JP5324711B2 - 車両のブレーキ力増幅式ブレーキ装置の制御方法および装置 - Google Patents

車両のブレーキ力増幅式ブレーキ装置の制御方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両のブレーキ力増幅式ブレーキ装置の制御方法に関するものである。同様に、本発明は、車両のブレーキ力増幅式ブレーキ装置の制御装置に関するものである。さらに、本発明は、ブレーキ力増幅装置およびブレーキ力増幅式ブレーキ装置に関するものである。
車両のドライバに、例えばブレーキ・ペダルのようなブレーキ装置の操作要素の快適な操作を可能にするために、ブレーキ装置は、一般に、ブレーキ力増幅装置を有している。ブレーキ力増幅装置は、操作要素の操作を介して車両のドライバから提供されたドライバのブレーキ力に追加して少なくとも1つの車輪に制動を与える支援力を提供するように設計されている。
ドイツ特許公開第10327553A1号に、例えば、ブレーキ・ペダルが操作されたときにマスタ・ブレーキ・シリンダと結合されているピストン棒に与えられるドライバのブレーキ力を測定し且つ測定されたドライバのブレーキ力を考慮してマスタ・ブレーキ・シリンダに追加の支援力を与えるように設計されている電気機械式ブレーキ力増幅装置が記載されている。電気機械式ブレーキ力増幅装置により与えられる支援力の大きさは、ブレーキ・ペダルのペダル速度を考慮して設定されてもよい。
ドイツ特許公開第10327553A1号
本発明の課題は、操作要素の操作における改善された操作快適性を有するブレーキ力増幅式ブレーキ装置を提供することである。
この課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する車両のブレーキ力増幅式ブレーキ装置の制御方法および請求項7の特徴を有する車両のブレーキ力増幅式ブレーキ装置の制御装置により解決される。
本発明は、ブレーキ装置の支援ピストンの調節速度に関する実際速度変数および入力ピストンに対する支援ピストンの相対速度に関する相対速度変数がブレーキ力増幅式ブレーキ装置の少なくとも1つのブレーキ回路の実際状態に関する少なくとも1つの情報を含むことが可能であるという知見に基づいている。
さらに、本発明は、ブレーキ力増幅装置を操作するときに、実際速度変数および相対速度変数を考慮することが有利であるという知見に基づいている。決定された実際速度変数および決定された相対速度変数をさらに考慮して支援ピストンの調節速度に関する目標速度変数を設定することにより、温度による状態変化、劣化による状態変化および/または少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つの油圧装置の機能変化/作動化にもかかわらず、入力ピストンの好ましい位置、例えばドライバのブレーキ力により与えられる標準位置を保持ないしは保証することが可能である。ドライバのブレーキ力により与えられる標準位置とは、温度による通常の値領域内の状態変化と、劣化による状態変化においてもブレーキ装置の本質的な機能性はなお保証されている該劣化による状態変化と、および/または少なくとも1つの油圧装置の機能変化/作動化と、に基づくことなく、与えられたドライバのブレーキ力の変化においてのみ変化する入力ピストンの位置と理解される。それに対応して、操作要素の好ましい位置および/または改善された機能性が保持ないしは実現可能である。したがって、少なくとも1つのブレーキ回路の温度による状態変化および/または劣化による状態変化にもかかわらず、操作要素の変化された特性によってドライバが不快感を受けることはない。同様に、ドライバは、少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つの油圧装置を作動化または非作動化したときにおいても、反作用、例えば反動を感知することはない。したがって、ドライバに対して操作要素の改善された操作快適性が保証されている。
ブレーキ装置の操作要素は、例えばブレーキ・ペダルであってもよい。入力ピストンとは、操作要素の力/圧力変換要素への機械式/油圧式結合装置と理解される。それに対応して、支援ピストンは、ブレーキ力増幅装置の力/圧力変換要素への機械式/油圧式結合装置を意味する。したがって、本発明は、用語の狭い意味における入力ピストンおよび/または支援ピストンの形成に限定されていない。入力ピストンおよび/または支援ピストンは、それらが力/圧力変換要素を介して車両の少なくとも1つのブレーキ回路へのドライバの直接ブレーキ係合を可能にするように形成されていることが好ましい。入力ピストンおよび/または支援ピストンとは、特に油圧式力伝達装置と理解されてもよい。
力/圧力変換要素は、例えばマスタ・ブレーキ・シリンダであり、マスタ・ブレーキ・シリンダに少なくとも1つのブレーキ回路が接続されている。これらのブレーキ回路の各々は、車輪ブレーキ・シリンダにより車両の付属された車輪が制動可能な少なくとも1つの該車輪ブレーキ・シリンダを含んでいてもよい。
入力ピストンおよび支援ピストンは、少なくとも1つの結合要素を介して力/圧力変換要素に結合されていてもよい。結合要素は、例えば応答ディスクのような弾性体であることが好ましい。しかしながら、本発明は、弾性応答ディスクとしての結合要素の形成に限定されていない。応答ディスクは、例えば剛であってもよい。
応答ディスクと、例えばマスタ・ブレーキ・シリンダのような力/圧力変換要素との間に、出力ピストンが配置されていてもよい。この場合、出力ピストンとは、応答ディスクのマスタ・ブレーキ・シリンダへの機械式/油圧式結合装置と理解される。したがって、出力ピストンは、用語の狭い意味におけるピストンに限定されていない。
入力ピストンに対する支援ピストンの相対速度に関する相対速度変数の決定とは、相対速度変数の直接測定と理解されてもよい。したがって、相対速度変数は、支援ピストンの調節速度に関する実際速度変数とそれに対応する入力ピストンの調節速度変数との差に基づかずに設定されることが好ましい。好ましい実施形態において、相対速度変数は、差ストローク・センサにより決定されてもよい。これの代替態様または補足態様として、相対速度変数を決定するために、入力ピストンがばね装置を介して支援ピストンと結合されている少なくとも1つの該ばね装置のたわみが評価されてもよい。この場合、特にこのために、相対速度変数としてたわみ速度が決定されてもよい。
