JP5327293B2 - 不揮発性磁気メモリ装置 - Google Patents
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Description
本発明は、不揮発性磁気メモリ装置に関する。
情報通信機器、特に携帯端末等の個人用小型機器の飛躍的な普及に伴い、これらを構成するメモリ素子やロジック素子の各種半導体装置には、高集積化、高速化、低電力化等、一層の高性能化が要請されている。特に不揮発性メモリは、ユビキタス時代に必要不可欠であると考えられている。電源の消耗やトラブル、サーバーとネットワークとが何らかの障害により切断された場合でも、不揮発性メモリによって重要な情報を保存、保護することができる。また、最近の携帯機器は不要の回路ブロックをスタンバイ状態とし、出来る限り消費電力を抑えるように設計されているが、高速のワークメモリと大容量ストレージメモリを兼ねることができる不揮発性メモリが実現できれば、消費電力とメモリの無駄を無くすことができる。また、電源を投入すると瞬時に起動できる「インスタント・オン」機能も、高速、且つ、大容量の不揮発性メモリが実現できれば可能となる。
不揮発性メモリとして、半導体材料を用いたフラッシュメモリや、強誘電体材料を用いた強誘電体型不揮発性半導体メモリ(FERAM,Ferroelectric Random Access Memory)等を挙げることができる。しかしながら、フラッシュメモリは、書込み速度がマイクロ秒のオーダーであり、書込み速度が遅いという欠点がある。一方、FERAMにおいては、書換え可能回数が1012〜1014であり、SRAMやDRAMをFERAMに置き換えるにはFERAMの書換え可能回数が十分とは云えず、また、強誘電体層の微細加工が難しいという問題が指摘されている。
これらの欠点を有さない不揮発性メモリとして、MRAM(Magnetic Random Access Memory)と呼ばれる不揮発性磁気メモリ素子が注目されている。このMRAMの中でも、TMR(Tunnel Magnetoresistance)効果を用いたMRAMは、近年のTMR材料の特性向上により注目を浴びている。TMRタイプのMRAMは、構造が単純で、スケーリングも容易であり、また、磁気モーメントの回転により記録を行うために、書換え可能回数が大である。更には、アクセス時間についても非常に高速であることが予想され、既に100MHzで動作可能であると云われている。
ところで、MRAMにおいて、記録した情報を安定に保持するためには、情報を記録する記録層が一定の保磁力を有していることが必要である。一方、記録された情報を書き換えるためには、ビット線に或る程度の電流を流さなければならない。ところが、MRAMの微細化に従い、ビット線も細くなるため、充分な電流を流すことが困難となりつつある。そこで、より少ない電流で磁化反転が可能な構成として、スピン注入による磁化反転を応用したスピン注入型磁気抵抗効果素子が注目されている(例えば、特開2003−17782参照)。ここで、スピン注入による磁化反転とは、磁性体の中を通過してスピン偏極させた電子が、他の磁性体に注入されることにより、他の磁性体において磁化反転が生じる現象である。スピン注入型磁気抵抗効果素子にあっては、MRAMと比較して、デバイス構造を単純化することができる。また、スピン注入による磁化反転を利用することにより、外部磁界によって磁化反転を行うMRAMと比較して、素子の微細化が進んでも書込み電流が増大しないという利点、セル面積を縮小できるといった利点を有する。しかしながら、微細化に伴い、熱擾乱によるデータ保持特性の劣化が問題となる。
従来の面内磁化型のスピン注入型磁気抵抗効果素子にあっては、データの記録、保持のために記録層の形状磁気異方性を利用している。そして、熱擾乱によるデータ保持特性の劣化といった問題を解決するために、記録層の磁化容易軸に沿った長さと磁化困難軸に沿った長さとの比(アスペクト比)を大きく取っている。然るに、このような解決策では、セルサイズを一層縮小化することは困難である。
一方、記録層における磁化容易軸が垂直方向を向いている垂直磁化型のスピン注入型磁気抵抗効果素子は、データ保持のために形状磁気異方性に依存しない構造であり、セルサイズを縮小することが可能である。しかしながら、一般に、垂直方向に結晶磁気異方性を有する材料は分極率が低いため、MR(磁気抵抗,Magneto Resistive)が小さい。一方、分極率が大きい材料は、面内方向に結晶磁気異方性を有しているが故に、垂直磁化型には用い難い。このような問題を解決する方法が、例えば、特表2007−525847に開示されている。この方法にあっては、スピン注入型磁気抵抗効果素子に設けられた記録層内に応力増加層を挿入し、磁歪で磁気異方性を付与する。しかしながら、応力増加層を記録層内に挿入するので、磁気特性の劣化や分極率を低下させ、MRが低下する可能性がある。
従って、本発明の目的は、記録層における磁化容易軸が垂直方向を向いている垂直磁化型の不揮発性磁気メモリ装置であって、記録層における磁化容易軸をより確実に垂直方向に向かせ得る構成、構造を有する不揮発性磁気メモリ装置を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置は、
(A)磁化容易軸が垂直方向を向いている記録層を有する積層構造体、
(B)積層構造体の下部に電気的に接続された第1の配線、並びに、
(C)積層構造体の上部に電気的に接続された第2の配線、
から成る磁気抵抗効果素子を備えており、
積層構造体の側面に近接して、記録層を構成する材料のヤング率よりも高い値のヤング率を有する高ヤング率領域が配置されている。
(A)磁化容易軸が垂直方向を向いている記録層を有する積層構造体、
(B)積層構造体の下部に電気的に接続された第1の配線、並びに、
(C)積層構造体の上部に電気的に接続された第2の配線、
から成る磁気抵抗効果素子を備えており、
積層構造体の側面に近接して、記録層を構成する材料のヤング率よりも高い値のヤング率を有する高ヤング率領域が配置されている。
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置は、
(A)磁化容易軸が垂直方向を向いている記録層を有する積層構造体、
(B)積層構造体の下部に電気的に接続された第1の配線、並びに、
(C)積層構造体の上部に電気的に接続された第2の配線、
から成る磁気抵抗効果素子を備えており、
積層構造体の上方、又は、積層構造体の下方、又は、積層構造体の上方及び下方には、記録層を構成する材料のヤング率よりも低い値のヤング率を有する低ヤング率領域が配置されている。
(A)磁化容易軸が垂直方向を向いている記録層を有する積層構造体、
(B)積層構造体の下部に電気的に接続された第1の配線、並びに、
(C)積層構造体の上部に電気的に接続された第2の配線、
から成る磁気抵抗効果素子を備えており、
積層構造体の上方、又は、積層構造体の下方、又は、積層構造体の上方及び下方には、記録層を構成する材料のヤング率よりも低い値のヤング率を有する低ヤング率領域が配置されている。
本発明の第1の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置にあっては、積層構造体の側面に近接して、記録層を構成する材料のヤング率よりも高い値のヤング率を有する高ヤング率領域が配置されている。従って、記録層に対して圧縮応力が加わり、記録層の垂直磁気異方性、磁気抵抗が増大される。また、本発明の第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置にあっては、積層構造体の上方及び/又は下方には、記録層を構成する材料のヤング率よりも低い値のヤング率を有する低ヤング率領域(高応力領域)が配置されている。従って、記録層において内部応力が発生し、記録層の垂直磁気異方性、磁気抵抗が増大される。そして、以上の結果として、記録層における磁化容易軸をより確実に垂直方向に向かせることができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明の第1の態様及び第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の第1の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例2の変形)
