JP2010016148A - 磁気抵抗効果素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】隣接するスピン注入型磁気抵抗効果素子にて発生した漏洩磁界に起因して、安定した書き込み、読み出しを行うことが困難となることがなく、また、ディスターブ現象が発生し難い構成、構造を有する磁気抵抗効果素子を提供する。
【解決手段】磁気抵抗効果素子30は、基体41上に形成され、基体側から磁化参照層51、非磁性体膜52、及び、電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層53から成る積層構造体50を備えており、記録層53は磁化参照層51よりも小さく、記録層53の側壁上には絶縁膜61が形成されており、記録層53の側壁上の絶縁膜61の上、及び、磁化参照層51の側壁の上には、磁気シールド層63が形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子及びその製造方法に関し、より具体的には、スピン注入型磁気抵抗効果素子(所謂スピンRAM)及びその製造方法に関する。
情報通信機器、特に携帯端末等の個人用小型機器の飛躍的な普及に伴い、これらを構成するメモリ素子やロジック素子の各種半導体装置には、高集積化、高速化、低電力化等、一層の高性能化が要請されている。特に不揮発性メモリは、ユビキタス時代に必要不可欠であると考えられている。電源の消耗やトラブル、サーバーとネットワークとが何らかの障害により切断された場合でも、不揮発性メモリによって重要な情報を保存、保護することができる。また、最近の携帯機器は不要の回路ブロックをスタンバイ状態とし、出来る限り消費電力を抑えるように設計されているが、高速のワークメモリと大容量ストレージメモリを兼ねることができる不揮発性メモリが実現できれば、消費電力とメモリの無駄を無くすことができる。また、電源を投入すると瞬時に起動できる「インスタント・オン」機能も、高速、且つ、大容量の不揮発性メモリが実現できれば可能となる。
不揮発性メモリとして、半導体材料を用いたフラッシュメモリや、強誘電体材料を用いた強誘電体型不揮発性半導体メモリ(FERAM,Ferroelectric Random Access Memory)等を挙げることができる。しかしながら、フラッシュメモリは、書込み速度がマイクロ秒のオーダーであり、書込み速度が遅いという欠点がある。一方、FERAMにおいては、書換え可能回数が1012〜1014であり、SRAMやDRAMをFERAMに置き換えるにはFERAMの書換え可能回数が十分とは云えず、また、強誘電体層の微細加工が難しいという問題が指摘されている。
これらの欠点を有さず、しかも、より少ない電流にて情報の記録、読み出しを行うことができる、スピン注入による磁化反転を応用したスピン注入型磁気抵抗効果素子(スピンRAM)が注目されている(例えば、特開2003−17782参照)。ここで、スピン注入による磁化反転とは、磁性体の中を通過してスピン偏極された電子が他の磁性体に注入されることにより、他の磁性体において磁化反転が生じる現象である。スピン注入型磁気抵抗効果素子にあっては、具体的には、磁性体の膜面に垂直な方向に電流を流すことにより、少なくとも一部の磁性体の磁化の向きを反転させることができる。そして、スピン注入による磁化反転は、素子が微細化されても、電流を増やさずに磁化反転を実現することができるといった利点を有しており、より一層の素子の微細化が可能となる。
スピン注入型磁気抵抗効果素子の概念図を図13の(A)に示す。このスピン注入型磁気抵抗効果素子は、GMR(Giant MagnetoResistance,巨大磁気抵抗)効果を有する積層膜、あるいは、TMR(Tunnel MagnetoResistance)効果を有する積層膜から成る磁気抵抗効果積層膜が2つの配線41,42で挟まれた構造を有する。即ち、情報を記録する機能を担う記録層(磁化反転層あるいは自由層とも呼ばれる)53と、磁化方向が固定されており、スピンフィルターとして機能する磁化参照層(固着層とも呼ばれる)51が、非磁性体膜52を介して積層された構造を有し、電流は膜面に垂直に流れる(図13の(A)参照)。記録層53の大きさは、模式的な平面図を図13の(B)に示すが、記録層53を構成する磁性材料の種類や膜厚に依るが、単磁区化を促進し、且つ、スピン注入磁化反転の臨界電流Icを低減するため、概ね200nm以下である。記録層53は、適当な磁気異方性により2以上の複数の磁化方向(例えば、図13の(A)に水平方向の矢印にて示す2方向である第1の方向及び第2の方向)を取ることができ、各磁化方向は記録される情報に対応する。図13の(B)においては、記録層53の平面形状を長楕円形状にすることによって、形状磁気異方性を付与した例を示す。即ち、記録層53は、第1の方向及び第2の方向に平行な磁化容易軸と、この磁化容易軸に直交する磁化困難軸とを有しており、磁化容易軸に沿った記録層53の長さは、磁化困難軸に沿った記録層53の長さよりも長い。
しかしながら、スピン注入型磁気抵抗効果素子において、一層の微細化を進めていくと、隣接するスピン注入型磁気抵抗効果素子からの漏洩磁場の影響を受け、安定した書き込み、読み出しを行うことが困難となり、あるいは又、記録層の磁化が乱されるといったディスターブ現象が発生してスピン注入型磁気抵抗効果素子のデータ保持特性が著しく劣化するといった問題が生じている。
このような隣接するスピン注入型磁気抵抗効果素子からの漏洩磁場の影響を少なくするために、磁気シールド機能を有する磁性層でスピン注入型磁気抵抗効果素子を取り囲む技術が、例えば、特開2005−94002や特開2005−260083号に開示されている。
特開2003−017782 特開2005−094002 特開2005−260083
特開2005−94002に開示された技術にあっては、スピン注入型磁気抵抗効果素子の記録層(自由層)と磁化参照層(固着層)とを連続して加工した後、これらの層の側面を磁気的にシールドし、このシールド層によって、隣接したスピン注入型磁気抵抗効果素子からの磁気的影響を防止している。しかしながら、記録層と磁化参照層とを連続して加工するとき、これらの層の側面にリデポジション(re-deposition)が発生し、記録層と磁化参照層との間に短絡が発生する虞がある。
特開2005−260083に開示された技術にあっては、記録層と磁化参照層とを異なるエッチング用マスクを用いて加工することで、リデポジションに起因した短絡発生を防ぎ、更に、記録層を磁気的にシールドすることで、隣接するスピン注入型磁気抵抗効果素子からの磁気的な影響を低減している。しかしながら、このような方法でも、隣接したスピン注入型磁気抵抗効果素子の磁化参照層(固着層)、相互の間に磁気的結合が生じる虞がある。また、メモリとしてスピン注入型磁気抵抗効果素子をマトリクス状に配置したとき、マトリクスの内部に位置するスピン注入型磁気抵抗効果素子と、マトリクスの縁部に位置するスピン注入型磁気抵抗効果素子とでは、磁気的結合状態が異なり、スピン注入型磁気抵抗効果素子の磁気特性がばらつく虞がある。
従って、本発明の目的は、隣接するスピン注入型磁気抵抗効果素子にて発生した漏洩磁界に起因して、安定した書き込み、読み出しを行うことが困難となることがなく、また、記録層の磁化が乱されるといったディスターブ現象が発生し難い構成、構造を有する磁気抵抗効果素子及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の磁気抵抗効果素子は、基体上に形成され、基体側から磁化参照層、非磁性体膜、及び、電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層から成る積層構造体を備えており、
記録層は、磁化参照層よりも小さく、
記録層の側壁上には絶縁膜が形成されており、
記録層の側壁上の絶縁膜の上、及び、磁化参照層の側壁の上には、磁気シールド層が形成されている。
本発明の磁気抵抗効果素子にあっては、記録層の側壁上の絶縁膜と磁気シールド層との間、及び、磁化参照層の側壁と磁気シールド層との間には、第2の絶縁膜が形成されている形態とすることができる。
あるいは又、本発明の磁気抵抗効果素子にあっては、磁化参照層の側壁と磁気シールド層との間にも、絶縁膜が形成されている形態とすることができる。そして、この場合、更には、記録層の側壁上の絶縁膜と磁気シールド層との間、及び、磁化参照層の側壁上の絶縁膜と磁気シールド層との間には、第2の絶縁膜が形成されている形態とすることができる。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る磁気抵抗効果素子の製造方法は、
