JP2010167568A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光ビームの倍率ズレを検出し、倍率ズレを補正すること。
【解決手段】主走査方向における画像形成直前と直後の位置に光学センサをそれぞれ配置する。レーザダイオードLD1のみ点灯されたら、時間計測部は光ビームLD1の走査時間と計測し、画像形成直後の光学センサによる光ビームLD1の受光時間幅を計測して、倍率ズレ算出部が光ビームLD1の倍率の変化量を算出する。レーザダイオードLD1及びLD2が点灯されたら、時間計測部は画像形成直後の光学センサによる光ビームLD2の受光時間を計測し、倍率ズレ算出部が光ビームLD2の倍率の変化量を算出する。レーザダイオードLD1及びLD3が点灯されたら、時間計測部は画像形成直後の光学センサによる光ビームLD3の受光時間を計測し、倍率ズレ算出部が光ビームLD3の倍率の変化量を算出する。各光ビームの倍率の変化量を用いて倍率ズレ補正部が各光ビームの主走査倍率を補正する。
【選択図】図6
【解決手段】主走査方向における画像形成直前と直後の位置に光学センサをそれぞれ配置する。レーザダイオードLD1のみ点灯されたら、時間計測部は光ビームLD1の走査時間と計測し、画像形成直後の光学センサによる光ビームLD1の受光時間幅を計測して、倍率ズレ算出部が光ビームLD1の倍率の変化量を算出する。レーザダイオードLD1及びLD2が点灯されたら、時間計測部は画像形成直後の光学センサによる光ビームLD2の受光時間を計測し、倍率ズレ算出部が光ビームLD2の倍率の変化量を算出する。レーザダイオードLD1及びLD3が点灯されたら、時間計測部は画像形成直後の光学センサによる光ビームLD3の受光時間を計測し、倍率ズレ算出部が光ビームLD3の倍率の変化量を算出する。各光ビームの倍率の変化量を用いて倍率ズレ補正部が各光ビームの主走査倍率を補正する。
【選択図】図6
Description
本発明は、画像形成装置の技術分野に属し、特に、感光体ドラムの表面にレーザを照射して露光を行うレーザ照射技術に関するものである。
従来、電子写真方式の画像形成装置において、露光装置から照射される光ビームを、回転多面鏡の各反射面でそれぞれ反射させて感光体ドラムの表面を露光し、感光体ドラム表面に静電潜像を形成するものが広く知られている。また、近年、露光装置にモノリシックマルチレーザダイオードを使用した画像形成装置が普及し始めている。複数のレーザダイオードを使ったマルチビーム方式に対して、モノリシックマルチレーザダイオードを使った場合のメリットは、露光装置のコンパクト化とビームピッチの光学的な調整の容易さである。ビームピッチの光学的調整は、半導体の製造工程で管理される。
しかし、モノリシックマルチレーザダイオードを使用した場合、各光ビームの画像形成位置に相対的な光学的ズレが発生し、これは主走査倍率ズレの原因となる。モノクロ画像の場合は大きな問題にならないが、カラー画像の場合、各色の画像に倍率誤差が生じると、モアレ等の原因となり、画質低下を引き起こす。この光学的ズレは、レンズ精度によるもの、各レーザダイオードの波長の違いからくる屈折率の違い、温度変化によるレンズの不均一な変形等が原因で発生する。
この問題を解決するために、従来から、中間転写体にパッチ画像を形成し、このパッチ画像を光学センサで検知して主走査倍率ズレを検出する方法、各像高間の主走査の光ビーム通過時間を測定する方法(特許文献1参照)、光学センサを画像形成領域の前後に配置し、走査時間を常に計測する方法(特許文献2参照)等が提案されている。
しかし、中間転写体にパッチ画像を形成する方法は、通常の印刷ジョブを中断して行う必要があるため、画像形成装置の生産性を落とすことが問題であった。また、光学センサを用いて主走査倍率ズレを検知する場合、光学センサの傾きによって検知結果が大きく変わるため、主走査倍率を正確に調整することができない。
また、仮に光学センサの設置を正確に管理することができたとしても、次の問題が残る。光ビームの発光開始タイミングを検知するために、光学センサは、感光体ドラム上の画像形成開始位置に配置される。ここで、モノリシックマルチレーザダイオードで画像形成を行う場合は、各光ビームの書き出しタイミングを得る必要がある。モノリシックマルチレーザダイオードは、個々のレーザダイオードは半導体シリコンウエハ上に取り付けられ、各光ビームの光軸は揃っており、一般的に各光ビームの間隔は数百nm程度である。時間に置き換えたビーム間隔は、スキャン速度によるが、光学センサ受光面におけるビーム間隔が200[um]、600[dpi]で1画素のビーム点灯時間が20[ns]のシステムだと、200[um]/42.333[um]×20[ns]=94.5[ns]となる。
一般的な光学センサは、数百nsの反応遅延があるため、ビーム間隔が94.5[ns]であると光学センサの出力信号は各光ビームによって分離されない。つまり、モノリシックマルチレーザダイオードの場合、特許文献1及び2に記載された方法では、先頭ビーム以外の光ビームの書き出しタイミングを検知することができず、各光ビームの倍率ズレを検出することが困難であった。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、モノリシックマルチレーザダイオードから出射された各光ビームの主走査倍率ズレを画像形成中に検出して、主走査倍率ズレを補正することを目的とするものである。
請求項1に記載の発明の画像形成装置は、同一チップ上に第1発光部から第n発光部(nは2以上の整数)のn個の発光部を有するマルチビームレーザから画像データに応じて変調された光ビームを光学部材を介して主走査方向に出射して像担持体上に画像を形成する光学ユニットと、画像形成時に、まず前記第1発光部のみ発光させ、次に前記第1発光部と共に前記第m発光部(mは2以上n以下の整数)の何れか1つを順次発光させることによって前記像担持体上に画像を形成させる制御を前記光学ユニットに対して行う制御手段と、主走査線方向の画像形成開始直前の光ビームを検知して第1検知信号を出力する第1検知手段と、主走査線方向の画像形成終了後の光ビームを検知して第2検知信号を出力する第2検知手段と、前記光学ユニットの光学部材に倍率ズレのない状態において、前記第1発光部と共に前記第m発光部が発光したときに、前記第2検知手段が前記第1発光部から出射された光ビームを検知するタイミングと前記第m発光部から出射された光ビームを検知するタイミングの差をそれぞれ第m基準タイミング差として予め記憶する記憶手段と、前記光学ユニットから画像形成のために前記第1発光部のみ又は前記第1発光部と共に前記第m発光部が発光しているときに前記第2検知信号を取り込んで、前記第2検知手段による出射された光ビームの検知時間幅を計測する計測手段と、前記第1発光部と共に前記第m発光部が発光しているときに前記計測手段によって計測された検知時間幅と前記第1発光部のみが発光しているときに前記計測手段によって計測された検知時間幅の差を求め、この差と前記記憶手段に記憶されている前記第m基準タイミング差との差を算出し、この差を前記第m発光部から出射された光ビームの倍率の変化量とする算出手段と、前記算出された第m発光部から出射される各光ビームの倍率の変化量を用いて対応する前記各発光部に出射される光ビームの主走査倍率を補正する補正手段と、を備える。