5.実施例4(本発明の第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置)
6.実施例5(実施例4の変形)
7.実施例6(実施例4及び実施例5の変形)
8.実施例7(実施例4の別の変形)
9.実施例8(実施例5の変形)
10.実施例9(実施例6の変形)
11.実施例10(実施例4の更に別の変形)
12.実施例11(実施例4の更に別の変形、その他)
1.本発明の第1の態様及び第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の第1の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例2の変形)
5.実施例4(本発明の第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置)
6.実施例5(実施例4の変形)
7.実施例6(実施例4及び実施例5の変形)
8.実施例7(実施例4の別の変形)
9.実施例8(実施例5の変形)
10.実施例9(実施例6の変形)
11.実施例10(実施例4の更に別の変形)
12.実施例11(実施例4の更に別の変形、その他)
[本発明の第1の態様及び第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置、全般に関する説明]
本発明の第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置にあっては、積層構造体の側面に近接して、記録層を構成する材料のヤング率よりも高い値のヤング率を有する高ヤング率領域が更に配置されている構成とすることができる。尚、このような構成を、便宜上、『第2Aの構成の不揮発性磁気メモリ装置』と呼ぶ。
本発明の第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置にあっては、積層構造体の側面に近接して、記録層を構成する材料のヤング率よりも高い値のヤング率を有する高ヤング率領域が更に配置されている構成とすることができる。尚、このような構成を、便宜上、『第2Aの構成の不揮発性磁気メモリ装置』と呼ぶ。
本発明の第1の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置あるいは第2Aの構成の不揮発性磁気メモリ装置にあっては、高ヤング率領域を配置することによって記録層に対して圧縮応力が加わり、記録層の垂直磁気異方性が増大される。更には、積層構造体は磁化参照層を有し、高ヤング率領域を配置することによって記録層及び磁化参照層に対して圧縮応力が加わり、記録層及び磁化参照層の垂直磁気異方性が増大される形態とすることができる。そして、このような形態を採用することで、記録層の垂直磁気異方性が一層増大され、記録層の磁化容易軸を一層確実に垂直方向に向かせることができる。
上記の好ましい形態を含む本発明の第1の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置あるいは第2Aの構成の不揮発性磁気メモリ装置にあっては、限定するものではないが、高ヤング率領域は第2の配線から延在している構成とすることができる。
更には、上述した好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置あるいは第2Aの構成の不揮発性磁気メモリ装置にあっては、高ヤング率領域のヤング率をEH、記録層を構成する材料の有するヤング率をE0としたとき、
EH−E0≧1×1011Pa(100GPa)
好ましくは、
EH−E0≧3×1011Pa(300GPa)
を満足する構成とすることが好ましい。高ヤング率領域を構成する材料として、導電材料を挙げることができる。具体的には、高ヤング率領域は、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、窒化チタン(TiN)、硼素化チタン(TiB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化ジルコニウム(ZrN)、硼化バナジウム(VB2)、硼化ニオブ(NbB2)、硼化タンタル(TaB2)、硼化クロム(CrB2)、硼化モリブデン(Mo2B5)、硼化タングステン(W2B5)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る構成とすることができる。あるいは又、高ヤング率領域を構成する材料として、例えば3×1011Pa以上のヤング率を有する材料から、適宜、選択すればよい。あるいは又、高ヤング率領域を構成する材料として、記録層に、1×108Pa乃至5×109Paの圧縮応力を加え得る材料から、適宜、選択すればよい。
EH−E0≧1×1011Pa(100GPa)
好ましくは、
EH−E0≧3×1011Pa(300GPa)
を満足する構成とすることが好ましい。高ヤング率領域を構成する材料として、導電材料を挙げることができる。具体的には、高ヤング率領域は、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、窒化チタン(TiN)、硼素化チタン(TiB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化ジルコニウム(ZrN)、硼化バナジウム(VB2)、硼化ニオブ(NbB2)、硼化タンタル(TaB2)、硼化クロム(CrB2)、硼化モリブデン(Mo2B5)、硼化タングステン(W2B5)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る構成とすることができる。あるいは又、高ヤング率領域を構成する材料として、例えば3×1011Pa以上のヤング率を有する材料から、適宜、選択すればよい。あるいは又、高ヤング率領域を構成する材料として、記録層に、1×108Pa乃至5×109Paの圧縮応力を加え得る材料から、適宜、選択すればよい。
以上に説明した好ましい形態、構成を含む第2Aの構成の不揮発性磁気メモリ装置を含む本発明の第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置にあっては、低ヤング率領域を配置することによって記録層において内部応力が発生し、記録層の垂直磁気異方性が増大される。更には、積層構造体は磁化参照層を有し、低ヤング率領域を配置することによって記録層及び磁化参照層において内部応力が発生し、記録層及び磁化参照層の垂直磁気異方性が増大される形態とすることができる。そして、このような形態を採用することで、記録層の垂直磁気異方性が一層増大され、記録層の磁化容易軸を一層確実に垂直方向に向かせることができる。
更には、以上に説明した好ましい形態、構成を含む第2Aの構成の不揮発性磁気メモリ装置を含む本発明の第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置にあっては、積層構造体の上部と第2の配線との間に低ヤング率領域が配置されている構成とすることができる。あるいは又、積層構造体の下部と第1の配線との間に低ヤング率領域が配置されている構成とすることができる。あるいは又、積層構造体の下部と第1の配線との間に第1の低ヤング率領域が配置されており、且つ、積層構造体の上部と第2の配線との間に第2の低ヤング率領域が配置されている構成とすることができる。尚、積層構造体の上部と第2の配線との間に低ヤング率領域(あるいは第2の低ヤング率領域)が配置されている構成にあっては、積層構造体の上部と第2の配線との間には接続部が設けられており、係る接続部が低ヤング率領域(あるいは第2の低ヤング率領域)に相当する形態とすることができるし、あるいは又、少なくとも積層構造体近傍において、第2の配線と低ヤング率領域(あるいは第2の低ヤング率領域)の積層構造を採用する形態とすることができる。同様に、積層構造体の下部と第1の配線との間に低ヤング率領域(あるいは第1の低ヤング率領域)が配置されている構成にあっては、積層構造体の下部と第1の配線との間には接続部が設けられており、係る接続部が低ヤング率領域(あるいは第1の低ヤング率領域)に相当する形態とすることができるし、あるいは又、少なくとも積層構造体近傍において、第1の配線と低ヤング率領域(あるいは第1の低ヤング率領域)の積層構造を採用する形態とすることができる。あるいは又、積層構造体の上部の上方に第2の配線を挟んで低ヤング率領域が配置されている構成とすることができるし、積層構造体の下部の下方に第1の配線を挟んで低ヤング率領域が配置されている構成とすることができるし、積層構造体の下部の下方に第1の配線を挟んで第1の低ヤング率領域が配置され、且つ、積層構造体の上部の上方に第2の配線を挟んで第2の低ヤング率領域が配置されている構成とすることができる。