(A)基体上に、基体側から磁化参照層、非磁性体膜、及び、電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層から成る積層構造体を形成し、次いで、
(B)記録層をパターニングした後、
(C)全面に絶縁膜を形成し、次いで、
(D)記録層よりも大きな磁化参照層が得られるように磁化参照層をパターニングした後、
(E)記録層の側壁上の絶縁膜の上、及び、磁化参照層の側壁の上に、磁気シールド層を形成する、
各工程を有する。
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る磁気抵抗効果素子の製造方法は、
(A)基体上に、基体側から磁化参照層、非磁性体膜、及び、電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層から成る積層構造体を形成し、次いで、
(B)積層構造体をパターニングした後、
(C)磁化参照層よりも小さな記録層が得られるように記録層をパターニングし、その後、
(D)全面に絶縁膜を形成し、次いで、
(E)記録層の側壁上の絶縁膜の上、及び、磁化参照層の側壁の絶縁膜の上に、磁気シールド層を形成する、
各工程を有する。
本発明の第1の態様に係る磁気抵抗効果素子の製造方法にあっては、前記工程(D)と工程(E)の間において、全面に第2の絶縁膜を形成する形態とすることができる。また、係る好ましい形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る磁気抵抗効果素子の製造方法にあっては、前記工程(E)は、全面に磁気シールド層を形成した後、磁気シールド層をエッチバックする工程から成る形態とすることができる。
以上に説明した好ましい形態を含む本発明の磁気抵抗効果素子、以上に説明した好ましい形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る磁気抵抗効果素子の製造方法を総称して、単に、『本発明』と呼ぶ場合がある。また、以上に説明した好ましい形態を含む本発明の磁気抵抗効果素子、以上に説明した好ましい形態を含む本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る磁気抵抗効果素子の製造方法によって得られた磁気抵抗効果素子を総称して、単に、『本発明の磁気抵抗効果素子等』と呼ぶ場合がある。
本発明の磁気抵抗効果素子等は、より具体的には、スピン注入による磁化反転を応用したスピン注入型磁気抵抗効果素子である。ここで、本発明の磁気抵抗効果素子等において、記録層あるいは積層構造体の平面形状として、楕円形、長円形(2つの半円と2本の線分とが組み合わされた図形)、放物線や双曲線によって囲まれた形状、広くは2次関数あるいは3次以上の関数で表現し得る図形から構成された形状、正多角形(長方形、正5角形以上の正多角形、頂点が丸みを帯びた長方形、頂点が丸みを帯びた正5角形以上の正多角形が含まれる)、扁平な円形(円形を一方向から押し潰したような図形)を挙げることができるし、楕円形と線分との組合せ、放物線と線分との組合せ、双曲線と線分との組合せ、広くは、2次関数と1次関数との組合せ、あるいは3次以上の関数と1次関数との組合せを含むことができる。あるいは又、湾曲した形状とすることができる。
スピン注入型磁気抵抗効果素子にあっては、磁化参照層(固着層とも呼ばれる)、非磁性体膜、及び、情報を記憶する記録層(磁化反転層あるいは自由層とも呼ばれる)によって、TMR効果あるいはGMR効果を有する積層構造体が構成されている。ここで、磁化参照層、非磁性体膜及び記録層によって、TMR効果を有する積層構造体が構成されるとは、磁性材料から成る磁化参照層と、磁性材料から成る記録層との間に、トンネル絶縁膜として機能する非磁性体膜が挟まれた構造を指す。
本発明の磁気抵抗効果素子等において、記録層は磁化参照層よりも小さい。即ち、記録層の射影像は磁化参照層の射影像内に含まれる。本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る磁気抵抗効果素子の製造方法にあっては、記録層をパターニングするが、このとき、非磁性体膜はパターニングされない形態、非磁性体膜が厚さ方向に一部分、パターニングされる形態、非磁性体膜がパターニングされる形態の3つの形態を含み得る。従って、記録層の側壁上に絶縁膜を形成するが、非磁性体膜の側壁の一部分にも絶縁膜を形成する形態、非磁性体膜の側壁にも絶縁膜を形成する形態を含み得る。更には、記録層の側壁上の絶縁膜の上に磁気シールド層を形成するが、非磁性体膜の側壁の一部分の上の絶縁膜の上に磁気シールド層を形成する形態、非磁性体膜の側壁の上の絶縁膜の上に磁気シールド層を形成する形態を含み得る。
スピン注入型磁気抵抗効果素子における記録層(磁化反転層)、磁化参照層、磁気シールド層を構成する材料として、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)といった強磁性材料、これらの強磁性材料の合金(例えば、Co−Fe、Co−Fe−Ni、Ni−Fe等)、これらの合金に非磁性元素(例えば、タンタル、ホウ素、クロム、白金、シリコン、炭素、窒素等)を混ぜた合金(例えば、Co−Fe−B等)、Co、Fe、Niの内の1種類以上を含む酸化物(例えば、フェライト:Fe−MnO等)、ハーフメタリック強磁性材料と呼ばれる一群の金属間化合物(ホイスラー合金:NiMnSb、Co2MnGe、Co2MnSi、Co2CrAl等)、酸化物(例えば、(La,Sr)MnO3、CrO2、Fe34等)を挙げることができる。記録層、磁化参照層、磁気シールド層の結晶性は、本質的に任意であり、多結晶であってもよいし、単結晶であってもよいし、非晶質であってもよい。更には、各種磁性半導体の使用も可能であるし、軟磁性(ソフト膜)であっても硬磁性(ハード膜)であってもよい。
あるいは又、スピン注入型磁気抵抗効果素子における磁化参照層は、積層フェリ構造[反強磁性的結合を有する積層構造であり、合成反強磁性結合(SAF:Synthetic Antiferromagnet)とも呼ばれる]を有する構成とすることができるし、静磁結合構造を有する構成とすることができる。積層フェリ構造とは、例えば、磁性材料層/ルテニウム(Ru)層/磁性材料層の3層構造(具体的には、例えば、CoFe/Ru/CoFeの3層構造、CoFeB/Ru/CoFeBの3層構造)を有し、ルテニウム層の厚さによって、2つの磁性材料層の層間交換結合が、反強磁性的あるいは強磁性的になる構造を指し、例えば、 S. S. Parkin et. al, Physical Review Letters, 7 May, pp 2304-2307 (1990) に報告されている。尚、2つの磁性材料層の層間交換結合が強磁性的になる構造を、積層フェロ構造と呼ぶ。また、2つの磁性材料層において、磁性材料層の端面からの漏洩磁界によって反強磁性的結合が得られる構造を、静磁結合構造と呼ぶ。記録層(磁化反転層)を、合成反強磁性結合を有する多層構造とすることもできる。磁化参照層は、反強磁性体層との交換結合によってピニング(pinning)される。反強磁性体層を構成する材料として、鉄−マンガン合金、ニッケル−マンガン合金、白金−マンガン合金、イリジウム−マンガン合金、ロジウム−マンガン合金、コバルト酸化物、ニッケル酸化物を挙げることができる。後述する第1配線あるいは第2配線と反強磁性体層との間には、反強磁性体層の結晶性向上のために、Ta、Cr、Ru、Ti等から成る下地膜を形成してもよい。
スピン注入型磁気抵抗効果素子において、TMR効果を有する積層構造体を構成する非磁性体膜を構成する材料として、マグネシウム酸化物(MgO)、マグネシウム窒化物、アルミニウム酸化物(AlOX)、アルミニウム窒化物(AlN)、シリコン酸化物、シリコン窒化物、TiO2あるいはCr23、Ge、NiO、CdOX、HfO2、Ta25、BN、ZnS等の絶縁材料を挙げることができる。一方、GMR効果を有する積層構造体を構成する非磁性体膜を構成する材料として、Cu、Ru、Cr、Au、Ag、Pt、Ta等、あるいは、これらの合金といった導電性材料を挙げることができるし、導電性が高ければ(抵抗率が数百μΩ・cm以下)、任意の非金属材料としてもよいが、記録層や磁化参照層と界面反応を起こし難い材料を、適宜、選択することが望ましい。
積層構造体を構成するこれらの層は、あるいは又、磁気シールド層は、例えば、スパッタリング法、イオンビーム堆積法、真空蒸着法に例示される物理的気相成長法(PVD法)、ALD(Atomic Layer Deposition)法に代表される化学的気相成長法(CVD法)にて形成することができる。
