JP3945442B2 - エンジンの始動装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのアイドリング運転時等に自動停止状態となったエンジンを再始動させるエンジンの始動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃費の低減およびCO2排出量の抑制等を目的として、エンジンがアイドリング状態にある場合等に、エンジンを自動的に停止させるとともに、その後に発進操作が行われる等により再始動条件が成立したときに、エンジンを自動的に再始動させるように構成されたエンジンの始動装置が開発されている。このように自動停止状態となったエンジンを運転者の発進操作等に応じて自動的に再始動させる場合、迅速な始動性が要求されるために、始動用モータ(スタータ)によりエンジンの出力軸を駆動するクランキングを経てエンジンを始動させるような方法は、エンジンの始動が完了するまでにかなりの時間を要し、かつ上記始動用モータに負荷が掛かるとともに、大きな騒音が発生するので好ましくない。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に示されるように、燃焼室内に直接燃料を噴射可能な気筒内噴射型内燃機関において、この内燃機関をクランキングさせるための電動機と、上記内燃機関の運転が停止した状態で膨張行程にある気筒を検出する検出手段と、検出された膨張行程にある気筒内に燃料を噴射する噴射制御手段と、上記膨張行程にある気筒内に燃焼を生起させて上記内燃機関を再始動させる始動手段と、この始動手段による内燃機関の始動状態に応じて上記電動機の作動を制御する電動機始動手段とを備えた内燃機関の始動装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−4985号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に示された始動装置によると、エンジン(内燃機関)の停止時にピストンが適正な位置にないと、正常にエンジンを始動させることができない可能性がある。例えばエンジンの停止時に、膨張行程にある気筒のピストンが上死点に近い位置にある場合には、エンジンが停止している間に上記気筒内の空気が外部に漏出することにより、空気の残存量が極めて少なくなり、これに対応して燃料噴射量も少なく設定する必要があるため、充分な燃焼エネルギーが得られず、エンジンを正常に始動させることが困難である。逆に、上記ピストンが下死点に近い位置にある場合には、気筒内の空気量および燃料噴射量をある程度は確保することができるが、その燃焼時に発生した燃焼エネルギーをピストンに作用させる行程、つまりビストンの停止位置から下死点までの行程が短すぎることに起因してエンジンの回転数を充分に上昇させることができず、上記気筒の燃焼に続いて他の気筒を燃焼させる際にエンジンが停止状態となり易いという問題があった。
【0006】
なお、上記特許文献1に示された始動装置では、エンジン停止時に膨張行程にある気筒への燃料噴射および点火を行うことにより完爆が行われてエンジン回転数がアイドル回転数に上昇したか否かを判別し、上昇していないことが確認された場合に、エンジンの始動が不完全であると判断してスタータ用の電動機を作動させることによりエンジンの始動を完全とするフェールセーフを実行するように構成されている。しかし、上記気筒への燃料噴射および点火によるエンジンの始動が不完全であるか否かを判別する間に所定の時間を要するために、上記のように再始動が不完全であると判別された時点から再始動用の電動機を作動させたのでは、車両の迅速な発進性が得られず、運転者が違和感を受けることが避けられない。
【0007】
また、エンジンの再始動に要する時間を短縮化しつつ、再始動を適正に行い得るようにするために、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置を検出するピストン位置検出手段を設け、このピストンの停止位置が上記燃料噴射および点火による始動を適正に行い得る範囲よりも上死点側または下死点側にある場合には、エンジンの再始動開始時点からスタータ用の電動機を作動させることも行われているが、この場合には以下のような不都合がある。
【0008】