更には、以上に説明した好ましい形態、構成を含む第2Aの構成の不揮発性磁気メモリ装置を含む本発明の第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置にあっては、低ヤング率領域のヤング率をEL、記録層を構成する材料の有するヤング率をE0としたとき、
E0−EL≧1×1011Pa(100GPa)
好ましくは、
E0−EL≧3×1011Pa(300GPa)
を満足する構成とすることが好ましい。尚、低ヤング率領域を構成する材料として、導電材料、絶縁材料を挙げることができるし、あるいは又、場合によっては、低ヤング率領域を空洞から構成することもできる。ここで、低ヤング率領域を導電材料から構成する場合、低ヤング率領域は、金(Au)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、錫(Sn)、鉛(Pb)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属、又は、該金属の合金(例えば、Cu系合金、Al系合金)から成る構成とすることができる。
E0−EL≧1×1011Pa(100GPa)
好ましくは、
E0−EL≧3×1011Pa(300GPa)
を満足する構成とすることが好ましい。尚、低ヤング率領域を構成する材料として、導電材料、絶縁材料を挙げることができるし、あるいは又、場合によっては、低ヤング率領域を空洞から構成することもできる。ここで、低ヤング率領域を導電材料から構成する場合、低ヤング率領域は、金(Au)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、錫(Sn)、鉛(Pb)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属、又は、該金属の合金(例えば、Cu系合金、Al系合金)から成る構成とすることができる。
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置にあっては、磁気抵抗効果素子はスピン注入型磁気抵抗効果素子から成る構成とすることができる。
各種金属材料、合金材料等のヤング率の値を、以下の表1に例示する。
以上に説明した種々の好ましい形態、構成を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置(以下、これらの不揮発性磁気メモリ装置を総称して、単に、『本発明の不揮発性磁気メモリ装置』と呼ぶ場合がある)において、積層構造体の立体形状は、円筒形であることが、加工の容易性、記録層における磁化容易軸の方向の均一性を確保するといった観点から望ましい。
また、本発明の第1の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置にあっては、積層構造体の側面に近接して配置された高ヤング率領域の立体形状として、中空の円筒形を挙げることができる。高ヤング率領域と積層構造体の側面との間には絶縁材料層あるいは絶縁膜が設けられている。
一方、本発明の第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置にあっては、低ヤング率領域の立体形状として円盤状あるいは円筒形を挙げることができる。積層構造体の上部と第2の配線との間に低ヤング率領域(あるいは第2の低ヤング率領域)が配置され、あるいは又、積層構造体の下部と第1の配線との間に低ヤング率領域(あるいは第1の低ヤング率領域)が配置されている構成とする場合、これらの低ヤング率領域の立体形状は、円筒形の積層構造体と同じ直径、あるいは、それより大きい直径(例えば、円筒形の積層構造体の直径の2倍以上の直径)を有する円盤状あるいは円筒形とすればよい。尚、接続部が低ヤング率領域(あるいは第1の低ヤング率領域、第2の低ヤング率領域)に相当する形態とする場合、低ヤング率領域(あるいは第1の低ヤング率領域、第2の低ヤング率領域)の立体形状は、円筒形の積層構造体と同じ直径を有する円盤状あるいは円筒形とすればよい。一方、積層構造体の上部の上方に第2の配線を挟んで低ヤング率領域(あるいは第2の低ヤング率領域)が配置されている構成、あるいは、積層構造体の下部の下方に第1の配線を挟んで低ヤング率領域(あるいは第1の低ヤング率領域)が配置されている構成とする場合、これらの低ヤング率領域の立体形状は、円筒形の積層構造体と同じ直径、あるいは、それより大きい直径(例えば、円筒形の積層構造体の直径の2倍以上の直径)を有する円盤状あるいは円筒形とすればよい。
スピン注入型磁気抵抗効果素子にあっては、磁化参照層(固着層とも呼ばれる)、非磁性体膜、及び、情報を記憶する記録層(磁化反転層あるいは自由層とも呼ばれる)によって、TMR効果あるいはGMR効果を有する積層構造体が構成されている構造とすることができる。そして、スピン偏極電流を記録層から磁化参照層へ流すと、スピン偏極電子は磁化参照層から記録層へ注入され、磁化参照層の磁化方向と記録層の磁化方向が平行配列となる。一方、スピン偏極電流を磁化参照層から記録層へ流すと、スピン偏極電子は記録層から磁化参照層へ流れ、磁化参照層と平行なスピンを持つ電子は透過し、反平行のスピンを持つ電子が反射され、結果として、記録層の磁化方向と磁化参照層の磁化方向が反平行配列となる。あるいは又、磁化参照層、非磁性体膜、記録層、非磁性体膜、磁化参照層によって、TMR効果あるいはGMR効果を有する積層構造体が構成されている構造とすることもできる。尚、このような構造にあっては、記録層の上下に位置する2つの非磁性体膜の磁気抵抗の変化に差を付けておく必要がある。
記録層を構成する材料として、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)といった強磁性材料の合金(例えば、Co−Fe、Co−Fe−B、Co−Fe−Ni、Fe−Pt、Ni−Fe等)、あるいは、これらの合金にガドリニウム(Gd)が添加された合金を例示することができる。更には、垂直磁気異方性を一層増加させるために、係る合金にテルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)等の重希土類を添加してもよいし、これらを含む合金を積層してもよい。記録層の結晶性は、本質的に任意であり、多結晶であってもよいし、単結晶であってもよいし、非晶質であってもよい。また、記録層は、単層構成とすることもできるし、上述したとおり複数の異なる強磁性材料層を積層した積層構成とすることもできるし、強磁性材料層と非磁性材料層を積層した積層構成とすることもできる。
磁化参照層、非磁性体膜及び記録層によって、TMR効果を有する積層構造体が構成されるとは、磁性材料から成る磁化参照層と、磁性材料から成る記録層との間に、トンネル絶縁膜として機能する非磁性体膜が挟まれた構造を指す。そして、磁化参照層と第1の配線(あるいは第2の配線)の電気的な接続状態として、第1の配線(あるいは第2の配線)が、直接、磁化参照層に接続されている形態を挙げることができるし、あるいは又、第1の配線(あるいは第2の配線)が、反強磁性体層を介して磁化参照層に接続されている形態を挙げることができる。磁化参照層が第1の配線に接続されている場合、第1の配線から磁化参照層を介して、また、磁化参照層が第2の配線に接続されている場合、第2の配線から磁化参照層を介して、スピン偏極電流を記録層内に注入することにより、記録層における磁化の方向を第1の方向(磁化容易軸と平行な方向)あるいは第2の方向(第1の方向とは反対の方向)とすることで、記録層に情報が書き込まれる。
