JP5324533B2 - 直流高電圧電源装置の高安定化方法及び直流高電圧電源装置 - Google Patents

直流高電圧電源装置の高安定化方法及び直流高電圧電源装置 Download PDF

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Description

本発明は、安定に動作する電子部品装置を用い、出力高電圧の安定化機能を有する直流高電圧電源装置、その出力高電圧をより安定化する方法に関する。
半導体製造装置に用いられる電子ビーム又はイオンビームなどのような荷電粒子ビームによる集積回路のマスク描画装置、電子顕微鏡装置などにあっては、高精度の荷電粒子ビームなどを照射する必要が多々あり、このような場合には荷電粒子ビームなどの安定度に大きな影響を与える直流高電圧に対しても、非常に高い安定度が要求される。
このような非常に高い安定度の出力高電圧を要求される直流高電圧電源装置にあっては、周囲温度などの条件が理想状態にある場合には、要求される安定度を満足する高安定度の高出力電圧を出力する機能を備えている。
通常、半導体製造装置は室温が設定温度に対して±1℃程度の温度範囲で管理されているクリーンルーム内で使用され、これに伴い、半導体製造装置に用いられる高安定度の出力電圧を出力する直流高電圧電源装置もクリーンルーム内で使用されるが、1℃程度の室温の変動でも無視できない悪影響を受ける。この周囲温度の変化によって出力電圧の安定度が低下する主な原因は、電圧検出抵抗器の抵抗値が温度ドリフトにより変化することと、基準電圧発生回路の出力が温度ドリフトにより変動するということにあった。したがって、従来の一般的な高安定化電源装置では、温度ドリフトの小さい電子部品を選定して回路を構成し、また、出力電圧検出抵抗器の温度特性を補償して周囲温度が変化しても温度特性がほとんど変化しないようにするなどの対策がとられていた。
しかし、最近、集積回路のマスクなどの高密度化に伴って荷電粒子ビームをよりいっそう高精度で制御する必要が生じ、このためには荷電粒子ビーム装置から荷電粒子ビームを引き出す加速電圧の更なる高安定度化の要求がある。しかし、従来の場合には、クリーンルームにおいてさえ温度管理が十分高精度で行われていないために、温度の高安定性の要求される電圧検出抵抗器のような電子部品、あるいはこのような電子部品や基準電圧発生回路を含む直流高電圧部の温度の安定性が十分ではなく、電圧検出抵抗器の抵抗値が温度変化による影響で変化したり、基準電圧発生回路の温度ドリフト特性による影響で、高安定度の出力高電圧を得ることができなかった。
特に、高安定度の高電圧直流電源装置にあっても通常の高電圧直流電源と同じように、エポキシ樹脂などの電気絶縁被覆材料で直流高電圧部をモールドしている場合が多く、この場合には、高電圧直流電源装置を起動してから回路部品が発する熱によって電気絶縁被覆材料が徐々に上昇するために、熱的に飽和するまでに10時間から30時間程度の時間がかかり、その間、電圧検出抵抗器の抵抗値が変化したり、基準電圧発生回路がその温度ドリフトによる影響で、高精度の基準電圧を発生できない。また、電気絶縁被覆材料の熱時定数が大きいために、温度制御しても時間遅れが大きいので、電圧検出抵抗器や基準電圧発生回路などの温度を短時間で一定に制御することは難しかった。これらのことが、十分に高精度の直流出力高電圧を得る大きな妨げとなっていた。
さらに、荷電粒子ビームを発生する電子管のフィラメントを加熱するためにフィラメントに電力を供給するフィラメント給電部も電気絶縁被覆材料でモールドされている場合、
このフィラメント給電部も直流電源装置を起動してから回路部品が発する熱によって電気絶縁被覆材料が徐々に上昇するために、つまり、電気絶縁被覆材料の熱時定数によって熱的に飽和するまでに10時間から30時間程度の時間がかかり、その間、温度ドリフトによる影響を受け、このことが非常に安定度の高い荷電粒子ビームの発生、あるいは高精度の電子顕微鏡観察を更に困難なものにしていた。
したがって、電気絶縁被覆材料でモールドされた直流高電圧部の温度を一定に管理するだけならば、温度管理を高精度でできる恒温室に直流高電圧部を収納すればよいが、高電圧の電気絶縁なども考慮しなければならないので、恒温室が大規模なものになり、コスト的にも高くなるので、実用的でない。また、20〜25℃の範囲のいずれかの温度に設定されるクリーンルーム内に、かかる直流高電圧部を備える直流高電圧電源装置を配置する場合であっても、電源装置の収納方法などによって温度が周囲温度(クリーンルーム内の室温)に対して0〜10℃程度の範囲で上昇してしまう。したがって、前述のようにクリーンルームが設定温度の±1℃以内に管理されるものとすると、周囲温度の変動範囲は19〜36℃として電源装置の設計を行う必要があった。
したがって、この場合には、温度制御能力を大きくしなければならず、そのためにはインバータ回路の大容量化を避けることができなかった。このことは、インバータ回路のスイッチングノイズを大きくし、出力直流高電圧の高安定化を妨げる一因となる。