他に記載のブレーキ力増幅式ブレーキ装置の制御方法は、非油圧式追加ブレーキ・トルク、例えば追加の摩擦ブレーキおよび/または発電機トルクの作動化および/または非作動化にもかかわらず、好ましい目標ブレーキ・トルクを保持し且つ同時に操作要素の好ましい標準機能性を保証するために適用されてもよい。本方法のこのような使用およびこれから得られる利点について以下に詳細に説明される。
ブレーキ力増幅式ブレーキ装置の作動方法の利点は対応する制御装置によってもまた実現可能である。さらに、これらの利点は、同じように形成された、制御装置を有するブレーキ力増幅式ブレーキ装置用ブレーキ力増幅装置および制御装置を有する対応する車両のブレーキ力増幅式ブレーキ装置においてもまた保証されている。
本発明のその他の特徴および利点が以下に図面により説明される。
図1Aは、制御装置の第1の実施形態の機能性の概略説明図を示す。 図1Bは、制御装置の第1の実施形態の機能性の他の概略説明図を示す。 図1Cは、制御装置の第1の実施形態の機能性のさらに他の概略説明図を示す。 図2は、制御装置の第2の実施形態の概略図を示す。 図3は、本方法の第1の実施形態を表わすための流れ図を示す。 図4は、本方法の第2の実施形態を表わすための流れ図を示す。 図5は、本方法の第3の実施形態を表わすための流れ図を示す。
図1A−図1Cは、制御装置の第1の実施形態の機能性の概略説明図を示す。
図1Aに部分的に略図で示されたブレーキ力増幅式ブレーキ装置は、例えばブレーキ・ペダルとして形成されている操作要素10を有している。しかしながら、ブレーキ装置は、ブレーキ・ペダルとして形成された操作要素10に限定されていない。操作要素10の操作を介して、ドライバは、ブレーキ装置の後続の構成部品、例えば入力ピストン12に、ドライバのブレーキ力Ffおよび第1の調節ストロークs1を与えることが可能である(図1Bの補足結合図参照)。この場合、入力ピストン12は、第1の調節速度v1で移動される。
ドライバのブレーキ力Ffおよび/またはドライバのブレーキ力Ffに対応する変数は、操作要素センサ装置により測定可能である。測定要素センサ装置は、例えば操作要素10または入力ピストン12に配置されていてもよい。図示の実施形態においては、操作要素センサ装置はブレーキ力センサ11を含み、ブレーキ力センサ11の機能については以下にさらに詳細に説明される。
ブレーキ装置は少なくとも1つのブレーキ力増幅装置14を含む。ブレーキ力増幅装置14は支援力Fuを提供するように設計され、これにより、ドライバは、車両を制動するために必要な力を全てドライバのブレーキ力Ffとして提供する必要はない。ブレーキ力増幅装置14は、例えば、電気機械式アクチュエータ、磁気式アクチュエータおよび/または油圧装置を含んでいてもよい。ブレーキ力増幅装置14は特定の形態に限定されていない。したがって、ブレーキ装置に対してコスト的に有利なブレーキ力増幅装置14および/または少ない構造空間を必要とするにすぎないブレーキ力増幅装置14が使用されてもよい。
ブレーキ力増幅装置14は、支援力Fuおよび第2の調節ストロークs2を支援ピストン16に伝達し、支援ピストン16は、入力ピストン12と共に図示された応答ディスク18のような結合要素に結合されている。支援力Fuを支援ピストン16に与えることにより、支援ピストン16は第2の調節速度v2で移動可能である。
図1Bの補足結合図において、入力ピストン12は、応答ディスク18の第1の点P1に作用し、支援ピストン16は、応答ディスク18の第2の点P2に作用する。この場合、点P1およびP2は応答ディスク18の面に対応する。例えば、点P2は、パイプ形状支援ピストン16の場合に、リング面に対応する。
応答ディスク18は、力釣合い装置として、即ちたわみ可能な要素として形成されていてもよい。しかしながら、ブレーキ装置は、典型的な応答ディスク18の使用に限定されていない。応答ディスク18の代わりに、ブレーキ装置は、例えば他の弾性体を有していてもよい。同様に、ブレーキ装置は、応答ディスク18の弾性形態に限定されていない。
操作要素10およびブレーキ力増幅装置14は、少なくともドライバのブレーキ力Ffおよび支援力Fuが総ブレーキ力Fgおよび第3の調節ストロークs3を与えるようにブレーキ装置内に配置され、総ブレーキ力Fgおよび第3の調節ストロークs3は、結合要素の出力側に配置された、例えば出力ピストン20のような構成部品に伝達可能である。この場合、出力ピストン20は、第3の調節速度v3で調節可能である。出力ピストン20は、第3の点P3ないしは対応する面において応答ディスク18と接触している。商/面積比xは、点P2とP3との間の第1の間隔と点P3とP1との間の第2の間隔との比を与える。
弾性応答ディスク18の場合、応答ディスク18は、図1B内の破線18′により示されているように、ドライバのブレーキ力Ff≠0および/または支援力Fu≠0のときに変形される。応答ディスク18のたわみ性は、弾性eとして与えることが可能である。
出力ピストン20は、力/圧力変換要素、例えばマスタ・ブレーキ・シリンダ22の調節可能構成部品21に結合されている。力/圧力変換要素に、ブレーキ媒体で充満された、少なくとも1つの車輪ブレーキ・シリンダを有する(図示されていない)少なくとも1つのブレーキ回路が接続されている。少なくとも1つの車輪ブレーキ・シリンダ内のブレーキ圧力の変化により、付属された少なくとも1つの車輪が制動可能である。
少なくともドライバのブレーキ力Ffおよびブレーキ力増幅装置14から提供される支援力Fuは、合力Fgを与える。操作要素10ないしは入力ピストン12が時間的に一定の位置にとどまるように、合力Fgは、マスタ・ブレーキ・シリンダ22から出力ピストン20に与えられた反力Fhに対応する(図1C参照)。この反力Fhは、マスタ・ブレーキ・シリンダ22内部の圧力p、マスタ・ブレーキ・シリンダ22の調節可能構成部品21の面積Aおよび摩擦力から得られる。
図1A−図1Cにより示されたブレーキ装置は制御装置24を有し、制御装置24は、操作要素10の有利な機能性およびユーザが操作しやすい操作要素10の位置が保証されるようにブレーキ力増幅装置14を操作すべく設計されている。制御装置24は、ブレーキ力増幅装置14のサブ・ユニットであってもよい。この代替態様として、制御装置24は、ブレーキ力増幅装置14から分離してブレーキ装置内に配置されていてもよい。同様に、制御装置24は、図示のブレーキ装置を有する車両の中央制御装置のサブ・ユニットとして形成されていてもよい。したがって、この場合、制御装置24を有するブレーキ力増幅式ブレーキ装置の形成は、ブレーキ装置の追加構造空間を必要としない。
