JP6146340B2 - 焼結原料の製造方法及び焼結原料の製造装置 - Google Patents

焼結原料の製造方法及び焼結原料の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、粉状原料を造粒して、焼結鉱の生産性を向上させる焼結原料を製造する焼結原料の製造方法、及び、焼結原料の製造装置に関する。
高炉原料として用いられる焼結鉱は、焼結原料を焼結機で焼結して製造される。焼結原料は、鉄鉱石の粉鉱石、石灰石系粉原料や他の副原料が配合されてなる粉状原料を造粒して製造される。この焼結原料には、粉鉱石中の粗粉鉱石を成長させて形成される擬似粒子(粒径1.0mm以上)が多く含まれていることが望ましい。焼結原料中に擬似粒子が多く含まれるほど、その焼結原料は強度が強く、焼結の際に、焼結原料間の通気性を確保しやすいからである。
特許文献1には、粉状原料の一部を予め、ドラムミキサなどの収容器で混合、造粒して平均粒径1mm以上の事前造粒物を形成しておき、残部の粉状原料を混合し水分を添加して造粒する工程の終期に、前記事前造粒物を装入する焼結原料の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、散水装置が設けられたドラムミキサに、散水を継続しながら、平均粒径1mm以上の粗粉鉱石を投入すると共に、平均粒径1mm未満の微粉鉱石を投入して、鉱石を造粒する焼結用微粉鉱石の造粒方法が記載されている。
従来技術のいずれの方法においても、粉状原料の造粒では、平均粒径1mm以上の核粒子に、それより細かい微粒子を混合しつつ水分を加えて、核粒子の周りに微粒子を付着させることで、核粒子を成長させて擬似粒子としている。
近年、鉱石の供給者から供給される粉鉱石のうち、従前には存在割合が多かった、核粒子となり得る粗粉鉱石(平均粒径1〜3mm)が少なくなってきている上に、粗粉鉱石よりも粒径が小さい、微粒子である微粉鉱石(平均粒径40〜150μm)の割合が多くなってきており、微粉鉱石の割合が多い粉鉱石を使用する必要性が生じてきている。粉鉱石のうち、微粉鉱石の割合が多くなると、特許文献1及び特許文献2に記載されている造粒方法では、擬似粒子が形成されにくく、微粉鉱石(微粒子)同士が付着した付着粒子(粒径8.0〜16.0mm)が増えてしまい、焼結原料のうちの擬似粒子の割合が少なくなる。
そこで、特許文献3では、円筒状の横型容器と、該横型容器の軸心に配置された複数の撹拌羽根と、を有し、横型容器の内径、横型容器の内面と回転する撹拌羽根との隙間、及び撹拌羽根の厚みを規定した造粒装置を用いて、横型容器に、積み付け高さ50mm以上かつ占積率30%以下の範囲内で、粉状原料を供給して、焼結原料を製造する方法が提案されている。この方法によって、微粉を多く含む粉状原料から、目標とする粒径を備えた焼結原料を製造することが可能となっている。
しかしながら、特許文献3に提案されている方法では、撹拌羽根を横型容器に複数配置させるので、攪拌機の設置費用及びメンテナンス費用が増加する上に、撹拌羽根を複数回転させるので、造粒装置の運転費用が増加するという問題が生じる。
特開2003−113425号公報 特開平5−331559号公報 特開2009−242939号公報
Mindlin,R.D.[1949]Compliance of Elastic Bodies in Contact: Journal of Applied Mechanics、No.10、第259〜268頁
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、微粉鉱石を多く含む粉状原料を用いた場合であっても、付着粒子が成長することを防いで、付着粒子よりも嵩密度が大きくかつ強度が大きい擬似粒子をより多く成長させることで、適切な粒度分布及び強度を有する焼結原料を製造して、該焼結原料によって焼結鉱の生産性を維持しつつ、攪拌機を小型化して運転費を抑えることが可能な焼結原料の製造方法及び焼結原料の製造装置(粉状原料の造粒装置)を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]粉状原料を造粒して焼結原料を製造する焼結原料の製造方法であって、予め、造粒する際に駆動する収容器の複数部位での、前記粉状原料の粉状原料速度を解析し、解析結果に基づいて、粒径が8.0mm以上である粉状原料の速度が、前記粉状原料速度の最小速度Vminの1.5倍以下になる低速度領域を、前記部位のうちから特定しておき、実際に造粒する際に、前記収容器に前記粉状原料を投入するとともに、前記低速度領域の少なくとも一部を中心にして攪拌することを特徴とする焼結原料の製造方法。
[2]上記[1]に記載の焼結原料の製造方法で用いられる焼結原料の製造装置であって、収容器と攪拌機とを有し、前記低速度領域の少なくとも一部を中心にして攪拌可能なように、前記攪拌機が、前記収容器に収容されている粉状原料に挿入されることを特徴とする焼結原料の製造装置。
本発明によれば、微粉鉱石の割合が多い粉状原料を配合した場合であっても、造粒中に、形成されてしまう付着粒子を解砕することによって、適切な粒度分布及び強度を有する焼結原料を得ることができ、焼結鉱の高い生産性を維持しつつ、粉状原料に挿入される攪拌機を小型化することで、造粒装置(焼結原料の製造装置)の運転費を抑えることができる。
