以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
コンロ装置1は、薄箱状をした本体部18の上面にコンロ天板12を設けて主体が構成してあり、コンロ天板12の複数個所に対応して複数の発熱体2が配置してある。発熱体2は、電磁誘導(IH)、あるいは電熱式等の電気的熱源、もしくはガス熱源により加熱するものが用いられる。
図1乃至図6には本発明の一実施形態を示している。本実施形態では、コンロ装置1に3つの発熱体2を設け、各発熱体2を電磁誘導コイル14で構成した例を示している。
上記3つの発熱体2はいずれも単独加熱運転ができると共に、上記3つの発熱体2のうち2つの隣接する発熱体2(図1、図2においては中央と右側の発熱体2)は後述の架け渡し加熱運転モードで同期連動制御ができるように構成している。この架け渡し加熱運転モードで同期連動制御される2つの隣接する発熱体2を発熱体対10と定義して以下説明する。
コンロ装置1には、図1に示すように、3個の発熱体2の手前側にそれぞれ各発熱体2を個別に加熱運転制御するための単独加熱入/切スイッチ7aと火力調節スイッチ7bとよりなる個別操作スイッチ7、各発熱体2に対応した鍋検知・火力レベル・その他異常などを表示報知する個別報知手段30を設けている。
また、上記発熱体対10を構成する左右対となった2つの発熱体2間の手前側に架け渡し加熱入切スイッチ6、架け渡し状態表示手段が設けてあり、本実施形態ではこの架け渡し状態表示手段が架け渡し報知手段8を構成している。
また、コンロ装置1には、各発熱体2上における被加熱体3の有無を検知する発熱体上鍋検知手段4、上記発熱体対10を構成する対となった2つの発熱体2の間の位置における被加熱体3の有無を検知する発熱体間鍋検知手段5を設けている。
更に、コンロ装置1には、温度検知手段として、各発熱体2に対応して各発熱体2上に位置する鍋底の温度を検知するための発熱体上温度検知手段9a、発熱体2の間における鍋底の温度を検知するための発熱体間温度検知手段9bを設けている。
コンロ装置1は本体部18の上面部に耐熱強化ガラス等により形成されたコンロ天板12を設けたもので、このコンロ天板12の左右方向の3箇所に鍋などの被加熱体3を載置するための載置位置表示部20を並列して設けている。本体部18にはコンロ天板12の3箇所の載置位置表示部20の直下にそれぞれ上記3個の電磁誘導コイル14を配置し、更に、各発熱体2をそれぞれ駆動するための駆動部21、後述する副電磁誘導コイル5aを駆動するための駆動部25、制御部11を内装している。
各発熱体2の運転加熱状態を報知する個別報知手段30としては、各発熱体2の載置位置表示部20の手前に設けた各々の発熱体2の個別状態表示部において発光体22により点灯表示される。
さらに、本実施形態においては図1に示すように、個別状態表示部の手前に単独加熱入/切スイッチ7aと火力調節スイッチ7bとよりなる個別操作スイッチ7を配置している。
また、架け渡し状態を表示する架け渡し報知手段8は、発熱体対10を構成する対となった2つの載置位置表示部20の間の手前に設けた架け渡し表示部において、発光体23により点灯表示される。
上記コンロ天板12の架け渡し報知手段8の手前に架け渡し加熱入切スイッチ6を配置している。
本発明においては、発熱体対10を構成する隣合う発熱体2間における被加熱体3の存在の有無を検知するための発熱体間鍋検知手段5は渦電流検出を行う副電磁誘導コイル5aで構成してある。
副電磁誘導コイル5aは、発熱体対10を構成する対となった2つの発熱体2間の位置の本体部18内に配置してあり、コンロ天板12面上に凹凸突出のない検知手段とすることができる。また、副電磁誘導コイル5aは、金属材料の被加熱体3の検知に特に優れた検知手段であり、金属材料の被加熱体3の検知が正確にできる。
