JP5318619B2 - 焼結金属軸受 - Google Patents

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本発明は、金属粉末を圧縮成形した後、焼結して得られる焼結金属軸受に関する。
焼結金属軸受は、例えば内部気孔に潤滑油等を含浸させた焼結含油軸受として好適に使用されるものであり、自動車用軸受部品や情報機器用のモータスピンドル等、優れた軸受性能や耐久性が要求される箇所に使用されている。
この種の軸受は、例えば下記特許文献1に開示のように、Cu粉末又はFe粉末、あるいはその両者を主成分とする金属粉末を所定の形状(多くは円筒状)に圧縮成形した後、焼結して得られた多孔質体に、潤滑油又は潤滑グリース等の流体を含浸させることで形成される。
また、下記特許文献2には、Cu粉末と、SUS粉末とを含む混合金属粉末を圧縮成形した後、焼結して得られた焼結含油軸受が開示されている。
特開平11−182551号公報 特開2006−214003号公報
ところで、最近では、例えばHDDの高容量化に代表されるように、各種情報機器用モータにおいては、情報処理量の増大を目的としてスピンドルの高速回転化あるいは情報記憶媒体を含むスピンドルの重量が増加する傾向にある。そのため、この種の情報機器用モータに組み込んで使用される上記焼結金属軸受にはこれまで以上に優れた耐摩耗性が要求されている。かかる観点からは、上記特許文献2に開示の如く、SUS粉末を配合した焼結金属軸受が有効であるように思えるが、その一方で、SUS粉末は他金属粉末との焼結性に乏しいことから、単にSUS粉末を配合しただけでは、十分な焼結強度を得ることができないおそれがある。
以上の事情に鑑み、本明細書では、耐摩耗性に優れると共に高い焼結強度を示し得る焼結金属軸受を提供することを解決すべき技術的課題とする。
本発明は、前記課題の解決を図るためになされたものである。すなわち、本発明に係る焼結金属軸受は、複数の金属粉末を含む原料粉末を圧縮成形し、焼結して得られたものであって、内部に含油可能な多数の気孔を有する焼結金属軸受において、原料粉末は、Cu粉末とSUS粉末、および純Fe粉末とを含み、かつ原料粉末に占めるCu粉末とSUS粉末、および純Fe粉末の含有割合がそれぞれ、Cu粉末:15wt%以上60wt%以下、SUS粉末:10wt%以上35wt%以下、純Fe粉末:20wt%以上60wt%以下に調整されている点をもって特徴づけられる。なお、ここでいう「純Fe粉末」は、工業上使用される高純度の鉄粉をいい、例えば99%以上の純度を有するものが含まれる。
このように、摺動特性および加工性に優れたCu粉末とSUS粉末とに対して、さらに純Fe粉末を配合することで、SUS粉末の有する優れた耐摩耗性を焼結後の製品において発現可能としつつも、SUS粉末と他粉末との焼結性の乏しさを純Fe粉末により補強して、高い焼結強度を有する焼結金属軸受を得ることができる。特に、この種の軸受においては、内部に含油のための多数の気孔を残す必要があることから、圧縮成形時の密度をそれほど高く設定できない事情があるところ、SUS粉末に比べて焼結性および圧縮性に優れた純Fe粉末を配合することで、相当数の内部気孔を確保しつつも所期の焼結強度(例えば圧環強度で示される)を得ることができる。
この場合、上記効果を十分に得るために、上記Cu粉末とSUS粉末、および純Fe粉末のうち少なくとも何れか一が、原料粉末に含まれる粉末中で最も高い割合を占める粉末であってもよい。また、その場合、上記3種の金属粉末が原料粉末中に占める割合の高い上位3種であってもよい。具体的には、原料粉末に占めるCu粉末とSUS粉末、および純Fe粉末の含有割合がそれぞれ、Cu粉末:15wt%以上60wt%以下、SUS粉末:10wt%以上35wt%以下、純Fe粉末:20wt%以上60wt%以下に調整されていてもよい。
また、原料粉末は、さらにリン化Fe粉末を含むものであってもよい。通常、リン化Feは純Feに比べて脆性であり、回避されるべきと考えられるころ、純Fe粉末とは別個の粉末状で原料粉末に配合するようにすれば、焼結体の強度や剛性に悪影響を与えることなく、むしろ、軸受面の耐摩耗性を向上させることが可能となる。
また、この場合、原料粉末に占めるCu粉末とSUS粉末、純Fe粉末、およびリン化Fe粉末の含有割合がそれぞれ、Cu粉末:15wt%以上60wt%以下、SUS粉末:10wt%以上30wt%以下、純Fe粉末:20wt%以上60wt%以下、リン化Fe粉末:0.1wt%以上2.0wt%以下に調整されていてもよい。ここで、リン化Fe粉末の配合割合(含有割合)を上記のように設定したのは、以下の理由による。すなわち、リン化Fe粉末の含有割合が0.1wt%を下回ると、上記耐摩耗性の向上効果が十分に得られず、また、2.0wt%を上回ると、焼結体の強度に悪影響を及ぼす可能性が生じるからである。
原料粉末は、さらに低融点金属粉末を含むものであってもよい。ここでいう「低融点金属」とは、焼結時には溶融する程度の融点を有する金属を意味し、このような金属粉末は、焼結時に溶融して液相化することで、Cu粉末、SUS粉末、純Fe粉末のうちの同種粉末間あるいは異種粉末間のバインダとして作用する。そのため、当該粉末間の結合力を補強して、焼結強度を向上させることができる。低融点金属粉末としては、例えばCu粉末の焼結温度で確実に溶融する金属粉末、すなわちSn、Zn、Al、P等の金属粉末、あるいはこれらを2種以上含む合金粉末が使用可能であり、この中でも焼結後の硬度を考えるとSn粉末が好適である。