磁化参照層を構成する材料として、上述した記録層を構成する材料を挙げることができるし、Co−Tb、Co−Ptを挙げることもできる。更には、積層フェリ構造[反強磁性的結合を有する積層構造であり、合成反強磁性結合(SAF:Synthetic Antiferromagnet)とも呼ばれる]を有する構成とすることができるし、静磁結合構造を有する構成とすることができるし、磁化参照層に隣接して反強磁性体層を配置してもよい。積層フェリ構造とは、例えば、磁性材料層/ルテニウム(Ru)層/磁性材料層の3層構造(具体的には、例えば、CoFe/Ru/CoFeの3層構造、CoFeB/Ru/CoFeBの3層構造)を有し、ルテニウム層の厚さによって、2つの磁性材料層の層間交換結合が、反強磁性的あるいは強磁性的になる構造を指し、例えば、 S. S. Parkin et. al, Physical Review Letters, 7 May, pp 2304-2307 (1990) に報告されている。尚、2つの磁性材料層の層間交換結合が反強磁性的になる構造を、積層フェリ構造と呼ぶ。また、2つの磁性材料層において、磁性材料層の端面からの漏洩磁界によって反強磁性的結合が得られる構造を、静磁結合構造と呼ぶ。
反強磁性体層を構成する材料として、鉄−マンガン合金、ニッケル−マンガン合金、白金−マンガン合金、イリジウム−マンガン合金、ロジウム−マンガン合金、コバルト酸化物、ニッケル酸化物を挙げることができる。第1の配線(あるいは第2の配線)と反強磁性体層との間には、反強磁性体層の結晶性向上のために、Ta、Cr、Ru、Ti等から成る下地膜を形成してもよい。
スピン注入型磁気抵抗効果素子におけるTMR効果を有する積層構造体を構成する非磁性体膜を構成する材料として、マグネシウム酸化物(MgO)、マグネシウム窒化物、アルミニウム酸化物(AlOX)、アルミニウム窒化物(AlN)、シリコン酸化物、シリコン窒化物、TiO2あるいはCr2O3、Ge、NiO、CdOX、HfO2、Ta2O5、BN、ZnS等の絶縁材料を挙げることができる。一方、GMR効果を有する積層構造体を構成する非磁性体膜を構成する材料として、Cu、Ru、Cr、Au、Ag、Pt、Ta等、あるいは、これらの合金といった導電材料を挙げることができるし、導電性が高ければ(抵抗率が数百μΩ・cm以下)、任意の非金属材料としてもよいが、記録層や磁化参照層と界面反応を起こし難い材料を、適宜、選択することが望ましい。
絶縁材料から成る非磁性体膜は、例えば、スパッタリング法にて形成された金属膜を酸化若しくは窒化することにより得ることができる。より具体的には、非磁性体膜を構成する絶縁材料としてアルミニウム酸化物(AlOX)、マグネシウム酸化物(MgO)を用いる場合、例えば、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムを大気中で酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムをプラズマ酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムをIPCプラズマで酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムを酸素中で自然酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムを酸素ラジカルで酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムを酸素中で自然酸化させるときに紫外線を照射する方法、アルミニウムやマグネシウムを反応性スパッタリング法にて成膜する方法、アルミニウム酸化物(AlOX)やマグネシウム酸化物(MgO)をスパッタリング法にて成膜する方法を例示することができる。
以上に説明した種々の層は、例えば、スパッタリング法、イオンビーム堆積法、真空蒸着法に例示される物理的気相成長法(PVD法)、ALD(Atomic Layer Deposition)法に代表される化学的気相成長法(CVD法)にて形成することができる。また、これらの層のパターニングは、反応性イオンエッチング法(RIE法)やイオンミーリング法(イオンビームエッチング法)にて行うことができる。
第1の配線や第2の配線は、Cu、Al、Au、Pt、Ti等の単層構造から成り、あるいは又、CrやTi等から成る下地層と、その上に形成されたCu層、Au層、Pt層等の積層構造を有していてもよい。更には、Ta等の単層あるいはCu、Ti等との積層構造から構成することもできる。これらの電極は、例えば、スパッタリング法に例示されるPVD法にて形成することができる。尚、高ヤング率領域が第2の配線から延在している構成とする場合、第2の配線を構成する材料は、上述した高ヤング率領域を構成する材料から、適宜、選択すればよい。
本発明の不揮発性磁気メモリ装置において、積層構造体の下方に、電界効果型トランジスタから成る選択用トランジスタを更に有しており、第2の配線(例えば、ビット線)の延びる方向は、電界効果型トランジスタを構成するゲート電極の延びる方向と平行である形態とすることが好ましいが、これに限定するものではなく、第2の配線の延びる方向の射影像は、電界効果型トランジスタを構成するゲート電極の延びる方向の射影像と直交する形態とすることもできる。また、場合によっては、選択用トランジスタは不要である。
不揮発性磁気メモリ装置における好ましい構成にあっては、上述したとおり、積層構造体の下方に、電界効果型トランジスタから成る選択用トランジスタを更に有しているが、より具体的な構成として、例えば、限定するものではないが、
半導体基板に形成された選択用トランジスタ、及び、
選択用トランジスタを覆う下層絶縁層、
を備え、
下層絶縁層上に第1の配線が形成されており、
第1の配線が、下層絶縁層に設けられた接続孔(あるいは接続孔とランディングパッド部や下層配線)を介して選択用トランジスタに電気的に接続されており、
層間絶縁層は、下層絶縁層及び第1の配線を覆い、積層構造体を取り囲んでおり、
第2の配線は層間絶縁層上に形成されている構成を例示することができる。
半導体基板に形成された選択用トランジスタ、及び、
選択用トランジスタを覆う下層絶縁層、
を備え、
下層絶縁層上に第1の配線が形成されており、
第1の配線が、下層絶縁層に設けられた接続孔(あるいは接続孔とランディングパッド部や下層配線)を介して選択用トランジスタに電気的に接続されており、
層間絶縁層は、下層絶縁層及び第1の配線を覆い、積層構造体を取り囲んでおり、
第2の配線は層間絶縁層上に形成されている構成を例示することができる。
選択用トランジスタは、例えば、周知のMIS型FETやMOS型FETから構成することができる。第1の配線と選択用トランジスタとを電気的に接続する接続孔は、不純物がドーピングされたポリシリコンや、タングステン、Ti、Pt、Pd、Cu、TiW、TiNW、WSi2、MoSi2等の高融点金属や金属シリサイドから構成することができ、CVD法や、スパッタリング法に例示されるPVD法に基づき形成することができる。また、下層絶縁層を構成する材料として、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、SiON、SOG、NSG、BPSG、PSG、BSGあるいはLTOを例示することができる。
実施例1は、本発明の第1の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置に関する。実施例1の不揮発性磁気メモリ装置の模式的な一部断面図を図1に示し、積層構造体、第1の配線、第2の配線及び高ヤング率領域の配置状態を模式的に図2に示す。
実施例1の不揮発性磁気メモリ装置は、
(A)磁化容易軸が垂直方向を向いている記録層53を有する積層構造体50、
(B)積層構造体50の下部に電気的に接続された第1の配線41、並びに、
(C)積層構造体50の上部に電気的に接続された第2の配線42、
から成る磁気抵抗効果素子を備えている。実施例1〜実施例11にあっては、磁気抵抗効果素子は、スピン注入による磁化反転を応用したスピン注入型磁気抵抗効果素子から成る。
(A)磁化容易軸が垂直方向を向いている記録層53を有する積層構造体50、
(B)積層構造体50の下部に電気的に接続された第1の配線41、並びに、
(C)積層構造体50の上部に電気的に接続された第2の配線42、
から成る磁気抵抗効果素子を備えている。実施例1〜実施例11にあっては、磁気抵抗効果素子は、スピン注入による磁化反転を応用したスピン注入型磁気抵抗効果素子から成る。
不揮発性磁気メモリ装置の模式的な一部断面図において、図面の関係上、一点鎖線の上側の「A」の領域と、下側の「B」の領域では、不揮発性磁気メモリ装置の断面を眺める方向が90度異なっている。即ち、「A」の領域は、不揮発性磁気メモリ装置の断面を第1の方向から眺めており、「B」の領域は、不揮発性磁気メモリ装置の断面を第1の方向と直交する方向から眺めている。従って、係る図面では、第2の配線(実施例1〜実施例11にあっては、ビット線)42の延びる方向の射影像と、電界効果型トランジスタを構成するゲート電極12の延びる方向の射影像とは直交しているように図示しているが、実際には、平行である。
