JP5328557B2 - 表面保護用積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の各種部品、製品の塗装面等の表面を一時的に保護する表面保護用積層フィルムに関する。さらに詳しくはバンパー等自動車部品のサイズに合わせ所定の寸法に切り裂き容易に表面包覆が出来る、且つ再使用可能な表面保護用積層フィルムに関する。
表面保護フィルム、マスキングフィルム等と言われるものは、フィルム全面が粘着層となっており対象物の被保護体(以下、被着体、被包装体ということもある。)に全面ピッタリ張り付き対象物の表面を保護するように使用されている。このような全面密着型のフィルムでは、粘着剤の一部が被保護体表面に転写される、所謂糊残りと言われる問題が懸念される。糊残りを防止するべくメタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体を粘着層に使用することが提案されている(特許文献1、2参照)。
一方、自動車バンパー等は、塗装を施した後自動車本体に組み込むまでの間、保管或いは流通段階では通常保護フィルムが貼着される。全面密着型のフィルムを用いた場合、塗料成分に含まれる揮発性溶剤が揮発し、保護フィルムと被着体との間で気泡になりやすく、その部分が膨れとなって、保護フィルムを被着体にきれいに貼着しにくいという問題がある。このような問題を解決するために、紙を基材に用いる方法、粘着剤層面に気体の流通経路を設けて、保護フィルムの貼着時に揮発分をこの経路を介して逃す方法が試みられている(特許文献3、4、5)。紙を基材に用いる方法では、強度が十分とはいえず、一回使用すれば剥がす時に破れてしまうため繰り返し使用ができず、省資源、合理化という観点から問題があった。また、粘着剤層面に気体の流通経路を設ける方法では粘着剤層が揮発成分に侵されてしまい流通経路がふさがり、充分な流通を阻害する問題がある。
本発明の課題は、バンパーのような被包装体の表面外観に外傷が付くのを防止するとともに、塗装などによる被包装体から揮発または発散する溶剤、臭気、蒸気、気体などを容易に揮散させる機能を有するとともに、被包装体の保護のための包装作業が容易にできるようなフィルム構造からなり、しかも包装および剥ぎ取りの作業が容易にできる粘着構造からなり、数度の繰り返しの再利用ができるので材料の消耗が少ないという、一定の強度、一定の機能を備えた省力、省資源の機能を備えた表面保護フィルムを提供することにある。
本発明者等は、かかる課題を解決すべき種々の手法を検討した結果として、本発明の表面保護用積層フィルムは本質的に以下のようものである。
詳細には、非粘着層と粘着部と非粘着部を有する層の積層フィルムである。フィルム巾の両端部が粘着部となっておりバンパーをフィルムでくるみ、フィルムの両端部粘着部位通しを密着させて包覆を完了する。バンパー本体と保護フィルムは密着せず僅かな空間が存在することから残留溶剤の拡散が容易となる。更には保護フィルムに微細の(1〜2mm径)穴加工を施すことにより更に溶剤を抜けやすくする。また粘着剤が直接バンパーに触れることがないため、所謂糊残り等の問題も全くない。フィルム素材はポリオレフィン系であり紙の様に一度使用で破れることはなく、数度の繰り返し使用が可能となる。
即ち、本発明の第1の特徴は、基材層の片面に粘着剤層を設けた表面保護用積層フィルムにおいて、粘着剤層が非粘着部と、フィルムの端縁部に形成された粘着部とを有し、粘着部と非粘着部の境界が一体成形により密接に接合した状態で構成される層であることを特徴とする表面保護用積層フィルム、にある。
本発明の第2の特徴は、粘着剤層は、該層に於ける粘着部と非粘着部のフィルム面に対する割合が粘着部2〜90%、非粘着部98〜10%であることを特徴とする表面保護用積層フィルム、にある。
本発明の第の特徴は、粘着剤層は、非粘着部と粘着部とが平坦面であることを特徴とする表面保護用積層フィルム、にある。
本発明の第の特徴は、基材層が高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メチルメタアクリレート共重合体、ポリプロピレンから選ばれた少なくとも1種から成るフィルム層であり、粘着剤層の粘着部がスチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリウレタンゴム等のエラストマーまたは、低結晶性α−オレフィン共重合体、非晶性α−オレフィン共重合体または、エチレン・α−オレフィン共重合体の少なくとも1種を含む部位からなることを特徴とする表面保護用積層フィルム、にある。
本発明の第の特徴は、前記粘着部のエチレン・α−オレフィン共重合体がメタロセン触媒を用いて製造された、MFRが0.5〜20g/10分、密度が0.850〜0.915g/cmであることを特徴とする表面保護用積層フィルム、にある。
本発明の第の特徴は、両端粘着部同士を密着させた時の密着力が50N/m以上であり且つ、再剥離、再密着後の密着力も50N/m以上を維持することを特徴とする表面保護用積層フィルム、にある。
本発明の第の特徴は、直径10mmφ以下の穴を合計穴面積がフィルム全体面積の10%を越えない範囲で穴開け加工された表面保護用積層フィルム、にある。
本発明の第の特徴は、前記に記載の表面保護用積層フィルムで保護体をくるみ、端縁部の粘着部同士を密着させて包覆することを特徴とする表面保護方法、にある。
本発明の第の特徴は、前記表面保護用積層フィルムからなる自動車バンパー用保護フィルム、にある。
本発明の第10の特徴は、基材層と、基材層の片面に設けた、円周方向に非粘着部と粘着部とを有する粘着層とからなる筒状の積層フィルムを、フィルムの巾方向両端部に粘着部を配するように前記粘着部を切り開くことを特徴とする表面保護用積層フィルムの製造方法、にある。
