JP5316399B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、燃料の噴射量や噴射時期、点火時期、並びに吸入空気量等を制御する内燃機関の制御装置に関し、特に機関始動時にこれらを制御する始動制御を実行する内燃機関の制御装置に関する。
特許文献1には、機関停止時にクランク角を記憶しておき、始動条件の成立に基づく自動始動を行うときに、記憶されているクランク角を参照して燃焼が生じ得る状態で停止している気筒を判別し、その気筒に燃料を供給して自動始動の実行開始時から燃料の燃焼による駆動力を発生させる始動制御を実行する内燃機関の制御装置が記載されている。
このように自動始動の実行開始時から燃料の燃焼による駆動力を発生させれば、機関回転速度を速やかに上昇させることができるため、機関始動を早期に完了させることができるようになる。
尚、特許文献1に記載の内燃機関の制御装置にあっては、始動スイッチの操作に基づく手動始動の際には、スタータモータの駆動力によってクランクシャフトを回転させ、気筒判別が完了してクランク角が検出されるようになってから各気筒に個別に燃料を供給する通常の始動制御を実行するようにしている。
また、引用文献2には、始動スイッチが操作されたことに基づく手動始動を行うときには、機関回転速度を早期に安定させることができるように吸入空気量を増大させる一方、始動条件の成立に基づく自動始動を行うときには、手動始動のときよりも吸入空気量を減少させる制御装置が記載されている。
このように自動始動のときに吸入空気量を減少させるのは、自動始動は内燃機関が停止されてからそれほど長い期間が経過していない状態で実行されることが多く、自動始動を行うときには機関温度が十分に高くなっており、少ない吸入空気量でも十分に始動が完了することが予測されるためである。
このように機関温度が十分に高くなっている状況下での始動であることが推定される自動始動のときに、手動始動のときと比較して吸入空気量を減少させるようにすれば、機関始動に伴う無駄な機関回転速度の吹き上がりを抑制することができるようになる。
特開2004‐332598号公報 特開平10‐47104号公報
ところが、上記特許文献1,2のように、始動条件が成立したことに基づく自動始動であるか、それとも始動スイッチが操作されたことに基づく手動始動であるかに基づいて始動制御の制御態様を選択するようにした場合には、効率的な始動制御を実現することができないこともある。
例えば、特許文献1に記載の制御装置にあっては、機関停止時のクランク角が記憶されている場合であっても、手動スイッチが操作された場合にはスタータモータの駆動力によってクランキングが行われ、気筒判別が完了してから燃料噴射が実行されるようになる。すなわち、クランク角が記憶されており、それを参照して直ちに燃焼が生じ得る気筒に燃料を供給することができる状態であるにも拘わらず、クランキングが行われ、気筒判別が完了してから各気筒に対する個別の燃料噴射が実行されるようになるため、機関始動を早期に完了させる機会を逃してしまうことがある。
また、特許文献2に記載の制御装置にあっては、信号待ち等における一時的な機関停止状態の場合であっても、始動スイッチが操作された場合には吸入空気量を増大させる始動制御が実行されるようになる。すなわち、暖機が完了しているも拘わらず、吸入空気量を増大させる始動制御が実行され、機関回転速度が無駄に吹き上がってしまうおそれがある。
このように自動始動であるか、それとも手動始動であるかに基づいて始動制御の制御態様を選択するようにした場合には、必ずしも効率的な機関始動を実現することができない場合があり、この点において上記特許文献1,2に記載の内燃機関の制御装置は改良の余地を残すものであった。
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものでありその目的は、内燃機関を始動させる際にそのときの内燃機関の状態に即した始動制御を実行し、効率的な機関始動を実現することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関のクランクシャフトの回転に伴って出力される信号に基づいて前記クランクシャフトの回転角であるクランク角を検出するクランク角検出手段と、機関停止時のクランク角を記憶する記憶手段とを備え、始動指令がなされたときに前記記憶手段に記憶されているクランク角を参照し、それに基づいて始動制御を実行する内燃機関の制御装置であって、始動指令がなされたときにクランク角が判明している場合には、前記記憶手段に記憶されているクランク角に基づいて始動制御開始時から各気筒に対して燃料をそれぞれ供給する早期始動制御を実行する一方、始動指令がなされたときにクランク角が判明していない場合には、スタータモータの駆動力によって前記クランクシャフトを回転させ、同クランクシャフトの回転に伴って新たにクランク角が検出されてから各気筒に対して燃料をそれぞれ供給する通常始動制御を実行し、始動指令がなされたときにクランク角が判明していない場合には、始動制御に伴う機関回転速度の変化に基づいて吸入空気量を制御する吹き上がり抑制制御を実行する一方、始動指令がなされたときにクランク角が判明している場合には、前記記憶手段に記憶されているクランク角に基づいて予め吸入空気量の制御態様を設定しておく吹き上がり抑制制御を実行することをその要旨とする。
実行されようとしている始動制御が、始動条件が成立したことに基づく自動始動であるか、それとも始動スイッチが操作されたことに基づく手動始動であるかといった情報は、機関始動時の内燃機関の状態を示すものではなく、こうした情報に基づいて始動制御の制御態様を選択するようにした場合には上述したように効率的な始動制御を実現することができない場合がある。これに対して、クランク角は内燃機関の状態を示す情報の一つであり、始動指令がなされたときにクランク角が判明しているか否かといった情報は、機関始動時に内燃機関の状態が把握できているか否かを示す情報である。
上記構成によれば、始動指令がなされたときにクランク角が判明しているか否かが判定され、その結果に基づいて始動制御の制御態様が選択されるようになる。そのため、始動条件が成立したことに基づく自動始動であるか、それとも始動スイッチが操作されたことに基づく手動始動であるかに応じて始動制御の制御態様を選択するようにした場合と比較して、内燃機関を始動させる際にそのときの内燃機関の状態に即した始動制御を実行し、効率的な機関始動を実現することができるようになる。