すなわち、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒内の空気密度が気筒内の空気温度に基づいて変化するために、上記気筒に燃料を噴射して点火することにより発生する燃焼エネルギーを、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置に基づいて正確に求めることはできない。また気筒内の空気温度状態等に基づいて燃料噴射手段から気筒内に噴射された燃料噴霧の状態が変化し、これに対応して燃焼状態が変化することになる。したがって、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置のみに基づいてスタータを作動させるか否かを判別するように構成した場合には、不必要なスタータの作動が行われて電力が浪費されるとともに騒音が発生したり、あるいはエンジンの再始動開始時点からスタータを作動させる必要があるにも拘わらず、その作動時期が遅れて再始動に要する時間が長くなったりする等の問題があった。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑み、自動停止状態にあるエンジンを迅速かつ適正に再始動させることができるエンジンの始動装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、エンジンの停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止状態で再始動条件が成立したときに、実質的な膨張行程にある気筒に燃料を噴射して点火することにより、エンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置において、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置を検出するピストン位置検出手段と、このピストン位置検出手段により検出された上記ピストンの停止位置が上記気筒の燃焼によってエンジンの再始動を行い得る領域内である場合には、スタータを作動させることなくエンジンを再始動させるとともに、上記ピストンの停止位置が上記気筒の燃焼によってエンジンの再始動を行い得る領域よりも上死点側または下死点側にある場合には、再始動開始時点からスタータを作動させるように制御する再始動制御手段と、エンジンの再始動開始時点における気筒内の空気密度を予測する空気密度予測手段とを備え、この空気密度の予測値が予め設定された基準値よりも低い場合には、再始動開始時点からスタータを作動させる領域を上記空気密度の予測値が予め設定された基準値よりも高い場合に比べて広げるように構成したものである。
【0011】
上記構成によれば、エンジンの再始動開始時点で気筒内の空気密度が低いことに起因して始動性が悪化し易い状態にある場合には、再始動開始時点からスタータを作動させる領域が広げられて上記スタータによる始動アシストが積極的に行われることにより、エンジンを短時間で確実に再始動させることが可能となる。
【0012】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載のエンジンの始動装置において、空気密度予測手段により予測された気筒内の空気密度に基づき、再始動開始時点からスタータを作動させる領域を広げる際に、上記領域の上死点側の拡大幅を下死点側の拡大幅よりも大きく設定するものである。
【0013】
上記構成によれば、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストン停止位置が上死点側にあり、当該気筒内の空気密度が低下するのに対応して空気量が極端に少なくなることが避けられない状態にある場合には、再始動開始時点からスタータを作動させエンジンの始動性を向上させる制御が積極的に実行されることになる。
【0014】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載のエンジンの再始動装置において、エンジンの自動停止時のエンジン温度および吸気温度と、エンジンの自動停止状態の継続時間とに基づいてエンジンの再始動開始時点における気筒内の空気温度を予測するとともに、この空気温度の予測値に基づいて空気密度を予測するものである。
【0015】
上記構成によれば、エンジンの自動停止時のエンジン温度および吸気温度とエンジンの自動停止状態の継続時間とに基づいて予測された気筒内の空気温度に対応した空気密度が適正に予測されるとともに、この空気密度が低いことに起因して始動性が悪化し易い状態にあるか否かが正確に判別され、この判別結果に対応したエンジンの再始動制御が適正に実行されることになる。
【0016】
請求項4に係る発明は、エンジンの停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止状態で再始動条件が成立したときに、実質的な膨張行程にある気筒に燃料を噴射して点火することにより、エンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置において、点火プラグの電極部に噴霧燃料の外縁部が位置するように燃料を噴射する燃料噴射手段と、エンジンの再始動開始時点における上記燃料の噴霧状態を予測する噴霧予測手段と、この噴霧予測手段により予測された噴霧範囲が予め設定された基準範囲よりも小さい場合に、再始動開始時点からスタータを作動させるように制御する再始動制御手段とを備えたものである。