このような問題点を考慮して、一部分の回路だけを恒温室に収納し、温度制御することによって、電子部品の発熱や周囲温度の変化による電流変化の小さい、安定度に優れた直流電源を得ることが既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来の直流電源では、直流出力を増減させる信号をスイッチング回路に供給する比較回路と、温度制御器とを恒温ユニット室に収納して、比較回路の温度を一定に制御している。また、特許文献1には電圧検出器や電流検出器とを恒温槽又は油槽に収納して温度制御することも開示されている。
しかし、この従来の直流電源装置では出力電圧検出用電子部品や基準電圧を発生する電子回路を電気絶縁被覆材料でモールドしてなる高電圧直流電源を対象にしておらず、電気絶縁被覆材料の熱時定数を考慮していない。したがって、この従来の直流電源装置では電気絶縁被覆材料によってモールドされた電子部品、あるいはモールドされた直流高電圧部を備えている直流高電圧電源装置の温度の安定化を短時間で達成するのは難しく、また、これらの小型化も困難であるという問題がある。当然に、この特許文献には、電気絶縁被覆材料の熱時定数を逆に利用して、モールドされた物品の温度の高安定化を図ろうとする技術思想は開示されていない。
特開2003−284323号公報
本発明は、前述の課題に鑑み、電気絶縁被覆材料によってモールドされた電子部品の温度を短時間で高精度に安定させ、それ以降、温度を高精度で一定に保持することが可能で、また、電気絶縁被覆材料によってモールドされた直流高電圧部を備える直流高電圧電源装置の出力高電圧を短時間に高精度で安定化させ、それ以降、温度を高精度で一定に保持することを目的としている。
第1の発明は、直流高電圧電源装置の出力電圧を検出するための出力電圧検出手段を電気絶縁被覆材料でモールドしてなるモールド物品による出力電圧検出値が、基準電圧発生手段の基準値になるように制御して、前記出力電圧を電気的に安定化する機能を有する直流高電圧電源装置の高安定化方法において、前記モールド物品の周囲温度Taを考慮して求められるそのモールド物品の飽和温度の予想値Tbになるように、前記モールド物品の温度を制御し、前記モールド物品の温度が前記飽和温度の予想値Tb又はその近辺の温度で安定するとき、その安定した温度を保持するように温度制御することを特徴とする直流高電圧電源装置の高安定化方法を提供するものである。
第2の発明は、出力電圧検出手段を電気絶縁被覆材料で覆ってなるモールド物品と、低電圧を直流高電圧に変換する直流高電圧昇圧部であって、前記出力電圧検出手段とは別に電気絶縁被覆材料でモールドされている前記直流高電圧昇圧部と、フィラメントとカソードとを有する管球の前記フィラメントに電力を供給するためのフィラメント給電部であって、前記出力電圧検出手段と前記直流高電圧昇圧部とは別に電気絶縁被覆材料でモールドされている前記フィラメント給電部とを備え、出力電圧を検出する前記出力電圧検出手段の検出値が基準電圧発生回路の基準値になるように制御して、前記出力電圧を電気的に安定化する機能を有する直流高電圧電源装置の安定化方法であって、前記モールド物品の周囲温度Taを考慮して求められる該モールド物品の飽和温度の予想値Tbになるように、前記モールド物品の温度を制御し、前記モールド物品の温度が前記飽和温度の予想値Tb又はその近辺の温度で安定するとき、その安定した温度を保持するように温度制御すると共に、前記直流高電圧電源装置の起動時には、前記フィラメント給電部がその飽和温度の予想値になるように、前記フィラメント給電部の外面を加熱又は冷却することを特徴とする直流高電圧電源装置の高安定化方法を提供する。
の発明は、前記第2の発明において、前記出力電圧の安定性、前記直流高電圧電源装置の運転時間、前記モールド物品の内部温度と前記フィラメント給電部の内部温度との差が所定値以内にあるか否か、前記モールド物品の内部温度と前記フィラメント給電部の内部温度とが前記飽和温度近辺にあるか否かの四つの条件のいずれか、又は組み合わせを前記モールド物品の温度が前記飽和温度の予想値Tb又はその近辺の温度で安定したか否かの判断ファクタとすることを特徴とする直流高電圧電源装置の高安定化方法を提供する。
の発明は、前記第2の発明又は前記第3の発明において、前記基準電圧発生回路の温度は、前記モールド物品の外面の温度とほぼ同じになるように設定されることを特徴とする直流高電圧電源装置の高安定化方法を提供する。
第5の発明は、直流高電圧電源装置の出力電圧を検出するための出力電圧検出手段を電気絶縁被覆材料でモールドしてなるモールド物品による出力電圧検出値が、基準電圧発生手段の基準値になるように制御して、前記出力電圧を電気的に安定化する機能を有する直流高電圧電源装置であって、前記モールド物品の周囲温度Taを考慮して求められる該モールド物品の飽和温度の予想値Tbになるように、前記モールド物品の温度を制御し、前記モールド物品の温度が前記飽和温度の予想値Tb又はその近辺の温度で安定するとき、その安定した温度を保持するように温度制御することを特徴とする直流高電圧電源装置を提供するものである。