尚、具体的には、請求項に記載されているように、始動指令がなされたときにクランク角が判明している場合には、前記記憶手段に記憶されているクランク角に基づいて始動制御開始時から各気筒に対して燃料をそれぞれ供給する早期始動制御を実行する一方、始動指令がなされたときにクランク角が判明していない場合には、スタータモータの駆動力によって前記クランクシャフトを回転させ、同クランクシャフトの回転に伴って新たにクランク角が検出されてから各気筒に対して燃料をそれぞれ供給する通常始動制御を実行するといった構成を採用することができる。
こうした構成によれば、クランク角が判明しているときには、手動始動の場合でもクランク角を参照して早期始動制御を実行することができ、速やかに内燃機関を始動させることができる。また、クランク角が判明していないときには、スタータモータの駆動力によってクランクシャフトを回転させてクランク角が検出されるようになってから各気筒に対して燃料をそれぞれ供給するようにしているため、誤ったタイミングで燃料が噴射されることを抑制し、排気性状の悪化や無駄な燃料消費を抑制することができる。
クランク角が判明していれば、始動制御に伴ってどのタイミングで燃焼による駆動力が発生し、機関回転速度がどのように変化するのかを予測することができる。そのため、上記請求項に記載の発明のように、始動指令がなされたときにクランク角が判明している場合には、記憶手段に記憶されているクランク角に基づいて予め吸入空気量の制御態様を設定しておくことができる。こうした構成を採用すれば、機関回転速度の変化に基づいて吸入空気量を制御する場合と比較して、吸入空気量の変化の応答遅れ等による制御の遅れを抑制して好適に機関回転速度の吹き上がりを抑制することができるようになる。
機関停止中にクランクシャフトが回転した場合には、記憶手段に記憶されているクランク角と、実際のクランク角とがずれてしまう。記憶手段に記憶されているクランク角と実際のクランク角とがずれている状態で記憶手段に記憶されているクランク角に基づいて早期始動制御が実行された場合には、内燃機関の状態に即した適切な始動制御を実行することができず、排気性状が悪化したり、燃料消費量が増大したりしてしまう。また、内燃機関の始動を完了させること自体ができない場合もある。
これに対して、請求項に記載の発明では、始動指令がなされたときに前記記憶手段に記憶されているクランク角と始動指令がなされたときの実際のクランク角とがずれることが推定されるときに、前記記憶手段に記憶されているクランク角を消去するようにしている。
こうした構成を採用すれば、クランク角がずれることが推定される場合には、記憶手段に記憶されているクランク角が予め消去されるため、始動指令がなされたときにクランク角が判明していない旨の判定がなされるようになる。そのため、記憶手段に記憶されているクランク角が実際のクランク角からずれているにも拘わらず、この誤ったクランク角に基づいて早期始動制御が実行されてしまうことを抑制することができるようになる。
また、請求項に記載されているように、クランク角が判明しているか否かを示すフラグを参照することによりクランク角が判明しているか否かを判定する内燃機関の制御装置にあっては、クランク角がずれることが推定されるときに、前記フラグをクランク角が判明していないことを示す状態にする構成を採用すればよい。こうした構成を採用すれば、上記請求項に記載の発明と同様に、誤ったクランク角に基づいて早期始動制御が実行されてしまうことを抑制することができる。
請求項に記載の発明は、請求項又は請求項に記載の内燃機関の制御装置において、機関停止時のクランク角に基づいて、始動指令がなされたときに前記記憶手段に記憶されているクランク角と始動指令がなされたときの実際のクランク角とがずれることを推定することをその要旨とする。
燃料の噴射や点火が停止され、機関運転が停止されているときには、吸気バルブ及び排気バルブの双方が閉弁した状態で停止している気筒が存在する。そのため、機関停止時にあっては、クランクシャフトは、こうした密閉された気筒内に存在する気体の圧力が均衡するような位置で停止しやすい。
これに対して、クランクシャフトがこうした圧力が均衡するクランク角からずれた位置で停止している場合には、機関停止中に、圧力が均衡する位置に向かってクランクシャフトが回転し、クランク角が変化する可能性が高い。そのため、圧力が均衡する位置からずれた位置でクランクシャフトが停止している場合には、始動指令がなされたときに、記憶手段に記憶されているクランク角と実際のクランク角とがずれることが推定される。
この点、上記請求項に記載されているように、機関停止時のクランク角に基づいて、クランク角がずれることを推定する構成を採用すれば、始動指令がなされたときに記憶手段に記憶されているクランク角と始動指令がなされたときの実際のクランク角とがずれることを、機関停止時に予め推定することができるようになる。
請求項に記載の発明は、請求項又は請求項に記載の内燃機関の制御装置において、機関停止中に機関温度が大幅に変化したことに基づいて、始動指令がなされたときに前記記憶手段に記憶されているクランク角と始動指令がなされたときの実際のクランク角とがずれることを推定することをその要旨とする。
また、機関停止中に機関温度が大幅に変化したときには、気筒内に密閉されている気体の圧力が変化したり、機関各部を潤滑している潤滑油の粘性が変化したりすることにより、機関停止中にクランクシャフトが回転しやすくなる。そのため、機関停止中に機関温度が大幅に変化した場合には、記憶手段に記憶されているクランク角と実際のクランク角とがずれることが推定される。
そのため、上記請求項に記載されているように、機関停止中の機関温度の変化に基づいて、クランク角がずれることを推定する構成を採用すれば、始動指令がなされてクランクシャフトが駆動される前に、記憶手段に記憶されているクランク角と始動指令がなされたときの実際のクランク角とがずれることを予測することができる。
尚、機関温度は、温度センサによって直接検出することもできるが、機関冷却水温等に基づいて推定することもできる