制御装置24の形態およびこれにより実現可能な利点が以下に説明される。
制御装置24は第1の受信装置26を有し、第1の受信装置26は、ブレーキ力センサ11から提供されたブレーキ力情報28が受信可能なように設計されている。ブレーキ力情報28は、車両のドライバによる操作要素10の操作に関する少なくとも1つの変数/情報を含む。ブレーキ力情報28は、少なくともその一部が入力ピストン12に伝達されるドライバのブレーキ力Ffを含むことが好ましい。この代替態様または補足態様として、ブレーキ力情報は、ドライバのブレーキ力Ffを表わすその他の変数を含んでいてもよい。
第1の受信装置26は、例えばデータ入力であってもよい。この代替態様として、第1の受信装置26は、内部インタフェースを介してブレーキ力情報28が制御装置24のサブ・ユニットとして形成されているブレーキ力センサから提供可能な該内部インタフェースであってもよい。
制御装置24は第2の受信装置30を有し、第2の受信装置30により、支援ピストン16の第2の調節速度v2に関する、第1の速度センサ32から提供された実際速度変数34が受信可能である。第1の速度センサ32は、制御装置24のサブ・ユニットとしてまたは制御装置24の外部に形成されていてもよい。それに対応して、第2の受信装置30は、例えばデータ入力としてまたは内部インタフェースとして形成されていてもよい。
実際速度変数34は、例えば支援ピストン16の第2の調節速度v2を含んでいてもよい。同様に、実際速度変数34とは、支援ピストン16の位置の時間変化を表わす他の変数と理解されてもよい。実際速度変数34は、例えばブレーキ力増幅装置14の機能性を表わす変数、例えばブレーキ力増幅装置14の構成部品の位置の時間変化に関する情報を含んでいてもよい。
第1の速度センサ32は、特にブレーキ力増幅装置14を操作/制御するためのセンサ装置の構成部品であってもよい。ブレーキ力増幅装置14を操作/制御するためのセンサ装置により、例えば、ブレーキ力増幅装置14のモータの位置、(それから得られた)モータ速度、そのモータ・トルクおよび/または(それから得られた)支援力Fuが既知となる。したがって、第1の速度センサ32として、ブレーキ力増幅装置14上に既に存在するブレーキ力増幅装置14の操作/制御装置が使用されてもよい。第1の速度センサ32のこの多機能性により、ここに記載のブレーキ力増幅式ブレーキ装置のコスト的に有利な形態可能性が保証されている。
制御装置24はさらに第3の受信装置36を含む。第3の受信装置36は、入力ピストン12に対する支援ピストン16の相対速度vdに関する、第2の速度センサ38から提供された相対速度変数40が、第3の受信装置36により受信可能なように、第2の速度センサ38に結合されている。第3の受信装置36もまた、データ入力としてまたは内部インタフェースとして形成されていてもよい。それに対応して、相対速度変数40を決定するための第2の速度センサ38は、制御装置24の内部または外部のいずれに形成されてもよい。
第2の速度センサ38は、相対速度変数40を第1の調節速度v1と第2の調節速度v2との間の差または対応する変数の差に基づいて計算する代わりに、相対速度変数40を測定するように設計されていることが好ましい。好ましい実施形態において、第2の速度センサ38は、差ストローク・センサとして形成されていてもよい。例えば、第2の速度センサ38は、ばねを介して入力ピストン12が支援ピストン16と結合されている該ばねのたわみを測定することにより、相対速度変数40を決定してもよい。
制御装置24の評価装置42は、受信された情報28、34および40に対応するデータ信号44、46および48を、受信装置26、30および36から評価装置42に提供可能なように、受信装置26、30および36に結合されている。評価装置42は、受信された情報28、34および40あるいはデータ信号44ないし48を考慮して、支援ピストン16の第2の調節速度v2に関する目標速度変数50が評価装置42により設定可能なように設計されている。第2の調節速度v2の目標速度変数50の有利な設定方法に関しては、以下に、より詳細に説明される。設定された目標速度変数50は、それに続いて評価装置42から制御装置24の制御機構52に出力される。
制御機構52は、該制御機構52により、支援ピストン16の第2の調節速度v2の設定された目標速度変数50を考慮して制御信号54をブレーキ力増幅装置14に出力可能なように設計されている。ブレーキ力増幅装置14は、制御信号54により、ブレーキ力増幅装置14から与えられた支援力Fuが設定された目標速度変数50に等しい支援ピストン16の第2の調節速度v2を与えるように操作されることが好ましい。
受信された情報28、34および40に基づき、制御装置24は、例えば、応答ディスク18の位置/位置変化と、マスタ・ブレーキ・シリンダ22の調節可能構成部品21の位置/位置変化と、および/またはマスタ・ブレーキ・シリンダ22に結合されたブレーキ装置のブレーキ回路の状態と、に関する少なくとも1つの情報を設定可能である。同様に、受信された情報28、34および40に基づき、制御装置24により、少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つの油圧装置または応答ディスクの、温度による状態と、劣化による状態と、および/または実際機能性と、に関する情報もまた設定/決定可能である。
支援ピストン16の第2の調節速度v2の目標速度変数50を設定するときに情報28、34および40を参照/考慮することにより、ブレーキ力増幅装置14は、少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つの油圧装置または応答ディスクの、温度による状態、劣化による状態、および/または実際機能性、とは無関係に、実際に与えられたドライバのブレーキ力Ffにおいてドライバが期待する入力ピストン12の位置が保証可能なように操作可能である。したがって、通常の場合、温度変化と、少なくとも1つのブレーキ回路の劣化と、および/または少なくとも1つの油圧装置の作動化/非作動化と、に基づいて発生することがあるような、入力ピストン12の位置の、ドライバのブレーキ力Ffに対応する標準位置からの偏差は阻止可能である。