また、非磁性体膜は、例えば、スパッタリング法にて形成された金属膜を酸化若しくは窒化することにより得ることができる。より具体的には、非磁性体膜を構成する絶縁材料としてアルミニウム酸化物(AlOX)、マグネシウム酸化物(MgO)を用いる場合、例えば、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムを大気中で酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムをプラズマ酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムをIPCプラズマで酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムを酸素中で自然酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムを酸素ラジカルで酸化する方法、スパッタリング法にて形成されたアルミニウムやマグネシウムを酸素中で自然酸化させるときに紫外線を照射する方法、アルミニウムやマグネシウムを反応性スパッタリング法にて成膜する方法、アルミニウム酸化物(AlOX)やマグネシウム酸化物(MgO)をスパッタリング法にて成膜する方法を例示することができる。
本発明において、絶縁膜、第2の絶縁膜として、酸化ケイ素(SiOX)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)を挙げることができる。尚、絶縁膜を構成する材料と、第2の絶縁膜を構成する材料との間には、適切なるエッチング選択比が存在することが望ましい。絶縁膜、第2の絶縁膜の形成方法として、各種のCVD法やPVD法を挙げることができる。ここで、PVD法として具体的には、電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着法等の各種真空蒸着法;プラズマ蒸着法;2極スパッタ法、直流スパッタ法、直流マグネトロンスパッタ法、高周波スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法等の各種スパッタ法;DC(Direct Current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、HCD(Hollow Cathode Discharge)法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法;IVD法(イオン・ベーパー・デポジション法)、イオンビーム堆積法を挙げることができる。
記録層、磁化参照層、積層構造体のパターニングは、反応性イオンエッチング法(RIE法)やイオンミーリング法(イオンビームエッチング法)にて行うことができる。また、場合によっては、所謂リフトオフ法にてパターニングを行うこともできる。
本発明の磁気抵抗効果素子等は、積層構造体の下部に電気的に接続された第1配線、及び、積層構造体の上に接続部を介して接続された第2配線を備えている構造とすることができる。また、第1配線の下方に、電界効果型トランジスタから成る選択用トランジスタを有する構造とすることができる。ここで、第2配線(例えば、ビット線)の延びる方向は、電界効果型トランジスタを構成するゲート電極(ワード線)の延びる方向と平行である形態とすることができるし、第2配線の延びる方向の射影像は、電界効果型トランジスタを構成するゲート電極の延びる方向の射影像と直交する形態とすることもできる。尚、第1配線の下方に、電界効果型トランジスタから成る選択用トランジスタが形成されている場合、具体的には、選択用トランジスタは下層絶縁層で覆われ、下層絶縁層上に第1配線が形成され、下層絶縁層に設けられた接続孔(あるいは接続孔とランディングパッド部や下層配線)を介して、選択用トランジスタの一方のソース/ドレイン領域と第1配線とが接続されている構成とすることができる。また、層間絶縁層は、下層絶縁層及び第1配線を覆い、積層構造体及び接続部を取り囲んでおり、第2配線は層間絶縁層上に形成されている構成とすることができる。即ち、より具体的な構成として、例えば、限定するものではないが、
半導体基板に形成された選択用トランジスタ、及び、
選択用トランジスタを覆う下層絶縁層、
を備え、
下層絶縁層上に第1配線が形成されており、
第1配線は、下層絶縁層に設けられた接続孔(あるいは接続孔とランディングパッド部や下層配線)を介して選択用トランジスタに電気的に接続されており、
層間絶縁層は、下層絶縁層及び第1配線を覆い、積層構造体を取り囲んでおり、
第2配線は層間絶縁層上に形成されている構成を例示することができる。
場合によっては、選択用トランジスタは不要である。第1配線や、第2配線(例えば、所謂ビット線として機能する)は、Cu、Au、Pt等の単層構造から成り、あるいは又、CrやTi等から成る下地層と、その上に形成されたCu層、Au層、Pt層等の積層構造を有していてもよいし、更には、W、Ru、Ta等の単層あるいはCu、Cr、Ti等との積層構造から構成することもできる。これらの配線は、例えば、スパッタリング法に例示されるPVD法にて形成することができる。
層間絶縁層を構成する材料として、SiO2、NSG(ノンドープ・シリケート・ガラス)、BPSG(ホウ素・リン・シリケート・ガラス)、PSG、BSG、AsSG、SbSG、SOG(スピンオングラス)等のSiOX系材料(シリコン系酸化膜を構成する材料)、SiN、SiON、SiOC、SiOF、SiCN、低誘電率絶縁材料(例えば、フルオロカーボン、シクロパーフルオロカーボンポリマー、ベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、アモルファス・テトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG、パリレン、フッ化フラーレン)、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、Silk(The Dow Chemical Co. の商標であり、塗布型低誘電率層間絶縁膜材料)、Flare(Honeywell Electronic Materials Co. の商標であり、ポリアリルエーテル(PAE)系材料)を例示することができる。
磁化参照層と第1配線(あるいは第2配線)の電気的な接続状態として、第1配線(あるいは第2配線)が、直接、磁化参照層に接続されている形態を挙げることができるし、あるいは又、第1配線(あるいは第2配線)が、反強磁性体層を介して磁化参照層に接続されている形態を挙げることができる。また、第1配線が反強磁性体層を兼ねている構成とすることもできる。磁化参照層が第1配線に接続されている場合、第1配線から磁化参照層を介して、また、磁化参照層が第2配線に接続されている場合、第2配線から磁化参照層を介して、偏極スピン電流を記録層内に注入することにより、記録層における磁化の方向を第1の方向(磁化容易軸と平行な方向)あるいは第2の方向(第1の方向とは反対の方向)とすることで、記録層に情報が書き込まれる。
選択用トランジスタは、例えば、周知のMIS型FETやMOS型FETから構成することができる。第1配線と選択用トランジスタとを電気的に接続する接続孔は、不純物がドーピングされたポリシリコンや、タングステン、Ti、Pt、Pd、Cu、TiW、TiNW、WSi2、MoSi2等の高融点金属や金属シリサイドから構成することができ、CVD法や、スパッタリング法に例示されるPVD法に基づき形成することができる。また、下層絶縁層を構成する材料として、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、SiON、SOG、NSG、BPSG、PSG、BSGあるいはLTOを例示することができる。
本発明の磁気抵抗効果素子、本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る磁気抵抗効果素子の製造方法において、記録層の大きさは磁化参照層の大きさよりも小さく、記録層の側壁上の絶縁膜の上及び磁化参照層の側壁の上には、磁気シールド層が形成されている。このように、記録層の大きさが磁化参照層の大きさよりも小さいが故に、記録層、磁化参照層をパターニングするとき、これらの層の側面にリデポジションが発生し、記録層と磁化参照層との間に短絡が発生するといった問題が生じることがない。また、記録層の側壁上の絶縁膜の上には磁気シールド層が形成されているので、隣接する磁気抵抗効果素子からの漏洩磁界によっての影響を抑制することができる。更には、磁化参照層の側壁の上にも磁気シールド層が形成されているので、隣接した磁気抵抗効果素子の磁化参照層(固着層)、相互の間に磁気的結合が生じることがない。従って、高い性能、安定した書き込み、読み出し特性、優れた耐ディスターブ性を有する磁気抵抗効果素子を提供することができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の磁気抵抗効果素子、及び、本発明の第1の態様に係る磁気抵抗効果素子の製造方法に関する。実施例1の磁気抵抗効果素子(MTJ素子)の模式的な一部断面図を図1に示す。尚、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例3、参考例1〜参考例3の磁気抵抗効果素子は、具体的には、スピン注入による磁化反転を応用したスピン注入型磁気抵抗効果素子である。