粉状原料を収容している収容器を示す鉛直断面図である。 図1に示す収容器内での粉状原料の転動状態を示す説明図である。 低速度領域を特定する手順を示すフローチャートである。 図3に示される工程S2である離散要素解析の説明図である。 図3に示される工程SA〜SDの説明図である。 実施例1での焼結原料の粒度分布を示すグラフである。 図6の焼結原料に落下強度試験を行った後の粒度分布を示すグラフである。 実施例1での焼結原料から得られた焼結鉱の生産性を示すグラフである。 実施例2での焼結原料の粒度分布を示すグラフである。 図9の焼結原料に落下強度試験を行った後の粒度分布を示すグラフである。 実施例2での焼結原料から得られた焼結鉱の生産性を示すグラフである。 実施例3での焼結原料の粒度分布を示すグラフである。 図12の焼結原料に落下強度試験を行った後の粒度分布を示すグラフである。 実施例3での電力原単位を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態の一例を具体的に説明する。図1は、粉状原料を収容している収容器を示す鉛直断面図である。粉状原料の造粒装置1(焼結原料の製造装置)は、粉状原料2が収容される収容器3、該収容器3に接続される土台4、及び、粉状原料2に挿入される攪拌機5、を有する。
本実施形態では、収容器3としてディスクペレタイザを採用した例を示しており、収容器3は、側壁3aと底面3bとを有しており、該底面3bが水平面に対して角度θ分傾斜するように、土台4に取り付けられている。図示は省略しているが、土台4には、収容器3を回転駆動させる駆動機構が設けられている。攪拌機5には、該攪拌機5を回転駆動させる駆動機構が接続されており、攪拌機5としては、図1に示すように、そのシャフト先端に直径Dとなる攪拌羽根が設けられている形態の攪拌機を用いることができるが、本発明は、この形態に限られず、攪拌が可能であれば、例えば、磁気で動作する攪拌子を採用することもできる。また、攪拌機5は移動可能であり、攪拌機5を移動させて、収容器3に収容された粉状原料2に挿入される位置を変更することが可能である。
図2は、収容器3内での粉状原料2が転動している状態を示しているが、説明のため、攪拌機5を省略している。図1に示すように、粉状原料2が、R方向に回転している収容器3に投入され、収容器3の下部の側壁3a及び底面3bに落下する。次いで、図2の軌跡11に示すように、粉状原料2は、収容器3の回転に伴い、側壁3aに沿って上昇し、自重によって、下部の側壁3a及び底面3bに落下するという転動運動を繰り返す。
粉状原料2が転動運動を繰り返している間に、該粉状原料2に水分を添加しながら、更に粉状原料2を投入する。粉状原料2としては、粉鉱石、石灰石系粉原料、他の副原料が挙げられ、粉鉱石には、核粒子となり得る粗粉鉱石(平均粒径1〜3mm)と、粗粉鉱石よりも粒径が小さい、微粉鉱石(平均粒径40〜150μm)と、が含まれており、石灰石系粉原料、他の副原料は、少なくとも粗粉鉱石よりも粒径が小さい。
水分によって、転動している粗粉鉱石(核粒子)の周りに、その粗粉鉱石よりも粒径が小さい微粉鉱石や、粉鉱石以外の原料(微粒子)を付着させ、粗粉鉱石を成長させて、擬似粒子を形成する。形成された擬似粒子は、収容器3の下部の側壁3a及び底面3bに蓄積していく。一方で、水分によって、微粉鉱石や鉱石以外の原料は、それら同士が付着した付着粒子に成長してしまう可能性がある。
粉状原料2の投入量が多くなっていくと、収容器3の下部の側壁3aから、造粒された粉状原料2(焼結原料6)が溢れ出る。焼結原料6とは、造粒により成長し、収容器3から溢れ出た粉状原料2を意味する。すなわち、造粒により成長し、粒径からすれば焼結原料6とみなしてもよい粉状原料2であっても、収容器3内に留まる限りは、粉状原料2と呼ぶ。擬似粒子は、付着粒子よりも嵩密度が大きいので、収容器3において、重力が掛かる方向で最も下側の底面3b及び側壁3aには擬似粒子が蓄積する傾向にある一方で、付着粒子は、嵩密度が小さいので、収容器3で堆積する粉状原料2の上側に存在する傾向がある。よって、収容器3から溢れ出た焼結原料6には、造粒があまり進まず粒径が小さい粒子や付着粒子が含まれてしまうものの、擬似粒子が含まれることになる。焼結原料6には、その強度を高めるために、擬似粒子がより多く含まれることが好ましい。
本発明者らは、造粒実験を行い、近年の粉状原料2を造粒して得られる焼結原料6には、焼結機での通気性を悪化させる強度が弱い付着粒子が増加してしまうことを確認した。本発明者らは、粉状原料2の転動している状態を更に観察していたところ、付着粒子が、収容器3の下部に積み重なった粉状原料2の表面に現れてくる傾向があり、その表面に付着粒子が集中的に存在する部位があることを確認した。本発明者らは、粉状原料2の粒子が大きいほど、収容器3の側壁3aに長時間存在する傾向があるが、側壁3aに沿って粉状原料2は移動するので、側壁3aでは、微粉鉱石は付着粒子へと成長しにくい一方で、それら以外の部位で、微粉鉱石が長時間滞留すると、既に形成された付着粒子にさらに付着して、付着粒子が成長してしまう可能性が高いと考えた。
そこで、本発明者らが更に鋭意検討した結果、付着粒子が集中的に存在する部位は、過大に成長した付着粒子(粒径8.0〜16.0mm)が滞留している部分であることを知見し、粉状原料2の移動速度が低くなる、収容器3中の部位(粉状原料速度の低速度領域)を予め特定し、その部位の少なくとも一部を中心とするように攪拌して、滞留する粉状原料2(付着粒子)を積極的に解砕する本発明を想到した。これにより、付着粒子を効果的に解砕して、粒径が小さい微粉鉱石や粉鉱石以外の原料を粗粉鉱石に、より多く付着させ、疑似粒子に成長させることが可能となる。
すなわち、本発明の焼結原料の製造方法では、次の前工程[1]と[2]を行い、次いで、実際の造粒とともに、粉状原料2の攪拌を行う。