また、上述のように、低融点金属粉末を配合するのであれば、主として焼結作用に寄与するCu粉末の割合を減らすことも可能となるため、例えば原料粉末に占めるCu粉末の含有割合を、SUS粉末と純Fe粉末の含有割合の総和よりも小さくすることも可能である。具体的には、原料粉末に占めるCu粉末とSUS粉末、純Fe粉末、および低融点金属粉末の含有割合がそれぞれ、Cu粉末:15wt%以上45wt%以下、SUS粉末:10wt%以上30wt%以下、純Fe粉末:20wt%以上60wt%以下、低融点金属粉末:0.5wt%以上10wt%以下に調整されていてもよい。
あるいは、さらにリン化Fe粉末を含む場合、原料粉末に占める上記各金属粉末の含有割合がそれぞれ、Cu粉末::15wt%以上45wt%以下、SUS粉末:10wt%以上30wt%以下、純Fe粉末:20wt%以上60wt%以下、リン化Fe粉末:0.1wt%以上2.0wt%以下低融点金属粉末:0.5wt%以上10wt%以下に調整されていてもよい。
原料粉末は、さらに黒鉛を含むものであってもよい。この場合、黒鉛は固体潤滑剤として作用するので、焼結体の摺動面(軸受面)あるいは圧縮成形時や焼結後の二次加工時における金型との摺動性を向上させる作用を有する。
また、本発明に係る焼結金属軸受は、Cuの融点未満の温度で焼結して得られたものであってもよい。このようにして得られた焼結金属軸受であれば、圧縮成形体中のCu粉末が溶けることなく粉状のままで残るため、完成品中のCu組織が粉状(粒状)組織として残存し、その一部はSUS組織や純Fe組織等と共に軸受面を構成する。そのため、相手材(軸など)との間で良好な摺動性を得ることができる。また、純Fe成分の割合を高めつつも軸受面の加工性を確保して摺動面の面精度を維持することができる。かかる構成は、上記の如く低融点金属粉末を配合して焼結体の強度を補強する場合や、Cu粉末の一部を純Fe粉末に置き換えて、純Fe粉末の含有割合をさらに高める場合に組合せると一層有効である。
また、本発明に係る焼結金属軸受は、その焼結密度が6.8g/cm以上7.3g/cm以下の範囲内に調整されているものであってもよい。焼結密度(見かけ密度)が上記範囲内に調整された軸受であれば、上記各金属粉末による耐摩耗性、強度、摺動性、加工性を充足しつつも、焼結含油軸受として使用可能な程度の数ないし大きさの内部気孔を確保して、特に後述する流体動圧軸受装置用の軸受部品として好適に供給することができる。
また、上記構成に係る焼結金属軸受は、回転支持すべき軸との間に流体の動圧作用を生じさせるための動圧発生部が形成されたものであってもよい。具体的には、軸受面となる内周面や軸方向端面に動圧発生部を形成したものであってもよい。この際、上述のように、Cu粉末とSUS粉末、および純Fe粉末とをバランスよく配合した構成を採ることで、例えば動圧溝等の凹凸形状も精度良く成形することができ、かつ、凸部分における摺動性ないし耐摩耗性を高めることができる。
以上の構成に係る焼結金属軸受は、上述の如く、耐摩耗性や強度、摺動性に優れていることから、この軸受を備えた流体動圧軸受装置として使用でき、特にHDD等のモータ用軸受装置など支持すべき軸の回転重量が比較的大きいスピンドルに好適に使用できる。
また、前記課題の解決は、複数の金属粉末を含む原料粉末を圧縮成形し、焼結して得られたものであって、内部に含油可能な多数の気孔を有する焼結金属軸受を製造する方法であって、Cu粉末とSUS粉末、および純Fe粉末とを含む原料粉末を圧縮成形し、焼結することを特徴とする焼結金属軸受の製造方法によっても達成される。
また、この際、例えば純Fe粉末とCu粉末との相互の分散性を高めるために、純Fe粉末とCu粉末とを、部分的な合金化により一体化した状態で原料粉末に供給するようにしてもよい。このようにすれば、純Fe粉末とCu粉末とを一体的に原料粉末に供給されるため、純Fe粉末あるいはCu粉末が偏析する事態を防いで、均質な焼結体を得ることができる。
以上のように、本発明によれば、耐摩耗性に優れると共に高い焼結強度を示し得る焼結金属軸受を提供することができる。
本発明に係る焼結金属軸受は、Cu粉末とSUS粉末、および純Fe粉末とで、あるいはこれらの金属粉末を主成分として含む原料粉末を圧縮成形し、焼結することで形成される。ここで、Cu粉末とSUS粉末、および純Fe粉末が原料粉末全体に占める割合が、Cu粉末:15wt%以上60wt%以下、SUS粉末:10wt%以上35wt%以下、純Fe粉末:20wt%以上60wt%以下となるように、各金属粉末の配合割合が調整される。
上記原料粉末に含まれる金属粉末のうち、Cu粉末の組成や形状は特に限定されない。従って、純Cu粉末の他、一部あるいは全体にわたって他の金属と合金化したCu粉末を使用することも可能である。また、その製造方法についても特に問わず、還元法やアトマイズ法、あるいは電解法など種々の方法により製造されたものを使用することができる。Cu粉末のサイズについても特に限定されるものではないが、例えばSUS粉末あるいは純Fe粉末に比べて微細な粒径を有するものを使用する場合には、その配合割合を減じることができる。Cu粉末が微細であるほどSUS粉末や純Fe粉末との接触領域が増えることで、比較的少量でも軸受の強度を確保することができるとの理由による。また、SUS粉末や純Fe粉末と同サイズのCu粉末を使用する場合と比べて、完成品の軸受面等に露出するCu組織の割合も増大するため、Cu粉末の配合割合が少なくても摺動性を確保し易いとの理由による。
また、上記原料粉末に含まれるSUS粉末に関し、その種類(組織)や形状等については特に限定されるものではなく、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系、フェライト系、マルテンサイト系のいずれの組織形態を有するSUS粉末を使用することも可能である。このうち、特に機械的強度や耐摩耗性に優れたものとしてマルテンサイト系SUS粉末を使用することができる。このステンレス鋼の代表例として、例えばSUS410(11.5Cr〜13.5Cr)を挙げることができる。
