JP5331332B2 - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。
近年、洗浄剤分野においては、環境への負荷を軽減する方法として、洗浄剤組成物の使用量を低減すること、あるいは洗浄剤組成物が収容される容器サイズを小型化すること等が提案されている。
そのなかで、液体洗浄剤組成物としては、高い界面活性剤濃度をもつ、いわゆる「濃縮タイプ」が開発されている。具体例として、それぞれ特定の非イオン界面活性剤とポリオキシアルキレンアミンを含有してなる衣料用液体洗浄剤組成物が提案されている(特許文献1参照)。
一方、たとえば衣料用の液体洗浄剤組成物のなかには、家事の手間を軽減する等の目的のために、「洗浄力」の訴求に加え、「柔軟性の付与」も同時に訴求した、柔軟性を付与する成分(柔軟性付与成分)が配合されたものが提案されている。
従来、柔軟性付与成分としては、第4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤、シリコーン等のポリマーが主に使用されている(たとえば特許文献2参照)。
特開2005−171195号公報 特開平09−255988号公報
液体洗浄剤組成物における洗浄成分として用いられるポリオキシエチレンアルキルエーテル等の汎用の界面活性剤は、界面活性剤濃度の増加に伴い、粘度が著しく増加(ゲル化)してしまう。また、前記ゲル化を生じる界面活性剤濃度の範囲は広いため、かかる汎用の界面活性剤を、1種単独で多量(たとえば、50質量%以上)に含有する濃縮タイプの液体洗浄剤組成物を製造することは困難である。
特許文献1には、5〜80質量%の界面活性剤を含有する液体洗浄剤組成物についての記載があるものの、特定の2種の界面活性剤を併用することが必須であり、液体洗浄剤組成物中に、界面活性剤を1種単独で多量に含有するものではない。
また、濃縮タイプの液体洗浄剤組成物においては、特に冬場の低温時に、液体洗浄剤組成物の液表面において、該液体洗浄剤組成物自体がゲル化することにより皮膜が形成しやすいという問題がある。
かかる問題は、第4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤、アミドアミン化合物などの柔軟性付与成分が配合された液体洗浄剤組成物においても起こりやすく、液体洗浄剤組成物の使用状況によっては、家庭用の洗濯機の自動投入口などで前記皮膜が形成するため、消費者クレームに繋がることが懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、界面活性剤を1種単独で多量に含有し、洗浄力および柔軟性付与効果に優れ、かつ、低温時にも液表面でゲル化せずに皮膜が形成されにくい液体洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意検討した結果、特定のノニオン界面活性剤の一種と、特定の柔軟性付与成分と、アニオン界面活性剤とを組み合わせて用いることにより、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の液体洗浄剤組成物は、下記一般式(I)で表されるアルキレンオキサイド付加体(A)50〜70質量%と、アミドアミン化合物(B)と、アニオン界面活性剤(C)とを含有することを特徴とする。
Figure 0005331332
[式(I)中、Rは炭素数9〜13の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり;nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、5〜30である。]
本発明の液体洗浄剤組成物においては、前記アニオン界面活性剤(C)が、下記一般式(II)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(C1)を含むことが好ましい。
Figure 0005331332
[式(II)中、Rは炭素数6〜24の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり;nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、1〜6である。Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムである。ただし、当該(C1)成分を構成する全エチレンオキサイド付加体中に質量を基準として最も多く存在するエチレンオキサイド付加体のエチレンオキサイドの付加モル数を「n1max」とした際、全エチレンオキサイド付加体に対する、エチレンオキサイドの付加モル数が(n1max−1)とn1maxと(n1max+1)のエチレンオキサイド付加体の合計の割合が55質量%以上である。]
本明細書において「濃縮タイプ」の液体洗浄剤組成物とは、液体洗浄剤組成物中の合計の界面活性剤濃度が高いものを意味し、該界面活性剤濃度が、液体洗浄剤組成物中、50質量%以上であり、好ましくは55質量%以上のものを包含する。
本発明によれば、界面活性剤を1種単独で多量に含有し、洗浄力および柔軟性付与効果に優れ、かつ、低温時にも液表面でゲル化せずに皮膜が形成されにくい液体洗浄剤組成物を提供することができる。
≪液体洗浄剤組成物≫
本発明の液体洗浄剤組成物は、前記一般式(I)で表されるアルキレンオキサイド付加体(A)(以下、(A)成分という。)50〜70質量%と、アミドアミン化合物(B)(以下、(B)成分という。)と、アニオン界面活性剤(C)(以下、(C)成分という。)とを含有する。
<(A)成分>
本発明において、(A)成分は、前記一般式(I)で表されるアルキレンオキサイド付加体である。
該(A)成分を用いることにより、本発明の液体洗浄剤組成物は、高濃度の界面活性剤を含有してもゲル化等を生じず、界面活性剤を1種単独で多量に含有することができる。
ここで、「界面活性剤を1種単独で多量に含有する」とは、界面活性剤を1種単独で、液体洗浄剤組成物中に50質量%以上の量を含有することを意味する。
また、本発明の液体洗浄剤組成物は、該(A)成分を含有することにより、水への溶解性に優れ、高い洗浄力が得られやすくなる。さらに、高濃度の界面活性剤を含有しても粘度が著しく増大(ゲル化)せず、良好な流動性を有する濃縮型の液体洗浄剤組成物を製造することができる。