前工程[1]:実際の造粒に先立って、造粒する際に駆動する収容器3の複数部位での、粉状原料2の速度(粉状原料速度)を数値解析する。
前工程[2]:前工程[1]の解析結果に基づいて、粉状原料速度の最小速度Vminを特定しておく。そして、収容器3の複数の部位のうちから、付着粒子と考えられる粉状原料の速度が、最小速度Vminの1.5倍以下になる低速度領域を特定しておく。
攪拌工程:収容器3に粉状原料2を投入し、低速度領域の少なくとも一部を中心にして攪拌する。ここで、少なくとも一部を中心にして攪拌するとは、収容器3の外部から攪拌手段を粉状原料2に挿入して、粉状原料2の低速度領域の一部を攪拌手段の中心にして、その攪拌手段で攪拌する態様を包含する。
以下、上記前工程[1]と前工程[2]及び攪拌工程を順番に説明する。図3は、低速度領域を特定する手順を示すフローチャートである。図4は、図3に示される工程S2である離散要素解析の説明図であり、図5は、図3に示される工程SA〜SDの説明図である。
<前工程[1]>
粉状原料2の速度(粉状原料速度)の数値解析には離散要素法を用いることができる。離散要素法とは、解析の対象を自由に運動することができる多角形や円形・球の要素の集合体としてモデル化し、要素間の接触・滑動を考慮して、各時刻におけるそれぞれの要素の運動を逐次追跡して解析する手法である。本実施形態においては、解析の対象は粉状原料2を構成している粒子となる。
焼結原料6は、実際に回転・造粒されて得られた粒子であり、収容器3から溢れ出る直前までは、粉状原料2である上に、造粒がかなり進み粒子同士の水分による付着を想定しにくく、付着現象を考慮せずに粒子間の接触・滑動のみを考慮した粉状原料2の運動を調査するという点で適した材料である。この焼結原料6を、収容器3で回転することになる粉状原料2と想定する。図3に示すように、この焼結原料6中の粒子、すなわち、造粒された粒子からサンプリングされた粒子について、粒径分布や、物性値(安息角、摩擦係数、嵩密度、粒子密度、一軸圧縮強度、ヤング率、ポアソン比、含水率、付着力)を測定し、次の離散要素法で必要となる粉状原料2の物性値とする(工程S1)。
離散要素法で、回転駆動する収容器3内に存在する粉状原料2の各粒子についての位置・速度及びその方向の時系列データを算出する(工程S2)。具体的には、工程S1で求めた粒径分布を有する粒子を水平面に対し角度θ傾斜した収容器3に投入して、該収容器3内で回転運動させた状況を模擬した計算機シミュレーションを行う。以下、該シミュレーションの方法を説明する。シミュレーションでは、側壁3a及び底面3bで画成される収容器3内の厚みのある円板形となる3次元領域を、横軸x、縦軸y及び奥行(深さ)軸zで表される計算領域と仮定する。図4(A)は、底面3bに対面する位置から視た粒子の運動を示す。図面は、平面的であるため、図4(A)では、奥行軸zの図示を便宜的に省略しているが、紙面表から裏に向かう方向が奥行軸zの方向となる。初期状態(時刻t=0)では、計算領域の様々な座標(x,y,z)に、様々な粒径dを有する粒子がランダムに配置され、初期状態から時間が経過すると(時刻t>0)、底面3bがR方向に回転することで、図4(A)に示すように、複数の粒子が相互に衝突するか、及び/または、粒子が側面3aまたは底面3bに衝突し、それにより生じる反発力Fcで、各粒子が、速度Vpで任意のx、y、z軸方向に移動し得ると想定する。なお、速度Vpはベクトル量である。
速度Vpは時刻tの関数であり、適宜、Vp(t)とも表す。時刻tにおける、x、y、z軸方向のVp(t)の成分を、それぞれ速度Vx(t)、Vy(t)、Vz(t)と表す。Vx(t)、Vy(t)、Vz(t)は、x、y、z軸のそれぞれに対するVp(t)の傾斜角度から求まる。
各粒子の位置x(t)、y(t)、z(t)は、Vx(t)、Vy(t)、z(t)及び時刻tを用いて、次の式で表すことができる。
x(t)=Vx(t)・t+x(0) ・・・(1)
y(t)=Vy(t)・t+y(0) ・・・(2)
z(t)=Vz(t)・t+z(0) ・・・(3)
x(0)、y(0)、z(0)は、初期状態で設定される各粒子の位置(座標(x、y、z)で決まる。
上記速度Vx(t)、Vy(t)、Vz(t)を求めるために、粒子毎に運動方程式を作成し、該運動方程式を陽解法で解く。任意の時刻tにおけるVx、Vy、Vzが求まれば、位置(座標(x、y、z))が求まる。そして、位置の時系列データを算出して、複数の粒子の軌跡を求める。なお、反発力Fcは、ベクトル量であり、粒子同士または粒子が側面3aまたは底面3bに衝突することになる時刻tで決まるので、適宜、Fc(t)と表し、時刻tにおける、x、y、z軸方向のFc(t)の成分を、それぞれFcx(t)、Fcy(t)、Fcz(t)と表す。
各粒子の質量をm[kg]とすれば、粒子の運動方程式を以下の通りに表すことができる。
Figure 0006146340
Figure 0006146340
Figure 0006146340
式(4)〜(6)の右辺において、Fcx(t)、Fcy(t)、Fcz(t)のそれぞれには、総和を表すΣが記載されている。運動方程式の対象となる粒子は、任意の時刻tに、すなわち、任意の位置(x、y、z)にあるときに、その周りに、別の粒子が複数存在したり、側面3aと底面3bが存在する可能性があり、2つ以上の別の粒子及び/または側面3aと底面3bに衝突する可能性がある。よって、運動方程式の対象となる粒子には、反発力Fcが複数生じ得る。このため、Σを用い、式(4)〜(6)では、複数生じ得る反発力Fcの総和を表している。なお、粒子には、y軸及びz軸方向に、収容器3の傾斜角度θで定まる重力が掛かり、式(5)及び(6)における右辺には、重力(mg)のy軸及びz軸方向の成分を加えている。なお、反発力Fc(t)の求め方については、後述する。