本発明の表面保護用積層フィルムの効果は、バンパーのような被包装体の表面に外傷が付くのを防止するという表面保護は勿論のこと、塗装などによる被包装体から揮発または発散する溶剤、臭気、蒸気、気体などの残留溶剤の拡散による揮散が容易にできるような機能を有するとともに、被包装体の保護のための包装現場における包装作業が容易にできるような表面保護用積層フィルム構造からなり、少なくとも積層フィルム巾の両端部が粘着部となっており、バンパーのような被包装体を積層フィルムでくるみ、積層フィルムの両端部粘着部位同士を密着させて包覆を完了するというような、包装現場における包装および剥ぎ取りの作業が容易になるように工夫された材料および構造からなっており、数度の繰り返しにおいても、積層構造に起因して粘着部の剥離、移転がないばかりか、保護用積層フィルムを再利用しても密着力が著しく低下するような傾向がなく、さらに破れる恐れも無いという利点で、再利用が可能であるために、材料の消費が少ないという、一定の強度、一定の機能を備えた省力、省資源の機能を備えた表面保護用積層フィルムとしての作用効果を奏する。
また、この表面保護用積層フィルムは、積層構造をとるために、基材層と、粘着剤層の材料の特性を変えると、表裏に異なる機能を有する多機能の複合フィルムとなる為に、その用途を拡大することができる。
このような、本発明の表面保護用積層フィルムは、慣用の成形手段に従って、基材層を形成する材料、粘着剤層を形成する材料を、供給する手法を調整することにより、生産性の高い合理的な手法により製造することができる。
本発明の表面保護用積層フィルムの立体概要図 本発明の表面保護用積層フィルムの横断面図 本発明の表面保護用積層フィルム応用別態様の横断面図 本発明の表面保護用積層フィルムの粘着部安定原理図 表面保護用積層フィルムにより被包装体を表面保護した概要図 積層フィルム成形体を切り開き表面保護用積層フィルムを製作する概要図 本発明の表面保護用積層フィルムのインフレーション成形および穴開け加工の概要図
本発明の表面保護用積層フィルムは、基材層の片面に粘着剤層が設けられており、その粘着剤層が非粘着部と、フィルムの端縁部に形成された粘着部とを有する層により構成されている。より詳細には、表面保護用積層フィルムの成形方法を参考にして、該積層フィルムの成形における走行方向を、長尺方向(Y)と定義して、その長尺方向と直交する方向を幅方向(X)と定義して表示するならば次のようになる。基材層(1)の片面に粘着剤層(2)を設けた表面保護用積層フィルムにおいて、幅方向(X)の該積層フィルムの寸法幅(W)のほぼ中央部分にあって、長尺方向(Y)に伸びる中心線に沿って、その中心線を支点にほぼ左右対称に、該粘着剤層の粘着部が、積層フィルムの左右両端縁部に沿って、一定の幅を有する帯状物のような形態で、長手方向(Y)に伸びる中心線に平行するように形成されており、積層フィルムの中心線寄りの残りの部分は非粘着部から形成されていることを特徴とする表面保護用積層フィルムである。
実際には、図1に見られるように、矢印で示すフィルムの長尺方向(Y)に沿ってフィルムの両縁部に粘着部(22)が帯状に形成されている。この表面保護用積層フィルムの長尺方向の長さ(L)は製造方法にもよるが、通常ロールなどに巻き取って使用現場に輸送などをする場合が多く、しかも被包装体の長さに相当する寸法で任意に切り取って使用する関係上、ロール巻きの大きさにより決まる値であり、通常は、Lは30〜10000mの長さで巻き取った、重量、容積、長さなどの取り扱いの容易な状態を考慮して決める値であって、その所定のロール巻き単位のものとして流通することが好ましい。又、もし、被包装体の長尺方向の寸法が予めわかっているならば、所定の寸法に切り易くするために、ミシン針目を所定間隔に入れることも推奨される。
一方、フィルムの長尺方向(Y)に対して、それと直行する幅方向(X)の表面保護用積層フィルムの幅方向の長さ(W)について吟味すれば、この幅(W)の寸法は、原則、自動車バンパー、自動車部品、自動車部材のような、いわゆる表面保護用積層フィルムの包む各種被包装体の大きさにより決まる幅の長さである。通常は、被包装体の大きさに加えて、のりしろ部の相当する粘着部(22)を考慮した、Wは10〜200cm程度の幅の長さがあれば、十分に対応できる。
しかし、実際には、被包装体を、例えば特定にメーカーの自動車バンパーというように、予め、被包装体の寸法が、例えば円周の長さを60cmというように決まっているならば、それを包むだけの寸法を備えた幅のある表面保護用積層フィルムを提供するのが好ましい。
この幅の長さを仔細に説明をすれば、粘着部(22)の幅(W22)は、0.1〜20cm、好ましくは0.5〜10cm、より好ましくは、2〜5cm程度あれば十分である。この粘着部(22)は、フィルムの両縁部に帯状に左右に2つ配置されている。一方非粘着部(21)の幅の長さ(W21)は、表面保護用積層フィルムの全体の幅の長さ(W)から、二つの粘着部(22)の幅の長さ(W22)を減じた、いわゆる、W21=W−2×W22、cmの長さで表される。
この表面保護用積層フィルムにおいて、長尺方向の長さ(L)と幅方向の長さ(W)の積により決まる表面保護用フィルムの面積(S)は、L×W cmで表され、粘着剤層(2)を構成する粘着部(22)の表面積(S22)は、S22=2×L×W22、であり、非粘着部(21)の表面積(S21)は、S21=L×W21、で表される。粘着部の表面積(S22)および非粘着部の表面積(S21)を表面保護用フィルムの面積(S)に対する割合(S22/S×100 %、S21/S×100 %)で示すと、粘着部(S22)は2〜90%、好ましくは、5〜30%程度であり、非粘着部(S21)は98〜10%、好ましくは、70〜95%である。
このような、表面保護用積層フィルムは、一般的には、基材層と、基材層の片面に設けた、円周方向に非粘着部と粘着部とを有する粘着材層とからなる筒状の積層フィルムの粘着部を切り開き、フィルムの巾方向両端部に粘着部を配する方法により能率的に製造することができる関係上、図2に示すような、基材層(1)の表面にほぼ左右対称に粘着部(22)が配置され、前記両粘着部間に非粘着部(21)が配置した積層構造になる。このような構造の表面保護用積層フィルムを使用して表面保護をするならば、例えば、図5に示すような、被包装体(5)を表面保護用積層フィルムにより包み込み包装をすれば、幅方向にほぼ左右対称に配置されている粘着部(22)同士が粘着することにより包被状態が達成される。