実施例1〜実施例3の磁気抵抗効果素子30は、基体(具体的には、後述する第1配線41)上に形成され、基体側から磁化参照層51、非磁性体膜52、及び、電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層53から成る積層構造体50を備えている。そして、記録層53は磁化参照層51よりも小さく(即ち、記録層53の平面形状は磁化参照層51の平面形状よりも小さく)、記録層53の側壁上には絶縁膜61が形成されており、記録層53の側壁上の絶縁膜61の上、及び、磁化参照層51の側壁の上には、磁気シールド層63が形成されている。
ここで、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例3、参考例1〜参考例3の磁気抵抗効果素子は、積層構造体50の下部に電気的に接続された第1配線41、及び、積層構造体50の上に設けられたキャップ層55を介して接続された第2配線42(ビット線として機能する)を備えている。また、実施例1、あるいは、後述する実施例2〜実施例3、参考例1〜参考例3の磁気抵抗効果素子にあっては、更に、第1配線41の下方に、電界効果型トランジスタから成る選択用トランジスタTRを有している。
尚、図1に示す模式的な一部断面図において、図面の関係上、一点鎖線の上側の「A」の領域と、下側の「B」の領域では、磁気抵抗効果素子の断面を眺める方向が90度異なっている。即ち、「A」の領域は、磁気抵抗効果素子の断面を磁化困難軸と平行な方向から眺めており、「B」の領域は、磁気抵抗効果素子の断面を磁化容易軸と平行な方向から眺めている。従って、図1では、第2配線(実施例1にあっては、ビット線)42の延びる方向の射影像と、電界効果型トランジスタを構成するゲート電極(ワード線)12の延びる方向の射影像とは直交しているように図示しているが、実際には、平行である。図4、図5、図7、図10、図11に示す実施例2〜実施例3、参考例1〜参考例3の磁気抵抗効果素子においても同様である。
ここで、積層構造体50を構成する記録層53は、磁化容易軸、及び、この磁化容易軸と直交する磁化困難軸を有している。実施例1にあっては、磁化容易軸は第2配線42と平行である。また、積層構造体50の上部と第2配線42との間には、上述したとおり、厚さ約100nmのTiN層から成るキャップ層55が、スパッタリング法にて形成されている。キャップ層55は、配線を構成する原子と記録層53を構成する原子の相互拡散の防止、接触抵抗の低減、及び、記録層53の酸化防止を担っている。尚、キャップ層55を、その他、Cu層、Ta層、Ti層、W層、TaN層、WN層、Ru層、Pt層、MgO層、Ru膜/Ta膜の積層構造等から構成することもできる。
更には、上述したとおり、第1配線41の下方に、電界効果型トランジスタから成る選択用トランジスタTRが設けられており、第2配線(ビット線)42の延びる方向は、電界効果型トランジスタを構成するゲート電極(ワード線)12の延びる方向と平行である。具体的には、選択用トランジスタTRは、素子分離領域11によって囲まれたシリコン半導体基板10の部分に形成されており、下層絶縁層21,24によって覆われている。そして、一方のソース/ドレイン領域14Bは、タングステンプラグから成る接続孔22を介して、第1配線41に接続されている。また、他方のソース/ドレイン領域14Aは、タングステンプラグ15を介してセンス線16に接続されている。図中、参照番号13はゲート絶縁膜を示す。
図13の(A)に概念図を示すように、積層構造体50は、以下の構成、構造を有しており、スパッタリング法にて形成されている。尚、磁化参照層51は、反強磁性体層54(図13参照。図1等には図示せず)のPt−Mnとの交換結合によって、磁化の方向がピニング(pinning)される。また、記録層53においては、電流の流れる方向により、その磁化の方向が、磁化参照層51に対して平行又は反平行に変えられる。
具体的には、実施例1におけるスピン注入型磁気抵抗効果素子は、GMR効果を有する積層膜、あるいは、TMR効果を有する積層膜から成る磁気抵抗効果積層膜が2つの配線41,42で挟まれた構造を有する。即ち、情報を記録する機能を担う記録層(磁化反転層あるいは自由層とも呼ばれる)53と、磁化方向が固定されており、スピンフィルターとして機能する磁化参照層(固着層とも呼ばれる)51が、非磁性体膜52を介して積層された構造を有し、電流は膜面に垂直に流れる(図13の(A)参照)。記録層53の大きさは、模式的な平面図を図13の(B)に示すが、記録層53を構成する磁性材料の種類や膜厚に依るが、単磁区化を促進し、且つ、スピン注入磁化反転の臨界電流Icを低減するため、概ね200nm以下である。記録層53は、適当な磁気異方性により2以上の複数の磁化方向(例えば、図13の(A)に水平方向の矢印にて示す2方向である第1の方向及び第2の方向)を取ることができ、各磁化方向は記録される情報に対応する。図13の(B)においては、記録層53の平面形状を長楕円形状にすることによって、形状磁気異方性を付与した例を示す。即ち、記録層53は、第1の方向及び第2の方向に平行な磁化容易軸と、磁化困難軸とを有しており、磁化容易軸に沿った記録層53の長さは、磁化困難軸に沿った記録層53の長さよりも長い。
磁化参照層51は、通例、反強磁性体層54との交換結合により、その磁化方向が固定されている(図13の(C)参照)。磁化参照層51A,51Bを、記録層53の上下に、非磁性体膜52A,52Bを介して配置して、スピン注入磁化反転の効率を向上させたダブル・スピンフィルター構造も知られている(図13の(D)参照)。ここで、参照番号54A,54Bは、反強磁性体層である。尚、図13の(A)、(C)及び(D)に示した例においては、記録層53、磁化参照層51(磁化参照層が2層51A,51Bの場合には、いずれか一方の層)を、積層フェリ構造(SAF積層構造)としてもよい。非磁性体膜52,52A,52Bは、金属材料あるいは絶縁材料から構成されている。いずれにしても、スピン注入磁化反転を適用した不揮発性磁気メモリ素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)は、磁気抵抗効果積層膜の上下を配線で挟んだ、2端子スピントランスファー素子構造を有する。
[積層構造体50]
記録層53
厚さ約5nmのCo−Fe層
非磁性体膜(トンネル絶縁膜)52
厚さ1.0nmのAlOX
磁化参照層(SAF積層構造の多層膜)51(図面では1層で示す)
上層:厚さ2nmのCo−Fe層
中層:厚さ1nmのRu層
下層:厚さ2nmのCo−Fe層
反強磁性体層54
厚さ20nmのPt−Mn層
第1配線41は、10nm厚さのTa層から成る。第2配線42は、例えば、Ta、TiあるいはAl−Cuから成る。また、積層構造体50を囲む層間絶縁層26は、SiN又はSiO2から成る。
以下、下層絶縁層24等の模式的な一部端面図である図2の(A)〜(C)、図3の(A)及び(B)を参照して、実施例1の磁気抵抗効果素子の製造方法を説明する。尚、磁気抵抗効果素子の製造方法を説明する図面においては、選択用トランジスタTRの図示を省略し、また、下層絶縁層24に設けられた接続孔22の図示も省略している。
[工程−100]
先ず、周知の方法に基づき、シリコン半導体基板10に素子分離領域11を形成し、素子分離領域11によって囲まれたシリコン半導体基板10の部分に、ゲート酸化膜13、ゲート電極(ワード線)12、ソース/ドレイン領域14A,14Bから成る選択用トランジスタTRを形成する。次いで、第1下層絶縁層21を形成し、ソース/ドレイン領域14Aの上方の第1下層絶縁層21の部分にタングステンプラグ15を形成し、更には、第1下層絶縁層21上にセンス線16を形成する。その後、全面に第2下層絶縁層24を形成し、ソース/ドレイン領域14Bの上方の下層絶縁層21,24の部分にタングステンプラグから成る接続孔22を形成する。こうして、下層絶縁層21,24で覆われた選択用トランジスタTRを得ることができる。