式(4)〜(6)の両辺を質量mで除算して、以下に示す微分方程式に変形することができる。
Figure 0006146340
Figure 0006146340
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任意の時刻tから微小時間Δt経過した時刻を(t+Δt)と表し、また、それらの時時刻における物理量(例えば、速度Vx(t)など)を、その物理量の右添え字にt及びt+Δtを付する。例えば、速度Vxの場合、VxやVxt+Δtと表すこととする。これらのt、t+Δt、VxとVxt+Δtなどを用いて、式(7)〜(9)の左辺の微分式を次の差分式で近似することができる。
Figure 0006146340
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式(7)〜(9)の左辺に、上記式(10)〜(12)をそれぞれ代入し、両辺に微小時間Δtを乗算すれば、時刻tにおける速度から時刻t+Δtの速度を求め得る次の差分方程式が導出される。
Figure 0006146340
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Figure 0006146340
上記式(13)〜(15)を用いて、次の手順[i]〜[iii]の計算を行なえば、Vx(t)、Vy(t)、Vz(t)を求めることができる。
手順[i]:t=0におけるVx、Vy、Vzは、Vx(0)、Vy(0)、Vz(0)であり、これらはVx、Vy、Vzの初期値で既知である。これらVx、Vy、Vzをそれぞれ式(13)〜(15)の右辺のVx、Vy、Vzに代入する。
また、t=0における粒子の位置(x(0)、y(0)、z(0))は、初期値で既知である。前述したように、粒子の座標(x、y、z)において、粒子が、別の粒子または、側壁3a、底面3bに衝突すれば、反発力Fcが生じるので、まずは、運動方程式の対象の粒子が、時刻tで配置される座標(x、y、z)で、衝突するかの判定を行う。粒子の粒径dで決まる粒子が占有する空間に、別の粒子が存在するか、または、側壁3aや底面3bが存在するかを判定して、衝突が生じるかを判定できる。衝突が生じる場合には後述するFc(t)を求め、該Fc(t)のx、y、z軸成分であるFcx(t)、Fcy(t)、Fcy(t)を、式(13)〜(15)における右辺に代入する。判定の結果、衝突しない場合には、式(13)〜(15)の右辺において、反発力Fc(t)に微小時間Δtを乗算した値は0となる。
式(13)〜(15)の右辺の代入がされれば、時刻t=0から、例えば、0.001秒などの予め設定される微小時間Δt経過した時刻t=0+ΔtのときのVx、Vy、Vz(=Vx0+Δt、Vy0+Δt、Vz0+Δt)が求まる。Vx、Vy、Vzが求まれば、式(1)〜(3)により、粒子の位置(x、y、z)が求まる。
手順[ii]:手順[i]で求まったVx、Vy、Vzを式(13)〜(15)における右辺のVx、Vy、Vzに代入する。その際、手順[i]と同様に、粒子の位置(x、y、z)から、衝突の判定を行い、必要であればFcx(t)、Fcy(t)、Fcy(t)を、式(13)〜(15)における右辺に代入する。これにより、Vx、Vy、Vz(=Vx1+Δt、Vy1+Δt、Vy1+Δt)が求まり、式(1)〜(3)により、粒子の位置(x、y、z)が求まる。
手順[iii]:手順[ii]において、Vxt+1(=Vxt+Δt)、Vyt+1(=Vyt+Δt)、Vyt+1(=Vyt+Δt)を式(13)〜(15)の右辺のVx、Vy、Vzに代入するとともに、衝突が生じるかの判定を行い、必要であれば、Fcx(t)、Fcy(t)、Fcy(t)を、式(13)〜(15)における右辺に代入して、左辺のVxt+1、Vyt+1、Vzt+1を得、再び、右辺のVx、Vy、Vzに代入し、衝突が生じるか判定し、必要であれば反発力Fcを求める計算を繰り返すことにより、任意の時刻tにおけるVx(t)、Vy(t)、Vz(t)がわかる。これにより、粒子の位置(x(t)、y(t)、z(t))を求めることができる。粒子全体の流れが、ある程度一定のパターンとなる状態(定常状態)になるまで、この繰り返し計算を行う。
次に、反発力Fcの求め方について説明する。図4(B)は、運動している2つの粒子が衝突して、弾性変形している状態を示している。手順[iii]の繰り返し計算での時刻tにおいて、式(1)〜(3)によって、粒子の座標位置が求まる。時刻tである粒子Aの中心が座標(x、y、z)にある場合、その座標(x、y、z)を中心にして、粒子Aに設定されている粒径daの1/2(半径ra)分離れた範囲内に、粒子Aとは別の粒子Bの一部があると、粒子Aと粒子Bとが衝突して、粒子Aと粒子Bとの接平面に垂直な法線方向に、粒子A及び粒子Bが、長さs分だけ弾性変形し、反発力Fcが粒子Aと粒子Bとに働くモデルを想定する。この反発力Fcは、次の式で表すことができる。
Figure 0006146340
式(16)の右辺において、第1項(k・s3/2)は、変形による反発力を表す。係数kは、いわゆるバネ定数に相当する値であり、工程S1で求められた、粒子や壁面のヤング率やポアソン比、粒子が粒子や側壁3aや底面3bに衝突する際の曲率などの物性値で求めることができる。第2項(η・sの時間微分値)は、変形による粘性、ダンパー効果を表し、係数ηは、いわゆる減衰係数に相当する値であり、当接する物体同士の反発係数や、係数kなどによって求めることができる。第3項(3/2・π・γ・d)は、水分量による付着力を表し、γは表面エネルギー、dは粒子の粒径を表す。第1〜3項における、係数k、ηやγなどの値は、工程S1で求められた物性値から求まる特定の固定値である。これらの値については、非特許文献1に詳細に記載されている。