前記一般式(1)中、Rは、炭素数9〜13の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数9〜13の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。
において、アルキル基、アルケニル基の炭素数は、洗浄力向上やゲル化防止の点から、それぞれ炭素数10〜13であることが好ましく、それぞれ炭素数11〜13であることがより好ましい。
は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、炭素数2〜3のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。また、(A)成分中において、Rは、一種単独のアルキレン基であってもよく、二種以上のアルキレン基が混在していてもよい。
は、炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。
nは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、5〜30である。好ましくは、洗浄力や液体洗浄剤組成物の液安定性(特に、低温での経時安定性等)の向上の点から12〜18である。
また、(A)成分において、アルキレンオキサイドの付加モル数が異なるアルキレンオキサイド付加体の分布の割合を示すナロー率は、20質量%以上であることが好ましく、上限値としては実質的には80質量%以下であることが好ましい。当該ナロー率は、20〜60質量%であることがより好ましく、低温での経時安定性が向上するため、30〜45質量%がさらに好ましい。
当該ナロー率は高いほど、良好な洗浄力が得られる。また、当該ナロー率が20質量%以上、特に30質量%以上であると、界面活性剤の原料臭気の少ない液体洗浄剤組成物が得られやすくなる。これは、(A)成分の製造後、(A)成分と共存する(A)成分の原料である脂肪酸エステルと前記一般式(I)中のn=1および2のアルキレンオキサイド付加体が少なくなるためと考えられる。
ここで、本明細書において「ナロー率」とは、アルキレンオキサイドの付加モル数が異なるアルキレンオキサイド付加体の分布の割合を示す下記の数式(S)で表されるものを意味する。
Figure 0005331332
[式中、nmaxは全体のアルキレンオキサイド付加体中に最も多く存在するアルキレンオキサイド付加体のアルキレンオキサイドの付加モル数を示す。iはアルキレンオキサイドの付加モル数を示す。Yiは全体のアルキレンオキサイド付加体中に存在するアルキレンオキサイドの付加モル数がiであるアルキレンオキサイド付加体の割合(質量%)を示す。]
前記ナロー率は、たとえば該(A)成分の製造方法等によって制御することができる。
(A)成分の製造方法としては、特に制限されるものではないが、たとえば表面改質された複合金属酸化物触媒を用いて、脂肪酸アルキルエステルにエチレンオキサイドを付加重合させる方法(特開2000−144179号公報参照)により容易に製造することができる。
かかる表面改質された複合金属酸化物触媒の好適なものとしては、具体的には、金属水酸化物等により表面改質された、金属イオン(Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等)が添加された酸化マグネシウム等の複合金属酸化物触媒や、金属水酸化物及び/または金属アルコキシド等により表面改質されたハイドロタルサイトの焼成物触媒等である。
また、前記複合金属酸化物触媒の表面改質においては、複合金属酸化物と、金属水酸化物及び/または金属アルコキシドとの混合割合を、複合金属酸化物100質量部に対して、金属水酸化物及び/または金属アルコキシドの割合を0.5〜10質量部とすることが好ましく、1〜5質量部とすることがより好ましい。
本発明に用いられる(A)成分は、その分子構造において、親水基が分子の末端には存在せず(末端封鎖型であり)、かつ極性の高いカルボニル基をその分子中に有する。
これらにより、かかる(A)成分は、水溶液系中で分子どうしの配向性が弱く、ミセルが不安定なノニオン界面活性剤であるため、高濃度でゲル化等を生じず、1種単独で多量に液体洗浄剤組成物中に配合することができると推測される。また、水への溶解性が向上すると推測される。さらに、高濃度での良好な流動性に寄与していると考えられる。したがって、かかる(A)成分が洗濯機槽内の水中へ投入された後、洗濯液中の(A)成分の濃度が早く均一となり、洗浄初期から所定の濃度で被洗物と接することができるため、高い洗浄力が得られると考えられる。
(A)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物中、50〜70質量%であり、51〜65質量%であることが好ましい。
(A)成分の含有量が50質量%以上、好ましくは51質量%以上であると、良好な洗浄力が得られる。また、高濃度の界面活性剤を含有する濃縮タイプの液体洗浄剤組成物が得られる。また、濃縮タイプの液体洗浄剤組成物としての有効性(商品価値)が高くなる。
(A)成分の含有量が70質量%以下、好ましくは65質量%以下であると、液体洗浄剤組成物が低温時にも液表面でゲル化せずに皮膜が形成されにくくなる。
<(B)成分>
本発明において、(B)成分はアミドアミン化合物である。
該(B)成分を用いることにより、柔軟性付与効果が得られる。また、第4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤などの柔軟性付与成分とは異なり、液体洗浄剤組成物が低温時に液表面でゲル化せずに皮膜が形成されにくくなる効果(以下、「皮膜形成の抑制の効果」ということがある。)が得られやすくなる。
本発明において、「アミドアミン化合物」とは、アンモニアNHの少なくとも1つの水素原子が、アミド基(−NH−C(=O)−)を含む有機基で置換された化合物を包含する。当該有機基としては、長鎖炭化水素基(好ましくは炭素数7以上)を含むことが好ましい。また、当該アミドアミン化合物は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン又はそれらの塩のいずれであってもよい。
かかる(B)成分の好適なものとしては、たとえば下記一般式(b−1)で表される3級アミン又はその塩(B1)(以下、(B1)成分という。)等が挙げられる。(B1)成分を用いると、柔軟性付与効果および皮膜形成の抑制の効果がより向上する。
Figure 0005331332
