JP5329867B2 - 酸化発色化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
で示される化合物またはその塩を、亜硝酸塩を用いてニトロソ化する、ニトロソ化工程と;
前記ニトロソ化工程の後、
下記化学式2:
で示される化合物またはその塩を単離する、単離工程と;
前記単離工程により得られた化学式2で示される化合物またはその塩を、接触水素還元する、還元工程と;
を含む、
下記化学式3:
で示される酸化発色化合物またはその塩の製造方法。
従来法での製造工程と比較して、本願発明の製造方法によると工程を簡略化しうる。特に、アミノ化では、次の効果がある。
従来法の還元工程では、残留亜鉛の除去および水酸化亜鉛の除去の際に亜鉛に吸着された目的物を回収するのに大量の水を用いており、乾固するのに時間と手間が掛かっていたが、本発明の還元工程では、目的物の触媒への吸着はなく、溶媒を大量に用いる必要がない。
また、反応時、反応系を冷却する必要がなく、常温で反応を行なうことができ、反応温度を管理する必要がない。
従来法で得られるアミノアンチピリン誘導体は、そのアミノ基が、酸(塩酸、酢酸等)との塩を形成しており、非常に吸湿性が高かった。本願発明の製造方法によると、スルホン酸基がアルカリ塩となっているため、吸湿性が有意に低い。
本願発明の製造方法により製造される発色化合物は、水溶性が有意に高いので、特に担体に保持して使用する場合には、血液などの検体にすばやく溶解して均一化し、迅速に呈色反応が起こる。
呈色反応によって生成した色素化合物は、検体への溶解性や親和性が有意に高く、担体内での展開性が良くなるので、担体表面での発色が鮮やかで均一性の高いものとなる。それによって感度が高く安定した測定が可能となる。
本願発明の製造方法により製造される発色化合物は、溶解性が有意に高いので、従来の試薬より高濃度の試薬液が調製可能である。また、担体に担持して使用する場合塗布液濃度を高くしてより多くの試薬を担体に保持させることが可能となる。さらには、塗布液の濃度を高く設定し全体液量を少なくできることで、塗工均一性の高い、グラビア印刷法、ドット印刷法、インクジェット印刷等の精密印刷法が使用できる。塗工液量が少なくなれば、乾燥時間が短縮され乾燥むらを低減させる効果もある。つまり、十分な試薬を高い均一性で塗工できることにより、塗りむらなどに起因するばらつきを低減させることができ、高い精度の試験具を提供することができる。
本発明の製造方法により製造される発色化合物における親水性官能基は、担体への吸着性を高め、担体内での化合物の安定性を向上させる。つまり、経時劣化を低減させ、有効期間を延ばすことが可能となる。
で示される化合物またはその塩を、亜硝酸塩を用いてニトロソ化する、ニトロソ化工程と;
前記ニトロソ化工程の後、
下記化学式2:
前記単離工程により得られた化学式2で示される化合物またはその塩を、接触水素還元する、還元工程と;
を含む、
下記化学式3:
で示される酸化発色化合物またはその塩の製造方法である。
ニトロソ化を行う対象化合物は、
下記化学式1:
これにより、化学式1で示される化合物またはその塩を高い純度で得られることができる。
前記化学式1で示される化合物またはその塩を、亜硝酸塩を用いてニトロソ化する。
前記ニトロソ化工程におけるニトロソ化反応は、反応性の観点で、酸の存在下において行うとよい。
ニトロソ化工程において、出発物質と上記亜硝酸塩、酸を混合する場合、それぞれを予め溶媒に含有させておいてもよい。
ニトロソ化工程における反応時間にも特に制限はないが、あまりに反応時間が短すぎると、反応が不十分で出発物質の残留が生じる虞れがある。一方で、あまりに反応時間が長過ぎると、生成したニトロソ体の分解が起こる虞れがある。
ニトロソ化工程において設定される反応温度としては、副生成物の生成を抑える観点で、0〜15℃が好ましく、1〜10℃がより好ましく、1〜5℃がさらに好ましい。かような温度条件にするためには、従来公知の知見を適宜参照して制御することができ、例えば、水浴や氷浴等を用いればよい。
ニトロソ化工程に用いられる反応容器の素材としても、特に制限はないが、ガラス製、ステンレス製、ホーロー製、テフロン(登録商標)製などが好適に例示でき、ガラス製が特に好ましい。また、反応容器の形状としても、特に制限はないが、なす型フラスコ、丸底フラスコ、平底フラスコ、三角フラスコ、セパラブルフラスコ、多口フラスコなどが挙げられる。
下記化学式2:
本発明においては、上記ニトロソ化工程の後、化学式2で示される化合物またはその塩を単離する、単離工程を経る。つまり、本発明においては、ニトロソ化工程終了後、そのままワンポットで、一気に、後述の還元工程を行わず、単離工程を必須の工程として有する点に特徴の一つを有する。
本発明における還元工程では、前記単離工程により得られた化学式2で示される化合物またはその塩を、接触水素還元法を用いて還元する。
下記化学式3:
接触水素還元工程において、前記単離工程により得られた化学式2で示される化合物またはその塩に、水素を接触させる。水素はボンベや発生装置から供給する。水素を効率的に反応混合物と接触させるために、一定圧の水素を供給しながら激しく攪拌を行う、あるいは攪拌下水素を連続的に吹き込むなどの方法がとられる。
接触水素還元工程において、触媒を必須成分として用いる。触媒としては、パラジウム炭素、白金炭素、パラジウム硫酸バリウム、パラジウム炭酸バリウム、パラジウム炭酸ストロンチウム、ラネーNi、銅-クロム酸化物、ラネーコバルト などを用いることができるが、パラジウム炭素が特に好ましい。
また、パラジウム炭素は乾燥状態で発火の危険性があるため、安全のため適量の水分を含んだものを用いる。過剰な水分は触媒活性の低下をまねく。水分の含有量は、全重量に対して10〜90%が好ましく、50〜60%が特に好ましい。
還元工程における還元反応は、酸の存在下において行うとよい。化学式2で示される化合物(ニトロソ体)は酸の存在で安定化するため、酸の使用は特に好ましい。
化学式3で示される酸化発色化合物またはその塩の製造のために、前記単離工程により得られた化学式2で示される化合物またはその塩と、触媒を用い、上記の通り、還元反応は、酸の存在下で行うとよいが、必要に応じ反応溶媒を用いるとよい。反応溶媒としては、特に制限はなく、上記ニトロソ化工程で説明した具体例が、同様に妥当である。
還元工程において設定される反応温度としては、常温〜300℃が好ましく、常温が特に好ましい。かような温度条件にするためには、従来公知の知見を適宜参照して制御することができ、例えば、水浴、氷浴、油浴、恒温槽などを用いればよい。
還元工程における接触水素還元反応では、系内(水素雰囲気下)の圧力が1〜100atmの範囲で行われることが好ましく、特に常圧下(1atm)で行われることが好ましい。
還元工程に用いられる反応容器の素材としても、特に制限はなく、前記ニトロソ化工程で説明した具体例が同様に妥当である。気体状の水素と効率よく接触させるため、効率の高い攪拌装置を用いうる反応容器が好ましい。攪拌装置は、機械式攪拌装置、磁気攪拌装置などが用いられる。また、反応容器は、気体状の水素を供給するための導入管や導入口を、持つものあるいは装着できるものがふさわしい。なお、加圧下で反応を行う場合は、耐圧性容器を用いる必要がある。
a.触媒含有反応物分取工程
上記還元工程終了後、触媒を含む目的反応物(不溶物)を分取することが好ましい。触媒含有反応物は、濾過によって分取できる。濾過は、常圧、減圧いずれでもよく、濾材としては通常の濾紙を用いてもよい。
上記触媒含有反応物分取工程終了後、触媒を除去することが好ましい。触媒を除去するために、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に目的物を溶解し、溶け残った触媒は、濾過によって除去される。濾過は、常圧、減圧いずれでもよく、濾材としては通常の濾紙を用いてもよいが、メンブランフィルターやセライトを使用することによってさらに触媒の残留量を減少させることができる。
上記触媒除去工程を経た後、触媒除去工程を経て得られた混合物から、さらに残留する無機塩を除くため、抽出工程を経ることが好ましい。かような抽出工程を経ることにより、より高純度かつ高収率で、化学式3で示される酸化発色化合物またはその塩を得ることができる。
トリンダー試薬としては、特に制限はなく、従来公知の化合物がいずれも好ましく用いられうる。ただ、中でもN−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−3−アセチルエチレンジアミン、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N−サクシニルエチレンジアミン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン、N−(2−カルボキシエチル)−N−エチル−3−メチルアニリン、N,N−ビス−(4−スルホブチル)−3−メチルアニリン、N−エチル−N−(2−サクシニルアミノエチル)−3−メチルアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシ−4−フルオロアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリンが好ましく、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリンが、発色強度や波長といった観点で、特に好ましい。
「測定対象物に対して選択的に作用するオキシダーゼ」としては、例えば、測定対象物がグルコースである場合、該オキシダーゼはグルコースオキシダーゼであり、測定対象物がコレステロールである場合、該オキシダーゼはコレステロールオキシダーゼであり、測定対象物が尿酸である場合、該オキシダーゼはウリカーゼであり、測定対象物がピルビン酸である場合、該オキシダーゼはピルベートオキシダーゼである。これらは測定対象物の基質のみを特異的に酸化するために、色々な成分を含む検体からそれぞれの測定対象物のみを限定して定量することができる。
