JP5321355B2 - 床用化粧シート - Google Patents

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Description

本発明は、床面あるいは床面に敷き詰めて用いる板状基板の表面に用いる床用化粧シートに関し、特には人やペットが生活する室内の床面に用いる床用化粧シートに関する。
主に木質基材からなるフローリングは近年住宅の流行となってきているが、犬などのペットを室内で飼育する上で、滑り易いためにペットの足や股関節に負担がかかり骨折などの原因ともなりかねないという問題があった。
ペットの爪が引っかかるように表面に凹凸を設けるという方法もあるが、あまり大きな凹凸であると人が歩く際につっかかりやすくなり転倒の原因ともなる。また表面の凹凸形成後に表面保護層を塗布することが通常行われるが、凹凸が大きいとムラが生じて経時の耐傷付性が低下するものとなりやすい。
また、動物(特には犬)が爪を出すのは、想定敵に威嚇したり攻撃したりする場合か、結果として滑ってしまったときのとっさの行動による場合であり、爪が引っかかるような表面凹凸を設けても、通常状態で爪を出すことがない動物であれば、滑り止めにはならないものとも考えられる。
特開2007−135482
日本建築学会構造系論文集,第73巻,第624号,pp189〜196,2008年2月,すべり測定方法の提示 ペットの安全性からみた床のすべりの評価方法(その1):横山祐、横井健、小川慧、小野英哲
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、すなわちその課題とするところは、人やペットが滑ったり転んだりすることがない、かつ経時の耐傷付性の高い床用化粧シートを提供することにある。
本発明はこの課題を解決したものであり、すなわちその請求項1記載の発明は、床面あるいは床用板状基板に着色熱可塑性樹脂基材、絵柄模様層、表面に梨地状凹凸をする透明熱可塑性樹脂層、表面保護層を少なくともこの順に有する床用化粧シートにおいて、前記表面保護層を設けた後の表面の凹凸の高低差が10μm〜40μmであり、隣接する凸部間の幅が150μm〜400μmであることを特徴とする床用化粧シートである。
本発明者らは、爪による滑り止めを目的とした凹凸ではなく、肉球および肉球と肉球の間の毛により肉球がある程度嵌りこむ程度の凹凸の大きさと間隔を設けることが、人の転倒を防止する上でもちょうどよい凹凸となるものと考え、凹凸の高低差と間隔を定めることでそれを達成した。
本発明の床用化粧シートの一実施例の断面の構造を示す説明図である。
以下に図面に基づき本発明を詳細に説明する。図1に本発明の床用化粧シートの一実施例の断面の構造を示す。木質系床材1の上に、着色熱可塑性樹脂層2、絵柄模様層3、透明熱可塑性樹脂層4、表面保護層5を設けてなる。これら層間には適宜の接着剤による接着剤層(図示せず)を設けても良い。透明熱可塑性樹脂層4の表面には梨地状凹凸を有する。
本発明における木質系床材1としては、木材、合板など床面に用いることのできるものであれば特に材質を限定するものではなく、合成樹脂に木粉を混合したものを発泡成形したものなどであっても良い
本発明における着色熱可塑性樹脂層2としては、化粧シートの基材としての強度と木質系基材の表面を隠蔽する着色を有するものであればよく、用いる熱可塑性樹脂としては、種類は特に限定されず、例えば従来、係る化粧シート用の基材シートの素材として使用されている公知の任意の熱可塑性樹脂を使用することができる。具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はその鹸化物、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体等のポリオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(以後ASとする)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(以後ABSとする)等のスチレン系樹脂、セルロースアセテート、ニトロセルロース等の繊維素誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等、またはこれらから選ばれる2種または3種以上の共重合体や混合物、複合体、積層体等を使用することができる。厚みとしては50〜150μm程度が印刷しやすさ、基材に貼るときにある程度形状を保持したほうがの貼りやすさの点で好適である。
