JP3924355B2 - 直流高圧発生器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属容器内部の直流高圧発生装置から高圧出力ブッシングを介して高圧ケーブルで10k〜200kVの直流高圧を引き出すようにした油浸密閉型の直流高圧発生器の内部発熱を効率的に金属容器外に放熱するように改良したものである。
【0002】
【従来の技術】
直流高圧発生回路の一般的な実施例を図3に示す。図3において、一般の商用電源ACをコンバータ1で直流電源に変換後、インバータ2で10k〜100kHzの高周波に変換し、高周波変圧器3にて取扱いに適した電圧まで昇圧し、直流高圧発生装置4に給電されている。
上記直流高圧発生装置4に供給された高周波電源は種々の方式で昇圧整流し直流高圧に変換されるが、図3の回路はコッククロフト、ウオルトン回路として周知の6倍電圧整流回路であり、コンデンサ51 、52 、53 からなるコンデンサ5a とコンデンサ54 、55 、56 からなるコンデンサ5b と、その間を交互に架橋するダイオード6からなり、低圧側入力端子T、Eより高周波電力が供給されると、その波高値の6倍の直流高電圧を発生する。その出力電圧は出力電流に応じてリップル成分が含まれ、その軽減のためコンデンサは平滑コンデンサが使用されるが、電圧降圧時の応答を早めるように放電抵抗器7が並設される。また、負荷側短絡時の電流抑制用に直列抵抗器8、出力電圧の電圧検出用抵抗器10が同一の金属容器14内に収容される。さらに出力電圧の電圧検出用抵抗器10の低圧側は低圧側端子Pを介して金属容器14外に設置された電圧検出用抵抗器11を通じて接地され、電圧検出用抵抗器10、11の両抵抗器により分圧された出力電圧成分は設定信号13と比較され、誤差電圧△Vがゼロとなるように誤差増幅器12を介して、インバータ2に帰還制御され、直流高圧発生装置4の出力電圧は安定化する。
【0003】
図2は、図3で示す直流高圧発生装置4に相当する内部構造図を示す。金属ケースで密封容器である金属容器14内にコンデンサ5a 、5b 、ダイオード6よりなる多段整流回路と共に放電抵抗器7、直列抵抗器8、電圧検出用抵抗器10が収容され、金属容器14間の絶縁を確保するための絶縁バリヤー15を金属容器内の底面および側面に設けるとともに絶縁油19が満たされている。金属容器の天板14a には直流高圧発生器としての入力端子T、E並びに電圧検出用抵抗器10の低圧側端子P等の低圧端子とともに、高圧出力ブッシング9が設置され、前記高圧出力ブッシングは、金属容器の天板14a の貫通孔を通して前記高圧出力ブッシングを形成している封着金具9a を溶接、ロウ付け、またははんだ付け等により気密接合し、前記高圧ブッシングの外部端より高圧出力ケーブル16が引出されている。
【0004】
直流高圧発生装置4の発熱体は主として金属容器14内に収容している前記抵抗器にあり、その抵抗器の発熱に対する冷却の大半が絶縁油19の対流に依存しており、油流は図中矢印の方向に循環して、金属容器14全面に伝熱して大気側の気流並びに輻射で放熱しているが、絶縁バリヤー15で遮蔽されていない金属容器の天板14a 近辺は特に温度が高くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の直流高圧発生装置の発熱体は抵抗器であり、その発熱は絶縁油の対流により金属容器全面に伝熱して放熱している。装置の小型化を図るには金属容器14と直流発生装置4との絶縁を絶縁バリヤー15で行う必要があるが、該絶縁バリヤーが存在するため、金属容器側面への伝熱が効果的に行われず、金属容器側面は温度上昇し難いため、側板に冷却フイン等を設けても十分な放熱効果が得られず、金属容器の天板14a のみ異常に温度上昇し、強いては内部の冷却効果も阻害されていた。
【0006】
そこで、本発明は、金属容器の天板を貫通する高圧出力ブッシングの封着金具を改良して、放熱効果の良い油浸密閉型の直流高圧発生器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の直流高圧発生器は、上記目的を達成するために、図4に例示するような放熱フインを、高圧出力ブッシングの封着金具の油中側、大気側各々に形成するものである。
【0008】
即ち、本発明は、絶縁油19を充填した金属容器14内にコンデンサ5a 、5b 、ダイオード6、放電抵抗器7、直列抵抗器8、電圧検出用抵抗器10のうち少なくとも1つを収納してなる直流高圧発生装置4と、該直流発生装置4と上記金属容器14との絶縁を行う絶縁バリヤー15と、高圧出力ケーブル16が取り付けられ、上記金属容器14の天板14aを貫通する高圧出力ブッシング9とからなる直流高圧発生器において、該高圧出力ブッシング9の封着金具9aに熱伝導性の良い金属からなる油中側放熱フイン20aおよび大気側放熱フイン20bを取り付けたことを特徴とする直流高圧発生器である。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記の直流高圧発生装置の発熱体は抵抗器であり、その発熱は絶縁油の対流により油中側放熱フインへ効率的に伝熱し、封着金具を伝熱して大気側放熱フインへ伝熱し、さらに大気中へと効率的に放熱される。
