JP5326209B2 - 組電池 - Google Patents

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Description

本発明は、組電池に関するものである。
電気的に接続された複数の単電池を備える電池モジュールを複数配列して電池モジュール群を構成し、さらに、電池モジュール同士を電気的に直列および/または並列に接続することによって、高出力および高容量の組電池とすることが一般的に行われている。電池モジュール同士は、導電性のバスバを出力端子に固定することによって、電気的に接続される。
このような組電池においては、バスバの出力端子への固定作業性を向上させるために、複数のバスバを保持した絶縁性のバスバ保持プレートが備えられている。バスバ保持プレートは絶縁性樹脂材料などから形成されている。組電池を組み立てるときには、電池モジュール群を収納するケースにバスバ保持プレートを取り付けることによって各バスバを各電池モジュールに対して位置決めし、その後に、バスバと出力端子とをボルトなどを用いて締結している(特許文献1を参照)。
すべてのバスバを出力端子に締結した後に、バスバ保持プレートの両面のうち電池モジュール群とは反対側のバスバ保持面に、そのバスバ保持面全体を覆う絶縁性カバーが取り付けられる。バスバが組電池の外部の部材などに接触し、電池モジュール同士の短絡が発生することを防止するためである。
ところが、バスバの締結作業時には、出力端子への締結が完了したバスバが露出したままの状態となる。このため、締結工具が複数のバスバに接触し、電池モジュール同士の短絡が発生する虞がある。したがって、作業者は、締結工具の取り扱いや、作業姿勢などに十分注意しながら、バスバの締結作業を行わなければならず、作業性が悪いという問題が有る。
この問題を解決するために、バスバ保持プレートにバスバをインサートモールドして、バスバを絶縁性樹脂で被覆する技術が提案されている(特許文献2を参照)。
また、特許文献1には、バスバ保持プレートにバスバを嵌着する嵌着凹部を形成し、バスバを嵌着凹部に収納する技術が提案されている。
特開2000−223095号 特開平10−270006号
特許文献2に記載された技術では、軽量化およびコスト低減のために、バスバ保持プレートの板厚をバスバと略同等若しくはそれ以下とした場合には、インサートモールドによってバスバを絶縁性樹脂で被覆することは困難である。このため、バスバの取り付け作業時における電池モジュール同士の短絡の発生を十分に防止することができない。
特許文献1に記載された技術では、バスバ保持プレートの板厚を薄くして嵌着凹部を形成しようとする場合、バスバ保持プレートの板厚をバスバと略同等若しくはそれ以下とすることができない。また、バスバ保持プレートの板厚を一定として嵌着凹部を形成しようとする場合、バスバ保持プレートが薄い場合には射出成型は困難であり、薄板状のプレートを熱プレス等で変形してバスバ保持プレートにバスバ嵌着凹部を形成しなければならず、深い嵌着凹部は形成できない。このため、嵌着凹部を形成するだけでは、バスバの取り付け作業時における電池モジュール同士の短絡の発生を十分に防止することができない。
そこで、本発明の目的は、バスバの固定作業時における電池モジュール同士の短絡の発生を防止し、バスバの固定作業性の向上、ひいては組電池の組み立て作業性の向上を図り得る組電池を提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、出力端子を備える電池モジュールを複数配列してなる電池モジュール群と、
前記出力端子に固定され前記電池モジュール同士を電気的に接続するための複数の導電性のバスバと、
複数の前記バスバを一体的に保持する絶縁性材から形成された板状のバスバ保持プレートと、
前記バスバ保持プレートの両面のうち前記電池モジュール群とは反対側のバスバ保持面に露出した前記バスバ同士の間に位置して前記バスバの前記電池モジュール群とは反対側の表面よりも突出して設けられた絶縁性の障壁凸部と、を有し、
前記電池モジュール群は、冷却風が流れる冷却風流路を隔てて、前記電池モジュールが複数配列され、
前記バスバ保持プレートは、前記冷却風流路の位置に対応して形成された貫通孔を備え、
前記障壁凸部は、前記貫通孔に連通し冷却風を前記冷却風流路に導入するダクト形状を有してなる組電池である。
