状のゴム弾性体に芯金とスチールコードを埋設して補強したゴムクローラ本体の外周表面(トレッド面)にラグと呼ばれる多数の凸部を形成した構成とされたものであり、湿田や畑、泥濘地等の通常のタイヤでは走行が困難な軟弱な地面での走行が要求されるコンバイン、トラクター、ミニショベル等の様々な農業機械や土木建設機械の足回りに装着されている。
しかしながら、上記の芯金を埋設したゴムクローラを装着した上記機械では、駆動輪(スプロケット)を該芯金に引っ掛けて上記ゴムクローラを駆動させることから、金属同士が接触し振動や騒音が発生し易く、特に高速走行時には、振動や騒音が大きくなるという問題がある。このため最近では、芯金を埋設しない(芯金レス)クローラを採用する機械が増えている。
上記芯金レスクローラでは、上記芯金に替えて、上記スプロケットと噛み合う突起(突起ゴム)が該クローラの内周面全周に亘って連続的に形成されている。この突起は、上記機械の走行装置の転輪と噛み合い、その駆動力を効率よく伝達するとともに、脱輪を防止するためのものである。そのため、この芯金レスクローラを採用した場合、該ゴムクローラにスプロケットと接触する金属部が存在しないため、走行中の振動と騒音が低減され、優れた乗り心地を実現するほか、長時間作業での作業者の疲労を軽減することもできる。更には、金属部同士の接触がないため、機械の足回りの耐久性向上にも効果的である。
また、上記芯金レスゴムクローラは、上記突起形成の主目的により、ポジティブ駆動タイプとフリクション駆動タイプとに分類される。前者はスプロケット(駆動輪)と噛み合い、機体からの駆動力をこの噛み合いによってゴムクローラに伝達することを主たる目的としたものであり、後者は脱輪防止を主たる目的として配したもので、駆動力はクローラの内周面と駆動輪との摩擦力によって伝達される。
いずれにしても上記の突起は、その役割から非常に高い耐久性が要求される。これまでに突起の耐久性を向上させるために様々な試みがなされており、出願人は特開平10−53171号公報(特許文献1)で、ゴムクローラの内周面に突出する突起における他部材(スプロケット、アイドラーあるいは転輪等)との接触面に、低摩擦性能を有する高硬度の樹脂部材を露出させることにより該突起を補強する技術を提案している。また、特開2002−211455号公報(特許文献2)には、駆動用突起の突起形状に沿って板金製の補強材を設けることよって該突起を補強する技術が開示されている。
また、上記ゴムクローラにおける駆動力伝達性能及び脱輪防止性能をより確実なものとするために、上述した突起の補強の他に、該突起を形成するゴムの硬度向上及び摩擦係数低減が求められている。この要求に応えるため、従来はゴムの硬度を高めるためにカーボンや硫黄の配合量を増加してゴムの硬度を高めることが行われてきたが、この方法は、著しい作業性の低下を招いたり、硬度が高まっても大変形への追随性が損なわれてしまう場合があり、結果として耐久性向上の効果が薄くなることが多かった。
これに対し、出願人は特開平9−164980号公報(特許文献3)に、原料ゴムに所定量の脂肪酸アミドや超高分子量ポリエチレンを配合することにより突起ゴムの摩擦係数を低減して、ゴムクローラの耐摩耗性能や脱輪防止性能の向上を可能にしたゴムクローラ用突起ゴム組成物を提案している。
しかしながら、走行中にゴムクローラに対して大きな衝撃や斜行させる力が加わった時には、突発的な噛み合い異常等を生じ、大きな変形を生じることがあり、このような時には、上記従来の補強や、ゴムの配合による改善等を施した突起では、ゴムのモジュラス(引張応力)が高く、伸びが低いことから、突起が破損しやすい上、大変形を生じた後の耐久性にも悪影響を及ぼすことが懸念される。
このように上記突起の耐久性を向上させるには、突起を形成するゴムの配合を見直すことにより、ゴムの硬度と大変形追随性を両立させることが重要であり、ゴムの配合の工夫により高硬度化と大変形追随性向上という二律背反的課題を解決することが望まれる。
特開平10−53171号公報 特開2002−211455号公報 特開平9−164980号公報
従って、本発明は硬さと大変形追随性を兼ね備え、耐久性に優れるゴムクローラ用ゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いて内周面に突起を形成したゴムクローラを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ゴムクローラ用ゴム組成物のゴム成分中にそのゴム成分の一部として1,2−ポリブタジエンを添加配合することにより、高硬度でかつ良好な大変形追随性を達成することが可能であると共に、高高度化に伴った摩擦係数の低減化を実現することができ、このゴム組成物を用いることにより、ゴムクローラ内周面に形成される突起の耐久性向上が図られることを見出した。