[工程−110]
その後、基体(具体的には、実施例1にあっては第1配線41)上に、基体側から磁化参照層51、非磁性体膜52、及び、電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層53から成る積層構造体50を形成する。具体的には、最上層に記録層53Aが設けられた積層構造体50Aを形成し、次いで、積層構造体50Aの上にキャップ層55Aを形成する。ここで、先ず、第1配線上に、パターニングされていない積層構造体を形成する。より具体的には、スパッタリング法にて、真空中での連続成膜にて、全面に、パターニングされていない第1配線41A、積層構造体50A(磁化参照層51A、非磁性体膜(トンネル絶縁膜)52A、記録層53A)、キャップ層55Aを形成する。尚、これらの層は、パターニングされていないので、参照番号の末尾に「A」を付している。また、磁化参照層51Aは、1層で示している。こうして、図2の(A)に示す構造を得ることができる。尚、非磁性体膜(トンネル絶縁膜)52Aは、例えば、アルミニウム膜をスパッタリング法にて成膜した後、成膜したアルミニウム膜を酸素ガスを用いて酸化させることで得ることができる。
[第1配線41A]
プロセスガス :アルゴン=100sccm
成膜雰囲気圧力:0.6Pa
DCパワー :200W
[反強磁性体層54A]
プロセスガス :アルゴン=100sccm
成膜雰囲気圧力:0.6Pa
DCパワー :200W
[磁化参照層51A]
下層
プロセスガス :アルゴン=50sccm
成膜雰囲気圧力:0.3Pa
DCパワー :100W
中層
プロセスガス :アルゴン=50sccm
成膜雰囲気圧力:0.3Pa
DCパワー :50W
上層
プロセスガス :アルゴン=50sccm
成膜雰囲気圧力:0.3Pa
DCパワー :100W
[非磁性体膜52A]
プロセスガス :アルゴン=50sccm
成膜雰囲気圧力:0.3Pa
RFパワー :50W
[記録層53A]
プロセスガス :アルゴン=50sccm
成膜雰囲気圧力:0.3Pa
DCパワー :200W
[キャップ層55A]
プロセスガス :アルゴン=65sccm
成膜雰囲気圧力:0.3Pa
DCパワー :10kW
[工程−120]
その後、記録層53をパターニングする。具体的には、キャップ層55Aの上に、ハードマスク層をCVD法にて形成し、更に、ハードマスク層上に、パターニングされたレジスト層を、周知のフォトリソグラフィ技術に基づき形成する。尚、ハードマスク層を構成する材料として、SiO2、SiN、SiON、SiC、Al23、AlNを挙げることができる。ハードマスク層は多層構成であってもよい。ハードマスク層をPVD法にて形成してもよい。ハードマスク層は、リソグラフィ工程における反射防止効果や、エッチング停止、金属拡散防止等の機能を兼ねている。
そして、係るレジスト層をエッチング用マスクとして、ハードマスク層を、ドライエッチング法の一種であるRIE法にてパターニングした後、レジスト層を除去する。次いで、パターニングされたハードマスク層をマスクとして用いて、RIE法にてキャップ層55A及び記録層53Aをパターニングすることで、パターニングされたキャップ層55及び記録層53を得ることができる。尚、ドライエッチングを記録層53Aのエッチング終了と共に停止するが、エッチングが若干進行し、非磁性体膜52Aが、その厚さ方向に一部分、エッチングされる場合もある。こうして、図2の(B)に示す構造を得ることができる。尚、キャップ層55及び記録層53をRIE法にてパターニングする代わりに、イオンミーリング法に基づきパターニングすることもできる。
[キャップ層55Aのドライエッチング]
エッチングガス:Cl2/BCl3/N2=60sccm/80sccm/10sccm
ソースパワー :1kW
バイアスパワー:150W
圧力 :1Pa
[記録層53Aのドライエッチング]
エッチングガス:Cl2/O2/Ar=50sccm/20sccm/20sccm
ソースパワー :1kW
バイアスパワー:150W
圧力 :1Pa
[工程−130]
次いで、全面に絶縁膜61を形成する。この絶縁膜61は、窒化シリコン(SiN)から成る。尚、絶縁膜61を、窒化シリコン(SiN)と酸化シリコン(SiO2)等の多層構成としてもよい。具体的には、厚さ50nmのSiNから成る絶縁膜61を、例えば平行平板型プラズマCVD装置を用いて形成(成膜)する。こうして、図2の(C)に示す構造を得ることができる。
[絶縁膜61の成膜条件]
プロセスガス:SiH4/NH3/N2=260sccm/100sccm/4000sccm
成膜雰囲気 :5.7×102Pa
[工程−140]
その後、記録層53よりも大きな磁化参照層51が得られるように磁化参照層51をパターニングする。具体的には、絶縁膜61上にパターニングされたレジスト層を形成し、次いで、RIE法にて、絶縁膜61、磁化参照層51、及び、第1配線41をパターニングした後、レジスト層を除去する。こうして、図3の(A)に示す構造を得ることができる。尚、RIE法によってパターニングする代わりに、イオンミーリング法に基づきパターニングすることもできる。
[絶縁膜61のドライエッチング]
エッチングガス:CHF3/Ar/O2=20sccm/200sccm/20sccm
RFパワー :1kW
圧力 :6Pa
温度 :20゜C
[磁化参照層51及び反強磁性体層54Aのドライエッチング]
エッチングガス:Cl2/O2/Ar=50sccm/20sccm/20sccm
ソースパワー :1kW
バイアスパワー:150W
圧力 :1Pa
[工程−150]
次に、記録層53の側壁上の絶縁膜61の上、及び、磁化参照層51の側壁の上に、磁気シールド層63を形成する。具体的には、ニッケル−鉄(Ni−Fe)合金から成る厚さ20nmの磁気シールド層63をスパッタリング法にて成膜する。そして、このように全面に磁気シールド層63を形成した後、実施例1にあっては、磁気シールド層63をエッチバックする。こうして、図3の(B)に示す構造を得ることができる。
[磁気シールド層63の成膜条件]
プロセスガス:アルゴン=20sccm
成膜雰囲気 :0.05Pa
DCパワー :350W
[磁気シールド層63のエッチバック条件]
エッチングガス:Cl2/Ar=5sccm/90sccm
ソースパワー :1.4kW
バイアスパワー:500W
圧力 :0.7Pa
[工程−160]
その後、全面に、プラズマCVD法にて層間絶縁層26を成膜し、層間絶縁層26を化学的機械的研磨法(CMP法)にて平坦化し、キャップ層55を露出させる。次に、層間絶縁層26上に、キャップ層55に接する第2配線(ビット線)42を、周知の方法で形成することで、図1に示した磁気抵抗効果素子を得ることができる。
実施例1の磁気抵抗効果素子にあっては、記録層の大きさは磁化参照層の大きさよりも小さく、記録層の側壁上の絶縁膜の上及び磁化参照層の側壁の上には、磁気シールド層が形成されている。このように、記録層の大きさは磁化参照層の大きさよりも小さいので、記録層、磁化参照層をパターニングするとき、これらの層の側面にリデポジションが発生し、記録層と磁化参照層との間に短絡が発生するといった問題が生じることを確実に防止することができる。また、記録層の側壁には磁気シールド層が形成されているので、隣接する磁気抵抗効果素子からの漏洩磁界によっての影響を抑制することができる。更には、磁化参照層の側壁にも磁気シールド層が形成されているので、隣接した磁気抵抗効果素子の磁化参照層(固着層)、相互の間に磁気的結合が生じることがない。従って、高い性能、安定した書き込み、読み出し特性、優れた耐ディスターブ性を有する磁気抵抗効果素子を提供することができる。以下に説明する実施例2〜実施例3の磁気抵抗効果素子にあっても同様である。
実施例2は、実施例1の変形である。図4に模式的な一部断面図を示すように、実施例2の磁気抵抗効果素子にあっては、記録層53の側壁上の絶縁膜61と磁気シールド層63との間、及び、磁化参照層51の側壁と磁気シールド層63との間には、第2の絶縁膜62が形成されている。実施例2にあっては、磁化参照層をパターニングした後、磁気シールド層を形成する前に、具体的には、実施例1の[工程−140]と[工程−150]の間で、全面に、例えば、SiNから成る第2の絶縁膜62を形成する。
