JP5322479B2 - 常電導吸引型磁気浮上式車両 - Google Patents

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本発明は磁気浮上式の車両に関する。
車両を磁力により浮上させて走行する交通システムは、超電(伝)導磁石を用いるものと常電導磁石を用いるものが開発されている。
前者のシステムは、下記の特許文献1に開示され、後者のシステムは特許文献2に示されている。
特開平06−255486号公報 特開平09−123908号公報
常電導吸引型磁気浮上式車両のモジュール(台車)には、油圧式ブレーキシステムが搭載されており、ブレーキキャリパに取り付けたブレーキシュウでレールを内側と外側から挟む構造になっている。この時、ブレーキキャリパ本体の上下、ヨーイング等の荷重を受ける為、ブレーキシューはマグネットコアに固定されている案内スキッドブラケットとスラストロッドにて連結されている。
案内スキッドブラケットとスラストロッドとの連結は其々にあけた孔にボルトを通して行われていた。その為、スラストロッドに曲げ荷重に入ってしまい、その荷重をボルトと孔で受ける為、ボルトが孔をコジッテしまい連結部の孔が大きくなってしまい、スラストロッドの変位が大きくなりブレーキの制動能力を下げてしまう問題があった。
本発明の目的は、常電導吸引型磁気浮上式車両の台車(モジュール)に装備される油圧ブレーキの改良された装置を提供するものである。
本発明の常電導吸引型磁気浮上式車両は、基本的手段として、レールの下面に対向して配設される常電導磁石を有する複数のモジュールと、モジュールに対してサスペンションを介して支持される車体を備えた常電導吸引型磁気浮上式車両であって、キャリパブレーキと、キャリパブレーキとマグネットコア側を連結するスラストロッドを有する常用ブレーキを備える。そして、スラストロッドは、キャリアブレーキ側の取付部とマグネットコアにとりつけられた案内スキッドブラケット側の取付部を有し、案内スキッドブラケット側の取付部と案内スキッドブラケットに固定されるボルトとの間に介在してスラストロッドと案内スキッドブラケットの間に伝達されるトーションを吸収するボールベアリングを備えるものである。
本発明によれば、常電導吸引型磁気浮上式車両の台車(モジュール)に装備される油圧式の常用ブレーキのブレーキ力が安定して維持され、走行効率が向上する。
図1は本発明を実施する磁気浮上車両の外観を示す説明図、図2は側面図である。
本実施例にあっては、1編成の電車は3両の車両1A,1B,1Cにより構成され、軌道2上を走行する。
各車両はその下部に、台車に相当するモジュール20を備える。モジュール20は、各車両の両側部に5基づつ、合計10基装備される。
図3は、モジュール20に備えられる電磁石と軌道2の関係を示す説明図である。
軌道2は、コンクリート等でつくられる基盤3上に置かれる枕木5と、枕木5の両側部に固定されるレール6を備える。レール6は、磁性材料でつくられ、下方に向けて八字状に突出する凸部6a,6bを有する。
レール6の上面には、推進用のリニアモータのリアクションプレート7がとりつけられる。
基盤3の両側には、支柱4aを介して給電用の送電線4が配設される。
モジュール20は、電磁石のコア30を有し、コイル32が巻かれる。送電線4に接するパンタグラフ34は、給電を受け、コイル32に電流を送る。
コイル32に流れる電流によりコアに発生する磁力により、モジュール20はレール6に向けて吸引され、矢印B方向に浮上する。
浮上する距離は、約8mmに設定される。ギャップセンサ60は、この浮上距離を監視していて、浮上距離を一定に保つようにコイル32へ送る電流値を制御する。
コア30に両側には、上向きの凸部30a,30bが設けられる。このコア30の凸部30a,30bとレール6の突部6a,6bが対向することにより、車体10が矢印A方向に移動したときにも、常に正常な位置に戻る力が発生する。
モジュール20の下面には、リニアモータのコイル40が装備されており、レール6の上面に固定したリアクションプレート7の間で車両の推進力を発生させる。
モジュール20の下面には、浮上が行われない間に、レール6上に車両を支持するための支持装置50が設けられる。
モジュール20は空気バネ12を介して車体10を支持する。
図4は、10基のモジュール20の連結構造を示し、各モジュール20は、摺動台70を介して連結される。
矢印Fで示す車両の進行方向の第1と第2のモジュールの間に配設される第2の摺動台70bと、第4と第5のモジュールの間に配設される第5の摺動台70eは車体10側に連結される。その他の摺動台は全体を符号80で示すリンクにより連結される。
図5は左右のモジュール20を組み立てたモジュール組立体の平面図、図6はモジュール組立体の正面図である。
モジュール20は単体では姿勢が安定しないので左右1対のモジュール20を対向させ、前後端部をモジュール連結リンク100で連結して組立体として構成される。
