JP5326592B2 - 焼結原料の造粒方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微粉を主体とする焼結原料の造粒に際し、目標とする粒度分布を備えた造粒物を製造可能な焼結原料の造粒方法に関する。
従来、焼結機に供給する焼結原料として、例えば、赤鉄鉱のような、良質の鉄鉱石原料が使用されてきたが、近年その枯渇化が進んでおり、従来よりも微粉を多く含む焼結原料の使用量が増加する傾向にある。このため、焼結機の操業において、これらの焼結原料を不具合無く使いこなす必要があり、焼結原料の新たな造粒強化技術が求められている。
このような造粒方法として、例えば、特許文献1、2には、高速撹拌型ミキサーを用いる方法が開示されており、これにより、劣質な鉄鉱石原料の造粒強化を達成している。
また、特許文献3には、微粉を主体とする焼結原料の造粒方法であって、造粒工程の前に撹拌機で混練することにより、擬似粒子を製造する方法が開示されている。
特許第2790008号公報 特許第2953308号公報 特開2007−247020号公報
しかしながら、特許文献1、2の技術は、粒度分布が数mmの粗粒から250μmの微粉までの焼結原料を混合した状態で造粒していることからも明らかなように、核粒子となる粗粒の表面に微粉を付着させる造粒方法を対象としたものである。このため、微粉の割合が今後更に増大する焼結原料に対しては、核粒子となる粗粒の数が微粉に対して極端に不足するため、従来技術では、造粒が不完全となる問題がある。
このように、今後は、微粉を多量に含む焼結原料の造粒、又は焼結原料から微粉のみを分離して造粒する必要性が生じており、こうした微粉を主体とする焼結原料を効率的に造粒する技術を確立する必要性が生じている。
一方、特許文献3の技術は、微粉を主体とする焼結原料を造粒できるが、本発明者らによると、擬似粒子の粒度のばらつきが大きく、造粒物の収率(歩留り)に改善の余地があることが判明している。なお、撹拌機により事前に混練する必要があるため、撹拌機と造粒機の2つの装置が必要となり、装置構成が大規模になる問題もある。
特に、製鉄工程で発生する微粉を主体とする鉄分含有ダストの造粒に際しては、例えば、以下の2つの問題がある。
1番目は、鉄分含有ダストは、粒径が200μm以下で極めて細粒である点では、焼結原料の他の微粉と同じであるが、その造粒性が極めて悪く、従来のドラムミキサー等では、造粒できない場合が発生するという問題である。これは、鉄分含有ダストは湿式回収される場合が多いため、湿式回収時に鉄分含有ダスト中の微粉、例えば2μmアンダーの微粉(通常、粘土と呼ばれる)が除去され易く、回収された鉄分含有ダストには、鉄鉱石に含まれる(土に由来する)粘性(可塑性)の作用を示す微粉の量(粘土量)が少ないことに起因する。
2番目は、従来のドラムミキサー等を用いた造粒では、安定した品質の造粒物が製造できないという問題がある。ここで、鉄分含有ダストとは、平均粒径が5〜10μm程度の転炉ダスト、平均粒径が15〜25μm程度の高炉ダスト、平均粒径が50〜100μm程度の焼結機から発生するダストを指し、各鉄分含有ダストは、単独で使用される場合、2種以上組合わせて使用される場合がある。このため、鉄分含有ダストは、その発生状況によって平均粒径が時系列的に5〜100μmの範囲で変動することになって、使用する鉄分含有ダストに応じて最適な造粒条件が変動するからである。
従って、造粒性が悪い鉄分含有ダストを焼結原料の一部に使用し、焼結原料を造粒して焼結パレットに装入した場合、未造粒の鉄分含有ダストや造粒物の粉化で生じた鉄分含有ダストは、焼結パレットの通気性を悪化させる原因となっている。このため、従来では、鉄分含有ダストの焼結原料への添加量には限界があった(例えば、10質量%未満)。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、微粉を主体とする焼結原料の造粒に適しており、目標とする粒度分布を備えた造粒物を製造でき、しかもその収率を従来よりも向上でき、かつ混練と造粒を1つの装置で実施可能な焼結原料の造粒方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る焼結原料の造粒方法は、粒径が500μmアンダーの粒子を60質量%以上含む焼結原料を造粒装置に供給して造粒物を製造する焼結原料の造粒方法であって、
円筒状の横型容器と、該横型容器の軸心に配置された回転軸を中心として回転する複数の板状の撹拌羽根とを有し、しかも前記横型容器の内径を150mm以上1000mm以下、前記横型容器の内面と回転する前記撹拌羽根との隙間を2mm以上15mm以下、及び前記撹拌羽根の厚みを3mm以上30mm以下とした前記造粒装置の前記横型容器内に、前記焼結原料を、前記各撹拌羽根を回転させながら、積み付け高さ50mm以上、かつ占積率30%以下の範囲内で供給する。
本発明に係る焼結原料の造粒方法において、前記撹拌羽根は、該撹拌羽根の回転方向に向かって徐々に縮幅し、その先側角度が30度以上160度以下の範囲内になっており、しかも隣接配置される前記撹拌羽根は、その各回転軌跡を重なり合わせる場合、該各回転軌跡の重複幅が0を超え100mm以下の範囲内となる位置に、その各回転軌跡を接触させる場合、該各回転軌跡の間の隙間が0となる位置に、その各回転軌跡の間に隙間を形成する場合、該回転軌跡の間隔が0を超え100mm以下の範囲内となる位置に、前記回転軸に設けられていることが好ましい。
本発明に係る焼結原料の造粒方法において、前記横型容器の内径をD(m)、前記撹拌羽根の周速をu(m/s)、及び前記焼結原料の重力加速度をG(m/s)とした場合、前記撹拌羽根の撹拌加速度2×u/D(m/s)を、2G(m/s)以上10G(m/s)以下の範囲内に設定することが好ましい。
本発明に係る焼結原料の造粒方法において、前記造粒装置による前記焼結原料の撹拌時間を4分以上とし、造粒後の前記造粒物の水分含有量を6質量%以上12質量%以下の範囲内に設定することが好ましい。
本発明に係る焼結原料の造粒方法において、前記造粒物の目標とする平均粒径に応じて、前記造粒装置による前記焼結原料の撹拌時間を調整することが好ましい。
本発明に係る焼結原料の造粒方法において、前記横型容器の長さをLとした場合、該横型容器の上流側端部に設けられた原料投入口の中心位置から0.5×L以下の範囲内で、前記焼結原料に添加する水分及びバインダーの全量の50質量%、又は水分の全量の50質量%を添加することが好ましい。
本発明に係る焼結原料の造粒方法において、前記焼結原料の1質量%以上70質量%以下は、製鉄工程で発生する鉄分含有ダストであることが好ましい。