式(16)の右辺における第1〜3項のうち、第3項における粒径dは定まった値であり、図4(B)で言えば、da及びdbである。一方で、第1項における弾性変形の長さsは、衝突する粒子A及び粒子Bの中心位置(x、y、z)と(x、y、z)から求まる間隔距離r(t)と、粒子Aの半径ra(=da/2)と、粒子Bの半径rb(=db/2)と、から求まり、次の式で求まる。
s=(ra+rb)−r(t) ・・・(17)
式(17)における右辺のr(t)は、[iii]の繰り返し計算での時刻tにおいて、衝突すると判定された2つの粒子の座標位置(x、y、z)と(x、y、z)から求まるし、粒子A,粒子Bの半径ra,rbは固定値である。この式(17)によって、時刻tにおける第1項の弾性変形の長さsは求まる。第2項の弾性変形sの時間微分値ds/dtについて、[iii]の繰り返し計算での時刻tでの弾性変形の長さsは求まっており、時刻t−Δtにおける弾性変形sは、時刻tより微小時間Δt前に既に求まっているので、これらの差分Δsを微小時間Δtで除算して、第2項の弾性変形sの時間微分値は求まる。
なお、Fcの上記の求め方については、簡略化して説明してあるが、詳細は非特許文献1に記載されている。また、粒子が、側壁3a及び底面3bに衝突する場合であっても、上記の計算に類似した手法を用いることで、その場合のFc(t)を求めることが可能である。
<前工程[2]>
前工程[1]の解析結果に基づいて、収容器3における任意の部位において、任意の時刻tでの粉状原料2の各粒子の速度が明確になっており、各粒子の位置及び速度とその方向(ベクトル量としての速度)を抽出する。次いで、粒径dpが8.0mm以上である粒子を、微粉鉱石などの微粒子同士が付着した付着粒子とみなして、該付着粒子の位置と、速度とその方向と、を抽出する(工程SA)。また、付着粒子とみなす基準となる粒径dpは、この値に限られるものではなく、例えば、前述の工程S1で求めた一軸圧縮強度が0.1MPaを下回る場合ときの値とすることもできる。ここで、一軸圧縮強度とは、実際の球型造粒物を圧縮した際に破壊される強度である。
工程SAでは、図5(A)に示すように、運動している粉状原料2の各粒子から、図5(B)に示すように、●で表される付着粒子の速度とその方向を抽出する。なお、図5においては、説明を簡略化するため、付着粒子の一部のみを示しており、実際には、図示するよりも多くの付着粒子が収容器3に存在している。
図5(B)に示すように、底面3bを、その上から視て、格子状のセルに分割し、各セルに含まれる付着粒子の速度及びその方向を把握する。このセルは正方形状であり、縦及び横の長さは同じである。セル長さlは、収容器3に存在する粒子の最大粒径dpmaxの2倍以上であることが望ましい。上記の離散要素法で、セルが粒子の運動場であるためには、例えば、3以上などの適切な個数を超える粒子が1つのセルに含まれていることが好ましい。セル長さlが最大粒径dpmax未満である場合には、1つのセル内に1つの粒子で占有されてしまい、粒子の運動場として代表的な速度を正しく模倣できず、隣接したセルに含まれる付着粒子の流れが不連続になる可能性があり、速度場を参照した位置探索が困難となるからである。このため、セル長さlを少なくとも最大粒半径dpmax以上とし、セル長さlを最大粒径dpmaxの2倍以上とすれば、上記の離散要素法において問題は生じにくい。
各セルに含まれる付着粒子の速度及びその方向に基づいて、各セルの付着粒子の代表速度ベクトルを算出する(工程SB)。時刻tでの各セル内で、各付着粒子の質量mを重み係数として、抽出された各付着粒子の速度ベクトルとその質量mとを乗算して、ベクトル加算し、抽出した粒子の質量mの合計で除算して、時刻tにおけるセルの代表速度ベクトルを算出する。次いで、離散要素法においてシミュレーションした粒子の運動時間中における、各時刻tでのセルの代表速度ベクトルの全てをベクトル加算して、運動時間で除算することで、図5(C)で示すように、各セルにおいて時間平均された速度ベクトルの二次元分布が得られる。各セルで時間平均された速度ベクトルを、各セルの付着粒子の代表速度ベクトルとする。
本発明者らは、実験を繰り返して、側壁3aから落下する流れと側壁3aに沿って上昇する流れが合流する渦が生じていることを確認した。また、実験と数値演算とを照らし合わせた結果、数値演算において、実験で渦が生じている部位に相当する箇所のセルでは、セルの面積に対して粒子が占有する面積の割合(粒子占有率)が、全てのセルの粒子占有率の平均より極めて大きくなっていて、粉体が堆積しているといえる部位であり、粉状原料2の物性値を様々な値に設定して行った複数回の数値演算の試行の工程SBで得られた速度(付着粒子の速度)が、その部位においては、粉状原料2の最小速度Vminの1.5倍以内となることを見出した。
そこで、本発明では、複数のセル(収容器3の部位)のうちから、付着粒子の速度が、粉状原料速度の最小速度Vminの1.5倍以下となる収容器3の各セル(部位)を抽出し、その範囲を低速度領域18と定義した(工程SC)。低速度領域18内でも、特に、粒径が大きめの付着粒子は重力の影響を受けやすく重力方向側に偏析するため、低速度領域18のセルのうち、収容器3の底面3bにおいて最も下方に配置されるセルに対応する部位を中心として攪拌するように、後述する攪拌機5の位置を設定することが好ましい。