【0017】
上記構成によれば、エンジンの再始動開始時点で燃料の噴霧領域が小さくなることに起因して燃焼性が低下し易い状態にある場合には、再始動開始時点からスタータによる始動アシストが行われることにより、エンジンを短時間で確実に再始動させることが可能となる。
【0018】
請求項5に係る発明は、上記請求項4に記載のエンジンの始動装置において、エンジンの自動停止時のエンジン温度および吸気温度と、エンジンの自動停止状態の継続時間とに基づき、噴霧予測手段により燃料の噴霧状態を予測するものである。
【0019】
上記構成によれば、エンジンの自動停止時のエンジン温度および吸気温度と、エンジンの自動停止状態の継続時間とに基づき、エンジンの再始動開始時点で燃料の噴霧領域が小さくなることに起因して燃焼性が低下し易い状態にあるか否かが正確に判別され、この判別結果に対応したエンジンの再始動制御が適正に実行されることになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1および図2は本発明の一実施形態によるエンジンの概略構成を示している。これらの図において、エンジン本体は、シリンダヘッド1およびシリンダブロック2で構成された複数の気筒を有し、図示の実施形態では4つの気筒3A〜3Dを有している。各気筒3A〜3Dにはそれぞれピストン4が嵌挿され、ピストン4の上方に燃焼室5が形成されている。上記ピストン4はコンロッドを介してクランクシャフト6に連結されている。
【0021】
各気筒3A〜3Dの燃焼室5の頂部には点火プラグ7が装備され、そのプラグ先端が燃焼室5内に臨んでいる。さらに、燃焼室5の側方部には、この燃焼室5内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁8が設けられている。この燃料噴射弁8は、図略のニードル弁およびソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。
【0022】
そして、図3に示すように、上記燃料噴射弁8から点火プラグ7付近に向けて燃料が噴射されることにより、気筒内の温度状態が通常の場合には、図3の破線で示すように、燃料噴霧Faの外縁部が点火プラグ7の電極部位7aに位置するように、燃料噴射弁8の燃料噴射方向、噴霧角度および噴霧圧力が設定されている。なお、気筒内が高温状態となると、燃料噴霧Faの外周部に位置する燃料が気化し易いために、通常時に比べて燃料の噴霧領域Faが図3の一点鎖線で示すように狭められる傾向がある。上記燃料噴射弁8には、図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料噴射弁8に燃料が供給され、かつ、圧縮行程における燃焼室5内の圧力よりも高い燃料圧力が与えられるようになっている。
【0023】
また、各気筒3A〜3Dの燃焼室5に対して吸気ポート9および排気ポート10が開口し、これらのポート9,10に吸気弁11および排気弁12が装備されている。これらの吸気弁11および排気弁12は、図外のカムシャフト等からなる動弁機構により駆動される。そして、後に詳述するように各気筒が所定の位相差をもって燃焼サイクルを行うように、各気筒の吸・排気弁11,12の開閉タイミングが設定されている。
【0024】
吸気ポート9および排気ポート10には吸気通路15および排気通路16が接続されている。吸気通路15には、吸気量調節手段としてのスロットル弁(吸気通路面積を調節するバルブ)が設けられ、当実施形態では、吸気量を制御する際における応答性を高めるため分岐吸気通路15aにスロットル弁17が設けられている。すなわち、吸気通路15は、サージタンク15bの下流に気筒別の分岐吸気通路15aを有し、各分岐吸気通路15aの下流端が各気筒の吸気ポート9に連通するが、その各分岐吸気通路15aの下流端近傍に、各分岐吸気通路15aを同時に絞り調節する多連型のロータリバルブからなるスロットル弁17が配設されている。このスロットル弁17は、アクチュエータ18により駆動されるように構成されている。
【0025】
上記吸気通路15におけるサージタンク15bの上流に位置する共通吸気通路15cには、吸気量を検出するエアフローセンサ20が設けられている。また、上記クランクシャフト6に対し、その回転角を検出するクランク角センサが設けられており、当実施形態では、後に詳述するように、互いに一定量だけ位相のずれたクランク角信号を出力する2つのクランク角センサ21,22が設けられている。さらに上記クランクシャフト6に対し、その特定回転位置を検出することで気筒識別信号を与えることのできるカム角センサ23が設けられている。なお、この他にもエンジンの制御に必要な検出要素として、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ24、アクセル開度(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ25等が装備されている。