各発熱体2上における被加熱体3の有無を検知するための発熱体上鍋検知手段4としては、従来から公知の非接触式又は接触式で被加熱体3の存在の有無を検知する種々の技術が採用できるが、図1、図2に示す実施形態では、発熱体2を構成する対となった電磁誘導コイル14で発熱体上鍋検知手段4を構成する例が示してある。
つまり、副電磁誘導コイル5a、電磁誘導コイル14にそれぞれ微弱出力を与えると、副電磁誘導コイル5a、電磁誘導コイル14上に鍋が有る場合はコイル渦電流が発生するので、このコイル渦電流を検知することで、鍋が有ると判断し、コイル渦電流が発生しない場合は鍋が無いと判断する。
また、図1、図2に示す実施形態では、発熱体上温度検知手段9a、発熱体間温度検知手段9b、すなわち補助加熱手段上の温度検知として赤外線放射センサーを用いており、各載置位置表示部20の領域内、及び、発熱体対10を構成する対となった2つの発熱体2間の位置の本体部18内に配置している。
上記の構成の本発明のコンロ装置1は、各発熱体2の火力出力制御をそれぞれ単独で行う単独加熱運転モードと、発熱体対10を構成する対となった2つの発熱体2の架け渡し加熱運転モードを有している。
ここで、本発明は、上記架け渡し加熱運転モードにおいて、発熱体間鍋検知手段5を構成する上記副電磁誘導コイル5aが発熱体対10を構成する発熱体2と同期制御されて、被加熱体3の中央部を加熱する補助加熱手段を構成している。
すなわち、架け渡し加熱入切スイッチ6を操作することで、図3に示すフローチャートに示すようにして発熱体対10を構成する対となった2つの発熱体2、補助加熱手段である副電磁誘導コイル5aを、架け渡し加熱運転モードで火力出力を同期連動制御するようになっている。
また、各個別操作スイッチ7を操作することで、図5に示すフローチャートに示すようにして単独加熱運転モードで各発熱体2を単独で制御して単独加熱運転をするようになっている。
以下、図3に基づいて、架け渡し加熱運転モードにつき説明する。なお、図1、図2は架け渡し加熱運転モード状態における平面図、概略断面図を示し、図4は架け渡し加熱運転モードの各段階における個別報知手段30、架け渡し報知手段8による報知例を示している。
まず、コンロ装置1に設けた電源スイッチ(図示せず)をオンすると、待機状態となる。
架け渡し加熱運転をする場合は、上記待機状態において、架け渡し加熱入切スイッチ6をオンする。
架け渡し加熱入切スイッチ6をオンすると、発熱体間鍋検知手段5を構成する上記副電磁誘導コイル5aに微弱出力して、発熱体対10の中間に鍋があるか否かが検知される。この時、同時に架け渡し報知手段8により架け渡し状態判定中であることが表示される(例えば、図4(a)で示すように、架け渡し報知手段8の一部、隣接する個別報知手段30の一部が点滅して表示される)。
上記のように、発熱体間鍋検知手段5で発熱体2の間に鍋があることが検知されると、隣接する発熱体2を構成する対となった発熱体2の電磁誘導コイル14(つまり各々の発熱体上鍋検知手段4)に微弱出力し鍋の有無を判断する。
このようにして、発熱体間鍋検知手段5と、左右の発熱体上鍋検知手段4の3箇所で鍋の存在を検知すると、架け渡し加熱運転モードが確定すると共に、架け渡し報知手段8により、架け渡し確定であることを報知表示する。例えば、図4(b)に示すように、架け渡し報知手段8の一部の発光体23、発熱体対10の一方の個別報知手段30の一部が常時点灯して「架け渡し確定報知」が表示される。
一方、発熱体間鍋検知手段5で鍋を検知しない場合、あるいは、発熱体対10の左右いずれか、もしくは両方の発熱体上鍋検知手段4が鍋を検知しない場合、架け渡し失敗であるとして、架け渡し報知手段8により「架け渡し失敗警告」が報知される。
