以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)としての画像形成装置を例として説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式による画像形成装置であり、感光体に静電潜像を形成するための光書き込み装置における副走査方向の画像の書込み位置の補正に要する時間の短縮がその要旨である。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、エンジン13、HDD(Hard Disk Drive)14及びI/F15がバス18を介して接続されている。また、I/F15にはLCD(Liquid Crystal Display)16及び操作部17が接続されている。
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン13は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F15は、バス18と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部17は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
このようなハードウェア構成において、ROM12やHDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM11に読み出され、CPU10の制御に従って動作することにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ20、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)110、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27及びネットワークI/F28を有する。
また、コントローラ20は、主制御部30、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33及び操作表示制御部34を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット22、プリントエンジン26を有する複合機として構成されている。尚、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM12や不揮発性メモリ並びにHDD14や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM11等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10の制御に従って構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン26が画像形成部として機能する。プリントエンジン26によって画像形成が施された文書は排紙トレイ27に排紙される。
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作若しくはネットワークI/F28を介して外部のPC等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34若しくは入出力制御部32が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部31を制御する。
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF21から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット22が撮像部として動作する。
撮像動作においては、スキャナユニット22に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部33が生成した画像情報はHDD40等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。即ち、スキャナユニット22、エンジン制御部31及び画像処理部33が連動して、原稿読み取り部として機能する。
画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され若しくは入出力制御部32及びネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。即ち、ADF21及びエンジン制御部31が画像入力部として機能する。
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報若しくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。
次に、本実施形態に係るプリントエンジン26の構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン26は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ101から給紙ローラ102と分離ローラ103とにより分離給紙される用紙(記録紙)104を搬送する搬送ベルト105に沿って、この搬送ベルト105の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106BK、106M、106C、106Yが配列されている。