軌跡11(図2参照)に示すように、粉状原料2は、回転している側壁3aに沿って、収容器3を上側へ上昇し、次いで、その上側の側壁3aから落下する。粉状原料2の上昇に伴う流れ(上昇流れ)と、粉状原料2の落下に伴う流れ(落下流れ)と、の合流する位置で渦が生じ、対応する収容器3の部位が低速度の滞留領域になる。この低速度の滞留域が低速度領域18と想定される。粉状原料2中の擬似粒子は、付着粒子よりも粒径が小さいため、他の粒子と接触することにより働く反発力Fcが小さくとも、粉体流れに追従できるが、粒径が比較的大きい付着粒子は、粒径が比較的小さい細粒の粉体流れに追従せず、偏析して粉体表面に浮き上がり、低速度領域18に滞留する。浮き上がった粒子のうち、付着粒子は比較的粒径が大きく、擬似粒子より重力の影響を受けやすいため、渦中心より下方に偏析する傾向がある。
各セルにおける粉状原料速度の速度は、各セルの粒子の代表速度ベクトルから求まるスカラー量で求めることができる。最小速度Vminは、粉状原料2の運動が定常状態となった場合における、粉状原料速度を基準にしている。工程S2では時間が経過するにつれて、各セルにおいて、セルの面積に対して粉状原料2が占有している面積の割合である占有面積率が一定となっていき、全てのセルにおいて、占有面積率の経時変化が一定となったら、粉状原料2の運動が定常状態となったものと想定する。例えば、具体的には、収容器3が数回転(例えば、5回転など)している間に、各セルにおける占有面積率の経時変化を測定し、全てのセルにおいて、その時間中の占有面積率の最大値と最小値との幅が、その最大値の0.05倍以下に収まれば、粉状原料2の運動は定常状態となったものと想定すればよい。
最後に、特定された低速度領域18の少なくとも一部が攪拌の中心となるように、粉状原料2への攪拌機5の挿入位置を特定する(工程SD)。なお、低速度領域18のセルのうち、収容器3の底面3bにおいて最も下方に配置されるセルに対応する部位を中心として攪拌するように、攪拌機5の位置を設定することが好ましい。重力方向に粒子が滑り落ちるため、付着粒子の滞留時間が長くなるからである。
<攪拌工程>
収容器3中で、特定された挿入位置に攪拌羽根が向かうように、攪拌機5を設定する。これにより、低速度領域に滞留する傾向にある付着粒子を効果的に解砕することができる。解砕効果の最適化のために、攪拌機5の羽根の直径D(図1参照)は、セル長さl以上であり、工程SCで得られた低速度領域18のx方向またはy方向に沿う長さのうち、最大の値以下であることが好ましい。攪拌羽根は、高速で回転する外縁が低速セルに滞留する付着粒子を砕く必要がある。直径Dが、セル長さlより小さいと、低速度領域18が1つのセルからなる場合であっても、該セル内で攪拌羽根の到達しない領域が存在してしまう可能性がある。また、直径Dが大きいほど、付着粒子を解砕する点で良好であるが、羽根が大きくなると、攪拌機5を回転させるために多くの動力(電力)が必要となってしまう。そこで、羽根の直径Dの最大値を、羽根の回転中心の位置にもよるが、低速度領域18の全粒子に羽根を接触可能とするために、低速度領域18の最大長さ以下にすることが好ましい。
上記実施形態では、収容器3をディスクペレタイザとした例を説明したが、本発明はこれに限られず、収容器3としてドラムミキサを用いることができる。ドラムミキサを用いる場合には、傾斜したドラムミキサの一方の端に、粉状原料2を投入し、回転駆動するドラムミキサ内で、粉状原料2を転動させて焼結原料6に造粒して、もう一方の端から焼結原料6が取り出される。
回転ドラムにおける鉛直断面を平面と捉え、鉛直断面を格子状のセルに分割して、上述のように、各セルにおける速度ベクトルの二次元分布を得ればよい。図5(B)〜(D)では、ディスクペレタイザの底面3bを格子状のセルに分割してあるが、収容器3としてドラムミキサを用いる場合には、その鉛直断面において、ディスクペレタイザの場合と同様に、粉状原料2は、上昇及び落下するので、鉛直断面における粉状原料2の速度を数値解析すれば、上記の実施形態と同様に、低速度の滞留域となるドラムミキサの部位を特定することが可能である。なお、ドラムミキサにおいては、想定する解析領域の円柱軸方向の端部を周期境界として、円柱状解析領域の底面・天井面に粒子が接触できるような壁要素を与えず、天井面・壁面を越した粒子が同じ速度で反対側の天井面・壁面の同じxy座標から現れるように扱い、側壁3aのみ実体壁を持つものとして計算を行う。セルの形成方法や低速度領域18の特定方法はディスクペレタイザでの解析と同様である。
長手方向における全体長さをLとしたドラムミキサで粉状原料2を造粒する場合、粉状原料2の進行方向の下流側後半(0.5L〜1.0L)で、粉状原料2を攪拌することが好ましい。下流へ向かうにつれて粒子が成長するため、粗大粒子(付着粒子)が後半側により多く存在することになるからである。
本発明では、粉状原料の造粒において、収容器3に攪拌機5を用いて、造粒の際に、離散要素法を用いて、付着粒子を効果的に解砕することが可能な、攪拌機5の挿入位置を決定することで、実験的な試行錯誤を大幅に軽減し、造粒効果を最大化することができる。また、攪拌機5も小型化できるので、従来よりも省動力で攪拌機5を駆動させることができる。
収容器3としてディスクペレタイザを採用して、該収容器3で粉状原料2の造粒試験を行った。ディスクペレタイザの仕様及び運転条件を表1に示す。
Figure 0006146340
原料の配合を表2に示す。20質量%外数で微粉鉱石(粒径0.50mm以下)と、5質量%外数で粉コークスと、を表2に示す原料に加えて、粉状原料2を配合した。
Figure 0006146340