そこで、本発明者らは更に検討を進めた結果、上記1,2−ポリブタジエンの含有量を組成物に含まれる全ゴム成分中の5〜40質量%とすることにより、低歪領域の引張り応力(モジュラス)が大幅にアップする共に、高歪領域でのモジュラスが低減化又は維持され、良好な大変形追随性を有するゴムが得られ、これにより充填剤の増量や高架橋密度化などを行うことなく、良好な大変形追随性を達成しつつJIS−A硬度で75〜100の良好な硬度を達成することが可能であり、しかも熱可塑性ポリマーの上記1,2−ポリブタジエンの配合によってゴム組成物の加工性も向上することが見出された。そして、この1,2−ポリブタジエンを配合したゴムクローラ用ゴム組成物を用いてゴムクローラ内周面に突起を形成することにより、良好な硬度と大変形追随性を両立し、かつ良好な摩擦係数の突起を作業性よく形成することができ、走行中にゴムクローラに大きな衝撃や斜行させる力が加わって、脱輪や大変形が生じた際にも、破損しにくく耐久性に優れるゴムクローラを得ることができることを見出し、本発明を完成したものである。
従って、本発明は、ゴムクローラ内周面に突設される突起を形成するゴムクローラ用ゴム組成物であって、ゴム成分中に1,2−ポリブタジエンを5〜40質量%含有し、かつ加硫後のJIS−A硬度が75〜100であることを特徴とするゴムクローラ用ゴム組成物、及び、ゴムクローラ内周面に突設される突起が前記ゴム組成物を用いて形成されたものであるゴムクローラを提供するものである。
本発明のゴムクローラ用ゴム組成物は、加硫後に高い硬度と大変形追随性を両立したゴムとすることができるため、ゴムクローラ内周面の突起を上記ゴム組成物を用いて形成することにより、走行中の振動や騒音が少なく、大きな衝撃や斜行させる力が加わって、突発的な噛み合い異常や大変形を生じた際にも、破損しにくく耐久性に優れるゴムクローラを提供することができる。また、上記ゴム組成物に、低摩擦剤として脂肪酸アミド及び/又は超高分子量ポリエチレンを所定量配合することにより、加硫ゴムの摩擦係数を低減することができ、耐久性を更に向上させることもできる。
以下、本発明につき更に詳述する。
本発明のゴムクローラ用ゴム組成物は、上記の通り、ゴム成分中にそのゴム成分の一部として1,2−ポリブタジエンを添加配合してなるものである。
ゴム成分としては、天然ゴムや合成ゴムのこの分野において公知のものを用いることができる。その具体例としては、天然ゴムや、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、イソブチレン・イソプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、エポキシ化天然ゴム、アクリレートブタジエンゴム等の合成ゴム及びこれら天然ゴムまたは合成ゴムの分子鎖末端が変性されたもの等を挙げることができ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択すればよい。本発明においては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム及びイソプレンゴムを好適に用いることができる。
本発明のゴム組成物では、上記ゴム成分にそのゴム成分の一部として1,2−ポリブタジエンを添加配合する。その際、該1,2−ポリブタジエンとしては、公知のものを用いることができるが、高剛性(高硬度)の観点から、結晶化度の高いシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを好適に用いることができ、具体的には市販品としてJSR(株)製 JSR RBを用いることができる。上記1,2−ポリブタジエンのゴム成分中の配合割合は、5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%の範囲とすることが好ましい。ゴム成分中の1,2−ポリブタジエンの割合が高すぎると破断伸び及び破断強力の低下を招くおそれがあり、低すぎると高硬度及び大変形時の追随性が得られないおそれがある。
本発明では、上記ゴム成分に対して、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、ゴム工業で通常使用されている加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、可塑剤、カーボン、ワックス類、低摩擦剤、滑剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填剤、発泡剤、粘着付与剤、石油系樹脂、紫外線吸収剤、分散剤等の添加剤を適宜配合することができる。
低摩擦剤としては、公知の低摩擦剤を用いることができ、特に制限されるものではないが、例えば、脂肪酸アミドや超高分子量ポリエチレンを用いることができる。
上記脂肪酸アミドは、脂肪族カルボン酸のアミドを用いることができ、特に炭素数が12〜22の脂肪族モノカルボン酸のアミドを好適に用いることできる。その具体例としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ラウリン酸アミド等を挙げることができ、これらの中から1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いればよい。本発明においては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドを好適に用いることができる。これらの脂肪酸アミドの配合により、ゴム組成物の硬化物表面の摩擦係数を低下させることができる。上記脂肪酸アミドの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して、1〜15質量部、好ましくは2〜10質量部である。15質量部を超えると、他の部材との接着性が低下するおそれがあり、1質量部未満になると、摩擦係数低減の効果が発揮されないおそれがある。