第6の発明は、出力電圧検出手段を電気絶縁被覆材料で覆ってなるモールド物品と、低電圧を直流高電圧に変換する直流高電圧昇圧部であって、前記出力電圧検出手段とは別に電気絶縁被覆材料でモールドされている前記直流高電圧昇圧部と、フィラメントとカソードとを有する管球の前記フィラメントに電力を供給するためのフィラメント給電部であって、前記出力電圧検出手段と前記直流高電圧昇圧部とは別に電気絶縁被覆材料でモールドされている前記フィラメント給電部とを備え、出力電圧を検出する前記出力電圧検出手段の検出値が基準電圧発生回路の基準値になるように制御して、前記出力電圧を電気的に安定化する機能を有する直流高電圧電源装置であって、前記モールド物品の周囲温度Taを考慮して求められる該モールド物品の飽和温度の予想値Tbになるように、前記モールド物品の温度を制御し、前記モールド物品の温度が前記飽和温度の予想値Tb又はその近辺の温度で安定するとき、その安定した温度を保持するように温度制御すると共に、前記直流高電圧電源装置の起動時には、前記フィラメント給電部がその飽和温度の予想値になるように、前記フィラメント給電部の外面を加熱又は冷却することを特徴とする直流高電圧電源装置を提供する。
前記第1の発明、前記第2の発明によれば、直流高電圧電源装置の直流高電圧部を一定温度に維持することによって、高精度に安定した直流高電圧を得ることもできる。
前記第3の発明によれば、4種類の条件のいずれかによってモールド物品の温度の安定化を判断できるので、容易、かつ自動的に前記温度の安定性を判断することもできる。
また、前記第4の発明によれば、高精度の安定した基準電圧を得ることができるので、より一層、高精度に安定した直流高電圧を得ることができる。
前記第5の発明、前記第6の発明によれば、直流高電圧電源装置の直流高電圧部を一定温度に維持することによって、高精度に安定した直流高電圧を得ることもできる。
本発明に係る実施形態1の高電圧直流電源装置の直流高電圧部を示す図である。 実施形態1の高電圧直流電源装置に用いられる電子部品装置とそれの温度制御構造とを示す図であって、図1のX−X’での断面図である。 一般的な高電圧直流電源装置の概要を示すブロック図である。 本発明に係る実施形態1の温度制御の概要を示す図である。 本発明に係る実施形態1に係る温度制御を説明するためのフローチャートを示す図である。 本発明の実施形態1に係るモールド体の温度−時間特性を示す図である。 本発明の他の実施形態1に係る高電圧直流電源装置の直流高電圧部の出力電圧−時間特性を示す図である。 本発明の実施形態1に係る高電圧直流電源装置の出力電圧検出部1の一部断面を示す図である。 本発明の実施形態2に係る電子部品装置を説明するための図である。
[実施形態1]
先ず、本発明を実施するための最良の形態である実施形態1の直流高電圧電源装置について説明する。本発明は、描画装置のような一定の加速電圧などを必要とする装置に適用され、検出抵抗のような電子部品の消費電力が一定、つまり発熱が一定である装置に有効である。
図1ないし図8により本発明の実施形態1について説明する。図1は本発明の実施形態1に係る高電圧直流電源装置の直流高電圧部を示す図である。図2はその直流高電圧部における出力電圧検出部として用いられる、電子部品を電気絶縁被覆材料で覆った電子部品装置とそれの温度制御構造とを示す図であって、図1のX−X’での断面図である。図3は一般的な高電圧直流電源装置の概要を示すブロック図である。図4は温度制御の概要を示す図である。図5はこの実施形態1に係る温度制御を説明するためのフローチャートを示す図である。図6は電子部品装置とフィラメントモールド体との温度−時間特性を示す。図7は出力電圧−時間特性を示す。図8は出力電圧検出部1の一部断面を示す図である。
この実施形態1では、図3に示すような高電圧直流電源装置の直流高電圧部を第1、第2、第3の三つのブロックに分けて、それぞれを電気絶縁被覆材料でモールドしている。図1に示すように、第1のブロックは、出力高電圧を検出する出力電圧検出部1からなる。第2のブロックは、荷電粒子ビームを発生する電子管のフィラメントを加熱するための電力を供給するフィラメント給電部2からなる。第3のブロックは、低電圧を直流高電圧に変換する高電圧トランスとコッククロフト・ウォルトン回路のような高電圧昇圧部とからなる高電圧昇圧部3である。
図2に示すように、出力電圧検出部1は高精度の出力電圧検出が可能な電子部品装置10により構成されている。電子部品装置10は、電子部品として複数の抵抗器を直列接続してなる一般的な高電圧抵抗器Rを電気絶縁被覆材料Cで樹脂モールドしてなるモールド物品10Aを備える。モールド物品10Aは直方体の形状をしており、モールド物品10Aの六つの外面は、図示しない高電圧接続部を除いて一般的な導電塗料などを塗布、又は金属を蒸着することによって形成された導電膜10Bで覆われている。導電膜10Bの上には導電膜10Bと金属板10Dとの間の熱的結合を高めるためのコンパウンド層10Cが形成されている。なお、高電圧抵抗器Rにはコンデンサが並列接続されていても勿論よい。
モールド物品10Aを覆う金属ジャケットを形成する金属板10Dは、モールド物品10Aの6面を覆う銅板のような熱伝導の良好なものであり、その厚みは熱伝導、熱容量などの面から、好ましくは厚い方がよいが、重量、コスト、大きさなどを考慮して決められる。導電膜10Bは、モールド物品10Aの外面と金属板10Dとの間の電位差をゼロにして、これらの間に放電が発生するのを防ぐ働きを行うものである。これら導電膜10Bとコンパウンド層10Cと金属板10Dとは、モールド物品10Aの6面を覆う熱伝導材料手段を形成する。コンパウンド層10Cは、金属板10Dを導電膜10Bに密接させることができれば、必要ではない。