画像形成時、基準信号である第1発光部から出射される光ビームと第m発光部から出射される光ビームが同時に出射されるため、モノリシックマルチレーザダイオードのように各光ビームの間隔が狭い光源を使用した場合、第2検出手段から出力される検知信号からは第m発光部から出射された光ビームが第2検知手段に到達したタイミングを検知することができない。従って、第2検知手段から出力される検知信号からは、第m発光部から出力される光ビームの倍率ズレを検知できなかった。
しかし、請求項1に記載の発明によれば、まず、工場出荷前等の光学ユニットの倍率ズレがない状態において、第1発光部と第m発光部が同時に発光したときに、第2検知手段が第1発光部から出射された光ビームを検知したタイミングと第m発光部から出射された光ビームを検知したタイミングの差をそれぞれ第m基準タイミング差として予め測定して記憶し、次いで画像形成時に第1発光部及び第m発光部から出射された光ビームを第2検知手段が検知していた検知時間幅(つまり、第2検知手段が光ビームを受光していた受光時間)を計測し、算出手段が第m発光部から出射された光ビームの倍率の変化量として、第1発光部と第m発光部が発光しているときに計測された検知時間幅と第1発光部が発光しているときに計測された検知時間幅の差を求め、この差と第m基準タイミング差との差を算出することにより、第m発光部から出射された光ビームの倍率の変化量を知ることができる。そして、算出された倍率の変化量に基づいて各光ビームの主走査倍率を補正することにより、トナー像の位置ずれ等による画質低下を防ぐことができる。
尚、記憶手段が記憶する第m基準タイミング差は、検出装置等を用いて測定してもよいし、第m基準タイミング差は第1発光部から出射される光ビームと第m発光部から出射される光ビームのビーム間隔に相当するものであるため、ビーム間隔に基づいて数式から求めたものであってもよい。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記記憶手段は、前記光学ユニットの光学部材に倍率ズレのない状態において、前記第1発光部のみから出射された光ビームを前記第1検知手段が検知してから前記第2検知手段が検知するまでの基準走査時間を更に記憶し、前記計測手段は、更に前記第1検知信号を取り込んで、前記第1発光部のみ発光しているときに、前記第1発光部から出射された光ビームを前記第1検知手段が検知してから前記第2検知手段が検知するまでの走査時間を更に計測し、前記算出手段は、前記第1発光部から出射された光ビームの倍率の変化量として、前記計測手段によって計測された走査時間と前記記憶手段に記憶されている基準走査時間との差を更に算出し、前記補正手段は、前記算出された第1発光部から出射される各光ビームの倍率の変化量を用いて前記第1発光部から出射される光ビームの主走査倍率を更に補正するものである。
この発明によれば、第1発光部から出射される光ビームの倍率の変化量を知ることができる。そしてこの変化量に基づいて光ビームの倍率を補正することにより、トナー像の位置ずれ等による画質低下を防ぐことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、前記第1検知手段及び前記第2検知手段は、前記光学ユニットが有する光学部材全てを通過した光ビームを検知する位置に配置されるものである。
この構成によれば、光学ユニットの光学的精度、温度変化によるレンズの歪み、各光ビームの波長の違いからくる屈折率の違い等によって発生する各光ビームの倍率の変化量を正確に測定することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、前記第1検知手段及び前記第2検知手段は、前記像担持体が固定される筐体側に配置されるものである。
この構成によれば、光学ユニットの光学的精度、温度変化によるレンズの歪み、各光ビームの波長の違いからくる屈折率の違い等によって発生する各光ビームの倍率の変化量を正確に測定することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置であって、前記第1検知手段及び前記第2検知手段における主走査方向と直交する副走査方向の略同じ位置に前記光学ユニットから出射された光ビームを照射させるために光ビームを集光する光学手段を更に備えたものである。
この構成によれば、第1〜第n発光部が傾いて配設されたことによる第1検知手段及び第2検知手段の検知時間の差を無効にすることができ、各光ビームの倍率の変化量を正確に測定することができる。