純Fe粉末に関しても、その種類、形状等については特に限定されるものではなく、例えば還元Fe粉、アトマイズFe粉、電解Fe粉などその製造方法を問わず種々の純Fe粉末を使用することができる。
また、以上の金属粉末に加えて、他の粉末が含まれていてもよく、その一例としてリン化Fe粉末(FeP粉末)を挙げることができる。この場合、リン化Fe粉末は、焼結体の耐摩耗性向上を図る目的で配合され、その配合割合は、耐摩耗性の向上効果が認められる程度にその下限値が定められ、また焼結体の機械的特性に悪影響を及ぼさない程度にその上限値が定められる。具体的には、上記の割合でCu粉末とSUS粉末、および純Fe粉末が原料粉末に含まれる場合、リン化Fe粉末の配合割合は、原料粉末全体に対して0.1wt%以上2.0wt%以下の範囲内で調整される。
あるいは、以上の粉末に加えて、Cuよりもさらに融点の低い金属からなる粉末、例えばSn粉末が含まれていてもよい。すなわち、上記原料粉末は、Cu粉末とSUS粉末、純Fe粉末、リン化Fe粉末、および低融点金属粉末としてのSn粉末を含むものであってもよい。この種の金属粉末は、焼結時には溶融(液相化)し、上記同種の金属粉末間あるいは異種金属粉末間のバインダとして作用し、焼結体(焼結金属軸受)の強度向上に寄与する。そのため、係る場合には、主として焼結作用に寄与するCu粉末の割合を減らすこともできる。具体的には、原料粉末に占めるCu粉末とSUS粉末、純Fe粉末、リン化Fe粉末、および低融点金属粉末(Sn粉末)の含有割合が、Cu粉末:15wt%以上45wt%以下、SUS粉末:10wt%以上30wt%以下、純Fe粉末:20wt%以上60wt%以下、リン化Fe粉末:0.1wt%以上2.0wt%以下、Sn粉末:0.5wt%以上10wt%以下に調整されていてもよく、より好ましくは、Cu粉末:30wt%以上45wt%以下、SUS粉末:15wt%以上25wt%以下、純Fe粉末:30wt%以上50wt%以下、リン化Fe粉末:0.2wt%以上1.0wt%以下、Sn粉末:1.0wt%以上4.0wt%以下に調整されていてもよい。
また、圧縮成形時の成形性や離型性、あるいは完成品の摺動特性を改善する目的で、上記原料粉末に、さらに黒鉛(グラファイト)粉末が含まれていてもよい。この場合、上記原料粉末は、Cu粉末とSUS粉末、純Fe粉末、リン化Fe粉末、低融点金属粉末(Sn粉末)、および黒鉛粉末を含むものであってもよい。また、この場合、原料粉末に占める各粉末の含有割合は、Cu粉末:15wt%以上45wt%以下、SUS粉末:10wt%以上30wt%以下、純Fe粉末:20wt%以上60wt%以下、リン化Fe粉末:0.1wt%以上2.0wt%以下、Sn粉末:0.5wt%以上10wt%以下、黒鉛粉末:0.5wt%以上2.5wt%以下に調整されていてもよい。
以上の原料粉末組成に係る焼結金属軸受は、例えば以下に示す方法で製造される。すなわち、上記原料粉末を所定の形状に圧縮成形する工程(a)、圧粉成形体を焼結する工程(b)、焼結体に対してサイジングを施す工程(c)の少なくとも3工程を経て製造される。
まず、圧粉成形工程(a)に関し、V型混合器等でCu粉末とSUS粉末、および純Fe粉末を混合した原料粉末を作成する。必要に応じて、リン化Fe粉末や低融点金属粉末、黒鉛等の各種粉末をさらに混合した原料粉末を作成してもよい。ここで、各粉末の混合比率は、上述した原料粉末全体に占める各粉末の含有割合に応じて設定される。
なお、リン化Fe粉末を混合する場合には、当該リン化Fe粉末の分散性を高めるため、予め純Fe粉末にリン化Fe粉末を混合したものを用意しておき、この混合粉(Fe+FeP混合粉)をCu粉末やSUS粉末に混合するようにしてもよい。あるいは、同様の目的で、予め純Fe粉末の表面にCu粉末を部分的に当接させ、この当接部分を合金化したもの(純Fe粉末とCu粉末との一部合金体)をSUS粉末に混合して原料粉末として使用することも可能である。かかる手法は、特に分散性に乏しい微細Cu粉(例えば上記例示の粒径を有するCu粉末)を使用する場合に有効である。
次に、完成品に準じた形状(例えば図3に示す円筒形状)の粉末充填空間を有する成形金型を用意し、この金型内に上記原料粉末を充填し、所定圧力でプレスすることで、上記金型に対応する形状の圧粉成形体を得る。この際、圧粉成形体の密度が例えば6.5g/cm以上7.0g/cm以下となるように、プレス条件が設定される。
次に、上記圧粉成形体を、所定の焼結温度、ここではCuの融点(1083℃)未満の温度で所定時間加熱する。これにより、少なくともCu粉末と純Fe粉末とが相互に焼結され、これにより、Cu組織と、SUS組織、および純Fe組織とを少なくとも有する焼結金属組織からなる焼結体を得ることができる(焼結工程(b))。ここで、焼結温度に関し、焼結温度がCuの融点に近すぎると、溶融するCu粉末の割合が増え、溶融したCu組織が軸受内部に入り込むため、軸受表面にCu組織を維持することが難しくなる。また、あまりにCuの融点から離れた低い温度で焼結を行うと、そもそも十分な焼結作用が期待できない。かかる観点から、焼結温度は例えば750℃以上1060℃以下の範囲内に設定するのがよい。
このようにして得られた焼結体の寸法ないし形状を矯正する目的で焼結体に対してサイジングを実施することで(サイジング工程(c))、焼結金属軸受が完成する。このサイジングにより、焼結体が完成品に準じた寸法ないし形状に整形されると共に、軸受表面の表面開孔率が所定の大きさに調整される。なお、さらに内周面における表面開孔の個数や個々の開口面積を小さくする目的で、上記サイジングと併せて、あるいは上記サイジングに代えて回転サイジングを施すことも可能である。このサイジングによれば、内周面の表面開孔率がさらに小さく(例えば10%以下)に調整される。そのため、後述する流体動圧軸受装置に組み込んで使用する場合であっても、軸受面上に所定膜厚の油膜を形成し易くなる。