対向する一対の金属板10Dに、それぞれ温度調整用ヒータ10F、10F’を設ける。温度調整用ヒータ10F、10F’は、図示しないが、例えば、適切な抵抗値を有する多数の抵抗器を直列接続したものを熱収縮チューブ内に納め、それを角型に配列して熱伝導の良好なシート間に挟んでなる簡便なシート状のヒータである。このようなヒータが金属板10Dに固着されている。温度調整用ヒータ10F、10F’の動作、働きなどについては後で詳述するが、モールド物品10Aの温度が飽和予想値で安定したら、その温度を安定に維持する働きを行う。ここで、温度調整用ヒータ10F、10F’は2面の金属板10Dだけに備えられているが、金属板10Dは熱伝導がよいことと、その保持される温度が周囲温度に比較的近い温度であるので、すべての金属板10Dがほぼ一様な温度に保持される。なお、温度調整用ヒータ10Fは金属板10Dの1面のみに設けても良い。又は金属板10Dの3面に設けても良い。
また、温度調整用ヒータ10F、10F’が設けられた金属板10Dにほぼ直交する面の金属板10Dには初期加熱用ヒータ10Eが取付けられている。初期加熱用ヒータ10Eも、例えば、前述したような構造のシート状のヒータであり、温度調整用ヒータ10F、10F’に比べて数倍から十数倍程度の電力容量、つまり発熱容量を有する。この初期加熱用ヒータ10Eの動作、働きなどについても後で詳述するが、モールド物品10Aは前述のように熱時定数が大きく、したがって、モールドされている高電圧抵抗器の発生する熱だけでは飽和温度に達するまでに長時間かかるので、起動初期にモールド物品10Aを飽和温度の予想値近辺まで短時間で上昇させる働きを行う。温度調整用ヒータ10F、10F’は、市販のセラミックヒータ、あるいはペルチエ素子でも構わない。そして、これら温度調整用ヒータ10F、10F’、初期加熱用ヒータ10E、及びこれらが設けられていない金属板10Dを断熱材料層10Gで覆う。断熱材料層10Gは市販されている一般的なもので良い。
図1〜図3では示していないが、モールド物品10Aの表面温度を測定する温度センサが、温度調整用ヒータ10F、10F’が設けられた金属板10Dの表面に接着される。モールド物品10Aの表面温度と金属板10Dの表面温度とは実質的に等しい。また、図示していないが、モールド物品10Aの内部温度を測定する温度センサも備えている。これら温度に関するデータは後述する温度制御装置に送られる。
次に、フィラメント給電部2は、図3に示すように、制御された高周波低電圧を2次巻線側に伝達し、直流高電圧を電気絶縁するフィラメントトランスFTと整流回路などである2次側回路FCとグリッドGの電圧を調整するグリッドバイアス回路GBとからなるフィラメント回路によって構成され、図1に示すように、そのフィラメント回路を電気絶縁被覆材料でモールドしたフィラメントモールド体2Aと、このフィラメントモールド体2Aの一面に取付けられたフィラメント用ヒータ2Bとからなる。フィラメント給電部2は電子管EEのフィラメントFに調整された電力を供給する。また、必要に応じてこのフィラメント用ヒータ2Bが取付けられている面と対向する面に同様なフィラメント用ヒータを取付けても勿論よい。図1〜図3では示していないが、フィラメントモールド体2Aにもその表面の温度、内部の温度をそれぞれ測定する温度センサを備える。
高電圧昇圧部3は、図3に示すように、一般的な構造の高電圧トランスHTの2次コイルとその交流高電圧を直流高電圧に変換するコッククロフト・ウォルトン回路のような高電圧整流器HRなどを電気絶縁被覆材料で樹脂モールドしたものであり、グリッドGに直流出力高電圧を供給する。この部分の電子部品や回路は温度変化しても出力高電圧の安定性に実質的に影響を与えないので、高電圧昇圧部3にはいかなるヒータも設けていない。
次に、図4によって温度制御装置20及び関連する構成について説明する。この温度制御装置20はマイコンなどを備え、モールド物品10A用の温度調整用ヒータ10F、10F’の電力制御、初期加熱用ヒータ10Eの駆動、フィラメント用ヒータ2Bの駆動を行う。温度制御装置20は、直流入力端子21、21′から、例えば、DC24Vの直流電圧を受けて動作する。そして、温度制御装置20は、必要な種々の設定が行われた状態で、信号端子22、22′から直流高電圧電源装置の運転オン信号をI/O入力端子23に受信すると、I/O出力端子24から信号を出力して、第1のリレーコイル25A、第2のリレーコイル25Bを付勢する。第1、第2のリレーコイル25A、25Bが付勢されると、その第1のリレー接点25′A、第2のリレー接点25′Bが閉じ、これに伴い、第1のリレー接点25′Aに直列接続されている初期加熱用ヒータ10E、第2のリレー接点25′Bに直列接続されているフィラメント用ヒータ2Bに、入力端子21、21′から電流が流れ始め、前述した電子部品装置10、フィラメントモールド体2Aをそれぞれ加熱し始める。
また、温度制御装置20は、信号端子22、22′から直流高電圧電源装置の運転オン信号をI/O入力端子23に受信すると、D/A出力端子26から前述の温度調整用ヒータ10F、10F’に電流を流す。このとき温度調整用ヒータ10F、10F’に供給される電流は、その最大の供給電流を100%とすると、その半分である50%の電流値に制御される。ただし、この時点で必ずしも温度調整用ヒータ10F、10F’に電力が供給される必要はなく、電子回路部品装置10が飽和温度の予想値でほぼ安定する時点以前の任意の時点で、電力供給が開始されて、温度調整用ヒータ10F、10F’が加熱動作を開始しても良い。