マスタ・ブレーキ・シリンダ22の調節可能構成部品21の位置が、与えられたドライバのブレーキ力Ffに対応しないことが起こる場合がある。調節可能構成部品21の位置の、ドライバのブレーキ力に対応する標準位置からのこのような偏差に対する原因は、ブレーキ装置の異常な周囲温度、ブレーキ装置の少なくとも1つのブレーキ回路の劣化による状態変化、および/または例えば少なくとも1つのブレーキ回路のポンプのような油圧装置の作動化/非作動化、である場合がある。
しかしながら、調節可能構成部品21の実際位置の、ドライバのブレーキ力Ffに対応する標準位置からの偏差は、制御装置24によるブレーキ力増幅装置14の制御に基づき、入力ピストン12の実際位置の、ドライバのブレーキ力Ffに対応する入力ピストン12の標準位置からの偏差を与えることはない。したがって、ドライバに対して不快感を与える、ドライバのブレーキ力による操作要素10の標準位置からの偏差もまた抑制されている。
このことは、決定された情報28、30および40により、支援ピストン16の第2の調節速度v2の目標速度変数50は、入力ピストン12の好ましい第1の調節速度v1が保持可能なように設定可能であるということができる。保持された入力ピストン12の第1の調節速度v1は、入力ピストン12がドライバのブレーキ力Ffに対応する標準位置内に保持されること、ないしはドライバのブレーキ力に対応する標準位置内に戻されること、を保証可能である。例えば、ブレーキ力増幅装置14は、少なくとも1つのブレーキ回路および/またはマスタ・ブレーキ・シリンダの容量変化にもかかわらず第1の調節速度v1が一定のままであるように操作可能である。
以下に、目標速度変数50の有利な設定方法が説明される。
有利な方法の記載において、理解を容易にするために、ドライバが一定のドライバのブレーキ力Ffを操作要素10に与えることから出発される。しかしながら、この方法の適用可能性は、ドライバによる操作要素10の時間的に一定な操作に限定されない。この代わりに、ドライバが時間的に変化するドライバのブレーキ力Ffを操作要素10に与えるときにおいてもまた適用可能である。
上記のように、第2の速度センサ38により、差ストロークsdの時間変化に関する相対速度変数40が測定可能である。差ストロークsdは、次式により定義されている。
〔式1〕 sd=s1−s2
それに対応して、差ストロークsdの時間変化に基づいて設定された相対速度vdに対して、次式が成立する。
〔式2〕 vd=v1−v2
図1Cに、ブレーキ力増幅式ブレーキ装置の運動が個々の調節速度v1ないしv3の関係に基づいて表わされている。ここで、次式が成立する。
〔式3〕 v1=v3+Δs1′、および
〔式4〕 v2=v3−x・Δs1′
〔式3〕および〔式4〕の差から、次式が得られる。
〔式5〕 v1−v2=(1+x)・Δs1′
したがって、〔式2〕内の定義を利用して、次式が得られる。
〔式6〕 Δs1′=vd/(1+x)
〔式6〕は、〔式4〕内に代入可能である。これにより、次式が得られる。
〔式7〕 v3=v2+x・vd/(1+x)
〔式7〕に対応して、センサ32および38から提供された情報34および40は、出力ピストン20の第3の調節速度v3を設定するのに適している。したがって、出力ピストン20の実際位置および/または調節速度に関する情報を決定するために、センサを直接出力ピストン20上に装着する必要はない。それに対応して、このようなセンサを応答ディスク18上またはマスタ・ブレーキ・シリンダ22の調節可能構成部品21上にも設ける必要はない。
さらに、〔式7〕に基づき、出力ピストン20の希望されない第3の調節ストロークs3および/または第3の調節速度v3が入力ピストン12の位置に関して補正可能であることがわかる。
入力ピストン12と応答ディスク18との間の直接接触が存在する限り、ドライバのブレーキ力Ffと応答ディスク18の調節変数Δとの間の関係が形成可能である。ここで、次式が成立する。
〔式8〕 sd=s0+(1+x)・Δ
調整変数s0は、次式により定義される。
〔式9〕 s1=s0+s3+Δ
ここで、
〔式10〕
Δ=(Ff−x・Fu−(1+x)(F0+cf・s0))/(e+(1+x)・cf)
ここで、F0はばね力であり、cfは、ピストン12および16がばねを介して相互に結合されている該ばねのばね定数である。
上記の〔式8〕ないし〔式10〕を介して、第1の調節ストロークs1に対する目標特性曲線が決定ないしは設定可能である。それに対応して、第1の調節速度v1に対する目標特性曲線が決定ないしは設定可能である(これもまた、ドライバが「一定のブレーキ希望」を有していない限り、即ちドライバが車両の減速度を時間的に変化させる限り保証されている)。
好ましい特性曲線の入力ピストン12の第1の目標調節速度v1に対して、次式が成立可能である。
〔式11〕 v1=(δs1(Ff)/δFf)・Ff′
ここで、〔式3〕および〔式4〕と同様に、次式が成立する。
〔式12〕 v1=v3+Δs1′ および
〔式13〕 v2=v3+x・Δs1′
〔式12〕および〔式13〕から、次式が得られる。
〔式14〕 v2=v3(1−x)+x・v1
〔式14〕は、支援ピストン16の第2の調節速度v2の目標速度変数50を設定するための有利な関係を表わす。このように設定された目標調節速度変数50の実行を介して、異常な周囲温度、少なくとも1つのブレーキ回路および/または応答ディスクの劣化による状態変化、および/または油圧装置の作動化/非作動化にもかかわらず、入力ピストン12は、ドライバのブレーキ力Ffにより設定された標準位置内に存在することが保証されている。これは操作要素10の操作快適性を著しく改善する。
以下に、制御装置24の有利な適用可能性に関して説明される。
ここに記載の適用可能性においては、追加の非油圧式ブレーキ装置を備えた車両内に制御装置24を有するブレーキ力増幅式ブレーキ装置を使用することから出発される。非油圧式ブレーキ装置は、車両の少なくとも1つの車輪に時間的に変化する非油圧式追加ブレーキ・トルクを与えることが可能なように形成されている。非油圧式ブレーキ装置は、例えば発電機であってもよく、ブレーキ過程の間に、車両バッテリは発電機により充電可能である。しかしながら、以下に発電機を備えた車両に関して説明されるときもまた、適用可能性はこれに制限されない。この代わりに、非油圧式ブレーキ装置の他の実施例においてもまた、追加ブレーキ・トルクの時間変化にもかかわらず、時間的に一定の車両減速度および操作要素10の良好な操作快適性が保証されている。