例えば、図4(d)のように、架け渡し報知手段8の全発光体23を点滅させ、また、特に異常が検知された側の個別報知手段30の一部の発光体22を点滅させる。
さらに、上記のように「架け渡し失敗警告」を報知し、同時に、発熱体対10の左右の電磁誘導コイル14と副電磁誘導コイル5aへの出力を停止して待機状態に移行する。
このように、本発明は、発熱体対10を構成する対となった左右の発熱体2に鍋が正しく架け渡されていない場合、つまり、鍋が一方の発熱体2のみに載置されている場合、あるいは、発熱体対10の対となった発熱体2に、それぞれ別の鍋が載置され、発熱体2間に鍋が検知されない場合等は、発熱体対10を構成する対となった発熱体2(電磁誘導コイル14)と、副電磁誘導コイル5aに加熱出力がなされず、待機に移行することで安全性を担保している。
上記のように本発明は、発熱体間鍋検知手段5、隣接する左右の発熱体上鍋検知手段4により3箇所で鍋の存在を検知した場合のみ架け渡し加熱運転モードとなる。
また、架け渡し加熱運転モードが確定すると、発熱体対10の左右の個別操作スイッチ7のうち一方(図では右側)の個別操作スイッチ7と個別報知手段30が無効化され、他方(図では左側)の個別操作スイッチ7の火力調節スイッチ7bが、架け渡し加熱運転モードにおける火力調節スイッチを代用するように制御される。
なお、実施形態では他方(図では左側)の個別操作スイッチ7の単独加熱入/切スイッチ7aが無効化される。この時、他方の火力調節スイッチ7bが、架け渡し加熱運転モードにおける火力調節スイッチを代用していることを、図4(b)のように他方(図では左側)の個別報知手段30の一部を点灯することで表示する。
次に、上記代用している他方(図では左側)の火力調節スイッチ7bを操作して、左右の発熱体2を構成する電磁誘導コイル14の火力調節をおこなうことができ、左右の発熱体2構成する電磁誘導コイル14の火力出力を同期連動制御して加熱運転を行う。
この架け渡し加熱運転モードにおける上記火力調節の表示は、図4(c)のC−1に示すように、架け渡し報知手段8の発光体23の複数個でレベル表示される。
上記のようにして、架け渡し加熱運転を行って大型鍋や大型鉄板、横長魚焼鍋などの大型又は横長の被加熱体を加熱して調理を行う。
この架け渡し加熱運転中、左右の発熱体上鍋検知手段4でそれぞれ被加熱体3の有無を検知すると共に、発熱体間鍋検知手段5で隣接する発熱体2間の上方位置における被加熱体3の有無を検知し、また、架け渡し加熱している被加熱体3の各発熱体2上に位置する鍋底の温度と発熱体2間の鍋底の温度をそれぞれ発熱体上温度検知手段9a、発熱体間温度検知手段9bで検知する。
左右の発熱体上鍋検知手段4、発熱体間鍋検知手段5のすべてで鍋の存在が確認されて架け渡し状態が持続していることが検知され、これに加え、3箇所の温度検知手段(発熱体上温度検知手段9a、発熱体間温度検知手段9b)により、架け渡し加熱している被加熱体3の鍋底の左右両側部分及び中間部分の温度を検知し、上記3箇所の検知温度が設定された所定温度の範囲内にあるときは、架け渡し加熱入切スイッチ6がオフとなるまで上記架け渡し加熱運転を継続する。
本実施形態においては、上記のように、架け渡し加熱運転モードにおいて、発熱体間鍋検知手段5を構成する上記副電磁誘導コイル5aが発熱体対10を構成する発熱体2と同期制御されて、被加熱体3を加熱する補助加熱手段を構成しているので、発熱体対10に大型又は横長の被加熱体3を架け渡して加熱する際、隣接する発熱体2間の位置となる被加熱体3の中央部が加熱不足になることを補って、均一な加熱性能を向上させることができる。