なお、鉄分含有ダストは、前記した通り湿式回収される場合が多く、2μmアンダーの微粉が除去され易く、2μmアンダーの微粉の含有量が少ない。また、鉄分含有ダストは実機において使用する場合、平均粒径が5〜100μmの範囲で時系列で変動するため、従来の造粒方法では造粒物の収率が安定しなかった。本発明によると、造粒物の収率が高位で安定するため、造粒性の悪い鉄分含有ダストを焼結原料の一部として70質量%以下添加できる。
また、焼結原料に添加する鉄分含有ダストは、リサイクルを目的とする場合、0質量%を超える量の添加が望ましい。更に、造粒による通気性の改善効果を得るには、焼結原料に添加する鉄分含有ダストは1質量%以上が好ましく、10質量%以上70質量%以下の範囲であれば、顕著な通気性改善効果を得ることができる。
請求項1〜7記載の焼結原料の造粒方法は、円筒状の横型容器と撹拌羽根を有し、横型容器の内径、横型容器の内面と回転する撹拌羽根との隙間、及び撹拌羽根の厚みをそれぞれ規定した造粒装置を使用し、この造粒装置の横型容器内に、焼結原料を積み付け高さ50mm以上、かつ占積率30%以下の範囲内で供給するので、微粉を多く含む焼結原料から、目標とする粒径を備えた造粒物を製造でき、しかも目標とする粒度分布の収率を向上できる。
これにより、製造した造粒物を焼結機に装入して焼結鉱を製造するに際し、焼結機の通気性を阻害することなく、品質が良好な焼結鉱を生産性よく製造できる。
また、従来行っていた混練と造粒を1つの装置で実施できるので、装置構成をコンパクトにできる。
特に、請求項2記載の焼結原料の造粒方法は、撹拌羽根の形状と位置を規定するので、撹拌羽根のせん断力による粒の生成を助長でき、撹拌不足による粒成長不足、及び成長した造粒物の撹拌羽根による破壊を抑制できる。
これにより、目標とする粒径となるまで、造粒物を粒成長させることができ、その結果、粒度分布がシャープになり、目標とする粒度分布を備える造粒物の収率を更に向上できる。
請求項3記載の焼結原料の造粒方法は、撹拌羽根の撹拌加速度を規定するので、撹拌羽根のせん断力による粒の生成を助長でき、撹拌不足による粒成長不足、及び成長した造粒物の撹拌羽根による破壊を抑制できる。
これにより、目標とする粒径となるまで、造粒物を粒成長させることができ、その結果、粒度分布がシャープになり、目標とする粒度分布を備える造粒物の収率を更に向上できる。
請求項4記載の焼結原料の造粒方法は、焼結原料の撹拌時間を規定するので、造粒物を構成する各焼結原料の粒子間隔を詰めて(密度を向上させて)、造粒物内部から水分を染み出させ、造粒物の強度を向上できる。更に、表面に染み出た水分の付着効果で粒成長を促進できる。
なお、造粒物の水分含有量を適正範囲に設定することで、混練中の核となる造粒物表面への水分の染み出し量を抑制でき、水分を介して付着する焼結原料の量を制御でき、目標とする粒度分布を備える造粒物の収率を更に向上できる。
請求項5記載の焼結原料の造粒方法は、造粒物の目標とする平均粒径に応じて、焼結原料の撹拌時間を調整するので、混練中の核となる造粒物の表面への水分の染み出し量を制御でき、平均粒径を目標とする値に、容易に造り分けることができる。
請求項6記載の焼結原料の造粒方法は、水分の添加位置、更にはバインダーの添加位置を規定するので、焼結原料と水分、更にはバインダーとの混練を良好にでき、その後の粒成長を助長して、造粒時間を短縮できる。
請求項7記載の焼結原料の造粒方法は、焼結原料の1質量%以上70質量%以下の範囲であれば、製鉄工程で発生する鉄分含有ダストを使用しても、目標とする粒径を備えた造粒物を製造でき、更に、鉄分を多く含むために鉄源としてのリサイクル効果があり、経済的である。前記したように、鉄分含有ダストは従来その造粒が難しかったが、造粒により焼結パレットの通気性の改善効果を得ることができる。また、鉄分含有ダストの再利用もできる。このように、焼結原料に鉄分含有ダストを使用した場合には、本発明の作用効果がより顕著に現れる。
(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る焼結原料の造粒方法に使用する造粒装置の説明図、一部省略正断面図である。 (A)は同造粒装置内の撹拌状況を示す説明図、(B)は焼結原料の粒生成とその成長過程を示す説明図である。 横型容器の内面と回転する撹拌羽根との隙間が粒度分布3〜10mmの造粒物の崩壊率及びそのせん断指数に及ぼす影響を示す説明図である。 焼結原料の積み付け高さが撹拌羽根による掻き上げに及ぼす影響を示す説明図である。 焼結原料の占積率及び焼結原料の撹拌時間が粒度分布3〜10mmの造粒物の収率に及ぼす影響を示す説明図である。 造粒物の水分含有量及び焼結原料の撹拌時間が粒度分布3〜10mmの造粒物の収率に及ぼす影響を示す説明図である。 (A)は焼結原料の撹拌時間が造粒物の平均粒径と粒度分布3〜10mmの造粒物の収率に及ぼす影響を示す説明図、(B)は造粒物の水分含有量が造粒物の平均粒径に及ぼす影響を示す説明図である。 水分及びバインダーの添加位置と粒度分布3〜10mmの造粒物の収率70質量%以上を達成するために要する撹拌時間との関係を示す説明図である。 焼結原料中の鉄分含有ダスト混合率と通気性改善効果との関係を示す説明図である。 造粒物の粒度分布を示す説明図である。 横型容器の内径が粒度分布3〜10mmの造粒物の収率に及ぼす影響を示す説明図である。 横型容器の内面と回転する撹拌羽根の隙間が粒度分布3〜10mmの造粒物の収率に及ぼす影響を示す説明図である。 焼結原料の占積率が粒度分布3〜10mmの造粒物の収率に及ぼす影響を示す説明図である。 撹拌羽根の先側角度が粒度分布3〜10mmの造粒物の収率に及ぼす影響を示す説明図である。 隣接配置された撹拌羽根の回転軌跡の隙間及び重複幅が粒度分布3〜10mmの造粒物の収率に及ぼす影響を示す説明図である。 撹拌羽根の撹拌加速度が粒度分布3〜10mmの造粒物の収率に及ぼす影響を示す説明図である。 造粒物の水分含有量が粒度分布3〜10mmの造粒物の収率に及ぼす影響を示す説明図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
まず、本発明の一実施の形態に係る焼結原料の造粒方法を適用する造粒装置について説明した後、本発明の一実施の形態に係る焼結原料の造粒方法について説明する。
従来、焼結原料の造粒を生産性よく行うため、焼結原料を投入した混練機内に水分とバインダーを供給し、これらを均一に混合したものをドラムミキサーに投入して、造粒物を製造することが、一般的に行われている。
しかしながら、混練機を使用して焼結原料を単純に混練しても、これを造粒機に入れて造粒物を製造した場合、焼結機への供給に適した目標とする粒度分布3mm以上10mm以下(以下、3〜10mmともいう)の造粒物を高い収率(本実施の形態では60質量%以上)で得ることができない。これに対して、混練機の出側の粒度を規定してドラムミキサーで造粒することにより、70質量%程度の収率を達成することは可能であるが、それ以上の収率向上は、操業コストがかかりすぎて不経済である。