これら複数の画像形成部106BK、106M、106C、106Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106BKはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部106BKについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M、106C、106Yは画像形成部106BKと同様であるので、その画像形成部106M、106C、106Yの各構成要素については、画像形成部106BKの各構成要素に付したBKに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
画像形成に際して、給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、静電吸着作用により搬送ベルト105に吸着されて回転駆動される搬送ベルト105により最初の画像形成部106BKに搬送され、ここで、ブラックのトナー画像を転写される。即ち、搬送ベルト105が、画像の転写対象である用紙を搬送する搬送体として機能する。
画像形成部106BKは、感光体としての感光体ドラム109BK、この感光体ドラム109BKの周囲に配置された帯電器110BK、光書き込み装置111、現像器112BK、感光体クリーナ(図示せず)、除電器113BK等から構成されている。光書き込み装置111は、夫々の感光体ドラム109BK、109M、109C、109Yに対してレーザビームを照射するように構成されている。
画像形成に際し、感光体ドラム109BKの外周面は、暗中にて帯電器110BKにより一様に帯電された後、光書き込み装置111からのブラック画像に対応したレーザビームにより書き込みが行われ、静電潜像を形成される。現像器112BKは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109BK上にブラックのトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体ドラム109BKと搬送ベルト105上の用紙104とが当接する位置(転写位置)で、転写器115BKの働きにより用紙104上に転写される。この転写により、用紙104上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109BKは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器113BKにより除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、画像形成部106BKでブラックのトナー画像を転写された用紙104は、搬送ベルト105によって次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106BKでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が用紙104上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
用紙104は、さらに次の画像形成部106C、106Yに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、用紙104上に重畳されて転写される。こうして、用紙104上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね画像が形成された用紙104は、搬送ベルト105から剥離されて定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
このような画像形成装置1においては、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yの軸間距離の誤差、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yの平行度誤差、光書込み装置111内での偏向ミラーの設置誤差、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yへの静電潜像の書込みタイミング誤差等により、本来重ならなければならない位置に各色のトナー画像が重ならず、各色間で位置ずれが生ずることがある。
また、同様の原因により、転写対象である用紙において本来画像が転写される範囲から外れた範囲に画像が転写されることがある。このような位置ずれの成分としては、主にスキュー、副走査方向のレジストずれ、主走査方向の倍率誤差、主走査方向のレジストずれ等が知られている。また、装置内温度変化や経時劣化による搬送ベルトの伸縮が知られている。
このような位置ずれを補正するため、パターン検知センサ117が設けられている。パターン検知センサ117は、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yによって搬送ベルト105上に転写された位置ずれ補正用パターンを読み取るための光学センサであり、搬送ベルト105の表面に描画された補正用パターンを照射するための発光素子及び補正用パターンからの反射光を受光するための受光素子を含む。図3に示すように、パターン検知センサ117は、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yの下流側において、搬送ベルト105の搬送方向と直行する方向に沿って同一の基板上に支持されている。パターン検知センサ117の詳細及び位置ずれ補正の態様については、後に詳述する。