A/D入力端子27には、電子部品装置10の周囲の温度を検出する第1、第2の温度センサS1、S2、モールド物品10Aの内部の温度を検出する温度センサS3、モールド物品10Aの表面温度、つまり前述の金属板10Dの温度を測定する第1、第2の温度センサS4、S5、フィラメントモールド体2Aの内部の温度を検出する温度センサS6、フィラメントモールド体2Aの表面の温度を検出する温度センサS7からの温度検出値が入力される。これらの温度検出値は温度データとして温度制御装置20に入力される。なお、予備の温度センサS8も備えられている。ここで、前記内部の温度とはモールド体の比較的中心部に近い箇所の温度を言い、好ましくは高電圧抵抗器Rの近傍の温度がよい。
次に、図5を用いて前述した電子部品装置10、及びこれを用いた直流高電圧電源装置の温度制御について説明する。先ず、各温度センサS1〜S7からのアナログ温度データがA/D入力端子27に入力され(ステップ1、以下ではステップをStで表す。)、それらはディジタル温度データに変換される。ここで、第1、第2の温度センサS1、S2の温度検出値は平均化され、その平均値が周囲温度Taとされる。また、金属板10Dの温度を測定する第1、第2の温度センサS4、S5の温度検出値は平均化され、その平均値がモールド物品10Aの表面温度とされる。以後、同じである。
そして、これら温度検出信号が図示しないマイコンに読み込まれ(St2)、直流高電圧電源装置が前述のようにして起動され、運転オン信号がI/O入力端子23に入力される(St3)と、モールド物品10Aの飽和温度の予想値を不図示のマイコンに設定する(St4)。モールド物品10Aの飽和温度の予想値は、周囲温度を目安として実験から予め求め、確認されている飽和温度データから、温度センサS1とS2によって検出された周囲温度Taの検出値に基づいて求められる。
次に、タイマー機能を働かせ、初期加熱用ヒータ10Eとフィラメント用ヒータ2Bとをオンさせると共に、温度調整用ヒータ10F、10F’をオンさせて、加熱動作を開始させる(St5)。初期加熱用ヒータ10Eのオン時間は、モールド物品10Aの飽和温度の予想値と、温度センサS3によって検出されたモールド物品10Aの内部温度の検出値との温度差に基づいて、どの程度のジュール熱をモールド物品10Aに注入し、そのジュール熱を注入するには100%出力でどの程度の時間、初期加熱用ヒータ10Eに電流を流せば良いかという観点から求められる。このタイマー機能によって、I/O出力端子24は、オン時間が経過するまで初期加熱用ヒータ10Eへ電力の供給を行わせる信号を出力する。
図6において、曲線Xsは電子部品装置10の金属板10Dの温度、つまりモールド物品10Aの表面温度を示し、曲線Xiはモールド物品10Aの内部の温度を示す。また、曲線Ysはフィラメントモールド体2Aの表面温度を示し、曲線Yiはフィラメントモールド体2Aの内部温度を示す。図6に示す曲線Xsから分かるように、初期加熱用ヒータ10Eの加熱で電子部品装置10の金属板10Dの温度は急上昇し、初期加熱用ヒータ10Eのオフによって急に低下する。ここで、曲線Xsのピーク値で初期加熱用ヒータ10Eはオフになる。
他方、同様にしてフィラメントモールド体2Aの飽和温度の予想値を求める。更に、この予想値と温度センサS6によって検出されたフィラメントモールド体2Aの内部温度の検出値との温度差に基づいて、どの程度のジュール熱をフィラメントモールド体2Aに注入し、そのジュール熱を注入するにはどの程度の時間、フィラメント用ヒータ2Bに電流を流せば良いかという観点からフィラメント用ヒータ2Bのオン時間は求められる。タイマー機能によって、I/O出力端子24は、そのオン時間が経過するまでフィラメント用ヒータ2Bへ電力の供給を行わせる信号を出力する。図6の曲線Ysで示すように、フィラメント用ヒータ2Bの加熱によってフィラメントモールド体2Aの表面温度は急激に上昇し、フィラメント用ヒータ2Bのオフによってその表面温度は急激に下降を始め、従来に比べて短い時間で飽和温度に向かって減少する。ここで、曲線Ysのピーク値でフィラメント用ヒータ2Bはオフになる。
つまり、初期加熱用ヒータ10E、フィラメント用ヒータ2Bは無制御で100%出力の状態でそれぞれ予め設定された時間だけ加熱を行い(St6)、タイマによって順次オフにする(St7)。初期加熱用ヒータ10E、フィラメント用ヒータ2Bそれぞれの発熱によって、図6において曲線Xs、Ysで示すように、モールド物品10A、フィラメントモールド体2Aそれぞれの表面温度は短時間で上昇し、その熱が熱伝導によって電気絶縁被覆材料の内部まで伝わり、それによりモールドされている抵抗器、電子回路の発する熱の働きなどもあって、短い期間にそれぞれの飽和温度に近い予想値で安定する。そして、モールド物品10A、フィラメントモールド体2Aそれぞれの内部温度も、曲線Xi、Yiで示すように、同様に短時間で上昇すると共に、従来に比べて短い時間で温度安定領域に近づく。