また、上記焼結金属軸受を焼結含油軸受として使用する場合には、この後に含油工程(d)を設けてもよい。すなわち、真空含浸法等を利用して焼結金属軸受の内部気孔に潤滑油等の潤滑剤を含浸させた後、適当に表面の潤滑油を除去することで焼結含油軸受を製造することも可能である。
ここで、上記焼結金属軸受の体積率(100−気孔率[%])は、実際の用途に合わせて設定するのがよく、例えば75%以上95%以下(気孔率で言えば、5%以上25%以下)の範囲で設定される。例えば、後述する流体動圧軸受装置に組み込んで使用する場合のように、内部気孔に潤滑油を含浸させて使用する場合には、軸受面(軸受すき間)への潤滑油の供給が滞りなく行えるように、また、温度変化に伴い油量が減少した場合にも軸受すき間に潤滑油が供給できる程度の量の潤滑油を内部気孔に保持できるように、比較的大きめ(気孔率でいえば8%以上18%以下)に設定するのがよい。なお、ここで、「気孔率」とは、焼結金属軸受の単位体積当たりに占める各内部気孔の容積の総和の割合をいい、具体的には以下の式によって算出される。
気孔率[%]=100−密度比[%]={1−(ρ1/ρ0)}×100
ρ1:焼結金属軸受の焼結密度(測定方法は、JIS Z 2501 乾燥密度の欄を参照)
ρ0:焼結金属軸受と同一組成の物質の真の密度
気孔率は密度比の増加に伴いほぼ線形的に低下することが分かっており、従って、密度比を求めることで気孔率を得ることができる。
表面開孔率に関しても、実際の用途に合わせて設定すればよく、例えば流体動圧軸受装置用途の場合であれば、2%以上15%以下に設定するのがよい。特に、後述するように、焼結金属軸受の内周面等に、潤滑油の動圧作用を発生させるための動圧発生部(図3では動圧溝8a1,8a2の配列領域)を設ける場合には、油圧の逃げを防ぐ目的で、当該内周面の表面開孔率は比較的小さめ(例えば2%以上10%以下)に設定するのがよい。ここで、「表面開孔」とは、多孔質組織である焼結金属軸受中に含まれる気孔が外表面に開口した部分をいう。また、「表面開孔率」とは、外表面の単位面積に占める表面開孔の面積割合をいい、以下の条件で測定、評価されるものをいう。
[測定器具]
金属顕微鏡:Nikon ECLIPSS ME600
デジタルカメラ:Nikon DXM1200
写真撮影ソフト:Nikon ACT−1 ver.1
画像処理ソフト:イノテック製 QUICK GRAIN
[測定条件]
写真撮影:シャッタースピード0.5秒
2値化しきい値:235
以上の説明に係る焼結金属軸受は、耐摩耗性や強度、摺動性に優れていることから、例えば、HDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等におけるスピンドルモータ用の軸受装置として、あるいはレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、ファンモータなどのモータ用軸受装置として好適に使用される。
図1は、上記用途の一例を示すもので、本発明に係る焼結金属軸受8を組み込んだ流体動圧軸受装置1の断面図、さらにはこの流体動圧軸受装置1を備えたHDDのディスク駆動用モータの要部断面図を示す。このモータは、ハブ3を取り付けた軸部材2を回転支持する流体動圧軸受装置1と、半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4はブラケット6に固定され、ロータマグネット5はハブ3に固定される。流体動圧軸受装置1のハウジング7は、ブラケット6の内周に固定される。また、同図に示すように、ハブ3には1又は複数枚のディスクD(図1では2枚)が保持される。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間に発生する励磁力でロータマグネット5が回転し、これに伴って、ハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
図2は、流体動圧軸受装置1の縦断面図を示している。この流体動圧軸受装置1は、軸部材2と、ハウジング7と、ハウジング7に固定され、内周に軸部材2を配設した焼結金属軸受8と、ハウジング7の一端を閉塞する蓋部材9と、ハウジングの他端開口側に配設されるシール部材10とを備える。
軸部材2は、軸部2aと、軸部2aの下端に一体又は別体に設けられたフランジ部2bとで構成される。軸部2aの外周には、後述する焼結金属軸受8の内周面8aに設けられた動圧溝8a1,8a2配列領域とラジアル方向に対向するラジアル軸受面2a1が形成される。この実施形態では、ラジアル軸受面2a1は軸方向に離隔して2ヶ所に設けられており、軸部2aを焼結金属軸受8の内周に挿通した状態では、ラジアル軸受面2a1,2a1と内周面8aとの間に後述するラジアル軸受部R1,R2のラジアル軸受隙間を形成する(図2を参照)。上記構造の軸部材2は、種々の金属材料で形成可能であり、例えば、強度や剛性、耐摩耗性等を考慮してステンレス鋼などの鉄鋼材料で形成される。
ハウジング7は、例えば真ちゅう等の金属材料や樹脂材料で略筒状に形成され、その軸方向両端を開口した形態をなす。ハウジング7の内周面7aには、焼結金属軸受8の外周面8dが、例えば接着(ルーズ接着や圧入接着を含む)、圧入、溶着(超音波溶着やレーザ溶着を含む)など適宜の手段で固定される。また、内周面7aの下端側には、内周面7aよりも大径であって、後述する蓋部材9を固定するための固定面7bが形成される。なお、樹脂材料でハウジング7を形成する場合、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の何れもが使用可能であり、例えば熱可塑性樹脂であれば、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)等に代表される結晶性樹脂や、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)等に代表される非晶性樹脂が使用可能である。これら樹脂材料は単独で、あるいは2種以上を混合した状態でも使用可能である。
