JP5317101B2 - 車両用フロア嵩上げ材 - Google Patents

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本発明は、自動車のフロアパンに配置されてフロア面の高さを設定する車両用フロア嵩上げ材に関するものである。
従来より、特許文献１に記載されるようにフロアパンに嵩上げ材を配置して、その上にカーペットを敷設することでフロア面を形成させ、フロア面の高さを所望の高さに設定するとともに防音性、遮音性を向上させるものが知られている。そして、嵩上げ材としては特許文献１に記載されるようにブロー成形により中空二重壁構造からなるもの、特許文献２および３に記載される発泡体により構成されるもの、さらに特許文献４に記載される射出成形等により形成されたプラスチック製のものなどがあり、床下に配置されるワイヤハーネスまたはフロアダクトを支持、形成させることが検討されている。
特許文献２にはワイヤハーネスを収容するための長溝およびエアコンディショナの前方より後方に延びてくる吹出ダクトを挿通させるためのダクト用溝を嵩上げ材の下方に形成させることが開示されている。特許文献３にはフロントシート下嵩上げ材とリヤ席嵩上げ材との間で送風路を形成し、ヒータダクトを接続することで温風をリヤ席側へ送風することができるように構成することが開示されている。特許文献４には嵩上げ材にヒータダクト部を形成することで別部材のヒータダクトを設定する必要がなく、安価であるという優れた効果を有するものが開示されている。
特開２００５−１５３７５７公報 特開２０００−１６８６２６公報 特開２００４−６６８９７公報 特開平８−４０３０９号公報
しかしながら、特許文献２および３に開示される嵩上げ材はダクト用溝または送風路を有するものであるが、それぞれ別体に形成したダクトが必要であり、モジュール化の観点からは嵩上げ材とダクトの組み付け作業が煩雑となり好ましくない。また、特許文献４に開示される嵩上げ材にはヒータダクト部を一体に形成するものであるが、ヒータダクト部は嵩上げ材の脚部下部にフロアトンネル部の上面に沿って湾曲したアンダーカバーの車幅方向外側縁部を当接させてフロアトンネル部の左右に車両前後方向へ延びるように形成されるため、アンダーカバー等の別部材を必要とし部品点数が多くなるとともにダクトを配置する場所に設計的な制限が生じてしまうという問題を有している。
そこで、本発明は、上述のような問題点の解消に対処するものであって、自動車のフロア構造において嵩上げ材とダクト部を一体として部品点数を減らし、車両部品のモジュール化に好適であり、しかも中空二重壁構造で軽量かつ充分な剛性を有する車両用フロア嵩上げ材を提供するものである。
上記目的を達成する本発明の車両用フロア嵩上げ材は、自動車のフロアパンに配置されてフロア面の高さを設定する車両用フロア嵩上げ材であって、嵩上げ材は上面壁および裏面壁からなる中空二重壁構造を有しており、裏面壁から中空部側へ突出させた第一の凹溝および第二の凹溝を互いに平行に形成し、上面壁に対して溶着部で一体化させて前記第一および第二の凹溝の間に嵩上げ材の中空部から隔離され、吸気口と排気口とが形成されたエア流路を有するダクト部を設けたことを特徴とするものである。
本発明は、前記構成において上面壁には第一の凹溝および第二の凹溝に対応する凹陥部が形成されており、その凹陥部の深さが１０ｍｍ以下であること、およびダクト部は嵩上げ材の側面から立ち上がってエアコンユニットからの空調エアを導入するための吸気口を有するものとするのが好適である。
本発明によれば、自動車のフロア構造において嵩上げ材とダクト部を一体として部品点数を減らし、車両部品のモジュール化に好適であり、しかも中空二重壁構造で軽量かつ充分な剛性を有する車両用フロア嵩上げ材を得ることができるものである。
図１は本発明の車両用フロア嵩上げ材を示す全体斜視図、図２は図１におけるＡ−Ａ断面図である。
本発明の車両用フロア嵩上げ材は、自動車のダッシュボードの下方の前方壁面とそれに連なるフロア面の凹部とにわたって配置して使用するものである。この車両用フロア嵩上げ材を構成する嵩上げ材１は、フロア面の凹部に対応する嵩上げ部２とダッシュボードの下方の前方壁面に対応するフットレスト部３とを有して一体に構成されている。
そして、前記嵩上げ材１は、その上面壁４および裏面壁５からなる中空二重壁構造を有しており、裏面壁５から中空部６側へ突出させた第一の凹溝７および第二の凹溝８を上面壁４に対して溶着部９で一体化させて、第一の凹溝７および第二の凹溝８の間に嵩上げ材１の中空部６から隔離されたエア流路１０を有するダクト部１１を設けたものである。また、上面壁４には第一の凹溝７および第二の凹溝８に対応する凹陥部１２がそれぞれ形成されていて、その凹陥部１２の深さは１０ｍｍ以下であり、かつ凹陥部１２は開口部の幅が１０ｍｍ以下ある。前記ダクト部１１は嵩上げ材１の側面から立ち上がっていて、エアコンユニットからの空調エアを導入するための吸気口１３を有しており、嵩上げ材１の後ろ側面に開口された排気口１４を有している。エアコンユニットの空調エアは前記排気口１４から後部座席へ送ることができる。上面壁４およびダクト部１１のエア流路１０を構成する部分には補強リブ１５が形成されている（図１参照）。１６はカーペットを示している（図２参照）。
嵩上げ材１は、ＡＢＳ樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂で構成される。
以上のように構成された嵩上げ材１は、その上面壁４側から凹陥部１２を形成し、裏面壁５から形成した第一の凹溝７と第二の凹溝８を溶着部９で一体化されているので、成形性および嵩上げ材の剛性が向上する。また、凹陥部の深さが１０ｍｍ以下であるから、嵩上げ材１の上面壁４側の平坦性を向上させて搭乗者が載ったときに違和感を感じることがない。
本発明の車両用嵩上げ材を示す全体斜視図である。 図１におけるＡ−Ａ断面図である。
符号の説明
１ 嵩上げ材
２ 嵩上げ部
３ フットレスト部
４ 上面壁
５ 裏面壁
６ 中空部
７ 第一の凹溝
８ 第二の凹溝
９ 溶着部
１０ エア流路
１１ ダクト部
１２ 凹陥部
１３ 吸気口
１４ 排気口
１５ 補強リブ
１６ カーペット

Claims (3)

  1. 自動車のフロアパンに配置されてフロア面の高さを設定する車両用フロア嵩上げ材であって、
    嵩上げ材は上面壁および裏面壁からなる中空二重壁構造を有しており、
    裏面壁から中空部側へ突出させた第一の凹溝および第二の凹溝を互いに平行に形成し、上面壁に対して溶着部で一体化させて前記第一および第二の凹溝の間に嵩上げ材の中空部から隔離され、吸気口と排気口とが形成されたエア流路を有するダクト部を設けたことを特徴とする車両用フロア嵩上げ材。
  2. 上面壁には第一の凹溝および第二の凹溝に対応する凹陥部が形成されており、
    前記凹陥部の深さが１０ｍｍ以下であることを特徴とする請求項１記載の車両用フロア嵩上げ材。
  3. ダクト部は嵩上げ材の側面から立ち上がってエアコンユニットからの空調エアを導入するための吸気口を有することを特徴とする請求項１または２記載の車両用フロア嵩上げ材。
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