この発明によれば、工場出荷前等の光学ユニットの倍率ズレがない状態において、第1発光部と第m発光部が同時に発光したときに、第2検知手段が第1発光部から出射された光ビームを検知したタイミングと第m発光部から出射された光ビームを検知したタイミングの差をそれぞれ第m基準タイミング差として予め測定して記憶し、次いで画像形成時に第1発光部及び第m発光部から出射された光ビームを第2検知手段が検知していた検知時間幅(つまり、第2検知手段が光ビームを受光していた受光時間)を計測し、算出手段が第m発光部から出射された光ビームの倍率の変化量として、第1発光部と第m発光部が発光しているときに計測された検知時間幅と第1発光部が発光しているときに計測された検知時間幅の差を求め、この差と第m基準タイミング差との差を算出することにより、第m発光部から出射された光ビームの倍率の変化量を知ることができる。そして、算出された倍率の変化量に基づいて各光ビームの主走査倍率を補正することにより、トナー像の位置ずれ等による画質低下を防ぐことができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。尚、本実施の形態においては、画像形成装置としてカラープリンタを例に説明するが、本発明は、カラー印刷が可能な複写機、ファクシミリ、各種機能を備えた複合機にも適用可能である。更に、本実施の形態においては、タンデム型カラープリンタを例に説明するが、レーザを用いた画像形成装置であれば他の印刷方式であってもよい。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例であるタンデム型のプリンタ1の概略構成を示す模式図である。図1に示すプリンタ1は、記録紙Pを貯留するために機器本体11に挿脱自在とされた給紙カセット120を有する給紙部12と、この給紙部12の駆動で給紙カセット120から繰り出された記録紙Pを搬送しながら当該記録紙Pにトナー画像を転写する2次転写ローラ137と、この2次転写ローラ137でトナー画像が転写された記録紙Pに対してトナー画像の定着処理を施す定着装置14とを備え、さらに、機器本体11の上面には、定着装置14で定着処理の施された記録紙Pが排紙される排紙部15が設けられている。
給紙部12には、給紙カセット120の図1に示す左上方位置にピックアップローラ121が設けられ、このピックアップローラ121の駆動によって給紙カセット120に貯留されている記録紙Pが1枚ずつピックアップされて2次転写ローラ137に向けて送り出される。
画像形成部13は、ブラックのトナー像を形成する画像形成ユニット131K、シアンのトナー像を形成する画像形成ユニット131C、イエローのトナー像を形成する画像形成ユニット131Y及びマゼンタのトナー像を形成する画像形成ユニット131Mと、これら画像形成ユニット131K、131C、131Y及び131Mによってその表面にトナー像が転写される転写ベルト136と、この転写ベルト136上のトナー像を給紙カセット120から送り込まれた記録紙Pにさらに転写するための2次転写ローラ137とを備えている。以下、画像形成ユニット131K、131C、131Y及び131Mをまとめて「画像形成ユニット131」という。
画像形成ユニット131は、上流側(図1の紙面の右側)から下流側へ向けて、画像形成ユニット131K、131C、131Y、131Mの順に順次配設されている。各画像形成ユニット131は、機器本体11内における各機器に対して所定の相対的な位置関係で位置決めされて装着されている。
各画像形成ユニット131には、像担持体である感光体ドラム132が配され、各感光体ドラム132に対向させて帯電器134が設けられている。この帯電器134よりも感光体ドラム132の回転方向(図1の矢印方向)の下流側には、露光装置135が設けられている。この露光装置135は、帯電器134によって一様に帯電された感光体ドラム132の周面に、画像データに基づく光ビームを照射するものであり、これによって各感光体ドラム132の周面に静電潜像が形成される。露光装置135よりも更に感光体ドラム132の回転方向下流側には、現像装置133が設けられている。この現像装置133のトナー容器から上記静電潜像にトナーが供給されることにより、感光体ドラム132の周面にトナー像が形成される。
更に、各感光体ドラム132には、感光体ドラム132周面の残留トナーを除去してクリーニングするクリーニング装置20が設けられている。クリーニング装置20によって清浄化処理された感光体ドラム132の周面は、新たな帯電処理のために帯電器134へ向かうことになる。
転写ベルト136は、各画像形成ユニット131の直上位置において、表面が感光体ドラム132の周面にそれぞれ当接するように駆動ローラ136aおよび従動ローラ136b間に張設されている。各感光体ドラム132の直上には、転写ベルト136を介して1次転写ローラ136cがそれぞれ設けられている。そして、駆動ローラ136aの駆動による転写ベルト136の走行速度に応じて、各画像形成ユニット131の感光体ドラム132上に形成されたそれぞれのトナー画像が、1次転写ローラ136cによって、互いに重ね合わせて転写ベルト136に転写され、転写ベルト136の表面上にカラートナー画像が形成される。
給紙カセット120から、2次転写ローラ137及び駆動ローラ136aのニップ部に向かう記録紙搬送路には、記録紙Pを当該ニップ部に搬送するレジストローラ145が設けられている。このレジストローラ145によって、2次転写ローラ137及び駆動ローラ136aのニップ部への記録紙搬送タイミングが調整された上で、記録紙Pが当該ニップ部に搬送される。また、このニップ部では、記録紙Pに対して、2次転写ローラ137により、転写ベルト136上のカラートナー画像が転写され、記録紙P上にカラートナー画像が形成される。
尚、従動ローラ136bの図1において右側には、転写ベルト用クリーニング装置160が設けられ、記録紙Pへのトナー像の転写処理後の転写ベルト136の表面に残留しているトナーがこの転写ベルト用クリーニング装置160によって取り除かれ、これによって清浄化した転写ベルト136が感光体ドラム132へ供給されるようになっている。
定着装置14は、画像形成部13で記録紙Pに転写されたカラートナー画像に定着処理を施すものである。定着装置14は、通電発熱体により加熱される熱ローラ141と、この熱ローラ141に対向配置され、周面が熱ローラ141の周面に押圧当接される加圧ローラ142とを備えている。そして、画像形成部13で2次転写ローラ137により記録紙Pに転写されたカラートナー画像は、当該記録紙Pが熱ローラ141と加圧ローラ142との間を通過するときの加熱による定着処理で定着され、その後、排紙部15へ排紙される。
図2は、図1に示す露光装置135の内部構成の一例を示す概略構造図である。露光装置135は、ポリゴンミラー2、ポリゴンミラーモータ3、fθレンズ4、コリメータレンズ5、レーザ光源6、ミラー8、光学センサ9a及び9b及び集光レンズ10が、筐体に収容されて構成されている。