また、上記樹脂材料には、必要に応じて、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカー状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボンブラック、黒鉛、金属粉末、有機粉末等の粉末状充填材などを1種又は複数種混合して充填(添加)することもできる。もちろん、ハウジング7の材質は樹脂に限るものではなく、例えば銅系合金などをはじめとする金属や他の材質を採用することができる。また、その形成方法も特に問わず、例えば切削加工の他、鍛造やプレス等の塑性加工、あるいはMIM等の金属射出成形を採用することができる。
焼結金属軸受8は、この実施形態では多孔質構造を有する円筒形状をなし、その内周面8aの全面又は一部には、ラジアル動圧発生部として複数の動圧溝を配列した領域が形成される。この実施形態では、例えば図3に示すように、互いに傾斜角の異なる複数の動圧溝8a1,8a2をヘリングボーン形状に配列した領域が、軸方向に離隔して2ヶ所に形成される。また、この実施形態では、軸受内部における潤滑油の循環を意図的に作り出す目的で、一方側(ここでは上側)の動圧溝8a1,8a2配列領域を軸方向非対称に形成している。図3に例示の形態で説明すると、軸方向に隣接する動圧溝8a1,8a2間の領域(いわゆる帯部8a3)の軸方向中心mより上側(シール部材10の側)の動圧溝8a1配列領域の軸方向寸法Xが、下側の動圧溝8a2配列領域の軸方向寸法Xよりも大きくなるように形成されている。なお、内周面8aの下側(後述するスラスト軸受隙間に近い側)に位置する動圧溝8a1,8a2配列領域は、軸方向中央の帯部8a3を境に軸方向対称に形成されている。
焼結金属軸受8の下端面8bの全面または一部の領域には、図4に示すように、スラスト動圧発生部として、複数の動圧溝8b1をスパイラル形状に配列した領域が形成される。この動圧溝8b1配列領域は、完成品の状態ではフランジ部2bの上端面2b1と対向し、軸部材2の回転時、上端面2b1との間に後述する第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
焼結金属軸受8の上端面8cの半径方向中央位置には、図3に示すように、断面楔状の環状溝8c1が形成される。また、上端面8cの環状溝8c1より内周側には、環状溝8c1と内周面8aとをつなぐ半径方向溝8c2が円周方向複数箇所に形成される。これら環状溝8c1や半径方向溝8c2は後述の軸方向溝8d1と相まって軸受内部空間における潤滑油の循環路を形成し、これにより円滑な潤滑油の供給状態が確保される。
焼結金属軸受8の外周面8dには、軸方向に伸びる複数本(例えば3本)の軸方向溝8d1が形成される。これら軸方向溝8d1は、相互に円周方向で等間隔だけ離れた位置に形成されている。
このように、内周面8aの動圧溝8a1,8a2配列領域は、既述のサイジング工程(c)にて実施される寸法サイジング、回転サイジングに続いて、さらに溝サイジング加工を施すことにより焼結体(焼結金属軸受8)の内周面8aに成形される。具体的には、円筒状の焼結体を径方向に圧迫して、その内周面に、動圧溝8a1,8a2に対応する複数の凸部を有する成形型(成形ロッド)の外周面を押し当てて内周面を当該型に倣って塑性変形させることにより、動圧溝8a1,8a2が転写成形される。この際、Cuの融点以下の温度で焼結していれば、焼結体の内周面にはCuの粒状組織が多数残っていることになり、溝サイジング加工の成形性が良好に確保される。そのため、上記動圧溝8a1,8a2あるいはこの動圧溝8a1,8a2配列領域を高精度に成形することができる。特に、図3に示す形状の動圧溝8a1,8a2配列領域は、サイジング前の焼結体の内周面のうち、円周方向に沿って配列される動圧溝8a1,8a1間の領域と、軸方向に配列される動圧溝8a1,8a2間の領域である帯部8a3(何れも図3中クロスハッチングで示す領域)を周囲に対して相対的に盛り上がらせることで動圧溝8a1,8a2を成形するものである。そのため、焼結体の内周面にCu組織が残っている構造は、動圧溝8a1,8a2の成形性あるいは成形精度に対して有効に作用する。なお、同様の方法で、下端面8bの動圧溝8b1配列領域も、上記溝サイジング加工時に、あるいは、寸法サイジング時に成形可能である。
ハウジング7の下端側を閉塞する蓋部材9は、例えば金属材料あるいは樹脂材料で形成され、ハウジング7の内周下端に設けられた固定面7bに固定される。この際、蓋部材9の固定には、接着、圧入、溶着、溶接など既知の固定手段を用いることができる。もちろん、蓋部材9の固定形態は図示の形態に限るものではなく、例えば外周縁から上端面9a側に円筒状に突出する部分を設け、この突出部の外周面とハウジング7の内周側の固定面7bとを固定してもよいし、当該突出部の内周面とハウジング7の下端側の外周面とを固定するようにしてもよい。
蓋部材9の上端面9aの全面又は一部の領域には、例えば図4と同様の配列態様(スパイラルの方向は逆)をなす動圧溝配列領域が形成される。この動圧溝配列領域、完成品の状態ではフランジ部2bの下端面2b2と対向し、軸部材2の回転時、下端面2b2との間に後述する第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