そこで、本実施の形態では、図1(A)、(B)に示す混練機と造粒機の性能を併せ持つ造粒装置10を用いる。
この造粒装置10は、円筒状の横型容器11と、横型容器11の軸心(水平方向)に配置された回転軸12を中心として回転する複数の板状の撹拌羽根13とを有している。この横型容器11の上流側端部の上側には、焼結原料の供給口(原料投入口の一例)14が、この供給口14より下流側の位置には水分の供給口15とバインダーの供給口16が、それぞれ設けられている。また横型容器11の下流側端部の下側には、造粒物の排出口17が設けられている。
この横型容器11は、水平状態に配置されているが、上流側から下流側へかけて、傾斜して配置してもよい(水平状態を基準として、例えば、0度を超え10度以下の範囲内)。なお、回転軸12を、横型容器11の軸心に合わせている。
また、図1(B)に示すように、横型容器11をその軸心方向から見て、撹拌羽根13は円弧状となって、横型容器11の内面と撹拌羽根13の外表面との隙間の大きさが、撹拌羽根13の回転方向に渡って同一となっている。
なお、横型容器11内に配置された全て(例えば、4〜30枚程度)の撹拌羽根13は、回転軸12の軸心が重心となるように、回転軸12にバランスを保って取付けられている。この形態としては、例えば、横型容器をその軸心方向から見て、回転軸の軸心を中心として等角度に、撹拌羽根を回転軸に取付けたり、また、回転軸を中心としてその両側に、同じ数の撹拌羽根を取付けたりする形態がある。なお、撹拌羽根13は、棒状の支持部材18を介して回転軸12に取り付けられているが、支持部材を介することなく回転軸に取り付けてもよい。
これにより、造粒装置10の円筒状の横型容器11内で、焼結原料、水分、及びバインダーを均一に混練して小さな粒を製造し、撹拌羽根13の掻き上げにより、生成した粒を横型容器11の内面及び撹拌羽根13上で転動させ、粒径のばらつきが少なく、目標とする粒度分布3〜10mmの造粒物を、高い収率で製造できる。
この現象のイメージを、図2(A)、(B)に示す。なお、図2(A)は、図1(A)、(B)に示す横型容器11内での焼結原料の撹拌状況、図2(B)は、焼結原料からの粒の生成、生成した粒の成長過程を詳細に示したものである。
図2(A)に示すように、横型容器11内に投入された焼結原料(微粉原料)、水分、及びバインダーは、複数の撹拌羽根13により均一に混合されながら、横型容器11の内面と撹拌羽根13との隙間で発生する強力なせん断力により、1〜2mm程度の粒となる。そして、粒が生成した後は、横型容器11の内面と撹拌羽根13との隙間から排出される(図2(A)の一点鎖線で囲まれる領域、図2(B)のP1:以上、粒生成過程)。
次に、排出された粒は、複数の撹拌羽根13によって掻き上げられることにより、横型容器11の内面及び複数の撹拌羽根13上を転動する。この転動により、各焼結原料の粒子間隔を詰め(密度を向上させ)、造粒物内部から水分を染み出させ、造粒物(3〜10mm)の強度を向上させる。更に、表面に染み出た水の付着効果で、粒成長を促進する(図2(A)の点線で囲まれる領域、図2(B)のP2:以上、粒成長過程)。
この造粒装置10の装置構成を、以下に詳しく説明する。
横型容器11の内径Dは、150mm以上1000mm以下である。なお、横型容器11の長さLは、横型容器11の内径Dより大きく、例えば、500mm以上10000mm(10m)以下程度である。なお、2台又は3台以上の複数の横型容器11(即ち、造粒装置10)を、直列に配置して使用してもよい。
ここで、横型容器の内径Dが150mm未満の場合、後述する横型容器内に供給する焼結原料の積み付け高さと占積率との関係上、その関係が成り立たない。具体的には、焼結原料の積み付け高さが50mm以上、かつ占積率が30%以下の場合において、焼結原料の積み付け高さを50mmと仮定すると、横型容器の内径Dが150mm未満であれば、占積率が30%以上となる。
一方、横型容器の内径Dが1000mmを超える場合、内径が大きくなり過ぎ、撹拌羽根によって掻き上げられた造粒物が横型容器の上方から落下したときに、その落下高さが高くなり過ぎるため崩壊する恐れがある。
以上のことから、横型容器11の内径Dを150mm以上1000mm以下としたが、下限を200mm、更には300mm、上限を800mm、更には700mmとすることが好ましい。
また、横型容器11の内面と回転する撹拌羽根13との隙間Sは、2mm以上15mm以下である。
ここで、隙間Sを15mm以下としたのは、この領域においては、撹拌羽根と円筒内面におけるせん断力で、焼結原料、水分、及びバインダーを均一に混練させ、粒を生成する必要があるからである。なお、図3に示すように、隙間Sが15mmを超える場合、せん断指数が低下するため、焼結原料、水分、及びバインダーの均一混合が難しくなり、粒の生成が不安定になる恐れがある。また、隙間Sが大きくなり過ぎ、成長した粒が再びこの隙間に入り込み破壊される可能性が高まるため、崩壊率が急激に上昇している。
一方、隙間Sを2mm以上としたのは、例えば、回転軸が振動した場合に、横型容器の内面と撹拌羽根とが接触して破損することを、確実に防止するためである。
以上のことから、横型容器11の内面と回転する撹拌羽根13との隙間Sを2mm以上15mm以下としたが、下限を5mm、上限を13mm、更には10mmとすることが好ましい。
そして、撹拌羽根13の厚みTは、3mm以上30mm以下である。
ここで、撹拌羽根の厚みTが3mm未満の場合、厚みが薄くなり過ぎ、撹拌羽根の強度が低下して破損し易くなる問題がある。
一方、撹拌羽根の厚みTが30mmを超える場合は、厚みが厚くなり過ぎ、撹拌羽根を回転させるための動力が過剰に必要となって、造粒装置のランニングコストの上昇を招き、不経済となる。また、撹拌羽根は、その形状が、横型容器の内面に沿って湾曲しているため、その形状加工がしづらくなる問題もある。
以上のことから、撹拌羽根13の厚みTを3mm以上30mm以下としたが、下限を5mm、上限を25mm、更には20mmとすることが好ましい。
この撹拌羽根13は、平面視して三角形となっており、撹拌羽根13の回転方向に向かって徐々に縮幅している。なお、撹拌羽根の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、平面視して円形、楕円形、卵形、又は多角形(四角形)でもよい。また、撹拌羽根の先側は、尖っていてもよいが、丸みを設けることが好ましい。
この撹拌羽根13の先側角度は、10度以上180度以下(真っ直ぐ)の範囲内で設定できるが、30度以上160度以下の範囲内で設定することが好ましい。