この点を除き、実施例2の磁気抵抗効果素子及びその製造方法は、実施例1において説明した磁気抵抗効果素子及びその製造方法と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例3は、本発明の磁気抵抗効果素子、及び、本発明の第2の態様に係る磁気抵抗効果素子の製造方法に関する。実施例3の磁気抵抗効果素子の模式的な一部断面図を図5に示す。実施例3の磁気抵抗効果素子にあっては、磁化参照層51の側壁と磁気シールド層63との間にも絶縁膜61が形成されている。この点を除き、実施例3の磁気抵抗効果素子の構成、構造は、実施例1において説明した磁気抵抗効果素子の構成、構造と同様であるが故に、詳細な説明は省略する。
以下、下層絶縁層24等の模式的な一部端面図である図6の(A)〜(D)を参照して、実施例3の磁気抵抗効果素子の製造方法を説明する。
[工程−300]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様の工程を実行した後、実施例1の[工程−110]と同様の工程に基づき、基体(実施例3にあっても、第1配線41)上に、基体側から磁化参照層51A、非磁性体膜52A、及び、電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層53Aから成る積層構造体50A、更には、キャップ層55Aを形成する。こうして、図2の(A)に示した構造を得ることができる。
[工程−310]
次いで、積層構造体50をパターニングする。具体的には、キャップ層55Aの上に、ハードマスク層をCVD法にて形成し、更に、ハードマスク層上に、パターニングされたレジスト層を、周知のフォトリソグラフィ技術に基づき形成する。そして、係るレジスト層をエッチング用マスクとして、ハードマスク層を、ドライエッチング法の一種であるRIE法にてパターニングした後、レジスト層を除去する。次いで、パターニングされたハードマスク層をマスクとして用いて、RIE法にてキャップ層55A、記録層53A、非磁性体膜52A、磁化参照層51A、第1配線41Aをパターニングする。その後、ハードマスク層を除去する。こうして、図6の(A)に示す構造を得ることができる。尚、これらの層をRIE法にてパターニングする代わりに、イオンミーリング法に基づきパターニングすることもできる。また、RIEの条件は、実施例1にて説明したと同様とすればよい。
[工程−320]
その後、磁化参照層51よりも小さな記録層53が得られるように記録層53Aをパターニングする。具体的には、実施例1の[工程−120]と同様の工程を実行すればよい。こうして、図6の(B)に示す構造を得ることができる。
[工程−330]
その後、全面に絶縁膜61を形成する。具体的には、実施例1の[工程−130]と同様の工程を実行すればよい。こうして、図6の(C)に示す構造を得ることができる。尚、この工程によって、磁化参照層51の側壁にも絶縁膜61が形成される。
[工程−340]
次いで、記録層53の側壁上の絶縁膜61の上、及び、磁化参照層51の側壁の絶縁膜61の上に、磁気シールド層63を形成する。具体的には、実施例1の[工程−150]と同様の工程を実行すればよい。こうして、図6の(D)に示す構造を得ることができる。
[工程−350]
その後、全面に、プラズマCVD法にて層間絶縁層26を成膜し、層間絶縁層26を化学的機械的研磨法にて平坦化し、キャップ層55を露出させる。次に、層間絶縁層26上に、キャップ層55に接する第2配線(ビット線)42を、周知の方法で形成することで、図5に示した磁気抵抗効果素子を得ることができる。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した各種の積層構造、構成、使用した材料等は例示であり、適宜、変更することができる。第2配線(ビット線)42の延びる方向の射影像は、選択用トランジスタTRを構成するゲート電極12の延びる方向の射影像と直交する形態とすることもできる。実施例においては、記録層の平面形状を楕円形としたが、その代わりに、特開2005−353788(特願2004−172122)に開示された形状とすることもできる。
また、図14の(A)あるいは(B)に模式的な部分的平面図を示したように、隣接するスピン注入型磁気抵抗効果素子をオフセット配置してもよい。スピン注入型磁気抵抗効果素子の微細化が進むに従い、隣接するスピン注入型磁気抵抗効果素子にて発生した漏洩磁界に起因して記録層の磁化が乱されるといったディスターブ現象が発生し、スピン注入型磁気抵抗効果素子のデータ保持特性が著しく劣化するといった問題が生じている。このようなディスターブ現象の発生を避けるために、このように、隣接するスピン注入型磁気抵抗効果素子をオフセット配置すればよい。
実施例1〜実施例3にあっては、積層構造体を、基体側から磁化参照層、非磁性体膜、及び、電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層から構成したが、場合によっては、積層順を逆にした積層構造体、即ち、基体上に形成され、基体側から電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層、非磁性体膜、及び、磁化参照層から成る積層構造体を備えた磁気抵抗効果素子とすることもでき、この場合には、
磁化参照層は、記録層よりも小さく、
磁化参照層の側壁上には絶縁膜が形成されており、
磁化参照層の側壁上の絶縁膜の上、及び、記録層の側壁の上には、磁気シールド層が形成されている。尚、このような構成の磁気抵抗効果素子を、便宜上、『参考例の磁気抵抗効果素子』と呼ぶ。
そして、参考例の磁気抵抗効果素子にあっては、磁化参照層の側壁上の絶縁膜と磁気シールド層との間、及び、記録層の側壁と磁気シールド層との間には、第2の絶縁膜が形成されている構成とすることができる。また、記録層の側壁と磁気シールド層との間にも、絶縁膜が形成されている構成とすることができ、更には、磁化参照層の側壁上の絶縁膜と磁気シールド層との間、及び、記録層の側壁上の絶縁膜と磁気シールド層との間には、第2の絶縁膜が形成されている構成とすることができる。
参考例の磁気抵抗効果素子にあっては、磁化参照層は記録層よりも小さい。即ち、磁化参照層の射影像は記録層の射影像内に含まれる。そして、このような参考例の磁気抵抗効果素子の製造にあっては、磁化参照層をパターニングするが、このとき、非磁性体膜はパターニングされない形態、非磁性体膜が厚さ方向に一部分、パターニングされる形態、非磁性体膜がパターニングされる形態の3つの形態を含み得る。従って、磁化参照層の側壁上に絶縁膜を形成するが、非磁性体膜の側壁の一部分にも絶縁膜を形成する形態、非磁性体膜の側壁にも絶縁膜を形成する形態を含み得る。更には、磁化参照層の側壁上の絶縁膜の上に磁気シールド層を形成するが、非磁性体膜の側壁の一部分の上の絶縁膜の上に磁気シールド層を形成する形態、非磁性体膜の側壁の上の絶縁膜の上に磁気シールド層を形成する形態を含み得る。
ここで、参考例の磁気抵抗効果素子は、
(A)基体上に、基体側から電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層、非磁性体膜、及び、磁化参照層から成る積層構造体を形成し、次いで、
(B)磁化参照層をパターニングした後、
(C)全面に絶縁膜を形成し、次いで、
(D)磁化参照層よりも大きな記録層が得られるように記録層をパターニングした後、
(E)磁化参照層の側壁上の絶縁膜の上、及び、記録層の側壁の上に、磁気シールド層を形成する、
各工程を有する磁気抵抗効果素子の製造方法によって得ることができる。
あるいは又、参考例の磁気抵抗効果素子は、
(A)基体上に、基体側から電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層、非磁性体膜、及び、磁化参照層から成る積層構造体を形成し、次いで、
(B)積層構造体をパターニングした後、
(C)記録層よりも小さな磁化参照層が得られるように磁化参照層をパターニングし、その後、
(D)全面に絶縁膜を形成し、次いで、
(E)磁化参照層の側壁上の絶縁膜の上、及び、記録層の側壁の絶縁膜の上に、磁気シールド層を形成する、
各工程を有する磁気抵抗効果素子の製造方法によって得ることができる。
参考例の磁気抵抗効果素子にあっては、磁化参照層の大きさは記録層の大きさよりも小さく、磁化参照層の側壁上の絶縁膜の上及び記録層の側壁の上には、磁気シールド層が形成されている。このように、磁化参照層の大きさが記録層の大きさよりも小さいが故に、磁化参照層、記録層をパターニングするとき、これらの層の側面にリデポジションが発生し、記録層と磁化参照層との間に短絡が発生するといった問題が生じることがない。また、記録層の側壁上の絶縁膜の上には磁気シールド層が形成されているので、隣接する磁気抵抗効果素子からの漏洩磁界によっての影響を抑制することができる。更には、磁化参照層の側壁の上にも磁気シールド層が形成されているので、隣接した磁気抵抗効果素子の磁化参照層(固着層)、相互の間に磁気的結合が生じることがない。従って、高い性能、安定した書き込み、読み出し特性、優れた耐ディスターブ性を有する磁気抵抗効果素子を提供することができる。