連結リンク100は、上部リンク部材110と下部リンク部材120を有し、両リンク部材はピン130で結合される。
モジュール20の上部には、モジュールと車体を連結する牽引リンク300が設けられ、またモジュール20のマグネットに支障が発生して磁力による浮上力が消失したときに、モジュール20を支持する非常用ローラ500も装備される。
図7はモジュールの正面図、図8は平面図、図9は右側面図、図10はモジュールを裏側からみた図である。
全体を符号20で示すモジュールは、フレーム200と、フレーム200の上部にとりつけられる牽引リンク300と、フレームの下部にとりつけられるマグネットコイルユニット250を備える。
図9に示すように、フレーム200は上部フレーム210に対してエンドボックス230およびマグネット取付ブラケット240を介して連結されるマグネットコア220を有し、マグネットコア220によりとりつけられるマグネットコイル250で構成される。
モジュール20には、常用ブレーキ400や、非常時に油圧により突出して車両を支持する非常用ローラー500や磁気浮上を停止して車両をレール上に静止させる際に支持部材となる支持スキッド装置600が装備される。
図11は常用ブレーキ400の取付状態を示す説明図、図12はキャリパブレーキの説明図、図13はスラストロッドの説明図、図14はスラストロッドの取付構造を示す説明図である。
全体を符号400で示す常用ブレーキは、油圧で作動するキャリパブレーキ装置を備える。対向して配設される1対のキャリパ412、416はガイドロッド414で車体側に対して摺動自在に支持されている。また2つのキャリパ412、416はロッド430で連結されている。
キャリパ412にとりつけられた油圧シリンダ411のピストンは、ブレーキシュー420をレールの一方の側面に押圧する。ロッド430で連結されたブレーキシュー422はレールの他方の側面に引き寄せられる。ブレーキシュー420、422はレールを挟んでブレーキ力を発生させる。発生したブレーキ力はスラストロッド450を介してマグネットコア220にとりつけられた案内スキッドブラケット470に伝達される。
図13は、スラストロッド450の説明図である。スラストロッド450はキャリパブレーキ側の取付部452と、案内スキッドブラケット側の取付部454を有する。
図14は、スラストロッドの取付部454と案内スキッドブラケット470の取付構造を示す。
キャリパブレーキは、レールの側面形状のうねり等のために、軸線方向のブレーキ力にねじれも含まれることとなる。
したがって、スラストロッド450は、スラストに加えてトーションを伝達することとなる。
そこで、案内スキッドブラケット470に固定されるボルト462とスラストロッドの取付部454との間にボールベアリング460を介在させる構造とした。
この構造により、スラストロッド側から伝達されるトーションは、ボールベアリング460で吸収され、案内スキッドブラケット470との間でのコジレ等の発生が防止できる。
本発明は以上のように、使用頻度の高い常用ブレーキのブレーキ力の伝達がスムーズとなり、ブレーキ制動能力を維持して安定した運用に資するものである。
磁気浮上車両の外観を示す説明図 磁気浮上車両の外観を示す側面図 電磁石と軌道の関係を示す説明図 モジュールの連結構造を示す説明図 モジュール組立体の平面図 モジュール組立体の正面図 モジュールの正面図 モジュールの平面図 モジュールの右側面図 モジュールを裏側からみた図 常用ブレーキの取付状態を示す説明図 キャリパブレーキの説明図 スラストロッドの説明図 スラストロッドの取付構造を示す説明図
符号の説明
1A 常電導吸引型磁気浮上式車両
1B 常電導吸引型磁気浮上式車両
1C 常電導吸引型磁気浮上式車両
2 軌道
3 基盤
4 送電線
5 枕木
6 レール
7 リアクションプレート
20 モジュール
60 ギャップセンサ
100 連結リンク
200 モジュールフレーム
300 牽引リンク
400 常用ブレーキ
411 油圧シリンダ
420 ブレーキシュー
422 ブレーキシュー
450 スラストロッド
470 案内スキッドブラケット
500 非常用ローラー
600 支持スキッド装置

Claims (1)

  1. レールの下面に対向して配設される常電導磁石を有する複数のモジュールと、モジュールに対してサスペンションを介して支持される車体を備えた常電導吸引型磁気浮上式車両であって、キャリパブレーキと、キャリパブレーキとマグネットコア側を連結するスラストロッドを有する常用ブレーキを備え、
    スラストロッドは、キャリアブレーキ側の取付部とマグネットコアにとりつけられた案内スキッドブラケット側の取付部を有し、
    案内スキッドブラケット側の取付部と案内スキッドブラケットに固定されるボルトとの間に介在してスラストロッドと案内スキッドブラケットの間に伝達されるトーションを吸収するボールベアリングを備える常電導吸引型磁気浮上式車両。
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