しかし、表面保護用積層フィルムの成形方法を工夫すれば、図3の図3aに見るような、粘着部(22)の幅方向の両端部に、保護フィルムとして使用した後に、剥ぎ取る為に便利なつまみ部(211)を設けることなど設計変更の範囲内のことである。又、図3の3bに示すように、基材層(1)に接着部(11)を設け、粘着剤層(2)に粘着部(22)を対称に設けることも設計変更の範囲内のものである。さらに、表面保護用積層フィルムの長尺方向に対して、縦縞状に粘着部(22)の帯状物を複数設けておれば、包装現場で、被包装体の大小に合わせて適用できるので便利であり、汎用性が高まり、このような表面保護用積層フィルムの構造も本発明の設計変更の範囲内のものである。
本発明の表面保護用積層フィルムの厚さ(T)は、フィルム全域がほぼ均一な厚さの少なくとも二層フィルムであって、その厚さは基材層(1)の厚さ(T1)と粘着剤層(2)の厚さ(T2)を加算した厚さになる。この厚さ(T)は、その基材層(1)を如何なるプラスチック材料を使用するか、如何なる成形条件に基づくか、或いは、被包装体の表面保護の程度などを考慮して決める値である。
勿論、本発明の表面保護用積層フィルムは、塗布、流延、被覆などにより、粘着剤層(2)性能を低下させない範囲で表面層を形成するというような、いわゆる、他の機能を付加するために、他の機能を有する樹脂、材料からなる他の層を積層することにより、3層、4層のような積層構造に形成することも可能である。
非粘着層でもある基材層(1)の厚さは、1〜100μ、通常は10〜60μ、好ましくは40〜50μ程度あれば十分である。同様に粘着部(22)および非粘着部(21)を構成する粘着剤層(2)の厚みは、1〜60ミクロン、通常は5〜40μ、好ましくは10〜20μ程度である。これは表面保護用積層フィルムの外部からの接触に耐え得る程度の表面保護の為の厚さを有しなければならないということや、表面保護用積層フィルムのある程度の腰の強さを保持する為の、一定の厚さを有しなければならない。
粘着部(22)と非粘着部(21)に段差があるとか、厚みにむらがあるということなどは好ましくなく、粘着剤層(2)は、基材層(1)同様に、製品全体において万遍にほぼ均一な厚さを有することが好ましい。
この表面保護用積層フィルムの厚さ(T)の均一性は、最も適正なインフレーション成形などによる場合に、その成形方法を工夫することによって、一体成形をした場合には、非常に合理的に均一な厚さの二層構造の状態になっていること、即ち、粘着剤層は、非粘着部と粘着部とが段差の無い平坦面であることを特徴としている。
この厚さ(T)が均一であるということは、表面保護用積層フィルムをロール巻きにして、保管、輸送、利用する場合に、偏心により、崩れや、偏りが無く、均一にロール巻きができるばかりでなく、巻き取りまたは重ね積み状態で、特定の部分、例えば接着部(22)だけに集中して押圧がかかり、過度に密着するというようなおそれが無いばかりか、二層構造であるが故に表面保護用積層フィルム自身の強度の、腰の強さなどが保持されること、および品質の均一な製品となり、表面保護用積層フィルムの特性、機能を高めることになる。
本発明の重要な点は、着剤層(2)が、着部(22)と非着部(21)の境界が、例えば一体成形などにより、図4の4aの接合部(23)に示すとおり密接に接合した状態で構成されているということである。これが、もし、従来型の図4の4bに示すように、基材フイルム(1)の表面に、着部(22)を塗布、流延、転写、押出被覆などにより形成した、いわゆるのりしろ構造の場合には、着部(22)のアンカー効果ともいえる固定性が弱い。例えば、ロール巻きの状態から表面保護用積層フィルムを切り取って使用する場合に、または表面保護用積層フィルムを再利用する場合に、着部(22)の材料が、図4bの矢印の方向に容易に剥離して、ロール表面の基材層(1)の裏面に残ることも有り得る。さらに、表面保護用積層フィルムを、保護フィルムとして使用した後に、剥ぎ取り、再利用する場合に、粘着部(22)の粘着または粘着部相互の粘着によって、粘着部材料の剥離、損傷、残留することが有り得る。
しかし、本発明の表面保護用積層フィルムの構造の場合には、図4の4aに示すとおり、粘着部(22)と非粘着部(21)の境界(23)が密着または接合したような状態で隣接しているために、着部(22)のアンカー効果を高めることにより、ロール巻き取り段階の輸送における、積荷による押し付けなどによる過度の押圧があっても、非粘着部(21)が加重の付加を分散するために、粘着部だけに過度に荷重圧がかかり、必要以上に密着することがないし。再利用においてフィルムの剥離を繰り返しても、着部(22)の剥ぎ取り、損傷、粘着力の低下などが非常に少ないということが本発明の特徴の一つである。
表面保護用積層フィルムの、粘着部(22)として、粘着部樹脂の表面酸化などの手法は一応考えられ、例えば、コロナー放電処理、クロム酸処理、火炎処理などの慣用の手段により処理する手法も一応考えられる。これらの表面酸化方法は、一定の粘着強度を有する樹脂にすること、粘着強度の長期持続性、および繰り返し再利用における粘着強度の低下などに若干の不安定な要件がある。本発明のように潜在的に粘着性を有する樹脂を選択することによって、それを粘着部(22)として使用することが、表面保護用積層フィルムの一体成形性の容易性などの本発明の特有の有利な点があるばかりでなく、成形品に於いても、粘着性強度付与、長期持続性、および繰り返しの再使用をしても粘着性の特性を維持するという、いわゆる材料設計が可能であるという点で有利である。
さらに、本発明の表面保護用積層フィルムは、本質的に基材層(1)と粘着剤層(2)からなり、被包装体と接触する側の粘着剤層(2)の、特に非粘着部(21)に、ブロッキング防止剤とか、無機フィラーを添加して、滑性を持たせるというような、添加剤、樹脂を変えることにより、必要な他の機能を持たせることができる。一方、基材層(1)には、表面擦り傷などの少ない材料を使用するとか、樹脂の選定を変えると、任意に特性を付与することができる。このように、二つの層の材質、特性、性質、色彩などを変えることにより、特殊な機能を任意に調整した積層構造表面保護フィルムとすることができる。