以下、このような構成の磁気抵抗効果素子、及び、その製造方法を、参考例1〜参考例3として、具体的に説明する。
[参考例1]
参考例1の磁気抵抗効果素子(MTJ素子)の模式的な一部断面図を図7に示す。
参考例1〜参考例3の磁気抵抗効果素子30Aは、基体(具体的には、第1配線41)上に形成され、基体側から電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層53、非磁性体膜52、及び、磁化参照層51から成る積層構造体150を備えている。そして、磁化参照層51は記録層53よりも小さく(即ち、磁化参照層51の平面形状は記録層53の平面形状よりも小さく)、磁化参照層51の側壁上には絶縁膜61が形成されており、磁化参照層51の側壁上の絶縁膜61の上、及び、記録層53の側壁の上には、磁気シールド層63が形成されている。
尚、積層構造体150の積層順が、実施例1の積層構造体50の積層順と逆であることを除き、参考例1〜参考例3における積層構造体150の構成、構造は、実施例1における積層構造体50の構成、構造と同じとすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、参考例1〜参考例3にあっても、積層構造体150の上にはキャップ層55が形成されている。また、参考例1〜参考例3の磁気抵抗効果素子の構成、構造も、積層構造体150の積層順が逆である点を除き、実質的に、実施例1〜実施例3の磁気抵抗効果素子の構成、構造と同じである。
以下、下層絶縁層24等の模式的な一部端面図である図8の(A)〜(C)、図9の(A)及び(B)を参照して、参考例1の磁気抵抗効果素子の製造方法を説明する。
[工程−A−1]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様の工程を実行した後、実施例1の[工程−110]と概ね同様の工程に基づき、基体(実施例3にあっても、第1配線41)上に、基体側から電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層53A、非磁性体膜52A、及び、磁化参照層51A(更には、図示しない反強磁性体層54A)から成る積層構造体150A、更には、キャップ層55Aを形成する。こうして、図8の(A)に示す構造を得ることができる。
[工程−A−2]
次に、磁化参照層51Aをパターニングする。具体的には、キャップ層55Aの上に、実施例1の[工程−120]と同様にして、ハードマスク層をCVD法にて形成し、更に、ハードマスク層上に、パターニングされたレジスト層を、周知のフォトリソグラフィ技術に基づき形成する。そして、係るレジスト層をエッチング用マスクとして、ハードマスク層を、ドライエッチング法の一種であるRIE法にてパターニングした後、レジスト層を除去する。次いで、パターニングされたハードマスク層をマスクとして用いて、RIE法にてキャップ層55A及び磁化参照層51Aをパターニングすることで、パターニングされたキャップ層55及び磁化参照層51を得ることができる。尚、ドライエッチングを磁化参照層51Aのエッチング終了と共に停止するが、エッチングが若干進行し、非磁性体膜52Aが、その厚さ方向に一部分、エッチングされる場合もある。こうして、図8の(B)に示す構造を得ることができる。RIEの条件は、実施例1に示したと同様とすることができる。キャップ層55及び磁化参照層51をRIE法にてパターニングする代わりに、イオンミーリング法に基づきパターニングすることもできる。
[工程−A−3]
次いで、実施例1の[工程−130]と同様にして、全面に絶縁膜61を形成する。こうして、図8の(C)に示す構造を得ることができる。
[工程−A−4]
その後、磁化参照層51よりも大きな記録層53が得られるように記録層53をパターニングする。具体的には、絶縁膜61上にパターニングされたレジスト層を形成した後、RIE法にて、絶縁膜61、記録層53、及び、第1配線41をパターニングした後、レジスト層を除去する。こうして、図9の(A)に示す構造を得ることができる。尚、RIE法によってパターニングする代わりに、イオンミーリング法に基づきパターニングすることもできる。RIEの条件は、実施例1に示したと同様とすればよい。
[工程−A−5]
次に、磁化参照層51の側壁上の絶縁膜61の上、及び、記録層53の側壁の上に、磁気シールド層63を形成する。具体的には、実施例1の[工程−150]と同様にして、ニッケル−鉄(Ni−Fe)合金から成る厚さ20nmの磁気シールド層63をスパッタリング法にて成膜する。そして、このように全面に磁気シールド層63を形成した後、参考例1にあっても、磁気シールド層63をエッチバックする。こうして、図9の(B)に示す構造を得ることができる。
[工程−A−6]
その後、全面に、プラズマCVD法にて層間絶縁層26を成膜し、層間絶縁層26を化学的機械的研磨法にて平坦化し、キャップ層55を露出させる。次に、層間絶縁層26上に、キャップ層55に接する第2配線(ビット線)42を、周知の方法で形成することで、図7に示した磁気抵抗効果素子を得ることができる。
参考例1の磁気抵抗効果素子にあっては、磁化参照層の大きさは記録層の大きさよりも小さく、磁化参照層の側壁上の絶縁膜の上及び記録層の側壁の上には、磁気シールド層が形成されている。このように、磁化参照層の大きさは記録層の大きさよりも小さいので、磁化参照層、記録層をパターニングするとき、これらの層の側面にリデポジションが発生し、記録層と磁化参照層との間に短絡が発生するといった問題が生じることがない。また、記録層の側壁には磁気シールド層が形成されているので、隣接する磁気抵抗効果素子からの漏洩磁界によっての影響を抑制することができる。更には、磁化参照層の側壁にも磁気シールド層が形成されているので、隣接した磁気抵抗効果素子の磁化参照層(固着層)、相互の間に磁気的結合が生じることがない。従って、高い性能、安定した書き込み、読み出し特性、優れた耐ディスターブ性を有する磁気抵抗効果素子を提供することができる。以下に説明する参考例2〜参考例3の磁気抵抗効果素子にあっても同様である。
[参考例2]
参考例2は、参考例1の変形である。図10に模式的な一部断面図を示すように、参考例2の磁気抵抗効果素子にあっては、磁化参照層51の側壁上の絶縁膜61と磁気シールド層63との間、及び、記録層53の側壁と磁気シールド層63との間には、第2の絶縁膜62が形成されている。参考例2にあっては、記録層をパターニングした後、磁気シールド層を形成する前に、具体的には、参考例1の[工程−A−4]と[工程−A−5]の間で、全面に、例えば、SiNから成る第2の絶縁膜62を形成する。
この点を除き、参考例2の磁気抵抗効果素子及びその製造方法は、参考例1において説明した磁気抵抗効果素子及びその製造方法と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
[参考例3]
参考例3の磁気抵抗効果素子の模式的な一部断面図を図11に示す。参考例3の磁気抵抗効果素子にあっては、記録層53の側壁と磁気シールド層63との間にも絶縁膜61が形成されている。この点を除き、参考例3の磁気抵抗効果素子の構成、構造は、参考例1において説明した磁気抵抗効果素子の構成、構造と同様であるが故に、詳細な説明は省略する。
以下、下層絶縁層24等の模式的な一部端面図である図12の(A)〜(D)を参照して、参考例3の磁気抵抗効果素子の製造方法を説明する。
[工程−B−1]
先ず、参考例1の[工程−A−1]と同様の工程を実行して、基体(参考例3にあっても、第1配線41)上に、基体側から電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層53A、非磁性体膜52A、及び、磁化参照層51A(更には、図示しない反強磁性体層54A)から成る積層構造体150A、更には、キャップ層55Aを形成する。こうして、図8の(A)に示した構造を得ることができる。
[工程−B−2]
次いで、実施例3の[工程−310]と同様にして、積層構造体150Aをパターニングする。具体的には、キャップ層55Aの上に、ハードマスク層をCVD法にて形成し、更に、ハードマスク層上に、パターニングされたレジスト層を、周知のフォトリソグラフィ技術に基づき形成する。そして、係るレジスト層をエッチング用マスクとして、ハードマスク層を、ドライエッチング法の一種であるRIE法にてパターニングした後、レジスト層を除去する。次いで、パターニングされたハードマスク層をマスクとして用いて、RIE法にてキャップ層55A、磁化参照層51A、非磁性体膜52A、記録層53A、第1配線41Aをパターニングする。その後、ハードマスク層を除去する。こうして、図12の(A)に示す構造を得ることができる。尚、これらの層をRIE法にてパターニングする代わりに、イオンミーリング法に基づきパターニングすることもできる。また、RIEの条件は、参考例1にて説明したと同様とすればよい。