前記担体の素材としては、紙、布帛、高分子膜等の多孔質物質を用いることができるが、特に、発色性能といった点で、高分子膜が好ましい。
前記試薬組成物を担体に保持する方法にも特に制限はないが、担体に適当な溶剤に溶解させた試薬組成物溶液を担体にコーティングする他、試薬組成物を含むマトリックス前駆体を成型して試験層を形成させる等の公知の方法が用いられうる。
1−(4−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロンの合成
200gの1−(4−スルホフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロンを1Lナスフラスコに入れ、89mLの硫酸ジメチルを滴下ロートから均一にかかるように室温下にて滴下した。硫酸ジメチルの滴下後、ナスフラスコ上部に塩化カルシウム管を接続した玉入冷却器を取り付けた。次いで、温度コントローラーのセンサー部分をマントルヒーター上に置き、ナスフラスコを装着した。設定温度を230℃にして加熱を開始した。1−(4−スルホフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロンの粉末が完全に融解し内部が茶色透明の均一状態になるまで、約2時間加熱した。ナスフラスコを室温まで放冷後、氷冷下、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム:113g+純水:500 mL)を徐々に添加した後、発熱、発煙が収まってから、70〜80℃の水浴上でガラス棒にて攪拌しながら反応混合物の固形物を溶解した。さらに、溶解後、pH試験紙で内容液が強アルカリ性(pH11以上)であることを確認した。
4−アミノ−1−(4−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロンの合成
(1)「ニトロソ化工程、単離工程」
4−ニトロソ−1−(4−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロンの合成
実施例1で合成した1−(4−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロン30.0g(0.111mol)を乳鉢で細かくすりつぶし、500mL三つ口フラスコに秤量し、磁気攪拌子を入れた。三つ口フラスコを磁気スターラー上に置いた氷浴(0〜3℃)中に浸し、氷冷した純水111mLを加え、10分程度攪拌した。攪拌下、2〜3℃に冷却した亜硝酸ナトリウム水溶液31mL(亜硝酸ナトリウム13.8g/純水50mL)(0.124mol)と、2〜3℃に冷却した4N塩酸31mL(0.124mol)と、を同時に、5分かけて滴下ロートから滴下した。滴下後、磁気スターラーで3分間激しく攪拌した。生成した沈殿を吸引濾過した。フィルターケーキ上に、2〜3℃に冷却した脱水メタノール約150mLをまんべんなくかけて洗浄し、真空ライン(<2mmHg)に接続して、室温にて、減圧乾燥した。 その後、目的物(4−ニトロソ−1−(4−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロンの合成)25gを得た(収率:75%)。
4−アミノ−1−(4−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロンの合成
上記(1)で得られた4−ニトロソ−1−(4−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロン30g,2−プロパノール450mL(濃塩酸10mL含有)を1000mL三つ口フラスコに秤量し、内部を窒素置換して10%パラジウム/活性炭(wet)6gを加えた。三つ口フラスコの側管にガス導入管(先端内径:φ4mm)を装着する。水素ガスをガス導入管から2−プロパノール溶液中に攪拌しながら通気した。(通気速度:約130mL/分)室温下、12時間、攪拌しながら水素ガスを通気した。反応後、フラスコ内容物を吸引濾過して、2−プロパノール70mLでロート上から洗浄した。濾液を十分に切って、濾過物(目的物の塩酸塩+触媒)を500mLのビーカーに移し,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液160mLを加えて攪拌して目的物を溶解抽出した。セライト−545をロート上に3cm積層してビーカー内容物をロートに注いで吸引濾過を行なった。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液80 mLでロート上から洗浄した。濾液を1Lナスフラスコに移し,ロータリーエバポレーターにて40±3℃の水浴上で乾固するまで減圧濃縮を行なった。真空ライン(<2mmHg)に接続して室温にて減圧乾燥した。生成物にエタノール6Lを加え、目的物を攪拌抽出した。塩化ナトリウム残渣を濾別して濾液をナスフラスコに入れ,ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮を行ない、溶媒を留去して、真空ライン(<2mmHg)に接続して室温にて減圧乾燥して目的物22gを得た(収率:72%)。純度95%以上(HPLC)。