シール手段としてのシール部材10は、この実施形態ではハウジング7と別体に形成され、ハウジング7の上端内周に圧入、接着、溶着、溶接等任意の手段で固定される。ここでは、シール部材10の下端面を焼結金属軸受8の上端面8cに当接させた状態でハウジング7に固定される。なお、シール部材10の材質は特に問わず、多孔質材のように油漏れが生じるおそれのある材料でない限り、種々の金属材料もしくは樹脂材料等を使用することができる。あるいは、多孔質材であっても、外気と接触する表面をコーティング等により封孔しておくことで、シール部材10として使用することができる。もちろん、シール部材10および蓋部材9の何れか一方をハウジング7と同材料で一体に形成することも可能である。
シール部材10の内周にはテーパ形状をなすシール面10aが形成されており、このシール面10aと、軸部2aの上部外周面との間にシール空間Sが形成される。潤滑油を流体動圧軸受装置1の内部に充填した状態では、潤滑油の油面は常にシール空間Sの内部に維持される。
上述の構成部品を、所定の手順および図2に準じる形態に組立てた後、軸受内部空間(図2中、散点模様で示す領域)に潤滑油を充填することで、焼結金属軸受8の内部気孔に潤滑油が含浸されると共に、その他の空間(ラジアル軸受隙間など)に潤滑油が満たされる。これにより、完成品としての流体動圧軸受装置1を得る。流体動圧軸受装置1の内部に充満される潤滑油としては、種々の油が使用可能であるが、HDD等のディスク駆動装置用の流体動圧軸受装置1に提供される潤滑油には、その使用時あるいは輸送時における温度変化を考慮して、低蒸発率及び低粘度性に優れたエステル系潤滑油、例えばジオクチルセバケート(DOS)、ジオクチルアゼレート(DOZ)等が好適に使用可能である。
上記構成の流体動圧軸受装置1において、軸部材2の回転時、焼結金属軸受8の双方の動圧溝8a1,8a2配列領域は、軸部2aのラジアル軸受面2a1,2a1とラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴い、上下何れの動圧溝8a1,8a2配列領域においても潤滑油が動圧溝8a1,8a2の軸方向中心に向けて押し込まれ、その圧力が上昇する。このような動圧溝8a1,8a2の動圧作用によって、軸部材2を回転自在にラジアル方向に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とがそれぞれ軸方向に離隔して2ヶ所に構成される(何れも図2を参照)。
また、焼結金属軸受8の下端面8bに設けた動圧溝8b1配列領域とこれに対向するフランジ部2bの上端面2b1との間のスラスト軸受隙間、および、蓋部材9の上端面9aに設けた動圧溝配列領域とこれに対向するフランジ部2bの下端面2b2との間のスラスト軸受隙間に、動圧溝の動圧作用により潤滑油の油膜がそれぞれ形成される。そして、これら油膜の圧力によって、軸部材2をスラスト方向に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とがそれぞれ構成される(何れも図2を参照)。
この場合、焼結金属軸受8は、SUS組織と純Fe組織を多く含む組織構造を有するため、ラジアル軸受面となる内周面8aの硬度も比較的高い。そのため、例えばSUS製の軸部材2の回転開始直後、あるいは回転停止直前に、軸部2aの外周面2a1とこれに対向する焼結金属軸受8の内周面8aとの間で接触摺動が生じた場合でも、両面2a1、8a間の硬度差は小さくて済み、焼結金属軸受8と軸部2aとの間の摩耗を抑制することができる。特に、この実施形態のように、軸部材2の上部にハブ3および複数枚のディスクDを装着した状態では、軸部材2を含む回転体の重心が上側に移動し、かつモーメント荷重も大きくなるため、軸部材2と焼結金属軸受8とが軸受上部で接触摺動し易いが、上述のように両部材2a、8の硬度差(両摺動面2a1、8aの硬度差)を小さくすることで、かかる摺動摩耗を極力小さく抑えることができる。
また、焼結金属軸受8の内周面8aに設けた上側の動圧溝8a1,8a2配列領域は、その帯部8a3の軸方向中心に対して軸方向非対称に形成されており、軸方向中心より上側領域の軸方向寸法X1は下側領域の軸方向寸法X2よりも大きい。そのため、軸部材2の回転時、上側領域における潤滑油の引き込み力(ポンピング力)は下側領域におけるそれに比べて相対的に大きくなる。そして、この引き込み力の差によって、ラジアル軸受隙間からその下方に向けて流出した潤滑油は、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間からその外径側に位置する焼結金属軸受8の軸方向溝8d1、そして、上端面8cとシール部材10の下端面との軸方向隙間から環状溝8c1および半径方向溝8c2という経路を循環して、第1ラジアル軸受部R1のラジアル軸受隙間に再び引き込まれる。
このように、潤滑油がラジアル軸受隙間を含む軸受内部空間を流動循環するように構成することで、当該内部空間内の潤滑油の圧力が局部的に負圧になる現象を防止して、負圧発生に伴う気泡の生成、気泡の生成に起因する潤滑油の漏れや軸受性能の劣化、振動の発生等の問題を解消することができる。また、何らかの理由で潤滑油中に気泡が混入した場合、気泡が潤滑油に伴って上記循環経路内を循環する際にシール空間S内の潤滑油の油面(気液界面)から外気に排出されるので、気泡による悪影響が効果的に防止される。
以上、本発明に係る焼結金属軸受8の一用途例につき説明したが、この軸受を適用可能な流体動圧軸受装置1がこの例のみに限定されないことはもちろんである。
例えば、焼結金属軸受8を備えた流体動圧軸受装置として、上記用途例では、軸部2aの一端に設けたフランジ部2bの両端面2b1,2b2側にスラスト軸受部T1,T2を形成した形態を有する場合を説明したが、これらスラスト軸受部T1,T2の軸方向離間距離を異ならせることも可能である。図5はその一例を示すもので、同図に係る流体動圧軸受装置11は、主に、ハウジング17の両端に2つのシール空間S1,S2を配置した点、およびスラスト軸受部T1,T2を焼結金属軸受18の両端に形成した点で図2に示す流体動圧軸受装置1と異なる形態を有する。