ブレーキ過程の間に、(図示されていない)センサ装置は、追加ブレーキ・トルクに関する実際ブレーキ変数を決定するように設計されている。オプションとして、実際ブレーキ変数は、(図示されていない)比較装置により所定の目標ブレーキ変数と比較される。例えば、この場合、実際ブレーキ変数が目標ブレーキ変数から少なくとも1つの所定の最大差だけ偏差を有していることが特定されたとする。後続の(図示されていない)評価/制御装置は、決定された実際ブレーキ変数、および/または決定された実際ブレーキ変数および所定の目標ブレーキ変数の比較、を考慮して、目標ブレーキ・トルク変化を設定するように設計されている。それに続いて、車両の少なくとも1つのブレーキ回路の(図示されていない)油圧装置が、設定された目標ブレーキ・トルク変化を考慮して、評価/制御装置により操作される。
評価/制御装置は、第4の受信装置を介してセンサ装置または比較装置と結合されている。少なくとも1つの油圧装置は、例えばポンプおよび/または弁であってもよい。この場合、油圧装置の操作は、目標ブレーキ・トルク変化に対応するブレーキ媒体容量が力に抗して貯蔵室および/またはマスタ・ブレーキ・シリンダ22内に供給されるように行われる。ブレーキ媒体容量の供給に抗して作用する力は、合力Fgから得られる。
貯蔵室および/またはマスタ・ブレーキ・シリンダ22内へのブレーキ媒体容量の移動は、油圧装置として形成されている、少なくとも1つのブレーキ回路の操作部、例えばABS装置またはESP装置の構成部品により実行されてもよい。これは、全ブレーキ・トルクを一定に保持するための車輪圧力の調節がABS装置またはESP装置の操作部により実行されるということができる。この場合、低下された車輪圧力は、車輪ブレーキの受入容量を低下させ、したがって、ブレーキ媒体容量をマスタ・ブレーキ・シリンダまたは貯蔵室内に逆流させる。
少なくとも1つのブレーキ回路からブレーキ媒体容量を供給することにより、追加ブレーキ・トルクの時間変動にもかかわらず、ブレーキ装置の油圧ブレーキ・トルクおよび追加ブレーキ・トルクから得られる時間的に一定の車両減速度の保持が達成可能である。時間的に一定の車両減速度は、さらに、ドライバから操作要素10に与えられるドライバのブレーキ力Ffのいかなる調節をも必要としない。
センサ装置、比較装置、第4の受信装置および/または評価/制御装置は、制御装置24の下位ユニットであってもよい。これらの装置は、制御装置24から分離して、ブレーキ装置及び/または中央車両制御に形成されていてもよい。
適用可能性は、コスト的に有利に且つ簡単に形成されたブレーキ装置により実行可能である。適用可能性を実行するために、高価な追加センサ装置は必要ではない。操作要素10とマスタ・ブレーキ・シリンダ22との間の機械結合は、適用可能性に悪影響を与えない。したがって、ブレーキ力増幅装置14がない場合でも、ドライバが少なくとも1つのブレーキ回路内に直接ブレーキ係合可能であることが保証されている。これはブレーキ装置の信頼性を改善する。
制御装置24により、さらに、脈動容量流れはブレーキ力増幅装置14の上記の「再使用」により補償されることが保証される。したがって、ポンプは僅かなポンプ圧力を発生すればよいので、操作要素10の反動は抑制されている。同時に、移動されたブレーキ媒体容量により与えられた調節可能構成部品21の調節が補償される。したがって、移動されたブレーキ媒体容量にもかかわらず、入力ピストン12の位置に対する好ましい特性曲線が保持可能である。
前節に記載の方法は、作動化された追加ブレーキ・トルクを遮蔽するためにおよび非作動化された追加ブレーキ・トルクを遮蔽するために有利である。同様に、例えばブレーキ液への温度影響および/またはブレーキ回路または増幅装置の少なくとも1つの構成部品の劣化による変化のようなブレーキ回路への他の影響もまた補償可能である。
上記のように、追加ブレーキ・トルクは完全に消去可能である。同時に、制御装置24は、マスタ・ブレーキ・シリンダ22の調節可能構成部品21の調節運動の操作要素10への反作用の消去を可能にする。したがって、ドライバがそれに気づくことなく、回生可能ブレーキ装置の発電機トルクの投入を実行可能である。ペダル・ストロークおよび車両減速度は発電機トルクの投入によって影響されることはない。さらに、必要なブレーキ力の決定は下り坂道およびドライバのブレーキ希望から行われる。
以下に図5に関して詳細に説明されるように、制御装置24は、マスタ・ブレーキ・シリンダと油圧装置との間の遮断弁を閉鎖したのちに、ペダル・ストローク・シミュレータとしても使用可能である。これは追加のハードウェアを必要としない。同時に、制御装置24は、停車中の較正および劣化過程の調整を含めて、ブレーキ装置ないしは応答ディスク18のモニタリングを行う。
図2は、制御装置の第2の実施形態の略図を示す。
図2に略図で示された制御装置24は、図1A−図1Cにより前に説明された制御装置の構成部品を有している。したがって、これらの構成部品を改めて説明することは省略される。
制御装置24はブレーキ力増幅装置14を操作するように設計され、ブレーキ力増幅装置14は、ピストン12および16の間にばね結合60を有するブレーキ装置内に組み込まれる。ばね結合60は少なくとも1つのばね62を含み、ばね62を介して、入力ピストン12は支援ピストン16と結合されている。
ばね結合60に基づき、図示されたブレーキ装置は、ドライバのブレーキ力Ffが比較的低いときには、応答ディスク18と入力ピストン12との間に間隔g≠0が存在する第1の作動モードにおいて作動可能である。したがって、ブレーキ装置の第1の作動モードにおいては、入力ピストン12は応答ディスク18に接触していない。これは、ブレーキ力増幅装置14は、いわゆる「ジャンプ・イン」内に存在すると言い表すことができる。ブレーキ装置の第1の作動モードにおいては、これに関してピストン12および16の間のばね62により制御されるので、ドライバのブレーキ力Ffは一定である。この第1の作動モードにおいては、間隔g≠0に基づき、マスタ・ブレーキ・シリンダ内へのブレーキ媒体供給においてペダル反作用は抑制されている。
ドライバのブレーキ力Ffがより大きいときには、ブレーキ装置は、g=0である第2の作動モードに移行する。したがって、第2の作動モードにおいては、入力ピストン12と応答ディスク18との間に接触が存在する。しかしながら、制御装置24の使用に基づき、第2の作動モードにおいてもまた、マスタ・ブレーキ・シリンダ内へのブレーキ媒体容量の移動において、操作要素10の位置への反作用は抑制されている。
