JP5320617B2 - 燃料電池システムの運転制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は燃料電池システムの運転制御方法に関する。
特許文献1,2には、燃料電池のスタックを終了させるとき、スタックに掃気用ガスを供給することにより、スタックの内部に残留する水をスタックの外部に追い出す掃気工程を実施する燃料電池システムが開示されている。
更に特許文献3には、低温起動モードでスタックを起動させるとき、掃気用ガスをスタックの内部に供給し、スタックの内部に残留する水をスタックの外部に追い出す掃気工程を実施する。このとき、スタックの温度が所定温度よりも低いとき、掃気用ガスを加湿させないで、乾いた掃気用ガスをスタックの内部に供給する。これに対して、スタックの温度が所定温度よりも高いとき、掃気用ガスを加湿させてスタックの内部に供給する。これによりスタックの電解質膜の過度の乾燥を防止しつつ、燃料電池システムを終了させることにしている。
特許文献4には、燃料電池のスタックにおいて水が滞留し易い位置に電流センサを設け、発電運転を終了させるとき、電流センサで測定した電流値が所定値以上であるとき、掃気用ガスをスタックの内部に供給し、スタックの内部に残留する水をスタックの外部に追い出す掃気処理を実施する。特許文献4は、燃料電池内の水分量が電流値に相関性があることに着目している。そして、電流センサで測定した電流値が所定値以上であるとき、つまり、スタックの内部の水が多いとき、掃気用ガスがスタックの内部に供給される。そして電流センサで測定した電流値が所定値未満であるとき、つまりスタックの内部の水が少ないとき、掃気処理は制限されるため、スタックの電解質膜の過剰乾燥が抑制される。
特開2004−111196号公報 特開2002−313395号公報 特開2007−109615号公報 特開2005−141940号公報
上記した従来技術によれば、燃料電池の内部を掃気させる掃気処理は、必ずしも充分ではない。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、掃気処理を良好に実施し、燃料電池の内部を掃気させ、燃料電池の内部の水分を適度なものにし、掃気工程後におけるフラッディングを抑制するのに有利な燃料電池システムの運転制御方法を提供することを課題とする。
様相1に係る燃料電池システムの運転制御方法は、(i)燃料極および酸化剤極を有する燃料電池を含む燃料電池システムを用意する工程と、(ii)燃料電池システムの燃料電池の発電運転を継続する工程と、(iii)燃料電池の発電運転を終了させる終了指令が出力されたとき、燃料電池の燃料極に燃料を継続して供給し且つ燃料電池の酸化剤極に酸化剤ガスを継続して供給することにより、燃料電池の発電運転を継続させつつ、通常発電運転時における流量よりも大きい流量の酸化剤ガスを燃料電池の酸化剤極に供給することにより、燃料電池の酸化剤極の内部を掃気させる掃気工程とを実施する。
通常発電運転時における酸化剤ガスの流量とは、通常発電運転時において燃料電池の発電電流(発電電力)に対応する酸化剤ガスストイキの流量よりも大きな流量の酸化剤ガスを供給することに相当する。ストイキは(酸化剤ガス/燃料)の比率に相当する。一般的には、酸化ガスストイキは、燃料電池の発電電流に対応するように制御装置により指示される。なお、燃料電池が定電流発電しているときは、一般的には、燃料電池に供給される酸化ガスの流量が一定とされている。例えば、通常発電運転時における流量は、終了指令出力時において、燃料電池の酸化剤極に供給されている酸化剤ガスの単位時間あたりの流量とすることができる。
様相1によれば、燃料電池の発電運転を終了させる終了指令が出力されたとき、掃気工程を実施する。掃気工程では、燃料電池の発電運転を継続させつつ、通常発電運転時における酸化剤ガスの流量よりも大きい流量の酸化剤ガスを、掃気用ガスとして燃料電池の酸化剤極に供給する。この場合、通常発電運転の最低負荷発電運転時における流量よりも大きい流量の酸化剤ガスを掃気用ガスとして燃料電池の酸化剤極に供給する。ここで、燃料電池の最低負荷発電運転とは、燃料電池の発電が停止しないように、酸化剤ガスおよび燃料を燃料電池に供給して最低の発電出力で運転させることをいう。
これにより燃料電池の酸化剤極の内部を掃気させ、当該内部の水分を低減または除去できる。これにより燃料電池を次回に起動させるとき、フラッディングが抑制される。なお、燃料電池においては酸化剤極では発電反応により水が生成され、フラッディングが発生し易い。上記した酸化剤ガスは酸素、酸素含有ガス、空気が挙げられる。燃料は水素ガス、水素含有ガスが挙げられる。
(2)様相2に係る燃料電池システムの運転制御方法は、(i)燃料極および酸化剤極を有する燃料電池を含む燃料電池システムを用意する工程と、(ii)燃料電池システムの燃料電池の発電運転を継続する工程と、(iii)商用電源の停電が発生したとき、燃料電池の燃料極に燃料を継続して供給し且つ燃料電池の酸化剤極に酸化剤を継続して供給することにより、燃料電池の発電運転を継続させつつ、通常発電運転時における流量よりも大きい流量の酸化剤ガスを燃料電池の酸化剤極に供給することにより、燃料電池の酸化剤極の内部を掃気させる掃気工程を実施する。
通常発電運転時における酸化剤ガスの流量とは、通常発電運転時において燃料電池の発電電流(発電電力)に対応する酸化剤ガスストイキの流量よりも大きな流量の酸化剤ガスを供給することに相当する。
様相2によれば、商用電源の停電が発生したとき、掃気工程を実施する。掃気工程では、燃料電池の発電運転を継続させつつ、通常発電運転時における酸化剤ガスの流量よりも大きい流量の酸化剤ガスを、掃気用ガスとして燃料電池の酸化剤極に供給する。
この場合、通常発電運転の最低負荷発電運転時における流量よりも大きい流量の酸化剤ガスを、掃気用ガスとして燃料電池の酸化剤極に供給する。ここで、燃料電池の最低負荷発電運転とは、燃料電池の発電が停止しないように、酸化剤ガスおよび燃料を燃料電池に供給して最低の発電出力で運転させることをいう。これにより燃料電池の酸化剤極の内部を掃気させ、当該内部の水分を低減または除去できる。これにより燃料電池の酸化剤極のフラッディングが抑制される。ここで、通常発電運転時における流量は、燃料電池の通常発電運転時において燃料電池の酸化剤極に供給されている酸化剤ガスの流量をいう。例えば、通常発電運転時における流量は、停電が発生する直前の時刻において、燃料電池の酸化剤極に供給されている酸化剤ガスの単位時間あたりの流量とすることができる。
(3)様相1および様相2に係る燃料電池システムの運転制御方法は、次の好適態様が挙げられる。
・好ましい態様によれば、掃気工程を実施しているとき、且つ、燃料電池の電圧が設定電圧まで低下したとき、燃料電池の発電を終了する発電終了工程に掃気工程から強制的にシステムを移行させることができる。
・好ましい態様によれば、掃気工程を実施しているとき、燃料電池の電圧が設定電圧まで低下しないとき、且つ、掃気工程の実施時間が設定時間を経過するとき、掃気工程から発電終了工程に強制的にシステムを移行させることができる。 ・好ましくは、掃気工程を実施しているとき、燃料電池の電圧Vが設定電圧Vs1まで低下しないときであっても、掃気工程の実施時間が設定時間(tm1)を経過すれば、制御装置は、掃気工程から発電終了工程に強制的にシステムを移行させることができる。これにより乾燥力を発揮する掃気工程の実施しすぎを抑え、燃料電池の内部の過剰乾きを抑制することができる。
・好ましくは、掃気工程において、燃料電池が発電できる電流範囲の下限値と上限値との間の中間値よりも小さな電流値に燃料電池の発電電流値を維持させる。
この場合、電流値が小さいときには、燃料電池の燃料極に供給される燃料の流量は少なく抑えられており、且つ、酸化剤極に供給される酸化剤ガスの流量は少なく抑えられている。このため掃気工程において燃料電池の酸化剤極に供給する酸化剤ガスの流量を大きめに設定するにあたり、酸化剤ガスの流量を大きめにする比率を高めることができる。本明細書において、流量は、単位時間あたりの流量を意味する。このため酸化剤ガスを燃料電池の酸化剤極に供給する搬送源(例えばポンプ、ファン、ブロア、コンプレッサ)を過剰に大型にせずとも良い。
・好ましくは、燃料電池に供給される前の酸化剤ガスを加湿させる加湿器が設けられており、掃気工程において、燃料電池の酸化剤極の出口から吐出される酸化剤オフガスの流量の2/3以上(例えば3/4以上または全部)が加湿器を流れずに加湿器を迂回する。これにより湿った酸化剤オフガスから加湿器への水分移動を抑えることができ、加湿器が過剰湿潤化することが抑制される。
・好ましくは、燃料電池は、燃料電池を冷却させる冷媒が流れる冷媒通路をもつ。この場合、掃気工程において、発電運転の終了指令が出力される時刻(通常発電運転)の冷媒温度よりも冷媒温度を高くする。これにより燃料電池が昇温し、燃料電池の内部が乾き方向に移行し、燃料電池の内部の過剰湿潤化が抑制される。冷媒としては、冷却水等の冷却液、冷却気体、冷却ミストが挙げられ、高い電気絶縁性を有することが好ましい。
・好ましくは、掃気工程を実施した後において、または、掃気工程を実施している途中において異状が発生したときにおいて、燃料電池システムを冷却させる冷却処理を実施する。
・好ましくは、燃料電池の発電運転を継続しつつ掃気工程を実施している途中において、燃料電池システムにおいて異状が発生したとき、燃料電池の発電運転を終了させ、その後、発電を伴わない掃気工程を再び実施する。この場合、フラッディングが抑制される。
・好ましくは、燃料電池の電圧が低下しない場合であっても、掃気工程を実施する時間が設定時間を経過すれば、燃料電池の発電を強制的に終了させても良い。