上述したように、前述の工程S1で挙げた物性を測定して離散要素法による解析を行い、粉状原料2が投入されてから、その粉状原料2が焼結原料6として収容器から排出される時間の平均である平均造粒時間と同じ120秒間の粉状原料2の各粒子の運動データを得た。次いで、ディスクペレタイザの底面3bを複数の格子セルに分割し、時間平均を行い、底面上で、速度ベクトルの二次元分布を得た。粒径dpが10mm以上の付着粒子の解砕を目的として、攪拌機5の挿入位置を決定した。
粉状原料2の最大粒径dpmaxを30mmとし、攪拌機5の羽根の直径Dを300mm(0.3m)とし、セル長さlを100mmとした。このセル長さlは、最大粒径dpmaxの30mmの2倍以上であり、直径Dは、セル長さl以上であり、後述する特定した低速度領域18のx方向またはy方向の長さの最大値以下である。
底面3bにおいて、ディスクペレタイザの回転中心から左方向に1650mm、下方向に2550mmの位置のセルを中心として、25(=5×5)個のセルで決まる範囲を低速度領域と特定した。低速度領域の位置の最も下に配置されるセルに対応する部位を中心として攪拌するように、攪拌機5が粉状原料2に挿入されている(本発明例1)。
攪拌機5を粉状原料2に挿入しない点を除いて、本発明例1と同様に粉状原料2を造粒した(比較例11)。また、低速度領域の中心のセルから420mm離れた位置に攪拌機5を挿入して攪拌し(比較例12)、さらに940mm離れた位置に攪拌機5を挿入して攪拌した(比較例13)以外は、本発明例1と同様に粉状原料2を造粒した。本発明例1及び比較例11〜13の各々で得られた焼結原料6の粒度分布、落下強度測定後の焼結原料6の粒度分布、及び、焼結鉱の生産性を測定した。焼結原料6の落下強度は、JIS M8711により規定されており、次の式(18)で求まる。
落下強度=(試料を2m落下させることを4回実施した後の試料のうち、篩上10mmの試料質量)/(試験前の試料質量)×100 (18)
上記落下強度を算出する条件については、JIS M 8711に詳細に規定されていて、落下強度測定後の焼結原料6の粒度分布とは、4回落下後の粒度分布を測定することになる。
また、焼結鉱の生産性とは、一定質量の造粒物を焼成して焼結ケーキを造ったのち、破砕して焼結鉱として高炉に装入可能な状態にし、落下試験を行った後、粉化しなかった焼結鉱の質量を焼成完了までの時間で除して得られる指数によって評価される。
[本発明例1と比較例11〜13との比較評価]
本発明例1と比較例11〜13の各々とで造粒して得られた焼結原料の粒度分布を図6に示し、落下強度測定後の焼結原料の粒度分布を図7に示し、各々の焼結原料から得られた焼結原料を焼結して得られる焼結鉱の生産性を図8に示す。なお、図8では、攪拌機5が挿されない比較例11における焼結鉱の生産性を1として規格化した結果を示してある。
図6によれば、本発明例1及び比較例11〜13では、粒度分布が2.80〜8.00mmの範囲でピークを有し、造粒によって、焼結原料6の粒度分布は適正範囲にある。図7によれば、本発明例1では、落下強度測定後の粒度分布が粒径が2.80mmより小さい粒子の増加分が少なく、落下強度測定によって砕けることのない適切な強度の擬似粒子が多く含まれていると推測される。一方で、比較例11〜13では、本発明例1の場合と比べて、落下強度測定後の粒度分布では、落下強度測定前の粒度分布よりも、粒径が2.8mmより小さい粒子の割合が増え、強度が低い付着粒子が、本発明例1の場合に比べて、より多く砕けたことが推測される。よって、付着粒子の割合が多く疑似粒子の割合が少ないことがわかる。また、図8によれば、本発明例1で造粒された焼結原料6は、比較例11〜13に比べて、焼結鉱の生産性が向上していることがわかる。
このように、ディスクペレタイザにおける粉状原料を造粒する工程(焼結原料の製造工程)において、攪拌機5の粉状原料2への挿入位置を適切に特定することで、微粉鉱石を多く配合した粉状原料2を用いた場合であっても、造粒の際に、付着粒子を選択的に解砕することができ、適切な強度および粒度分布を有する焼結原料6を製造し、焼結鉱の生産性を維持できることがわかった。
収容器3としてドラムミキサを採用して、該収容器3で粉状原料2の造粒試験を行った。ドラムミキサの仕様及び運転条件を表3に示す。
Figure 0006146340
原料の配合を表4に示す。20質量%外数で微粉鉱石(粒径0.50mm以下)と、5質量%外数で粉コークスと、を表4に示す原料に加えて、粉状原料2を配合した。
Figure 0006146340
ドラムの軸方向において全長L=4mであるドラムミキサにおいて、粉状原料2の進行方向の上流端から、2.4〜3.6m下流側の範囲で、攪拌機5を設置した。dpが8mm以上の粒子を解砕の対象として、攪拌機5の挿入位置を決定した。
前述の工程S1で挙げた物性を測定して離散要素法による解析を行い、実施例1と同様に、平均造粒時間である180秒間の粒子運動データを得た。次いで、ドラムの鉛直断面を、複数の格子セルに分割し、鉛直断面上の各セルにおける、時間平均された速度ベクトルの二次元分布速度分布を得た。この二次元分布速度分布に基づいて、粒径dpが8mm以上の付着粒子の解砕を目的として、攪拌機5の挿入位置を決定した。
粉状原料2の最大粒径dpmaxを20mmとし、攪拌機5の羽根の直径Dを150mmとし、セル長さlを50mmとした。このセル長さlは、最大粒径dpmaxの20mmの2倍以上であり、直径Dは、セル長さl以上であり、後述する特定した低速度領域18のx方向またはy方向の長さの最大値以下である。