特に、粘着部(22)の部分を、染料、顔料、着色剤などにより着色すれば、識別が容易になり、フィルムの密着作業、包装作業が容易になり、能率が向上する。
また、被包装体と接触する側の粘着剤層(2)の非粘着部の表面を細かく荒らしたマット状とすることにより、被包装体と保護用フィルムの密着防止効果をより高めることが出来る。具体的にはエチレン・メチルメタアクリレート共重合体或いは、エチレン・酢酸ビニル共重合体と線状低密度ポリエチレンの混合物を該被粘着部に用いることにより目的を達成することが出来る。また、押出成形後にエンボスロール等でニップ加工することにより同様の効果を付与することが出来る。この場合、マット状部フィルムのヘイズ値が30%を越える程度に表面を荒らすとより密着防止効果が高くなる。
このマット状部フィルムの表面構造は、非粘着部のフィルム表面を慣用のサンドブラストによる表面処理をしたものに類似している。あらい砂の場合には、凹凸の大きいマット状部フィルムになる。しかし、本発明の表面保護用積層フィルムをインフレーション成形などにより、連続的に、能率的に、一体に成形する方法の場合には、表面の砂の除去などに時間がかかり、サンドブラストによる表面処理は成形の能率の面からあまり推奨されない。溶剤処理による表面の凹凸化の場合も、同じことが言える。このようなマット状表面構造は、慣用的にはエンボスロール等で均一に、非粘着部の表面に均一に分布した凹凸構造を形成した機械加工による表面保護用積層フィルムが好ましい。
また、非粘着部に、タルクのような滑性の無機粒子を0.1〜5.0重量%程度配合すれば、フィルム表面に無機粒子の多数が均一に突出して、滑性を良くするとともに、ブロッキング防止、密着性防止などの機能を果たすことが期待される。また、梨地加工による表面処理も適している。
さらに、被包装体と接触する側の粘着剤層(2)の非粘着部表面にスジ状の凹凸を付けることにより被包装体と保護用フィルムの密着防止効果を高めることも出来る。具体的にはフィルム成形時に使用する環状ダイのリップ出口に縦スジの凹凸を付けることで目的のフィルムが得られる。スジの形状は任意であるが、概ね巾が0.5〜2.0mm、深さは0.1〜2.0mm程度である。
このスジ状の凹凸を付けると言うことは、別の表現をすれば、非粘着部の表面に、規則的なまたは非規則的な多数のリブを設けた表面リブ構造であると言うことができる。このような非粘着部の表面を多数の表面リブ構造にすれば、表面保護用積層フィルムの被包装体への密着防止、ブロッキング防止効果などが高まる。さらには、気体、溶剤、湿気、臭気などが被包装体と表面保護用積層フィルムの境界の隙間を移動するのが容易になり、塗装などから発生する揮発溶媒を継続的に放散することになるから、包装、開封作業者の一時的な溶剤、臭気の大量発生による健康被害を防止するという副次効果が期待される。そして、表面リブ構造は、その構造に起因して、若干フィルムの腰の強さを高める効果もあるからフィルムの取り扱い性を良くすることができる。
本発明の表面保護用積層フィルムは、上記構造によって特徴付けられるばかりでなく、表面保護用積層フィルム自体に、適度の気体透過性を持たせることにある。包装現場の作業において、被包装体と表面保護用積層フィルムの間に巻き込まれる空気を除くことによって、外面のきれいな包装をすることや、被包装体からの塗料溶剤の揮発、臭気、湿気、被包装体と表面保護用積層フィルムの間に介在する空気、熱膨張による膨れの原因となる空気などを放出する必要があり、特に包装体の、保管、または流通段階において透過させないと、表面保護用積層フィルムが膨れ上がり表面保護包装が適正になされないということや、表面保護用積層フィルムの剥離現場にける過度の溶剤臭の集中発生が有り得る。
この為に表面保護用積層フィルムには、常時溶剤、空気などを揮散させる機能が求められる。外部から塵埃、塵、汚染物が侵入しない程度に、表面保護用積層フィルムを透過性にする為には、微多孔性にすることも好ましい。表面保護用積層フィルムを微多孔性にするためには、発泡剤を添加して微多孔性にするとか、延伸によるフイブリル化などの方法もある。しかし、表面保護用積層フィルム全体に万遍にしかも均一に、簡単な方法で穿孔する方法としては、走行する成形済みもフィルムを、ロール表面に等間隔に針を植設してなる穴開けロールに接触させることにより、規則的な均一な多孔を穿孔することが、表面保護用積層フィルムの品質の均一な製品を製造することにおいて有利である。
具体的には、直径10mmφ以下の穴を、好ましくは5mmΦ以下の、より好ましくは3mmΦ以下の孔を合計穴面積がフィルム全体面積の10%を越えない範囲で、好ましくは、0.01〜1%程度の範囲で穴開け加工された表面保護用積層フィルムであれば十分に通気性の性能を発揮できる。孔の形状は、前記円の場合の直径から算出される穴面積と同程度であればよく、円形、半円形、三角形、四角形、星型などが挙げられるが、フィルムの強度の面からは、応力集中の起きにくい円形が好ましい。
層(1)および非粘着部(21)の層を構成する材料は、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メチルメタアクリレート共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレンから選ばれた少なくとも1種から成るフィルム層が好ましい。ポリオレフィン系樹脂が特に適している。
それらの樹脂は、単独は勿論のこと、任意に他の樹脂、重合体、共重合体、ゴムなどを若干ポリマーブレンドすることにより使用することができる。