この発明の一実施形態にかかる内燃機関の制御装置とその制御対象である内燃機関の概略構成を示す模式図。 同実施形態にかかる始動制御選択処理の流れを示すフローチャート。 同実施形態にかかるクランク角リセット処理の流れを示すフローチャート。
以下、この発明にかかる内燃機関の制御装置を、内燃機関を統括的に制御する電子制御装置として具体化した一実施形態について、図1〜3を参照して説明する。
図1は本実施形態にかかる電子制御装置60と、その制御対象である内燃機関1の概略構成を示す模式図である。尚、本実施形態にかかる内燃機関1は第1気筒から第4気筒まで4つの気筒11を備えた直列4気筒型の内燃機関であり、図1にあっては4つの気筒11のうちの1つのみを図示している。
図1に示されるように、内燃機関1のシリンダブロック10に形成された気筒11には、ピストン12がそれぞれ往復動可能に収容されている。また、シリンダブロック10には、冷却水の循環するウォータジャケット17が各気筒11を取り囲むように形成されている。
ピストン12は、図1の下方に示されるようにコネクティングロッド16を介してクランクシャフト15に連結されている。また、内燃機関1には機関始動時にクランクシャフト15を駆動するスタータモータ18が設けられている。
シリンダブロック10の上端部には、シリンダヘッド20が組み付けられている。これにより、気筒11の内周面とピストン12の上面、更にシリンダヘッド20の下面によって燃焼室13が区画形成されている。シリンダヘッド20には、各燃焼室13内にその先端部が露出するように点火プラグ14が設けられているとともに、各燃焼室13に連通する吸気ポート21及び排気ポート22がそれぞれ形成されている。
各吸気ポート21は、図示しない吸気マニホルドと接続されて吸気通路30の一部を構成している。また、各排気ポート22は、図示しない排気マニホルドと接続されて排気通路40の一部を構成している。
図1に示されるように吸気通路30には、モータ33aによって駆動され、燃焼室13に導入される空気の量、すなわち吸入空気量GAを調量するスロットルバルブ33が設けられている。また、吸気通路30における吸気ポート21の内部には、燃焼室13に向けて燃焼を噴射する燃料噴射弁34がそれぞれの気筒11に対して1つずつ設けられている。
シリンダヘッド20には、吸気ポート21を開閉し、吸気通路30と燃焼室13とを連通・遮断する吸気バルブ31と、排気ポート22を開閉し、排気通路40と燃焼室13とを連通・遮断する排気バルブ41とが組み付けられている。尚、各バルブ31,41は図示しないバルブスプリングの付勢力によって常に閉弁方向に付勢されている。
これに対して、シリンダヘッド20には、吸気バルブ31を開弁方向に付勢する吸気カム32aが設けられた吸気カムシャフト32が回動可能に支持されているとともに、排気バルブ41を開弁方向に付勢する排気カム42aが設けられた排気カムシャフト42が回動可能に支持されている。
これら吸気カムシャフト32及び排気カムシャフト42は、クランクシャフト15が1回転するのに伴ってそれぞれ2回転するように図示しないタイミングチェーンを介してクランクシャフト15に連結されている。これにより、機関運転時にクランクシャフト15が回転すると、それに伴って吸気カムシャフト32及び排気カムシャフト42が回転し、吸気カム32aの作用によって吸気バルブ31が開弁し、排気カム42aの作用によって排気バルブ41が開弁するようになる。
また、内燃機関1や、この内燃機関1が搭載される車両には、各部の状態を検出する様々なセンサが取り付けられている。例えば、車速センサ50は内燃機関1の駆動力によって回転する車輪の回転速度に基づいて車速SPDを検出する。図示しないアクセルペダルに設けられたアクセルセンサ51は、運転者によるアクセルペダルの操作量であるアクセル操作量ACCPを検出する。スロットルポジションセンサ52は、スロットルバルブ33の開度であるスロットル開度TAを検出する。エアフロメータ53は吸気通路30を通じて燃焼室13に導入される空気の量である吸入空気量GAを検出する。図1の下方に示されるようにクランクシャフト15の近傍に設けられたクランクポジションセンサ54は、クランクシャフト15が回転するのに伴って所定の回転角毎にパルス信号を出力する。吸気カムシャフト32の近傍に設けられたカムポジションセンサ55は、吸気カムシャフト32が所定の回転角になる度にパルス信号を出力する。シリンダブロック10に設けられた水温センサ56は、ウォータジャケット17内を循環する冷却水の温度である機関冷却水温THWを検出する。
内燃機関1を統括的に制御する電子制御装置60には、これら各種センサ50〜56が接続されており、電子制御装置60は、これら各種センサ50〜56からの検出信号を読み込み、機関制御にかかる各種演算処理を実行する。尚、電子制御装置60には、電子制御装置60への給電が継続されている間、演算処理の結果を記憶保持することのできる揮発性のメモリ61が設けられている。そして、電子制御装置60は、実行した演算処理の結果に基づいて内燃機関1の各部を制御する。
具体的には、電子制御装置60は、クランクポジションセンサ54及びカムポジションセンサ55から出力されるパルス信号に基づいて各気筒11が吸気行程、圧縮行程、燃焼行程、排気行程のいずれに該当するかを判別する気筒判別を実行する。また、クランクポジションセンサ54及びカムポジションセンサ55から出力されるパルス信号に基づいてクランクシャフト15の回転角であるクランク角CAを検出する。
そして、検出されたクランク角CAに基づいて各気筒11に対して設けられた燃料噴射弁34や点火プラグ14をそれぞれ制御する。
また、クランクポジションセンサ54から出力されるパルス信号に基づいてクランクシャフト15の回転速度である機関回転速度NEを算出し、この機関回転速度NE及びアクセル操作量ACCPに基づいてモータ33aを制御することによりスロットルバルブ33を駆動して吸入空気量GAを調量する。また、吸入空気量GAに併せて燃料噴射弁34の開弁期間を制御して燃料噴射量を調量する。