また、超高分子量ポリエチレンは、100万以上の平均分子量を有するポリエチレンを用いることができ、本発明においては、120万〜300万、好ましくは150万〜250万の範囲の平均分子量を有するものを好適に用いることができる。なお、ここでいう平均分子量とは、粘度平均分子量を意味する。また、本発明では特に制限されるものではないが、上記超高分子量ポリエチレンは、平均粒径が通常100μm以下、好ましくは50μm以下、特に好ましくは30μm以下、下限としては25μm以上であるものを使用することが好ましい。上記超高分子量ポリエチレンの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して、2〜40質量部、好ましくは5〜30質量部である。40質量部を超えると、破断伸び、強度の低下及び作業性の低下を招くおそれがあり、2質量部未満になると、摩擦係数低減及び高硬度化の効果が得られないおそれがある。なお、上記脂肪酸アミド及び超高分子量ポリエチレンは、本発明のゴム組成物に単独で配合してもよく、必要に応じて両者を組み合わせて使用してもよい。
カーボンブラックとしては、ゴム工業で通常使用されているものを使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラックを挙げることができる。本発明においては、耐摩耗性等の観点から高級カーボンの使用が望ましく、FEF、HAF、ISAF、SAFを好適に用いることができる。なお、上記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積が
10〜150m2/g、DBP吸収量(A法)が50〜200ml/100gであることが好ましい。また、これらのカーボンブラックは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記カーボンブラックの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して10〜80質量部である。
加硫剤としては、この分野において通常用いられるものであれば、特に限定されるものではないが、本発明においては硫黄を好適に用いることができる。その配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して0.5〜4質量部である。
加硫促進剤としては、この分野において通常用いられるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、CBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBSI(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンイミド)等のスルフェンアミド系の加硫促進剤、DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤、テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等の加硫促進剤等が挙げられる。上記加硫促進剤の配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して0.3〜4質量部である。
加硫促進助剤は、加硫を促進する観点から配合されるものであり、公知の亜鉛華(ZnO)や脂肪酸等を配合することができる。該脂肪酸としては飽和,不飽和あるいは直鎖状、分岐状のいずれの脂肪酸であってもよく、脂肪酸の炭素数としても特に制限されるものではないが、例えば炭素数1〜30、好ましくは15〜30の脂肪酸、より具体的にはシクロヘキサン酸(シクロヘキサンカルボン酸)、側鎖を有するアルキルシクロペンタン等のナフテン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸(ネオデカン酸等の分岐状カルボン酸を含む)、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)等の飽和脂肪酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸、ロジン、トール油酸、アビエチン酸等の樹脂酸などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明においては、亜鉛華及びステアリン酸を好適に用いることができる。これら加硫促進助剤の配合量は上記ゴム成分100質量部に対して0〜10質量部である。