本発明の組電池によれば、バスバ同士の短絡に対して障壁となる絶縁性の障壁凸部を有しているので、バスバ同士を短絡する虞のある部材(例えば、締結工具など)がバスバ同士に同時に接触できず、バスバの固定作業時における電池モジュール同士の短絡の発生を防止し、バスバの固定作業性の向上、ひいては組電池の組み立て作業性の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1(A)は、本発明の実施形態に係る組電池10の一例を前面側から見て示す斜視図、図1(B)は、同組電池10を背面側から見て示す斜視図、図2は、図1(A)の2−2線に沿う断面図である。図3は、バスバ保持プレート20が組みつけられた電池モジュール群50aを、バスバ保持プレート20に配置したカバー部材30によってバスバ40を被覆状態に変更した状態で示す斜視図、図4は、組電池10を組み立てる際の単位ユニットである電池モジュール50の一例を示す斜視図、図5は、図4に示される電池モジュール50を上下反転し、さらに分解して示す斜視図、図6は、薄型電池100の一例を示す斜視図である。図7は、バスバ保持プレート20およびカバー部材30を示す斜視図、図8は、バスバ保持プレート20に保持したバスバ40を電池モジュール50の出力端子140、150に締結する前の状態を示す斜視図、図9は、図8の要部を示す断面図、図10は、障壁凸部170の作用の説明に供する斜視図である。なお、図2において左側に位置する面を各部材における前面、右側に位置する面を各部材における背面とする。
図1〜図3および図8を参照して、本実施形態の組電池10は、概説すれば、出力端子140、150を備える電池モジュール50を複数配列してなる電池モジュール群50aと、出力端子140、150に固定され電池モジュール50同士を電気的に接続するための複数の導電性のバスバ40と、バスバ40を保持する絶縁性材から形成された板状のバスバ保持プレート20と、バスバ保持プレート20の両面のうち電池モジュール群50aとは反対側のバスバ保持面20aにバスバ40同士の間に位置してバスバ40の電池モジュール群とは反対側の表面よりも突出して設けられた絶縁性の障壁凸部170と、を有している。この絶縁性の障壁凸部170が、バスバ40同士の短絡に対して障壁となる。出力端子140、150にバスバ40を固定するための形態は種々選択できるが、本実施形態では、ボルトによる締結によって、出力端子140、150にバスバ40を固定している。電池モジュール群50aは、冷却風が流れる冷却風流路51を隔てて、電池モジュール50が複数配列されている。バスバ保持プレート20は、冷却風流路51の位置に対応して形成された貫通孔21を備えている。貫通孔21は、冷却風流路51の開口形状に合致する長孔形状を有している。以下、詳述する。
組電池10は、自動車や電車などの車両に搭載される車載電池であり、組電池用ケース11内に、複数個の電池モジュール50が空間を隔てて積層されている。組電池用ケース11は、アッパープレート12と、ロアプレート13とを有し、アッパープレート12の前面に冷却風を導入するための入口ダクト14が接続され、アッパープレート12の背面に冷却風を導出するための出口ダクト15が接続されている。入口ダクト14は、図示しない送風装置に接続されている。送風装置から供給された冷却風は、入口ダクト14を通って組電池用ケース11内に導かれる。
電池モジュール50を任意の個数直並列に接続することによって、所望の電流、電圧、容量に対応できる組電池10となる。図示する電池モジュール群50aは、10個の電池モジュール50が配列されている。10個の電池モジュール50は、上下方向に2段、左右方向に5列に配列されている。電池モジュール50の正負の出力端子140、150は、すべて同じ面(前面)に設けられている。左端列上側の電池モジュール50の例えば正極側の出力端子140が、組電池10の正極側の出力端子とされ、左端列下側の電池モジュール50の例えば負極側の出力端子150が、組電池10の負極側の出力端子とされる。図2および図3中の符号16は、バッテリーコントローラを示している。