D/A出力端子26は、50%出力で温度調整用ヒータ10F、10F’を動作させる(St7)。温度調整用ヒータ10F、10F’の加熱動作は、初期加熱用ヒータ10Eのオンと同時に開始する。前記設定時間の経過により、初期加熱用ヒータ10Eがオフして加熱動作を停止しても、温度調整用ヒータ10F、10F’はそのまま50%出力で加熱動作を行う。ここで、温度調整用ヒータ10F、10F’は必ずしも初期加熱用ヒータ10Eと同時にオンすることはなく、初期加熱用ヒータ10Eがオフするまでに、加熱動作に入っていればよい。そのときには、50%出力まで徐々に増大するソフトスタート起動であってもよい。
そして、モールド物品10Aの表面温度が時刻T1でその飽和温度の予想値付近で安定すると(St8)、温度制御装置20はその安定値を制御目標として、温度調整用ヒータ10F、10F’をフィードバック制御し(St9)、検出温度が設定値よりも低ければ(St10)、温度調整用ヒータ10F、10F’への出力電力を大きくし(St11)、検出温度が設定値よりも高ければ(St10)、温度調整用ヒータ10F、10F’への出力電力を小さくして(St12)、モールド物品10Aを飽和温度の予想値で安定させる。したがって、周囲温度の変化にかかわらず、温度調整用ヒータ10F、10F’がモールド物品10Aの表面の温度を一定に保持し、このことがモールド物品10Aの内部をその飽和温度に保持する。つまり、電子部品、ここでは出力電圧検出抵抗器の温度を高い精度で一定に維持するので、その抵抗値も高い精度で一定に保持される。
フィラメントモールド体2Aについても述べると、前述したように、フィラメント用ヒータ2Bのオン時間が経過してオフすると(St7)、図6の曲線Yiで示すように、短時間でフィラメントモールド体2A内部で発生される熱と外部に放熱される熱とが平衡し、その内部のフィラメント回路の温度は一定に保持される。しかし、フィラメントモールド体2Aの場合には温度調整用ヒータを備えていないので、周囲温度が変化すると変化してしまうが、電気絶縁被覆材料の熱時定数によってその変化率は小さい。このため、実際はグリッドバイアス回路GBがバイアス電圧を調整するので、フィラメント電圧の変動による問題は生じない。また、従来の場合には、電気絶縁被覆材料の熱時定数によって飽和温度に達するまでに長時間かかっていたのを、この実施形態では大幅に短縮することができ、短時間で安定した出力特性を得ることが可能である。
ここで、モールド物品10Aの飽和温度の予想値で安定したか否かの判断について説明する。先ず、第1の判断基準として、(1)図7に示すように、出力高電圧の変動がほぼ1/1000000V(1PPM)以内になること。第2の判断基準として、(2)モールド物品10Aの内部温度とフィラメントモールド体2Aの内部温度との双方が、それぞれの飽和温度の予想値の±1℃の範囲内にあること。第3の判断基準として、(3)モールド物品10Aの内部温度とフィラメントモールド体2Aの内部温度との双方が、1時間当たり±0.1℃の範囲内にあること。第4の判断基準として、(4)直流高電圧部がオン動作を開始して、モールド物品10Aが温度飽和する目標時間を超える時間、例えば5時間が経過していること。があげられる。これら(1)〜(4)項のいずれかが満足された時点をもって、モールド物品10Aの温度が飽和温度の予想値で安定したと判断する。
次に、前記モールド物品10Aを用いた出力電圧検出部1について説明を行う。出力電圧検出部1のモールド物品10Aは、図8に示すように、高電圧抵抗器(鎖線で示す)Rを電気絶縁被覆材料Cでモールドしてなり、その構造は図2に示したものとほぼ同様であるが、モールド物品10Aの後面aと金属板10Dとの間に空間bが存在するように、金属板10Dで金属ジャケットを構成している。その空間に位置するように、モールド物品10Aの後面aに基準電圧信号発生回路30を構成する各種電子部品を搭載してなるプリント基板30Aが固定されている。前述したようにして、金属板10Dからなる金属ジャケットの温度を一定に保持することによって、空間bの温度も一定になるから、基準電圧信号発生回路30は一定温度に管理された状態にある。なお、プリント基板30Aのモールド物品10Aの後面aへの取り付けは機械的なストレスがかからないように行われるのが好ましい。ここで、基準電圧信号発生回路30は、図3に示すように、出力電圧検出部1により検出した電圧検出信号と比較される基準信号を発生するものである。
このように、基準電圧信号発生回路30を電気絶縁被覆材料でモールドしないことによって、基準電圧信号発生回路30に電気絶縁被覆材料の硬化時に生じる機械的ストレスを与えないだけでなく、金属板10Dの温度を利用して基準電圧信号発生回路30の温度を一定に保持しているので、基準電圧信号発生回路30の温度ドリフトを小さくできる。したがって、基準電圧信号発生回路30は高精度の基準電圧を発生することができ、出力電圧の高安定化、高精度化に寄与する。なお、基準電圧信号発生回路30を電気絶縁被覆材料Cで一緒にモールドしてもよい。
三つの部分に分割してモールドされた出力電圧検出部1、フィラメント給電部2、高電圧昇圧部3からなる直流高電圧部を備える直流高電圧電源装置を半導体製造に用いる場合には、通常、直流高電圧電源装置はクリーンルームに配置される。クリーンルームの室温は、一般に20〜25℃の温度範囲のいずれかの値に設定され、前述のようにその設定温度に対して±1℃以内に保持される。したがって、前記直流高電圧部の周囲温度は最大でも2℃以内の変動となるので、電力容量の小さな温度調整用ヒータ10F、10F′でもって、十分に出力電圧検出部1を一定温度に保持することができる。