レーザ光源6は、図略の支持軸により軸支された状態で回転可能に構成された円柱状表面を有する感光体ドラム132の表面に各種光学部材を介して光ビームを照射する。図3は、レーザ光源6の外観図である。レーザ光源6は、先端面Yに一定間隔で1列に配列された複数のレーザダイオードLD1〜LD3がユニット化されてなり、先端面Yに対する法線のうち中央に位置するレーザダイオードLD2を通る法線Gを回転軸として矢印Xの方向に回転可能に構成されている。レーザ光源6は、例えばモノリシックマルチレーザダイオードを用いて構成されている。尚、本実施の形態では、3個のレーザダイオードを備えたモノリシックマルチレーザダイオードを例に説明するが、同一チップ上にレーザダイオードが2個以上配置されているレーザダイオードであればよい。
各レーザダイオードLD1〜LD3から出射された光ビームが感光体ドラム23の表面を照射した場合に、その照射位置(結像位置)の配列方向が、主走査方向及び副走査方向(主走査方向に直交する方向)のそれぞれに対して傾斜角度を有するようにレーザ光源6を回転した状態で配置することで、複数の描画ラインへの描画動作を1回の走査で行うことができる。更に、傾斜角度を調整することで、副走査方向の解像度を調整できるように構成されている。
コリメータレンズ5は、レーザ光源6の近傍に配設され、レーザ光源6から出力された光ビームのビーム径を整える。ポリゴンミラー2は、所定速度で回転し、感光体ドラム132の長手方向(主走査方向)に光ビームが走査されるように、光ビームを偏向する。本実施の形態では、ポリゴンミラー2は時計回りに回転するため、光ビームは、左から右に向けて走査される。
ポリゴンミラーモータ3は、ポリゴンミラー2を所定速度で回転させる。ポリゴンミラーモータ3は、例えば後述する制御部から出力されたクロック信号と同期してポリゴンミラーを回転させるようになっている。従って、ポリゴンミラーモータ3は、クロック信号の有無によって、ポリゴンミラーを所望の角度だけ回転させて、ポリゴンミラーの回転角を調節することができるようになっている。
fθレンズ4は、感光体ドラム132の長手方向(主走査方向)に光ビームが一定の速度で走査されるように光ビームをミラー8へと導く。ミラー8は、fθレンズ4から出力された光ビームを筐体に設けられた図略の開口部に向けて反射させ、感光体ドラム132へ出力する。
光学センサ9aは、光ビームが1ライン(1走査)分の画像形成を開始する直前の光ビームを検出し、光学センサ9bは光ビームが1ライン分の画像形成を終えた後の光ビームを検出する。以下、光学センサ9a及び9bをまとめて「光学センサ9」という。光学センサ9は、フォトダイオード等の光センサから構成されており、ポリゴンミラー2により反射された光ビームを検知して、検知信号を制御部へ出力する。具体的には、光学センサ9は、光ビームを検知していないときはハイレベルの信号を出力し、光ビームが光学センサ9の受光面を通過している間はローレベルの信号を出力する。
尚、光学センサ9は、図2に示すように露光装置内135の筐体内に配置する場合は、露光装置135が有する光学部材全てを通過した光ビームを検知可能な位置に配置することが望ましい。または、感光体ドラム132が固定される筐体内に配置することが望ましい。これにより、光学部材の光学的精度、温度変化によるレンズの歪み、各光ビームの波長の違いからくる屈折率の違い等によって発生する各光ビームの倍率の変化量(後述)を正確に測定することができる。
また、光学センサ9の受光面に対して主走査方向と直交する副走査方向の略同じ位置に光ビームを照射させるために、光ビームを集光する集光レンズ10を光学センサ9の上流側に配置してもよい。このようにすることで、各レーザダイオードが傾いて配設されたことによる光学センサ9aと9bの検知時間の差を無効にすることができ、各光ビームの主走査倍率の変化量を正確に測定することができる。
図4は、プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。プリンタ1は、制御部200、記憶部210、画像メモリ220、画像処理部230、画像形成部13、入力操作部240及びネットワークI/F部250を備えて構成されている。尚、図1を用いて説明した構成要素と同じものには同符号を付して、説明を省略する。
記憶部210は、プリンタ1の備える種々の機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶し、更に基準値記憶部211として機能する。基準値記憶部211については、後ほど詳しく説明する。画像メモリ220は、ネットワークI/F部250を介して外部装置から送信された文書データや画像データ等を一時的に記憶する。画像処理部230は、画像メモリ220に記憶されている画像データに対して画像補正や拡大・縮小等の画像処理を施す。
画像形成部13は、画像メモリ220に記憶された画像データに基づいてトナー像を形成する。入力操作部240は、電源キーや設定キーを有する。ネットワークI/F部250は、LANボード等の通信モジュールから構成され、ネットワークI/F部250と接続されたネットワーク(不図示)を介して外部装置と種々のデータの送受信を行う。
制御部200は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等によって構成され、記憶部210に記憶されたプログラムを読み出して処理を実行し、各機能部への指示信号の出力、データ転送等を行ってプリンタ1を統括的に制御するものであり、時間計測部201、倍率ズレ算出部202及び倍率ズレ補正部203を有する。
時間計測部201は、光学センサ9から出力された検知信号に基づいて、レーザダイオードLD1のみが発光しているときにレーザダイオードLD1から出射された光ビーム(以下「光ビームLD1」という)の走査時間を計測する。更に、光学センサ9bから出力された検知信号に基づいて光学センサ9bが光ビームを検知していた検知時間幅(つまり、光学センサ9bが光ビームを受光していた受光時間)を計測する。
倍率ズレ算出部202は、時間計測部201によって計測された光学センサ9bの検知時間幅と基準値記憶部211に記憶されている値を用いて、レーザダイオードLD1〜LD3の倍率ズレを算出する。倍率ズレ補正部203は、倍率ズレ算出部202で算出された倍率ズレに基づいてレーザダイオードLD1〜LD3から出射される光ビームの倍率を補正する。
時間計測部201、倍率ズレ算出部202及び倍率ズレ補正部203の機能について詳しく説明する。図5は、レーザ光源6から出射された光が倍率ズレがない状態で感光体ドラム132に照射されているときに、光学センサ9から出力された検知信号の信号波形の一例を示した図である。図5において、信号BDaは光学センサ9aから出力された検知信号、信号BDbは光学センサ9bから出力された検知信号であり、横軸は時間である。