・好ましくは、掃気工程に伴い発電される場合には、熱エネルギ(例えば、ヒータで発熱させて貯湯槽の熱エネルギとする)として回収しても良いし、システムの内部負荷(バルブ等の開閉要素、ポンプ、コンプレッサ、ファン等の搬送源)の作動力として消費しても良いし、あるいは、キャパシタやバッテリーに蓄電させても良いし、あるいは、系統連係する商用電源に給電しても良い。
(4)様相2に係る燃料電池システムの運転制御方法は、次の好適態様が挙げられる。
・好ましくは、掃気工程を実施した後、燃料電池の燃料極に燃料を継続して供給し且つ燃料電池の酸化剤極に酸化剤を継続して供給することにより、燃料電池の発電運転を継続させつつ、掃気工程において燃料電池の内部を乾燥させる乾燥力よりも乾燥力が緩和された乾燥緩和工程を実施する。これにより燃料電池の内部の過剰乾燥化が抑制される。この場合、商用電源の停電が継続されるとき、掃気工程と緩和工程とを交互に実施することが好ましい。これにより燃料電池の内部の過剰湿潤化および過剰乾燥化が抑制される。
・好ましくは、掃気工程を実施しているとき、燃料電池の電圧Vが設定電圧Vs2まで低下しないときであっても、掃気工程の実施時間が設定時間(tm3)を経過すれば、制御装置は、掃気工程から乾燥緩和工程に強制的にシステムを移行させることができる。これにより乾燥力をもつ掃気工程の実施しすぎを抑え、燃料電池の内部の過剰乾きを抑制することができる。なお、燃料電池の電圧Vが設定電圧Vs2まで低下した後に、掃気工程から乾燥緩和工程に移行しても良い。
様相1および様相2によれば、掃気工程後において、燃料電池の酸化剤極におけるフラッディングを抑制するのに有利な燃料電池システムの運転制御方法を提供できる。
様相1によれば、燃料電池の発電運転を終了するとき、燃料電池の内部の過剰湿潤化が抑制され、燃料電池を次回起動させるとき燃料電池の内部におけるフラッディングが抑制される。
また様相2によれば、停電した商用電源が復電するまで、あるいは、商用電源が復電しないときであっても、燃料電池の内部の過剰湿潤化が抑制され、燃料電池の発電が安定する。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(実施形態A1)
図1は実施形態A1を示す。燃料電池システム(以下システムともいう)は、燃料電池で形成されたスタック1と、燃料をスタック1の燃料極10に供給する燃料供給系2と、酸化剤ガスをスタック1の酸化剤極11に供給する酸化剤供給系5と、スタック1を冷却させる冷却系6と、制御装置7とを有する。燃料供給系2は、燃料原料源21とスタック1の燃料極10とを繋ぐ燃料供給通路20と、燃料供給通路20に設けられた燃料バルブ22および燃料ポンプ23(燃料原料搬送源)と、燃料供給通路20に設けられ燃料原料を水蒸気で改質させてガス状の燃料を形成する改質器24と、燃料供給通路20に設けられガス状の燃料の水分を低下させる凝縮器27と、燃料供給通路20を開閉させる入口バルブ28と、スタック1の燃料極10から排出された燃料のオフガスを吐出させる燃料吐出通路29と、燃料吐出通路29に設けられた出口バルブ30とを有する。スタック1は多数の膜電極接合体(MEA)を有する。MEAは、燃料極10及び酸化剤極11に挟持された固体高分子型のイオン伝導膜12(例えば炭化フッ素系、炭化水素系の膜、無機系の膜、または、有機および無機の混合系の膜)を有する。燃料電池は酸化還元反応により電気エネルギを発生させるものである。MEAは、シート型でも良いし、チューブ型でも良い。スタック1は、ブレーカなどの遮断機47およびインバータ48を介して商用電源49と接続されて系統連係されている。スタック1の電力で不足するときには、商用電源49の電力で電力負荷(例えば、システムの内部に設けられている内部負荷、システムの外部に設けられている外部負荷)を作動させる。
図1に示すように、改質器24は、燃料原料を気相状または液相状の水で改質させる改質部25と、改質反応に適するように改質部25を加熱させるバーナ26(加熱部)とを有する。改質部25に改質用の気相状または液相状の水を供給する改質水系34が設けられている。改質水系34は、システムの凝縮水を改質用の水として貯留するタンク35と、タンク35と改質部25とを繋ぐ改質水通路36と、改質水通路36に設けられた水ポンプ37(水搬送源)および水バルブ38と、液相状の水を気相化させて水蒸気とする蒸発部39とを有する。蒸発部39は改質器24と別体でも良いし、改質器24に搭載されていても良い。
更に図1に示すように、燃料供給系2は、燃料供給通路20とバーナ26とを連通させる分岐路40と、空気通路41と、空気通路41に設けられたポンプ42(燃焼用空気搬送源)とを有する。燃料原料源21の燃料原料は分岐路40から燃焼用燃料としてバーナ26に供給される。ポンプ42が作動すると、燃焼用空気がバーナ26に供給される。ひいては燃焼用燃料がバーナ26で燃焼され、改質部25を加熱させる。なお、改質部25で改質される燃料原料はガス状でも良いし、液状でも良く、具体的には、都市ガス(天然ガスなど)、LPG、灯油、メタノール、ジメチルエーテル、ガソリン、バイオガス等が例示される。
図1に示すように、酸化剤供給系5は、加湿路50aおよび吸湿路50bを区画する水分保持部材50cをもつ加湿器50と、加湿器50の加湿路50aを介して酸化剤ガス(空気)をスタック1の酸化剤極11に供給する酸化剤供給通路52と、酸化剤供給通路52に設けられた酸化剤ポンプ53(酸化剤搬送源)と、酸化剤供給通路52を開閉させる入口バルブ54と、スタック1の酸化剤極11から吐出された酸化剤オフガスを加湿器50の吸湿路50bを介して吐出させる酸化剤吐出通路55と、酸化剤吐出通路55に連通し加湿器50の吸湿路50bを迂回させる復路用の迂回路56と、スタック1の酸化剤極11から吐出された酸化剤オフガスを迂回路56に流す復路用の迂回バルブ57とを有する。水分保持部材50cは、水分保持性およびガスバリヤ性を有しており、例えばイオン交換膜等で形成されている。図1から理解できるように、迂回バルブ57は、加湿器50の吸湿路50bに流れる流量と迂回路56に流れる流量との比を可変にできる。更に、酸化剤供給通路52に連通し加湿器50の加湿路50aを迂回させる往路用の迂回路58と、スタック1の酸化剤極11に供給される直前の酸化剤ガスを迂回路58に流す往路用の迂回バルブ59とを有する。迂回バルブ59は、加湿器50の加湿路50aに流れる流量と迂回路58に流れる流量との比を可変にできる。なお、場合によっては、往路用の迂回路58と往路用の迂回バルブ59とを廃止することもできる。
冷却系6は、スタック1の内部に形成されている冷媒通路13に連通する循環路60と、冷媒(冷却水等の冷却液)を循環路60において循環させる冷媒ポンプ61(冷媒搬送源)と、循環路60に設けられ循環路60の冷媒の温度を検知する温度センサ62と、循環路60の冷媒を加熱させるヒータ63(電力消費要素)とを有する。冷媒ポンプ61が作動すれば、冷媒が循環路60および冷媒通路13に循環し、スタック1の熱を奪うことができる。なお、スタック1の起動時に、制御装置7はヒータ63を発熱させて循環路60の冷媒を予熱させ、スタック1を予熱させることができる。循環路60の冷媒の温度は、スタック1の運転温度に実質的に相当する。
貯湯系8が設けられている。貯湯系8は、貯湯通路80と、循環路60と貯湯通路80とを熱交換させる熱交換器81と、貯湯通路80の水を搬送させるポンプ82(貯湯水搬送源)と、貯湯通路80に繋がる貯湯槽85と、貯湯槽85内の水が不足したら補充水(例えば水道水)を補充する補充通路84とを有する。ポンプ82が作動すれば、貯湯通路80の水が搬送され、循環路60の熱エネルギが貯湯通路80に伝達され、貯湯通路80の水温が上昇し、ひいては貯湯槽85に熱エネルギ(温水)が蓄積される。
制御装置7は、入力処理回路と、タイマー機能をもつCPUと、メモリと、出力処理回路とを有しており、燃料バルブ22、燃料ポンプ23、ポンプ42、冷媒ポンプ61、酸化剤ポンプ53、入口バルブ28、出口バルブ30、入口バルブ54、迂回バルブ57等を制御する。
スタック1の発電運転時には、スタック1と電力負荷とを電気接続した状態で、制御装置7は、燃料バルブ22を開放した状態で燃料ポンプ23を作動させて、燃料原料源21の燃料原料を改質器24の改質部25に供給し、更に、水ポンプ37が作動し、水タンクの改質用水を蒸発部39により水蒸気化した後に改質部25に供給する。この結果、燃料原料は改質部25で水蒸気改質されてガス状の燃料(水素含有ガス)となる。その燃料は凝縮器27で過剰の水分を落とした後、開放している入口バルブ28からスタック1の燃料極10に供給される。更に、制御装置7は、入口バルブ54を開放した状態で酸化剤ポンプ53を作動させて、酸化剤ガスを加湿器50の加湿路50aで加湿させた後、スタック1の酸化剤極11の入口に供給する。これによりスタック1が発電運転する。スタック1の燃料極10の出口から吐出された燃料のオフガスは、燃料吐出通路29から外部またはバーナ26に吐出される。スタック1の酸化剤極11の出口から吐出された酸化剤オフガスは、酸化剤吐出通路55から加湿器50の吸湿路50bに流れる。迂回バルブ57の制御により、酸化剤オフガスが加湿器50の吸湿路50bに流れる流量と、酸化剤オフガスが迂回路56に流れる流量との比率を可変に制御できる。
次に、制御装置7が実施する燃料電池システムの運転制御方法について説明する。制御装置7はスタック1の発電運転を継続している。事情によりスタック1の発電運転を終了させるときがある。ユーザまたはメンテナンス者あるいは自動運転(学習制御など)により発電終了されるときなどである。このとき、システムに異状が発生していない限り、制御装置7はシステムの発電運転の運転終了指令を出力させ、システムの運転終了のシーケンスを実行し始めるものの、スタック1の発電運転を直ちに終了させない。