ワックス類としては、公知のパラフィンワックス及びミクロクリスタリンワックス等のワックス、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド及びエルカ酸アミド等のアマイド化合物等を挙げることができ、1種を単独で又は2種以上を併用して用いればよい。特に本発明においては、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックスを好適に用いることができる。これらの配合により、成形作業性を向上させることができる。上記ワックス類の配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して0〜10質量部である。
可塑剤としては、公知のものを用いることができ、特に制限されるものではないが、具体例として、アロマティック油、ナフテニック油、パラフィン油等のプロセスオイルや、やし油等の植物油、アルキルベンゼンオイル等の合成油等を挙げることができ、これらの中から1種単独又は2種以上を適宜選択使用すればよい。上記可塑剤の配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して0〜20質量部である。
老化防止剤としては、公知のものを用いることができ、特に制限されないが、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、アミン系老化防止剤などを挙げることができる。上記老化防止剤の配合量は上記ゴム成分100質量部に対して0〜10質量部である。
本発明のゴム組成物は、上記配合とすることにより、加硫後にJIS−A硬度が75〜100、特に80〜95のゴムを得ることができる。この硬度が75未満であると駆動力伝達に支障をきたすおそれがあり、100を超えると高歪領域のモジュラスが高くなってしまい、大変形時の追随性が不十分なものとなるおそれがある。なお、加硫条件は、通常の条件を採用することができ、特に制限されないが、100〜180℃、1分間〜5時間の条件とすることができる。
本発明のゴム組成物を得る際、上記各成分の配合方法に特に制限はなく、全ての成分原料を一度に配合して混練しても良いし、2段階あるいは3段階に分けて各成分を配合して混練を行ってもよい。なお、混練に際してはロール、インターナルミキサー、バンバリーローター等の混練機を用いることができる。
本発明のゴムクローラ用ゴム組成物は、あらゆるゴムクローラに対して適用することができ、特に芯金レスクローラ内周面の突起用として好適に用いることができる。そして、本発明のゴム組成物を用いた突起を内周面に形成してゴムクローラを製造する場合には、従来公知の製造方法を採用し得る。
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜12、比較例1〜10]
表1〜3に示す配合のゴム組成物を常法に従って混練りし、長さ150mm×幅150 mm×厚さ2mmのシート状に成形し、155℃、30分間の条件で加硫硬化したものを評価体とした。得られた評価体の特性について以下の方法により評価し、その結果を表1〜3に併記した。
《評価方法》
・ムーニー粘度
JIS K6300−1に準拠して測定した。
・硬さ(JIS−A硬度)
JIS K6253に準拠し、デュロメーターAにより測定した。
・モジュラス(引張応力)及び伸び
JIS K6251に準拠し、ダンベル状3号形試験片を用い、伸び50%時、100%時及び300%時の引張応力、及び切断時伸びを測定した。
・耐疲労性(200%疲労性)
DIN S3A型ダンベル試験片を用い、室温にて、0〜200%、5Hzの条件で測定した。
なお、表1では比較例1の測定結果を100とし、実施例1〜4及び比較例2及び3の測定結果を比較例1に対する指数で表し、表2では比較例4の測定結果を100とし、実施例5〜8及び比較例5〜7の測定結果を比較例4に対する指数で表した。また、表3では比較例8の測定結果を100とし、実施例9〜12、及び、比較例9及び10の測定結果を比較例8に対する指数で表した。
・耐摩耗性(摩擦係数)
DIN 53516に準拠し、DIN摩耗試験機を用い、室温にてDIN摩耗を測定した。なお、表1では比較例1の測定結果を100とし、実施例1〜4及び比較例2及び3の測定結果を比較例1に対する指数で表し、表2では比較例4の測定結果を100とし、実施例5〜8及び比較例5〜7の測定結果を比較例4に対する指数で表した。また、表3では比較例8の測定結果を100とし、実施例9〜12、及び、比較例9及び10の測定結果を比較例8に対する指数で表した。
Figure 0005332533
NR:天然ゴム、「RSS#4」
SBR:スチレン・ブタジエンゴム、TSRC社製「Taipol1500E」
BR:高シス1,4−ポリブタジエンゴム、JSR社製 「BR01」
RB:シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、JSR社製「RB820」
カーボンブラック:HAF級カーボンブラック、旭カーボン社製「旭#70」
オイル:アロマオイル、新日本石油社製「コウモレックスNH−60T」
ステアリン酸:ACIDCHEM社製「PALMAC1600」
亜鉛華:東邦亜鉛社製「銀嶺SR」
ワックス:日本精蝋社製「OZOAGE−0017」
老化防止剤:住友化学社製「ANTIGENE6C」
超高分子量ポリエチレン:三井化学社製「ミペロン」