架け渡し加熱運転中、上記の発熱体対10の左右各発熱体上温度検知手段9aおよび発熱体間温度検知手段9bで検出された架け渡された被加熱体3である鍋底の左・中・右温度の偏差を検出判断し、補助加熱手段(副電磁誘導コイル5a)は、一定出力でON/OFFを繰り返し、前記の偏差が予め設定された範囲内になるまで加熱動作され、鍋を均一に加温する。
例えば、直接加熱されている左右位置での検出温度に対して、中央で検出した温度は、通例低く検出され、この温度差が規定範囲より超えている場合は、補助加熱手段つまり副電磁誘導コイル5aに加熱レベルの高出力をおこない、被加熱体3中央を加熱し、前記の温度差が、規定範囲内に収束すると、副電磁誘導コイル5aへの加熱出力を停止させる。
この際、副電磁誘導コイル5aに加熱出力がなされていることを、使用者に報知することが好適であり、図4(c)のC−2に示すように、該加熱出力中のみ、架け渡し報知手段_で火力レベル表示として点灯する数個の発光体22が点滅することで、本状態を報知することができる。
また、フロー図には示していないが、架け渡し加熱開始時には、例えば予備加熱等が必要な場合、架け渡された鍋を急速に加熱することが望まれるので、架け渡し加熱運転モ−ドが確定し、火力調整されると同時に、補助加熱手段(副電磁誘導コイル5a)に加熱出力させて、架け渡された被加熱体3に対して、言わば左・右・中央の3箇所同時加熱制御を行なうことも好適である。
また、別の加熱制御として2つの発熱体上温度検知手段9aとその間の位置にある発熱体間温度検知手段9bにおける温度検知の値の相関において、予め設定された範囲内の値の偏差を検知した場合、鍋内の食材の影響等による加熱むらと判断して、このむらを補正すべく、発熱体対10のいずれか一方の発熱体2である電磁誘導コイル14への出力を増減させたり、補助加熱手段となる副電磁誘導コイル5aの出力を増減させて、前記の加熱むらを解消するように発熱体対10及び副電磁誘導コイル5aの加熱量を偏差調節制御することもできる。
一方、架け渡し加熱運転中、隣接する左右の発熱体上鍋検知手段4、発熱体間鍋検知手段5のうち少なくとも1つで鍋(物体)の存在が検知されない場合や、あるいは、3箇所の温度検知手段9(発熱体上温度検知手段9a、発熱体間温度検知手段9b)により検知した温度のうち、少なくとも1箇所以上の温度が設定された範囲を外れている場合は、発熱体対10を構成する対となった発熱体2である電磁誘導コイル14、副電磁誘導コイル5aへの各出力を停止して待機状態に移行する。これにより架け渡し加熱運転中に、鍋を移動した場合、あるいは異常加熱が発生した場合等は左右両方の電磁誘導コイル14、副電磁誘導コイル5aの3箇所の出力を停止して、安全性が担保される。
本実施形態においては、2つの発熱体2を個別に火力調節する火力調節スイッチ7bの一つを、架け渡し加熱運転モードの際の火力調節スイッチとして代用しているので、スイッチの数が少なくできて、構造が簡略化できる。もちろん、架け渡し加熱運転モードの際の火力調節スイッチとして専用のものを設けてもよい。
次に、図5に基づいて、単独加熱運転モードにつき説明する。なお、図6は単独加熱運転モードの各段階における個別報知手段30、架け渡し報知手段8による報知例を示している。
コンロ装置1に設けた電源スイッチ(図示せず)をオンして待機状態にし、続いて使用する発熱体2の単独加熱入/切スイッチ7aをオンする。
発熱体間鍋検知手段5を構成する副電磁誘導コイル5aに微弱出力されて隣接する発熱体2間に鍋等の物体が有るか否かが検知される。
この時、同時に対応する個別報知手段30により単独加熱入/切スイッチ7aをオンされたことを報知する(例えば、図6(a)に示すように対応する個別報知手段30の一部が点滅して表示する)。