ここで、撹拌羽根の先側角度を30度以上とすることで、撹拌羽根で造粒物を掻き上げる際に、撹拌羽根の先端により造粒物が破壊される恐れを低減できる。なお、先側角度が30度未満であれば、撹拌羽根13が細くなり過ぎ、造粒物の掻き上げ効果が低下する恐れがある。
一方、撹拌羽根の先側角度を160度以下とすることで、撹拌羽根に衝突した造粒物は、破壊されることなく、撹拌羽根の両側へ逃がすことができる。
以上のことから、撹拌羽根13の先側角度を、30度以上160度以下の範囲内とすることが好ましいが、下限を60度、更には90度、上限を150度とすることが好ましい。
回転軸12に隣接配置される撹拌羽根13は、撹拌羽根13の各回転軌跡の間に隙間が形成され、このとき回転軌跡の間隔Wが0を超え150mm以下の範囲内となる位置に、設けているが、上限が100mmとなる位置に、回転軸12に設けることが好ましい。
この撹拌羽根による粒の掻き上げは、撹拌羽根の幅方向両端(横型容器11の軸方向に最大幅となる位置)からそれぞれ50mmの領域で行われるため、隣り合う撹拌羽根の回転軌跡の間隔を、100mm(=50mm+50mm)とすることが好ましい。なお、例えば、隣接配置される撹拌羽根の回転軌跡の間隔が200mm離れた場合、その間の100mmの範囲に位置する粒が、掻き上げられなくなる。
以上のことから、回転軌跡の間隔Wを、0を超え100mm以下の範囲内としたが、上限を50mm、更には30mmとすることが好ましい。
一方、撹拌羽根の各回転軌跡を重なり合わせる場合には、各回転軌跡の重複幅が0を超え100mm以下の範囲内となる位置に、また、撹拌羽根13の各回転軌跡を接触させる場合には、各回転軌跡の間の隙間が0となる位置に、回転軸12に設ける。
撹拌羽根の重複幅が100mmを超える場合、回転軸に設けられる撹拌羽根の個数が多くなり過ぎ、撹拌羽根の損傷状態や付着物の除去等のメンテナンス性が極めて悪くなり、造粒物の生産性が低下するという問題がある。
以上のことから、回転軌跡の重複幅を、0を超え100mm以下の範囲内としたが、上限を50mm、更には30mmとすることが好ましい。
次に、この撹拌羽根13の操作条件について説明する。
横型容器11の内径をD(m)、横型容器11内の撹拌羽根13の周速をu(m/s)、造粒物の重力加速度をG(=9.8m/s)、造粒物の重量をM(kgf)とした場合、造粒物の力の釣り合いは、以下の式で表される。なお、撹拌羽根13の撹拌加速度をu/(D/2)、即ち2×u/Dで表す。
M{u/(D/2)}=MG
このことから、造粒物が落下し崩壊することなく、横型容器11の内面に沿って移動する条件は、以下の式で示される。
/(D/2)>G
しかし、これは、横型容器11の内面近傍での理論的な条件であるため、例えば、回転軸12側の造粒物が落下し崩壊する恐れがある。
そこで、落下しない条件を、実験にて確認したところ、以下の条件を満足する必要があった。
/(D/2)≧2G
以上のことから、操作条件として、撹拌羽根の撹拌加速度{u/(D/2)}を2G(=19.6)m/s以上としたが、3G(=29.4)m/s以上とすることが好ましい。
一方、上限値については、粒度分布3〜10mmの造粒物の収率向上の効果が飽和し、しかも造粒装置の耐用性も問題となることから、10G(=98)m/sとしたが、9G(=98.2)m/sとすることが好ましい。
続いて、本発明の一実施の形態に係る焼結原料の造粒方法について、上記した構成の造粒装置10を使用して説明する。
まず、造粒装置10の回転軸12を回転させ複数の撹拌羽根13を回転させた後、焼結原料の供給口14から焼結原料を連続的に供給しながら、水分の供給口15から水分、更にバインダーの供給口16からバインダーを供給して、これらを混練する。これにより、造粒装置10の排出口17からは、製造された造粒物が連続的に排出される。
ここで、焼結原料とは、粒径500μmアンダーの粒子を60質量%以上含む原料であり、例えば、微粉を多量に含む原料、篩選別により上記した構成に調整した原料、微粉のみを篩選別により分離した原料、更には、粉砕した原料等を使用できる。
この焼結原料は、例えば、褐鉄鉱(Fe・nHO)、磁鉄鉱(Fe)、及び赤鉄鉱(Fe)、蛇紋岩、石灰石、粉コークス、返し鉱、鉄分含有ダストのいずれか1又は2以上である。
なお、褐鉄鉱としては、例えば、マラマンバ鉱石(産地銘柄:ウエストアンジェラス)、ピソライト鉱石(産地銘柄:ヤンディー、ローブリバー)、及び高燐ブロックマン鉱石がある。
また、鉄分含有ダストは、製鉄工程で発生するダストで、例えば、焼結機、高炉、転炉において集塵されるもので、フィルターや湿式(シックナー)で回収するものや、連続鋳造工程や圧延工程で発生するスケールであって冷却水等に混入したものを、フィルターで回収したもので、炭素分を1〜10質量%程度含むものである。この鉄分含有ダストは、焼結原料の1質量%以上70質量%以下の範囲で使用できる。従来、鉄分含有ダストは造粒性が悪いため、鉄分含有ダストを焼結原料に添加すると焼結パレットの通気性が悪化し、鉄分含有ダストの焼結原料への添加量には限界(例えば、10質量%未満)があったが、本発明の造粒方法では造粒物の収率が高いので、鉄分含有ダストを焼結原料中に1質量%以上10質量%未満の範囲は当然として、10質量%以上70質量%以下の範囲で使用しても、従来の方法で造粒した造粒物を使用した場合に比較して焼結パレットの通気性の顕著な改善効果を得ることができる。
ここで、焼結原料として、500μmアンダー(粒径が0μmを超え500μm未満)の粒子を60質量%以上含む原料を対象としたのは、このような構成の原料を、従来の方法で造粒する場合、前記したように、造粒物の焼結性の低下が生じたり、また造粒が不完全になるためであり、たとえ造粒できたとしても、必要な強度が得られないためである。更に、500μmアンダーの粒子をより多く造粒処理することで、造粒物の生産性を向上できる。
このことから、本実施の形態では、粒径500μmアンダーの粒子を、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上含む焼結原料の造粒を対象とする。なお、微粉の粒子量の上限を規定していないのは、全て微粉であってもよいためである。
また、バインダーは、造粒物の強度向上に寄与させるため、従来から使用している例えば生石灰又は石灰岩のような、無機系バインダーを使用できる。なお、バインダーとして、パルプ廃液又はコンスターチ(水溶液又はコロイド状になったもの)を含む有機系バインダー、及び固体架橋を促進する分散剤(分散剤を添加した水溶液又はコロイドを含む)のいずれか1又は2を使用することが好ましいが、これと無機系バインダーを併用して使用してもよい。
このバインダーの添加量は、その乾燥質量で、焼結原料に対して1質量%以下程度でよい。
なお、バインダーの濃度は、以下の式から求められる。