この図示例では、本発明に係る焼結金属軸受18は、その下端面18bだけでなく上端面18cにも図4に示す形状の動圧溝配列領域(スパイラルの向きは図3と逆)を有する。そのため、第1スラスト軸受部T1は、第1シール部材19の下端面19aと焼結金属軸受18の上端面18cとの間に設けられ、第2スラスト軸受部T2は、第2シール部材20の上端面20aと焼結金属軸受18の下端面18bとの間に設けられる。また、第1シール空間S1は、軸部材12に固定された第1シール部材19の外周面19bとこの面に向かい合うハウジング17上端の内周面17aとの間に形成されると共に、第2シール空間S2は、第2シール部材20の外周面20bとこの面に向かい合うハウジング17下端の内周面17aとの間に形成される。なお、ラジアル軸受部R1,R2が、図3に例示のラジアル動圧発生部を設けた内周面18aと、内周面18aと対向する軸部材12の外周面12aとの間にそれぞれ形成される点は、図2に示す流体動圧軸受装置1の場合と同様である。
本形態に係る流体動圧軸受装置11は、図2に示す流体動圧軸受装置1と比べ、両スラスト軸受部T1,T2間の離間距離が大きくなっているため、軸受全体としてのモーメント荷重に対する負荷能力を向上させることができる。そのため、HDDをはじめとする情報機器の高容量化に伴い、ディスク枚数の増加など回転体重量が増加した場合であっても、軸部材2との接触による焼結金属軸受8の摺動摩耗を低減(抑制)することができる。
図6は、さらに他の形態に係る流体動圧軸受装置21の断面図を示す。同図に係る流体動圧軸受装置21では、焼結金属軸受8を軸方向に2個重ねて配設しており、これら焼結金属軸受8,8が、筒部27aと底部27bとからなる有底筒状のハウジング27の内周面27a1に固定される。軸方向に重ねて配設された2個の焼結金属軸受8のうち、上側の焼結金属軸受8には、シール部材10の側のみに図3で例示の非対称動圧溝8a1,8a2配列領域が設けられ、下側の焼結金属軸受8には、フランジ部2bの側のみに図3で例示の対称な動圧溝8a1,8a2配列領域が設けられる。そのため、双方の焼結金属軸受8,8間で最も軸方向に離隔した位置でラジアル軸受部R1,R2が形成される。
このように、図6に係る流体動圧軸受装置21は、図2や図5に示す流体動圧軸受装置1,11に比べてラジアル軸受部R1,R2間の離間距離を大きくすることで、軸受全体としてのモーメント荷重に対する負荷能力を向上させている。そのため、回転体重量の増加や、回転速度の増加に対しても、焼結金属軸受8,8の摺動摩耗を低減して、長期にわたって優れた軸受性能を発揮することができる。
また、以上の説明では、ラジアル軸受部R1,R2およびスラスト軸受部T1,T2として、へリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、本発明を適用可能な構成はこれに限定されるものではない。
例えば、ラジアル軸受部R1,R2として、図示は省略するが、軸方向の溝を円周方向の複数箇所に形成した、いわゆるステップ状の動圧発生部、あるいは、円周方向に複数の円弧面を配列し、対向する軸部材2,12の外周面2a1,12aとの間に、くさび状の半径方向隙間(軸受隙間)を形成した、いわゆる多円弧軸受を採用してもよい。
あるいは、ラジアル軸受面となる焼結金属軸受8,18の内周面8a,18aを、動圧発生部としての動圧溝や円弧面等を設けない真円状内周面とし、この内周面と対向する真円状の外周面とで、いわゆる真円軸受を構成することができる。
また、スラスト軸受部T1,T2の一方又は双方は、同じく図示は省略するが、スラスト軸受面となる領域に、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受、あるいは波型軸受(端面が調和波形などの波型になったもの)等で構成することもできる。
また、以上の実施形態では、動圧発生部を何れも固定側(ハウジング27や焼結金属軸受8、蓋部材9など)に設けた場合を説明したが、その一部あるいは全てを回転側(軸部材2,12やフランジ部2b、シール部材19,20など)に設けることも可能である。具体的には、軸部材2,12の外周面2a1,12aやフランジ部2bの両端面2b1,2b2、あるいはシール部材19,20の下端面19aや上端面20aのうち、1ヶ所以上に既述の動圧発生部を設けることが可能である。
また、以上の実施形態では、軸部材2,12が回転して、それを焼結金属軸受8,18で支持する構成を説明したが、これとは逆に、焼結金属軸受8,18の側が回転して、それを軸部材2,12の側で支持する構成に対しても本発明を適用することが可能である。この場合、図示は省略するが、焼結金属軸受8,18はその外側に配設される部材に接着固定され、当該外側部材と一体に回転し、固定側の軸部によって支持される。
また、以上の実施形態では、流体動圧軸受装置1,11,21の内部に充満し、ラジアル軸受隙間やスラスト軸受隙間に流体膜を形成するための流体として潤滑油を例示したが、これ以外にも流体膜を形成可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。もちろん、本発明に係る焼結金属軸受は、耐摩耗性に優れたものであることから、何らの潤滑流体を使用することなく通常の滑り軸受として使用することも可能である。
本発明の効果を実証するため、Cu粉末とSUS粉末、および純Fe系粉末とを所定の割合で含む原料粉末で形成された焼結金属軸受(実施例1)と、従来組成の原料粉末で形成された焼結金属軸受(比較例1および2)とについて、それぞれ圧環試験および摩耗量測定試験を行い、各特性につき比較評価を行った。