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111について説明する。図4は、本実施形態に係る光書き込み装置111を上面から見た図である。また、図5は、本実施形態に係る光書き込み装置を側面から見た断面図である。図4、図5に示すように、各色の感光体ドラム109BK、109M、109C、109Yに書き込みを行うレーザビームは光源である光源装置281BK、281Y、281M、281C(以降、総じて光源装置281とする)から照射される。尚、本実施形態に係る光源装置281は、半導体レーザ、コリメータレンズ、スリット、プリズム、シリンダレンズ等で構成されている。
光源装置281から照射されたレーザビームは、反射鏡280によって反射される。各レーザビームは図示しないfθレンズ等の光学系によって夫々ミラー282BK、282Y、282M282C(以降、総じて282とする)に導かれ、更にその先の光学系によって各感光体ドラム109BK、109M、109C、109Yの表面へと走査される。
反射鏡280は6面体のポリゴンミラーであり、回転することによってポリゴンミラー1面につき主走査方向のライン分のレーザビームを走査することができる。本実施形態に係る光書き込み装置111は、4つの光源装置を281BK、281Yと、281M、281Cの2色ずつの光源装置に分けて反射鏡280の異なる反射面を用いて走査を行うことによって、1つの反射面のみを用いて走査する方式よりコンパクトな構成で、同時に異なる4つの感光体ドラムに書き込むことを可能としている。
また、反射鏡280によってレーザビームが走査される範囲の走査開始位置近傍には、水平同期検知センサ283が設けられている。光源装置281から照射されたレーザビームが水平同期検知センサ283に入射することにより、主走査ラインの走査開始位置のタイミングが検知され、光源装置281を制御する制御装置と反射鏡280との同期がとられる。
次に、本実施形態に係る光書き込み装置111の制御ブロックについて、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る光書き込み装置111を制御する光書き込み装置制御部120の機能構成と、光源装置281、水平同期検知センサ283及びパターン検知センサ117との接続関係を示す図である。
図6に示すように、本実施形態に係る光書き込み装置制御部120は、書込み制御部121、カウント部122、センサ制御部123、補正値算出部124、基準値記憶部125及び補正値記憶部126を含む。尚、本実施形態に係る光書き込み装置111は、図1において説明したようなCPU10、RAM11、ROM12及びHDD14等の情報処理機構を含み、図6に示すような光書込み装置制御部120は、画像形成装置1のコントローラ20と同様に、ROM12若しくはHDD14に記憶されている制御プログラムがRAM11にロードされ、CPU10の制御に従って動作することにより構成される。
書込み制御部121は、コントローラ20のエンジン制御部31から入力される画像情報に基づき、水平同期検知センサ283による同期検知信号に応じて光源装置281を制御する光源制御部である。また、書込み制御部121は、エンジン制御部31から入力される画像情報に基づいて光源装置281を駆動する他、上述した位置ずれ補正処理において位置ずれ補正用のパターンを描画するために、光源装置281を駆動する。この位置ずれ補正処理の結果生成される補正値は、図6に示す補正値記憶部126に記憶され、書込み制御部121は、この補正値記憶部126に記憶されている補正値に基づき、光源装置281を駆動するタイミングを補正する。
カウント部122は、上記位置ずれ補正処理において、書込み制御部121が光源装置281を制御して感光体ドラム109BKの露光を開始すると同時にカウントを開始する。カウント部122は、センサ制御部123が、パターン検知センサ117の出力信号に基づいてパターンを検知することによりカウントを停止する。これにより、カウント部122は、上記位置ずれ補正処理において、書込み制御部121が光源装置281を制御して感光体ドラム109BKの露光を開始してから、パターン検知センサ117が、位置ずれ補正用のパターンを検知するまでの検知期間をカウントする検知期間カウント部として機能する。以降、このカウント値を書込み開始カウント値とする。また、カウント部122は、各色のトナー画像のずれを補正するための位置ずれ補正処理においては、連続して描画されたパターンの検知タイミングを夫々カウントする。以降、このカウント値をドラム間隔カウント値とする。
センサ制御部123は、パターン検知センサ117を制御する制御部であり、上述したように、パターン検知センサ117の出力信号に基づき、搬送ベルト105上に形成された位置ずれ補正用パターンが、パターン検知センサ117の位置にまで到達したことを判断する到達判断部である。センサ制御部123は、上述したように位置ずれ補正用パターンが、パターン検知センサ117の位置にまで到達したことを判断すると、検知信号をカウント部122に入力する。即ち、センサ制御部123が、画像検知部として機能する。
更に、センサ制御部123は、本実施形態の要旨に係る機能として、パターン検知センサ117の出力信号に応じて、パターン検知センサ117に含まれる発光素子の照射光量を確認する光量確認部としても機能する。センサ制御部123の光量確認部としての機能については、後に詳述する。
補正値算出部124は、カウント部122によるカウント結果に基づき、基準値記憶部125に記憶された基準値に基づいて補正値を算出する。即ち、補正値算出部124が、基準値取得部及び補正値算出部として機能する。図7に、基準値記憶部125に記憶されている基準値の例を示す。図7に示すように、基準値記憶部125には、書込み開始タイミング基準値及びドラム間隔基準値が記憶されている。