発熱体間鍋検知手段5で鍋等の物体が有ることが検知されると、単独加熱としては異常であるとして待機状態に戻る。この場合、例えば、図6(e)のように、対応する個別報知手段30が全点滅すると共に、架け渡し報知手段8の一部が点滅して、鍋が対応する発熱体2上に単独で正しく載置してないことを報知する。
また、通常のコンロに比べて、発熱体2の単独使用であっても、その発熱体2の周囲つまり2つの発熱体2間にある不用意な物体の存在に対しても、安全注意喚起の報知をおこなうことができ、より好適である。
一方、発熱体間鍋検知手段5で鍋が無い場合は、使用する発熱体2を構成する電磁誘導コイル14(これがそれぞれ発熱体上鍋検知手段4を構成する)に微弱出力して鍋があるか否かを判断し、発熱体上鍋検知手段4で鍋があることが検知されると、単独加熱運転モードが確定となる(なお、該当する発熱体2上に鍋が無いと判断されると、例えば、図6(d)のように個別報知手段30で全点滅して「鍋無/不適合」であることを報知し、当該発熱体2である電磁誘導コイル14と、副電磁誘導コイル5aへの微弱出力を停止して待機状態に移行する)。
上記のように単独加熱運転モードが確定されると、鍋検知確定が個別報知手段30により報知される。この場合、例えば、図6(b)のように個別報知手段30の一部を点灯して「鍋検知確定」を報知する。同時に副電磁誘導コイル5aへの微弱出力を停止する。
次に、火力調節スイッチ7bを操作して発熱体2の火力調節を行って、単独加熱運転を行う。この単独加熱運転モードにおける上記火力調節の表示は図6(c)のように、個別報知手段30で表示する。
発熱体上鍋検知手段4で鍋の存在が確認され、また、発熱体上温度検知手段9aにより被加熱体3の鍋底の温度を検知して設定された温度の範囲内にあるときは、単独加熱入/切スイッチ7aがオフとなるまで上記単独加熱運転を継続する。
一方、単独加熱運転の途中で、発熱体上鍋検知手段4で鍋の存在が検知されない場合、あるいは、発熱体上温度検知手段9aにより検知した温度が設定された温度の範囲を外れている場合は、例えば、図6(d)のように個別報知手段30で全点滅して「鍋無/不適合」であることを報知し、当該発熱体2である電磁誘導コイル14への出力を停止して待機状態に移行する。
また、単独加熱運転中に、発熱体間鍋検知手段5、あるいは発熱体間温度検知手段9bが異常であると判断した場合、発熱体2のコイル出力を停止させる制御を用いても何ら支障はない。
必然的に、発熱体対10の各発熱体2の単独加熱運転モ−ドの場合は、副電磁誘導コイル5aは、被加熱体(物体)3検知としてのみ動作し、補助加熱手段としては動作しないように制御される。
なお、架け渡し加熱運転モード、単独加熱運転モードの各段階における架け渡し報知手段8、個別報知手段30における表示の内容は上記した例にのみ限定されない。
また、視認表示手段のみならず、音声報知手段を併せて備えてもよい。
次に、図7乃至図13に基づいて本発明の他の実施形態を説明する。
前述の実施形態においては、発熱体2を電磁誘導コイル14で構成した例を示したが、本実施形態は発熱体対10を構成する対となった発熱体2を燃焼バーナ16で構成し、発熱体対10とは別の発熱体2を電磁誘導コイル14で構成した例を示している。
本実施形態では、図7乃至図9、図11に示すようにコンロ装置1に3つの発熱体2を設け、コンロ装置1の左右方向の一端部側(図の実施例では左端部側)に電磁誘導コイル14よりなる発熱体2を設け、コンロ装置1の左右方向の中央部及び他端部側(図の実施例では右端部側)にそれぞれ燃焼バーナ16よりなる発熱体2を設けている。
上記電磁誘導コイル14よりなる発熱体2に対応した発熱体上鍋検知手段4は例えば前述の実施形態と同様、電磁誘導コイル14に微弱出力をしてコイル渦電流が発生するか否かで鍋の存在の有無を検出するようにしている。