以上述べたようにこの実施形態では、出力電圧検出部1の飽和温度の予想値を求め、初期加熱用ヒータ10Eを無制御で所定時間動作させて前記予想値に近い温度まで短時間で上昇させ、温度が安定した後には、温度調整用ヒータ10F、10F′をフィードバック制御して、電子部品装置10のモールド物品10Aの温度を一定に保持しているので、周囲温度の外乱による温度変化に対して応答が極めて早く、電子部品装置10のモールド物品10Aの内部温度を一定に維持することができる。そして、出力電圧の検出値の精度の安定化を図るばかりでなく、出力電圧の検出値と比較される基準電圧を発生する基準電圧発生回路の温度の高安定化も図って、基準電圧を高安定化させているので、直流出力高電圧の安定化をより高めることができる。
[実施形態2]
実施形態1では、温度制御手段をヒータとして説明したが、温度の上昇だけではなく、温度を降下、つまり、液体の温度制御を行って、昇温と冷却とを行える能力を有する手段とすることもできる。図9によって実施形態2について説明する。図9(B)は、図9(A)の切断線Y−Y′での断面を示す。
図9(B)に示すように、この実施形態におけるモールド物品10Aは、その面積の大きな2面、好ましくはその2面を含む3面又は4面が、金属粉末の混入された導電性と熱伝導の良好な樹脂のようなコンパウンド層10Bで覆われ、更にその外側をアルミニウムのような4枚の金属板10Dでそれぞれ4面を囲んでいる。各金属板10Dには銅パイプ10Hが蛇行して形成されている。各金属板10Dの銅パイプ10Hは、それぞれの接続配管10Iで接続されている。各金属板10Dは断熱材10Gで覆われている。図9(A)では分かり易くするため、断熱材料層10Gを省略している。ここで、コンパウンド層10Bは金属板10Dからなる金属ジャケットにモールド物品10Aを収納した状態で、それらの間にコンパウンドを流し込むことによって、接触熱抵抗を小さくすると共に、電位差を小さくしている。
各金属板10Dの銅パイプ10Hは、一対の配管10J、10Kによって温度制御ユニット40に接続されている。この温度制御ユニット40は、電気を熱に変換する電気−熱変換素子であるペルチエ素子を用いた電子的なものであり、水のような液体、又は空気のような気体を設定温度に対して±0.1℃の範囲で高精度の制御が可能なチラーである。なお、温度センサは図示していないが、実施形態1と同様にモールド物品10Aの周囲温度、内部温度、表面温度を検出する温度センサを備えている。
温度制御ユニット40は、通過する液体又は気体を図示しない電気−熱変換素子で設定温度に温度制御し、温度調整された液体又は気体は配管10J、10Kを通って銅パイプ10Hを流れ、循環する。温度調整された液体又は気体によって、金属板10Dからなる金属ジャケットは設定温度に保持される。この温度制御ユニット40においても、前述したように、初期にはモールド物品10Aの飽和温度の予想値よりも高い温度に制御温度を設定し、短時間で、金属板10Dからなる金属ジャケットを設定温度まで上昇させる。その後、モールド物品10Aの飽和温度の予想値に温度を設定して、金属板10Dからなる金属ジャケットの温度の様子を見、その温度が設定温度よりも高いときには、制御温度を下げて冷却を行い、又は設定温度よりも低いときには制御温度を上昇させて金属板10Dからなる金属ジャケットの温度を上げる。つまり、温度制御ユニット40はフィードバック制御により、配管10J、10Kへ流れる液体又は気体の温度制御を行って、モールド物品10Aが飽和温度の予想値にあるように制御する。
この実施形態2では、実施形態1のようにモールド物品10Aを温度上昇させる温度制御だけでなく、温度上昇と冷却との双方を行う能力を有しているので、モールド物品10Aの温度を上昇させ過ぎたとしても、冷却を行うことによって短時間でモールド物品10Aを設定温度にすることができる。また、冷却能力を有効に利用することによって、モールド物品10Aの温度を低めに安定させることができ、電子部品の利用効率を高めることができる。さらに、温度制御ユニット40は初期用温度制御手段と温度調整用制御手段との双方の働きを行うので、単一の制御だけで良い。
また、実施形態2では、かなり高温の雰囲気でモールド物品10Aを使用する場合、モールド物品10Aを冷却する手段として利用でき、特にモールド物品10Aの電子部品に供給される電力が一定のときには、かなり高温の雰囲気よりも低い一定温度の下で電子部品を動作させることができる。なお、前記電子部品は電子回路又は電気回路、あるいはFET、コンデンサ、これらと抵抗との組み合わせなどでも勿論よく、電力供給源として太陽電池を用いることも可能である。
また、図示しないが、実施形態1と実施形態2とを組み合わせた形で、加熱用ヒータと冷却用液体又は気体を供給する機構の双方をもつ構造としても良い。
半導体デバイスの製造に用いられる集積回路のマスク描画装置、種々の電子顕微鏡装置などの直流高電圧機器に安定な直流高電圧を供給する直流高電圧電源装置として利用される。
1・・・出力電圧検出部
2・・・フィラメント給電部