図3は、本発明の方法の第1の実施形態を表わすための流れ図を示す。
方法ステップS1において、ドライバのブレーキ力に関するブレーキ力情報が決定される。決定されたドライバのブレーキ力は、ブレーキ装置の操作要素、例えばブレーキ・ペダルが操作されたときに、車両のドライバにより操作要素に与えられた力である。この場合、ドライバのブレーキ力は、少なくともその一部がブレーキ装置の入力ピストンに伝達される。
さらに、方法ステップS2において、ブレーキ装置の支援ピストンの調節速度に関する実際速度変数が決定される。ブレーキ装置の支援ピストンは、ブレーキ装置のブレーキ力増幅装置が支援力を支援ピストンに与えるように配置されている。少なくとも入力ピストンに伝達された力と支援力とからなる合力は、結合要素を介して、力/圧力変換要素、例えばマスタ・ブレーキ・シリンダに伝達される。このように、マスタ・ブレーキ・シリンダに接続された、少なくとも1つの車輪ブレーキ・シリンダを有する少なくとも1つのブレーキ回路内のブレーキ圧力は上昇可能である。決定された実際速度変数は、例えば、支援ピストンの調節速度及び/またはブレーキ力増幅装置の少なくとも1つの構成部品の回転速度及び/または調節速度を含んでいてもよい。
さらに、方法ステップS3において、入力ピストンに対する支援ピストンの相対速度に関する相対速度変数が決定される。相対速度変数は差ストローク・センサにより決定されることが好ましい。
上記の方法ステップS1−S3の番号順は時間的順序を表わしていない。この代わりに、方法ステップS1−S3が任意の順序で及び/または少なくともその一部が同時に実行されてもよい。
次の方法ステップS4において、決定されたブレーキ力情報、決定された実際速度変数および決定された相対速度変数を考慮して、支援ピストンの調節速度に関する目標速度変数が設定される。例えば、目標速度変数を設定するために、決定されたブレーキ力情報を考慮して目標入力ピストン速度変数が設定されてもよい。その後に、設定された目標入力ピストン速度変数をさらに考慮して、目標速度変数が設定可能である。
方法ステップS5において、設定された目標速度変数を考慮してブレーキ力増幅装置が操作される。ブレーキ力増幅装置の操作は、支援ピストンが設定された目標速度変数を保持しながら調節されるように行われることが好ましい。
以下に、上記の方法を実行するための有利な適用可能性が説明される。
図4は、本方法の第2の実施形態を表わすための流れ図を示す。
方法ステップS10において、非油圧式ブレーキ装置から車両の少なくとも1つの車輪に与えられた追加ブレーキ・トルクに関する実際ブレーキ変数が決定される。非油圧式ブレーキ装置は、例えば、ブレーキ過程の間に発電機により車両バッテリが充電される該発電機であってもよい。しかしながら、上記の方法に対する適用可能性は発電機を備えた車両に限定されていない。
決定された実際ブレーキ変数は非油圧式追加ブレーキ・トルクを含んでいてもよい。この代替態様または補足態様として、決定された実際ブレーキ変数は、車両の少なくとも1つの車輪に与えられた総ブレーキ・トルクであってもよい。総ブレーキ・トルクは、追加ブレーキ・トルクと、ドライバのブレーキ力および支援力の和に対応する油圧式ブレーキ・トルクとの和であってもよい。さらに、総ブレーキ・トルクは、少なくとも1つの他の機械式ブレーキ・トルクを含んでいてもよい。
オプションとしての方法ステップS11において、決定された実際ブレーキ変数が所定の目標ブレーキ変数と比較されてもよい。例えば、方法ステップS11において、実際ブレーキ変数として総ブレーキ・トルクがドライバのブレーキ力に対応する目標総ブレーキ・トルクと比較されてもよい。このようにして、ブレーキ過程の間における追加ブレーキ・トルクの変化にもかかわらず、車両の減速度がドライバによる操作要素の操作に対応することが保証可能である。この代替態様として、方法ステップS11において、追加ブレーキ・トルクそれ自身が、実際ブレーキ変数として、目標ブレーキ変数として設定されたしきい値と比較されてもよく、このしきい値以降においては、以下に記載のように追加ブレーキ・トルクの遮蔽が実行される。
方法ステップS12において、目標ブレーキ・トルク変化が設定されている。目標ブレーキ・トルク変化の設定は、決定された実際ブレーキ変数、または実際ブレーキ変数および所定の目標ブレーキ変数の比較を考慮して行われる。実際ブレーキ変数が少なくとも1つの所定の最大差だけ目標ブレーキ変数から偏差を有する限り、方法ステップ12が方法ステップS11に続くことが好ましい。所定の最大差は0に等しく設定されていてもよい。
その後に、他の方法ステップS13において、設定された目標ブレーキ・トルク変化を考慮して、車両の少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つの油圧装置が操作される。油圧装置の操作は、目標ブレーキ・トルク変化に対応するブレーキ媒体容量が力に抗して貯蔵室内及び/またはマスタ・ブレーキ・シリンダ内に供給されることを行う。設定された目標ブレーキ・トルク変化が実行されるように、少なくとも1つの油圧装置の操作が行われることが好ましい。方法ステップS10−S13は、この場合、ブレーキ作動の間に油圧により与えられたブレーキ・トルクと追加ブレーキ・トルクとからなる和が一定のままであることを保証する。
少なくとも1つの油圧装置は、少なくとも1つのブレーキ回路のポンプおよび/または弁であってもよい。少なくとも1つの油圧装置は、車両のESP装置および/またはABS装置の構成部品であってもよい。したがって、方法ステップS13を実行するために、ブレーキ装置に既に存在する構成部品が再使用されてもよい。したがって、ここに記載の方法の実行は、ブレーキ装置の高価な追加の構成部品を必要としない。
方法ステップS13において、少なくとも1つの油圧装置が車輪圧力の調節を実行することが好ましい。例えば、方法ステップS12において発電機トルクMgenが目標ブレーキ・トルク変化として設定された場合、少なくとも1つの油圧装置が、次式により、差圧力Δpだけ車輪ブレーキ圧力を変化可能である。
(式15) Δp=−Mgen/cp
ここで、変数cpは車輪ブレーキ・シリンダに固有の変数である。(式15)内に示された圧力変化は、ESP装置またはABS装置を介して制御可能である。