また、発熱体対10を構成する中央部及び右側端部側に設けた2つの燃焼バーナ16に対応して設ける発熱体上鍋検知手段4は、被加熱体3の底面(鍋底)が接触することで被加熱体3の存在の有無を検知する接触式のものを用いており、燃焼バーナ16の中心部に上下移動自在で上方に向けてばね付勢された可動部27と、可動部27の上下移動によりオン/オフされるリミットスイッチ(図示せず)とで発熱体上鍋検知手段4を構成している。
この発熱体上鍋検知手段4は、五徳26に被加熱体3を載置して被加熱体3が可動部27に接触すると、可動部27がばね力に抗して押し下げられてリミットスイッチをオンして該信号が制御部11に入力されることで被加熱体3が存在すると判断され、また、被加熱体3を五徳26から離すと、可動部27がばね力で上方に移動することで、リミットスイッチのオフとなって被加熱体3が存在しないと判断されるようになっている。
また、2つの燃焼バーナ16間において鍋の存在の有無を検知する発熱体間鍋検知手段5は副電磁誘導コイル5aで構成している。
ここで、コンロ天板12の左右方向の中央部及び端部に凹部32が形成してあり、該凹部32に発熱体対10を構成する対となった燃焼バーナ16とその周囲に配置する五徳26が配置してあってコンロ天板12上に露出している。
隣接する燃焼バーナ16間に位置する副電磁誘導コイル5aは耐熱材料で形成された天面カバー体31により覆ってあり、この天面カバー体31はコンロ天板12と一体に形成されたものであってもよく、コンロ天板12と別体であってもよい。
図9、図12に示すように、天面カバー体31の上面と、五徳26の上面とは同じ高さで同一面となっていて、コンロ天板12の上面の他の部位よりも上方に少し突出している。
これにより、発熱体対10の被加熱体3の載置面が同一平面となり、発熱体対10に被加熱体3を架け渡しての加熱調理作業において、被加熱体3をずらす等の加熱調理作業性が向上する。また、発熱体対10の片側使用時の被加熱体3のずらしも快適に行える。また、発熱体対10に被加熱体3を架け渡した状態で被加熱体3の中央が空気に曝されないので、被加熱体3中央が冷えることが少ない。更に、補助加熱手段への出力がなくても、両方の発熱体2から被加熱体3に伝熱された熱量が、副電磁誘導コイル5a天面で、被加熱体3の底と共に蓄熱保温される。
五徳26高さとコンロ天板12の高さ差で以って、ガス燃焼に対する空気流入を妨げることなく、かつ、燃焼廃気はコンロ天板12の上面より突出した五徳26の脚部間の隙間から排出することができる。
尚、特に凹部32を形成した理由として、調理時の噴きこぼれを受ける部分として構成したものであって、発熱体対10以外の部分のコンロ天板12と同一平坦の形態であっても、特に支障あるものではない。
また、発熱体対10を構成する各発熱体2である燃焼バーナ16に対応して、各燃焼バーナ16上に位置する鍋底の温度を検知するための発熱体上温度検知手段9aとしては可動部27に接触式サーミスタを設けることで構成している。
また、上記隣接する燃焼バーナ16間の上方つまり補助加熱手段上における鍋底の温度を検知するための発熱体間温度検知手段9bとしては赤外線放射センサーが使用される。
図10には本実施形態における架け渡し加熱運転モードのフローが示してあり、図12には本実施形態において発熱体対10を構成する発熱体2を単独で火力出力調整する単独加熱運転モードのフローを示している。
本実施形態は、図9に示すように副電磁誘導コイル5aよりなる発熱体間鍋検知手段5と接触式センサーを用いた2つの発熱体上鍋検知手段4により鍋検知を同時に行う。
上記の点が異なるが、他は図3に示される前述の実施形態における架け渡し加熱運転モードのフローと同じフローで制御されるので、詳細な説明は省略する。