そして、実施例1の不揮発性磁気メモリ装置は、更に、積層構造体50の側面に近接して、記録層53を構成する材料のヤング率よりも高い値のヤング率を有する高ヤング率領域171が配置されている。ここで、高ヤング率領域171を配置することによって記録層53に対して圧縮応力が加わり、記録層53の垂直磁気異方性が増大される。
実施例1にあっては、高ヤング率領域171は、第2の配線42から延在している。即ち、高ヤング率領域171は、第2の配線42の延在部43から成る。更には、積層構造体50は磁化参照層51を有し、高ヤング率領域171を配置することによって記録層53及び磁化参照層51に対して圧縮応力が加わり、記録層53及び磁化参照層51の垂直磁気異方性が増大される。それ故、記録層53の垂直磁気異方性が一層増大され、記録層53の磁化容易軸を一層確実に垂直方向に向かせることができる。
積層構造体50の立体形状は、加工の容易性、記録層53における磁化容易軸の方向の均一性を確保するといった観点から、円筒形とされている。また、高ヤング率領域171の立体形状は中空の円筒形であり、積層構造体50を囲んでいる。尚、積層構造体50の側面と高ヤング率領域171との間には、層間絶縁層30が設けられている。
積層構造体50の上部と第2の配線42との間には接続部62が設けられている。また、積層構造体50と接続部62との間には、厚さ約5nmのTa層から成るキャップ層61がスパッタリング法にて形成されている。キャップ層61は、配線や接続部62を構成する原子と記録層53を構成する原子の相互拡散の防止、接触抵抗の低減、及び、記録層53の酸化防止を担っている。尚、キャップ層として、その他、Ru層、Pt層、MgO層、Ru膜/Ta膜の積層構造を挙げることができる。
更には、積層構造体50の下方(より具体的には、第1の配線41の下方)に、電界効果型トランジスタから成る選択用トランジスタTRが設けられている。そして、第2の配線(ビット線)42の延びる方向は、電界効果型トランジスタを構成するゲート電極12の延びる方向と平行である。具体的には、選択用トランジスタTRは、素子分離領域11によって囲まれたシリコン半導体基板10の部分に形成されており、下層絶縁層21,23によって覆われている。そして、一方のソース/ドレイン領域14Bは、タングステンプラグから成る接続孔22を介して、第1の配線41に接続されている。また、他方のソース/ドレイン領域14Aは、タングステンプラグ15を介してセンス線16に接続されている。図中、参照番号12はゲート電極(所謂ワード線として機能する)を示し、参照番号13はゲート絶縁膜を示す。後述する実施例2〜実施例11においても同様である。
図13の(A)に概念図を示すように、積層構造体50は、以下の構成、構造を有しており、スパッタリング法にて形成されている。記録層53においては、スピン偏極電流の流れる方向により、その磁化の方向が、上向き(第2の配線42に向かう方向)又は下向き(第1の配線41に向かう方向)に変えられる。
具体的には、実施例1におけるスピン注入型磁気抵抗効果素子は、GMR(Giant Magnetoresistance,巨大磁気抵抗)効果を有する積層膜、あるいは、TMR効果を有する積層膜から成る磁気抵抗効果積層膜が2つの配線41,42で挟まれた構造を有する。即ち、情報を記録する機能を担う記録層(磁化反転層あるいは自由層とも呼ばれる)53と、磁化方向が固定されており、スピンフィルターとして機能する磁化参照層(固着層とも呼ばれる)51が、非磁性体膜52を介して積層された構造を有し、スピン偏極電流は膜面に垂直に流れる(図13の(A)参照)。記録層53は、適当な磁気異方性により2以上の複数の磁化方向(例えば、図13の(A)に垂直方向の矢印にて示す2方向である第1の方向及び第2の方向)を取ることができ、各磁化方向は記録される情報に対応する。記録層53は、第1の方向及び第2の方向に平行な磁化容易軸を有し、第1の方向及び第2の方向に直交する方向に磁化困難軸を有している。磁化参照層51は、その磁化方向が固定されている。磁化参照層51A,51Bを、記録層53の上下に、非磁性体膜52A,52Bを介して配置して、スピン注入磁化反転の効率を向上させたダブル・スピンフィルター構造も知られている(図13の(B)参照)。非磁性体膜52,52A,52Bは、金属材料あるいは絶縁材料から構成されている。スピン注入磁化反転を適用した不揮発性磁気メモリ素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)は、磁気抵抗効果積層膜の上下を配線で挟んだ、2端子スピントランスファー素子構造を有する。ここで、実施例1〜実施例11にあっては、記録層53を構成する材料の磁歪定数λの値は正である。また、実施例1〜実施例11にあっては、積層構造体の構成、構造は、同じとした。
[積層構造体50]
記録層53
厚さ約1nmのCoFeB層と厚さ約3nmのTbFeCo層の積層構造
非磁性体膜(トンネル絶縁膜)52
厚さ1.0nmのMgO膜
磁化参照層51
厚さ約1nmのCoFeB層と厚さ約30nmのGdFeCo層の積層構造
記録層53
厚さ約1nmのCoFeB層と厚さ約3nmのTbFeCo層の積層構造
非磁性体膜(トンネル絶縁膜)52
厚さ1.0nmのMgO膜
磁化参照層51
厚さ約1nmのCoFeB層と厚さ約30nmのGdFeCo層の積層構造
第2の配線42、及び、第2の配線の延在部43から成る高ヤング率領域171は、層間絶縁層30に設けられた溝部31にルテニウム(Ru)が充填されて成る。即ち、高ヤング率領域171は、3×1011Pa以上のヤング率を有する材料から選択されており、しかも、記録層53や磁化参照層51に、1×108Pa乃至5×109Paの圧縮応力を加え得る材料から選択されている。ここで、EH−E0≧1×1011Paを満足している。また、円盤状の接続部62は、具体的には、厚さ40nmのチタン(Ti)から成り、スパッタリング法にて形成されている。高ヤング率領域171のヤング率EH、記録層53のヤング率E0等の値を、以下の表2に示す。
一方、層間絶縁層30は、CVD法にて成膜されたSiO2層から構成されている。更には、第1の配線41は、タンタル(Ta)から成る。後述する実施例2〜実施例11においても同様である。
以下、実施例1の不揮発性磁気メモリ装置の製造方法の概要を説明するが、他の実施例の不揮発性磁気メモリ装置も、基本的には同様の方法で作製することができる。
[工程−100]
先ず、周知の方法に基づき、シリコン半導体基板10に素子分離領域11を形成し、素子分離領域11によって囲まれたシリコン半導体基板10の部分に、ゲート酸化膜13、ゲート電極12、ソース/ドレイン領域14A,14Bから成る選択用トランジスタTRを形成する。次いで、第1下層絶縁層21を形成し、ソース/ドレイン領域14Aの上方の第1下層絶縁層21の部分にタングステンプラグ15を形成し、更には、第1下層絶縁層21上にセンス線16を形成する。その後、全面に第2下層絶縁層23を形成し、ソース/ドレイン領域14Bの上方の下層絶縁層21,23の部分にタングステンプラグから成る接続孔22を形成する。こうして、下層絶縁層21,23で覆われた選択用トランジスタTRを得ることができる。
先ず、周知の方法に基づき、シリコン半導体基板10に素子分離領域11を形成し、素子分離領域11によって囲まれたシリコン半導体基板10の部分に、ゲート酸化膜13、ゲート電極12、ソース/ドレイン領域14A,14Bから成る選択用トランジスタTRを形成する。次いで、第1下層絶縁層21を形成し、ソース/ドレイン領域14Aの上方の第1下層絶縁層21の部分にタングステンプラグ15を形成し、更には、第1下層絶縁層21上にセンス線16を形成する。その後、全面に第2下層絶縁層23を形成し、ソース/ドレイン領域14Bの上方の下層絶縁層21,23の部分にタングステンプラグから成る接続孔22を形成する。こうして、下層絶縁層21,23で覆われた選択用トランジスタTRを得ることができる。
[工程−110]
その後、スパッタリング法にて、真空中での連続成膜にて、全面に、2層構造の第1の配線41、積層構造体50、キャップ層61、接続部62を形成する。
その後、スパッタリング法にて、真空中での連続成膜にて、全面に、2層構造の第1の配線41、積層構造体50、キャップ層61、接続部62を形成する。