光学センサ9aから出力された信号BDaは、主走査方向の書き出しタイミングの検出・調整に使用される。光学センサを利用した書き出しタイミングの検出・調整は従来から行われている方法であり(特許文献1参考)、光学センサの検知信号を用いて書き出しタイミングを制御することで、カラー画像を構成する各色のトナー像の位置ずれを防止することができる。
また、時間計測部201及び倍率ズレ算出部202は、信号BDa及びBDbを用いて各光ビームの倍率ズレを検出する。各光ビームの倍率ズレは、各光ビームが光学センサ9aを通過する時間を起点として、光学センサ9bに到達するタイミングが変化することで検知することができる。以下、倍率ズレのない状態における各検知信号について説明し、その後、倍率ズレのある状態における各検知信号について説明しながら倍率ズレの具体的な検出方法を説明する。
図5の上段は、レーザダイオードLD1のみ点灯させたときの検知信号である。図中の時間Tは、光ビームLD1が光学センサ9aを通過してから光学センサ9bに到達するまでの時間(走査時間)である。
次に、図5の中段は、レーザダイオードLD1及びLD2を点灯させたときの検知信号である。以下、レーザダイオードLD2から出射される光ビームを「光ビームLD2」という。図5の下段は、レーザダイオードLD1及びLD3を点灯させたときの検知信号である。以下、レーザダイオードLD3から出射される光ビームを「光ビームLD3」という。
ここで、各光ビームLD1〜LD3の倍率ズレの検出は、画像形成中に行われるため、基準信号としている光ビームLD1を消灯することができない。つまり、光ビームLD2及びLD3が出射されるときは、光ビームLD1も同時に出射される。従って、光ビームLD2及びLD3は、光ビームLD1と重なっているため、光学センサ9bから出力される信号BDbでは光ビームLD2、LD3のみの到達タイミングが分からない。
しかし、光ビームLD2は、レーザダイオードLD1とLD2のビーム間隔に相当する時間だけ光ビームLD1より遅れて光学センサ9bに到達するはずである。同様に、光ビームLD3は、レーザダイオードLD1とLD3のビーム間隔に相当する時間だけ光ビームLD1より遅れて光学センサ9bに到達するはずである。そこで、倍率ズレのない状態における、光ビームLD1とLD2、光ビームLD1とLD3の光学センサ9bに到達する時間差を工場出荷前に予め測定し、各時間差を基準値記憶部211に記憶させる。以下、光ビームLD1とLD2の光学センサ9bに到達する時間差を△T12、光ビームLD1とLD3の光学センサ9bに到達する時間差を△T13とする。
この時間差△T12を用いて、図5の中段において、レーザダイオードLD2のみ点灯させたときに光学センサ9から出力される信号を想定した信号xBDa及びxBDbを示している。つまり、レーザダイオードLD2のみ点灯させたときの信号xBDa及びxBDbの立ち下がりのタイミング(受光開始タイミング)は、レーザダイオードLD1及びLD2を点灯させたときに出力される信号BDa及びBDbの立ち下がり(時間t10、t11)よりも△T12遅くなると想定される。
同様に、時間差△T13を用いて、図5の下段において、レーザダイオードLD3のみを点灯させたときに光学センサ9から出力される信号を想定した信号xBDa及びxBDbを示している。つまり、レーザダイオードLD3のみを点灯させたときの信号xBDa及びxBDbの立ち下がりのタイミングは、レーザダイオードLD1及びLD3を点灯させたときに出力される信号BDa及びBDbの立ち下がり(時間t10、t11)よりも△T13遅くなると想定される。
そして、図5に示す波形は倍率ズレがない状態のものであるため、各光ビームの走査時間は時間Tとなる。つまり、各光ビームが光学センサ9aを通過して光学センサ9bに到達するまでの時間はそれぞれ等しい。このときの主走査倍率をaとする。
図6は、レーザ光源6から出射された光が倍率ズレの発生した状態で感光体ドラム132に照射されているときに、光学センサ9から出力された検知信号の信号波形の一例を示した図である。図6の上段に示すレーザダイオードLD1のみ点灯させたときの信号BDa及びBDbに着目すると、光ビームLD1の走査時間T1は、倍率ズレが発生しているため、図5で示した時間幅Tとは異なる。ここで、光ビームLD1の走査時間の変化量は、倍率ズレの変化量と相関関係にある。従って、倍率ズレによって光ビームLD1の主走査倍率がΔaだけ変化しているとすると、図6に示した状態における主走査倍率はa+△aとなる。そして、
Δa=T−T1・・・(1)
で表すことができる。時間Tは、倍率ズレがない状態における光ビームLD1の走査時間であり、工場出荷前に予め測定され、基準走査時間として基準値記憶部211が記憶する。そして、画像形成時に光ビームLD1のみが出射されたとき、時間計測部201は、信号BDa及びBDbを入力して、光ビームLD1の走査時間を計測する。倍率ズレ算出部202は、基準値記憶部211に記憶されている基準走査時間を読み出して、計測された光ビームLD1の走査時間と式(1)を用いて光ビームLD1の倍率の変化量Δaを算出する。
Δa=T−T1・・・(1)
で表すことができる。時間Tは、倍率ズレがない状態における光ビームLD1の走査時間であり、工場出荷前に予め測定され、基準走査時間として基準値記憶部211が記憶する。そして、画像形成時に光ビームLD1のみが出射されたとき、時間計測部201は、信号BDa及びBDbを入力して、光ビームLD1の走査時間を計測する。倍率ズレ算出部202は、基準値記憶部211に記憶されている基準走査時間を読み出して、計測された光ビームLD1の走査時間と式(1)を用いて光ビームLD1の倍率の変化量Δaを算出する。
同時に、時間計測部201は、光ビームLD1のみが出力されたときの信号BDbから、光学センサ9bによる光ビームLD1の受光時間幅A2を計測する。時間計測部201による時間の計測は、信号間隔よりも高い周波数のクロックを用いた同期カウンタ回路、又は遅延素子を用いた遅延回路等で行う。