{バインダーの濃度(質量%)}={添加したバインダーの乾燥質量(kg/分)}/{供給した焼結原料の乾燥質量(kg/分)+添加したバインダーの乾燥質量(kg/分)}×100
また、造粒物の水分含有量は、以下の式から求められる。
{造粒物の水分含有量(質量%)}={供給した焼結原料に元来含まれていた水分量(kg/分)+添加した水分量(kg/分)}/{供給した焼結原料の乾燥質量(kg/分)+供給した焼結原料に元来含まれていた水分量(kg/分)+添加したバインダーの乾燥質量(kg/分)}×100
上記したバインダーの濃度と、造粒物の水分含有量の各式において、焼結原料、水分、及びバインダーの質量に、それぞれ(kg/分)という単位を使用したのは、焼結原料を横型容器11に連続的に供給して、造粒物を製造しているためである。このため、単位は、(kg/分)に限られず、例えば、(トン/時間)でもよい。
なお、バインダーの添加量は、前記したように、焼結原料の1質量%以下程度であるため、上記したバインダーの濃度と、造粒物の水分含有量の各式において、分母から添加したバインダーの乾燥質量を除いても、算出される数値への影響は小さい。このため、添加したバインダーの乾燥質量を除いても構わない。
横型容器11内には、焼結原料を、積み付け高さHを50mm以上、かつ占積率30%以下の範囲内となるように供給する。なお、積み付け高さHとは、焼結原料を横型容器11内に、平らにならした理想状態での、横型容器11の内面底位置から、供給された焼結原料の上表面までの高さである。また、占積率は、横型容器11を軸心方向に見て(即ち、断面において)、横型容器11に供給された焼結原料が占める面積を、横型容器11の内断面積で除した値である。
焼結原料の製造に際しては、前記したように、微粉から細かい粒を形成した後、これを成長させる必要がある。そこで、図4に示すように、横型容器11内の焼結原料が、撹拌羽根13より上方位置まで存在し、焼結原料を、撹拌羽根13で効率よく掻き上げると共に、撹拌羽根13の上で転がす必要がある。なお、前記したように、横型容器11の内面と撹拌羽根13との隙間Sの上限が15mmであり、撹拌羽根13の厚みTの上限が30mmであるため、これを考慮すれば、焼結原料の積み付け高さHは、50mm以上必要である。
一方、焼結原料の積み付け高さHは、寸法(mm)で表しているため、横型容器11の内径Dを前記した範囲(150mm以上1000mm)で変化させた場合、造粒物を製造できる条件を規定できない場合がある。
そこで、横型容器11に供給する焼結原料の上限値は、占積率で規定した。
図5に示すように、焼結原料の造粒を行えば、通常は、撹拌時間の増加と共に、粒度3〜10mmの造粒物の収率が上昇する。しかし、焼結原料の占積率が30%の場合、横型容器11に供給した焼結原料の量が多くなり過ぎて、回転軸12の近傍に存在する焼結原料には、撹拌羽根13による掻き上げや粒の転動が行われず、前記した粒の形成も、この粒の成長もなされない。このため、粒度分布3〜10mmの造粒物の収率が極端に低下する。
なお、図5の試験条件は、焼結原料(500μmアンダー):65質量%、内径D:500mm、隙間S:7mm、撹拌羽根の厚みT:10mm、造粒物の水分含有量:9質量%、撹拌羽根の先側角度:120度、撹拌羽根の間隔W:20mm(隙間)、撹拌羽根の撹拌加速度:50m/sである。
以上のことから、焼結原料の占積率を30%以下としたが、25%以下、更には20%以下とすることが好ましい。
なお、下限値についても、焼結原料の積み付け高さHで規定することなく、占積率で規定してもよい。この場合、占積率は5%以上、更には10%以上にするとよい。
このように、横型容器11内に供給した焼結原料を、所定時間撹拌する。ここで、焼結原料の撹拌時間及び造粒物の水分含有量が粒度分布3〜10mmの造粒物の収率に及ぼす影響について、図6を参照しながら説明する。なお、図6の試験条件は、焼結原料(500μmアンダー):65質量%、内径D:500mm、隙間S:7mm、撹拌羽根の厚みT:10mm、焼結原料の占積率:15%、撹拌羽根の先側角度:120度、撹拌羽根の間隔W:20mm(隙間)、撹拌羽根の撹拌加速度:50m/sである。
図6から明らかなように、焼結原料の撹拌時間が長くなるに伴い、粒度分布3〜10mmの造粒物の収率が増加した。一方、撹拌時間が4分以下の場合には、焼結原料、水分、及びバインダーの混練が不均一となり、粒径のばらつきが大きくなる現象が確認された。
以上の結果から、撹拌時間を4分以上としたが、4分(好ましくは6分)以上20分以下の範囲内で、粒度分布3〜10mmの造粒物の収率が最も高くなる時間を決定するとよい。
また、造粒物の水分含有量を上昇させるに伴い、粒表面への微粉の付着力が高くなり、造粒物が大きくなる傾向がみられた。なお、粒度分布3〜10mmの造粒物の収率が60%以上を達成するには、後述する図17から、造粒物の水分含有量を、例えば、5質量%以上13質量%以下の範囲で選定するとよいが、更には6質量%以上12質量%以下の範囲で選定するとよい。水分含有量が6質量%未満の場合(図6では、5質量%を図示)、付着力が小さ過ぎて粒が成長しずらく、一方水分含有量が12質量%を超える場合(図6では、11質量%までを図示)、付着力が大き過ぎて粒が粗大となり、粒度分布3〜10mmの造粒物の収率が低下し易くなる。このため、造粒物の水分含有量を、6質量%以上12質量%以下としたが、下限を7質量%、上限を11質量%とすることが好ましい。
このように、造粒物の水分含有量を決定できるように、水分の供給口15から水分を供給する。
焼結原料の撹拌時間が長くなれば、図7(A)に示すように、粒度分布3〜10mmの造粒物の収率が高い状態で、平均粒径のみが大きくなる傾向がある。これは、造粒物が撹拌されることにより、造粒物の内側からその表面に水分が染み出し、微粉の付着力が増加するためである。
このことから、焼結原料の撹拌時間を調整することにより、目標とする平均粒径を備える造粒物を、容易に製造できる。
なお、造粒物の平均粒径の調整方法としては、例えば、横型容器11内に供給する水分の添加量、バインダーの添加量、又は撹拌羽根の撹拌速度を変える方法がある。ここで、この方法のうち、水分の添加量を変えて平均粒径を変えた場合の結果を、図7(B)に示す。
水分の添加量を変えて造粒物の平均粒径を調整する場合、図7(B)から明らかなように、水分の添加量が5〜7質量%と11〜13質量%の各範囲において、平均粒径が急激(それぞれ変化量が3.5mm程度)に変化することが分かる。つまり、これは、水分の添加量を変化させて造粒物の平均粒径を調整することが、非常に難しいことを意味している。
一方、撹拌時間で造粒物の平均粒径を調整する場合、前記したように、平均粒径の急激な変化がなく、水分の添加量を変える場合と比較して、作業性が良好であることが分かった。この撹拌時間は、横型容器11内への焼結原料の投入速度を(単位時間あたりの投入量)を変更することにより、変更できる。これは、横型容器11内への焼結原料の供給量だけ、横型容器11内から造粒物が排出されることによる。