前節に記載の方法は、特に、車両の運動エネルギーの一部が電気エネルギーに変換される回生制動において有利である。車両の追加制動を行う発電機トルクは、一般に車両速度の関数である。したがって、発電機トルクは制動の間に変化する。方法ステップS10−S13を介して、時間的に変化する発電機トルクにもかかわらず、ブレーキ・ペダルを一定に操作したときに車両の一定の減速度が保証される。
(式15)内に示された少なくとも1つのブレーキ回路内の圧力変化は、マスタ・ブレーキ・シリンダの受入容量を変化させることが可能である。例えば、(追加ブレーキ・トルクが上昇して)油圧式ブレーキ・トルクが低下したとき、ブレーキ媒体容量は、一般に、はじめにポンピングにより貯蔵室内に戻され、次にマスタ・ブレーキ室内に戻される。それに対応して、(追加ブレーキ・トルクが低下して)油圧ブレーキ・トルク/車輪ブレーキ圧力が再び上昇したとき、ブレーキ媒体容量は多量に貯蔵室およびマスタ・ブレーキ・シリンダから排出される。
マスタ・ブレーキ・シリンダの受入容量の変化に基づいて、入力ピストンの位置、したがって操作要素の位置が変化されることを阻止するために、図3により既に説明された方法ステップS1−S5が実行されてもよい。したがって、方法ステップS10−S13による時間的に変化する追加ブレーキ・トルクに対応してブレーキ作用/車両減速が適合されたのちに、入力ピストンの位置へのブレーキ作用の適合の影響を補償することが可能である。したがって、マスタ・ブレーキ・シリンダの受入容量および/または排出容量は方 法ステップS1−S5の実行に基づいて入力ピストンの位置を変化させない。
方法ステップS1−S5において実行された支援力の調節により、マスタ・ブレーキ・シリンダの変化された容量の、入力ピストンの位置への反作用は補償可能である。これは、マスタ・ブレーキ・シリンダの容量変化にもかかわらず入力ピストンがドライバのブレーキ力に対応する位置内にとどまるように行われる。したがって、ドライバは、時間的に一定ではない追加ブレーキ・トルクの遮蔽を、変化する車両減速度を介しても、または操作要素の位置の変化を介しても感知することはない。
前節に記載の方法は、操作要素のマスタ・ブレーキ・シリンダへの機械結合を有するブレーキ装置により実行可能であり、ブレーキ装置は、ドライバに、少なくとも1つのブレーキ回路内への直接ブレーキ係合を可能にし、したがって改善された安全基準を提供する。さらに、追加ブレーキ・トルクの消去において、車輪圧力の制御および入力ピストン位置の制御は、完全に切り離され且つ相互に独立に実行される。
図5は、本発明の方法の第3の実施形態を表わすための流れ図を示す。
この方法は、既に記載の方法ステップS10−S13を含む。これらは、油圧ブレーキ・トルクと共に車両の少なくとも1つの車輪に与えられる時間的に変化する追加ブレーキ・トルクを、例えばESP油圧装置またはABS油圧装置を使用して、油圧ブレーキ・トルクの調節により遮蔽するために実行されてもよい。追加ブレーキ・トルクは、例えば発電機トルクであってもよい。上記の方法ステップS10−S13の改めての説明はここでは省略される。
方法ステップS13の前または方法ステップS13の間に、方法ステップS14において、操作される少なくとも1つの油圧装置とマスタ・ブレーキ・シリンダとの間に配置された少なくとも1つの弁が閉鎖され、この弁は、以下に少なくとも1つの遮断弁と呼ばれる。少なくとも1つの遮断弁は、例えば少なくとも1つの入口弁を含んでいてもよい。したがって、追加ブレーキ・トルクを遮蔽するために移動されたブレーキ媒体容量は、マスタ・ブレーキ・シリンダ内に移動されずに少なくとも1つの貯蔵室内に移動される。
他の方法ステップにおいて、ブレーキ力増幅装置は、少なくとも1つの遮断弁が閉鎖された作動モードの間に、ペダル・ストローク・シミュレータとして使用可能である。この場合、ブレーキ力増幅装置から与えられた支援力は、少なくとも1つの遮断弁が閉鎖されているにもかかわらず、入力ピストンおよび操作要素の位置が、与えられたドライバのブレーキ力に対応するように設定される。したがって、操作要素は通常ドライバにより調節可能であり、且つ操作要素の調節を介して車両の減速/制動が与えられる。
さらに、少なくとも1つのブレーキ回路内の圧力が変化したときにおいても応答ディスクの位置が一定のままである該応答ディスクは、ペダル・ストローク・シミュレータとして機能するブレーキ力増幅装置の支持台として使用可能である。同時に、目標ブレーキ変数は、決定されたドライバのブレーキ力を考慮して、方法ステップS10−S13を介して連続的に新たに設定且つ調節可能である。したがって、ドライバは、少なくとも1つの遮断弁が閉鎖された作動モードの間においても、操作要素の応答性を正常であると感知する。
オプションとして、方法ステップS1−S5は、少なくとも1つの遮断弁が閉鎖されているときにブレーキ力増幅装置をペダル・ストローク・シミュレータとして使用するために実行されてもよい。決定された実際速度変数および決定された相対速度変数を介して、少なくとも1つの遮断弁の閉鎖が検出可能である。決定された両方の変数およびドライバのブレーキ力情報を考慮することにより、目標速度変数は、少なくとも1つの遮断弁が閉鎖されているにもかかわらず、ドライバのブレーキ力の変化がこの変化に対応する入力ピストンの調節運動を与えるように設定可能である。
ブレーキ力増幅装置をペダル・ストローク・シミュレータとして使用するとき、既知となっている変数が参照されてもよい。入力ピストンの調節ストロークは、例えば応答ディスクの変形に対応し、応答ディスクの変形は、ブレーキ力増幅装置の制御から提供可能である。同時に、ブレーキ力増幅装置の制御は、一般に、連続的にブレーキ力増幅装置のモータのストロークを決定する。車輪ブレーキ圧力は、ESP装置により提供可能である。ドライバのブレーキ力は、供給圧力センサを介して決定されてもよい。代替態様として、支援力および応答ディスクのたわみからトルク釣合いに基づいてドライバのブレーキ力を計算する可能性が存在する。
例えば、目標速度変数は、ブレーキ力情報、実際速度変数および相対速度変数を考慮して、ドライバのブレーキ力が変化したときにおいても入力ピストンの位置の所定の特性曲線が保持されるように設定される。目標ブレーキ変数はドライバのブレーキ力変数の特性曲線であってもよい。両方の特性曲線は、制御装置のメモリ内に記憶されていてもよい。

Claims (10)