本実施形態においては、発熱体対10を構成する燃焼バーナ16よりなる各発熱体2間に発熱体間鍋検知手段5として副電磁誘導コイル5aを配置し、該副電磁誘導コイル5aを補助加熱手段として兼用しているので、架け渡し加熱運転モードにおいて、熱量伝達にばらつきの大きい燃焼バーナ16よりなる発熱体対10に対して、大型又は横長の被加熱体3中央部の加熱不足を補い、均一加熱を向上させることができる。また、燃焼バーナ16よりなる発熱体2間が接近した部分で、直火による補助加熱手段を用いずに安全に均一加熱が行える。しかも、発熱体間鍋検知手段5と補助加熱手段を構造的に兼用でき、構成を簡略化できる。
また、本発明では、発熱体対10の左右発熱体2間の発熱体間鍋検知手段5および補助加熱手段として電磁誘導副コイル5aとしたが、左右発熱体間鍋検知手段5を、物体近接を検知する手段、鍋受け面つまりコンロ天板への室内光量の増減を検知する手段、あるいは、その他の金属検知手段、鍋底接触の有無を機械的接触で検知する手段を用いるとともに、補助加熱手段として、電気ヒ−タ−による例えばハロゲン式発熱体を適宜主力で使用することで、同じ目的が提供できることは言うまでもない。
この場合、発熱体対10が燃焼式バ−ナであっても、本願実施形態のように、左右五徳26の上面と補助加熱手段を成す上面は、同一に構成できることも好適である。
また、本発明の燃焼バ−ナ式発熱体を用いた実施形態のコンロ装置1については、発熱体対10を構成する左右発熱体2を燃焼バ−ナ16とし、発熱体対10以外の発熱体2を電磁誘導加熱(IH)式としており、高効率な加温加熱や、直火を用いる加熱調理等に必要な各発熱方式による加熱取り扱いの特長利便性を、単一のコンロもしくはコンロ付き調理台で同時に提供することができ、好適である。
加えて、発熱体対10の鍋載置面は、左右発熱体2すなわち燃焼バ−ナ16部分の五徳26と、補助加熱手段の天面カバ−体31と、補助加熱手段の前後に備えた補助の鍋受け台33とを併せて、鍋載置面が広くフラットに構成され、様々な鍋載置に対する座りのよさ、鍋ずらし場所が広く設けられるなどの利便性にも優れたものである。
なお、図7乃至図13に示す実施形態において、コンロ装置1に設けるすべての発熱体2を燃焼バーナ16で構成し、発熱体対10を構成する燃焼バーナ16間に上記と同様に発熱体間鍋検知手段5として副電磁誘導コイル5aを配置してもよい。
なお、上記した各実施形態において、被加熱体3の載置の有無を検知するための手段である発熱体上鍋検知手段4として電磁誘導コイル14、あるいは、可動部27の上下移動によりオン、オフされる鍋検知スイッチの例を示したが、反射型光電(赤外線)センサー、あるいは、近接センサー、あるいは測距式センサーで構成したり、あるいはまた、被加熱体3の載置の有無をコンロ天板12での受光量で検知するようにしてもよい。
コンロ天板12での受光量で検知するには、コンロ天板12における各載置位置表示部20や隣接する各載置位置表示部20間の位置の直下に受光量センサを設け、コンロ装置1が設置される周囲環境からコンロ天板面に照射される受光量を、上記受光量センサにより検知するもので、各受光量センサの上方に対応する各載置位置表示部20上又は各載置位置表示部20間の位置に被加熱体3が存在して光量が遮断されると、コンロ天板12の所定位置に被加熱体3が載置されていると判断し、光量が遮断されず受光センサで所定の光量が受光されると被加熱体3が載置されていないと判断する。
特に、電磁誘導加熱(IH)式等の電気コンロの場合は、鍋とコンロ天板12が密接するので、前記の方式は、簡便な手段でかつ有効である。
もちろん、上記各例示したもの以外に従来から周知の鍋検知手段を用いて発熱体上鍋検知手段4を構成してもよい。更に、これら各例のものを複数組み合わせてもよく、この場合は、発熱体2上における被加熱体3の有無をより正確に検知できる。