従って、制御装置7は、スタック1の発電を伴う掃気工程を実施する。すなわち、改質器24の改質運転を継続しつつ、改質器24で改質された燃料をスタック1の燃料極10に継続して供給し、且つ、酸化剤ポンプ53の作動によりスタック1の酸化剤極11に酸化剤ガスを継続して供給する。これにより制御装置7はスタック1の発電運転を継続させつつ、酸化剤ポンプ53の単位時間あたり回転数(作動量)を増加させ、終了指令出力時(通常発電運転)の流量よりも大きい流量Fm1の酸化剤ガスを掃気用ガスとしてスタック1の酸化剤極11に供給する。この結果、スタック1で発電して電圧および電流を発生させつつ、スタック1の酸化剤極11に残留している液相状の水および水蒸気をスタック1の外部に掃気させるとともに発電を伴う掃気工程を実施する。なお単位時間は1秒間または1分間が基準とされる。
以上説明したように本実施形態によれば、スタック1の発電運転が継続されているときにおいて、スタック1の発電運転を終了させる終了指令が出力されたとき、制御装置7は、スタック1を発電させつつ、スタック1の酸化剤極11の内部に残留している液相状の水および水蒸気をスタック1の外部に吐出させる発電を伴う掃気工程を実施する。このような掃気工程では、スタック1の発電運転を継続させつつ、終了指令出力時(通常発電運転)の流量よりも大きい流量Fm1の酸化剤ガスを、掃気用ガスとしてスタック1の酸化剤極11に供給する。これによりスタック1の酸化剤極11の内部を掃気させ、当該内部の液相状または気相状の水を低減または除去できる。これによりスタック1の酸化剤極11の過剰湿潤化が抑制される。この結果、スタック1を次回に起動させるとき、フラッディングを抑制でき、スタック1の起動を安定させることができる。
上記した発電を伴う掃気工程は、スタック1の電圧Vが設定電圧Vs未満となるまで継続させることができる。但し、発電を伴う掃気工程を実施したとしても、電圧Vの低下が抑制されており、設定時間tm1経過したとしても、スタック1の電圧Vが設定電圧Vs未満とならないときには、設定時間tm1経過後にスタックの発電を強制的に終了させても良い。なお、設定電圧Vs、設定時間tm1は、システムに応じて実験またはシミュレーションなど基づいて設定できる。
また本実施形態によれば、掃気工程は、スタック1の燃料極10に燃料を供給しつつスタック1の酸化剤極11に酸化剤ガスを供給し、スタック1で発電しつつ実施される。従って掃気工程ではスタック1の燃料極10にガス状の燃料が供給されており、燃料極10と酸化剤極11との差圧が低減される。故に、スタック1に内蔵されているイオン伝導膜12の作用する応力負荷が軽減され、イオン伝導膜12の保護性を高めるのに有利である。
上記した掃気工程においては、スタック1の酸化剤極11の内部に残留している液相状の水および水蒸気をスタック1の外部に吐出させると共に、電力が生成される。制御装置7はこの電力によりヒータ63(電力消費要素)を発熱させ、循環路60の冷媒の温度を上昇させる。この結果、熱交換器81を介して貯湯通路80の水の温度が昇温し、ひいては貯湯槽85の熱エネルギが増加する。従って、発電を伴う掃気工程において発生した余剰電力は、ヒータ63を介して貯湯槽85の熱エネルギとして貯蔵される。この場合、貯湯槽85への貯湯効率を高めるべく、ポンプ61,82の回転数を終了指令出力時(通常発電運転)よりも増加させることができる好ましい。貯湯槽85は、発電を伴う掃気工程において発生した余剰電力を蓄積する蓄積要素として機能できる。
(実施形態A2)
図2〜図4は実施形態A2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1を準用する。制御装置7は、システムのスタック1の発電運転を継続している。従って、制御装置7は、改質器24を作動させ、改質器24で改質された燃料をスタック1の燃料極10に継続して供給し、且つ、酸化剤ポンプ53を作動させて酸化剤ガスを加湿器50の加湿路50aで加湿させた後にスタック1の酸化剤極11に継続して供給している。
図4に示すように、制御装置7はシステムのスイッチ類の読み込みを継続(ステップS102)し、発電終了指示が出力されているか否か判定する(ステップS104)。ユーザまたはメンテナンス者あるいは自動運転により、スタック1の発電運転を終了させる指示が出力されているときがある(ステップS104のYES)。次に、システムに異状が発生していない限り(ステップS106のYES)。制御装置7はスタック1の発電を伴う掃気工程(掃気処理)を実施する(ステップS108)。タイマーt1は、ステップS108の掃気工程を実施する時間を計測するタイマーである。すなわち発電を伴う掃気工程では、制御装置7は、タイマーt1を初期化し、水ポンプ37、燃料ポンプ23および酸化剤ポンプ53の作動を継続し、燃料をスタック1の燃料極10に継続して供給し、且つ、スタック1の酸化剤極11に酸化剤ガスを継続して供給する。これにより制御装置7はスタック1の発電運転を継続させる。具体的には、発電を伴う掃気工程では、制御装置7は次の(1)〜(5)の操作を実施する。
(1):図2に示すように、スタック1が発電できる電流範囲の下限値Iminと上限値Imaxとが予め設定されている。制御装置7は下限値Iminと上限値Imaxの間の中間値Imiddleよりも小さな電流値に、スタック1の電流値を維持させる。具体的には、制御装置7は、スタック1の電流値を下限値Iminに固定する。これにより掃気工程においてスタック1の発電電力が抑えられ、発電反応でスタック1の内部に発生する生成水は抑えられ、スタック1の酸化剤極11の過剰湿潤化が抑えられ易い。上記したようにスタック1の電流値を下限値Iminに固定すれば、スタック1の発電電圧Vを高めにでき、発電を伴う掃気工程を実施できる時間を確保できる。更に上記したようにスタック1の電流値を下限値Iminに固定すれば、スタック1の内部抵抗を固定値として近似させ易く、スタック1の電圧Vの値によりスタック1の内部の水分量が把握され易い。更に、スタック1の電流値を下限値Iminに固定すれば、スタック1の燃料極10に供給する燃料の流量も抑えられる。故に、掃気工程後にスタック1の発電運転が終了するとき、スタック1の燃料極10に残留する燃料を少なくするのに貢献できる。
(2):制御装置7は、終了指令出力時(通常発電運転時)よりも酸化剤ポンプ53の回転数(作動量)を増加させ、終了指令出力時(通常発電運転時)の流量よりも大きい流量Fm1の酸化剤ガスを、掃気用ガスとしてスタック1の酸化剤極11に供給する。本明細書では、回転数は単位時間(例えば1分)あたりの回転数を意味する。具体的には、流量Fm1は、スタック1の通常発電運転においてスタック1の酸化剤極11に供給される酸化剤ガスの流量Faよりも大きめとする。通常発電運転は、スタック1を起動させるための起動運転と、スタック1の発電運転を停止させるための停止運転以外の運転に相当する。なお、本明細書によれば、流量Fm1は、スタック1の最低負荷発電運転においてスタック1の酸化剤極11に供給される酸化剤ガスの流量よりも大きめである。
本実施形態によれば、酸化剤ポンプ53の能力にもよるが、単位時間(1分間)あたり、例えば、Fm1/Fa= 1.05〜20の範囲内が好ましく、特に1.1〜10の範囲内が好ましい。但しこれらに限定されるものではない。従って、スタック1の酸化剤極11に残留している液相状の水および水蒸気を掃気用ガスによりスタック1の外部に吐出させることができ、スタック1の酸化剤極11の過剰湿潤化を抑えることができる。なお、流量Fm1が大きくても、スタック1の燃料極10にはガス状の燃料が供給されているため、スタック1の内部において燃料極10と酸化剤極11との差圧が過剰になることが抑制され、燃料極10と酸化剤極11とを仕切るイオン伝導膜12に与える負荷は軽減される。
(3):発電を伴う掃気工程において、制御装置7は、復路用の迂回バルブ57を制御し、スタック1の酸化剤極11の出口から吐出される酸化剤オフガスの流量の2/3以上を加湿器50に流さず、加湿器50の吸湿路50bを迂回させる。具体的には、制御装置7は迂回バルブ57を開度を制御し、スタック1の酸化剤極11の出口から吐出される酸化剤オフガスの全部を加湿器50の吸湿路50bに流さず、迂回路56に流し、加湿器50の吸湿路50bを迂回させる。これにより湿分が豊富な酸化剤オフガスから加湿器50の水分保持部材50cへの水分移動が抑えられる。よって、スタック1の終了時に加湿器50が過剰湿潤化することが抑制される。従って、スタック1の酸化剤極11に供給される直前の酸化剤ガスの加湿量を低減できる。更に、スタック1を次回に起動させるとき、スタック1に供給される酸化剤ガスを加湿器50で過剰に加湿させることが抑制されるため、フラッディングが抑制される。
(4):発電を伴う掃気工程において、制御装置7は、往路用の迂回バルブ59を制御し、スタック1の酸化剤極11の入口に供給される酸化剤ガスの流量の2/3以上を加湿器50に流さず、加湿器50の加湿路50aを迂回させる。具体的には、制御装置7は迂回バルブ59の開度を制御し、スタック1の酸化剤極11の入口に供給される直前の酸化剤ガスの全部を加湿器50の加湿路50aに流さず、迂回路58に流し、加湿器50の加湿路50aを迂回させる。従って、スタック1の酸化剤極11に供給される酸化剤ガスの加湿量を低減できる。更に、スタック1を次回に起動させるとき、スタック1に供給される酸化剤ガスを加湿器50で過剰に加湿させることが抑制されるため、フラッディングが抑制される。
(5):発電を伴う掃気工程において、発電運転の終了指令が出力される時刻(通常発電運転時)の冷媒の温度よりも冷媒の温度Tmを高くする。この場合、例えば、貯湯通路80を循環する水の流量を抑制することができる。これによりスタック1が昇温し、スタック1の酸化剤極11が乾き方向に移行し、スタック1の酸化剤極11の過剰湿潤化が抑制される。具体的にはヒータ63のオンまたは発熱量増加により循環路60の冷媒Tmを昇温させる。ヒータ63の電力はスタック1の発電電力または商用電源49の電力を使用できる。なお、上記した掃気工程では、(1)〜(5)以外は通常の発電条件と同じとすることができる。