着色するときの着色剤としては、高屈折率で耐候性、隠蔽性に優れた無機顔料を使用することが望ましい。具体的には、例えば黄鉛、黄色酸化鉄、チタンイエロー、バリウムイエロー、キナクリドン、オーレオリン、モリブデートオレンジ、弁柄、マルスバイオレット、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、コバルトブルー、セルリアンブルー、群青、紺青、エメラルドグリーン、ビリジアン、鉄黒、カーボンブラック等の有色顔料や、例えば酸化チタン(チタン白、チタニウムホワイト)、酸化亜鉛(亜鉛華)、塩基性炭酸鉛(鉛白)、塩基性硫酸鉛、硫化亜鉛、リトポン、チタノックス等の白色顔料等を使用することができる。
また、各種充填剤、耐候性処方(ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等の紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などの各種添加剤を適宜添加することも任意である。以上の樹脂をそれぞれ単独でまたは複数種混合して使用することができる。
本発明における絵柄模様層3としては、前記着色熱可塑性樹脂層2の表面側か後述する透明熱可塑性樹脂層4の裏側にグラビア印刷等の手段により設けられる。具体的には2液硬化型ウレタン樹脂系インキ、塩化酢酸ビニル樹脂系インキなどが挙げられる。顔料としては、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青等の無機顔料や、アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料、魚鱗粉、塩基性炭酸鉛、酸化塩化ビスマス、酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料、蛍光顔料、夜光顔料等、またはこれらから選ばれる2種以上の混合物等を使用することができる。また、各種充填剤、耐候性処方(ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等の紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などの各種添加剤を適宜添加することも任意である。
本発明における透明熱可塑性樹脂層4としては、前記着色熱可塑性樹脂層2と同様の樹脂が使用可能であるが、透明性や加工適性の点からポリオレフィン系樹脂が好適である。また、本発明における透明熱可塑性樹脂層4は、その表面側に梨地状の凹凸を設けたものとする。透明熱可塑性樹脂層4を設ける方法としては、前記絵柄模様層3を設けた着色熱可塑性樹脂層2の表面に、適宜接着剤層などを介して、予め表面凹凸を設けた透明熱可塑性樹脂層4を貼りあわせる方法や、溶融樹脂を押出同時エンボス付与により直接透明熱可塑性樹脂層4を設ける方法などがあげられるが、特にこれらに限定するものではない。厚みとしては50〜150μm程度が好適である。
本発明における表面保護層5としては、化粧シート表面の各種耐性を得るために設けるものであり、公知の硬化型樹脂が使用可能であり、特には紫外線硬化型樹脂が好適である。硬化型樹脂には適宜ベンゾトリアゾール系、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ガラスビーズなどを適宜添加する。表面保護層5の厚みは、耐衝撃性試験、耐キャスター性試験の復元性を考慮すると、乾燥後の塗布量で6〜15g/m2程度が好適である。
本発明は表面に梨地状凹凸を有してなり、前記表面保護層5を設けた後の表面の凹凸の高低差が10μm〜40μmであり隣接する凸部間の幅が150μm〜400μmであることを特徴とする。凹凸面は前記透明熱可塑性樹脂層4に形成されるが、前記凹凸の高低差と幅とするためには、前記表面保護層5の塗布厚なども考慮にいれて適宜設計すれば良い。前記凹凸の高低差や凸部間の幅が範囲から外れると、肉球が入り込まないかあるいは安定して嵌りこむことがなくなり、さらに、犬などのペットが滑りやすくなるかあるいは人が床面に突っかかって転倒しやすいものとなるかいずれかになっうしまう。
適宜設ける接着剤層としては、公知の2液ウレタン樹脂接着剤等が使用可能である。乾燥後の塗布量が1〜10g/m2程度が望ましい。