特に好ましいのは、非粘着層は、LLDPE(Linear Low−Density Polyethylene線状低密度ポリエチレン)、若しくはLDPE(Low−Density Polyethylene高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン)、またはこれにアンチブロッキング剤を若干添加したものが好ましい。この線状低密度ポリエチレンは、引っ張り特性に優れており、特に引っ張り弾性率、引っ張り降伏強さが高く、しかも破壊しにくい性質を持っており、表面保護用積層フィルムとしての特性を備えたものである。
樹脂の焼却、再利用などを考えれば、有害ガスを発生しない安定なオレフイン系樹脂が推奨されるが、使用後の自然投棄、廃棄などの点から、例えば、再公表特許(WO00/078839)などに見られようなポリ乳酸樹脂、ポリエステル、ポリビニルアルコール、セルロース、などのような、各種生分解性樹脂も一応対象になるが、成形性、積層体としての接合性の面から制約される場合がある。
フィルムに含まれる、例えば可塑剤などの添加剤が移行して、バンパーのような被包装体の表面を汚染したり、変色する恐れもあるので、できれば、ポリ塩化ビニルのような、可塑剤のような添加剤を含む樹脂は好ましくない。さらに、繰り返して使用後に、回収して、廃プラとして再利用する場合に有害でないこと、他の添加剤の影響が無いことや、焼却処分しても、有害ガスの発生ができるだけ少ないこと、焼却温度が高くなり、焼却炉を破損しないことなどの要件を満たすことが適切である。
表面保護用積層フィルムは、何度かの使用後に、回収、廃プラ、原材料としての再利用、使い捨て、焼却などの性格のものではあるが、表面保護用積層フィルムの性能を低下させない範囲で、フェノール系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤のような、アミン系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などを任意に配合することができる。紫外線吸収剤、可塑剤、反応可塑剤、着色剤なども任意に添加できる。又特に重要な添加剤は、表面保護用積層フィルムという性格から、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の帯電防止剤、脂肪酸の金属塩のような金属石鹸、高級脂肪酸、脂肪酸アミド、ワックスのような滑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤などを添加することができる。これらの添加剤は、表面保護用積層フィルムの取り扱いや、性能に影響を与えない範囲で添加することができるが、表面保護用積層フィルムという、いわゆる一時的な仮の使用状態の場合が多く、特殊な機能を発現することを求める場合にはその為の特定の添加剤を添加することが有り得るが、高価な添加剤の使用は省略する場合が多い。
フィルムという性格から添加剤の使用が物性上与える影響から制約されことも有り得るが、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー、カオリン、マイカ、ウオラストナイト、ハイドロタルサイト類のような針状フィラー、無機系の汎用の充填剤などを、表面保護用積層フィルムの本来の性能を低下させない範囲でフィルムの樹脂に対して、0.01〜20重量%程度配合することもできる。
表面保護用積層フィルムの粘着部(22)の層を構成する材料は、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、ポリイソブチレンゴム(IR)、ポリウレタンゴム等のエラストマーまたは、低結晶性α−オレフィン共重合体、非晶性α−オレフィン共重合体または、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体のようなエチレン−αオレフィン共重合体の少なくとも1種を含む単独または複合材料からなる。
それらのゴム、エラストマー、重合体、共重合体の単独は勿論のこと、それらを任意にブレンドすることによるブレンド仕様のものも使用することができる。
この粘着部(22)の着性の程度を調整する為には、ロジン、テルペン樹脂、ワックス類のような天然樹脂、鉱油などの汎用の粘着付与剤を添加することができる。
これらの粘着部(22)は、若干の顔料、染料、色素のような、色材、ドライカラー、ペーストカラーなどを着色剤の添加することにより着色すると、表面保護用積層フィルムにおけるその粘着部(22)の存在が鮮明になるために、その取り扱いや、包装作業、および回収作業が容易になり、非常に便利である。
本発明の前記粘着部(22)の材料として、特にエチレン−α−オレフィン共重合体が適しており、その共重合体は、メタロセン触媒を用いて製造されたものが適している。そのエチレン−α−オレフィン共重合体の特性は、MFRが0.5〜20g/10分、密度が0.850〜0.915g/cmでの範囲にある共重合体樹脂が特に適している。この共重合体は、超低密度にすることにより、自己粘着性を持たせたものであって、具体的には、粘着層;メタロセンによる線状低密度共重合体LL(MFR3、D0.875)のような仕様がある。このエチレン−α−オレフィン共重合体は、独特の構造を有しており、特にリニアー(Linear)構造のものであって、しかも低密度(Low−Density)の共重合体としたことにより、しかも、適度の自己粘着性の性質を備えたものである。