更に、電子制御装置60には、運転者による各種操作を検出する様々なスイッチが接続されている。例えば、メインスイッチ71は、キー80が差し込まれた状態で操作され、機関始動要求及び機関停止要求を検出する。具体的には、メインスイッチ71が、図1における「ON」位置に操作されることにより、電子制御装置60への給電が行われるようになり、更に図1における「START」位置に操作されることにより、機関始動要求が検出されて内燃機関1を始動する始動制御が実行されるようになる。尚、メインスイッチ71は「START」位置から「ON」位置に向かって常に付勢されており、運転者による操作が解除されると、自動的に「ON」位置に戻るようになっている。また、機関運転中にメインスイッチ71が「OFF」位置に操作された場合には、機関停止要求が検出されて機関運転を停止させる機関停止処理が実行される。そして、機関停止処理が実行されて機関運転が停止されたあと、電子制御装置60への給電が遮断されるようになっている。
図1の右側に示されるようにクラッチペダル72の近傍には、クラッチペダル72の踏み込み操作を検出するクラッチアッパスイッチ73及びクラッチロアスイッチ74が設けられている。クラッチアッパスイッチ73は、クラッチペダル72が踏み込まれていないときに図1に実線で示されるようにクラッチペダル72の一部が当接することにより押圧操作されて「ON」状態になり、図1に破線で示されるようにクラッチペダル72が踏み込まれることにより押圧操作が解除されて「OFF」状態になるように配設されている。
一方、クラッチロアスイッチ74は、図1に破線で示されるようにクラッチペダル72が完全に踏み込まれているときに押圧操作されて「ON」状態になり、図1に実線で示されるようにクラッチペダル72の踏み込みが解除されると押圧操作が解除されて「OFF」状態になるように配設されている。これにより、クラッチアッパスイッチ73及びクラッチロアスイッチ74の「ON」・「OFF」状態に基づいてクラッチペダル72の操作状態を把握することができるようになっている。
また、図1の右側下方に示されるように手動変速機のシフト装置75にはシフトレバー76が中立位置に操作されていることを検出するニュートラルスイッチ77が設けられている。
電子制御装置60は、これら各種のスイッチによって運転者によってなされた操作を検出し、交差点での信号待ち等で停車した際に機関運転を自動的に停止させる一方、運転者の操作に基づき発進が予測されるときに内燃機関1を自動的に始動させて機関運転を再開する自動停止始動制御を実行する。
具体的には、機関運転中に所定の停止条件が成立したとき、例えば車速SPDが「0」になっている車両停止状態においてニュートラルスイッチ77によってシフトレバー76が中立位置に操作されていることが検出されており、且つクラッチアッパスイッチ73が「ON」状態であることが検出されているときに、自動的に内燃機関1を停止させる。
一方で、所定の始動条件が成立したとき、例えば自動停止による機関停止状態においてクラッチアッパスイッチ73が「OFF」状態になる等して上記停止条件が非成立となったときに、内燃機関1を自動的に始動させる。
こうして自動停止始動制御を実行することにより、車両停止時のアイドリング運転を抑制し、燃料消費量の低減、排出ガスの低減、並びにアイドリング運転に伴う騒音の低減等を図るようにしている。
ところで、一般に機関始動時にはスタータモータ18の駆動力よってクランクシャフト15を駆動するクランキングを行って、このクランキングに伴ってクランクポジションセンサ54及びカムポジションセンサ55から出力されるパルス信号に基づいて気筒判別を行う。そして、気筒判別が完了したあと、検出されるクランク角CAに基づいて各気筒11に対して設けられた燃料噴射弁34を制御して、それぞれの気筒11に別々のタイミングで個別に燃料を供給する独立噴射を実行する。
以下の説明では、このようにまずクランキングを行って気筒判別が完了してから各気筒11に対して別々のタイミングで個別に燃料を噴射する始動制御を通常始動制御と称する。
尚、通常始動制御にあっては、燃料が十分に霧化しにくい機関冷間時には、始動性の向上を図るために、始動指令がなされたときに全ての燃料噴射弁34から同時に燃料を噴射する非同期同時噴射や、所定のクランク角毎に全ての燃料噴射弁34から同時に燃料を噴射する同期同時噴射を併せて実行するようにしてもよい。
ところで、自動停止始動制御を実行する場合には、信号待ち等による自動停止による機関停止状態からの発進の際に、速やかに内燃機関1の始動が完了することが望ましい。そこで、本実施形態にあっては、内燃機関1を早期に始動させるために、自動停止によって機関停止したときのクランク角CAをメモリ61に記憶させ、再始動時にはメモリ61に記憶されたクランク角CAに基づいて早期始動制御を実行するようにしている。
具体的には、電子制御装置60は、クランク角CAがメモリ61に記憶されており、クランク角CAが判明している状態で始動指令がなされると、まずメモリ61に記憶されているクランク角CAに基づいて燃焼が生じ得る状態で停止している気筒11を判別し、この気筒11に対して設けられた燃料噴射弁34から燃料を噴射する。そして、噴射した燃料を燃焼させてその駆動力によってクランクシャフト15を駆動するとともに、スタータモータ18の駆動力によってクランクシャフト15を回転させ、各気筒11に対して設けられた燃料噴射弁34から順次燃料を噴射する。このように、始動制御の開始時から燃料の燃焼による駆動力を発生させることにより、機関回転速度NEが速やかに上昇するようになり、内燃機関1の再始動を早期に完了させることができるようになる。
本実施形態にあっては、始動指令がなされたときに、こうした早期始動制御による再始動用始動制御と上述した通常始動制御のうち、いずれか一方を選択して始動制御を実行するようにしている。
そして、本実施形態にあってはこうした始動制御の選択を、従来行われていたように始動条件の成立に基づく自動始動なのか、メインスイッチ71の操作に基づく手動始動なのかによらず、メモリ61にクランク角CAが記憶されているか否かに基づいて行うようにしている。
以下、図2を参照して始動指令がなされたときに実行する始動制御選択処理について説明する。尚、図2は、本実施形態にかかる始動制御選択処理の流れを示すフローチャートである。
この始動制御選択処理は、自動始動であるか手動始動であるかに拘わらず、始動指令がなされる度に、電子制御装置60によって実行される。すなわち、この始動制御選択処理は、始動条件が成立したことに基づく自動始動のときにも、メインスイッチ71が操作されたことに基づく手動始動のときにも実行される。