4−アミノ−1−(4−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロンの合成
実施例2の(1)で合成した4−ニトロソ−1−(4−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロン4.0g(0.0134mol)を、500mLナスフラスコに秤量した。ナスフラスコに、磁気攪拌子を入れ、磁気スターラー上に置いた氷浴中に浸しクランプで固定した。 それに、2〜3℃に冷却したメタノール156mLを入れ、3秒間攪拌して分散させた。亜鉛粉末6.6g(0.100mol)、2〜3℃に冷却した2N塩酸54mL(0.108mol)を加えて、5分間攪拌を続けた。反応後、ナスフラスコ中の内容物を吸引濾過して亜鉛残渣を濾別した。亜鉛残渣を、純水を用いてロート上で洗浄して、濾液と洗液をあわせ、ナスフラスコに入れた。ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮を行ない、溶媒を留去した。130mLの純水を加えて濃縮物を懸濁させ、ビーカーに移して磁気攪拌子を入れ、磁気スターラー上に置いた氷浴中に浸し攪拌を行った。濃縮物のpHをpHメーターでモニターしながら、pHが9.0±0.5になるまで、攪拌下、4N水酸化ナトリウム水溶液をピペットで滴下した。生成した水酸化亜鉛の沈殿物を吸引濾過して水酸化亜鉛残渣を濾別した。水酸化亜鉛残渣を、純水を用いてロート上で洗浄して濾液と洗液をあわせ、ナスフラスコに入れた。ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮を行ない、溶媒を留去して、真空ライン(<2mmHg)に接続して、室温にて減圧乾燥した。ナスフラスコ中の生成物にエタノール800mLを加え、磁気攪拌子を入れ磁気スターラーにて目的物を攪拌抽出した。ナスフラスコ内容物を吸引濾過して塩化ナトリウム残渣を濾別した。塩化ナトリウム残渣を、エタノールを用いてロート上で洗浄して濾液と洗液をあわせ、ナスフラスコに入れた。ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮を行ない、溶媒を留去して、真空ライン(<2mmHg)に接続して室温にて減圧乾燥して目的物3.7gを得た(収率:90%)。純度95%以上(HPLC)。
1−(3−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロンの合成
200gの1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロンを1000mLナスフラスコに入れ、89mLの硫酸ジメチルを滴下ロートから均一にかかるように室温下にて滴下した後、ナスフラスコ上部に塩化カルシウム管を接続した玉入冷却器を取り付けた。温度コントローラーのセンサー部分をマントルヒーター上に置き、ナスフラスコを装着した。設定温度を230℃にして加熱を開始した。1−(3−スルホフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロンの粉末が完全に融解し内部が茶色透明の均一状態になるまで、約2時間加熱した。ナスフラスコを室温まで放冷後、氷冷下、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム:113g+純水:500 mL)を徐々に添加した後、発熱、発煙が収まってから、70〜80℃の水浴上でガラス棒にて攪拌しながら固形物を溶解した。溶解後、pH試験紙で内容液が強アルカリ性(pH11以上)であることを確認した。反応物をサンプリングし、TLCでチェックを行なった。ナスフラスコ内容液中の黒色不溶物を吸引濾過を行ない濾別した。氷冷下、得られた濾液に120 mLの塩酸を攪拌しながら添加し、pH試験紙で内容液が強酸性(pH1以下)であることを確認した。氷冷下、沈殿が生成するまで攪拌を続けた。生成した沈殿を吸引濾過し、ロート上で、純水500mL、アセトン500mLにて順次洗浄した。真空ラインに接続して、減圧乾燥を行ない、粗生成物180gを得た。粗生成物を2000mLナスフラスコに入れ、純水から再結晶して、純水、アセトンにて洗浄後、減圧乾燥して目的物125gを得た(収率:60%)。純度95%以上(HPLC)。
4−アミノ−1−(3−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロンの合成