このような粘着部(22)の層を構成するゴム、共重合体は、三塩化チタン、四塩化チタンとトリエチルアルミニウムの組み合わせにより代表される触媒系である慣用のチーグラー・ナッタ触媒により製造することができるが、メタロセン触媒により重合した材料が特に好ましい。メタロセン触媒は、5員環のシクロペンタジエニル環(Cp)又は置換ペンタジエニル環2個が、金属原子(M)をサンドイッチ状に挟んだ、いわゆるメタロセン化合物とアルミノオキサンとを組み合わせた触媒により重合するものである。シングルサイト触媒の、メタロセン触媒による共重合体は、分子量分布(Mw/Mn)が1〜3程度と比較的狭く、比較的低分子量のオリゴマーなどを含む量が少ないから、密着後に剥離しても、それらが低分子量重合体は、剥ぎ取られて後の付着、剥ぎ取られた多方面へ移行する恐れが無いばかりか、成形段階における脱臭おいても有利であり、共押出成形においても、基材層と粘着剤層の樹脂の性質の違いに起因する成形上のトラブルがすくなく、しかも品質が均一であり、安定した材料であるからである。このエチレン−α−オレフィン共重合体は、特表平7−500622号公報等に記載されている重合方法を応用することにより、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)に類似した強度および靭性を示しながら、しかも、適度の粘着性を備えた共重合体であって、このような特性を備えたものは、本発明の表面保護用積層フィルムの粘着部(22)に特に適しており、具体的には、日本ポリエチレン社製、商品名、カーネル「KS240T」などとして入手できる。
粘着部(22)を構成する材料は、線状で、しかも超低密度により自己粘着性をもたせたものであり、この粘着部/粘着部の着強度、密着強度は、表面保護用積層フィルムによる被包装体の包装を安定に維持するためには、通常は10N/m以上、場合によっては30N/m以上、好ましくは50N/m以上にあれば十分である。包装を安定にするためには、着強度が60N/m、80N/m、120N/m、160N/mというように高いほうが好ましいが、密着強度が高すぎると、巻き取りロールによる輸送時の自己密着の発生や、使用後に表面保護用積層フィルムの剥ぎ取りの際に、必要以上の力が加わることになり、表面保護用積層フィルムに歪みや破損が発生することになるから、最初の表面保護後に、その表面保護用積層フィルムを剥ぎ取り再利用するという便利さを考えると、約50N/m以上、120N/m以下程度の着強度があれば足りる。
しかも重要なことは、表面保護用積層フィルムを最初に表面保護に使用して、両端粘着部同士を密着させた場合の密着力が50N/m以上である場合に、それを再度表面保護用積層フィルムとして再利用した場合においても、再剥離、再密着後の密着力も50N/m以上の性能を維持する性質を備えていることが重要であり、密着力が再利用により極度に低下しないという、持続性の密着性能を有することが必要である。具体的には、最初の密着力が、80N/mであっても、再利用した場合の密着力が75N/mというように、少なくとも最適な再利用型の表面保護用積層フィルムに必要な50N/m以上の水準を維持することが好ましい。実用的には、表面保護用積層フィルムを再利用する場合に、粘着部の材料の劣化により、若干密着力が増すことも有り得るが、通常の使用においては、再利用をする場合に、作業現場において剥ぎ取りなどの機械的な力が加わる為に、粘着部に若干の破損が発生することも有り得るし、また、保管、輸送などにおいて粘着部への塵埃の付着なども有り得るので、再利用を繰り返すと、密着力が低下する傾向にある。例えば、通常の状態で使用する場合に、第1回目の使用における密着力に対する第2回目の再利用における密着力の回復率は、65〜98%、好ましくは70〜95%程度の性能を備えていることが推奨される。
本発明の表面保護用積層フィルムの使用態様は、図5に示す要領で、自動車用バンパーのような被包装体を表面保護用積層フィルムでくるみ、端縁部の粘着部同士を密着させて包覆することを特徴とする表面保護方法が典型的な使用態様である。しかし、図3の3bのような、本発明の応用例の表面保護用積層フィルムを使用した場合に、図5に見るような包装形態とは若干相違する。積層フィルムにより被包装体を包む場合に、該積層フィルムによりくるんだ後に、基材層(1)側に設けた粘着部と、粘着剤層(2)側に設けた粘着部とを密着させる表面保護の方法である。さらに、これは現場サイドの使用形態であるが、自動車バンパーなどを簡単な簀巻き状態で表面保護をするように使用することも可能であり、これは、本発明の表面保護用積層フィルムの使用における、設計変更および応用範囲内の使用形態であるが、本発明の技術範囲に属する。
本発明の表面保護用積層フィルムの生産性を考慮した成形法を説明すれば、共押出成形法により、例えば、フィードブロック法、マルチマニホールド法、マルチマニホールド式サーキュラーダイのような、いわゆる多層インフレーション用ダイ内において、環状の樹脂がダイ内で積層するような、各種成形方法を採用することができる。Tダイ、環状ダイ、共押出ダイなどを備えた押出成形などがあるが、特に、インフレーション成形により成形は、基層(1)と粘着剤層(2)が、一体に成形できるという利点がある。そのインフレーション成形方法によることから、本発明の表面保護用積層フィルムの典型的な製造方法は、基材層と、基材層の片面に設けた、円周方向に非粘着部と粘着部とを有する粘着層とからなる筒状の積層フィルムを、フィルムの巾方向両端部に粘着部を配するように前記粘着部を切り開くことにより表面保護用積層フィルムが製造される。
これを、図6を用いて説明すれば、所定の表面保護用積層フィルムの厚さと、表面保護用積層フィルムの幅方向の長さ(W)とを備えた、寸法Φに成形されたインフレーション積層フィルムを、図6aに示すような線の部分を切断すれば、一枚の表面保護用積層フィルムを製造することができるからである。
同様に、図6bに示すように、ダイに供給する樹脂を工夫した成形方法により、インフレーションフィルムに、二つの粘着部(黒塗り部分)を予め作り、それを線に従って切り開くと、二枚の表面保護用積層フィルムを製造することができる。
本発明の表面保護用積層フィルムの作成に適した円周方向に非粘着部と粘着部とを有する粘着層とからなる筒状の積層フィルムの典型的な製造方法を詳細に示す以下のとおりである。
図7に示すように、押出機(E)より樹脂が、インフレーション成形ダイ(D)へ供給される。このダイ(D)は、共押環状ダイの構造はマルチマニホールド式サーキュラーダイというような構造のものであり、このダイに直結した内層非粘着層押出機、外層非粘着層押出機および外層粘着層押出機より、それぞれの二層積層環状フィルム(F)になるように樹脂が供給される。インフレーション成形された環状二層フィルムは、一旦、押し潰された状態で、次の一定の間隔で針が植された穴開ロール(R)と接触させ、所定の間隔で所定量を穿孔する。この孔開けロールは、フレーム加熱(H)により加熱をすることが好ましい。図6の6a、6bに示す要領で、粘着部を構成する部分の中間部分を切り開いて所定の表面保護用積層フィルムを製造することができる。