なお、上記いずれの実施形態においても、架け渡し加熱運転モードにおける加熱運転において、発熱体対10を構成する各発熱体2と、補助加熱手段を兼ねる発熱体間鍋検出手段5を構成する副電磁誘導コイル5aの同期連動制御を行うに当たり、両方の発熱体2の出力が変わらないように同出力に同期連動制御する(この場合、例えば、発熱体2の出力と補助加熱手段を兼ねる副電磁誘導コイル5aの出力比が変わらないようにして同期連動制御する)同出力同期モードと、左右いずれか一方の発熱体2の出力が、左右いずれか他方の発熱体2の出力よりも大又は小となるように制御する(この場合、例えば、左右いずれか一方の発熱体2の出力と補助加熱手段を兼ねる副電磁誘導コイル5aの出力比が変わらないようにして同期連動制御する)異出力同期制御モードとを備え、同出力同期モードと異出力同期制御モードを有して選択自在としてもよい。
ここで、架け渡し加熱運転モードを異出力同期制御モードで運転すると、架け渡し加熱運転モードで加熱運転する際、隣接する左右の発熱体2の偏差加熱ができて、例えば、魚の頭を強加熱したり、あるいは、同一被加熱体3で熱の通り易い食材と、熱の通り難い食材とを同時加熱調理できる。
前述のいずれの実施形態においても、図1、図8に示すように、発熱体2を左右方向に3個並列配置し、一側に位置する一つの発熱体2は大火力で面積が大きく、他の2つの隣接する発熱体2は上記大火力よりも小火力で面積が小さいものとし、この小火力の2つの発熱体2(ここで小火力の2つの発熱体2は同じ火力であってもよく、一つが上記大火力よりも小さい中火力、他の一つが中火力より火力の小さい小火力であってもよい)で架け渡し加熱を可能とする発熱体対10を構成してある例が示してある。そして、大火力の発熱体2とこれに隣接する中間の小火力の発熱体2との間のピッチよりも、架け渡し加熱を可能とする発熱体対10を構成する隣り合う小火力の発熱体2間のピッチを小さくしてあり、隣接する2つの小火力の発熱体2に被加熱体3を架け渡すのに都合がいいように構成してある。
また、図1に示す実施形態に例示するように、大火力で面積の大きい発熱体2と小火力で面積の小さい発熱体2の後端をコンロ天板12の前縁と平行な仮想線上に揃え又は略揃えてあり、これにより小火力で面積の小さい発熱体2の手前のスペースを大きく確保して、特に、架け渡し加熱調理に用いる横長の鍋を手前のスペースに仮置きするなど、種々の用途に利用できるようにしてある。
前述の各実施形態では3個の発熱体2を並列配置した例を示したが、本発明は、2個の発熱体2を並列配置したものでも、4個以上の発熱体2を並列配置したものでもよいのはもちろんである。
また、本発明におけるコンロ装置1は、添付図面に示す実施形態において、調理台13の上面部のカウンター19に設けた開口部にコンロ装置1の本体部18をビルトインして組み込むと共に、カウンター19部分にコンロ装置1のコンロ天板12を露出させてコンロ付き調理台として構成してある。
もちろん、コンロ装置1を調理台13に組み込むことなく、コンロ装置1単体として用いるものであってもよい。
また、本発明のコンロ装置1にコンロ天板12を設けることなく、調理台13にコンロ装置1を組み込むと共に上面のカウンター19に複数の発熱体2を並列配置したものであってもよい。
さらに、本発明の補助加熱手段は、熱効率の高い電磁誘導加熱(IH)式の発熱体であることより、補助加熱手段に対して、従来周知の操作および出力入切加減制御および安全保護手段を併せて備えることで、一種の単独発熱体として、例えば加熱調理作業後の一時保温手段として使用することが可能であり、単一のコンロもしくはコンロ付き調理台としては、さらに高機能な利便性を提供することができる。