(1)「ニトロソ化工程、単離工程」
4−ニトロソ−1−(3−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロンの合成
実施例3で合成した1−(3−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロン30.0g(0.111mol)を、乳鉢で細かくすりつぶし、500mL三つ口フラスコに秤量し、磁気攪拌子を入れた。三つ口フラスコを磁気スターラー上に置いた氷浴(0〜3℃)中に浸し、氷冷した純水110mLを加え、10分攪拌した。攪拌下、2〜3℃に冷却した亜硝酸ナトリウム水溶液31mL(亜硝酸ナトリウム13.8g/純水50mL)(0.124mol)と、2〜3℃に冷却した4N塩酸31mL(0.124mol)と、を同時に、5分かけて滴下ロートから滴下する。滴下後、磁気スターラーで3分間激しく攪拌した。生成した沈殿を吸引濾過した。フィルターケーキ上に、2〜3℃に冷却した脱水メタノール約150mLをまんべんなくかけて洗浄し、真空ライン(<2mmHg)に接続して、室温にて、減圧乾燥して目的物25gを得た(収率:75%)。
(2)「還元工程、抽出精製工程」
4−アミノ−1−(3−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロンの合成
4−ニトロソ−1−(3−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロン30g,2−プロパノール450mL(濃塩酸10mL含有)を1000mL三つ口フラスコに秤量し、内部を窒素置換して10%パラジウム/活性炭(wet)6gを加えた。三つ口フラスコの側管にガス導入管(先端内径:φ4mm)を装着する。水素ガスをガス導入管から2−プロパノール溶液中に攪拌しながら通気した。(通気速度:約130mL/分)室温下、12時間、攪拌しながら水素ガスを通気した。反応後、フラスコ内容物を吸引濾過して、2−プロパノール70mLでロート上から洗浄した。濾液を十分に切って、濾過物(目的物の塩酸塩+触媒)を500 mLのビーカーに移し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液160mLを加えて攪拌して目的物を溶解抽出した。セライト−545をロート上に3cm積層してビーカー内容物をロートに注いで吸引濾過を行なった。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液80mLでロート上から洗浄した。濾液を1Lナスフラスコに移し、ロータリーエバポレーターにて40±3℃の水浴上で乾固するまで減圧濃縮を行なった。真空ライン(<2mmHg)に接続して室温にて減圧乾燥した。生成物にエタノール6Lを加え、目的物を攪拌抽出した。塩化ナトリウム残渣を濾別して濾液をナスフラスコに入れ,ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮を行ない、溶媒を留去して、真空ライン(<2mmHg)に接続して室温にて減圧乾燥して目的物24gを得た(収率:79%)。純度95%以上(HPLC)。
4−アミノ−1−(3−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロンの合成
実施例4の(1)で合成した4−ニトロソ−1−(3−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロン4.0g(0.01mol)を、500mLナスフラスコに秤量した。ナスフラスコに、磁気攪拌子を入れ、磁気スターラー上に置いた氷浴中に浸しクランプで固定した。それに、2〜3℃に冷却したメタノール160mLを入れ、3秒間攪拌して分散させた。亜鉛粉末6.6g(0.1mol)、2〜3℃に冷却した2N塩酸54mL(0.1mol)を加えて、5分間攪拌を続ける。反応後、ナスフラスコ中の内容物を吸引濾過して亜鉛残渣を濾別した。亜鉛残渣を、純水を用いてロート上で洗浄して、濾液と洗液をあわせ、ナスフラスコに入れた。ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮を行ない、溶媒を留去した。130mLの純水を加えて濃縮物を懸濁させ、ビーカーに移して磁気攪拌子を入れ、磁気スターラー上に置いた氷浴中に浸し攪拌を行なった。濃縮物のpHをpHメーターでモニターしながら、pHが9.0±0.5になるまで、攪拌下、4N水酸化ナトリウム水溶液をピペットで滴下した。生成した水酸化亜鉛の沈殿物を吸引濾過して水酸化亜鉛残渣を濾別した。水酸化亜鉛残渣を、純水を用いてロート上で洗浄して濾液と洗液をあわせ、ナスフラスコに入れた。ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮を行ない、溶媒を留去して、真空ライン(<2mmHg)に接続して、室温にて減圧乾燥した。ナスフラスコ中の生成物にエタノール800mLを加え、磁気攪拌子を入れ磁気スターラーにて目的物を攪拌抽出した。ナスフラスコ内容物を吸引濾過して塩化ナトリウム残渣を濾別した。塩化ナトリウム残渣を、エタノールを用いてロート上で洗浄して濾液と洗液をあわせ、ナスフラスコに入れた。ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮を行ない、溶媒を留去して、真空ライン(<2mmHg)に接続して、室温にて減圧乾燥して目的物3.6gを得た(収率87%)。純度95%以上(HPLC)。