この処理が実行されると、電子制御装置60はまずステップS100において、クランク角CAが判明しているか否かを判定する。ここでは、メモリ61にクランク角CAが記憶されているか否かを確認し、メモリ61にクランク角CAが記憶されている場合にはクランク角CAが判明している旨を判定する。一方で、メモリ61にクランク角CAが記憶されていない場合にはクランク角CAが判明していない旨を判定する。
ステップS100において、クランク角CAが判明していない旨の判定がなされた場合(ステップS100:NO)には、ステップS200へと進み、通常始動制御を実行する。すなわち、上述したように、まずスタータモータ18の駆動力によってクランクシャフト15を回転させ、その回転に伴って気筒判別が完了したあと、クランク角CAに基づいて各気筒11に対して別々のタイミングで個別に燃料を噴射する通常始動制御を実行する。
尚、本実施形態にあっては、通常始動制御の実行に伴って機関回転速度NEが必要以上に吹き上がってしまうことを抑制するため、機関回転速度NEが所定の水準に収まるように機関回転速度NEの変化に基づいて吸入空気量GAをフィードバック制御する吹き上がり抑制制御を実行するようにしている。
この通常始動制御に伴って実行される吹き上がり抑制制御にあっては、具体的には機関回転速度NEが急上昇しており、所定の水準を超えて吹き上がるようなときに、スロットル開度TAを小さくして吸入空気量GAを減少させる。
こうして通常始動制御を実行することにより、内燃機関1の始動が完了すると電子制御装置60はこの処理を一旦終了する。
尚、メモリ61は給電が停止されることにより記憶されている情報が消失する揮発性のメモリであるため、メインスイッチ71が「OFF」位置から「ON」位置に操作され、更に「START」位置まで操作されたときに実行される初回の機関始動時には、メモリ61には何も記憶されていない。そのため、電子制御装置60を起動してから初めて実行される機関始動の際には、基本的に通常始動制御が実行されることとなる。
一方、ステップS100において、クランク角CAが判明している旨の判定がなされた場合(ステップS100:YES)には、ステップS300へと進み、早期始動制御による再始動用始動制御を実行する。
すなわち、メモリ61に記憶されているクランク角CAに基づいて燃焼が生じ得る状態で停止している気筒11を判別し、この気筒11に対して設けられた燃料噴射弁34から燃料を噴射する。そして、噴射した燃料を燃焼させてその駆動力によってクランクシャフト15を駆動するとともに、スタータモータ18の駆動力によってクランクシャフト15を回転させ、各気筒11に対して設けられた燃料噴射弁34から順次燃料を噴射する。こうして始動制御の開始時から燃料の燃焼による駆動力を発生させる早期始動制御による再始動用始動制御を実行することにより、通常始動制御の場合と比較して、内燃機関1の始動を早期に完了させることができる。
また、クランク角CAが判明していれば、再始動用始動制御の実行に伴ってどのタイミングで燃焼による駆動力が発生し、機関回転速度NEがどのように変化するのかを予測することができる。
そこで、本実施形態にあっては、メモリ61に記憶されているクランク角CAに基づいて始動制御に伴う機関回転速度NEの変化態様を予測し、機関回転速度NEが所定の水準に収まるように吸入空気量GAの制御態様、すなわちスロットル開度TAの制御態様を予め設定する吹き上がり抑制制御を実行するようにしている。このように予めスロットル開度TAの制御態様を設定しておくことにより、機関回転速度NEの変化に基づいて吸入空気量GAを制御する通常始動制御における吹き上がり抑制制御と比較して、スロットル開度TAの変更に対する吸入空気量GAの変化の応答遅れ等による制御の遅れを抑制して好適に機関回転速度NEの吹き上がりを抑制することができる。
こうして再始動用始動制御を実行することにより、内燃機関1の始動が完了すると電子制御装置60はこの処理を一旦終了する。
このように本実施形態にあっては、従来行われていたように、自動始動による始動制御か、手動始動による始動制御かに基づいて始動制御の制御態様を選択するのではなく、始動指令がなされたときにクランク角CAがメモリ61に記憶されているか否かに基づいて始動制御の制御態様を選択するようにしている。
ところで、機関停止中にクランクシャフト15が回転し、メモリ61に記憶されているクランク角CAと実際のクランク角CAとがずれてしまった場合には、再始動時に誤ったクランク角CAに基づいて再始動用始動制御が実行されることとなる。
本実施形態では、このように誤ったクランク角CAに基づいて再始動用始動制御が実行されることを抑制すべく、メモリ61に記憶されているクランク角CAと実際のクランク角CAとがずれることが推定されるときにメモリ61に記憶されているクランク角CAを消去するようにしている。
以下、図3を参照して、メモリ61に記憶されているクランク角CAと実際のクランク角CAとがずれることが推定されるときに、クランク角CAを消去するクランク角リセット処理について説明する。
尚、図3は本実施形態にかかるクランク角リセット処理の流れを示すフローチャートである。このクランク角リセット処理は、電子制御装置60に給電されているときに、電子制御装置60によって所定の周期で繰り返し実行される。
この処理が開始されると電子制御装置60は、ステップS400において、クランク角CAにずれが生じることが推定されるか否かを判定する。
燃料の噴射や点火が停止され、機関運転が停止されているときには、吸気バルブ31及び排気バルブ41の双方が閉弁した状態で停止している気筒11が存在する。そのため、機関停止時にあっては、クランクシャフト15は、こうした密閉された気筒11内に存在する気体の圧力が均衡するような位置で停止しやすい。
これに対して、クランクシャフト15がこうした圧力が均衡するクランク角からずれた位置で停止している場合には、機関停止中に、圧力が均衡する位置に向かってクランクシャフト15が回転する可能性が高い。そのため、圧力が均衡する位置からずれた位置でクランクシャフト15が停止している場合には、始動指令がなされたときに、メモリ61に記憶されているクランク角CAと実際のクランク角CAとがずれることが推定される。