電池モジュール50は空冷式であり、電池モジュール50同士の間の空間は、電池モジュール50のそれぞれを冷却するための冷却風が流下する冷却風流路51として利用される(図2を参照)。冷却風は、冷却風流路51内を、電池モジュール50の正負の出力端子140、150が設けられた前面側から背面側へと流れる。冷却風を流して各電池モジュール50を冷却することにより、電池温度を下げ、充電効率などの特性が低下することを抑制する。電池モジュール50同士の間の空間のクリアランスつまり冷却風流路51の高さは、積層時に電池モジュール50同士の間に配置されるカラー(図示せず)によって規定されている。電池モジュール50間のクリアランスは、車両に搭載する際のレイアウトや、冷却風流路51として機能させるために必要な寸法などを考慮して定められるが、数mm程度である。
上位の電池モジュール50と拘束板75との間の空間および下位の電池モジュール50とロアプレート13との間の空間も、冷却風流路51a、51bとして使用されている。これらの冷却風流路51a、51bの位置に対応する貫通孔21は存在しないが、上部冷却風流路51aには、バスバ保持プレート20とアッパープレート12との間の隙間を臨ませ、下部冷却風流路51bには、バスバ保持プレート20とロアプレート13との間の隙間を臨ませてある。
図4および図5を参照して、電池モジュール50は、複数枚(図示例では8枚)の薄型電池100を含むセルユニット60がモジュールケース70内に収納されている。電池モジュール50は、電気的に接続された複数の単電池を備える点において組電池の一種であるが、本明細書においては、「組電池」を組み立てる際の単位ユニットであって、複数の単電池をケース内に収納してなるユニットを「電池モジュール」と称することとする。
前記モジュールケース70は、開口部71aが形成された箱形状をなすロアケース71と、開口部71aを閉じる蓋体をなすアッパーケース72と、を含んでいる。アッパーケース72の縁部72aは、カシメ加工によって、ロアケース71の周壁71bの縁部71cに巻き締められている(図4の部分拡大図参照)。ロアケース71およびアッパーケース72は、比較的薄肉の鋼板またはアルミ板から形成され、プレス加工によって所定形状が付与されている。
前記セルユニット60は、8枚の薄型電池100を厚み方向に積層するとともに電気的に直列に接続してなる電池群80と、薄型電池100のタブ(電極)を挟持するための板状のスペーサ110と、正負の出力端子140、150と、を含んでいる。セルユニット60の前面および背面には、絶縁カバー91、92が着脱自在に取り付けられている。
絶縁カバー91、92は、電池群80の前面側および背面側を覆うために用いられる。絶縁カバー91、92の中央位置には、図示しない電圧検出線コネクタを差し込む差込口91aが形成されている。電圧の検出は、電池モジュール50の充放電管理のために行われる。
正負の出力端子140、150は、ロアケース71の周壁71bの一部に形成した切り欠き部71d、71eを通してモジュールケース70から外部に導出される。絶縁カバー91、92の差込口91aも、周壁71bの一部に形成した切り欠き部71fを通してモジュールケース70の外部に露出される。出力端子140、150の前面には、後述するボルト43(図7参照)がねじ込まれるねじ孔141、151が形成されている。
モジュールケース70の隅部の4箇所に通しボルト74(図3参照)を挿通するために、ロアケース71およびアッパーケース72の隅部の4箇所にボルト孔73が形成され、各スペーサ110の2箇所にボルト孔111が形成されている。図5の符号93は、スペーサ110のボルト孔111に挿入されるスリーブを示し、符号94は、セルユニット60とアッパーケース72との間に設けられる緩衝材を示している。
図6を参照して、薄型電池100は、例えば、扁平なリチウムイオン二次電池であり、正極板、負極板およびセパレータを順に積層した積層型の発電要素(図示せず)がラミネートフィルムなどの外装材100aによって封止されている。電池100は、発電要素に一端が電気的に接続されるとともに板状をなす正極タブ100pおよび負極タブ100nが外装材100aから外部に導出されている。タブ100p、100nは、薄型電池100の長手方向の両側に延びている。積層型の発電要素を備える薄型電池100にあっては、電極板間の距離を均一に保って電池性能の維持を図るために、発電要素に圧力を掛けて押さえる必要がある。このため、各薄型電池100は、発電要素が押さえつけられるようにモジュールケース70に収納されている。