[第1の配線41]
プロセスガス :アルゴン=100sccm
成膜雰囲気圧力:0.6Pa
DCパワー :200W
[磁化参照層51]
プロセスガス :アルゴン=50sccm
成膜雰囲気圧力:0.3Pa
DCパワー :100W
[非磁性体膜52]
プロセスガス :アルゴン=100sccm
成膜雰囲気圧力:1.0Pa
RFパワー :500W
[記録層53]
プロセスガス :アルゴン=50sccm
成膜雰囲気圧力:0.3Pa
DCパワー :200W
[キャップ層61]
プロセスガス :アルゴン=100sccm
成膜雰囲気圧力:0.6Pa
DCパワー :200W
[接続部62]
プロセスガス :アルゴン=30sccm
成膜雰囲気圧力:0.7Pa
DCパワー :10kW
プロセスガス :アルゴン=100sccm
成膜雰囲気圧力:0.6Pa
DCパワー :200W
[磁化参照層51]
プロセスガス :アルゴン=50sccm
成膜雰囲気圧力:0.3Pa
DCパワー :100W
[非磁性体膜52]
プロセスガス :アルゴン=100sccm
成膜雰囲気圧力:1.0Pa
RFパワー :500W
[記録層53]
プロセスガス :アルゴン=50sccm
成膜雰囲気圧力:0.3Pa
DCパワー :200W
[キャップ層61]
プロセスガス :アルゴン=100sccm
成膜雰囲気圧力:0.6Pa
DCパワー :200W
[接続部62]
プロセスガス :アルゴン=30sccm
成膜雰囲気圧力:0.7Pa
DCパワー :10kW
[工程−120]
その後、得られた第1の配線41、積層構造体50、キャップ層61、接続部62の上にSiO2から成るハードマスク層(図示せず)をバイアス高密度プラズマCVD(HDP−CVD)法にて形成し、ハードマスク層上にパターニングされたレジスト層を形成して、ドライエッチング法にてハードマスク層をエッチングし、レジスト層をアッシング処理にて除去する。その後、ハードマスク層をエッチング用マスクとして、接続部62、キャップ層61及び積層構造体50を反応性イオンエッチング法(RIE法)に基づきエッチングして、図2に点線で模式的な平面図を示すような円筒形の積層構造体50を設ける。尚、場合によっては、積層構造体50の内の記録層53までエッチングを行い、この時点では、非磁性体膜(トンネル絶縁膜)52及び磁化参照層51のエッチングを行わなくともよい。また、接続部62、キャップ層61及び記録層53をRIE法によってパターニングする代わりに、イオンミリング法(イオンビームエッチング法)に基づきパターニングすることもできる。その後、エッチング用マスクを形成して、第1の配線41のパターニングを行う。非磁性体膜52及び磁化参照層51のエッチングを行わなかった場合には、この時点で、非磁性体膜52及び磁化参照層51のエッチングを行えばよい。
その後、得られた第1の配線41、積層構造体50、キャップ層61、接続部62の上にSiO2から成るハードマスク層(図示せず)をバイアス高密度プラズマCVD(HDP−CVD)法にて形成し、ハードマスク層上にパターニングされたレジスト層を形成して、ドライエッチング法にてハードマスク層をエッチングし、レジスト層をアッシング処理にて除去する。その後、ハードマスク層をエッチング用マスクとして、接続部62、キャップ層61及び積層構造体50を反応性イオンエッチング法(RIE法)に基づきエッチングして、図2に点線で模式的な平面図を示すような円筒形の積層構造体50を設ける。尚、場合によっては、積層構造体50の内の記録層53までエッチングを行い、この時点では、非磁性体膜(トンネル絶縁膜)52及び磁化参照層51のエッチングを行わなくともよい。また、接続部62、キャップ層61及び記録層53をRIE法によってパターニングする代わりに、イオンミリング法(イオンビームエッチング法)に基づきパターニングすることもできる。その後、エッチング用マスクを形成して、第1の配線41のパターニングを行う。非磁性体膜52及び磁化参照層51のエッチングを行わなかった場合には、この時点で、非磁性体膜52及び磁化参照層51のエッチングを行えばよい。
[工程−130]
次いで、全面に、CVD法にてSiO2層から成る層間絶縁層30を成膜した後、層間絶縁層30及びハードマスク層を化学的機械的研磨法(CMP法)にて平坦化し、接続部62を露出させる。
次いで、全面に、CVD法にてSiO2層から成る層間絶縁層30を成膜した後、層間絶縁層30及びハードマスク層を化学的機械的研磨法(CMP法)にて平坦化し、接続部62を露出させる。
[工程−140]
その後、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき、この層間絶縁層30に高ヤング率領域171を形成するための溝部31を設ける。
その後、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき、この層間絶縁層30に高ヤング率領域171を形成するための溝部31を設ける。
[工程−150]
次いで、周知の方法に基づき、溝部31内を含む層間絶縁層30上に第2の配線42、及び、第2の配線42の延在部43から成る高ヤング率領域171を形成する。こうして、図1及び図2に示した構造の不揮発性磁気メモリ装置を得ることができる。
次いで、周知の方法に基づき、溝部31内を含む層間絶縁層30上に第2の配線42、及び、第2の配線42の延在部43から成る高ヤング率領域171を形成する。こうして、図1及び図2に示した構造の不揮発性磁気メモリ装置を得ることができる。
実施例1の不揮発性磁気メモリ装置にあっては、積層構造体50の側面に近接して、記録層53を構成する材料のヤング率よりも高い値のヤング率を有する高ヤング率領域171が配置されている。従って、記録層53に対して圧縮応力が加わり、記録層53の垂直磁気異方性が増大される。その結果、MR特性をより向上させることができ、記録層53における磁化容易軸をより確実に垂直方向に向かせることができる。
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2の不揮発性磁気メモリ装置の模式的な一部断面図を図3に示す。実施例2にあっても、積層構造体50の側面に近接して、記録層53を構成する材料のヤング率よりも高い値のヤング率を有する高ヤング率領域271が配置されている。但し、実施例1と異なり、実施例2にあっては、積層構造体50の側面には絶縁膜32が形成されており、高ヤング率領域271は、積層構造体50の側面に、絶縁膜32を介して、サイドウオール状に形成されている。
実施例2にあっては、高ヤング率領域271は、窒化タングステン(WN)から成る。一方、第2の配線42は、チタン(Ti)から成る。高ヤング率領域271のヤング率EH等の値を、表2に示す。
実施例2の不揮発性磁気メモリ装置は、実施例1の[工程−120]に引き続き、ハードマスク層を除去し、全面にコンフォーマルに絶縁膜32をCVD法にて形成し、次いで、絶縁膜32に平坦化処理を施して接続部62を露出させた後、全面に、高ヤング率領域構成層を成膜し、高ヤング率領域構成層をエッチバックすることで、高ヤング率領域271を、積層構造体50の側面に、絶縁膜32を介して、サイドウオール状に形成することができる。その後、全面に、CVD法にてSiO2層から成る層間絶縁層30を成膜した後、層間絶縁層30に平坦化処理を施し、接続部62を露出させる。次いで、周知の方法に基づき、層間絶縁層30上に第2の配線42を形成する。こうして、図3に示す構造の不揮発性磁気メモリ装置を得ることができる。
実施例3は、実施例2の変形である。実施例3の不揮発性磁気メモリ装置の模式的な一部断面図を図4に示す。実施例3にあっても、積層構造体50の側面に近接して、記録層53を構成する材料のヤング率よりも高い値のヤング率を有する高ヤング率領域371が配置されている。但し、実施例2と異なり、実施例3にあっては、積層構造体50の側面には層間絶縁層30が形成されており、高ヤング率領域371は、積層構造体50の側面に、層間絶縁層30を介して形成されている。
実施例3にあっては、高ヤング率領域371、第2の配線42を構成する材料は、実施例2と同様である。