[式(b−1)中、Rは置換基を含んでいてもよい炭素数7〜23の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり;RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、又は−(CHCHO)n−H(ただし、nはエチレンオキサイドの付加モル数を示し、1〜25である。)である。]
前記式(b−1)中、Rは、置換基を含んでいてもよい炭素数7〜23の炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。
としては、炭素数7〜23の炭化水素基であり、炭素数7〜21の炭化水素基であることが好ましい。たとえば、炭素数7〜23の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数7〜23の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。
は、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、好ましくはプロピレン基である。
およびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、又は−(CHCHO)n−H(ただし、nはエチレンオキサイドの付加モル数を示し、1〜25である。)であり、なかでも炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。
(B1)成分の好適な具体例としては、カプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン又はその塩;パルミチン酸ジエタノールアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエタノールアミノプロピルアミド等が挙げられる。
なかでも、カプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド又はその塩が特に好ましい。
なお、(B1)成分の製造例について、上記例示の化合物中の「長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン」を用いて説明すると、例えば、脂肪酸あるいは脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体と、ジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンとを縮合反応させ、その後、未反応のジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンを、減圧又は窒素ブローにて留去することにより得られる。
ここで、脂肪酸又は脂肪酸誘導体としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、とうもろこし油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸等の植物油又は動物油脂肪酸等、又はこれらのメチルエステル、エチルエステル、グリセライド等が具体的に挙げられ、中でも、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等が特に好ましい。
これら脂肪酸又は脂肪酸誘導体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
「ジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミン」として具体的には、ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミン等が挙げられ、なかでもジメチルアミノプロピルアミンが特に好ましい。
なお、長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミンを製造する際のジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンの使用量は、脂肪酸又はその誘導体に対し、0.9〜2.0倍モルが好ましく、1.0〜1.5倍モルが特に好ましい。
反応温度は、通常100〜220℃であることが好ましく、より好ましくは150〜200℃である。反応温度が100℃以上であると、反応が遅くなりすぎることがなく、220℃以下であると、得られる3級アミンの着色が抑制される。
長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミンの上記以外の製造条件は、適宜変更が可能であり、反応時の圧力は常圧であっても減圧であってもよく、反応時に窒素等の不活性ガスを吹き込むことにより導入することも可能である。
また、脂肪酸を用いる場合は、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒;脂肪酸誘導体を用いる場合は、ナトリウムメチラート、苛性カリ、苛性ソーダ等のアルカリ触媒を用いることにより、低い反応温度でかつ短時間により効率よく反応を進行させることができる。
また、得られる(B1)成分が、融点が高い長鎖アミンの場合には、ハンドリング性を向上させるため、反応後、フレーク状もしくはペレット状に成形することが好ましく、又は、エタノール等の有機溶媒に溶解して液状にすることが好ましい。
(B1)成分としては、3級アミンをそのまま使用するもの、当該3級アミンを酸により中和した酸塩等が具体的に挙げられる。
中和に用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、ポリアクリル酸、パラトルエンスルホン酸、クメンスルホン酸等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
市販される(B1)成分の具体例としては、東邦化学(株)製のカチナールMPAS−R(商品名)等が挙げられる。
(B)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(B)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.2〜4質量%であることがより好ましく、1〜4質量%であることがさらに好ましい。