着色熱可塑性樹脂層2として厚さ70μmのポリエチレンフィルム(リケンテクノス(株)製「FZ13317」)を使用し、その片面に絵柄模様層3としてグラビアインキ(東洋インキ製造(株)製「ラミスター」)で木目印刷をグラビア印刷機により印刷して設けた。前記絵柄模様層3の上から接着剤層として2液ウレタン樹脂接着剤(東洋モートン(株)製「TM−593」)を乾燥後の塗布量が10g/m2となるよう塗工して設けた。一方、透明熱可塑性樹脂層4としてポリプロピレン樹脂を厚さ90μmになるようラミネートし、凹凸の平均高低差が10μm、隣接する凸部間の平均幅が150μmの梨地状のエンボスをつけた。冷却エンボス固化後、その表面に表面保護層5として紫外線硬化型樹脂をなるべく均一に乾燥後の厚さが5μmになるようにコートし、紫外線を照射、硬化して本発明の化粧シートを得た。
凹凸の平均高低差を40μm、隣接する凸部間の平均幅を400μmにした以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
<比較例1>
凹凸の平均高低差を60μmにした以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。
<比較例2>
隣接する凸部間の平均幅を600μmにした以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。
以上の実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の化粧シートを、木質系床材1として厚み12mmのラワン合板を用い、この表面に接着剤として2液水性エマルジョン接着剤(中央理化工業(株)製「リカボンド」(BA−10/BA−11B=100:2.5))をウェット状態で100g/m2に塗工したあと、上記の化粧シートを貼り合わせ、24時間養生し床用化粧材とした。これらの床用化粧材を以下の方法により評価した。
<滑り性評価>
床用化粧材の滑り抵抗性の評価として、C.S.R’Dを測定した。C.S.R’Dの測定には携帯型すべり試験機(ONO・PPSM)を用いた。ONO・PPSMによる測定方法は以下の通りである。
・測定対象床にONO・PPSMを設置し、すべり片を測定箇所に全面接触させた後、直ちに(前置時間0s)ハンドルを回転させ、斜め上方18°の方向に引張荷重速度約20kgf(196N)で引っ張る。
・すべり片が明らかに動き始めるのを確認したうえで引っ張るのを停止し、停止するまでの最大引張荷重(Pmax)を読み取り、下式によりすべり抵抗係数C.S.R’Dを算出する。
C.S.R’D=Pmax(kgf)/5kgf
ここで、ONO・PPSMのすべり片と重錘をあわせた質量は5kgである。また、すべり片と床との接触面の大きさは6×5cmであり、すべり片には発泡ゴムシート(ショアA硬度:10,厚さ:10mm,材質:ポリウレタンフォーム)に麻織物(平織,厚さ:0.8mm,材質:ジュート,織密度:8×8本/inch2)をかぶせたものを使用する。
<参考文献>
小野英哲:携帯型床のすべり試験機(ONO・PPSM)の開発,日本建築学会構造系論文集,第585号,pp51〜56,2004年11月
<耐傷付き性評価>
JIS 5400による鉛筆硬度試験に準じて、上記各床材サンプル表面に所定の鉛筆(4B〜3H)を使用し、1kgの荷重をかけつつ引っ掻き、サンプル表面に傷がつき始めた鉛筆硬度を測定した。
<耐候性評価>
サンシャインウェザーメータで1000時間および2000時間暴露し(試験条件:102分照射、続いて18分間の照射および噴霧の120分サイクル)、試験前サンプルと比較、表面状態を観察した。以上の結果を表1に示す。
比較例1の床用化粧材について、サンシャインウェザー2000時間でクラックが生じた。これはサンプルの作成は実施例1と同様にして行ったが、エンボスの山が高く、水を取り込みやすくなるかあるいは紫外線硬化型表面保護層にUV樹脂を上手く塗工できていなかったためと思われる。
C.S.R’Dの値について、0.330〜0.550が人,犬の双方に丁度いい滑り抵抗性であり、これより低い数値だと犬が滑りやすく、また高い数値だと人、特に靴下等の履物が引っかかりやすくなる。
本発明の床用化粧シートは、特には人やペットが生活する室内の床面に用いる床用化粧シートとして適用可能である。
1…木質系床材
2…着色熱可塑性樹脂層
3…絵柄模様層
4…透明熱可塑性樹脂層
5…表面保護層



Claims (1)

  1. 床面あるいは床用化粧板基材上に着色熱可塑性樹脂層、絵柄模様層、表面に梨地状凹凸をする透明熱可塑性樹脂層、表面保護層を少なくともこの順に有する床用化粧シートにおいて、前記表面保護層を設けた後の表面の凹凸の高低差が10μm〜40μmであり隣接する凸部間の幅が150μm〜400μmであることを特徴とする床用化粧シート。
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