【0026】
図1において30は、制御手段としての機能を有するECU(エンジンコントロールユニット)であり、上記各センサ20〜25からの信号を受け、上記燃料噴射弁8に対して燃料噴射量および噴射時期を制御する制御信号を出力するとともに、点火プラグ7に対して点火時期を制御する制御信号を出力し、さらにスロットル弁17のアクチュエータ18に対してスロットル開度を制御する制御信号を出力するとともに、必要に応じてエンジンを再始動させるためのスタータ31に所定のタイミングで作動指令信号を出力するように構成されている。上記スタータ31は、エンジン本体のクランクシャフト6等に設けられたリングギアと歯合するピニオンギアが出力軸に設けられた駆動モータを有し、上記クランクシャフト6を回転駆動することによりエンジンを再始動させるように構成されている。
【0027】
そして、エンジンのアイドリング状態で、予め設定されたエンジン停止条件が成立したときに、燃料噴射弁8からの燃料の噴射を停止するとともに、点火プラグ7の点火動作を停止する等により、自動的にエンジンを停止させるとともに、その後にエンジンの再始動条件が成立したときに、エンジンを自動的に再始動させる制御が実行されるようになっている。上記エンジンの自動停止時には、圧縮行程にある気筒および膨張行程にある気筒において、ピストン4が上死点方向に移動する際における抵抗を大きくすべく、少なくともこれらの気筒に対する吸気量を増大させ、特に膨張行程となる気筒に対してより多く吸気を供給するように、上記スロットル弁17をエンジンの停止動作期間中における所定期間だけ所定の開状態とする制御が実行される。
【0028】
上記のように停止条件の成立時に自動停止状態となったエンジンを再始動させる際には、膨張行程にある気筒で燃焼を行わせることによりエンジンを正転方向に駆動するが、エンジン停止時のピストンの位置が所定範囲にある場合、先ずエンジン停止時の圧縮行程気筒に初回の燃焼を実行してエンジンを少し逆転させることにより、膨張行程にある気筒のピストンを上昇させて気筒内の圧力を高めた後に、当該膨張行程気筒で燃焼を行わせるようにする。
【0029】
また、エンジンの再始動時に、上記のように圧縮行程気筒での初回燃焼、膨張行程気筒での燃焼を行うとともに、初回燃焼後の圧縮行程気筒の気筒内に燃焼用空気を残存させて圧縮行程気筒のピストンが上昇に転じてから上死点付近に達したときに再燃焼を行わせる第1再始動モードと、圧縮行程気筒での初回燃焼及び膨張行程気筒での燃焼は行うが、圧縮行程気筒での再燃焼(第2回目の燃焼)は行わない第2再始動モードと、圧縮行程気筒での初回燃焼を行わずにスタータ31でアシストしつつ膨張行程気筒での燃焼及びその次の圧縮行程気筒での燃焼により始動を行う第3再始動モードとを、ピストンの停止位置に応じて選択的に実行するようになっている。
【0030】
上記ECU30によるエンジンの停止制御を、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。このフローチャートに示す処理は、エンジンが運転されている状態からスタートし、ECU30において、まず自動停止条件が成立したか否かを判定する(ステップS1)。すなわち、車速およびエンジン温度(エンジン冷却水の温度)等の検出値に基づき、例えば車速が0の停車状態が所定時間以上に亘って持続し、かつエンジン温度が所定範囲内にあり、さらにエンジンを停止させることに格別の不都合がない状況にある場合等に、自動停止条件が成立したと判定される。
【0031】
上記自動停止条件が成立したときは、エンジンの各気筒に対する燃料供給を停止した後(ステップS2)、一旦スロットル弁17を所定開度に開いた後(ステップS3)、エンジン回転数が所定回転数以下となるまで、上記スロットル弁17を開放状態に保持するとともに(ステップS4)、エンジン回転数が所定回転数以下となった時点で上記スロットル弁17を閉止状態とする(ステップS5)。続いて、ステップS6でエンジンが停止状態となったか否かを判定し、YESと判定されると、下記の停止位置検出ルーチンにより、エンジンの停止時に膨張行程にあるピストンの停止位置を検出する検出制御を実行した後(ステップS6)、後述のエンジンの再始動制御を実行する(ステップS7)。
【0032】
