JP5222748B2 - 直流高電圧電源装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
(1)安定性に優れた単体部品を選別し使用する。
(2)分圧抵抗器部の温度を安定化させる。
上記(1)は、高い安定性能を有する単体部品を多数準備し、それらの中からさらに安定性能の良いものを選び出す方法であるが、本方法では、余分の部品を準備しなければならないため、部品コストが増し、選別に要する時間が製造とは別に必要となる。また、本方法により安定性能を向上させることが出来るが、選別を経た単体部品であっても使用時の温度変化による抵抗値変化は不可避であり、単なる選別部品を使用するだけでは動作時の安定性が十分ではない。
1.直流高電圧電源の基本構成
直流高電圧電源100の基本構成を図1に示す。直流高電圧電源は主に、電圧設定回路101と誤差検出回路102とを備えた高電圧制御部103と、分圧抵抗器104と検出抵抗器105とを備えた高電圧分圧部106と、高電圧発生部107と、高電圧給電部108とで構成されている。動作概略は次の通りである。
2.温度係数
上述により、分圧抵抗器104の抵抗値と検出抵抗器105の抵抗値の安定度が検出電圧Vsに直接関係することが明らかとなった。ここでは検出電圧の安定度に関する指標として、該両抵抗器に用いられる抵抗値の温度係数について定義する。
温度係数は、2つの温度での抵抗値変化量で抵抗値を温度の関数とみなしたときの変化率であり、式(4)に定義される。
3.抵抗器の温度係数、温度変化と出力電圧の関係
次に温度係数、および抵抗素子ごとの温度変化を考慮した場合について検討する。図3に高電圧分圧部の回路模式図を示す。各素子のパラメータは図中にも示したように、抵抗値R〔Ω〕、温度係数ε〔ppm/℃〕、温度変化ΔT〔℃〕である。このときの入力である高電圧(HV)、検出電圧(Vs)、分圧抵抗器104の抵抗値の関係式を式(5)〜式(7)に示す。
4.本願における出力電圧安定化の原理
本願における直流高電圧電源装置における分圧抵抗器の温度安定性や高電圧安定化のための方法は、上記(1)、(2)の方法と原理的に異なる。各々の抵抗素子の温度係数を小さくしたり、各素子の実用時の温度変化を小さくするような制御をするのではなく、式(7)の右辺第2項をまとめてゼロに漸近する方法、すなわち、分圧抵抗器と検出抵抗器の抵抗値の比率(Rs/Ra)を一定とするように制御を行うものである。なお、設定値に対して±0.3ppm/min以内なら一定とみなせる。ppmとは10のマイナス6乗を意味する。
5.抵抗素子の温度特性評価方法
温度を制御するに際しては、事前に各抵抗値の温度特性を知っておくことが必要である。温度特性を評価するに際して、本願で扱っている精度は非常に高精度(0.1ppmの桁)であり、測定に工夫を要する。また、分圧抵抗器104に関しては抵抗素子が組み合わされて多段化しており、抵抗値が大きくなってしまう。そこで、出来る限り高精度の電圧源(数ppm以下)及び基準抵抗器(0.1ppm以下)を用いて、電圧として評価し、抵抗値に換算する。この方式を用いれば、抵抗器単体のみならず、全体の温度特性も得ることが出来る。その上で、測定環境も制御することで高精度な測定が可能となる。図4に単体での高精度温度特性評価の回路模式図、図5に組み合わせた抵抗器の電圧評価による高精度温度特性評価の回路模式図を示す。