勿論、慣用の共押出成形による積層フィルムを同時、または逐次延伸により製造することも可能である。
以下に実施例、比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例で用いた物性測定方法、積層フィルムの評価方法は以下の通りである。
1.物性の測定方法
(1)MFR:JIS−K7210に準拠して測定した。
(2)密度:JIS−K7112に準拠して測定した。
(3)ヘイズ:JIS−K7105に準拠して測定した。
2.評価方法
(1)密着力:巾10cm×長さ20cmの面積の粘着部同士を貼り合わせ、その上に底辺10cm×10cm、重量22.5kgの重りを置き23℃の室内に24時間放置する。その後、荷重の掛かっていた10cm×10cmの部分を切り抜き、引張試験機で速度500mm/分の速度で90゜剥離強度を測定した。
(2)再密着力:巾10cm×長さ20cmの面積の粘着部同士を貼り合わせ重量3kgのゴムローラーで圧着する。圧着したフィルムを手指で剥がし、再度同様にして粘着部同士を圧着する。これを5回繰り返した後、同フィルムを前記(1)の方法に則り密着力を測定した。
(3)剥離後被着体臭い:塗装された完成直後のバンパーをそれぞれのフィルムで覆い常温で10日間放置した。その後フィルムを剥がし、被着体の溶剤臭を確認し、以下基準で評価した。
◎;全く臭いなし ○;殆ど臭いなし △;僅かに臭う ×;はっきり臭う
(4)積層フィルムと被着体との滑り度;フィルム外層接触面側と塗装されたバンパーとを接触させフィルムを横ズレさせた時のフィルムとバンパーとの横ズレ密着度合いを以下基準で評価した。
○;横ズレ抵抗あるが密着は無し △;部分的に密着有り ×横ズレせず全面に亘り密着
(実施例1)
三菱化学エンジニアリング社製三種二層インフレーションフィルム成形機(ダイ口径300mmφ、配色マルチ用)を用い、内層用(非粘着層)押出機に日本ポリエチレン社製線状低密度ポリエチレン ノバテックLL「UF230」(MFR1g/10分、密度0.920g/cm)を用い、外層側非粘着部用押出機に同じくノバテックLL「UF230」を用い、外層側粘着部用押出機に日本ポリエチレン社製メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体 カーネル「KS240T」(MFR2.2g/10分、密度0.880g/cm)を用い、成形温度190℃で成膜を行った。得られたフィルムは巾1,000mm、内層非粘着層の厚み45μ、外層(非粘着/粘着)の厚み15μ、外層粘着部の巾両端各70mm、外層非粘着部の巾860mmであり、そのフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例2)
内層用(非粘着層)押出機に日本ポリエチレン社製高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン ノバテックLD「LF440B」(MFR2.8g/10分、密度0.924g/cm)を用い、外層側非粘着部用押出機に同じくノバテックLD「LF440B」を用い、成形温度を170℃とした以外は実施例1と同様に成膜を行った。得られたフィルムは巾1,000mm、内層非粘着層の厚み45μ、外層(非粘着/粘着)の厚み15μ、外層粘着部の巾両端各70mm、外層非粘着部の巾860mmであり、そのフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1で得られたフィルムに巾方向5cm間隔、長さ方向5cm間隔で直径2mmφの穴開け加工を行った。合計穴面積のフィルム全体面積に対する割合は約0.13%であった。そのフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例4)
内層用(非粘着層)押出機に日本ポリエチレン社製線状低密度ポリエチレン ノバテックLL「UF230」を用い、外層側非粘着部用押出機に同じくノバテックLL「UF230」を用い、外層側粘着部用押出機に住友化学社製EMMA樹脂アクリフト「CM8011」を用い成形温度を130〜150℃とした以外は実施例1と同様に成膜を行った。得られたフィルムは巾1,000mm、内層非粘着層の厚み45μ、外層(非粘着/粘着)の厚み15μ、外層粘着部の巾両端各70mm、外層非粘着部の巾860mmであり、外層非粘着部のヘイズ値が50%のマット状フィルムが得られた。そのフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例5)
インフレーションフィルム成形ダイのダイリング側に巾1mm、深さ1mm、ピッチ2mm間隔で溝加工されたダイを用いた以外は実施例1と同様に成膜を行った。得られたフィルムは巾1,000mm、内層非粘着層の厚み45μ、外層(非粘着/粘着)の厚み15μ、外層粘着部の巾両端各70mm、外層非粘着部の巾860mmであり、外層側表面に巾方向約4mm間隔でスジ加工されたフィルムを得た。そのフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
坪量70g/mのクラフト紙にゴム系の粘着剤が塗布された市販品の表面保護材を同様にして評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1と同様の成形機を用い、内層用押出機にノバテックLL「UF230」を用い、外層用押出機2台にカーネル「KS240T」を用い内層(非粘着層)の厚み45μ、外層(粘着層)15μの外層側全面粘着部の積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例3)