次に、図6の中段に示すレーザダイオードLD1及びLD2を点灯させたときの信号BDa及びBDbに着目する。図6の中段には、図5と同様に、レーザダイオードLD1及びLD2を点灯させたときの信号BDa及びBDbと、レーザダイオードLD2のみ点灯させたときに光学センサ9から出力される信号を想定した信号xBDa及びxBDbの波形を示している。図5における説明と同様に、レーザダイオードLD2のみ点灯させたときの信号xBDaの立ち下がりのタイミングは、レーザダイオードLD1及びLD2を点灯させたときに出力される信号BDaの立ち下がり(時間t20)よりΔT12遅くなる。
一方、レーザダイオードLD2のみ点灯させたときの信号xBDbの立ち下がりのタイミングは、倍率ズレが発生しているため、レーザダイオードLD1及びLD2を点灯させたときに出力される信号BDbの立ち下がり(時間t21)よりΔT12遅くなるわけではない。
各光ビームの主走査倍率の変化量と各光ビームの走査時間の変化量とは相関関係にあるため、倍率ズレは各光ビームが光学センサ9bに到達するタイミングが変化することで検知することができる。しかし、上記したように、レーザダイオードLD1は基準信号であるため消灯することができず、レーザダイオードLD2及びLD3は、常にレーザダイオードLD1と共に点灯される。従って、光学センサ9bから出力される信号BDbの立ち下がりタイミングからは、光ビームLD2、LD3のみが光学センサ9bに到達するタイミングを知ることができない。
そこで、光学センサ9bによる光ビームの受光時間幅を計測し、その計測結果を用いて、光ビームLD2、LD3のみが光学センサ9bに到達するタイミングを算出し、倍率ズレを検知する。まず、時間計測部201は、レーザダイオードLD1及びLD2を点灯させたときに出力された信号BDbから受光時間幅B2を計測する。そして、倍率ズレ算出部202が、レーザダイオードLD1及びLD2を点灯させたときに出力された信号BDbの受光時間幅B2からレーザダイオードLD1のみ点灯させたときに出力された信号BDbの受光時間幅A2の差(B2−A2)を算出する。
この時間差(B2−A2)は、次のことが言える。レーザダイオードLD1及びLD2を点灯したときに出力される信号BDbがローレベルの間において、時間差(B2−A2)の間は、光学センサ9bによる光ビームLD1の受光が終わり、光ビームLD2のみを受光している時間帯である。つまり、各光ビームのビーム径が等しい場合、レーザダイオードLD1及びLD2を点灯したときの信号BDbの立ち下がりから時間差(B2−A2)経過した時に、光ビームLD2は光学センサ9bに到達するはずである。
図6の中段において、レーザダイオードLD2のみ点灯させたときに光学センサ9bから出力される信号を想定した信号xBDbの立ち上がりのタイミングは、上記の論理を適用して示した波形である。つまり、レーザダイオードLD2のみ点灯させたときは、レーザダイオードLD1及びLD2を点灯させたときに出力された信号BDbの立ち下がりのタイミング(時間t21)より時間差(B2−A2)遅くなると想定される。
従って、レーザダイオードLD2のみ点灯させたときの信号xBDa及びxBDbに着目すると、光ビームLD2の走査時間T2は、倍率ズレが発生しているため、倍率ズレがない状態における光ビームLD2の走査時間Tとは異なる。このとき、光ビームLD2の倍率がΔbだけ変化しているとすると、主走査倍率はa+Δbとなる。
そして、この倍率の変化量Δbは、
Δb=(B2−A2)−ΔT12・・・(2)
で表すことができる。この式(2)について詳しく説明すると、倍率ズレのない状態であれば、図5に示すように、レーザダイオードLD2のみ点灯させたときの信号xBDbの立ち下がりは、レーザダイオードLD1及びLD2を点灯させたときの信号BDbの立ち下がりから時間ΔT12だけ遅れることになる。
Δb=(B2−A2)−ΔT12・・・(2)
で表すことができる。この式(2)について詳しく説明すると、倍率ズレのない状態であれば、図5に示すように、レーザダイオードLD2のみ点灯させたときの信号xBDbの立ち下がりは、レーザダイオードLD1及びLD2を点灯させたときの信号BDbの立ち下がりから時間ΔT12だけ遅れることになる。
しかし、倍率ズレが発生すると、図6に示すように、レーザダイオードLD2のみ点灯させたときの信号xBDbの立ち下がりは、レーザダイオードLD1及びLD2点灯させたときの信号BDbの立ち下がりから時間(B2−A2)ほど遅れている。つまり、倍率ズレが発生したことによって、レーザダイオードLD2のみ点灯させたときの信号xBDbの立ち上がりのタイミングが、時間ΔT12から時間(B2−A2)に変化したのである。従って、倍率ズレがあるときとないときにおける、レーザダイオードLD2のみ点灯させたときの信号xBDbの立ち下がりのタイミングの差(B2−A2)−ΔT12が倍率の変化量Δbに相当することになる。
レーザダイオードLD3の倍率ズレに関しても同様のことが言える。図6の下段に示すレーザダイオードLD1及びLD3を点灯させたときの信号BDa及びBDbに着目する。図6の下段には、図5と同様に、レーザダイオードLD1及びLD3を点灯させたときの信号BDa及びBDbと、レーザダイオードLD3のみ点灯させたときに光学センサ9から出力される信号を想定した信号xBDa及びxBDbの波形を示している。図5における説明と同様に、レーザダイオードLD3のみ点灯させたときの信号xBDaの立ち下がりのタイミングは、レーザダイオードLD1及びLD3を点灯させたときに出力される信号BDaの立ち下がり(時間t20)よりΔT13遅くなる。
一方、レーザダイオードLD3のみ点灯させたときの信号xBDbの立ち下がりのタイミングは、倍率ズレが発生しているため、レーザダイオードLD1及びLD3を点灯させたときに出力される信号BDbの立ち下がり(時間t21)よりΔT13遅くなるわけではない。
そこで、レーザダイオードLD3の主走査倍率の変化量を上記の方法と同様に算出する。時間計測部201は、レーザダイオードLD1及びLD3を点灯させたときに出力された信号BDbから受光時間幅C2を計測する。そして、倍率ズレ算出部202が、レーザダイオードLD1及びLD3を点灯させたときに出力された信号BDbの受光時間幅C2からレーザダイオードLD1のみ点灯させたときに出力された信号BDbの受光時間幅A2の差(C2−A2)を算出する。