上記した発電を伴う掃気工程の実行時間を計測すべく、制御装置7は、タイマーt1をカウントする(ステップS110)。次に、スタック1の電圧Vが設定電圧Vs以下となったとき(ステップS112のYES)、制御装置7はスタック1の発電終了工程(発電終了処理)を実施する(ステップS116)。
すなわち、スタック1の発電を終了すべく、制御装置7は、燃料ポンプ23を停止させて改質器24の改質運転を終了させ、水ポンプ37を停止させ水バルブ38を閉鎖させて改質水系34からの水供給を停止させる。更に、制御装置7は、入口バルブ28を閉鎖し、スタック1の燃料極10への燃料の供給を終了し、且つ、酸化剤ポンプ53を停止させ、スタック1の酸化剤極11への酸化剤ガスの供給を終了する。これによりスタック1の発電運転を終了させる。
その後、制御装置7は、システムが異状発生で終了したか否か判定する(ステップS118)。システムが異状発生で終了していなければ(ステップS118のNO)、制御装置7はシステム冷却工程(システム冷却処理)を実施する。具体的には、ポンプ42の作動により燃焼用空気を冷却用空気としてバーナ26に供給し、改質部25を介して外気に放出させる。これにより高温のバーナ26および高温の改質部25を強制的に冷却させる。この場合、ポンプ42の回転数としては、終了指令出力時および通常発電運転時と同一でも良いし、あるいは、終了指令出力時および通常発電運転時よりも増加させ、バーナ26に供給させる燃焼用空気の流量を増加させ、これらの冷却を促進させても良い。このように本実施形態によれば、システムの発電運転が正常に終了するとき、上記した発電を伴う掃気工程を実施してスタック1の酸化剤極11に残留する液相状および気相状の水をスタック1の外部に吐出させ、その後、システム冷却工程を実施する。
さて、システムに異状(例えば漏電等)が発生している場合(ステップS106のNO)について説明する。この場合、異状が発生しているため、発電を伴う掃気工程(ステップS108)を実施することなく、制御装置7はスタック1の発電終了工程を直ちに実施する(ステップS116)。具体的には、制御装置7は、スタック1の発電を終了すべく、燃料ポンプ23および水ポンプ37を停止させて改質器24の改質運転を終了させる。これによりスタック1の燃料極10への燃料供給が停止されスタック1の発電が終了する。
その後、異状発生でシステムが終了している場合には(ステップS118のYES)。制御装置7は、タイマーt2をクリヤして初期化し、積極的発電を伴わない掃気工程を実施する(ステップS120)。タイマーt2は、ステップS120の掃気工程を実施する時間を計測するものである。具体的には制御装置7は上記した(1)(5)の操作を実施せずに、(2)(3)(4)の操作を実施する。なお、ステップS120に示す掃気工程といえども、スタック1の燃料極10に燃料が残留している場合には、その燃料が消費されるまでスタック1の発電反応は発生し得る。
(2):制御装置7は、酸化剤ポンプ53の回転を継続させつつも、終了指令出力時(通常発電運転時に該当)よりも酸化剤ポンプ53の回転数を増加させ、終了指令出力時(通常発電運転時に該当)の流量Fsよりも大きい流量Fm2の酸化剤ガスを掃気用ガスとしてスタック1の酸化剤極11に供給する。具体的には、流量Fm2は、スタック1の通常発電運転時にスタック1の酸化剤極11に供給される酸化剤ガスの流量Faよりも大きめとする。なお、流量Fm2は、スタック1の最低負荷発電運転においてスタック1の酸化剤極11に供給される酸化剤ガスの流量よりも大きめである。
ここで、酸化剤ガスの流量Fm2が過剰すぎると、酸化剤搬送源に与える応力負荷が増加し、スタック1のイオン伝導膜12に与える負荷も増加する。従って、単位時間(1分間)あたり、Fm2/Fa=1.05〜20の範囲内、特に1.1〜10の範囲内、1.5〜5の範囲内にできる。Fm2/Fsも同様にできる。但し、これらに限定されるものではない。これによりスタック1の酸化剤極11に残留する液相状および気相状の水がスタック1の外部に吐出される。なお、Fm2=Fm1,Fm2≒Fm1としても良いし、Fm2<Fm1,Fm2>Fm1としても良い。
ここで、システムの異状の要因がスタック1のフラッディングによる場合には、Fm2<Fm1とし、フラッディングの原因となったスタック1の内部の過剰水を効率よく排出させることが好ましい。発電を伴う掃気工程(ステップS108)では発電により水が生成されるため、掃気用ガスでスタック1内の余剰水を追い出すべく、Fm2>Fm1とすることができる。但し、これに限定されるものではない。
(3):制御装置7は、スタック1の酸化剤極11の出口から吐出される酸化剤オフガスの流量の2/3以上を加湿器50の吸湿路50bに流さず、迂回路56に流す。具体的には、制御装置7は、迂回バルブ57を開度を制御し、スタック1の酸化剤極11の出口から吐出される酸化剤オフガスの全部を加湿器50の吸湿路50bに流さず、迂回路56に流し、加湿器50の吸湿路50bを迂回させる。これにより湿った酸化剤オフガスから加湿器50の水分保持部材50cへの水分移動が抑えられる。よって、加湿器50が過剰湿潤化することが抑制される。この結果、スタック1が次回に起動するとき、加湿器50による水分が適性化され、スタック1の酸化剤極11に供給される酸化剤ガスが過剰加湿化されることが抑制される。
(4):制御装置7は、迂回バルブ59を制御し、スタック1の酸化剤極11の入口に供給される酸化剤ガスの流量の2/3以上を加湿器50を流さず、加湿器50の加湿路50aを迂回させる。具体的には、制御装置7は迂回バルブ59を開度を制御し、スタック1の酸化剤極11の入口に供給される酸化剤ガスの全部を加湿器50の加湿路50aに流さず、迂回路58に流し、加湿器50の加湿路50aを迂回させる。従って、スタック1の酸化剤極11に供給される酸化剤ガスの加湿量を低減できる。更に、スタック1を次回に起動させるとき、スタック1に供給される直前の酸化剤ガスを加湿器50で過剰に加湿させることが抑制されるため、フラッディングが抑制される。
この段階では、スタック1の発電運転は既に終了しているため、スタック1から電力は給電されず、電流値がIminに設定されることはない。更に、スタック1から電力が供給されないため、ヒータ63の作動は制約され、上記した(5)は実施されない。更に、制御装置7は、発電を伴わない掃気工程(ステップS120)の実施時間を計測すべく、タイマーt2をカウントする(ステップS122)。発電を伴わない掃気工程は設定時間tm2ぶん実施される(ステップS124のYES)。tm2はシステムに応じて実験またはシミュレーション等により設定される。
掃気工程が設定時間tm2ぶん実施された後、制御装置7はシステム冷却工程(ステップS126)を実施する。具体的には、ポンプ42の作動により燃焼用空気を冷却用空気として高温のバーナ26および高温の改質部25に供給し外気に放出させ、これらを冷却させる。このため異状発生によりシステムの発電終了するときには、上記した発電を伴う掃気工程(ステップS108)ではなく、発電を伴わない掃気工程(ステップS120)を実施し、その後、システム冷却工程(システム冷却工程,ステップS126)を実施する。なお、スタック1の電圧Vの低下度合、流量Fm1,Fm2にもよるが、tm1=tm2,tm1≒tm2としても良いし、あるいは、tm1>tm2,tm1<tm2としても良い。
本実施形態によれば、図4から理解できるように、スタック1の発電運転を継続しつつ掃気工程(ステップS108)を実施している途中において、システムにおいて異状が発生したとき(ステップS130のYES)、その掃気工程を直ちに中断し、スタック1の発電運転を終了させ(ステップS116)、その後、別の掃気工程(ステップS120)を再び実施する。
更に本実施形態によれば、スタック1の電圧Vが設定電圧Vsまで低下しないときであっても(ステップS112のNO)、掃気工程(ステップS108)の実施時間が設定時間tm1を経過すれば(ステップS114のYES)、制御装置7は、掃気工程から発電終了工程(ステップS116)に強制的に移行させる。これによりスタック1の内部を乾燥させる掃気工程(ステップS108)の実施しすぎを抑え、スタック1の内部の過剰乾きを抑制することができる。
以上説明したように本実施形態によれば、システムの発電運転が正常に終了するときには、制御装置7は、上記した発電を伴う掃気工程(ステップS108)を実施し、スタック1の酸化剤極11に残留する液相状および気相状の水をスタック1の外部に吐出させ、スタック1の酸化剤極11の過剰湿潤化を抑え、スタック1の内部を適度な水分度に移行させ、その後、システム冷却工程(ステップS126)を実施する。このためスタック1を次回に起動させるとき、フラッディングが抑制される。更に、スタック1の発電終了時に加湿器50の水分度も適切化されるため、スタック1を次回に起動させるとき、酸化剤ガスの過剰加湿が抑制される。
これに対して異状発生によりシステムの発電運転が終了するときには、制御装置7は、スタック1の発電を強制的に終了させた後、上記した発電を伴わない掃気工程(ステップS120)を実施し、スタック1の酸化剤極11の過剰湿潤化を抑えて適度な水分度に移行させ、その後、システム冷却工程(ステップS126)を実施する。このためスタック1を次回に起動させるとき、フラッディングが抑制される。