図7〜図9を参照して、バスバ保持プレート20は、外形略板状のプレート部材であり、複数個のバスバ40のそれぞれを保持する装着部位22が形成されている。装着部位22には、表面から裏面まで貫通する開口部23が形成されている。この開口部23に、隣り合う電池モジュール50の出力端子140、150が臨んでいる。また、バスバ保持プレート20には、組電池10の正負の出力端子を臨ませる開口部23aも形成されている。さらに、バスバ保持プレート20の前面には、バスバ40の外周縁の一部に係合してバスバ40を保持する保持爪24が突出して設けられている。バスバ保持プレート20には、図示しない電圧検出線コネクタが挿通される窓部27が形成されている。窓部27を通して、電圧検出線コネクタが電池モジュール50の差込口91aに差し込まれる。バスバ保持プレート20の下端部は、ロアプレート13の上端面に形成した受け部13aに嵌まり込む(図2を参照)。これにより、バスバ保持プレート20の取り付け位置を定めて、保持されている複数個のバスバ40の位置が一括して定められる。バスバ保持プレート20は、絶縁性材、例えば、絶縁性樹脂材から形成されている。絶縁性樹脂材は、特に限定されないが、例えば、PP(ポリプロピレン)を挙げることができる。
バスバ40は、出力端子140、150に締結(固定)される一対の締結部44と、保持爪24に係合する係合凹部45と、を含んでいる。図示するバスバ40は、扁平な矩形形状を有している。締結部44は、長手方向の両端位置に設けられ、ボルト孔41が形成されている。係合凹部45は、バスバ40の長手方向の中央位置に設けられている。係合凹部45を保持爪24に嵌め込むことによって、バスバ40が装着部位22に保持される。開口部23および保持爪24は、電気的に接続する出力端子140、150同士に合致した向きおよび位置に形成されている。したがって、係合凹部45を保持爪24に嵌め込むことによって、各バスバ40を、接続する出力端子140、150に合致した位置に簡単に配置することができる。図示例では、横向きに8個のバスバ40が配置され、縦向きに1個のバスバ40が配置される。このように接続方向が異なっていても、保持爪24によってバスバ40を保持する方向が規制されているため、誤接続を根本的になくすことができる。
バスバ40は、ボルト孔41に挿通したボルト43を、出力端子140、150のねじ孔141、151に締結することによって、当該出力端子140、150に対して固定される。保持爪24は、バスバ保持機能だけでなく、ボルト43を締結する作業中の回り止め機能をも兼ね備えている。バスバ40を出力端子140、150に対して固定する結果、バスバ保持プレート20が電池モジュール群50aに対して固定される。
バスバ保持プレート20の両面のうち電池モジュール群50aとは反対側のバスバ保持面20aつまり前面に、バスバ40が外部に露出している。バスバ40の締結作業時に、露出したバスバ40同士に導電性の異物が接触すると、電池モジュール50同士の短絡が発生する。
そこで、図8〜図10に示すように、本実施形態の組電池10にあっては、バスバ保持プレート20の、バスバ40を保持している面であるバスバ保持面20aに、バスバ40同士の短絡に対して障壁となる絶縁性の障壁凸部170を、バスバ40同士の間に位置してバスバ40の表面よりも突出して設けてある。本実施形態ではバスバ40をボルト43によって締結しているので、障壁凸部170は、ボルト43の頭部を超えて表面側(図9において左側)に突出している。障壁凸部170がバスバ40同士の短絡に対する障壁として存在することにより、バスバ40同士を短絡する虞のある部材(例えば、締結工具161など)がバスバ40同士に同時に接触できず、バスバ40の締結作業時における電池モジュール50同士の短絡の発生を未然に防止することができる。
バスバ保持プレート20には、冷却風流路51の位置に対応して貫通孔21を形成してある。この点より、障壁凸部170は、貫通孔21に連通し冷却風を冷却風流路51に導入するダクト形状を有していることが好ましい。ダクト形状をなす障壁凸部170によって、外部から導入した冷却風を冷却風流路51に確実に流すことができ、電池モジュール50を冷却する効率が向上するからである。また、障壁凸部170に導風板の機能を持たせることにより、限られた設置スペースの範囲内において、障壁凸部170の大きさを、導風板を別個設けた場合に比較して大きく設定できる。このため、障壁凸部170は、バスバ40同士の短絡に対する障壁としての機能が高まり、かつ、冷却風を案内する機能も高くなる。