レーザダイオードLD1及びLD3を点灯したときに出力される信号BDbがローレベルの間において、時間差(C2−A2)の間は、光学センサ9bによる光ビームLD1の受光が終わり、その後光ビームLD3のみを受光している時間帯である。つまり、各光ビームのビーム径が等しい場合、レーザダイオードLD1及びLD3を点灯したときの信号BDbの立ち下がりから時間差(C2−A2)経過した時に、光ビームLD3は光学センサ9bに到達するはずである。
ここで、図6の下段の波形においては、時間t22で信号BDbが立ち上がり、時間t23で再び立ち下がっている。この時間t22から時間t23の間のハイレベルは、倍率ズレによって光ビームLD1とLD3のビーム間隔が開いたために、光学センサ9bに何れの光ビームも受光しない時間ができたために発生したものである。信号BDbが立ち下がってから信号BDbの論理が変化した場合、変化している時間帯(つまり時間t22からt23の間)が所定時間以内であれば、時間計測部201は、論理が変化している時間帯も受光時間に含んで計測する。この他、予想されるビーム間隔から計算される定数のフィルタで信号BDbを鈍らせて、ビーム間隔の開きが原因で発生する信号BDbの論理変化が起こらないようにしてもよい。
図6の下段において、レーザダイオードLD3のみ点灯させたときに光学センサ9bから出力される信号を想定した信号xBDbの立ち下がりのタイミングは、上記の論理を適用して示した波形である。つまり、レーザダイオードLD3のみ点灯させたときは、レーザダイオードLD1及びLD3を点灯させたときに出力された信号BDbの立ち下がりのタイミング(時間t21)より時間差(C2−A2)遅くなると想定される。従って、レーザダイオードLD3のみ点灯させたときの信号xBDa及びxBDbに着目すると、信号xBDaの立ち下がりから信号xBDbの立ち下がりの時間幅T3は、倍率ズレが発生しているため、倍率ズレのない状態における光ビームLD3の走査時間Tとは異なる。このとき、光ビームLD2の倍率がΔcだけ変化しているとすると、主走査倍率はa+Δcとなる。
そして、この倍率の変化量Δcは、
Δc=(C2−A2)−ΔT13・・・(3)
で表すことができる。倍率ズレのない状態であれば、図5に示すように、レーザダイオードLD3のみ点灯させたときの信号xBDbの立ち下がりは、レーザダイオードLD1及びLD3を点灯させたときの信号BDbの立ち下がりから時間ΔT13だけ遅れることになる。
Δc=(C2−A2)−ΔT13・・・(3)
で表すことができる。倍率ズレのない状態であれば、図5に示すように、レーザダイオードLD3のみ点灯させたときの信号xBDbの立ち下がりは、レーザダイオードLD1及びLD3を点灯させたときの信号BDbの立ち下がりから時間ΔT13だけ遅れることになる。
しかし、倍率ズレが発生すると、図6に示すように、レーザダイオードLD3のみ点灯させたときの信号xBDbの立ち下がりは、レーザダイオードLD1及びLD3を点灯させたときの信号BDbの立ち下がりから時間(C2−A2)ほど遅れている。つまり、倍率ズレが発生したことによって、レーザダイオードLD3のみ点灯させたときの信号xBDbの立ち上がりのタイミングが、時間ΔT13から時間(C2−A2)に変化したのである。従って、倍率ズレがあるときとないときにおける、レーザダイオードLD3のみ点灯させたときの信号xBDbの立ち下がりのタイミングの差(C2−A2)−ΔT13が倍率の変化量Δcに相当することになる。
倍率ズレ補正部203は、倍率ズレ算出部202によって算出された各光ビームLDの倍率の変化量を用いて、倍率ズレの補正を行う。具体的には、倍率ズレ補正部202は、光ビームの書込クロック周波数によって主走査倍率が変化することを利用して、算出された倍率の変化量に基づいて、各光ビームLDの書込クロック周波数及び位相シフト値の補正を行って、所望の主走査倍率に合わせる処理を行う。
図7は、各光ビームLDの倍率補正の処理の流れを示したフローチャートである。まず、制御部200は画像形成部13によって画像形成が開始されたか否かを判断する。画像形成が開始され(ステップS11;YES)、レーザダイオードLD1のみ点灯されたら(ステップS12;YES)、時間計測部201は、光学センサ9から出力される信号BDa及びBDbを取得し、光ビームLD1の走査時間と、光学センサ9bによる光ビームLD1の受光時間幅(図6中の時間A1)を計測する(ステップS13)。そして倍率ズレ算出部202が、式(1)を用いて光ビームLD1の倍率の変化量Δaを算出する(ステップS14)。
続いて、レーザダイオードLD1及びLD2が点灯されたら(ステップS15;YES)、時間計測部201は、光学センサ9bから出力される信号BDbを取得し、光学センサ9bによる光ビームLD2の受光時間幅(図6中の時間B1)を計測する(ステップS16)。そして、倍率ズレ算出部202が、式(2)を用いて光ビームLD2の倍率の変化量Δbを算出する(ステップS17)。
次に、レーザダイオードLD1及びLD3が点灯された(ステップS18;YES)、時間計測部201は、光学センサ9bから出力される信号BDbを取得し、光学センサ9bによる光ビームLD3の受光時間幅(図6中の時間C1)を計測する(ステップS19)。そして、倍率ズレ算出部202が、式(3)を用いて光ビームLD3の倍率の変化量Δcを算出する(ステップS20)。
そして、算出された各光ビームLDの倍率の変化量Δa、Δb及びΔcを用いて、倍率ズレ補正部203は各光ビームLDの主走査倍率を補正し(ステップS21)、処理を終了する。
以上、説明したように、画像形成時に、基準信号である光ビームLD1と基準信号以外の光ビームLD2及びLD3とが同時に出射されるため、光学センサ9bから出力される信号から光ビームLD2及びLD3が光学センサ9bに到達するタイミングを検知できなくても、光ビームLD2及びLD3の主走査倍率の変化を算出することができる。そして、算出された主操作倍率の変化量を用いて各光ビームの倍率補正を行うことにより、トナー像の位置ズレや色ズレを防ぐことができ、画像品質を維持することができる。
1 プリンタ(画像形成装置)
200 制御部(制御手段)
201 時間計測部(計測手段)
202 倍率ズレ算出部(算出手段)
203 倍率ズレ補正部(補正手段)
210 記憶部
211 基準値記憶部(記憶手段)
220 画像メモリ
230 画像処理部
13 画像形成部
135 露光装置(光学ユニット)
2 ポリゴンミラー
3 ポリゴンミラーモータ
4 fθレンズ
5 コリメータレンズ
6 レーザ光源(マルチビームレーザ)
8 ミラー
9a、9b 光学センサ(第1検知手段、第2検知手段)