書込み開始タイミング基準値とは、書込み制御部121が光源装置281を制御して感光体ドラム109BKの露光を開始してから、パターン検知センサ117が、位置ずれ補正用のパターンを検知するまでの期間の基準値である。即ち、補正値算出部124は、カウント部122によるカウント値のうち、書込み開始カウント値と書込み開始タイミング基準値とを比較し、両者のずれに基づいて補正値を算出する。
ドラム間隔基準値とは、上述したように連続して描画されたパターン夫々についての検出タイミングの基準値である。即ち、補正値算出部124は、カウント部122によるカウント値のうち、ドラム間隔カウント値とドラム間隔基準値とを比較し、両者のずれに基づいて補正値を算出する。このようにして算出された補正値は、上述したように補正値記憶部126に記憶される。このように、補正値記憶部126に補正値が記憶されることにより、書込み制御部121は、その補正値を参照して光源装置281を駆動することが可能となる。
次に、本実施形態に係る位置ずれ補正動作について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態に係る位置ずれ補正動作において、書込み制御部121によって制御された光源装置281によって搬送ベルト105上に描画されるマーク(以降、位置ずれ補正用マークとする)を示す図である。図8に示すように、本実施形態に係る位置ずれ補正用マーク400は、副走査方向に様々なパターンが並べられている位置ずれ補正用パターン列401が、主走査方向に複数(本実施形態においては3つ)並べられて構成されている。尚、図8において、実線が感光体ドラム109BK、点線は感光体ドラム109Y、破線は感光体ドラム109C、一点鎖線は感光体ドラム109Mによって夫々描画されたパターンを示す。
図8に示すように、パターン検知センサ117は、主走査方向に複数(本実施形態においては3つ)のセンサ素子170を有し、夫々の位置ずれ補正用パターン列401は、夫々のセンサ素子170に対応した位置に描画されている。これにより、光書き込み制御装置120は、主走査方向の複数の位置でパターンの検出を行うことが可能となり、夫々の平均値を算出することによって位置ずれ補正動作の精度を向上することができる。
図8に示すように、位置ずれ補正用パターン列401は、開始位置補正用パターン411とドラム間隔補正用パターン412を含む。また、図8に示すように、ドラム間隔補正用パターン412は、繰り返し描画されている。開始位置補正用パターン411は、上述した書込み開始カウント値をカウントするために描画されるパターンである。また、開始位置補正用パターン411は、センサ制御部123が、ドラム間隔補正用パターン412を検知する際の検知タイミングを補正するためにも用いられる。
本実施形態に係る開始位置補正用パターン411は、図8に示すように、感光体ドラム109BK、109Y、109C及び109Mによって描画された線であって主走査方向に平行な線が副走査方向に並べられて構成されている。これが本実施形態に係る要旨の1つとなる。通常、開始位置補正用パターン411としては、複数の感光体ドラムのうちいずれか1つのパターンを描画すれば良く、一般的には、感光体ドラム109BK、即ち黒のパターンが用いられる。これは、黒のパターンの場合拡散反射光がなく、光センサであるパターン検知センサ117受光素子が受光する光が正反射光のみであるため、検知信号の波形が安定し、ピーク位置を検知し易いからである。
これに対して、本実施形態においては、図8に示すように、感光体ドラム109BKのみではなく、全ての感光体ドラムによるパターンを描画する。そして、センサ制御部123が、感光体ドラム109Y、109C及び109Mによるパターン、即ち、有彩色であって拡散反射光があるパターンの検知信号のピークに基づき、パターン検知センサ117に含まれる発光素子の光量確認を行うことが本実施形態に係る要旨である。また、位置ずれ補正処理において最初に描画される開始位置補正用パターン411に、感光体ドラム109Y、109C及び109Mによるパターンが含まれることにより、上述したように、センサ制御部123がドラム間隔補正用パターン412を検知する際の検知タイミングを補正することも可能になる。
尚、開始位置補正用パターン411を用いた開始位置補正においては、従来と同様、光書き込み装置制御部120が、パターン検知センサ117による、感光体ドラムBKによる黒のパターンの読取信号に基づき、書込み開始タイミングの補正動作を行う。即ち、基準値記憶部125に記憶される書込み開始タイミング基準値は、光源装置281が書込み制御部121の制御に従って、開始位置補正用パターン411のうち感光体ドラム109BKによる黒のパターンの描画を開始してから、描画された黒のパターンがパターン検知センサ117によって読み取られ、センサ制御部123によって検知されるまでの期間の基準となる値である。
ドラム間隔補正用パターン412は、その名の通り、上述したドラム間隔カウント値をカウントするために描画されるパターンである。図8に示すように、ドラム間隔補正用パターン412は、副走査方向補正用パターン413及び主走査方向補正用パターン414を含む。光書き込み装置制御部120は、パターン検知センサ117による、副走査方向補正用パターン413の読取信号に基づき、感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y夫々の副走査方向の位置ずれ補正を行い、主走査方向補正用パターン414の読取信号に基づき、上記各感光体ドラムの主走査方向の位置ずれ補正を行う。