なお、図7(A)の試験条件は、焼結原料(500μmアンダー):65質量%、内径D:500mm、隙間S:7mm、撹拌羽根の厚みT:10mm、焼結原料の占積率:15%、造粒物の水分含有量:10質量%、撹拌羽根の先側角度:120度、撹拌羽根の間隔W:20mm(隙間)、撹拌羽根の撹拌加速度:50m/sである。
また、図7(B)の試験条件は、焼結原料(500μmアンダー):65質量%、内径D:500mm、隙間S:7mm、撹拌羽根の厚みT:10mm、焼結原料の占積率:15%、撹拌時間:10分、撹拌羽根の先側角度:120度、撹拌羽根の間隔W:20mm(隙間)、撹拌羽根の撹拌加速度:50m/sである。
更に、水分及びバインダーの添加位置は、造粒物の造粒時間に影響を及ぼすため、ここで、水分及びバインダーの添加位置を変化させたときの粒度分布3〜10mmの造粒物の収率70質量%を得るための撹拌時間の変化を検討した結果について、図8を参照しながら説明する。なお、図8の試験条件は、焼結原料(500μmアンダー):65質量%、内径D:500mm、隙間S:7mm、撹拌羽根の厚みT:10mm、焼結原料の占積率:15%、造粒物の水分含有量:9質量%、撹拌羽根の先側角度:120度、撹拌羽根の間隔W:20mm(隙間)、撹拌羽根の撹拌加速度:50m/sである。
水分及びバインダーの全量の50質量%の添加完了位置が、横型容器の焼結原料の供給口の中心位置から0.5×Lを超える位置になると、急激に撹拌時間が長くなることが分かる。これは、0.5×Lの範囲内で水分及びバインダーの全量の50質量%を添加完了することにより、焼結原料と、水分及びバインダーとの混練を良好にし、図2(A)、(B)の造粒メカニズムで示した粒生成及び粒成長を助長するためである。
以上のことから、横型容器11の焼結原料の供給口14から0.5×L以下の範囲内で、焼結原料に添加する水分及びバインダーの全量の50質量%を添加したが、上限を、0.4×L、0.3×L、更には0.2×Lとすることが好ましい。
一方、水分及びバインダーの添加終了位置は、横型容器11の上流側に近づくに伴って、撹拌時間の短縮が図れるため、下限値については規定していないが、通常は、焼結原料の供給口14の直下流(0.01×L以上0.1×L以下の範囲内)位置である。
なお、上記した傾向は、水分及びバインダーを添加した場合だけでなく、水分のみを添加した場合も同様である。
焼結原料の一部に鉄分含有ダストを使用することで、鉄分含有ダストを鉄源としてリサイクルすることができ経済的である。また、鉄分含有ダストが混合された焼結原料に対して本発明の造粒方法で造粒して得られる造粒物の収率は、従来の造粒方法で造粒して得られる造粒物の収率より高いので、焼結原料中の鉄分含有ダストの混合率が増加するにつれて造粒物の収率が低下しても、その収率低下の割合が従来の造粒方法に比べて本発明の造粒方法では小さい。このため、焼結原料中の鉄分含有ダストの混合率の増加に伴って、本発明の造粒方法における造粒物の収率と従来の造粒方法における造粒物の収率の差が拡大し、本発明の造粒方法における造粒物を焼結パレットに装入した場合、未造粒の焼結原料が焼結パレットに持ち込まれる割合が抑制され、従来の造粒方法に比べて通気性の悪化が改善される。
しかし、焼結原料中の鉄分含有ダストの混合率が更に増加すると、焼結原料では微粉(例えば、2μmアンダーの微粉)不足状態になり、微粉が示す粘性(可塑性)の作用が低下することで粒子同士の付着力が低下する。このため、焼結原料の微粉不足状態が顕著になると、焼結原料中の鉄分含有ダストの混合率の増加に伴って、本発明の造粒方法においても造粒物の収率低下の割合が大きくなり、本発明の造粒方法における造粒物の収率と従来の造粒方法における造粒物の収率の差が縮小し、本発明の造粒方法における造粒物の収率は従来の造粒方法で造粒した場合の造粒物の収率に近づく。このため、未造粒の焼結原料が焼結パレットに持ち込まれる割合が増加し通気性が悪化する。
図9に、鉄分含有ダストを一部使用した焼結原料の造粒物を焼結パレットに装入した際の焼結パレットの通気性改善効果と焼結原料中の鉄分含有ダスト混合率との関係を示す。
ここで、通気性改善効果は、鉄分含有ダストを一部使用した焼結原料に対して、従来の方法で造粒した造粒物を焼結パレットに装入した際の通気量をVb、本発明の方法で造粒した造粒物を焼結パレットに装入した際の通気量をVpとして、100・(Vp−Vb)/Vb(%)から求めた。通気性改善効果2%を目標とすると、図9から鉄分含有ダスト混合率は1質量%以上70質量%以下にする必要がある。
以上の方法により、粒度分布3〜10mmの造粒物の収率60質量%(更には、70質量%)以上を達成できる。
ここで、本実施の形態の実施例Xと従来例の各条件で製造した造粒物の粒度分布を、図10に示す。なお、縦軸の頻度とは、造粒物を、各条件のプロット点間の篩目を使用して篩分けしたときの造粒物の通過量から求めた値である。
図10から明らかなように、本実施の形態の実施例Xの条件で得られた造粒物の粒度分布は、従来例の条件で得られた造粒物の粒度分布よりも、シャープで良好であることを確認できた。
ここで、実施例Xの条件は、焼結原料(500μmアンダー):65質量%、内径D:500mm、隙間S:7mm、撹拌羽根の厚みT:10mm、焼結原料の占積率:15%、撹拌時間:6分、焼結原料の水分含有量:10質量%、撹拌羽根の先側角度:120度、撹拌羽根の間隔W:20mm(隙間)、撹拌羽根の撹拌加速度:50m/sである。
また、従来例は、焼結原料(500μmアンダー)を縦型円筒撹拌機で撹拌した後、これをドラム型造粒機で造粒した結果である。この縦型円筒撹拌機の撹拌条件は、焼結原料(500μmアンダー):65質量%、撹拌時間:2分、焼結原料の水分含有量:10質量%であり、ドラム型造粒機の造粒条件は、ドラムの内径:1000mm、撹拌羽根の回転数:24回/分、滞留時間:2分である。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
ここでは、粒径500μmアンダーの粒子を65質量%含む焼結原料を、円筒状の横型容器を備える造粒装置に入れ、これに水分と分散剤(0.2質量%)を添加し撹拌して、得られた粒度分布3〜10mmの造粒物の収率(以下、単に造粒物の収率ともいう)を検討した。なお、撹拌時間は、4分以上20分以下の範囲内で、造粒物の収率が最大となる時間とした。また、粒度分布3〜10mmの造粒物の収率は、各実施例及び比較例ごとに、焼結原料の撹拌試験を5回ずつ実施し、各回ごとに測定した平均収率で表し、85質量%以上を◎、70質量%以上85質量%未満を○、60質量%以上70質量%未満を△、60質量%未満を×とした。