(B)成分の含有量が0.1質量%以上であると、柔軟性付与効果がより得られやすくなる。(B)成分の含有量が5質量%以下であると、液体洗浄剤組成物が低温時にも液表面でゲル化せずに皮膜が形成されにくくなる。また、他の成分との配合バランスをとりやすくなる。
<(C)成分>
本発明において、(C)成分はアニオン界面活性剤である。
該(C)成分を用いることにより、液体洗浄剤組成物が低温時に液表面でゲル化せず、皮膜を形成しにくいという効果(皮膜形成の抑制の効果)が得られる。
(C)成分としては、たとえば、下記(1)〜(4)のアニオン界面活性剤が挙げられる。
(1)高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型。
(2)高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノ硫酸エステル塩等の硫酸エステル型。
(3)アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のスルホン酸型。
(4)アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型。
上記のなかでも、(C)成分としては、低温時における液体洗浄剤組成物の液表面でのゲル化がより抑えられることから、下記一般式(II)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(C1)(以下、(C1)成分という。)を含むことが好ましい。
Figure 0005331332
[式(II)中、Rは炭素数6〜24の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり;nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、1〜6である。Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムである。ただし、当該(C1)成分を構成する全エチレンオキサイド付加体中に質量を基準として最も多く存在するエチレンオキサイド付加体のエチレンオキサイドの付加モル数を「n1max」とした際、全エチレンオキサイド付加体に対する、エチレンオキサイドの付加モル数が(n1max−1)とn1maxと(n1max+1)のエチレンオキサイド付加体の合計の割合が55質量%以上である。]
前記式(II)中、Rは、炭素数6〜24の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜24の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。
において、炭素数は6〜24であり、炭素数10〜18であることが好ましい。炭素数が6以上であると、皮膜形成の抑制の効果がより向上する。一方、炭素数が24以下であると、(C1)成分自体の溶解性が向上し、保存時における析出が抑制され、経時安定性が向上する。
また、Rにおけるアルキル基又はアルケニル基としては、1級もしくは2級のアルキル基、又は1級もしくは2級のアルケニル基であることが好ましい。好適な具体例としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、アラキル基、ベヘニル基等が挙げられる。
これらのアルキル基またはアルケニル基は、一種単独であっても混合されていてもよく、天然原料由来のものであっても合成のものであってもよい。たとえば、市販されているドバノックス(登録商標)、ダイヤドール(登録商標)、ネオドール(登録商標)、サフォール(登録商標)等の1級合成アルコール由来;椰子油高級アルコール等の天然アルコール、ソフタノール(登録商標)等の2級アルコール由来のものは非常に好適である。
前記式(II)中、nは、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、1〜6であり、1〜3が好ましい。
ただし、当該(C1)成分を構成する全エチレンオキサイド付加体中に質量を基準として最も多く存在するエチレンオキサイド付加体のエチレンオキサイドの付加モル数を「n1max」とした際、全エチレンオキサイド付加体に対する、エチレンオキサイドの付加モル数が(n1max−1)とn1maxと(n1max+1)のエチレンオキサイド付加体の合計の割合が55質量%以上であり、55〜75質量%の範囲であることが好ましい。前記範囲であると、皮膜形成の抑制の効果がより得られやすくなる。
Mは、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムである。
具体的には、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;アンモニウム等が挙げられ、これらが一種単独であっても混在していてもよい。なかでも、Mとしては、アルカリ金属原子が好ましく、ナトリウムが特に好ましい。
(C1)成分は、たとえば以下のようにして製造できる。
高級アルコール、好ましくは下記(a)〜(e)から選択される高級アルコールに、エチレンオキサイドを付加させてポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルコールエトキシレート)を得る。エチレンオキサイドを付加させる際に用いる触媒としては、たとえば特許第3312883号公報に記載のAl/Mg/Mnで構成される複合金属酸化物ルイス酸焼結固体触媒が好ましい。これにより、エチレンオキサイドの付加モル数分布の狭いものが得られる。
次いで、得られたポリオキシエチレンアルキルエーテルを、サルファンでスルホン化あるいは硫酸化して中和処理することにより、(C1)成分が製造できる。
(a)シェルケミカルズ社製、商品名 ネオドール23(分岐率:20質量%)。これは、n−オレフィンから改良オキソ法により生成し、精留したものである。
(b)ブテンの3量体からオキソ法により得られる炭素数13アルコール(分岐率:100質量%)。
c)中鎖アルコールからガーベット反応により得られる高級アルコール(分岐率:100質量%)。
(d)Sasol社製、商品名 Safol23(分岐率:50質量%)。これは、石炭のガス化から得られるオレフィンをオキソ法によりアルコールを得て、更に水素化したものである。
(e)天然油脂から合成された天然系高級アルコール(分岐率:0質量%)。
なお、「分岐率」とは、全高級アルコールに対する、分岐鎖をもつ高級アルコールの割合(質量%)を示す。