即ち、基準値記憶部125に記憶されているドラム間隔基準値は、光源装置281が書込み制御部121の制御に従って、ドラム間隔補正用パターン412の描画を開始してから、描画されたドラム間隔補正用パターン412に含まれる各線がパターン検知センサ117によって読み取られ、センサ制御部123によって検知されるまでの期間の基準となる値である。
尚、本実施形態において、センサ制御部123は、開始位置補正用パターン411の検知信号のみではなく、ドラム間隔補正用パターン412に含まれる感光体ドラム109Y、109C及び109Mによるパターンの検知信号をも、パターン検知センサ117に含まれる発光素子の光量確認に用いる。これにより、光書込み装置制御部120が、図8に示すようなパターンを描画して位置ずれ補正を実行している間は、常に上記発光素子の光量確認が行われることとなり、光量確認の信頼性を向上することができる。
また、画像形成装1への電源投入直後や、省電力状態からの復帰直後における位置ずれ補正動作においては、パターン検知センサ117に含まれる発光素子も発光開始した直後であるため、光量が安定しない場合がある。これに対しても、上述したように位置ずれ補正を実行している間、繰り返し光量確認を実行している間に発光素子の光量が安定するため、発光素子の光量を安定させるための待機時間を設ける必要がなく、位置ずれ補正に要する期間を短縮することができる。
次に、本実施形態に係るパターン検知センサ117に含まれる発光素子の光量確認の詳細について説明する。図9は、本実施形態に係るセンサ素子170の構成及びセンサ素子170がパターンを検知する際の状態を模式的に示す側断面図である。図9は、主走査方向に垂直な面であって且つセンサ素子170を含む面における断面図である。
図9に示すように、本実施形態に係るセンサ素子170は、発光素子171、正反射光受光素子172及び拡散反射光受光素子173を含む。発光素子171は、本実施形態における照射光量の確認対象の光源である。本実施形態に係る発光素子171は、光ビームを照射するLED光源によって構成されている。
正反射光受光素子172は、発光素子171から照射されて搬送ベルト105によって反射された光を受光する受光部の1つであり、図9に破線で示すように、発光素子171から照射されて搬送ベルト105において反射された光のうち、正反射光が入射する位置及び角度において設けられている。尚、図9の破線においては、正反射光受光素子172に正反射光のみが入射しているように示されているが、拡散反射光の影響をキャンセルすることは難しい。従って、実際には、正反射光成分及び拡散反射光成分を含む光が正反射光受光素子172に入射する。これにより、正反射光受光素子172は、正反射光成分及び拡散反射光成分を含む光の光量に応じた信号を出力する。
拡散反射光受光素子173は、発光素子171から照射された搬送ベルト105によって反射された光を受光する受光素子の1つであり、図9に連続する弧で示すように、発光素子171から照射された搬送ベルト105において反射された光のうち、拡散反射光を検出可能な位置に設けられている。拡散反射光受光素子173は、受光した拡散反射光の光量に応じた信号を出力する。
このような構成により、本実施形態に係るパターン検知センサ117は、正反射光成分及び拡散反射光成分を含む光の検知信号と、拡散反射光成分のみからなる光の検知信号とを出力することが可能である。次に、本実施形態に係る位置ずれ補正用パターンと、パターン検知センサ117が出力する検知信号との関係及び光量確認の態様について、図10(a)〜(d)を参照して説明する。
図10(a)は、搬送ベルト105の上面図であり、感光体ドラム109BKによる黒のパターン415及び感光体ドラム109Y、109C、109Mのいずれかによる有彩色のパターン416が描画された状態を示している。更に、図10(a)においては、発光素子171によって照射されるレーザビームのスポットQと、正反射光受光素子172が受光する反射光のスポットRとが破線の縁で示されている。
図10(b)には、拡散反射光受光素子173の出力信号、即ち、拡散反射光成分の光量に応じた信号が示されている。図10(b)に示すように、黒のパターン415の場合、白地と同様に拡散反射が起こらないため、信号はフラットのままである。有彩色のパターン416の場合、パターンが搬送されてスポットQに差し掛かった時点で拡散反射が起こり、図10(b)に示すように、信号強度が上がり始める。そして、パターンの中心がスポットQの中心に到達したタイミングにおいてパターンの被照射範囲が最大となり、信号強度がピーク、即ち極大値となる。
図10(c)には、仮に正反射光成分のみを検出した場合の信号強度が示されている。図10(c)に示すように、白地が照射されている間は、正反射光が検出されるため、信号拒度はフラットである。パターンがスポットRに到達した時点で正反射光成分が減少し始めるため、信号強度が落ち込み始める。そして、パターンの中心がスポットRの中心に到達したタイミングにおいて、正反射光成分が最低となり、パターンの落ち込みがピーク、即ち極小値となる。
図10(d)には、正反射光受光素子172の出力信号、即ち、正反射光成分と拡散反射光成分とを含む光の光量に応じた信号が示されている。図10(d)に示すように、正反射光受光素子172の出力信号は、図10(b)と図10(c)とを合成した信号となる。