ドラムの鉛直断面において、ドラムの回転中心から左方向に1275mm、下方向に1675mmの位置のセルを中心として、25(=5×5)個のセルで決まる範囲を低速度領域と特定した。低速度領域の位置の最も下に配置されるセルに対応する部位を中心として攪拌するように、攪拌機5を収容器3に挿入した(本発明例2)。
攪拌機5を収容器3に挿入しない点を除いて、本発明例2と同様に粉状原料2を造粒した(比較例21)。また、低速度領域の中心のセルから240mm離れた位置に攪拌機5を挿入して攪拌し(比較例22)、420mm離れた位置に攪拌機5を挿入して攪拌した(比較例23)以外は、本発明例2と同様に粉状原料2を造粒した。
[本発明例2と比較例21〜23との比較評価]
本発明例2と比較例21〜23の各々とで造粒して得られた焼結原料の粒度分布を図9に示し、焼結原料の落下強度測定後の焼結原料の粒度分布を図10に示し、各々の焼結原料から得られた焼結原料を焼結して得られる焼結鉱の生産性を図11に示す。なお、図11では、攪拌機5が挿入されない比較例21における焼結鉱の生産性を1として規格化した結果を示してある。
図9によれば、本発明例2及び比較例21〜23では、粒度分布が2.80〜4.75mmの範囲でピークを有し、造粒によって、焼結原料6の粒度分布は適正範囲にある。図10によれば、本発明例2では、落下強度測定後の粒度分布が2.80mmより小さい粒子の増加が少ないので、粒径が2.80以上の焼結原料6には、適切な強度の疑似粒子が多く含まれていると推測される一方で、比較例21〜23では、本発明例2の場合と比べて、2.80mmより小さい細粒粒子の増加が多く、焼結原料6には、強度が低い付着粒子が、本発明例2の場合と比べて、より多く砕けたことが推測され、付着粒子の割合が多く、疑似粒子の割合が少ないと推測される。また、図11によれば、本発明例2で造粒された焼結原料6は、比較例21〜23に比べて、焼結鉱の生産性が向上していることがわかる。
本発明例1と同様にして、収容器3で粉状原料2の造粒試験を行った(本発明例31)。本発明例31と比較するために、攪拌機5の羽根の直径Dを200mmとした以外は、本発明例31と同様に、収容器3で粉状原料2の造粒試験を行った(本発明例32)。攪拌機5の羽根の直径Dを100mmとした以外は、本発明例31と同様に、収容器3で粉状原料2の造粒試験を行った(本発明例33)。本発明例31〜33では全て、直径Dは、セル長さl(100mm)以上であり低速度領域18の長さの最大値(500mm)以下である。
[本発明例31〜33の比較評価]
本発明例31〜33の各々で造粒して得られた焼結原料の粒度分布を図12に示し、焼結原料の落下強度を図13に示し、粉状原料の造粒装置で要した電力原単位を図14に示す。
図12及び13に示すように、本発明例31〜33での、焼結原料の粒度分布及び落下強度測定後の焼結原料の粒度分布は概ね同じである。そして、図14に示すように、本発明例31での電力原単位は7.74kW・時であり、本発明例32での電力原単位は6.20kW・時であり、本発明例33での電力原単位は3.50kW・時であり、攪拌機5の攪拌羽根の直径Dが小さいほど、電力原単位が抑えられていることがわかる。
本発明例31〜33を比較すればわかるように、本発明によって、攪拌機5を挿入する位置を、解砕に最適な場所に特定することで、焼結原料の粒度分布及び焼結原料の強度を悪化させることなく、攪拌機5の羽根を小型化して、電力原単位力を抑えることが可能である。微粉鉱石の割合が多い粉状原料を配合した場合であっても、造粒中に、形成されてしまう付着粒子を解砕することによって、適切な粒度分布及び強度を有する焼結原料を得ることができる。
粉状原料中の微粉鉱石の配合率を増加させた場合には、微粉鉱石同士が付着して付着粒子が成長してしまい、特に、攪拌機の挿入位置が適切でない場合には、焼結原料を焼結して得られる焼結鉱の生産性が低下してしまう。しかしながら、適切な位置に攪拌機を挿入することで、粉状原料に微粉鉱石が多く配合されていても、成長した付着粒子を確実に解砕することによって、適切な粒度分布を有する焼結原料を得て、焼結鉱の生産性を維持できることがわかった。
また、攪拌機の攪拌羽根を小型化しても、適切な粒度分布及び強度を有する焼結原料を得ることができるので、攪拌機を小型化して造粒装置の運転費を抑えることが可能となる。更には、収容器に攪拌機を複数必要としないので、造粒装置の運転費を更に抑えることが可能となる。
1 粉状原料の造粒装置(焼結原料の製造装置)
2 粉状原料
3 収容器
3a 収容器の側壁
3b 収容器の底面
4 土台
5 攪拌機
6 焼結原料
11 粉状原料の軌跡
18 低速度領域

Claims (2)

  1. 粉状原料を造粒して焼結原料を製造する焼結原料の製造方法であって、
    予め、造粒する際に駆動する収容器の底面の複数部位における、前記粉状原料の前記底面に沿った方向の粉状原料速度を解析し、
    解析結果に基づいて、粒径が8.0mm以上である粉状原料の速度が、前記粉状原料速度の最小速度Vminの1.5倍以下になる低速度領域を、前記部位のうちから特定しておき、
    実際に造粒する際に、前記収容器に前記粉状原料を投入するとともに、前記低速度領域の少なくとも一部を中心にして攪拌することを特徴とする焼結原料の製造方法。
  2. 請求項1に記載の焼結原料の製造方法で用いられる焼結原料の製造装置であって、
    収容器と攪拌機とを有し、
    前記低速度領域の少なくとも一部を中心にして攪拌可能なように、前記攪拌機が、前記収容器に収容されている粉状原料に挿入されることを特徴とする焼結原料の製造装置。
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