脂肪酸アミド:オレイン酸アミド、日本化成社製「ダイヤミッドM309」
硫黄:鶴見化学工業社製「サルファックス5」
加硫促進剤:大内新興化学社製「ノクセラーCZ−G」
上記表1には、ゴム成分としてNR及びSBRを用いた例を示した。
表1中、比較例1は1,2−ポリブタジエンを配合せず、加硫剤及びカーボンの配合量も標準的な量の従来処方である。該処方により得られるゴム組成物はムーニー粘度が低く良好な加工性を有しており、また伸びが大きく、300%モジュラスが低いことから大変形追随性に優れるが、硬度及び50%モジュラスも低いため、変形し易く脱輪防止性能に劣るものである。
比較例2は、上記比較例1に対して加硫剤を増量した処方である。該処方により得られたゴム組成物は、JIS−A硬度及び50%モジュラスが高くなり、脱輪防止性能が向上した。しかし、伸びが比較例1の60%に低下すると共に、高歪領域のモジュラス(特に300%モジュラス)が著しく上昇(破断のため測定不能)したことから、大変形追随性が著しく損なわれている。更に、耐疲労性も比較例1の24%にまで低下した。従って、加硫剤の増量による改善では、架橋密度を高めることにより硬度等を高め、脱輪防止性能を向上させることはできるが、硬くなりすぎて大変形追随性及び耐疲労性を大きく損なうものとなった。なお、ムーニー粘度は比較例1と同等で、加工性は維持されている。
比較例3は、上記比較例1に対してカーボンを増量した処方である。該処方により得られたゴム組成物は、上記比較例2と同様に、JIS−A硬度及び50%モジュラスが高くなり、脱輪防止性能が向上した。しかし、伸びが比較例1の約60%に低下すると共に、高歪領域のモジュラス(特に300%モジュラス)が著しく上昇(破断のため測定不能)したことから、大変形追随性が著しく損なわれている。更に、耐疲労性も比較例1の31%にまで低下した。従って、カーボンの増量による改善では、硬度等を高めて脱輪防止性能を向上させることはできるが、硬くなりすぎて大変形追随性及び耐疲労性を大きく損なうものとなった。更に、カーボンを増量した本例では、比較例1に対してムーニー粘度が30%以上も上昇し、加工性の低下をも招く結果となった。
実施例1〜4は、ゴム成分の一部として1,2−ポリブタジエンを所定の配合比率で添加配合した処方である。これらの実施例では、上記1,2−ポリブタジエンの配合比率の増加に伴って、低歪領域のモジュラス及びJIS−A硬度が上記比較例1に対して大幅にアップ(最大約190%)しており、上記比較例2及び3と比較しても同等もしくはそれ以上の効果を奏した。また、高歪領域の300%モジュラスは、比較例2及び3に対して大幅に低減化され、かつ比較例1と比較して同等に維持されており、上述した加硫剤やカーボンを増量した際の問題が解消されている。従って、ゴム成分の一部として1,2−ポリブタジエンを添加配合することにより、高硬度で大変形追随性に優れるゴムが得られることが確認できた。更に、上記1,2−ポリブタジエンの添加配合により、ムーニー粘度が低下してゴム組成物の加工性が向上すると共に、摩擦係数が低下し、耐久性が向上することも確認できた。
Figure 0005332533
上記表2には、ゴム成分としてNR及びBRを用いた例を示した。その結果、表1の結果と同様に、ゴム成分の一部に1,2−ポリブタジエンを添加配合することにより、高硬度で大変形追随性に優れ、耐久性及び加工性にも優れるゴムが得られることが確認できた。
Figure 0005332533
上記表3は、ゴム成分としてNR及びBRを用い、かつ低摩擦剤を含まない例を示すものである。その結果、表1の結果と同様に、ゴム成分の一部に1,2−ポリブタジエンを添加配合することにより、高硬度で大変形追随性に優れ、耐久性及び加工性にも優れるゴムが得られることが確認できた。
従って、上記実施例から、本発明のゴムクローラ用ゴム組成物を用いてゴムクローラ内周面に突起を形成することにより、良好な硬度と大変形追随性を両立し、かつ良好な摩擦係数の突起を作業性よく形成することができ、走行中にゴムクローラに大きな衝撃や斜行させる力が加わって、脱輪や大変形が生じた際にも、破損しにくく耐久性に優れるゴムクローラを得られることが確認できた。

Claims (4)

  1. ゴムクローラ内周面に突設される突起を形成するゴムクローラ用ゴム組成物であって、
    ゴム成分中に1,2−ポリブタジエンを5〜40質量%含有し、かつ加硫後のJIS−A硬度が75〜100であることを特徴とするゴムクローラ用ゴム組成物。
  2. 上記ゴム成分中に、更に天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム及びイソプレンゴムから選ばれる1種又は2種以上を含む請求項1記載のゴムクローラ用ゴム組成物。
  3. 脂肪酸アミドを上記ゴム成分100質量部に対して1〜15質量部、及び/又は、超高分子量ポリエチレンを上記ゴム成分100質量部に対して2〜40質量部配合した請求項1又は2記載のゴムクローラ用ゴム組成物。
  4. ゴムクローラ内周面の突起が請求項1〜3のいずれか1項記載のゴム組成物を用いて形成されたものであるゴムクローラ。
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