先ず、ステップ1(S1)では、電圧設定回路101により、設定電圧Vrefを設定し、高電圧発生部107にて高電圧HVを発生させる。次いで、ステップ2(S2)において、分圧抵抗器104の温度を温度センサ601で取得し、温度制御回路602へと入力する。次いで、ステップ3(S3)において、取得した温度データを元に温度制御回路602で算出された制御量を加熱・冷却器603へと入力する。次いで、ステップ4(S4)において、設定電圧Vrefと検出電圧Vsの差分がゼロか否かを誤差検出回路102で判断する。Vref−Vs=0ならば、高電圧は所望の値に安定に制御されており、現状の高電圧HVはそのまま維持される(ステップ6(S6))。Vref−Vs≠0ならば、ステップ5へと進む。
ステップ1(S1)では、設定電圧Vrefが、制御システム801からの高電圧設定データ803に基づいて電圧設定回路101において設定され、高電圧発生部107において高電圧HVが発生する。次いで、ステップ2(S2)では、温度センサ601で取得された分圧抵抗器104の温度データが、外部の制御システム801へ入力される。次いで、ステップ3(S3)では、温度データ及びメモリ部820に保存された温度特性データを用いて、分圧抵抗器104の抵抗値と検出抵抗器105の抵抗値との比が設定値となるように検出抵抗器105を温度制御するための制御量が情報処理部810において算出される。次いで、ステップ4(S4)では、算出された制御量が温度制御データ802として温度制御回路602へ伝送され、加熱・冷却器603へ入力される。次いで、ステップ5(S5)において、設定電圧Vrefと検出電圧Vsの差がゼロか否かを誤差検出回路102で判断する。Vref−Vs=0ならば、高電圧は所望の値に安定に制御されており、現状の高電圧HVはそのまま維持される(ステップ7(S7))。Vref−Vs≠0ならば、ステップ6へと進む。
Claims (11)
- 高電圧発生部と、誤差検出回路を備えた高電圧制御部と、前記高電圧発生部で発生した電圧を検出電圧として検出し、前記誤差検出回路へフィードバックするための分圧抵抗器および検出抵抗器を備えた高電圧分圧部とを有する直流高電圧電源装置であって、
前記分圧抵抗器の抵抗値の変動に応じ、前記抵抗値と前記検出抵抗器の抵抗値との比が所定の設定値で一定となるように前記検出抵抗器の抵抗値を制御する手段を更に有することを特徴とする直流高電圧電源装置。 - 請求項1記載の直流高電圧電源装置において、
前記抵抗値と前記検出抵抗器の抵抗値との比が所定の設定値で一定となるように前記検出抵抗器の抵抗値を制御する手段は、前記分圧抵抗器の温度を測定するための温度センサと、前記温度センサからの出力に基づき前記検出抵抗器の温度を制御する手段とを含むことを特徴とする直流高電圧電源装置。 - 請求項2記載の直流高電圧電源装置において、
前記検出抵抗器の温度を制御する手段は、加熱器又は冷却器或いはその両者の機能を有する加熱冷却器と、前記温度センサからの出力に基づき前記加熱器又は冷却器或いはその両者の機能を有する加熱冷却器の温度を制御する温度制御回路とを含むことを特徴とする直流高電圧電源装置。 - 請求項3記載の直流高電圧電源装置において、
前記検出抵抗器は、前記加熱器又は冷却器或いはその両者の機能を有する加熱冷却器に直接取り付けられ、それ以外の部分は断熱材で覆われていることを特徴とする直流高電圧電源装置。 - 請求項3記載の直流高電圧電源装置において、
前記検出抵抗器は、熱伝導性の良い充填剤で満たされた箱内に設置され、
前記箱は、前記加熱器又は冷却器或いはその両者の機能を有する加熱冷却器に直接取り付けられ、それ以外の部分は断熱材で覆われていることを特徴とする直流高電圧電源装置。 - 請求項2記載の直流高電圧電源装置において、
前記分圧抵抗器は、熱的に良伝導体でかつ電気的に絶縁体の基板上に設置され、前記温度センサが前記基板に取り付けられていることを特徴とする直流高電圧電源装置。 - 高電圧発生部と、誤差検出回路を備えた高電圧制御部と、前記高電圧発生部で発生した電圧を検出電圧として検出し前記誤差検出回路へフィードバックするための、分圧抵抗器及び検出抵抗器を備えた高電圧分圧部とを有する直流高電圧電源装置であって、