そこで、本実施形態にあっては、機関停止時のクランク角CAを参照し、クランクシャフト15が気筒11内の圧力が均衡する位置から大きくずれた位置で停止したか否かを判定するようにしている。そして、クランクシャフト15が気筒11内の圧力が均衡する位置から大きくずれた位置で停止したことが判定された場合には、これに基づいてクランク角CAがずれやすい状態であることを判定し、ステップS400において、クランク角CAにずれが生じることが推定される旨を判定するようにしている。
ステップS400において、クランク角CAにずれが生じることが推定される旨の判定がなされた場合(ステップS400:YES)には、ステップS410へと進み、メモリ61に記憶されているクランク角CAを消去する。
こうしてステップS410を通じてメモリ61に記憶されているクランク角CAを消去すると、電子制御装置60はこの処理を一旦終了する。
一方、ステップS400において、クランク角CAにずれが生じることが推定される旨の判定がなされなかった場合(ステップS400:NO)には、ステップS410をスキップし、電子制御装置60は、そのままこの処理を一旦終了する。
このように、本実施形態にあっては、メモリ61に記憶されているクランク角CAと実際のクランク角CAとがずれることが推定されるときには、メモリ61に記憶されているクランク角CAを消去するようにしている。
そのため、クランク角CAがずれることが推定されたときには、再始動時に始動制御選択処理のステップS100においてクランク角CAが判明していない旨の判定がなされるようになり、通常始動制御によって内燃機関1が始動されるようになる。
以上説明した実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)実行されようとしている始動制御が、始動条件が成立したことに基づく自動始動であるか、それともメインスイッチ71が操作されたことに基づく手動始動であるかといった情報は、機関始動時の内燃機関1の状態を示すものではない。そのため、こうした情報に基づいて始動制御の制御態様を選択するようにした場合には効率的な始動制御を実現することができない場合がある。これに対して、クランク角CAは内燃機関1の状態を示す情報の一つであり、始動指令がなされたときにクランク角CAが判明しているか否かといった情報は、機関始動時に内燃機関1の状態が把握できているか否かを示す情報である。
上記実施形態にあっては、始動指令がなされたときにクランク角CAが判明しているか否かが判定され、その結果に基づいて始動制御の制御態様が選択される。そのため、始動条件が成立したことに基づく自動始動であるか、それともメインスイッチ71が操作されたことに基づく手動始動であるかに応じて始動制御の制御態様を選択するようにした場合と比較して、内燃機関1を始動させる際にそのときの内燃機関1の状態に即した始動制御を実行し、効率的な機関始動を実現することができるようになる。
(2)メモリ61にクランク角CAが記憶されており、始動指令がなされたときにクランク角CAが判明している場合には、メモリ61に記憶されているクランク角CAに基づいて始動制御開始時から各気筒11に対して燃料をそれぞれ供給する早期始動制御を実行するようにしている。一方で、始動指令がなされたときにクランク角CAが判明していない場合には、スタータモータ18の駆動力によってクランクシャフト15を回転させ、同クランクシャフト15の回転に伴って新たにクランク角CAが検出されてから各気筒11に対して燃料をそれぞれ供給する通常始動制御を実行するようにしている。
そのため、クランク角CAが判明しているときには、手動始動の場合でもクランク角CAを参照して早期始動制御を実行することができ、速やかに内燃機関1を始動させることができる。
また、クランク角CAが判明していないときには、スタータモータ18の駆動力によってクランクシャフト15を回転させてクランク角CAが検出されるようになってから各気筒11に対して燃料をそれぞれ供給するようにしているため、誤ったタイミングで燃料が噴射されることを抑制し、排気性状の悪化や無駄な燃料消費を抑制することができる。
(3)クランク角CAが判明していれば、始動制御に伴ってどのタイミングで燃焼による駆動力が発生し、機関回転速度NEがどのように変化するのかを予測することができる。そのため、上記実施形態では、始動指令がなされたときにクランク角CAが判明している場合には、メモリ61に記憶されているクランク角CAに基づいて予め吸入空気量GAの制御態様を設定しておく吹き上がり抑制制御を実行するようにしている。こうした吹き上がり抑制制御によれば、機関回転速度NEの変化に基づいて吸入空気量GAを制御する通常始動制御における吹き上がり抑制制御と比較して、スロットル開度TAの変更に対する吸入空気量GAの変化の応答遅れ等による制御の遅れを抑制して好適に機関回転速度NEの吹き上がりを抑制することができる。
(4)機関停止中にクランクシャフト15が回転した場合には、メモリ61に記憶されているクランク角CAと、実際のクランク角CAとがずれてしまう。メモリ61に記憶されているクランク角CAと実際のクランク角CAとがずれている状態で、メモリ61に記憶されているクランク角CAに基づいて早期始動制御を実行した場合には、内燃機関1の状態に即した適切な始動制御を実行することができず、排気性状が悪化したり、燃料消費量が増大したりしてしまう。また、内燃機関1の始動を完了させること自体ができない場合もある。
これに対して、上記実施形態では、メモリ61に記憶されているクランク角CAと始動指令がなされたときの実際のクランク角CAとがずれることが推定されるときに、メモリ61に記憶されているクランク角CAを消去するようにしている。
そのため、クランク角CAがずれることが推定される場合には、予めメモリ61に記憶されているクランク角CAが消去され、始動指令がなされたときにクランク角CAが判明していない旨の判定がなされるようになる。これにより、メモリ61に記憶されているクランク角CAが実際のクランク角CAからずれているにも拘わらず、誤ったクランク角CAに基づいて早期始動制御が実行されてしまうことを抑制することができる。
(5)上記実施形態にあっては、機関停止時のクランク角CAに基づいて、クランク角CAがずれることが推定されるか否かを判定するようにしているため、始動指令がなされたときにメモリ61に記憶されているクランク角CAと始動指令がなされたときの実際のクランク角CAとがずれることを、機関停止時に予め推定することができる。