まず、横型容器の内径の影響を検討した結果について、表1、図11を参照しながら説明する。
ここで、実施例1〜3は、横型容器の内径を、前記した150mm以上1000mm以下の適正範囲に設定した結果であり、比較例1、2は適正範囲外に設定した結果である。
Figure 0005326592
表1及び図11から明らかなように、内径が小さい場合には、撹拌羽根による焼結原料の掻き上げがうまくいかず、転動不足になる傾向があり、一方、内径が1000mmを超える場合には、逆に掻き上げ後の造粒物の落下高さが高くなって落下衝撃による崩壊が顕著になり、いずれについても、粒度分布3〜10mmの造粒物の収率が低下する傾向が得られた。
ここで、実施例2は、内径が適正範囲の最も良好な値であったため、造粒物の収率は○判定であった。また、実施例1、3は、内径が適正範囲の下限値と上限値に相当するものであったため、造粒物の収率は△判定であった。
一方、比較例1のように、内径が適正範囲の下限値より小さい場合は、掻き上げ不良による転動不足で造粒物が小さくなり、また比較例2のように、内径が適正範囲の上限値より大きい場合は、掻き上げ後の落下高さが高くなるので、落下衝撃による崩壊が顕著になり、いずれも収率が低下して造粒物の収率が×判定となった。
次に、横型容器の内面と回転する撹拌羽根との隙間(以下、単に隙間ともいう)の影響を検討した結果について、表2、図12を参照しながら説明する。
ここで、実施例2、4、5は、隙間を、前記した2mm以上15mm以下の適正範囲に設定した結果であり、比較例3は適正範囲外に設定した結果である。
Figure 0005326592
表2及び図12から明らかなように、横型容器の内面と回転する撹拌羽根との隙間が広くなると、せん断力の低下に伴って焼結原料の均一混合が難しくなると共に、成長した粒が再びこの領域に入り込み破壊されて、造粒物の収率が低下している。
ここで、実施例2は、隙間が適正範囲の最も良好な値であったため、造粒物の収率は○判定であった。また、実施例5は、隙間が適正範囲の上限値に相当するものであったため、造粒物の収率は△判定であった。なお、実施例4は、隙間が適正範囲の下限値に相当する2mmであり、収率は○判定であったが、隙間が2mm未満の場合、回転軸の振動により、横型容器の内面と撹拌羽根が接触する可能性があるため、試験を行っていない。
一方、比較例3のように、隙間が適正範囲の上限値より広い場合は、せん断力の低下に伴い、焼結原料の均一混合が難しくなると共に、成長した粒が再びこの領域に入り込み、破壊される確率が高くなるため、造粒物の収率が×判定となった。
なお、図12において、表2の実施例よりプロット点の数が多いのは、図12の代表点を表2に示したためである。
次に、焼結原料の投入量の影響を検討した結果について、表3、図13を参照しながら説明する。
ここで、実施例2、6、7は、焼結原料の投入量を前記した積み付け高さ50mm以上、占積率30%以下の適正範囲に設定した結果であり、比較例4、5は、適正範囲外に設定した結果である。なお、占積率5%は積み付け高さ50mmに相当する。
Figure 0005326592
表3及び図13から明らかなように、焼結原料の投入量が少な過ぎる場合には、焼結原料の掻き上げがうまくいかずに転動不足になる傾向があり、また焼結原料の投入量が多過ぎる場合には、焼結原料を均一に混合することが難しくなって粒のばらつきが顕著になるため、いずれも造粒物の収率が低下する傾向が得られた。
ここで、実施例2は、焼結原料の投入量が適正範囲の最も良好な値であったため、造粒物の収率は○判定であった。また、実施例6は、焼結原料の投入量が適正範囲の下限値に相当するものであったため、造粒物の収率は△判定であった。
一方、比較例4のように、焼結原料の投入量が適正範囲の下限値より小さい場合は、掻き上げ不良による転動不足で造粒物が小さくなり、比較例5のように、焼結原料の投入量が適正範囲の上限値より大きい場合は、焼結原料を均一に混合することが難しくなって粒のばらつきが顕著になるため、いずれも造粒物の収率が低下し×判定となった。
なお、図13において、表3の実施例よりプロット点の数が多いのは、図13の代表点を表3に示したためである。
次に、撹拌羽根の先側角度の影響を検討した結果について、表4、図14を参照しながら説明する。
ここで、実施例9〜11は、撹拌羽根の先端角度を前記した30°以上160°以下の適正範囲に設定した結果であり、実施例8、12は、適正範囲外に設定した結果である。
Figure 0005326592
表4及び図14から明らかなように、板状の撹拌羽根の先側角度が、回転方向に30度未満の場合、及び160度を超える場合も、成長した造粒物が破壊され造粒物の収率が低下する傾向が得られた。
ここで、実施例10は、撹拌羽根の先側角度が適正範囲の最も良好な値であったため、造粒物の収率は○判定であった。また、実施例9、11は、その撹拌羽根の先側角度が適正範囲の下限値と上限値の近傍に相当するものであるが、造粒物の収率は○判定であった。
一方、実施例8のように、撹拌羽根の先側角度が適正範囲の下限値より小さい場合や、実施例12のように、撹拌羽根の先側角度が適正範囲の上限値より大きい場合は、成長した造粒物が撹拌羽根により破壊され、両者とも造粒物の収率は△判定となった。
なお、図14において、表4の実施例よりプロット点の数が多いのは、図14の代表点を表4に示したためである。
次に、隣接羽根の間隔の影響を検討した結果について、表5、図15を参照しながら説明する。
ここで、実施例10、13、14は、隣接配置される撹拌羽根の回転軌跡の間隔を前記した−100mm(重複)以上100mm以下(隙間)の適正範囲に設定した結果であり、実施例15は適正範囲外に設定した結果である。
Figure 0005326592
表5及び図15から明らかなように、隣接配置される撹拌羽根の間隔が広くなると、掻き上げられずに転動しない造粒物の割合が増え、造粒物の収率が低下する傾向があった。
ここで、実施例10は、隣接配置される撹拌羽根の間隔が適正範囲の最も良好な値であったため、造粒物の収率は○判定であった。また、実施例14は、その間隔が適正範囲の上限値に相当するものであるが、造粒物の収率は、○判定であった。一方、実施例15のように、その間隔が適正範囲の上限値より大きい場合は、掻き上げられずに転動しない造粒物割合が増え、造粒物の収率は△判定となった。
次に、撹拌羽根の撹拌加速度の影響を検討した結果について、表6、図16を参照しながら説明する。
ここで、実施例17、18は、撹拌羽根の撹拌加速度を前記した2G以上10G以下の適正範囲に設定した結果であり、実施例16は、適正範囲外に設定した結果である。ここで、G=9.8m/sであるため、2Gは19.6m/s、10Gは98m/sである。
Figure 0005326592