(C)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(C)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。
(C)成分の含有量が0.5質量%以上であると、液体洗浄剤組成物が低温時にも液表面でゲル化せずに皮膜が形成されにくくなる効果がより得られやすくなる。一方、(C)成分の含有量が10質量%以下であると、充分に皮膜形成の抑制の効果が得られる。また、他の成分との配合バランスをとりやすくなる。
本発明において、(C)成分を用いることによって得られる前記皮膜形成の抑制の効果は、柔軟性付与成分として前記(B)成分を用いた場合に特に顕著に得られるものである。
かかる効果が得られる理由としては、定かではないが、液体洗浄剤組成物を水に溶解した洗濯液中で、(B)成分と(C)成分とが静電的に相互作用することにより、液体洗浄剤組成物に配合された成分が混合した際の相状態が、(C)成分を欠く際の相状態に比べて変化するためと推測される。
<任意成分>
本発明の液体洗浄剤組成物には、前記(A)〜(C)成分以外に必要に応じて、その他の成分を適宜、配合することができる。
(界面活性剤)
本発明の液体洗浄剤組成物においては、前記(A)〜(C)成分を除く界面活性剤を用途に応じて配合してもよく、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤なども用いることができる。
ノニオン界面活性剤としては、長鎖アルコールにエチレンオキシドを付加したアルコールエトキシレート、アルキルフェノール、高級脂肪酸又は高級アミン等のアルキレンオキサイド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキサイド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキルアミンオキサイド、アルケニルアミンオキサイド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加体、糖脂肪酸エステル、N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型又はリン酸型の両性界面活性剤等が挙げられる。
(有機溶剤)
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、重量平均分子量が約200のポリエチレングリコール、重量平均分子量が約400のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキルエーテル類などの水混和性の有機溶剤を用いることができる。当該有機溶剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.1〜15質量%であることが好ましい。
(シリコーン)
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、東レ・ダウコーニング(株)製のCF1188HV、SH3748、SH3749、SH3772M、SH3775M、SF8410、SH8700、BY22−008、BY22−012、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−22−22;
信越化学工業(株)製のX−20−8010B、KF352A、KF6008、KF615A、KF6012、KF6016、KF6017;
GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452、TSF4445(以上、商品名)等のポリエーテル変性シリコーンを用いることができる。当該ポリエーテル変性シリコーンの含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.1〜3質量%であることが好ましい。
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、パラトルエンスルホン酸、安息香酸塩(防腐剤としての効果もある)、尿素等の減粘剤又は可溶化剤を用いることができる。当該減粘剤又は可溶化剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.01〜30質量%であることが好ましい。
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、酒石酸、クエン酸等の金属イオン捕捉剤を用いることができる。当該金属イオン捕捉剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.1〜20質量%であることが好ましい。
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤を用いることができる。当該酸化防止剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.01〜2質量%であることが好ましい。
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、ローム・アンド・ハウス社製のケーソンCG(商品名)等の防腐剤を用いることができる。当該防腐剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.001〜1質量%であることが好ましい。
さらに、本発明の液体洗浄剤組成物においては、洗浄性能向上や安定性向上等を目的として酵素(プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等)、風合い向上剤、アルカノールアミン等のアルカリビルダー、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等の酸化防止剤、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、蛍光剤、移染防止剤、再汚染防止剤、パール剤、ソイルリリース剤、等を用いることができる。
その他、商品の付加価値向上等を目的として、着色剤、乳濁化剤、芳香のための香料等も含むことができる。