  1. 車両のドライバによりブレーキ装置の操作要素(10)が操作されたときに前記操作要素(10)に与えられ且つ少なくともその一部がブレーキ装置の入力ピストン(12)に伝達されたドライバのブレーキ力(Ff)に関するブレーキ力情報(28)を決定するステップ(S1)を有する車両のブレーキ力増幅式ブレーキ装置の作動方法において、
    ブレーキ装置のブレーキ力増幅装置(14)の支援力(Fu)が、ブレーキ装置の支援ピストン(16)に与えられた該支援ピストン(16)の調節速度(v2)に関する実際速度変数(34)を決定するステップ(S2)と、
    入力ピストン(12)に対する支援ピストン(16)の相対速度(vd)に関する相対速度変数(40)を決定するステップ(S3)と、
    前記決定されたブレーキ力情報(28)、前記決定された実際速度変数(34)および前記決定された相対速度変数(40)を考慮して、前記支援ピストン(16)の調節速度(v2)に関する目標速度変数(50)を設定するステップ(S4)と、
    前記設定された目標速度変数(50)を考慮して、ブレーキ力増幅装置(14)を操作するステップ(S5)と、
    を特徴とする車両のブレーキ力増幅式ブレーキ装置の作動方法。
  2. 前記目標速度変数(50)を設定するために、前記決定されたブレーキ力情報(28)を考慮して目標入力ピストン速度変数が設定され、前記設定された目標入力ピストン速度変数をさらに考慮して目標速度変数(50)が設定されることを特徴とする請求項1に記載の作動方法。
  3. 前記相対速度変数(40)が、差ストローク・センサ(38)により決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の作動方法。
  4. 車両の少なくとも1つの車輪に与えられた非油圧式追加ブレーキ・トルクに関する実際ブレーキ変数を決定するステップ(S10)と、
    前記決定された実際ブレーキ変数、または前記実際ブレーキ変数および所定の目標ブレーキ変数の比較、を考慮して目標ブレーキ・トルク変化を設定するステップ(S12)と、
    前記設定された目標ブレーキ・トルク変化を考慮して車両の少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つの油圧装置を操作するステップ(S13)と、
    をさらに有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の作動方法。
  5. 少なくとも1つの油圧装置として、少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つのポンプ及び/または少なくとも1つの弁が、前記設定された目標ブレーキ・トルク変化を考慮して、前記設定された目標ブレーキ・トルク変化に対応するブレーキ媒体容量が少なくとも1つのブレーキ回路と、ブレーキ装置の少なくとも1つの貯蔵室及び/またはブレーキ装置のマスタ・ブレーキ・シリンダ(22)との間で移動されるように制御されることを特徴とする請求項4に記載の作動方法。
  6. 前記少なくとも1つの油圧装置を操作する前に、前記少なくとも1つの油圧装置と前記マスタ・ブレーキ・シリンダとの間に配置されている弁が閉鎖される(S14)ことを特徴とする請求項4または5に記載の作動方法。
  7. 車両のドライバによりブレーキ装置の操作要素(10)が操作されたときに提供され且つ少なくともその一部がブレーキ装置の入力ピストン(12)に伝達可能なドライバのブレーキ力(Ff)に関する、車両固有のブレーキ力センサ(11)から提供されたブレーキ力情報(28)が、第1の受信装置(26)により受信可能なように設計されている該第1の受信装置(26)を有する、車両のブレーキ力増幅式ブレーキ装置用制御装置(24)において、
    ブレーキ装置のブレーキ力増幅装置(14)によりブレーキ装置の支援ピストン(16)に支援力(Fu)を与えることが可能な、ブレーキ装置の該支援ピストン(16)の調節速度(v2)に関する、第1の速度センサ(32)から提供された実際速度変数(34)が、第2の受信装置(30)により受信可能なように設計されている該第2の受信装置(30)と、
    入力ピストン(12)に対する支援ピストン(16)の相対速度(vd)に関する、第2の速度センサ(38)から提供された相対速度変数(40)が、第3の受信装置(36)により受信可能なように設計されている該第3の受信装置(36)と、
    前記受信されたブレーキ力情報(28)、前記受信された実際速度変数(34)および前記受信された相対速度変数(40)を考慮して、前記支援ピストン(16)の調節速度(v2)に関する目標速度変数(50)が評価装置(42)により設定可能なように設計されている該評価装置(42)と、
    前記設定された目標速度変数(50)を考慮して制御信号(54)を前記ブレーキ力増幅装置(14)に提供するように設計されている制御機構(52)と、
    を含むことを特徴とする車両のブレーキ力増幅式ブレーキ装置用制御装置(24)。
  8. 制御装置(24)が、
    車両の少なくとも1つの車輪に与えられた非油圧式追加ブレーキ・トルクに関する、センサ装置から提供された実際ブレーキ変数が、第4の受信装置により受信可能なように設計されている該第4の受信装置と、
    前記提供された実際ブレーキ変数、または前記提供された実際ブレーキ変数および所定の目標ブレーキ変数の比較、を考慮して、目標ブレーキ・トルク変化が評価/制御装置により設定可能なように設計されている前記評価/制御装置であって、さらに、車両の少なくとも1つのブレーキ回路の少なくとも1つの油圧装置が、前記設定された目標ブレーキ・トルク変化を考慮して、前記評価/制御装置により、前記設定された目標ブレーキ・トルク変化に対応するブレーキ媒体容量が少なくとも1つのブレーキ回路とブレーキ装置の少なくとも1つの貯蔵室および/またはブレーキ装置のマスタ・ブレーキ・シリンダ(22)との間で移動可能に制御可能なように設計されている前記評価/制御装置と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
  9. 請求項7または8に記載の制御装置(24)を有するブレーキ力増幅式ブレーキ装置用ブレーキ力増幅装置。
  10. 請求項7または8に記載の制御装置(24)または請求項9に記載のブレーキ力増幅装置(14)を有する車両用ブレーキ力増幅式ブレーキ装置。
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