図5は、ECU30に設けられたピストン位置検出手段において実行されるピストン停止位置の検出ルーチンを示している。この検出ルーチンの制御がスタートすると、第1クランク角信号CA1(第1クランク角センサからの信号)および第2クランク角信号CA2(第2クランク角センサからの信号)に基づき、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLowであるか否か、または第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighであるか否かを判定する。要するに、エンジンの停止動作時における上記信号CA1,CA2の位相の関係が、図6(a)のようになるか、それとも図6(b)のようになるかを判別することにより、エンジンが正転状態にあるか逆転状態にあるかを判別する(ステップS11)。
【0033】
すなわち、エンジンの正転時には、図6(a)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相遅れをもって生じることにより、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLow、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなる。一方、エンジンの逆転時には、図6(b)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相の進みをもって生じることにより、エンジンの正転時とは逆に第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がHigh、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がLowとなる。
【0034】
そこで、ステップS11の判定がYESであれば、エンジンの正転方向のクランク角変化を計測するためのCAカウンタをアップし(ステップS12)、ステップS11の判定がNOの場合は、上記CAカウンタをダウンする(ステップS13)。そして、エンジン停止後に上記CAカウンタの計測値を調べることでピストン停止位置を求める(ステップS14)。
【0035】
図7は、ECU30に設けられた再始動制御手段において実行されるエンジンの再始動制御ルーチンを示している。このエンジンの再始動制御ルーチンがスタートすると、まず予め設定されたエンジン再始動条件が成立したか否かを判定し(ステップS21)、NOと判定された場合には、そのままリターンすることにより待機する。
【0036】
上記ステップS21でYESと判定され、停車状態にある車両を発進するためにアクセル操作等が行われたり、バッテリー電圧が低下し、あるいは車載のエアコンが作動状態なったりする等により、エンジンの再始動条件が成立したことが確認された場合には、ECU30に設けられた空気温度推定手段により推定された気筒内の空気温度が、予め設定された基準値よりも高いか否かを判定し(ステップS22)、YESと判定された場合には、後述する第3再始動モードの制御(R3)を実行する。上記温度の基準値は、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒等において燃焼を行うことによりエンジンを再始動させることができる燃焼エネルギーが得られるか否かを判定するために設定されたものである。
【0037】
具体的には、エンジンの自動停止時に水温センサ24により検出されたエンジンの冷却水温度と、図外の吸気温センサにより検出された吸気温度と、タイマにより検出されたエンジンの自動停止状態の継続時間とに基づき、予め行った実験データに基づいて作成したテーブルから気筒内の空気温度を読み出し、あるいは予め作成した関数式に基づいて気筒内の空気温度を算出することにより、再始動開始時点における気筒内の空気温度を推定する。そして、例えば各気筒内の空気温度が150°以上になり、気筒内の空気密度が極めて低いために気筒内の空気量が極端に少ない状態にある場合には、充分な燃焼エネルギーが得られないと判断して第3再始動モードの制御(R3)が実行されるようになっている。
【0038】
次に、ECU30に設けられた空気密度推定手段により推定された気筒内の空気密度が、予め設定された基準値よりも低いか否かを判定し(ステップS23)、NOと判定された場合には、上記スタータ31による再始動のアシスト(スタートアシスト)を行うか否かを判定するための判定領域として、図8の実線で示す通常の領域Aを設定する(ステップS24)。この通常の領域Aは、ピストンの上死点TDCと下死点BDCとの中間位置A0よりもTDC寄りの領域A1と、BDC寄りの領域A2とからなっている。なお、上記気筒内の空気密度は、気筒内の空気温度に比例するため、ECU30に設けられた空気温度推定手段により推定された空気温度に応じてエンジンの再始動開始時点における気筒内の空気密度が推定されるようになっている。