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態にあっては、図3を参照して説明したクランク角リセット処理のステップS400において、機関停止時のクランク角CAに基づいてクランク角CAがずれることを推定する構成を示したが、メモリ61に記憶されているクランク角CAと実際のクランク角CAとがずれることを推定する方法は適宜変更することができる。
例えば、機関停止中に機関温度が大幅に変化したときには、気筒11内に密閉されている気体の圧力が変化したり、機関各部を潤滑している潤滑油の粘性が変化したりすることにより、機関停止中にクランクシャフト15が回転しやすくなる。そのため、機関停止中に機関温度が大幅に変化したときには、クランクシャフト15が回転してメモリ61に記憶されているクランク角CAと実際のクランク角CAとがずれることが推定される。
そこで、機関温度の変化を監視し、機関停止中に機関温度が大幅に変化したことに基づいて、クランク角CAがずれることを推定する構成を採用することもできる。こうした構成を採用した場合にも、始動指令がなされてクランクシャフト15が駆動される前に、メモリ61に記憶されているクランク角CAと始動指令がなされたときの実際のクランク角CAとがずれることを推定し、メモリ61に記憶されたクランク角CAを消去することができる。
尚、機関温度は、温度センサによって直接検出することもできるが、機関冷却水温THW等に基づいて推定することもできる。
・また、坂道に停車している場合には、機関停止中であっても車両が動く可能性があり、それに伴ってクランクシャフト15が回転することがある。そのため、坂道に停車していることに基づいて、クランク角CAがずれることが推定される旨を判定するようにしてもよい。
・上記実施形態にあっては、クランク角検出手段として、クランクポジションセンサ54とカムポジションセンサ55とを備え、これらクランクポジションセンサ54及びカムポジションセンサ55から出力されるパルス信号に基づいてクランク角CAを検出する構成を示したが、クランク角検出手段の構成は適宜変更することができる。例えば、クランクポジションセンサ54のみによって気筒判別やクランク角CAの検出を行うことができるのであれば、カムポジションセンサ55を省略することもできる。
・信号待ち等のときにメインスイッチ71を操作して手動で内燃機関1を停止したときにもメモリ61にクランク角CAを記憶するようにしておけば、内燃機関1を再始動するときにメモリ61に記憶されているクランク角CAを参照して早期始動制御による再始動用始動制御を実行することができる。そのため、本発明は、自動停止始動制御を実行するものに限定して適用されるものではなく、自動停止始動制御を実行しないものに本発明を適用することもできる。
・もちろん、自動停止は行わずに自動始動のみを行うものや、自動始動は行わずに自動停止のみを行うものにあっても本発明を適用することができる。
・上記実施形態にあっては、メモリ61にクランク角CAが記憶されているか否かに基づいてクランク角CAが判明しているか否かを判定する構成を示したが、クランク角CAが判明しているか否かを判定する方法は適宜変更することができる。
その他、クランク角CAが判明しているか否かを判定する方法としては、クランク角が判明しているか否かを示すフラグを設定し、始動指令がなされたときにこのフラグを参照することによりクランク角CAが判明しているか否かを判定する構成を採用することもできる。尚、こうした構成を採用する場合には、クランク角CAがずれることが推定されるときにメモリ61に記憶されているクランク角CAを消去する構成(図3におけるステップS410)に替えて、クランク角CAがずれることが推定されるときにフラグをクランク角CAが判明していないことを示す状態に更新する構成を採用すればよい。
・また、本発明は、始動指令がなされたときにクランク角CAが判明しているか否かに基づいて始動制御の制御態様を選択することにより、始動指令がなされたときの内燃機関の状態に即した始動制御を実行しようとするものである。そのため、再始動用始動制御の内容及び、通常始動制御の内容は適宜変更することができる。例えば、上記実施形態にあっては、始動制御の実行に伴って機関回転速度NEの吹き上がりを抑制する吹き上がり抑制制御を実行する構成を示したが、この吹き上がり抑制制御を省略してもよい。
・また、再始動用始動制御の際に、早期始動制御を行わずに、クランク角CAに基づく吹き上がり抑制制御だけを行うようにしてもよい。
・その他、始動指令がなされたときにクランク角CAが判明している場合には、アイドルストップ状態からの再始動であると判断し、再始動用始動制御を実行する一方、クランク角CAが判明していない場合には、アイドルストップ状態からの再始動ではないと判断し、通常始動制御を実行するといった構成を採用することもできる。
具体的には、電子制御装置60への給電が停止された場合には、メモリ61に記憶されているクランク角CAが消失する。一方で、給電が継続されているときにはメモリ61に記憶されているクランク角CAが保持される。そのため、クランク角CAが判明しているか否かに基づいて給電が継続された状態での一時的な機関停止状態であるアイドルストップ状態からの再始動か否かを判定することができる。そのため、クランク角CAが判明しているときには、メインスイッチ71の操作による手動始動のときにもアイドルストップ状態から再始動であることを判定することができ、再始動用始動制御を実行することができるようになる。
そして、このときには、再始動用始動制御として暖気完了状態における始動を想定した始動制御を実行する一方、通常始動制御として機関冷間状態における始動を想定した始動制御を実行するようにすればよい。
尚、機関冷間状態における始動を想定した始動制御としては、再始動用始動制御よりも吸入空気量GAを増大させる制御を実行する構成を採用したり、再始動用始動制御よりも燃料噴射量を増大させる制御を実行する構成を採用したりすることができる。こうした構成を採用すれば温度の低い初回の始動時にあっても、好適に機関始動を完了させることができるようになる。
・また、上記実施形態では、記憶手段として揮発性のメモリ61を備える構成を示したが、不揮発性のメモリを採用して電子制御装置60への給電が行われていないときにも記憶されたクランク角CAが保持されるようにしてもよい。尚、不揮発性のメモリを採用する場合には、上記のように、メモリにクランク角CAが記憶されていることに基づいてアイドリングストップ状態からの再始動であることを推定することはできなくなる。