障壁凸部170がバスバ保持面20aから突出する高さ寸法は、バスバ保持面20aからバスバ40の表面までの高さ寸法、ボルト43の頭部の高さ寸法、締結工具161などが複数のバスバ40に同時に直線的に接触することを阻止するのに必要な高さ寸法、および導風板の機能を持たせるために必要な高さ寸法などに基づき、組電池のコンパクト化を阻害しない範囲内において、好適な寸法に設定されている。軽量化およびコスト低減のためには、バスバ保持プレート20の板厚を薄く形成する必要があるが、バスバ保持プレート20の板厚は、障壁凸部170の高さ寸法の影響を受けることなく定めることができる。このため、バスバ保持プレート20の軽量化およびコスト低減を図りつつ、高さが十分に高い障壁凸部170によって電池モジュール50同士の短絡の発生を十分に防止することができる。また、障壁凸部170はバスバ保持プレート20の表面に対して直交する方向に伸びているので、樹脂成型するための金型の分割方向と同じであり、金型構成や樹脂成型手順が複雑化することはない。
組電池10を組み立てた後においても、電池モジュール50同士の短絡の発生を防止する必要がある。そこで、図8に示したように、この組電池10は、バスバ保持面20aにバスバ40ごとに配置され、対応するバスバ40を被覆状態と露出状態とに変更可能な絶縁性のカバー部材30をさらに有している。
カバー部材30は、バスバ保持プレート20のバスバ保持面20aに対して取り付けられる基部34と、基部34に対して回動可能に接続され一対の締結部44のそれぞれを個別に覆う一対の被覆部35と、を有している。被覆部35は、バスバ40を締結したボルト43の頭部も被覆する。一対の被覆部35は、基部34を中心にして翼のように回動する。カバー部材30は、一対の被覆部35を開くことにより対応するバスバ40を露出状態に変更でき、一対の被覆部35を閉じることにより対応するバスバ40を被覆状態に変更できる。被覆部35に設けられた凸部32bをバスバ保持面20aの凹部25に嵌め込むことによって、被覆部35がバスバ保持面20aに止め付けられる。
次に、本実施形態における組電池10の組み立て手順について説明する。
ロアプレート13上に配列された複数個の電池モジュール50を、ロアプレート13および拘束板75との間で挟持、固定し、電池モジュール群50aとする。電池モジュール50を積層するときには、電池モジュール50同士の間にカラーを配置し、冷却風流路51の高さを規定する。
バスバ保持プレート20のバスバ保持面20aにバスバ40を保持する。このとき、係合凹部45を保持爪24に嵌め込むことによって、各バスバ40は、接続する出力端子140、150に合致した位置に配置される。
バスバ保持プレート20を電池モジュール群50aの前面に配置する。このとき、バスバ保持プレート20の下端部をロアプレート13の受け部13aに嵌め込み、ロアプレート13に対するバスバ保持プレート20の位置を規制する。バスバ保持プレート20を位置決めすることによって、複数個のバスバ40の位置決めが同時になされる。また、バスバ40のボルト孔41の中心と出力端子140、150のねじ孔141、151の中心とが一致する。
次いで、バスバ40を出力端子140、150に締結する作業を行う。バスバ40のボルト孔41にボルト43を挿通する。このボルト43を、装着部位22の開口部23を経て、出力端子140、150のねじ孔141、151に締結する。バスバ40のボルト孔41の中心と出力端子140、150のねじ孔141、151の中心とが一致しているので、ボルト43の締結作業を容易に行うことができる。バスバ40を出力端子140、150に対して固定する結果、バスバ保持プレート20が電池モジュール群50aに対して固定される。
バスバ40の締結作業時において、障壁凸部170がバスバ40同士の短絡に対する障壁として存在しているので、締結工具161がバスバ40同士に同時に接触できず、バスバ40の締結作業時における電池モジュール50同士の短絡の発生を未然に防止することができる。したがって、作業者は、締結工具の取り扱いや、作業姿勢などに関して過度の注意を払う必要がなく、バスバ40の締結時の作業性が良好となる。このように、バスバ40の締結作業時における電池モジュール50同士の短絡の発生を防止でき、バスバ40の締結作業性の向上、ひいては組電池10の組み立て作業性の向上を図ることができる。