実施例3の不揮発性磁気メモリ装置は、実施例1の[工程−130]に引き続き、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき、層間絶縁層30に高ヤング率領域371を形成するための溝部を設ける。次いで、周知の方法に基づき、溝部内を含む層間絶縁層30上に高ヤング率領域構成層を形成し、係る高ヤング率領域構成層に平坦化処理を施すことで、層間絶縁層30に高ヤング率領域371を形成する。次いで、周知の方法に基づき、層間絶縁層30上に第2の配線42を形成する。こうして、図4に示す構造の不揮発性磁気メモリ装置を得ることができる。
実施例4は、本発明の第2の態様に係る不揮発性磁気メモリ装置に関する。実施例4の不揮発性磁気メモリ装置の模式的な一部断面図を図5に示す。
実施例4の不揮発性磁気メモリ装置は、
(A)磁化容易軸が垂直方向を向いている記録層53を有する積層構造体50、
(B)積層構造体50の下部に電気的に接続された第1の配線41、並びに、
(C)積層構造体50の上部に電気的に接続された第2の配線42、
から成る磁気抵抗効果素子を備えている。
(A)磁化容易軸が垂直方向を向いている記録層53を有する積層構造体50、
(B)積層構造体50の下部に電気的に接続された第1の配線41、並びに、
(C)積層構造体50の上部に電気的に接続された第2の配線42、
から成る磁気抵抗効果素子を備えている。
ここで、積層構造体50の立体形状は、加工の容易性、記録層53における磁化容易軸の方向の均一性を確保するといった観点から、円筒形とされている。そして、実施例4の不揮発性磁気メモリ装置は、更に、積層構造体50の上方に、記録層53を構成する材料のヤング率E0よりも低い値のヤング率ELを有する低ヤング率領域481が配置されている。尚、低ヤング率領域481を配置することによって記録層53において内部応力が発生し、記録層53の垂直磁気異方性が増大される。更には、実施例4において、積層構造体50は磁化参照層51を有し、低ヤング率領域481を配置することによって記録層53及び磁化参照層51において内部応力が発生し、記録層53及び磁化参照層51の垂直磁気異方性が増大される。それ故、記録層53の垂直磁気異方性が一層増大され、記録層53の磁化容易軸を一層確実に垂直方向に向かせることができる。
実施例4にあっては、より具体的には、積層構造体50の上部と第2の配線42との間に低ヤング率領域481が配置されており、積層構造体50の上部と第2の配線42との間には接続部62が設けられている。実施例4にあっては、この接続部62が低ヤング率領域481に相当する。
接続部62(低ヤング率領域481)は、より具体的には、厚さ40nmのニオブ(Nb)から成り、スパッタリング法にて形成されている。低ヤング率領域481の形状は円盤状である。
また、第2の配線42は、厚さ約0.1μmのアルミニウム(Al)から成り、スパッタリング法にて形成されている。積層構造体50と接続部62との間には、実施例1と同様に、厚さ約5nmのTa層から成るキャップ層61がスパッタリング法にて形成されている。また、積層構造体50の構成、構造、第1の配線41の構成、構造、層間絶縁層30の構成は、実施例1と同様である。ここで、E0−EL≧1×1011Paを満足している。後述する実施例5〜実施例11においても同様である。低ヤング率領域481のヤング率EL等の値を、以下の表3に示す。
実施例4の不揮発性磁気メモリ装置は、実施例1の[工程−100]〜[工程−130]を実行し、更には、層間絶縁層30上に第2の配線42を形成することで得ることができる。
実施例4の不揮発性磁気メモリ装置にあっては、積層構造体50の上方に、記録層53を構成する材料のヤング率よりも低い値のヤング率を有する低ヤング率領域481が配置されている。従って、記録層53において内部応力が発生し、記録層53の垂直磁気異方性が増大される。その結果、記録層53における磁化容易軸をより確実に垂直方向に向かせることができる。
実施例5は、実施例4の変形である。実施例5の不揮発性磁気メモリ装置の模式的な一部断面図を図6に示す。実施例5にあっては、積層構造体50の下方に、記録層53を構成する材料のヤング率よりも低い値のヤング率を有する低ヤング率領域581が配置されている。具体的には、積層構造体50の下部と第1の配線41との間に低ヤング率領域581が配置されている。より具体的には、積層構造体50の下部と第1の配線41との間には接続部63が設けられており、係る接続部63が低ヤング率領域581に相当する。円盤状の接続部63(低ヤング率領域581)は、具体的には、厚さ40nmのニオブ(Nb)から成り、スパッタリング法にて形成されている。尚、接続部62は、具体的には、厚さ40nmのチタン(Ti)から成り、スパッタリング法にて形成されている。低ヤング率領域581のヤング率EL等の値を、表3に示す。以上の点を除き、実施例5の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造は、実施例4の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例6は、実施例4及び実施例5の変形である。実施例6の不揮発性磁気メモリ装置の模式的な一部断面図を図7に示す。実施例6にあっては、積層構造体50の下方に、記録層53を構成する材料のヤング率よりも低い値のヤング率を有する第1の低ヤング率領域681(接続部63)が配置されている。また、積層構造体50の上方に、記録層53を構成する材料のヤング率よりも低い値のヤング率を有する第2の低ヤング率領域682(接続部62)が配置されている。第1の低ヤング率領域681の構成、構造、第1の配線41の構成、構造は、実施例5と同様とすることができる。また、第2の低ヤング率領域682の構成、構造、第2の配線42の構成、構造は、実施例4と同様とすることができる。以上の点を除き、実施例6の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造は、実施例4及び実施例5の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例7も、実施例4の変形である。実施例7の不揮発性磁気メモリ装置の模式的な一部断面図を図8に示す。実施例7にあっては、積層構造体50の近傍において、第2の配線42と低ヤング率領域781とは積層構造を有する。実施例7において、低ヤング率領域781は、具体的には、実施例4の低ヤング率領域481と同様の材料から成る。また、接続部62は、実施例5の接続部62と同様の材料から成る。以上の点を除き、実施例7の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造は、実施例4の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例8は、実施例5の変形である。実施例8の不揮発性磁気メモリ装置の模式的な一部断面図を図9に示す。実施例8にあっては、積層構造体50の近傍において、第1の配線41と低ヤング率領域881とは積層構造を有する。実施例8にあっては、低ヤング率領域881は、具体的には、実施例5の低ヤング率領域581と同様の材料から成る。また、接続部62は、実施例5の接続部62と同様の材料から成る。以上の点を除き、実施例8の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造は、実施例5の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例9は、実施例6の変形である。実施例9の不揮発性磁気メモリ装置の模式的な一部断面図を図10に示す。実施例9にあっては、積層構造体50の近傍において、第1の配線41と第1の低ヤング率領域981とは積層構造を有する。また、第2の配線42と第2の低ヤング率領域982とは積層構造を有する。第1の低ヤング率領域981の構成、構造、第1の配線41の構成、構造は、実施例8と同様とすることができる。また、第2の低ヤング率領域982の構成、構造、第2の配線42の構成、構造は、実施例7と同様とすることができる。以上の点を除き、実施例9の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造は、実施例6の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例10は、実施例4の変形である。実施例10の不揮発性磁気メモリ装置の模式的な一部断面図を図11に示す。実施例10にあっては、積層構造体50の下部の下方に第1の配線41を挟んで第1の低ヤング率領域1081が配置され、且つ、積層構造体50の上部の上方に第2の配線42を挟んで第2の低ヤング率領域1082が配置されている。