ところで本実施形態によれば、上記した発電を伴う掃気工程においては、前述したように、制御装置7は、スタック1の電流値を下限値Iminに設定する。図2に示すように、スタック1が発電できる電流範囲の下限値Iminと上限値Imaxとが予め設定され、制御装置7のメモリに格納されている。図2に示すように、電流の上限値Imaxでは、酸化剤ポンプ53の回転によりスタック1に供給される酸化剤ガスの流量はM2として示される。電流の下限値Iminでは、酸化剤ポンプ53の回転によりスタック1に供給される酸化剤ガスの流量はM1として示される(M1<M2)。酸化剤ポンプ53の最大回転数をNmaxとし、最大回転数Nmaxに基づいてスタック1に供給される酸化剤ガスの最大流量はMmaxとする。上限値Imaxでは、Mmaxに対する酸化剤ポンプ53の余力はα1である。下限値Iminでは、Mmaxに対する酸化剤ポンプ53の余力はα2であり(α2>α1)。従って、スタック1の電流値を下限値Iminに設定すれば、酸化剤ポンプ53の余力を大きくでき、酸化剤ポンプ53の作動による酸化剤ガスの増加余力を大きくできる利点が得られる。従って、酸化剤ガスをスタック1の内部に供給させ、スタック1の内部に残留する液相状または気相状の水をスタック1から追い出す掃気工程を実施するとき、掃気の効率を高めるのに有利である。なお、電流の上限値および下限値は、電気系統の制約によりスタックの仕様として設定されている。
本実施形態によれば、前述したように、スタック1が発電できる電流範囲の下限値Iminでスタック1の発電を継続させつつ、スタック1の通常発電運転時よりも大きい流量Fm1の酸化剤ガスを掃気用ガスとしてスタック1の内部に供給し、スタック1および加湿器50の余剰の水分を低減または除去させることができる。
図3は、発電終了指令が出力されたときにおけるスタックの電圧Vと電流Iとの関係を示す。発電終了指令が出力されると、電流Iが低下し始める。電流Iの下降に伴い、電圧Vが上昇する。電流がIminに到達したときから、電圧Vが次第に低下する。設定された電圧Vsは、発電終了指令時の電圧よりも高いことがある。ここで、スタックの所定電流における電圧は、スタックの内部における加湿状態を反映する。このためスタックの電圧が低下すれば、スタックの内部における加湿状態が低下していることを反映する。従って、スタックの電圧が低下して設定電圧に到達したとき、掃気処理を終了すれば、スタックの内部の加湿状態が適度になる。
そして、図3に示すように、基本的にはスタック1の電圧Vが設定電圧Vsまで低下した後にスタック1の発電を終了し、システムの冷却工程に移行する。このように予め設定していたスタック1の電流値(下限値Imin)とスタック1の電圧値の設定電圧Vsとに基づいて、スタック1の発電終了を制御している。故に、特許文献4とは異なり、スタック1の内部の掃気状態を確認するために高価な電流センサを新たに用いる必要がなく、コストダウンにおいて好ましい。また、スタック1の電流値(下限値Imin)とスタック1の電圧値の設定電圧Vsとを設定しているため、掃気工程の終了の判定条件を定量的に扱うことができる利点が得られる。
本実施形態によれば、上記した流量Fm1,Fm2を固定値として良いし、サインカーブ状またはステップ状に変動させても良い。後者の場合、スタック1の内部に固着的に残留していた余剰水が動き易くでき、排水性の向上を期待できる。この場合、イオン伝導膜12に負担を与えることを抑えつつ行うことが好ましい。
発電を伴う掃気工程においては、スタック1の酸化剤極11の内部に残留している液相状の水および水蒸気をスタック1の外部に吐出させると共に、電力が生成される。制御装置7はこの電力に基づいてヒータ63を発熱させ、循環路60の冷媒の温度を上昇させる。この結果、熱交換器81を介して貯湯通路80の水の温度が昇温し、ひいては貯湯槽85の熱エネルギが増加する。従って、発電を伴う掃気工程において発生した余剰電力は、ヒータ63を介して貯湯槽85の熱エネルギとして貯蔵される。貯湯槽85は、発電を伴う掃気工程において発生した余剰電力を蓄積する蓄積要素として機能できる。
なお本実施形態によれば、スタック1の電流値を下限値Iminに設定している。これに限らず、下限値Iminと上限値Imaxとの間の中間値Imiddleよりも小さな電流値にスタック1の発電電流値を維持させても良い。
(実施形態A3)
本実施形態は実施形態A1,A2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図4を準用する。但し、システムに異状が発生していない場合に実施される発電を伴う掃気工程(ステップS108)では、(1)(2)(3)(4)の操作が実行されるものの、(5)の操作は実行されない。更にシステムに異状が発生する場合に実施される発電を伴わない掃気工程(ステップS120)では、(2)〜(4)の操作のうちの少なくも一つが実行される。
(実施形態A4)
本実施形態は実施形態A1,A2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図4を準用する。但し、システムに異状が発生していない場合に実施される発電を伴う掃気工程(ステップS108)では、(1)(2)(3)の操作が実行されるものの、(4)(5)の操作は実行されない。更にシステムに異状が発生する場合に実施される発電を伴わない掃気工程(ステップS120)では、(2)〜(4)の操作のうちの少なくも一つが実行される。
(実施形態A5)
本実施形態は実施形態A1,A2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図4を準用する。但し、システムに異状が発生していない場合に実施される発電を伴う掃気工程(ステップS108)では、(1)(2)の操作が実行されるものの、(3)(4)(5)の操作は実行されない。更にシステムに異状が発生する場合に実施される発電を伴わない掃気工程(ステップS120)では、(2)〜(4)の操作のうちの少なくも一つが実行される。
(実施形態B1)
本実施形態は実施形態A1と基本的には同様の構成および作用効果を有するため、図1〜図3を準用する。本実施形態は商用電源49の停電に対処する。制御装置7は、システムのスタック1の発電運転を継続する工程を実施している。何らかの原因により商用電源49の停電が発生することがある。この場合、遮断器47により、商用電源49との系統連係の接続が遮断される。そして、制御装置7は、商用電源49と切り離されたスタック1の自立運転を実施する。すなわち、制御装置7は、燃料ポンプ23および改質器24を作動させて、改質器24で生成されたガス状の燃料をスタック1の燃料極10に継続して供給し、且つ、酸化剤ポンプ53の作動より酸化剤ガスを加湿器50の加湿路50aで加湿させた後、スタック1の酸化剤極11に継続して供給する。これにより制御装置7は、スタック1の発電運転を継続させつつ、停電が発生する直前の時刻(通常発電運転時)の流量Fbよりも大きい流量Fm3の酸化剤ガスを掃気用ガスとしてスタック1の酸化剤極11に供給する。流量Fm3は、スタック1の最低負荷発電運転においてスタック1の酸化剤極11に供給される酸化剤ガスの流量よりも大きめである。この場合、酸化剤ポンプ53の回転数が増加される。
これによりスタック1の酸化剤極11に残留する液相または気相状の水をスタック1の酸化剤極11の外部を吐出させる発電を伴う掃気工程(掃気工程)を実施する。単位時間(1分間)あたり、Fm3/Fb=1.05〜20の範囲内、殊に1.1〜10の範囲内、1.2〜5の範囲内が好ましい。但しこれらに限定されるものではない。なお、商用電源49が長時間にわたり復電しないときには、システムの自立運転が継続できなくなった場合、制御装置7は燃料および酸化剤ガスをスタック1に供給することを終了し、システムを強制終了させることができる。
以上説明したように本実施形態によれば、商用電源49の停電が発生したとき、制御装置7は、商用電源49の復電を待ちつつ、スタック11の発電を伴った発電を伴う掃気工程を実施する。すなわち、発電を伴う掃気工程では、制御装置7は、スタック1の発電運転を継続させつつ、停電時刻(通常発電運転)の流量よりも大きい流量Fm3の酸化剤ガスを掃気用ガスとしてスタック1の酸化剤極11に供給する。これによりスタック1の酸化剤極11に残留する液相状または気相状の水をスタック1の外部に吐出させ、酸化剤極11を適度な水分量に維持させる。これにより商用電源49が停電したとき、スタック1の酸化剤極11の過剰湿潤化が抑えられる。これにより商用電源49が復電するとき、スタック1の酸化剤極11の水分が適度なものとなり、フラッディングが抑制され、スタック1の発電が安定する。
また本実施形態によれば、掃気工程は、スタック1の燃料極10に燃料を供給しつつスタック1の酸化剤極11に酸化剤ガスを供給し、スタック1で発電しつつ実施される。従って掃気工程ではスタック1の燃料極10にガス状の燃料が供給されており、燃料極10と酸化剤極11との差圧が低減される。故にイオン伝導膜12の作用する負荷が軽減され、イオン伝導膜12の保護性を高めるのに有利である。
(実施形態B2)
本実施形態は本実施形態は商用電源49の停電に対処するものであり、実施形態B1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図3を準用する。商用電源49の停電が発生したとき、制御装置7は、商用電源49の復電を待ちつつ、実施形態B1と同様なスタック1の発電を伴う掃気工程を実施し、スタック1の酸化剤極11に残留する液相状または気相状の水をスタック1の外部に吐出させ、酸化剤極11を適度な水分量に維持させる。
しかしながら、商用電源49が復電するまで、上記した発電を伴う掃気工程を連続的に継続させると、スタック1の内部が過剰乾燥するおそれがある。そこで本実施形態によれば、上記した発電を伴う掃気工程を設定時間tm3の間実施する。あるいは、発電を伴う掃気工程は設定時間tm3の間連続的に実施されていないものの、スタック1の電圧Vが設定電圧Vs2以下となったら、制御装置7は、スタック1の内部を乾燥させる乾燥力を上記掃気工程よりも低下させた乾燥緩和工程を実施する。乾燥緩和工程は設定時間tm4連続的に実施する。
なお、設定電圧Vs、設定時間t3m、設定時間t4mは、システムに応じて実験またはシミュレーションなど基づいて適宜設定できる。なお、tm3=tm4、tm3≒tm4でも良いし、あるいは、tm3>tm4、tm3<tm4でも良い。