図10(d)に示すように、正反射光受光素子172の出力信号には、閾値Sが設けられている。この閾値Sは、センサ制御部123が記憶している。そして、センサ制御部123は、位置ずれ補正においてパターンを検知する際、正反射光受光素子172の出力信号が閾値Sとなるタイミングを2つ検知し、そのタイミングの平均値に基づいてパターンの到達タイミングを検知する。
例えば、図10(d)において黒のパターン415を検知する場合、センサ制御部123は、タイミングtS1及びtS2の平均値に基づき、黒のパターン415の到達タイミングを検知する。尚、閾値Sを用いる場合の他、図10(d)に示すtP1、tP2のように、信号の落ち込みがピークとなるタイミングを、パターンの到達タイミングとしても良い。
尚、有彩色のパターン416は、上述したように、正反射光成分と拡散反射光成分との合成であるため、tS3とtS4との平均値からは、パターンの到達タイミングが正確に求められない可能性もある。有彩色パターンの到着タイミングをできるだけ正確に検出するために、パターンの副走査方向の幅L1は、スポットRの直径と同一若しくはそれ以下に設定されている。これは、パターンを可能な限り細く描画することにより、到着タイミングの幅を狭くし、検知誤差を低減するためである。また、隣接するパターンの間隔L2は、スポットQの直径よりも大きく設定されている。これにより、2つの異なるパターンが同時に照射され、2つのパターンから同時に拡散反射光が反射され、検知信号の信号強度が予期しない値となることを防ぐことができる。
このような検知信号においてセンサ制御部123は、図10(d)に示すP1、P2、P3のようなピーク時の信号強度に基づいて、発光素子171の光量を確認する。上述したように、図10(d)に示す信号は、発光素子171によって照射された面の反射光を受光した正反射光受光素子172によって出力される信号であるため、その信号強度は発光素子171の照射光量に応じて変化する。即ち、図10(d)に示すP1、P2、P3のようなピーク時の信号強度が、予め定められた所定の範囲内の値であるか否かを確認することにより、発光素子171の光量が正常な範囲内であるか否かを確認することができる。
ここで、有彩色のパターン416の読み取り信号に着目すると、図10(b)と図10(c)とを比較して判明するように、図10(b)に示す拡散反射光のピークタイミングは、図10(c)に示す正反射光の落ち込みが終了してフラットな状態に戻ったタイミング以降である。従って、図10(d)に示す合成成分のピークP3の値は、図10(b)に示す拡散反射光成分のみの場合のピーク値と、図10(c)に示す正反射光の信号がフラットな状態との合成値である。
尚、上述したように、図10(d)に示す合成成分のピークP3の値はスポットQとスポットRのアライメントによって変化する。このとき、P3は、拡散反射光の光量の極大値であることが望ましいので、正反射光の落ち込みの影響を排除する必要がある。そのため、図10(b)に示す拡散反射光のピークタイミングを、図10(c)に示す正反射光の落ち込みが終了してフラットな状態に戻ったタイミング以降とする必要がある。このためには、図10(a)に示すように、スポットQの中心とスポットRの中心とが所定間隔離間して設定すれば良い。より具体的には、有彩色のパターン416が、スポットQの中心に位置した場合において、スポットRが有彩色のパターン416と重複しないように、スポットQ及びスポットRの位置及び範囲を設定すれば良い。
本実施形態に係る正反射光受光素子172は、受光強度に応じた電圧を出力する。従って、センサ制御部123は、図10(d)に示すP1、P2、P3のようなピーク時の信号強度に対して、電圧の範囲を指定する情報を保持しており、正反射光受光素子172の出力電圧が、上記保持している電圧の範囲内であるか否かを確認する。尚、図10(d)に示すP1、P2、P3のようなピーク時の信号強度の好適な値は、正反射光受光素子172の感度や、ゲイン並びにセンサ制御部123のゲイン等によって異なるため、上記電圧の範囲は、夫々の場合に応じて適宜設定される。
図10(d)に示すP1、P2、P3を用いた発光素子171の照射光量の確認態様としては、まずはP3の値が用いられる。P3は、上述したように、拡散反射光の光量の極大値を示している。従って、P3を用いることにより、拡散反射光のみの成分に基づいて発光素子171の照射光量を判断することができるため好ましい。センサ制御部123は、上述したように、ピークP3を検知すると、その値が予め定められた所定の範囲内の値であるか否か確認し、所定の範囲内であれば発光素子171の光量が正常であると判断する。他方、P3の値が上記所定の範囲内の値ではない場合、センサ制御部123は、発光素子171の光量が異常であると判断する。
また、P1、P2を用いて発光素子171の照射光量の確認を行う場合、センサ制御部123は、黒のパターン415の検知信号の落ち込みのピークP1の値と、有彩色のパターン416の検知信号の落ち込みのピークP2の値との差Gに基づき、発光素子171の照射光量を判断する。即ち、正反射光成分と拡散反射光成分との混合成分の極小値の差に基づいて判断する。以下、その原理について説明する。
図10(c)に示すように、いずれのパターンを検知する場合においても、正反射光は同様の落ち込みとなる。従って、有彩色のパターン416のピークの落ち込み量が差Gだけ変化するのは、図10(b)に示すように、拡散反射光の影響による。従って、図10(d)に示す差Gに基づいて、拡散反射光の影響の度合いを参照することにより、発光素子171の照射光量を判断することができる。具体的には、上述したピークP1の値の場合と同様に、差Gの値が、予め定められた所定の範囲内であるか否かを確認する。