実施例10にあっては、第1の低ヤング率領域1081は、具体的には、厚さ40nmのチタン(Ti)から成り、スパッタリング法にて形成されている。一方、第2の低ヤング率領域1082は、具体的には、厚さ40nmのニオブ(Nb)から成り、スパッタリング法にて形成されている。低ヤング率領域1081,1082のヤング率EL等の値を、表3に示す。以上の点を除き、実施例10の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造は、実施例4の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、実施例10にあっては、電界を印加すると変形する逆圧電効果を有する材料から第1の低ヤング率領域1081、第2の低ヤング率領域1082を構成してもよい。
実施例11も実施例4の変形であるが、第2Aの構成の不揮発性磁気メモリ装置に関し、より具体的には、実施例4と実施例3の組合せに関する。実施例11の不揮発性磁気メモリ装置の模式的な一部断面図を図12に示す。実施例11にあっては、低ヤング率領域1181(実施例4の低ヤング率領域481と同じ構成、構造を有する)に加え、高ヤング率領域1171(実施例3の高ヤング率領域371と同じ構成、構造を有する)を備えている。即ち、積層構造体50の側面に近接して、記録層53を構成する材料のヤング率よりも高い値のヤング率を有する高ヤング率領域1171が更に配置されている。以上の点を除き、実施例11の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造は、実施例4及び実施例3の不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
尚、実施例1にて説明した不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造と、実施例4〜実施例10にて説明した不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造とを組合せてもよい。また、実施例2にて説明した不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造と、実施例4〜実施例10にて説明した不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造とを組合せてもよい。更には、実施例3にて説明した不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造と、実施例5〜実施例10にて説明した不揮発性磁気メモリ装置の構成、構造とを組合せてもよい。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した各種の積層構造、使用した材料等は例示であり、適宜、変更することができる。各実施例においては、記録層が積層構造体の最上層に位置する構造を有するスピン注入型磁気抵抗効果素子を説明したが、各層の積層順序を逆とし、記録層が最下層に位置する構造を有するスピン注入型磁気抵抗効果素子とすることもできる。また、積層構造体を構成する磁化参照層51、非磁性体膜52及び記録層53を同じ形状、大きさとするのではなく、磁化参照層51及び非磁性体膜52を第1の配線41上に延在させてもよい。接続孔22と第1の配線41の配置状態も例示であり、適宜、変更することができる。また、場合によっては、第1の配線や第2の配線が低ヤング率領域を兼ねる構成、構造とすることもできる。一方、高ヤング率領域を絶縁材料から構成することもできる。
磁化参照層51と非磁性体膜52との間に高分極率層を設けてもよいし、記録層53と非磁性体膜52との間に高分極率層を設けてもよい。高分極率層は、例えば、Fe、Co及びNiから成る群から選択された少なくとも1種類の元素を含む磁性金属層から成る。磁化参照層51と非磁性体膜52との間に設けられた高分極率層は、磁化参照層51と交換結合する。一方、記録層53と非磁性体膜52との間に設けられた高分極率層は、記録層53と交換結合する。このように高分極率層を設けることで、磁気抵抗比を上昇させることができる。尚、通常、高分極率層は単層では面内磁化となるため、垂直磁化の安定性を損なわないように、磁化参照層51や記録層53との磁気的な膜厚比を調整する必要がある。
TR・・・選択用トランジスタ、10・・・半導体基板、11・・・素子分離領域、12・・・ゲート電極、13・・・ゲート絶縁膜、14A,14B・・・ソース/ドレイン領域、15・・・コンタクトホール、16・・・センス線、21,23・・・下層絶縁層、22・・・接続孔、30・・・層間絶縁層、31・・・溝部、32・・・絶縁膜、41・・・第1の配線、42・・・第2の配線、43・・・第2の配線の延在部、50・・・積層構造体、51,51A,51B・・・磁化参照層、52,52A,52B・・・非磁性体膜(トンネル絶縁膜)、53・・・記録層、61・・・キャップ層、62,63・・・接続部、171,271,371・・・高ヤング率領域、481,581,681,781,881,981,1081,1181,682,982,1082・・・低ヤング率領域
Claims (10)
- (A)磁化容易軸が垂直方向を向いている記録層を有する積層構造体、
(B)積層構造体の下部に電気的に接続された第1の配線、並びに、
(C)積層構造体の上部に電気的に接続された第2の配線、
から成る磁気抵抗効果素子を備えており、
積層構造体の上、又は、積層構造体の下、又は、積層構造体の上及び下には、記録層を構成する材料のヤング率よりも低い値のヤング率を有する低ヤング率領域が配置されており、
積層構造体の側面に近接して、記録層を構成する材料のヤング率よりも高い値のヤング率を有し、第2の配線から延在した高ヤング率領域が更に配置されており、
積層構造体は、磁化参照層を更に有し、
低ヤング率領域を配置することによって記録層及び磁化参照層において内部応力が発生し、記録層及び磁化参照層の垂直磁気異方性が増大される不揮発性磁気メモリ装置。 - 高ヤング率領域を配置することによって記録層に対して圧縮応力が加わり、記録層の垂直磁気異方性が増大される請求項1に記載の不揮発性磁気メモリ装置。
- 高ヤング率領域のヤング率をEH、記録層を構成する材料の有するヤング率をE0としたとき、
EH−E0≧1×1011Pa
を満足する請求項1又は請求項2に記載の不揮発性磁気メモリ装置。 - 高ヤング率領域は、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、窒化チタン(TiN)、硼素化チタン(TiB2)、硼化ジルコニウム(ZrB2)、窒化ジルコニウム(ZrN)、硼化バナジウム(VB2)、硼化ニオブ(NbB2)、硼化タンタル(TaB2)、硼化クロム(CrB2)、硼化モリブデン(Mo2B5)、硼化タングステン(W2B5)、炭化ニオブ(NbC)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成る請求項3に記載の不揮発性磁気メモリ装置。
- 積層構造体の上部と第2の配線との間に低ヤング率領域が配置されている請求項1に記載の不揮発性磁気メモリ装置。
- 積層構造体の下部と第1の配線との間に低ヤング率領域が配置されている請求項1に記載の不揮発性磁気メモリ装置。
- 積層構造体の下部と第1の配線との間に第1の低ヤング率領域が配置されており、
積層構造体の上部と第2の配線との間に第2の低ヤング率領域が配置されている請求項1に記載の不揮発性磁気メモリ装置。 - 低ヤング率領域のヤング率をEL、記録層を構成する材料の有するヤング率をE0としたとき、
E0−EL≧1×1011Pa
を満足する請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の不揮発性磁気メモリ装置。 - 低ヤング率領域は、金(Au)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属、又は、該金属の合金から成る請求項8に記載の不揮発性磁気メモリ装置。
- 磁気抵抗効果素子はスピン注入型磁気抵抗効果素子から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の不揮発性磁気メモリ装置。
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