10 集光レンズ(光学手段)
240 入力操作部
250 ネットワークI/F部
200 制御部(制御手段)
201 時間計測部(計測手段)
202 倍率ズレ算出部(算出手段)
203 倍率ズレ補正部(補正手段)
210 記憶部
211 基準値記憶部(記憶手段)
220 画像メモリ
230 画像処理部
13 画像形成部
135 露光装置(光学ユニット)
2 ポリゴンミラー
3 ポリゴンミラーモータ
4 fθレンズ
5 コリメータレンズ
6 レーザ光源(マルチビームレーザ)
8 ミラー
9a、9b 光学センサ(第1検知手段、第2検知手段)
10 集光レンズ(光学手段)
240 入力操作部
250 ネットワークI/F部
Claims (5)
- 同一チップ上に第1発光部から第n発光部(nは2以上の整数)のn個の発光部を有するマルチビームレーザから画像データに応じて変調された光ビームを光学部材を介して主走査方向に出射して像担持体上に画像を形成する光学ユニットと、
画像形成時に、まず前記第1発光部のみ発光させ、次に前記第1発光部と共に前記第m発光部(mは2以上n以下の整数)の何れか1つを順次発光させることによって前記像担持体上に画像を形成させる制御を前記光学ユニットに対して行う制御手段と、
主走査線方向の画像形成開始直前の光ビームを検知して第1検知信号を出力する第1検知手段と、
主走査線方向の画像形成終了後の光ビームを検知して第2検知信号を出力する第2検知手段と、
前記光学ユニットの光学部材に倍率ズレのない状態において、前記第1発光部と共に前記第m発光部が発光したときに、前記第2検知手段が前記第1発光部から出射された光ビームを検知するタイミングと前記第m発光部から出射された光ビームを検知するタイミングの差をそれぞれ第m基準タイミング差として予め記憶する記憶手段と、
前記光学ユニットから画像形成のために前記第1発光部のみ又は前記第1発光部と共に前記第m発光部が発光しているときに前記第2検知信号を取り込んで、前記第2検知手段による出射された光ビームの検知時間幅を計測する計測手段と、
前記第1発光部と共に前記第m発光部が発光しているときに前記計測手段によって計測された検知時間幅と前記第1発光部のみが発光しているときに前記計測手段によって計測された検知時間幅の差を求め、この差と前記記憶手段に記憶されている前記第m基準タイミング差との差を算出し、この差を前記第m発光部から出射された光ビームの倍率の変化量とする算出手段と、
前記算出された第m発光部から出射される各光ビームの倍率の変化量を用いて対応する前記各発光部に出射される光ビームの主走査倍率を補正する補正手段と、
を備えた画像形成装置。 - 前記記憶手段は、前記光学ユニットの光学部材に倍率ズレのない状態において、前記第1発光部のみから出射された光ビームを前記第1検知手段が検知してから前記第2検知手段が検知するまでの基準走査時間を更に記憶し、
前記計測手段は、更に前記第1検知信号を取り込んで、前記第1発光部のみ発光しているときに、前記第1発光部から出射された光ビームを前記第1検知手段が検知してから前記第2検知手段が検知するまでの走査時間を更に計測し、
前記算出手段は、前記第1発光部から出射された光ビームの倍率の変化量として、前記計測手段によって計測された走査時間と前記記憶手段に記憶されている基準走査時間との差を更に算出し、
前記補正手段は、前記算出された第1発光部から出射される各光ビームの倍率の変化量を用いて前記第1発光部から出射される光ビームの主走査倍率を更に補正するものである請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記第1検知手段及び前記第2検知手段は、前記光学ユニットが有する光学部材全てを通過した光ビームを検知する位置に配置されるものである請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記第1検知手段及び前記第2検知手段は、前記像担持体が固定される筐体側に配置されるものである請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記第1検知手段及び前記第2検知手段における主走査方向と直交する副走査方向の略同じ位置に前記光学ユニットから出射された光ビームを照射するために光ビームを集光する光学手段を更に備えた請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009009577A JP2010167568A (ja) | 2009-01-20 | 2009-01-20 | 画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009009577A JP2010167568A (ja) | 2009-01-20 | 2009-01-20 | 画像形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2009009577A Pending JP2010167568A (ja) | 2009-01-20 | 2009-01-20 | 画像形成装置 |
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Country | Link |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013240994A (ja) * | 2012-04-26 | 2013-12-05 | Canon Inc | レーザ光間の位置ずれを補正する画像形成装置 |
JP2014191144A (ja) * | 2013-03-27 | 2014-10-06 | Kyocera Document Solutions Inc | 光走査装置及び画像形成装置 |
-
2009
- 2009-01-20 JP JP2009009577A patent/JP2010167568A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013240994A (ja) * | 2012-04-26 | 2013-12-05 | Canon Inc | レーザ光間の位置ずれを補正する画像形成装置 |
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