次に、本実施形態に係る発光素子171の光量確認動作を含む位置ずれ補正動作について説明する。図11は、本実施形態に係る位置ずれ補正動作を示すフローチャートである。位置ずれ補正動作が開始されると、まず、センサ制御部123が、パターン検知センサ117に含まれる発光素子171を起動する(S1101)。これにより、発光素子171に電源が供給され、発光素子171の光量が上昇し始める。同時に、反射鏡280が回転を始める。
次に、光書き込み装置制御部120の書込み制御部121は、図8に示す位置ずれ補正用マーク400を描画するように、光源装置281を制御すると共に、カウント部122がカウントを開始する(S1102)。そして、センサ制御部123は、パターン検知センサ117の出力信号に基づいて位置ずれ補正用マーク400に含まれるパターンを検知すると(S1103)、上記説明したように、発光素子171の光量が所定範囲内か否かの判断を行う(S1104)。
S1104の判断の結果、発光素子171の光量が所定範囲内ではない場合(S1104/NO)、光書き込み装置制御部120は、エラー処理を実行する(S1105)。S1105のエラー処理については後述する。S1104の判断の結果、発光素子171の光量が所定範囲内であった場合(S1104/YES)、カウント部122は、その検知結果に基づき、上述したカウント値を取得し(S1106)、補正値算出部124に入力する。尚、S1106において、カウント部122は、複数のセンサ素子170夫々についてのカウント値を取得し、補正値算出部124に入力する。
補正値算出部124は、カウント部122から複数のカウント値を取得すると、それらの平均値を求め(S1107)、更にその平均値及び上述した基準値に基づいて補正値を算出して補正値記憶部126に記憶させる(S1108)。S1108の処理が終了すると、センサ制御部123は、位置ずれ補正用マーク400のパターンが終了したか否か判断し(S1109)、終了していなければ(S1109/NO)、S1103からの処理を繰り返す。そして、位置ずれ補正用マーク400のパターンが全て終了したら(S1109/YES)、光書き込み装置制御部120は、処理を終了する。このような処理により、本実施形態に係る位置ずれ補正動作が完了する。
次に、S1105のエラー処理の内容について説明する。本実施形態に係るエラー処理の内容は、発光素子の照射光量が正常範囲外であると判定されたタイミングによって異なる。例えば、開始位置補正用パターン411の読み取りにおいて照射光量が正常範囲外であると判定された場合、画像の開始位置補正が不正確である可能性があるため、実行中の位置ずれ補正をキャンセルし、S1102から処理をやり直す。この場合、書込み制御部121は、ドラム間隔補正用パターン412を描画するために光源装置281を制御して光ビームを照射させていると考えられるが、その光ビームの照射を停止させ、再度開始位置補正用パターン411を描画するために光源装置281を駆動する。
S1102から処理をやり直す際、検知された発光素子の照射光量に応じて、発光素子171の駆動電力を調整することにより、照射光量を正常な範囲内にすることができる。また、開始位置補正用パターン411は、図8に示すように、位置ずれ補正用マーク400の先頭に描画されるパターンであり、最も早くパターン検知センサ117の検知位置に到達する。従って、発光素子171が起動された後、照射光量が安定する前に開始位置補正用パターン411がパターン検知センサ117の検知位置に到達することが考えられる。従って、発光素子171の駆動電力を変更することなく、上述したようにS1102から処理をやり直しても良い。
他方、ドラム間隔補正用パターン412の読み取りにおいて照射光量が正常範囲外であると判定された場合、上述したように、発光素子171の安定化が原因であることが考えられる。図8に示すように、ドラム間隔補正用パターン412は、複数回繰り返されるため、光書き込み装置制御部120は、パターン検知センサ117の出力信号のうち、照射光量が正常範囲外であると判定された出力信号は無視し、S1103に戻って引き続きパターンの検知を続ける。即ち、センサ制御部123は、位置ずれ補正用パターンの到達判断において、照射光量が正常範囲外であると判定された出力信号を除外する。これにより、発光素子171の照射光量が安定化し、位置ずれ補正を正確に実行することができる。
上述したように、パターンの検知を継続した場合であっても、連続して照射光量が正常範囲外であると判定された場合、発光素子171の安定化以外の原因があると考えられる。この場合、センサ制御部123は、発光素子171の駆動電力を調整し、発光素子171の照射光量を調整する。そして、S1102に戻り、再度パターンの描画及びパターンの検知を行う。
これらのエラー処理を経ても尚、発光素子171の照射光量が正常な範囲外である場合、光書込み制御部120は、コントローラ20にエラーを通知し、コントローラ20がディスプレイパネル24に発光素子171が異常であることを表示させる。これにより、ユーザが、発光素子171に異常が発生していることを認識することができる。
次に、本実施形態に係る位置ずれ補正動作を実行することによる効果について、図12(a)〜(c)を参照して説明する。図12(a)〜(c)は、本実施形態に係る位置ずれ補正動作を実行した場合及び従来技術に係る位置ずれ補正動作を実行した場合における各処理のタイミングを示す図である。
図12(a)は、本実施形態に係る位置ずれ補正動作を実行した場合の動作タイミングを示す図である。図12(a)に示すように、t0において位置ずれ補正動作が開始されると、まず、t1までの期間で、パターン検知センサ117の起動及び発光素子171の照射光量の安定化が行われる。この間に、反射鏡280の回転開始等、光書き込み装置111側の起動も行われる。その後、上述したように、図8に示す位置ずれ補正用マーク400の描画及びその検知による位置ずれ補正処理と、検知信号に基づいた照射光量の確認処理とが平行して行われる。