三種二層インフレーションフィルム成形機の外層側の粘着部、非粘着部が線状に交互に配して押し出されるマンドレルを用い実施例1と同様に内層用(非粘着層)押出機に日本ポリエチレン社製ノバテックLL「UF230」を用い、外層側非粘着部用押出機に同じくノバテックLL「UF230」を用い、外層側粘着部用押出機に日本ポリエチレン社製カーネル「KS240T」を用い、成形温度190℃で成膜を行いフィルム巾1,000mm、内層非粘着層の厚み45μ、外層(非粘着/粘着)の厚み15μ、外層粘着部の巾50mm、外層非粘着部の巾50mmが交互に配され気体の流通経路が設けられた積層フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例4)
内層用(非粘着層)押出機にノバテックLL「UF230」を用い、外層側非粘着部用押出機に同じくノバテックLL「UF230」を用い、外層側粘着部用押出機に日本ポリエチレン社製メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体ハーモレックス「NF366A」(MFR1.5g/10分、密度0.919g/cm)を用い、実施例1と同様に成膜を行った。得られたフィルムは巾1,000mm、内層非粘着層の厚み45μ、外層(非粘着/粘着)の厚み15μ、外層粘着部の巾両端各70mm、外層非粘着部の巾860mmであり、そのフィルムの評価結果を表1に示す。
本発明の表面保護用積層フィルムは、再利用、再現性を有するために、例えば、自動車外装、自動車のバンパー、ボンネット等のような自動車部品工場と、自動車組立工場の間を部品などを輸送する場合に、その部品から剥ぎ取った、使用済みの、一定の寸法を有する表面保護用積層フィルムをまとめて束ね、組立工場から部品工場に返送するというような、定期的に、比較的な大規模な輸送関係が確立されている流通システムにおいて、再利用をしながら、部品の表面を保護することができるので、最終製品の製品価値を下げない役割を果たすという有利に機能を備えた材料である。このような流通システムが確立されている製造業界、流通業界の産業分野においては、省力、省エネ、省資源を兼ね、本発明の表面保護用積層フィルムは優れた機能を発現することができるので、自動車製造産業に限られるわけではなく、他に分野にも容易に転用できる機能材料である。使用中に有害な物質を出すような材料ではなく、使用後における最終処分においても、比較的有害なガス、塵埃、塵灰も少ないので、地球環境にやさしい材料である。
1 基材層
11 粘着部
2 粘着剤層
21 非粘着部
211 引き剥ぎ用つまみ部
22 粘着部
23 密着接合部
包装体
D 成形用ダイ
E 押出機
F フィルム
H フレーム加熱部
R 穴開けロール
T 巻取機
特開平8−311419号公報 特開平9−70931号公報 特開平11−209704号公報 特開2001−234130号公報 特開2005−200499号公報

Claims (10)

  1. 基材層の片面に粘着剤層を設けた表面保護用積層フィルムにおいて、粘着剤層が非粘着部と、フィルムの端縁部に形成された粘着部とを有し、粘着部と非粘着部の境界が一体成形により密接に接合した状態で構成される層であることを特徴とする表面保護用積層フィルム。
  2. 粘着剤層は、該層に於ける粘着部と非粘着部のフィルム面に対する割合が粘着部2〜90%、非粘着部98〜10%であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護用積層フィルム。
  3. 粘着剤層は、非粘着部と粘着部とが平坦面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面保護用積層フィルム。
  4. 基材層が高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メチルメタアクリレート共重合体、ポリプロピレンから選ばれた少なくとも1種から成るフィルム層であり、粘着剤層の粘着部がスチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリウレタンゴム等のエラストマーまたは、低結晶性α−オレフィン共重合体、非晶性α−オレフィン共重合体または、エチレン・α−オレフィン共重合体の少なくとも1種を含む部位からなることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の表面保護用積層フィルム。
  5. 前記粘着部のエチレン・α−オレフィン共重合体がメタロセン触媒を用いて製造された、MFRが0.5〜20g/10分、密度が0.850〜0.915g/cmであることを特徴とする請求項に記載の表面保護用積層フィルム。
  6. 両端粘着部同士を密着させた時の密着力が50N/m以上であり且つ、再剥離、再密着後の密着力も50N/m以上を維持することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の表面保護用積層フィルム。
  7. 直径10mmφ以下の穴を合計穴面積がフィルム全体面積の10%を越えない範囲で穴開け加工された請求項1〜のいずれか一項に記載の表面保護用積層フィルム。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の表面保護用積層フィルムで被保護体をくるみ、端縁部の粘着部同士を密着させて包覆することを特徴とする表面保護方法。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の表面保護用積層フィルムからなる自動車バンパー用保護フィルム。
  10. 基材層と、基材層の片面に設けた、円周方向に非粘着部と粘着部とを有する粘着層とからなる筒状の積層フィルムを、フィルムの巾方向両端部に粘着部を配するように前記粘着部を切り開くことを特徴とする表面保護用積層フィルムの製造方法。
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