着色剤としては、アシッドレッド138、Polar Red RLS、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青色1号、青色205号、緑色3号、ターコイズP−GR(いずれも商品名)等の汎用の色素や顔料を用いることができる。当該着色剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.00005〜0.005質量%であることが好ましい。
乳濁化剤としては、ポリスチレンエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられ、通常、固形分30〜50質量%のエマルションが好適に用いられる。具体例としては、ポリスチレンエマルション(サイデン化学社製、商品名:サイビノールRPX−196 PE−3、固形分40質量%)等を用いることができる。当該乳濁化剤の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.01〜0.5質量%であることが好ましい。
香料としては、特開2002−146399号公報に記載の香料成分が挙げられる。当該香料の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.01〜2質量%であることが好ましい。
本発明にかかる液体洗浄剤組成物において、水の含有量は、液体洗浄剤組成物中、10 〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜40質量%である。該範囲であれば、「濃縮タイプ」として安定な液体洗浄剤組成物が得られやすくなる。
また、本発明にかかる液体洗浄剤組成物において、pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;多価カルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸類等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン、アンモニア等が挙げられ、液体洗浄剤組成物の経時安定性の面から、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンが好ましい。
pH調整剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。
pH調整剤は、液体洗浄剤組成物の25℃でのpHを、好ましくはpH4〜9に調整する量が適宜添加される。
本発明の液体洗浄剤組成物のpHは、25℃でのpHが4〜9であることが好ましく、pH4〜8であることがより好ましい。pHが4〜9であることにより、特に、液体洗浄剤組成物を長期間保存しても、経時安定性を良好に保つことができる。
前記pHの調整は、たとえば一定量の硫酸、水酸化ナトリウム等を添加することにより制御することができる。また、pHの微調整用として無機酸(好ましくは塩酸、硫酸)または水酸化カリウム等をさらに添加することもできる。
本発明において、液体洗浄剤組成物(25℃に調温)のpHは、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー(株)製)等により測定される値を示す。
本発明の液体洗浄剤組成物は、好適には水を溶剤として、常法に基づいて製造することができる。
使用方法は、通常の使用方法、すなわち本発明の液体洗浄剤組成物(本発明品)を、洗濯時に洗濯物と一緒に水に投入する方法、泥汚れや皮脂汚れに本発明品を直接塗布する方法、本発明品を予め水に溶かして衣類を浸漬する方法等が挙げられる。また、本発明品を洗濯物に塗布後、適宜放置し、その後、通常の洗濯液を用いて通常の洗濯を行う方法も好ましい。その際、本発明品の使用量は、従来の液体洗浄剤組成物の使用量よりも、実質上半量以下に少なくすることができる。
本発明によれば、界面活性剤を1種単独で多量に含有し、洗浄力および柔軟性付与効果に優れ、かつ、低温時にも液表面でゲル化せずに皮膜が形成されにくい液体洗浄剤組成物を提供することができる。
本発明の液体洗浄剤組成物は、特に衣料用として好適なものである。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
≪液体洗浄剤組成物の製造≫
表1、2に示す組成の液体洗浄剤組成物を、常法に準じて、以下のように製造した。
まず、2cmの撹拌子の入った円筒ガラス瓶(直径50mm、高さ100mm)に、(A)成分を入れた。次に、任意成分の混合溶液を入れて、400rpmで撹拌子を撹拌させた。次いで、(B)成分を入れて撹拌し、続けて(C)成分を順次入れて撹拌混合した。その後、全体量(全体量を100質量部とする。)が95質量部になるように精製水を入れ、撹拌混合した後、pHを調整し、全体量が100質量%になるようにエタノールを加えて液体洗浄剤組成物を製造した。
pHの調整は、液体洗浄剤組成物の25℃でのpHが7.0となるように、pH調整剤(水酸化ナトリウムまたは硫酸)を適量添加することにより行った。
なお、表1、2中の配合量の単位は質量%であり、純分換算量を示す。
以下に、(A)成分のナロー率の測定方法、および表中に示した成分について説明する。
<(A)成分のナロー率の測定方法>
下記測定条件により、エチレンオキサイドの付加モル数が異なるエチレンオキサイド付加体の分布を測定した。そして、(A)成分のナロー率(質量%)を前記数式(S)に基づいて算出した。
[HPLCによるエチレンオキサイド付加体の分布の測定条件]
装置 :LC−6A((株)島津製作所製)
検出器 :SPD−10A
測定波長:220nm
カラム :Zorbax C8 (Du Pont(株)製)
移動相 :アセトニトリル/水=60/40(体積比)
流速 :1mL/min
温度 :20℃
<表中に示した成分の説明>。
・(A)成分
A−1:C1123CO(OC15OCHと、C1327CO(OC15OCHとの質量比で8/2の混合物、ナロー率 33質量%;合成品。
A−2:C1123CO(OC15OCH、ナロー率 37質量%;合成品。
A−3(比較品):C1225O(CO)15H、ナロー率 30質量%;合成品。