前記分圧抵抗器の温度を測定するための温度センサと、
前記検出抵抗器の温度を制御するための加熱器又は冷却器或いはその両者の機能を有する加熱冷却器と、
前記温度センサからの温度データに基づき、前記分圧抵抗器の抵抗値と前記検出抵抗器の抵抗値との比が所定の設定値で一定となるように前記加熱器又は冷却器或いはその両者の機能を有する加熱冷却器を制御する温度制御回路とを更に有することを特徴とする直流高電圧電源装置。 - 高電圧発生部と、誤差検出回路を備えた高電圧制御部と、前記高電圧発生部で発生した電圧を検出電圧として検出し前記誤差検出回路へフィードバックするための、分圧抵抗器及び検出抵抗器を備えた高電圧分圧部とを有する直流高電圧電源装置であって、
前記分圧抵抗器の温度を測定するための温度センサと、
前記検出抵抗器の温度を制御するための加熱器又は冷却器或いはその両者の機能を有する加熱冷却器と、
予め取得された分圧抵抗器および検出抵抗器の温度特性データが保存されているメモリ部と、前記温度センサからの出力データと前記温度特性データとを用いて前記分圧抵抗器の抵抗値と前記検出抵抗器の抵抗値との比が所定の設定値で一定となるように前記検出抵抗器の温度を制御するための制御量を演算処理する演算処理部とを備えた制御システムと、
前記制御システムからの前記制御量に基づき、前記加熱器又は冷却器或いはその両者の機能を有する加熱冷却器を制御する温度制御回路とを更に有することを特徴とする直流高電圧電源装置。 - 請求項1記載の直流高電圧電源装置の制御方法であって、
前記高電圧発生部にて高電圧を発生させるための設定電圧を前記高電圧制御部にて設定するステップと、
前記分圧抵抗器の抵抗値と前記検出抵抗器の抵抗値との比が所定の設定値か否かを判定するステップと、
前記比が所定の設定値でない場合に、前記比が所定の設定値で一定となるように前記検出抵抗値を制御するステップとを有し、
前記設定電圧と前記検出電圧とを用いて、前記前記高電圧給電部が供給する高電圧を安定化させることを特徴とする直流高電圧電源装置の制御方法。 - 請求項7記載の直流高電圧電源装置の制御方法であって、
前記高電圧発生部にて高電圧を発生させるための設定電圧を前記高電圧制御部にて設定するステップと、
前記温度センサからの温度データを前記温度制御回路へ入力するステップと、
前記温度データに基づいて、前記分圧抵抗器の抵抗値と前記検出抵抗器の抵抗値の比が所定の設定値で一定となるような温度の制御量を算出し、前記加熱器又は冷却器或いはその両者の機能を有する加熱冷却器へ入力するステップとを有し、
前記設定電圧と前記検出電圧とを用いて、前記前記高電圧給電部が供給する高電圧を安定化させることを特徴とする直流高電圧電源装置の制御方法。 - 請求項8記載の直流高電圧電源装置の制御方法であって、
前記制御システムからの前記高電圧設定データに基づき、前記高電圧発生部にて高電圧を発生させるための設定電圧を前記高電圧制御部にて設定するステップと、
前記温度センサからの温度データを前記制御システムに入力するステップと、
前記温度データと前記温度特性データとを用いて前記分圧抵抗器の抵抗値と前記検出抵抗器の抵抗値との比が所定の設定値で一定となるように前記検出抵抗器の温度を制御するための制御量を算出するステップと、
算出された前記制御量を温度制御データとして前記温度制御回路へ伝送し、前記加熱器又は冷却器或いはその両者の機能を有する加熱冷却器へ入力するステップとを有し、
前記設定電圧と前記検出電圧とを用いて、前記高電圧給電部が供給する高電圧を安定化させることを特徴とする直流高電圧電源装置の制御方法。
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