最後のバスバ40の締結作業が終われば、カバー部材30を取り付け、すべてのバスバ40を露出状態から被覆状態に変更する。すべてのバスバ40は被覆状態にあるので、組電池10を組み立てた後において、電池モジュール50同士の短絡の発生や、強電部への接触などが防止される。
組電池の使用中においては、外部から導入した冷却風は、ダクト形状をなす障壁凸部170から取り込まれ、貫通孔21を通って冷却風流路51を流れ、電池モジュール50を冷却する。このように、障壁凸部170によって、外部から導入した冷却風を電池モジュール50間の冷却風流路51に確実に流すことができ、電池モジュール50の冷却効率を高めることができる。また、外部から導入した冷却風を、カバー部材30によって乱されることなく、整流させて冷却風流路51に流すことができる。
本実施形態のカバー部材30はバスバ40ごとに配置されている。したがって、バスバ40の締結作業時の手順として、対応するバスバ40を出力端子140、150に締結するときには、対応するバスバ40を被覆状態から露出状態に変更し、対応するバスバ40以外の他のバスバ40を出力端子140、150に締結するときには、対応するバスバ40を被覆状態に変更する手順を採用することができる。
このような手順を採用する場合には、まず、バスバ保持プレート20のバスバ保持面20aにバスバ40を保持した後、カバー部材30をバスバ40ごとに取り付け、すべてのバスバ40を被覆状態としておく。
バスバ40の締結作業を開始するときには、カバー部材30を1つだけ開き、締結の対象となっているバスバ40のみを被覆状態から露出状態に変更する。他のカバー部材30は閉じたままであり、他の残りのバスバ40を被覆状態にしておく。この状態で、露出状態に変更したバスバ40のボルト孔41にボルト43を挿通し、このボルト43を、出力端子140、150のねじ孔141、151に締結する。
締結作業を行っていたバスバ40以外の他のバスバ40を出力端子140、150に締結するときには、まず、開いていたカバー部材30を再度閉じ、締結作業を行っていたバスバ40を露出状態から被覆状態に変更する。
その後、次のカバー部材30を1つだけ開いて、締結の対象となっているバスバ40のみを被覆状態から露出状態に変更し、上述した締結作業を行う。締結作業が終われば、開いていたカバー部材30を再度閉じ、締結作業を行っていたバスバ40を露出状態から被覆状態に変更する。
締結対象の1つのバスバ40のみを露出状態に変更した状態で出力端子140、150への締結作業を行うことから、出力端子140、150への締結が完了したバスバ40は被覆状態にある。このため、締結工具161が複数のバスバ40に接触することによる電池モジュール50同士の短絡の発生を防止することができる。
作業手順を間違った場合、あるいは、何らかの原因で他のカバー部材30が開いた場合には、締結対象のバスバ40以外のバスバ40も露出状態に変更される。このような事態が生じても、上述したように、障壁凸部170がバスバ40同士の短絡に対する障壁として存在しているので、締結工具161がバスバ40同士に同時に接触することはなく、電池モジュール50同士の短絡は発生しない。
そして、最後のバスバ40の締結作業が終われば、最後のバスバ40を露出状態から被覆状態に変更する。これにより、すべてのバスバ40についての締結作業が完了する。
以上説明したように、本実施形態の組電池10によれば、バスバ保持プレート20のバスバ保持面20aにバスバ40同士の間に位置してバスバ40の表面よりも突出して設けられ、バスバ40同士の短絡に対して障壁となる絶縁性の障壁凸部170を有しているので、バスバ40同士を短絡する虞のある部材(例えば、締結工具161など)がバスバ40同士に同時に接触できず、バスバ40の締結作業時における電池モジュール50同士の短絡の発生を防止し、バスバ40の締結作業性の向上、ひいては組電池10の組み立て作業性の向上を図ることができる。
また、障壁凸部170は、貫通孔21に連通し冷却風を冷却風流路51に導入するダクト形状を有しているので、外部から導入した冷却風を電池モジュール50間の冷却風流路51に確実に流すことができ、電池モジュール50の冷却効率を高めることができる。
また、バスバ保持面20aにバスバ40ごとに配置され、対応するバスバ40を被覆状態と露出状態とに変更可能な絶縁性のカバー部材30をさらに有しているので、締結対象の1つのバスバ40のみを露出状態に変更した状態でバスバ40の締結作業を行うことができ、バスバ40の締結作業時における電池モジュール50同士の短絡の発生をより防止することができる。また、組電池10を組み立てた後においては、カバー部材30によってバスバ40を被覆状態にして、電池モジュール50同士の短絡の発生や、強電部への接触などを防止することができる。