<実施例5>
試験片による性能評価
0.13Mコハク酸ナトリウム緩衝液(pH=5.0)100mL中に、実施例3で合成した4−アミノ−1−(4−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロン 0.46g 、 N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン 0.95g、Triton X−100 3.0g、グルコースオキシダーゼ 150K unit、ペルオキシダーゼ 250K unitを溶解して塗工液を作成した。ポリエーテルスルホン膜(テルモ株式会社製、膜厚130μm)に塗工液を塗布し、35℃で18時間乾燥を行なった。膜を1cm角の正方形に打ち抜き、試験片を得た。試験片を反射分光光度計検出部に固定した後、1μLの検体を試験膜上部より滴下し、10秒後の反射吸光度を測定した。ヘマトクリット値40、種々のグルコース濃度の血液で測定した値から検量線を作成し、定量感度を観察した。(図1)反射吸光度値はそれぞれの試験片に対して最高となる時間の値を用いた。図1中、x軸に反射吸光度、y軸に血糖値をとっているため、傾きがなだらかなほど感度が高いことを意味する。
図2から示されるように、本発明の製造方法により合成した中間体を用いて合成された4−アミノ−1−(4−スルホフェニル)−2,3−ジメチル−5−ピラゾロンを用いた試験片の検量線の傾きは、従来から広く使用されている4−アミノアンチピリン(4−AA)を用いた場合より改善され、測定感度を有意に向上させることが示される。
Claims (11)
- 下記化学式1:
で示される化合物またはその塩を、亜硝酸塩を用いてニトロソ化する、ニトロソ化工程と;
前記ニトロソ化工程の後、
下記化学式2:
で示される化合物またはその塩を単離する、単離工程と;
前記単離工程により得られた化学式2で示される化合物またはその塩を、接触水素還元する、還元工程と;
を含む、
下記化学式3:
で示される酸化発色化合物またはその塩の製造方法。 - 前記ニトロソ化工程において、亜硝酸塩の量が、化学式1で示される化合物またはその塩に対して1.0〜1.5倍モルである、請求項1に記載の製造方法。
- 前記ニトロソ化工程におけるニトロソ化反応を、化学式1で示される化合物またはその
塩に対して1.0〜1.5倍モルの酸を用いて行う、請求項1または2に記載の製造方法。 - 前記ニトロソ化工程において、酸またはその水溶液と、亜硝酸塩の水溶液と、を同時に化学式1で示される化合物またはその塩の水溶液に滴下して添加する、請求項3に記載の製造方法。
- 前記還元工程において使用する触媒が、パラジウム炭素である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記パラジウム炭素の量が、前記単離工程により得られた化学式2で示される化合物またはその塩に対して重量%で5〜20%である、請求項5に記載の製造方法。
- 前記還元工程における還元反応を、前記単離工程により得られた化学式2で示される化合物またはその塩に対して1〜30倍モルの酸を用いて行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記還元工程を、反応溶媒を用いて行い、該反応溶媒が、アルコールである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記アルコールが、2-プロパノールである、請求項8に記載の製造方法。
- 前記還元工程を、反応溶媒を用いて行い、該反応溶媒の量が、前記単離工程により得られた化学式2で示される化合物またはその塩1gに対して5〜100mLである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記還元工程後、反応溶液から不溶物を濾取し、該不溶物にアルカリ水溶液を加えて化学式3で示される酸化発色化合物を溶解し、触媒を除去した後、溶媒を除去して固化した反応混合物から、アルコールを用いて、化学式3で示される酸化発色化合物の塩を抽出する、抽出精製工程をさらに含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
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