表6及び図16から明らかなように、撹拌羽根の撹拌加速度が大きくなると、転動が促進され、造粒物の収率が増加する傾向があった。
ここで、実施例18は、撹拌羽根の撹拌加速度が適正範囲の最も良好な値であったため、造粒物の収率は◎判定であった。また、実施例17は、撹拌羽根の撹拌加速度が適正範囲の下限値付近に相当するものであるが、造粒物の収率は○判定であった。一方、実施例16のように、撹拌羽根の撹拌加速度が適正範囲の下限値より小さい場合は、掻き上げられずに落下する造粒物の割合が増え、造粒物の収率は△判定となった。
なお、図16において、表6の実施例よりプロット点の数が多いのは、図16の代表点を表6に示したためである。
次に、造粒物の水分含有量の影響について検討した結果について、表7、図17を参照しながら説明する。
ここで、実施例20〜22は、造粒物の水分含有量を前記した6質量%以上12質量%以下の適正範囲に設定した結果であり、実施例19、23は、適正範囲外に設定した結果である。
Figure 0005326592
表7及び図17から明らかなように、造粒物の水分含有量が高くなると、微粉の付着力が高くなり、造粒物が粗大化して造粒物の収率が低下する傾向があった。一方、造粒物の水分含有量が低い場合は、微粉の付着力が小さ過ぎて粒が成長せず、造粒物の収率が低下する傾向があった。
ここで、実施例21は、造粒物の水分含有量が適正範囲の最も良好な値であったため、造粒物の収率は◎判定であった。また、実施例20、22は、それぞれ水分含有量が適正範囲の下限値付近、上限値付近に相当するものであるが、造粒物の収率は○判定であった。一方、実施例19のように、造粒物の水分含有量が低い場合は、微粉の付着力が小さ過ぎて粒が成長せず、実施例23のように、造粒物の水分含有量が高い場合は、微粉の付着力が高くなり造粒物が粗大化し、両者とも造粒物の収率は△判定となった。
続いて、焼結原料の撹拌時間の影響について検討した結果について、表8、前記した図7(A)を参照しながら説明する。
ここで、実施例25〜28は、焼結原料の撹拌時間を前記した4分以上の適正範囲に設定した結果であり、実施例24は、適正範囲外に設定した結果である。
Figure 0005326592
表8及び図7(A)から明らかなように、焼結原料の撹拌時間が長くなると、造粒物の収率が高い状態で、その平均粒径が大きくなる傾向があった。これは、撹拌することにより、造粒物の内側から表面に水分が染み出し、微粉の付着力が増加するためである。
ここで、実施例25〜28は、焼結原料の撹拌時間が適正範囲の最も良好な値であったため、造粒物の収率は○判定であった。
一方、実施例24のように、焼結原料の撹拌時間が短い場合は、微粉の付着力が小さ過ぎて粒が成長せず、造粒物の収率は△判定となった。
以上のことから、本発明の焼結原料の造粒方法を使用することで、目標とする粒度分布を備えた造粒物を製造でき、しかもその収率を従来よりも向上できることを確認できた。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の焼結原料の造粒方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、前記実施の形態においては、造粒装置を使用して、焼結原料から造粒物を製造した場合について説明したが、造粒装置で製造した造粒物を、更に従来公知の撹拌装置(例えば、ドラムミキサー)に供給して造粒物を製造してもよい。
10:造粒装置、11:横型容器、12:回転軸、13:撹拌羽根、14:供給口(原料投入口)、15、16:供給口、17:排出口、18:支持部材

Claims (7)

  1. 粒径が500μmアンダーの粒子を60質量%以上含む焼結原料を造粒装置に供給して造粒物を製造する焼結原料の造粒方法であって、
    円筒状の横型容器と、該横型容器の軸心に配置された回転軸を中心として回転する複数の板状の撹拌羽根とを有し、しかも前記横型容器の内径を150mm以上1000mm以下、前記横型容器の内面と回転する前記撹拌羽根との隙間を2mm以上15mm以下、及び前記撹拌羽根の厚みを3mm以上30mm以下とした前記造粒装置の前記横型容器内に、前記焼結原料を、前記各撹拌羽根を回転させながら、積み付け高さ50mm以上、かつ占積率30%以下の範囲内で供給することを特徴とする焼結原料の造粒方法。
  2. 請求項1記載の焼結原料の造粒方法において、前記撹拌羽根は、該撹拌羽根の回転方向に向かって徐々に縮幅し、その先側角度が30度以上160度以下の範囲内になっており、しかも隣接配置される前記撹拌羽根は、その各回転軌跡を重なり合わせる場合、該各回転軌跡の重複幅が0を超え100mm以下の範囲内となる位置に、その各回転軌跡を接触させる場合、該各回転軌跡の間の隙間が0となる位置に、その各回転軌跡の間に隙間を形成する場合、該回転軌跡の間隔が0を超え100mm以下の範囲内となる位置に、前記回転軸に設けられていることを特徴とする焼結原料の造粒方法。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の焼結原料の造粒方法において、前記横型容器の内径をD(m)、前記撹拌羽根の周速をu(m/s)、及び前記焼結原料の重力加速度をG(m/s)とした場合、前記撹拌羽根の撹拌加速度2×u/D(m/s)を、2G(m/s)以上10G(m/s)以下の範囲内に設定することを特徴とする焼結原料の造粒方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結原料の造粒方法において、前記造粒装置による前記焼結原料の撹拌時間を4分以上とし、造粒後の前記造粒物の水分含有量を6質量%以上12質量%以下の範囲内に設定することを特徴とする焼結原料の造粒方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼結原料の造粒方法において、前記造粒物の目標とする平均粒径に応じて、前記造粒装置による前記焼結原料の撹拌時間を調整することを特徴とする焼結原料の造粒方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の焼結原料の造粒方法において、前記横型容器の長さをLとした場合、該横型容器の上流側端部に設けられた原料投入口の中心位置から0.5×L以下の範囲内で、前記焼結原料に添加する水分及びバインダーの全量の50質量%、又は水分の全量の50質量%を添加することを特徴とする焼結原料の造粒方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼結原料の造粒方法において、前記焼結原料の1質量%以上70質量%以下は、製鉄工程で発生する鉄分含有ダストであることを特徴とする焼結原料の造粒方法。
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