商用電源49が復電しない場合には、復電するまで、あるいは、燃料電池システムの運転を停止させるまで、制御装置7は、発電を伴う掃気工程と乾燥緩和工程とを交互に実施することができる。この結果、商用電源49が復電するまでスタック1が自立運転しているときであっても、スタック1の酸化剤極11の過剰湿潤化および過剰乾きの双方が抑制される。この結果、商用電源49が復電するとき、フラッディングが抑制され、スタック1の発電が安定する。
(実施形態B3)
図5は実施形態B3を表すフローチャートを示す。本実施形態は商用電源49の停電に対処するものであり、前記した実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図3を準用する。制御装置7は、システムのスタック1の発電運転を継続する工程を実施している。制御装置7は各センサ類の読込を継続している(ステップS202)。何らかの原因により商用電源49が停電することがある。この場合、制御装置7は停電を検出すると(ステップS204のYES)、商用電源49と切り離された自立運転を開始させる指令をシステムに出力する(ステップS206)。そして制御装置7は、システム内において漏電等の異状が発生しているか否か判定し(ステップS208)、システムに異状があれば、システムは自立運転できないため(ステップS214のNO)、制御装置7は、水ポンプ37,燃料ポンプ23および酸化剤ポンプ53の作動を停止し、これによりスタック1への燃料および酸化剤ガスの供給を終了し、システムの発電を強制終了させる(ステップS250)。異状が発生していない条件で(ステップS208のYES)、タイマーt4をクリアさせて初期化させる(ステップS210)。商用電源49がまだ復電していなければ(ステップS212のNO)、制御装置7はシステムが自立運転を継続可能か否かを判定する(ステップS214)。
システムの自立運転が継続可能であれば(ステップS214のYES)、ステップS216を経て、制御装置7は、商用電源49の復電を待ちつつ、タイマーt3を初期化し、スタック11の発電を伴う掃気工程を実施する(掃気処理,ステップS218)。この掃気工程では、具体的には制御装置7は次の(1)〜(5)の操作を実施する。タイマーt3は、掃気工程(ステップS218)を実施する時間を計測するタイマーである。
(1):図2に示すように、スタック1では、スタック1が発電できる電流範囲の下限値Iminと上限値Imaxが予め設定されている。制御装置7は、下限値Iminと上限値Imaxとの間の中間値Imiddleよりも小さな電流値にスタック1の発電電流値を維持させる。具体的には、制御装置7は、スタック1の電流値を下限値Iminに固定する。これによりスタック1の発電電力が抑えられ、発電反応でスタック1の内部に発生する生成水は抑えられ、スタック1の酸化剤極11の過剰湿潤化が抑えられ易い。上記したようにスタック1の電流値を下限値Iminに固定すれば、スタック1の発電電圧Vを高めにでき、スタック1の発電可能時間を確保でき、ひいては発電を伴う掃気工程を実施できる時間を確保できる。更に、上記したようにスタック1の電流値を下限値Iminに固定すれば、スタック1の内部抵抗を固定値として近似させ易く、スタック1の電圧Vの値によりスタック1の内部の水分量が把握され易い。更に、電流値を下限値Iminに固定すれば、スタック1の燃料極に供給する燃料の流量も抑えられる。故に、掃気工程後にスタック1の発電運転が終了するとき、スタック1の燃料極に残留させる燃料を少なくするのに貢献できる。
(2):制御装置7は、停電直前の時刻(通常発電運転時)よりも酸化剤ポンプ53の回転数を増加させる。これにより終了指令出力時(通常発電運転時)の流量よりも大きい流量Fm3の酸化剤ガスをスタック1の酸化剤極11に供給する。回転数は単位時間(例えば1分)あたりの回転数を意味する。具体的には、流量Fm3は、スタック1の通常発電運転時にスタック1の酸化剤極11に供給される酸化剤ガスの流量Fbよりも大きめとする。ここで、単位時間(1分間)あたり、Fm3/Fb=1.05〜20の範囲内が好ましく、特に1.1〜10の範囲内、1.2〜5の範囲内が好ましい。但しこれに限定されるものではない。従って、スタック1の酸化剤極11に残留する液相状または気相状の水がスタック1の外部に吐出され、スタック1の酸化剤極11の過剰湿潤化が抑えられる。
(3):発電を伴う掃気工程において、制御装置7は、スタック1の酸化剤極11の出口から吐出される酸化剤オフガスの流量の2/3以上を加湿器50に流さず、加湿器50を迂回させる。具体的には、制御装置7は、迂回バルブ57を開度を制御し、スタック1の酸化剤極11の出口から吐出される湿った酸化剤オフガスの全部を加湿器50の吸湿路50bに流さず、迂回路56に流し、加湿器50の吸湿路50bを迂回させる。これにより湿った酸化剤オフガスから加湿器50の水分保持部材50cへの水分移動が抑えられる。よって、商用電源49の復電を待っている間、加湿器50の内部が過剰に湿潤化することが抑制される。従って、スタック1の酸化剤極11に供給される酸化剤ガスの過剰湿潤化が抑えられる。よって、スタック1の酸化剤極11の過剰湿潤化が抑えられる。
(4):発電を伴う掃気工程において、制御装置7は、迂回バルブ59を制御し、スタック1の酸化剤極11の入口に供給される酸化剤ガスの流量の2/3以上を加湿器50に流さず、加湿器50の加湿路50aを迂回させる。具体的には、制御装置7は迂回バルブ59を開度を制御し、スタック1の酸化剤極11の入口に供給される酸化剤ガスの全部を加湿器50の加湿路50aに流さず、迂回路58に流し、加湿器50の加湿路50aを迂回させる。従って、スタック1の酸化剤極11に供給される直前の酸化剤ガスの加湿量を低減できるため、フラッディングが抑制される。
(5):発電を伴う掃気工程において、停電直前の時刻(通常発電運転)の冷媒の温度よりも冷媒の温度Tm3を高くする。具体的にヒータ63のオンまたは発熱量増加により循環路60の冷媒の温度Tm3を昇温させる。また、ポンプ82の単位時間あたりの駆動量(回転数)を低下させることにより、貯湯通路80を循環する流量を抑制させ、循環路60から貯湯通路80への伝熱を抑える。これにより商用電源49の復電を待っている間、スタック1が昇温するため、スタック1の酸化剤極11が乾き方向に移行し、スタック1の酸化剤極11の過剰湿潤化が抑制される。なお、上記した(1)〜(5)以外は通常の運転条件とすることができる。
上記した発電を伴う掃気工程(ステップS218)の実施時間を計測すべく、制御装置7はタイマーt3をカウントする(ステップS220)。
次に、スタック1の電圧が低下して設定電圧Vs2以下となったとき、制御装置7は発電を伴う掃気工程から乾燥緩和工程に移行する(乾燥緩和処理,ステップS230)。あるいは、スタック1の電圧が設定電圧Vs2以下となっていないものの、タイマーt3の計測時間が設定時間tm3以上となったとき、制御装置7は発電を伴う掃気工程から乾燥緩和工程に移行する(ステップS230)。スタック1の低下する電圧が設定電圧Vs2を超えており、且つ、タイマーt3の計測時間が設定時間tm3に到達していないとき(ステップS224のNO)、システムに異状があれば(ステップS226のYES)、システムを強制的に停止させる(ステップS250)。システムに異状がなければ(ステップS226のNO)、ステップS212に戻る。
上記した乾燥緩和工程(ステップS230)によれば、スタック1の内部を乾燥させる乾燥力は、上記した掃気工程(ステップS218)よりも小さく設定されており、スタック1の内部に少しの湿潤を与えることができる。この場合、制御装置7は、スタック1の(1)の操作を維持することによりスタック1の電流値を下限値Iminに維持し、スタックの燃料極に供給する燃料の流量を抑えつつ、上記した(2)(3)(4)(5)の操作を通常の運転条件に戻す。この場合、酸化剤ポンプ53の回転数は、電流値の下限値Iminに対応する回転数に低下する。よって、スタック1の酸化剤極11に供給される酸化剤ガスの流量は、電流値の下限値Iminに対応する流量に低減する。同様に、スタック1の燃料極10に供給されるガス状の燃料の流量は、電流値の下限値Iminに対応する流量に低減する。
更に、制御装置7は、迂回バルブ57を開度を制御し、スタック1の酸化剤極11の出口から吐出される湿った酸化剤オフガスを加湿器50の吸湿路50bおよび迂回路56の双方に流す。このため湿ったオフガスの水分が加湿器50に移動する量が増加され、加湿器50の保持水分量が増加する。更に、スタック1の冷媒通路13を流れる冷媒温度T3も、電流値の下限値Iminに対応する冷媒温度に戻るため、スタック1の温度が低下し、スタック1の酸化剤極11の過剰乾きが抑えられる。
上記した乾燥緩和工程(ステップS230)が実施される時間を計測すべく、制御装置7はタイマーt4をカウントする(ステップS232)。乾燥緩和工程が実施される時間は、設定時間tm4である。計測時間が設定時間tm4未満であれば(ステップS234のNO)、システムが異常でない限り(ステップS235のNO)、ステップS230に戻り、乾燥緩和工程(ステップS230)を連続的に実施する。乾燥緩和工程が実施されている途中において、異状が発生すれば(ステップS235のYES)、システムを強制停止させる(ステップS250)。乾燥緩和工程が実施される時間が設定時間tm4を超えれば(ステップS234のYES)、乾燥緩和工程を終了させ、ステップS210に戻り、タイマーt4を初期化させる。そして、商用電源49が復電していないこと(ステップS212のNO)、自立運転が継続可能である(ステップS214のYES)という条件のもとで、制御装置7は、発電を伴う掃気工程を実施する(ステップS218)。更に、スタック1の電圧Vが設定電圧Vs2よりも低下したり(ステップS222のYES)、あるいは、掃気工程が実施される時間が設定時間tm3以上となれば(ステップS224のYES)、上記した掃気工程よりも乾燥力が緩和され且つ湿潤力をもつ乾燥緩和工程を実施する(ステップS230)。前述したように、スタック1の電流が所定電流下において、スタックの電圧Vはスタック1の内部の加湿状態を反映しているためである。そして乾燥緩和工程が設定時間tm4実施されると(ステップS234のYES)、タイマーt4をクリアさせて初期化させる(ステップS210)。