(障壁凸部170の変形例)
図11は、障壁凸部170の変形例を示す断面図である。
障壁凸部170は、ダクト形状を有する場合に限定されるものではなく、バスバ保持面20aにバスバ40同士の間に位置してバスバ40の表面よりも突出して設けられた板形状を有していても良い。バスバ40同士の短絡に対して十分な障壁となり得るからである。バスバ保持プレート20に貫通孔21が形成されていない場合はもちろんのこと、貫通孔21が形成されている場合であっても、障壁凸部170の形状を単なる板形状としても良い。板形状であっても、冷却風を貫通孔21に導く導風板としての機能を十分に発揮できるからである。
本発明は、上述した実施態様に限定されるものではなく、本発明の技術的概念から逸脱することなく、種々様々な変更あるいは修正を実施することができるものである。
例えば、電池モジュール50を2段5列に配列した電池モジュール群50aを図示したが、配列形態はこれに限定されるものではない。また、カバー部材30およびバスバ40が上下に隣り合う場合を図示したが、隣り合う位置関係はこの場合に限定されるものではない。本発明は、カバー部材30およびバスバ40が水平方向に隣り合うように電池モジュール50を積層した組電池10にも適用することができる。
図1(A)は、本発明の実施形態に係る組電池の一例を前面側から見て示す斜視図、図1(B)は、同組電池を背面側から見て示す斜視図である。 図1(A)の2−2線に沿う断面図である。 バスバ保持プレートが組みつけられた電池モジュール群を、バスバ保持プレートに配置したカバー部材によってバスバを被覆状態に変更した状態で示す斜視図である。 組電池を組み立てる際の単位ユニットである電池モジュールの一例を示す斜視図である。 図4に示される電池モジュールを上下反転し、さらに分解して示す斜視図である。 薄型電池の一例を示す斜視図である。 バスバ保持プレートおよびカバー部材を示す斜視図である。 バスバ保持プレートに保持したバスバを電池モジュールの出力端子に締結する前の状態を示す斜視図である。 図8の要部を示す断面図である。 障壁凸部の作用の説明に供する斜視図である。 障壁凸部の変形例を示す断面図である。
符号の説明
10 組電池、
20 バスバ保持プレート、
20a バスバ保持面、
21 貫通孔、
22 装着部位、
23 開口部、
24 保持爪、
30 カバー部材、
34 基部、
35 被覆部、
40 バスバ、
41 ボルト孔、
43 ボルト、
44 締結部、
45 係合凹部、
50 電池モジュール、
50a 電池モジュール群、
51 冷却風流路、
100 薄型電池、
140、150 出力端子、
161 締結工具、
170 障壁凸部。

Claims (2)

  1. 正負の出力端子が同一方向に導出された電池モジュールを、前記正負の出力端子の導出方向が同一となるように複数配列してなる電池モジュール群と、
    前記正負の出力端子に固定され前記電池モジュール同士を電気的に接続するための複数の導電性のバスバと、
    前記正負の出力端子の導出方向にのみ配置され、すべての前記バスバを一体的に保持する、絶縁性材から形成された板状の1つのバスバ保持プレートと、
    前記バスバ保持プレートの両面のうち前記電池モジュール群とは反対側のバスバ保持面に露出した前記バスバ同士の間に位置して前記バスバの前記電池モジュール群とは反対側の表面よりも突出して設けられた絶縁性の障壁凸部と、を有し、
    前記電池モジュール群は、冷却風が流れる冷却風流路を隔てて、前記電池モジュールが複数配列され、
    前記バスバ保持プレートは、前記冷却風流路の位置に対応して形成された貫通孔を備え、
    前記障壁凸部は、前記貫通孔に連通し冷却風を前記冷却風流路に導入するダクト形状を有してなる組電池。
  2. 前記バスバ保持面に前記バスバごとに配置され、対応する前記バスバを被覆状態と露出状態とに変更可能な複数の絶縁性のカバー部材をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載の組電池。
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