ただし、A−1は、特開2000−144179号公報に記載の合成方法(サンプルDに対応するもの)に準じて製造した合成品を用いた。すなわち、化学組成が2.5MgO・Al・nHOである水酸化アルミナ・マグネシウム(協和化学工業(株)製、商品名:キョーワード300)を、600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して得られた焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5規定の水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280gおよびミリスチン酸メチルエステル70gとを4リットルオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、昇温を行い、温度を180℃、圧力を3atmに維持しつつ、エチレンオキサイド1052gを導入し、撹拌しながら反応させた。
さらに、反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土および珪藻土をそれぞれ5g添加した後、触媒を濾別し、A−1を得た。
なお、触媒に対するアルカリ添加量をコントロールすることにより、ナロー率33質量%のA−1を得た。
A−2は、上記のA−1の合成方法において、ラウリン酸メチルエステル350gを用い、エチレンオキサイド1079gを導入した以外は、A−1の合成方法と同様にして製造した。
なお、触媒に対するアルカリ添加量をコントロールすることにより、ナロー率37質量%のA−2を得た。
A−3(比較品)の合成は、以下のように行った。
ラウリルアルコール186g、30質量%NaOH水溶液2.0gを、耐圧型反応容器中にそれぞれ採取し、容器内を窒素置換した。
次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコールを撹拌しながら酸化エチレン(ガス状)660gを、吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調整しながらアルコールの液中に徐々に加えた。
酸化エチレンの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応の酸化エチレンを留去した。
次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、p−トルエンスルホン酸(70質量%水溶液)を加えて中和し、A−3(比較品)を得た。
なお、A−1、A−2、A−3において、ナロー率は、上記のナロー率の測定方法により、得られた合成品におけるエチレンオキサイドの付加モル数が異なるエチレンオキサイド付加体の分布を測定して算出した。
・(B)成分
B−1:Cm’2m’+1CONH(CHN(CH(m’=15とm’=17との質量比で3/7の混合物)、東邦化学(株)製、商品名「カチナールMPAS−R」。
B−2:C1735CONH(CHN(CH、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド;合成品。
B−2の合成は、以下のように行った。
還流冷却器を備えた1リットル四ツ口フラスコに、ステアリン酸(分子量284)360gを仕込み、80℃に加熱してステアリン酸を融解した。窒素置換を2回行った後、150℃に昇温し、ジメチルアミノプロピルアミン(分子量102)123g(ステアリン酸に対するモル比:0.95)を1時間かけて滴下した。
次に、150〜160℃で1時間保持した後、1時間かけて185℃に昇温し、さらにジメチルアミノプロピルアミン45gを1時間かけて滴下した。
滴下終了後、185〜190℃に保持し、7時間熟成して副生の水を系外に留去した。 さらに、170〜190℃に保持したまま減圧(4.0kPa)し、1時間放置することにより未反応のジメチルアミノプロピルアミンを留去し、B−2を得た。
酸価から算出したステアリン酸の転化率は99.6%であった。
・(C)成分
C−1:ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12)エーテル硫酸ナトリウム(AES)(エチレンオキサイドの平均付加モル数2);合成品。
C−1の合成は、以下のように行った。
4Lのオートクレーブ中に、ラウリルアルコール400gと、水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながらエチレンオキサイド54gを導入し、エチレンオキサイドの平均付加モル数2の反応物を得た。
次に、上記で得られたアルコールエトキシレート274gを、撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)81gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、C−1を得た。
C−2:ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12)エーテル硫酸ナトリウム(NRES)(エチレンオキサイドの平均付加モル数2);合成品。
C−2の合成は、以下のように行った。
4Lのオートクレーブ中に、ラウリルアルコール400gと、Al/Mg/Mnで構成される複合金属酸化物ルイス酸焼結固体触媒0.4gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力を0.3mPaに維持しながらエチレンオキサイド54gを導入し、反応物を得た。
次に、上記で得られたアルコールエトキシレート274gを、撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)81gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け、目的とするポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、C−2を得た。
C−3:直鎖アルキル(C11〜15)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、ライオン社製、商品名「ライポンLS−250」。
・任意成分
POEシリコーン:東レ・ダウコーニング(株)社製、商品名「SH3375M」。
エタノール:NEDO製、商品名「95vol%合成エタノール」。
p−トルエンスルホン酸:協和発酵工業(株)製。
クエン酸3Na2水塩:マイルス社(米国)製、商品名「クエン酸ソーダ」。
安息香酸Na:東亞合成製、商品名「安息香酸ナトリウム」。
香料組成物:特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A。
色素:癸巳化成(株)製、商品名「青色1号」。
ケーソンCG:ローム・アンド・ハース社製。
水酸化ナトリウム:鶴見曹達(株)製。