制御装置7は、商用電源49が復電していれば(ステップS212のYES)、システムの通常発電運転に復帰する(ステップS260)。このとき、乾燥緩和工程によりスタック1の内部は適度な水分度とされているため、スタック1の内部におけるフラッディングおよび過剰乾きが抑制され、スタック1の発電が安定する。
なお、本実施形態によれば、スタック1の電圧Vが設定電圧Vsまで低下しないときであっても(ステップS222のNO)、掃気工程の実施時間が設定時間tm3を経過すれば(ステップS224のYES)、乾燥緩和工程(ステップS230)に強制的に移行させることにしている。これにより乾燥力が強い掃気工程の実施しすぎを抑え、乾燥力が弱いまたは湿潤力をもつ乾燥緩和工程の実施時間を確保し、スタック1の内部の過剰乾きを抑制することができる。
以上説明したように本実施形態によれば、商用電源49が停電したとき、商用電源49が復電するまでの間、スタック1の電圧が設定電圧Vs2以下となるか、あるいは、発電を伴う掃気工程が実施される時間が設定時間t3を経過するまで、制御装置7は、発電を伴う掃気工程(ステップS218)を実施する。そして、スタック1の電圧が設定電圧Vs2以下となるか、あるいは、掃気工程の実施時間が設定時間t3mになれば、スタック1の発電運転を継続させつつ、スタック1の内部を乾燥させる乾燥力が掃気工程よりも乾燥力が緩和された乾燥緩和工程を設定時間t4実施する。
すなわち、商用電源49が停電したとき、商用電源49が復電するまでの間において、スタック1の酸化剤極11を乾き方向に移行させるための乾燥力が強い掃気工程と、乾燥力が弱いまたは湿潤力をもつ乾燥緩和工程とを、制御装置7は交互に実施する。この結果、商用電源49が停電したとき商用電源49が復電するまでの間において、スタック1の酸化剤極11は適度の水分状態に維持される。従って、商用電源49の復電によりスタック1が通常発電運転(底角運転)に移行するときであっても、スタック1の酸化剤極11は適度の水分に維持されているため、フラッディングが抑制され、スタック1の発電が安定する。なお本実施形態によれば、スタック1の電流値を下限値Iminに設定することが好ましいが、これに限らず、下限値Iminと上限値Imaxとの間の中間値Imiddleよりも小さな電流値にスタック1の発電電流値を維持させても良い。
(実施形態B4)
本実施形態は実施形態B3と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図3,図5を準用する。但し、商用電源49が停電したときに実施される発電を伴う掃気工程(ステップS218)では、(1)(2)(3)(4)の操作が実行されるものの、(5)の操作は実行されない。
(実施形態B5)
本実施形態は実施形態B3と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図3,図5を準用する。但し、商用電源49が停電したときに実施される発電を伴う掃気工程(ステップS218)では、(1)(2)(3)の操作が実行されるものの、(4)(5)の操作は実行されない。
(実施形態B6)
本実施形態は実施形態B3と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図3,図5を準用する。但し、発電を伴う掃気工程(ステップS218)では(1)(2)の操作が実行されるものの、(3)(4)(5)の操作は実行されない。
(実施形態B7)
本実施形態は実施形態B1〜B4と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、図1〜図3,図5を準用する。本実施形態によれば、発電を伴う掃気工程(ステップS218)を実施するにあたり、前述同様に、制御装置7は、商用電源49の停電直前または停電時の時刻(通常発電運転時)よりも酸化剤ポンプ53の回転数を増加させ、終了指令出力時(通常発電運転時)の流量Fsよりも大きい流量Fm3の酸化剤ガスをスタック1の酸化剤極11に供給する。具体的には、流量Fm3は、スタック1の通常発電運転時にスタック1の酸化剤極11に供給される酸化剤ガスの流量Faよりも大きめとする。この場合、流量Fm3を固定値ではなく、サインカーブ状またはステップ状に変動させても良い。スタック1の内部の余剰水に振動が与えられ、排水性を期待できる。
(その他)
掃気工程で発電された電力は、主として循環路60のヒータ63の発熱で消費されるが、これ限らず、貯湯槽85および/または貯湯通路80にヒータを設け、そのヒータの発熱で消費させることにしても良い。燃料電池システムは図1に示す構造および配置に限定されるものではない。燃料原料を改質させて燃料を形成させる改質器24が設けられているが、ガス状の燃料を貯蔵するタンク等の貯蔵部を改質器24に代えて設けても良い。加湿器50は上記した構造に限定されるものではない。発電を伴う掃気工程で得られた電力をヒータ63で発熱させ、ひいては貯湯槽85の熱エネルギとして貯蔵するが、これに限らず、キャパシタおよび/またはバッテリーを設け、これらに電力を蓄電させても良い。更に、発電を伴う掃気工程で得られた電力を商用電源49側に給電させても良い。各実施形態によれば、掃気工程において、制御装置7は、下限値Iminのみならず、下限値Iminと上限値Imaxとの間の中間値Imiddleよりも小さな電流値にスタック1の発電電流値を固定することができる。掃気処理において、スタック1の酸化剤極から吐出される酸化剤オフガスの流量の70%以上、80%以上を加湿器の吸湿路に流さず、加湿器を迂回させることにしても良い。掃気処理において、スタック1の酸化剤極に供給される酸化剤ガスの流量の70%以上、80%以上を加湿器の加湿路に流さず、加湿器を迂回させることにしても良い。本発明は上記した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。本明細書から次の技術的思想も把握される。
[付記項1]燃料電池と、燃料を燃料電池の燃料極に供給する燃料供給系と、酸化剤を燃料電池の酸化剤極に供給する酸化剤供給系と、制御装置とを具備する燃料電池システムにおいて、制御装置は、(i)燃料電池システムの燃料電池の発電運転を継続する処理と、(ii)燃料電池の発電運転を終了させる終了指令が出力されたとき、燃料電池の燃料極に燃料を継続して供給し且つ燃料電池の酸化剤極に酸化剤を継続して供給することにより、燃料電池の発電運転を継続させつつ、終了指令出力時(通常発電運転時)の流量よりも大きい流量の酸化剤ガスを燃料電池の酸化剤極に供給することにより、燃料電池の酸化剤極の内部を掃気させる掃気処理を実施する燃料電池システム。燃料電池を次回に起動させるとき、フラッディングが抑制される。なお、流量は単位時間あたりの流量を意味する。
[付記項2]付記項1において、制御装置は、掃気処理において、燃料電池が発電できる電流範囲の下限値と上限値との間の中間値よりも小さな電流値に燃料電池の発電電流値を維持させる燃料電池システム。
[付記項3]付記項1または2において、燃料電池に供給される前の酸化剤ガスを加湿させる加湿器が設けられており、制御装置は、掃気処理において、燃料電池の酸化剤極の出口から吐出される酸化剤オフガスの流量の2/3以上が加湿器を流れずに加湿器を迂回することにより、酸化剤オフガスから加湿器への水分移動を抑える燃料電池システム。燃料電池を次回に起動させるとき、フラッディングが抑制される。
[付記項4]付記項1〜3のうちの一項において、燃料電池は、燃料電池を冷却させる冷媒が流れる冷媒通路をもち、制御装置は、掃気処理において、終了指令が出力される時刻(通常発電運転)の冷媒温度よりも冷媒温度を高くする燃料電池システム。燃料電池を次回に起動させるとき、フラッディングが抑制される。
[付記項5]付記項1〜4のうちの一項において、制御装置は、掃気処理を実施した後において、または、掃気処理を実施している途中において、燃料電池システムを冷却させる冷却処理を実施する燃料電池システム。
[付記項6]付記項1〜5のうちの一項において、制御装置は、燃料電池の発電運転を継続しつつ掃気処理を実施している途中において、燃料電池システムにおいて異状が発生したとき、燃料電池の発電運転を終了させ、その後、掃気処理を再び実施する燃料電池システム。
[付記項7]燃料電池システムの燃料電池の発電運転を継続する工程と、前記燃料電池の発電運転を終了させる終了指令が出力されたとき、前記燃料電池の燃料極に燃料を継続して供給し且つ前記燃料電池の酸化剤極に酸化剤ガスを継続して供給することにより、前記燃料電池の発電運転を継続させつつ、前記燃料電池の前記酸化剤極を乾き方向に移行させる工程を実施する燃料電池システムの運転制御方法。フラッディングが抑制される。
[付記項8]燃料電池と、燃料を燃料電池の燃料極に供給する燃料供給系と、酸化剤を燃料電池の酸化剤極に供給する酸化剤供給系と、制御装置とを具備する燃料電池システムにおいて、制御装置は、(i)燃料電池システムの燃料電池の発電運転を継続する処理と、(ii)商用電源の停電が発生したとき、燃料電池の燃料極に燃料を継続して供給し且つ燃料電池の酸化剤極に酸化剤を継続して供給することにより、燃料電池の発電運転を継続させつつ、停電が発生した時刻(通常発電運転)の流量よりも大きい流量の酸化剤ガスを燃料電池の酸化剤極に供給することにより、燃料電池の酸化剤極の内部を掃気させる掃気処理を実施する燃料電池システム。フラッディングが抑制される。