・上記実施形態にあっては、1つの気筒11に対してそれぞれ1つずつ燃料噴射弁34が設けられている構成を示したが、1つの気筒11に対して複数の燃料噴射弁34が設けられている内燃機関にあっても、本発明を適用することができる。
・上記実施形態では本発明を、手動変速機を備える車両に搭載される内燃機関の制御装置として具体化した例を示したが、自動変速機を備える車両に搭載される内燃機関の制御装置として適用することもできる。尚、自動変速機を備える車両に搭載される内燃機関の制御装置に適用する場合には、シフトレバーがDレンジに操作されている状態で車両が停止しており、且つブレーキペダルが踏み込まれていることや、シフトレバーがNレンジ又はPレンジに操作されていること等を停止条件として設定することが望ましい。また、シフトレバーがDレンジに操作されている状態でブレーキペダルの踏み込みが解除されたことや、シフトレバーがNレンジ又はPレンジからDレンジに操作されたこと等を始動条件として設定することが望ましい。
・また、上記実施形態と同様に手動変速機を備える車両に搭載される内燃機関の制御装置として本発明を適用する場合にあっても、停止条件や始動条件は適宜変更することができる。
・上記実施形態では4つの気筒11を備えた直列4気筒の内燃機関1の制御装置に本発明を適用した例を示したが、本発明はその他の気筒配列を有する内燃機関、例えばV型6気筒やV型8気筒の内燃機関等に適用することもできる。
・上記実施形態では、吸気ポート21内に燃料噴射弁34が設けられているポート噴射型の内燃機関1の制御装置として、本発明を具体化した例を示したが、本発明は筒内噴射型の内燃機関、すなわち各気筒11内に燃料噴射弁が設けられている内燃機関の制御装置に適用することもできる。
・上記実施形態にあってはキー80が差し込まれた状態で操作されるメインスイッチ71を操作することにより手動始動がなされる構成を示したが、本発明はこうしたメインスイッチ71を備えるものに限定的に適用されるものではない。例えば、プッシュ式のスタートスイッチをそなえ、スタートスイッチを操作することにより手動始動がなされるものに本発明を適用することもできる。
1…内燃機関、10…シリンダブロック、11…気筒、12…ピストン、13…燃焼室、14…点火プラグ、15…クランクシャフト、16…コネクティングロッド、17…ウォータジャケット、18…スタータモータ、20…シリンダヘッド、21…吸気ポート、22…排気ポート、30…吸気通路、32…吸気カムシャフト、32a…吸気カム、33…スロットルバルブ、33a…モータ、34…燃料噴射弁、40…排気通路、41…排気バルブ、42…排気カムシャフト、42a…排気カム、50…車速センサ、51…アクセルセンサ、52…スロットルポジションセンサ、53…エアフロメータ、54…クランクポジションセンサ、55…カムポジションセンサ、56…水温センサ、60…電子制御装置、61…メモリ、71…メインスイッチ、72…クラッチペダル、73…クラッチアッパスイッチ、74…クラッチロアスイッチ、75…シフト装置、76…シフトレバー、77…ニュートラルスイッチ、80…キー。

Claims (5)

  1. 内燃機関のクランクシャフトの回転に伴って出力される信号に基づいて前記クランクシャフトの回転角であるクランク角を検出するクランク角検出手段と、機関停止時のクランク角を記憶する記憶手段とを備え、始動指令がなされたときに前記記憶手段に記憶されているクランク角を参照し、それに基づいて始動制御を実行する内燃機関の制御装置であって、
    始動指令がなされたときにクランク角が判明している場合には、前記記憶手段に記憶されているクランク角に基づいて各気筒に対して燃料をそれぞれ供給する早期始動制御を実行する一方、
    始動指令がなされたときにクランク角が判明していない場合には、スタータモータの駆動力によって前記クランクシャフトを回転させ、同クランクシャフトの回転に伴って新たにクランク角が検出されてから各気筒に対して燃料をそれぞれ供給する通常始動制御を実行し、
    始動指令がなされたときにクランク角が判明していない場合には、始動制御に伴う機関回転速度の変化に基づいて吸入空気量を制御する吹き上がり抑制制御を実行する一方、
    始動指令がなされたときにクランク角が判明している場合には、前記記憶手段に記憶されているクランク角に基づいて予め吸入空気量の制御態様を設定しておく吹き上がり抑制制御を実行する
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
    始動指令がなされたときに前記記憶手段に記憶されているクランク角と始動指令がなされたときの実際のクランク角とがずれることが推定されるときに、前記記憶手段に記憶されているクランク角を消去する
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. クランク角が判明しているか否かを示すフラグを参照することによりクランク角が判明しているか否かを判定する請求項1に記載の内燃機関の制御装置であって、
    始動指令がなされたときに前記記憶手段に記憶されているクランク角と始動指令がなされたときの実際のクランク角とがずれることが推定されるときに、前記フラグをクランク角が判明していないことを示す状態にする
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  4. 機関停止時のクランク角に基づいて、始動指令がなされたときに前記記憶手段に記憶されているクランク角と始動指令がなされたときの実際のクランク角とがずれることを推定する
    請求項又は請求項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 機関停止中に機関温度が大幅に変化したことに基づいて、始動指令がなされたときに前記記憶手段に記憶されているクランク角と始動指令がなされたときの実際クランク角とがずれることを推定する
    請求項又は請求項に記載の内燃機関の制御装置。
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