ここで、試験材料には、Cu粉末として福田金属箔粉工業(株)製のCE−15を、SUS粉末として大同特殊鋼(株)製のDAP410Lを、また、純Fe粉末としてヘガネス(株)製のNC100.24、リン化Fe粉末として、ヘガネス(株)製のPNC60をそれぞれ用いた。また、この実験では、低融点金属としてのSn粉末および黒鉛粉末を原料粉末に使用し、Sn粉末には福田金属箔粉工業(株)製のSn-At-W350を、黒鉛粉末には日本黒鉛工業(株)製のECB−250をそれぞれ用いた。圧粉成形体の密度が6.5〜7.0[g/cm]となるように成形条件(プレス力)を設定した。実施例の焼結温度は1050℃、比較例の焼結温度は870℃とした。実施例と比較例、各々の原料粉末の配合組成は下記の表1に示す通りである。完成品としての試験片(焼結金属軸受)の完成品寸法は、実施例、比較例共にφ(内径)4mm×φ(外径)7.5mm×t(軸方向幅)12.4mmとした。また、試験片の数は各実施例、比較例共に5とした。
Figure 0005318619
圧環強度の測定試験は、上記試験片を用いて実施例、比較例共にJIS Z 2507に準拠して行った。
摩耗量測定試験は、同じく上記試験片を用いて実施例、比較例共にサバン型摩耗試験機により行った。その際の試験条件は下記に示す通りである。
相手材材質:SUS420J2
周速:50m/min
面圧:1.3MPa
潤滑剤:エステル油(12mm/s)
試験時間:3hrs
下記の表2に圧環試験の測定結果および摩耗試験の測定結果をそれぞれ示す。何れの値も比較例1を基準として(比較例1の測定値を1として)相対値として示している。
Figure 0005318619
まず、耐摩耗性に関していえば、原料粉末にSUS粉末および純Fe粉末を含む焼結金属軸受(実施例1)の場合には、SUS粉末のみを含む焼結金属軸受(比較例2)とほぼ同等の摩耗量(摩耗深さ、摩耗痕面積)を示すことが確認された。また、圧環強度に関していえば、Cu粉末とFe粉末のみを主としSUS粉末を含まない焼結金属軸受(比較例1)と同等あるいはそれ以上の高い値を示すことが確認された。さらには、線膨張係数に関しても、実施例1に係る焼結金属軸受が最も小さい値を示すことが確認された。以上の結果より、本発明に係る焼結金属軸受であれば、耐摩耗性に優れると共に高い焼結強度を示し得ることが確認された。
本発明の一実施形態に係る焼結金属軸受を組み込んだ流体動圧軸受装置、およびこの流体動圧軸受装置を備えたスピンドルモータの断面図である。 流体動圧軸受装置の断面図である。 本発明に係る焼結金属軸受の断面図である。 焼結金属軸受の一平面図である。 他の形態に係る流体動圧軸受装置の断面図である。 他の形態に係る流体動圧軸受装置の断面図である。
1,11,21 流体動圧軸受装置
2,12 軸部材
2a 軸部
2b フランジ部
3 ハブ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
6 ブラケット
7,17,27 ハウジング
8,18 焼結金属軸受
8a,18a 内周面
8a1,8a2 動圧溝
8b,18b 下端面
8b1 動圧溝
8c,18c 上端面
8d 外周面
8d1 軸方向溝
9 蓋部材
10,19,20 シール部材
R1,R2 ラジアル軸受部
T1,T2 スラスト軸受部
S1,S2 シール空間

Claims (11)

  1. 複数の金属粉末を含む原料粉末を圧縮成形し、焼結して得られたものであって、内部に含油可能な多数の気孔を有する焼結金属軸受において、
    原料粉末は、Cu粉末とSUS粉末、および純Fe粉末とを含み、かつ
    原料粉末に占めるCu粉末とSUS粉末、および純Fe粉末の含有割合がそれぞれ、Cu粉末:15wt%以上60wt%以下、SUS粉末:10wt%以上35wt%以下、純Fe粉末:20wt%以上60wt%以下に調整されていることを特徴とする焼結金属軸受。
  2. 原料粉末は、さらにリン化Fe粉末を含む請求項に記載の焼結金属軸受。
  3. 原料粉末に占めるCu粉末とSUS粉末、純Fe粉末、およびリン化Fe粉末の含有割合がそれぞれ、Cu粉末:15wt%以上60wt%以下、SUS粉末:10wt%以上30wt%以下、純Fe粉末:20wt%以上60wt%以下、リン化Fe粉末:0.1wt%以上2.0wt%以下に調整されている請求項に記載の焼結金属軸受。
  4. 原料粉末は、さらに低融点金属粉末を含む請求項1〜の何れかに記載の焼結金属軸受。
  5. 低融点金属粉末はSn粉末である請求項に記載の焼結金属軸受。
  6. 原料粉末に占めるCu粉末とSUS粉末、純Fe粉末、および低融点金属粉末の含有割合がそれぞれ、Cu粉末:15wt%以上45wt%以下、SUS粉末:10wt%以上30wt%以下、純Fe粉末:20wt%以上60wt%以下、低融点金属粉末:0.5wt%以上10wt%以下に調整されている請求項又はに記載の焼結金属軸受。
  7. 原料粉末は、さらに黒鉛を含む請求項1〜の何れかに記載の焼結金属軸受。
  8. Cuの融点未満の温度で焼結して得られた請求項1〜の何れかに記載の焼結金属軸受。
  9. 焼結密度が、6.8g/cm3以上7.3g/cm3以下の範囲内に調整されている請求項1〜の何れかに記載の焼結金属軸受。
  10. 回転支持すべき軸との間に流体の動圧作用を生じさせるための動圧発生部が形成されている請求項1〜の何れかに記載の焼結金属軸受。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載の焼結金属軸受を備えた流体動圧軸受装置。
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