尚、光書き込み装置111が感光体ドラム109を露光して描画を開始してから、描画されたパターンがパターン検知センサ117の検知位置に到達するまでには間隔があるため、光書き込み装置111は、タイミングt1よりも前に、感光体ドラム109の露光を開始しても良い。
図12(b)は、従来技術に係る位置ずれ補正動作を実行した場合の動作タイミングを示す図である。図12(b)に示すように、従来技術に係る位置ずれ補正動作においては、タイミングt1の後、パターンの描画されていない搬送ベルト105の白地の面を照射してその反射光量を検知して照射光量を調整する光量調整を行った後に、タイミングt2において位置ずれ補正を開始する。
このように、本実施形態に係る位置ずれ補正においては、従来技術に係る光量調整の期間分、位置ずれ補正の開始タイミングを早めることができ、その結果、画像形成出力が実行されるまでの時間を短縮することができる。また、パターンを検知しながら、その反射光の光量に基づいて発光素子171の照射光量を確認するため、発光素子171の照射光量が正常範囲内であることを確認することにより、位置ずれ補正の信頼性を保つことができる。
尚、図12(a)、(b)に示すタイミングt1は、一般的に、発光素子171の照射光量の安定化のために、ある程度の余裕を含めたタイミングとして設定されている。従って、タイミングt1を更に早めても、発光素子171の照射光量は既に安定化しており、問題にはならないことが考えられる。従って、図12(c)に示すように、発光素子171の安定化のための期間を含めたタイミングt1ではなく、パターン検知センサ117が起動すると共に、光書き込み装置111によるパターンの描画が可能になるタイミングt3において、位置ずれ補正及び光量確認を開始しても良い。これにより、画像形成出力が実行されるまでの時間を更に短縮することができる。
図12(c)の場合において、発光素子171の照射光量が安定化しておらず、照射光量が所定の範囲外であると判定された場合であっても、上記エラー処理において説明したように、不正な検知信号を無視して処理を続行することにより、処理を続行することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1は、位置ずれ補正動作を実行する際、パターンの読み取りを開始する前に白地を照射し、その反射光に基づいてパターン検知センサの光量を調整するのではなく、パターンの読み取りにおける反射光の光量に基づいてパターン検知センサの光量を確認する。これにより、光量調整を行うことなく位置ずれ補正動作を開始しながらも、光量が正常範囲内であることが確認される。従って、位置ずれ補正の信頼性を損なうことなく、位置ずれ補正動作におけるパターンの読み取り開始タイミングを早めることができる。
また、従来技術に係る光量調整の場合、搬送ベルト105の表面である白地面を照射してその反射光を受光することにより調整を行うため、搬送ベルト105の表面に付着した汚れや傷の影響を除外する必要がある。これに対して、本実施形態においては、搬送ベルト105の表面にパターンを描画するため、表面の汚れや傷は、描画されたパターンによって被覆される。従って、上述したように汚れや傷の影響を除外する処理を実行する必要がなく、処理を簡略化すると共に、光量確認の精度を向上することができる。
尚、上記実施形態においては、図3に示すように、搬送ベルト105によって搬送される用紙の紙面上に感光体ドラム109から直接画像を転写する方式を例として説明した。即ち、搬送体としての搬送ベルト105が、用紙を搬送する場合を例として説明した。
この他、図13に示すように、感光体ドラム109から搬送ベルト105上に転写されて形成された画像を更に用紙の紙面上に転写する中間転写方式であっても、上記実施形態を適用することが可能であり、上記と同様の効果を得ることができる。この場合、中間転写ベルトである搬送ベルト105は、搬送体として画像を搬送する。
また、上記実施形態においては、図8に示すように、開始位置補正用パターン411に全ての感光体ドラム109のパターンを含める場合を例として説明した。しかしながら、上記実施形態において最低限必要なのは、図10に示すように、開始位置補正を行うための黒のパターン415及び光量確認を行うための有彩色のパターン416であり、全ての感光体ドラム109のパターンを含める必要はない。即ち、感光体ドラム109BKのパターンに加えて、感光体ドラム109Y、109M、109Cのうちいずれかのパターンを開始位置補正用パターン411に含めれば良い。
また、上述したように、開始位置補正は、拡散反射光の影響を受けないこと等の理由から、黒のパターン415を用いて行うことが好ましいが、有彩色のパターン416によっても実行可能である。従って、開始位置補正用パターン411に、有彩色のパターン416のみを含めるようにしても良い。
また、上記実施形態においては、開始位置補正用パターン411及びドラム間隔補正用パターン412の両方において光量確認を行うため、本来黒のパターン415のみでも良い開始位置縫製用パターン411において有彩色のパターン416を含めるようにしている。しかしながら、本実施形態に係る要旨は、発光素子171を予め所定の電力で起動して位置ずれ補正動作を開始した上で、事後的に発光素子171の照射光量が正常な範囲内であることを確認することである。従って、必ずしも開始位置補正用パターン411において照射光量の確認を行う必要はなく、ドラム間隔補正用パターン412においてのみ、照射光量の確認を行っても良い。