[工程−B−3]
その後、記録層53よりも小さな磁化参照層51が得られるように磁化参照層51Aをパターニングする。具体的には、参考例1の[工程−A−2]と同様の工程を実行すればよい。こうして、図12の(B)に示す構造を得ることができる。
[工程−B−4]
その後、全面に絶縁膜61を形成する。具体的には、参考例1の[工程−A−3]と同様の工程を実行すればよい。こうして、図12の(C)に示す構造を得ることができる。尚、この工程によって、記録層53の側壁にも絶縁膜61が形成される。
[工程−B−5]
次いで、記録層53の側壁上の絶縁膜61の上、及び、磁化参照層51の側壁の絶縁膜61の上に、磁気シールド層63を形成する。具体的には、参考例1の[工程−A−5]と同様の工程を実行すればよい。こうして、図12の(D)に示す構造を得ることができる。
[工程−B−6]
その後、全面に、プラズマCVD法にて層間絶縁層26を成膜し、層間絶縁層26を化学的機械的研磨法にて平坦化し、キャップ層55を露出させる。次に、層間絶縁層26上に、キャップ層55に接する第2配線(ビット線)42を、周知の方法で形成することで、図11に示した磁気抵抗効果素子を得ることができる。
図1は、実施例1の磁気抵抗効果素子の模式的な一部断面図である。 図2の(A)〜(C)は、実施例1の磁気抵抗効果を有するメモリ素子の製造方法を説明するための下層絶縁層等の模式的な一部端面図である。 図3の(A)及び(B)は、図2の(C)に引き続き、実施例1の磁気抵抗効果を有するメモリ素子の製造方法を説明するための下層絶縁層等の模式的な一部端面図である。 図4は、実施例2の磁気抵抗効果素子の模式的な一部断面図である。 図5は、実施例3の磁気抵抗効果素子の模式的な一部断面図である。 図6の(A)〜(D)は、実施例3の磁気抵抗効果を有するメモリ素子の製造方法を説明するための下層絶縁層等の模式的な一部端面図である。 図7は、参考例1の磁気抵抗効果素子の模式的な一部断面図である。 図8の(A)〜(C)は、参考例1の磁気抵抗効果を有するメモリ素子の製造方法を説明するための下層絶縁層等の模式的な一部端面図である。 図9の(A)及び(B)は、図8の(C)に引き続き、参考例1の磁気抵抗効果を有するメモリ素子の製造方法を説明するための下層絶縁層等の模式的な一部端面図である。 図10は、参考例2の磁気抵抗効果素子の模式的な一部断面図である。 図11は、参考例3の磁気抵抗効果素子の模式的な一部断面図である。 図12の(A)〜(D)は、参考例3の磁気抵抗効果を有するメモリ素子の製造方法を説明するための下層絶縁層等の模式的な一部端面図である。 図13の(A)及び(B)は、スピン注入磁化反転を適用したスピン注入型磁気抵抗効果素子の概念図、及び、記録層(磁化反転層)の模式的な平面図であり、図13の(C)は、スピン注入型磁気抵抗効果素子において、磁化参照層の磁化方向が反強磁性体層との交換結合により固定されている状態を示す模式図であり、図13の(D)は、ダブル・スピンフィルター構造を有するスピン注入型磁気抵抗効果素子の概念図である。 図14の(A)及び(B)は、ディスターブ現象の発生を避けるために配置を改善したスピン注入型磁気抵抗効果素子の模式的な部分的平面図である。
符号の説明
TR・・・選択用トランジスタ、10・・・半導体基板、11・・・素子分離領域、12・・・ゲート電極(ワード線)、13・・・ゲート絶縁膜、14A,14B・・・ソース/ドレイン領域、15・・・コンタクトホール、16・・・センス線、21,24・・・下層絶縁層、22・・・接続孔、26・・・層間絶縁層、30,30A・・・磁気抵抗効果素子(スピン注入型磁気抵抗効果素子)、41・・・第1配線、42・・・第2配線(ビット線)、50,150・・・積層構造体、51・・・磁化参照層、52・・・非磁性体膜(トンネル絶縁膜)、53・・・記録層、54,54A,54B・・・反強磁性体層、55・・キャップ層、61・・・絶縁膜、62・・・第2の絶縁膜、63・・・磁気シールド層

Claims (12)

  1. 基体上に形成され、基体側から磁化参照層、非磁性体膜、及び、電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層から成る積層構造体を備えており、
    記録層は、磁化参照層よりも小さく、
    記録層の側壁上には絶縁膜が形成されており、
    記録層の側壁上の絶縁膜の上、及び、磁化参照層の側壁の上には、磁気シールド層が形成されている磁気抵抗効果素子。
  2. 記録層の側壁上の絶縁膜と磁気シールド層との間、及び、磁化参照層の側壁と磁気シールド層との間には、第2の絶縁膜が形成されている請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 磁化参照層の側壁と磁気シールド層との間にも、絶縁膜が形成されている請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 記録層の側壁上の絶縁膜と磁気シールド層との間、及び、磁化参照層の側壁上の絶縁膜と磁気シールド層との間には、第2の絶縁膜が形成されている請求項3に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 磁気シールド層は、強磁性材料、強磁性材料の合金、強磁性材料の合金に非磁性元素を混ぜた合金、Co、Fe、Niの内の1種類以上を含む酸化物、又は、金属間化合物から成る請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. (A)基体上に、基体側から磁化参照層、非磁性体膜、及び、電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層から成る積層構造体を形成し、次いで、
    (B)記録層をパターニングした後、
    (C)全面に絶縁膜を形成し、次いで、
    (D)記録層よりも大きな磁化参照層が得られるように磁化参照層をパターニングした後、
    (E)記録層の側壁上の絶縁膜の上、及び、磁化参照層の側壁の上に、磁気シールド層を形成する、
    各工程を有する磁気抵抗効果素子の製造方法。
  7. 前記工程(D)と工程(E)の間において、全面に第2の絶縁膜を形成する請求項6に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  8. 前記工程(E)は、全面に磁気シールド層を形成した後、磁気シールド層をエッチバックする工程から成る請求項6に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  9. 磁気シールド層は、強磁性材料、強磁性材料の合金、強磁性材料の合金に非磁性元素を混ぜた合金、Co、Fe、Niの内の1種類以上を含む酸化物、又は、金属間化合物から成る請求項6に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  10. (A)基体上に、基体側から磁化参照層、非磁性体膜、及び、電流によるスピン注入磁化反転に基づき情報が書き込まれる記録層から成る積層構造体を形成し、次いで、
    (B)積層構造体をパターニングした後、
    (C)磁化参照層よりも小さな記録層が得られるように記録層をパターニングし、その後、
    (D)全面に絶縁膜を形成し、次いで、
    (E)記録層の側壁上の絶縁膜の上、及び、磁化参照層の側壁の絶縁膜の上に、磁気シールド層を形成する、
    各工程を有する磁気抵抗効果素子の製造方法。
  11. 前記工程(E)は、全面に磁気シールド層を形成した後、磁気シールド層をエッチバックする工程から成る請求項10に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  12. 磁気シールド層は、強磁性材料、強磁性材料の合金、強磁性材料の合金に非磁性元素を混ぜた合金、Co、Fe、Niの内の1種類以上を含む酸化物、又は、金属間化合物から成る請求項10に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
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