[付記項9]付記項8において、制御装置は、前記掃気処理を実施した後、燃料電池の燃料極に燃料を継続して供給し且つ燃料電池の酸化剤極に酸化剤を継続して供給することにより、燃料電池の発電運転を継続させつつ、前記掃気処理が燃料電池の内部を乾燥させる乾燥力よりも乾燥力が緩和された乾燥緩和処理とを実施し、商用電源の停電が継続されるとき、前記掃気処理と前記緩和処理とを交互に実施する燃料電池システム。
[付記項10]付記項8または9において、制御装置は、掃気処理において、燃料電池が発電できる電流範囲の下限値と上限値との間の中間値よりも小さな電流値に燃料電池の発電電流値を維持させる燃料電池システム。
[付記項11]付記項8〜10のうちの一項において、制御装置は、燃料電池に供給される前の酸化剤ガスを加湿させる加湿器が設けられており、掃気処理において、燃料電池の酸化剤極の出口から吐出される酸化剤オフガスの流量の2/3以上が加湿器50を流れずに加湿器を迂回することにより、酸化剤オフガスから燃料電池への水分移動を抑える燃料電池システム。
[付記項12]付記項8〜11のうちの一項において、制御装置は、燃料電池は、燃料電池を冷却させる冷媒が流れる冷媒通路をもち、掃気処理において、終了指令が出力される時刻(通常発電運転)よりも冷媒の温度を高くする燃料電池システムの運転制御方法。
[付記項13]付記項8〜12のうちの一項において、制御装置は、掃気処理を実施した後において、または、掃気処理を実施している途中において、燃料電池システムを冷却させる冷却処理を実施する燃料電池システム。
[付記項14]燃料電池システムの燃料電池の発電運転を継続する工程と、
商用電源の停電が発生したとき、前記燃料電池の燃料極に燃料を継続して供給し且つ前記燃料電池の酸化剤極に酸化剤を継続して供給することにより、前記燃料電池の発電運転を継続させつつ、前記燃料電池の前記酸化剤極を乾き方向に移行させる工程を実施する燃料電池システムの運転制御方法。フラッディングが抑制される。
[付記項15]燃料電池の発電運転を継続させる工程と、前記燃料電池の発電運転を停止指令が出力されたとき、前記燃料電池の前記酸化剤極を乾き方向に移行させる工程を実施する燃料電池システムの運転制御方法。フラッディングが抑制される。酸化剤ガスを燃料電池に供給できる。
[付記項16]燃料電池と、燃料を燃料電池の燃料極に供給する燃料供給系と、酸化剤を燃料電池の酸化剤極に供給する酸化剤供給系と、制御装置とを具備する燃料電池システムにおいて、制御装置は、燃料電池の発電運転を終了させる終了指令が出力されるとき、または、商用電源の停電が発生したとき、燃料電池の燃料極に燃料を継続して供給し且つ燃料電池の酸化剤極に酸化剤を継続して供給することにより、燃料電池の発電運転を継続させつつ、終了指令出力時(通常発電運転時)、または、停電発生時における流量よりも大きい流量の酸化剤ガスを燃料電池の酸化剤極に供給することにより、燃料電池の酸化剤極の内部を掃気させる掃気処理を実施し、制御装置は、掃気処理において、燃料電池が発電できる電流範囲の下限値と上限値との間の中間値よりも小さな電流値に燃料電池の発電電流値を維持させる燃料システム。
[付記項17]燃料極および酸化剤極を有する燃料電池を含む燃料電池システムを用意する工程と、前記燃料電池システムの前記燃料電池の発電運転を継続する工程と、前記燃料電池の発電運転を終了させる終了指令が出力されたとき、前記燃料電池の前記燃料極に燃料を継続して供給し且つ前記燃料電池の前記酸化剤極に酸化剤ガスを継続して供給することにより、前記燃料電池の発電運転を継続させつつ、終了指令出力時における流量よりも大きい流量の酸化剤ガスを前記燃料電池の前記酸化剤極に供給することにより、前記燃料電池の前記酸化剤極の内部を掃気させる掃気工程とを実施する燃料電池システムの運転制御方法。
本発明は例えば定置用、車両用、電気機器用、電子機器用、携帯用、可搬用の燃料電池システムに利用することができる。
実施形態1に係り、燃料電池システムを示す図である。 別の実施形態に係り、スタックが発電できる電流範囲の下限値Iminと上限値Imaxとの関係を示すグラフである。 別の実施形態に係り、スタックの電流と電圧との関係を模式的に示すグラフである。 実施形態に係り、制御装置が実行するフローチャートである。 他の実施形態に係り、制御装置が実行するフローチャートである。
符号の説明
1はスタック(燃料電池)、10は燃料極、11は酸化剤極、13は冷媒通路、2は燃料供給系、22は燃料バルブ、23は燃料ポンプ、24は改質器、25は改質部、26はバーナ、28は入口バルブ、30は出口バルブ、34は改質水系、36は改質水通路、37は水ポンプ、38は水バルブ、39は蒸発部、42はポンプ、49は商用電源、5は酸化剤供給系、50は加湿器、50aは加湿路、50bは吸湿路、50cは水分保持部材、52は酸化剤供給通路、53は酸化剤ポンプ、54は入口バルブ、55は酸化剤吐出通路、56は迂回路、57は迂回バルブ、6は冷却系、61は冷媒ポンプ、62は温度センサ、7は制御装置を示す。

Claims (10)

  1. 燃料極および酸化剤極を有する燃料電池を含む燃料電池システムを用意する工程と、
    前記燃料電池システムの前記燃料電池の発電運転を継続する工程と、
    前記燃料電池の発電運転を終了させる終了指令が出力されたとき、前記燃料電池の前記燃料極に燃料を継続して供給し且つ前記燃料電池の前記酸化剤極に酸化剤ガスを継続して供給することにより、前記燃料電池の発電運転を継続させつつ、通常発電運転時における流量よりも大きい流量の酸化剤ガスを前記燃料電池の前記酸化剤極に供給することにより、前記燃料電池の前記酸化剤極の内部を掃気させる掃気工程とを実施し、
    前記掃気工程において、前記燃料電池が発電できる電流範囲の下限値と上限値との間の中間値よりも小さな電流値に前記燃料電池の発電電流値を維持させる燃料電池システムの運転制御方法。
  2. 燃料極および酸化剤極を有する燃料電池を含む燃料電池システムを用意する工程と、
    前記燃料電池システムの前記燃料電池の発電運転を継続する工程と、
    前記燃料電池の発電運転を終了させる終了指令が出力されたとき、前記燃料電池の前記燃料極に燃料を継続して供給し且つ前記燃料電池の前記酸化剤極に酸化剤ガスを継続して供給することにより、前記燃料電池の発電運転を継続させつつ、通常発電運転時における流量よりも大きい流量の酸化剤ガスを前記燃料電池の前記酸化剤極に供給することにより、前記燃料電池の前記酸化剤極の内部を掃気させる掃気工程とを実施し、
    前記掃気工程を実施した後において、または、前記掃気工程を実施している途中において、前記燃料電池システムに異状が発生したとき、前記燃料電池システムを冷却させる冷却処理を実施する燃料電池システムの運転制御方法。
  3. 燃料極および酸化剤極を有する燃料電池を含む燃料電池システムを用意する工程と、
    前記燃料電池システムの前記燃料電池の発電運転を継続する工程と、
    前記燃料電池の発電運転を終了させる終了指令が出力されたとき、前記燃料電池の前記燃料極に燃料を継続して供給し且つ前記燃料電池の前記酸化剤極に酸化剤ガスを継続して供給することにより、前記燃料電池の発電運転を継続させつつ、通常発電運転時における流量よりも大きい流量の酸化剤ガスを前記燃料電池の前記酸化剤極に供給することにより、前記燃料電池の前記酸化剤極の内部を掃気させる掃気工程とを実施し、
    前記燃料電池の発電運転を継続しつつ前記掃気工程を実施している途中において、前記燃料電池システムにおいて異状が発生したとき、前記燃料電池の発電運転を終了させ、その後、前記掃気工程を再び実施する燃料電池システムの運転制御方法。
  4. 請求項1〜3のうちの何れか1項において、前記掃気工程を実施しているとき、且つ、前記燃料電池の電圧が設定電圧まで低下したとき、前記燃料電池の発電を終了する発電終了工程に前記掃気工程から強制的に前記システムを移行させる燃料電池システムの運転制御方法。
  5. 請求項1〜3のうちの何れか1項において、前記掃気工程を実施しているとき、且つ、前記燃料電池の電圧が設定電圧まで低下しないとき、且つ、前記掃気工程の実施時間が設定時間を経過するとき、前記掃気工程から前記発電終了工程に強制的に前記システムを移行させる燃料電池システムの運転制御方法。
  6. 請求項のうちの請求項1を引用しない一項において、前記掃気工程において、前記燃料電池が発電できる電流範囲の下限値と上限値との間の中間値よりも小さな電流値に前記燃料電池の発電電流値を維持させる燃料電池システムの運転制御方法。
  7. 請求項1〜のうちの一項において、前記燃料電池に供給される前の前記酸化剤ガスを加湿させる加湿器が設けられており、
    前記掃気工程において、前記燃料電池の前記酸化剤極の出口から吐出される前記酸化剤オフガスの流量の2/3以上が前記加湿器を流れずに前記加湿器を迂回することにより、前記酸化剤オフガスから前記加湿器への水分移動を抑える燃料電池システムの運転制御方法。
  8. 請求項1〜のうちの一項において、前記燃料電池は、前記燃料電池を冷却させる冷媒が流れる冷媒通路をもち、前記掃気工程において、前記終了指令が出力された時刻の前記冷媒の温度よりも前記冷媒の温度を高くする燃料電池システムの運転制御方法。
  9. 請求項1、3〜6のうちの請求項2を引用しない一項において、前記掃気工程を実施した後において、または、前記掃気工程を実施している途中において、前記燃料電池システムに異状が発生したとき、前記燃料電池システムを冷却させる冷却処理を実施する燃料電池システムの運転制御方法。
  10. 請求項1、2、4〜7のうちの請求項3を引用しない一項において、前記燃料電池の発電運転を継続しつつ前記掃気工程を実施している途中において、前記燃料電池システムにおいて異状が発生したとき、前記燃料電池の発電運転を終了させ、その後、前記掃気工程を再び実施する燃料電池システムの運転制御方法。
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