【0010】
【実施例】
本発明について、図1、図4および図5を参照して説明する。図4は、銅または真鍮等の熱伝導性の良い金属からなる放熱フイン20の形状例であり、また図5は、封着金具9a に大気側放熱フイン20b を取り付けた直流高圧発生器の外観斜視図である。
図1において、金属容器の天板14aには高圧出力ブッシング9を形成している銅または真鍮等の熱伝導性の良い金属からなっている封着金具9a が溶接、はんだ付けまたはロウ付け等により気密接合がなされている。金属容器内14には絶縁油19が充填され、封着金具9aの油中側にはFRP、レジン、ベークライト等の絶縁パイプ9c と端子キャップ9d が取り付けられ、ゴムパッキン等のシール材9b を介して直流高圧発生器内の絶縁油19とは気密が保たれている。
高圧出力ブッシング9には高圧出力ケーブル16が取り付けられているが、直流高電圧の引出しには、安全性を考慮して、一般的に高耐圧の同軸ケーブルが使用され、その構造は高圧電位となる中心導体16a の上にポリエチレンテレフタレート等の高耐圧絶縁層16b を配し、その上に網組銅線16c を配し、接地電位として、さらに安全性を増すため、その上に塩化ビニール等の最外層16d を設けている。
直流高電圧の引出しを行う場合、高圧出力ケーブル16の最外層16d と網組銅線16c を沿面耐圧を確保するだけ取り除き、高圧出力ブッシング9内に挿入し、中心導体16a と端子キャップ9d とが確実に通電できるようスプリング18を介して接触される。一方、高圧出力ケーブル16が確実に固定され、かつ、気密性を確保するため、封着金具9a にパッキング17とケーブル固定金具9e が固定されている。
放熱フインは、上記封着金具9a の油中側に油中側放熱フイン20a を、上記封着金具9a の大気側に大気側放熱フイン20b をネジ等により取り付ける。本構造により、抵抗器で発生した熱は、絶縁油19から油中側放熱フイン20a を経て封着金具9a に到り、封着金具9a から大気側放熱フイン20b へと効率的に熱伝導し、大気側の気流および輻射で放熱される。
金属容器の天板14a と油中側放熱フイン20a との隙間(X)は0〜5mmが適当である。5mmを超えると発生した熱は前記天板に伝熱され、直流高圧発生器の内部温度が上昇してしまう。
【0011】
【発明の効果】
本発明の直流高圧発生器は、上記のように、高圧出力ブッシングの封着金具に形成した放熱フインにより伝熱面積および放熱面積の増加により伝熱効果が上がり効率的に放熱でき、直流高圧発生器の金属容器の天板部の温度上昇を下げ、内部温度を効果的に下げることができるので、直流高圧発生器の小型化が可能になるなど工業的、実用的にその価値は極めて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例の内部構造図である。
【図2】図2は、従来例の内部構造図である。
【図3】図3は、本発明の構成を説明する回路図である。
【図4】図4は、本発明の実施例で用いる放熱フインの一例である。
【図5】図5は、本発明の実施例の外観斜視図である。
【符号の説明】
1:コンバータ
2:インバータ
3:高周波変圧器
4:直流高圧発生装置
5a 、5b :コンデンサ
6:ダイオード
7:放電抵抗器
8:直列抵抗器
9:高圧出力ブッシング
9a :封着金具
9b :シール材
9c :絶縁パイプ
9d :端子キャップ
9e :ケーブル固定金具
10:電圧検出用抵抗器
11:電圧検出用抵抗器
12:誤差増幅器
13:設定信号
14:金属容器
14a :金属容器の天板
15:絶縁バリヤー
16:高圧出力ケーブル
17:パッキング
18:スプリング
19:絶縁油
20:放熱フイン
20a :油中側放熱フイン
20b :大気側放熱フイン
Claims (1)
- 絶縁油(19)を充填した金属容器(14)内にコンデンサ(5a 、5b )、ダイオード(6)、放電抵抗器(7)、直列抵抗器(8)、電圧検出用抵抗器(10)のうち少なくとも1つを収納してなる直流高圧発生装置(4)と、該直流発生装置(4)と上記金属容器(14)との絶縁を行う絶縁バリヤー(15)と、高圧出力ケーブル(16)が取り付けられ、上記金属容器(14)の天板(14a)を貫通する高圧出力ブッシング(9)とからなる直流高圧発生器において、
該高圧出力ブッシング(9)の封着金具(9a)に熱伝導性の良い金属からなる油中側放熱フイン(20a)および大気側放熱フイン(20b)を取り付けたことを特徴とする直流高圧発生器。
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