2A・・・フィラメントモールド体
2B・・・フィラメント用ヒータ
3・・・高電圧昇圧部
10・・・電子部品装置
10A・・・モールド物品
10B・・・導電膜
10C・・・コンパウンド
10D・・・金属板
10E・・・初期加熱用ヒータ
10F、10F’・・・温度調整用ヒータ
10G・・・断熱材
10H・・・銅パイプ
10I・・・接続配管
10J・・・配管
10K・・・配管
20・・・温度制御装置
30・・・基準電圧発生回路
30A・・・基準電圧発生回路のプリント基板
40・・・温度制御ユニット
S1〜S8・・・温度センサ

Claims (6)

  1. 直流高電圧電源装置の出力電圧を検出するための出力電圧検出手段を電気絶縁被覆材料でモールドしてなるモールド物品による出力電圧検出値が、基準電圧発生手段の基準値になるように制御して、前記出力電圧を電気的に安定化する機能を有する直流高電圧電源装置の高安定化方法であって、
    前記モールド物品の周囲温度Taを考慮して求められる該モールド物品の飽和温度の予想値Tbになるように、前記モールド物品の温度を制御し、前記モールド物品の温度が前記飽和温度の予想値Tb又はその近辺の温度で安定するとき、その安定した温度を保持するように温度制御することを特徴とする直流高電圧電源装置の高安定化方法。
  2. 出力電圧検出手段を電気絶縁被覆材料で覆ってなるモールド物品と、低電圧を直流高電圧に変換する直流高電圧昇圧部であって、前記出力電圧検出手段とは別に電気絶縁被覆材料でモールドされている前記直流高電圧昇圧部と、フィラメントとカソードとを有する管球の前記フィラメントに電力を供給するためのフィラメント給電部であって、前記出力電圧検出手段と前記直流高電圧昇圧部とは別に電気絶縁被覆材料でモールドされている前記フィラメント給電部とを備え、出力電圧を検出する前記出力電圧検出手段の検出値が基準電圧発生回路の基準値になるように制御して、前記出力電圧を電気的に安定化する機能を有する直流高電圧電源装置の安定化方法であって、
    前記モールド物品の周囲温度Taを考慮して求められる該モールド物品の飽和温度の予想値Tbになるように、前記モールド物品の温度を制御し、前記モールド物品の温度が前記飽和温度の予想値Tb又はその近辺の温度で安定するとき、その安定した温度を保持するように温度制御すると共に、
    前記直流高電圧電源装置の起動時には、前記フィラメント給電部がその飽和温度の予想値になるように、前記フィラメント給電部の外面を加熱又は冷却することを特徴とする直流高電圧電源装置の高安定化方法。
  3. 請求項2において、
    前記出力電圧の安定性、前記直流高電圧電源装置の運転時間、前記モールド物品の内部温度と前記フィラメント給電部の内部温度との差が所定値以内にあるか否か、前記モールド物品の内部温度と前記フィラメント給電部の内部温度とが前記飽和温度近辺にあるか否かの四つの条件のいずれか、又は組み合わせを前記モールド物品の温度が前記飽和温度の予想値Tb又はその近辺の温度で安定したか否かの判断ファクタとすることを特徴とする直流高電圧電源装置の高安定化方法。
  4. 請求項2又は請求項3おいて、
    前記基準電圧発生回路の温度は、前記モールド物品の外面の温度とほぼ同じになるように設定されることを特徴とする直流高電圧電源装置の高安定化方法。
  5. 直流高電圧電源装置の出力電圧を検出するための出力電圧検出手段を電気絶縁被覆材料でモールドしてなるモールド物品による出力電圧検出値が、基準電圧発生手段の基準値になるように制御して、前記出力電圧を電気的に安定化する機能を有する直流高電圧電源装置であって、
    前記モールド物品の周囲温度Taを考慮して求められる該モールド物品の飽和温度の予想値Tbになるように、前記モールド物品の温度を制御し、前記モールド物品の温度が前記飽和温度の予想値Tb又はその近辺の温度で安定するとき、その安定した温度を保持するように温度制御することを特徴とする直流高電圧電源装置。
  6. 出力電圧検出手段を電気絶縁被覆材料で覆ってなるモールド物品と、低電圧を直流高電圧に変換する直流高電圧昇圧部であって、前記出力電圧検出手段とは別に電気絶縁被覆材料でモールドされている前記直流高電圧昇圧部と、フィラメントとカソードとを有する管球の前記フィラメントに電力を供給するためのフィラメント給電部であって、前記出力電圧検出手段と前記直流高電圧昇圧部とは別に電気絶縁被覆材料でモールドされている前記フィラメント給電部とを備え、出力電圧を検出する前記出力電圧検出手段の検出値が基準電圧発生回路の基準値になるように制御して、前記出力電圧を電気的に安定化する機能を有する直流高電圧電源装置であって、
    前記モールド物品の周囲温度Taを考慮して求められる該モールド物品の飽和温度の予想値Tbになるように、前記モールド物品の温度を制御し、前記モールド物品の温度が前記飽和温度の予想値Tb又はその近辺の温度で安定するとき、その安定した温度を保持するように温度制御すると共に、
    前記直流高電圧電源装置の起動時には、前記フィラメント給電部がその飽和温度の予想値になるように、前記フィラメント給電部の外面を加熱又は冷却することを特徴とする直流高電圧電源装置。
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