硫酸:東邦亜鉛(株)製。
≪評価方法≫
得られた液体洗浄剤組成物について、以下に示す方法及び評価基準によって評価を行い、その結果を表1、2に併記した。
<柔軟性付与効果の評価>
市販Tシャツ(綿100%、B.V.D社製)7枚を二槽式洗濯機(商品名:CW−C30A1、三菱電機製)に入れ、水道水30Lに各例の液体洗浄剤組成物15mLを溶かした水溶液を、前記二槽式洗濯機に入れ、弱水流で、洗浄時間10分間、脱水1分間、ためすすぎ(2回繰返し、各5分間)および脱水1分間を1工程とした洗濯操作を行った。用いた水道水の温度は、25℃になるように調整した。
前記洗濯操作1工程により処理したTシャツを陰干しして、12時間乾燥させた。その後、当該Tシャツを、25℃、湿度65%RHの恒温恒湿室に2日間放置した。以上の処理を施したTシャツを試験布として柔軟性付与効果の評価に用いた。
なお、上記洗濯操作において、ノニオン界面活性剤(ラウリルアルコール1モルあたり平均15モルのエチレンオキサイドを付加させたアルコールエトキシレート)の20質量%水溶液30mLを液体洗浄剤組成物として用いて、上記と同様に処理したTシャツを評価対照布とした。
柔軟性付与効果の評価は、下記の評価基準に従って、前記評価対照布との1対比較を官能により行い、専門パネラー10人の平均値を求めることにより行った。かかる平均値は、小数点第1位を四捨五入し、3点以上を合格レベルとした。
(評価基準)
3点:対照布より非常に柔らかいと感じられた。
2点:対照布よりやや柔らかいと感じられた。
1点:対照布と同等であった。
<低温時のゲル化防止性の評価>
各例の液体洗剤組成物15gを20mLカップにそれぞれ採取し、5℃恒温室に1日間放置し、1日後の液体洗剤組成物の外観(ゲル化度合い)を観察し、下記の評価基準に従って、低温時のゲル化防止性を評価した。
(評価基準)
◎:全くゲル化が認められなかった。
○:一部ゲル化が認められる程度であった。
△:半分程度ゲル化していた。
×:全体がゲル化していた。
<洗浄力の評価>
(1)洗浄処理方法
10cm角に裁断した100番手の綿平織り布(未汚染布)に、顔面の皮脂汚れを擦りつけて皮脂汚れ布10枚を、各例についての評価ごとに作製した。合わせて全量2kg分の当該皮脂汚れ布10枚と市販のTシャツ(綿100%、B.V.D社製)とを、全自動洗濯機(商品名:NA−F802P、松下電気産業(株)製)に入れた。
そして、浴比30倍に合わせ、20℃の水道水(硬度3゜DH)30Lに、各例の液体洗浄剤組成物15mLを溶かし、洗浄時間10分間、脱水1分間、ためすすぎ(2回繰返し、各5分間)および脱水1分間を1工程とした洗濯操作を行った。
(2)洗浄力の評価方法
前記洗濯操作1工程により処理した皮脂汚れ布の反射率を、色差計(商品名:SE200型、日本電色(株)製)により測定し、洗浄率(%)を以下の式で算出した。
洗浄率(%)=(洗浄処理前の皮脂汚れ布のK/S−洗浄処理後の皮脂汚れ布のK/S)/(洗浄処理前の皮脂汚れ布のK/S−未汚染布のK/S)×100
ここで、式中、K/S=(1−R/100)/(2R/100)である。ただし、Rは反射率(%)を示す。
洗浄力の評価は、上記式により算出される洗浄率(%)を用いて、下記の評価基準に従って行った。なお、洗浄率(%)は皮脂汚れ布10枚の平均値を用いた。
(評価基準)
◎:洗浄率が70%以上であった。
○:洗浄率が65%以上70%未満であった。
△:洗浄率が60%以上65%未満であった。
×:洗浄率が60%未満であった。
Figure 0005331332
Figure 0005331332
表1、2の結果から明らかなように、本発明に係る実施例1〜11の液体洗浄剤組成物は、柔軟性付与効果、低温時のゲル化防止性および洗浄力がいずれも良好であることが確認できた。
また、(C)成分として(C1)成分に該当するNRESを用いた実施例7の液体洗浄剤組成物は、低温時のゲル化防止性が特に優れていることが確認できた。
一方、(A)成分の含有量が70質量%を超える比較例1の液体洗浄剤組成物は、低温時のゲル化防止性が悪く、(A)成分の含有量が50質量%未満の比較例2および3の液体洗浄剤組成物は、いずれも洗浄力に劣ることが確認された。
また、本発明に係る(A)成分とは異なる比較品を用いた比較例4の液体洗浄剤組成物は、低温時のゲル化防止性が悪いことが確認された。
また、(B)成分を欠く比較例5の液体洗浄剤組成物は、柔軟性付与効果が悪く、(C)成分を欠く比較例6の液体洗浄剤組成物は、低温時のゲル化防止性が悪いことが確認された。

Claims (2)

  1. 下記一般式(I)で表されるアルキレンオキサイド付加体(A)50〜70質量%と、アミドアミン化合物(B)と、アニオン界面活性剤(C)とを含有することを特徴とする液体洗浄剤組成物。
    Figure 0005331332
    [式(I)中、Rは炭素数9〜13の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり;nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、5〜30である。]
  2. 前記アニオン界面活性剤(C)が、下記一般式(II)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(C1)を含む請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
    Figure 0005331332
    [式(II)中、Rは炭素数6〜24の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり;nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、1〜6である。Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムである。ただし、当該(C1)成分を構成する全エチレンオキサイド付加体中に質量を基準として最も多く存在するエチレンオキサイド付加体のエチレンオキサイドの付加モル数を「n1max」とした際、全エチレンオキサイド付加体に対する、エチレンオキサイドの付加モル数が(n1max−1)とn1maxと(n1max+1)のエチレンオキサイド付加体の合計の割合が55質量%以上である。]
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