【0039】
一方、上記ステップS23でYESと判定され、気筒内の空気密度が予め設定された基準値よりも低いことが確認された場合には、上記通常領域AのTDC寄りの領域A1およびBDC寄りの領域A2を、それぞれ図9の破線で示すように所定幅α,βだけ狭めてなる領域A′を上記判定領域として設定する(ステップS25)。これにより、上記空気密度予測手段により予測された気筒内の空気密度が低い場合には、再始動開始時点からスタータ31を作動させる領域、つまり上記判定領域外の領域が広げられることになる。また、上記のように再始動開始時点からスタータ31を作動させる領域を広げる際には、上記ピストンの停止位置よりも上死点TDC側の拡大幅αが、下死点側の拡大幅βよりも広く設定されるようになっている。
【0040】
そして、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストン4の停止位置が上記判定領域内にあるか否かを判定し(ステップS26)、判定領域内にあると判定された場合には、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒が、上記ピストン4の停止位置が、TDC(上死点)側の領域A1にあるか否かを判定する(ステップS27)。
【0041】
上記ステップS26,S27の判定結果に基づき、上記ピストン4の停止位置が判定領域内であって、そのTDC側の領域A1内にあることが確認された場合には、第1再始動モードの制御(R1)を実行する。この第1再始動制御モードは、図9に基づいて後述するように、エンジンの停止時に圧縮行程にある気筒で初回の燃焼を行うことにより、エンジンをある程度逆転させた後に、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒内の圧力を高めた状態でこの気筒の燃焼を行ってエンジンを正転させるとともに、上記初回の燃焼を行った気筒のピストンが上死点付近に達したときに第2回目の燃焼を行わせるものである。
【0042】
一方、ピストン4の停止位置が上記判定領域内であって、そのBDC(下死点)側の領域A2内にあることが確認された場合には、エンジンの停止時に圧縮行程にある気筒で初回の燃焼を行うが、この気筒における第2回目の燃焼は行わない第2再始動モードの制御(R2)を実行する。
【0043】
また、上記ピストン4の停止位置が判定領域外であることが確認された場合には、再始動開始時点からスタータ31による再始動のアシストを行いつつ、エンジンの停止時に圧縮行程にある気筒で初回の燃焼を行うことなく、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒での燃焼を行ってエンジンを再始動させる第3再始動モードの制御(R3)を実行する。
【0044】
図9は、図7のフローチャート中のステップS27でYESと判定され、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストン停止位置が、予め設定された上記判定領域内であって、そのTDC側の領域A1内にあることが確認された場合に実行される第1再始動モードの制御動作R1を示している。この第1再始動モードの制御動作R1がスタートすると、まず上記ピストン停止位置検出手段により検出された上記気筒のピストン停止位置に基づき、エンジンの停止時に圧縮行程にある気筒および膨張行程にある気筒内の空気量をそれぞれ算出する(ステップS101)。例えば図10に示す例において、エンジンの停止時点tで、圧縮行程にあるNo.1気筒および膨張行程にあるNo.2気筒内の空気量をそれぞれ算出する。
【0045】
具体的には、図5に示す停止位置検出ルーチンにより検出されたピストン停止位置から上記両気筒の燃焼室容積が求められる。また、エンジン停止の際には、燃料カットされた時点からエンジンが数回転した後に停止するので、上記膨張行程にあるNo.2気筒内もある程度新気で満たされた状態にあり、かつエンジンの停止中に上記各気筒の気筒内圧力は略大気圧となっているので、上記燃焼室容積から各気筒内の新気量を求めることができる。
【0046】
なお、燃料カット前に運転状態がλ=1のアイドル運転の場合は、スロットル弁17が閉じているため、エンジン停止までの早期が不充分な場合があり、エンジン停止の際における吸気圧力と停止までのエンジン回転数(サイクル数)から精度良く新気を求めるようにしてもよい。また、エンジンの冷却水温度が80°C程度となるエンジンの温間状態で、エンジンが停止状態となった後に、1分間程度の時間が経過すると、気筒内の空気が所定温度、例えば100°C以上に上昇するため、気筒内の空気密度が低くなる傾向がある。このような場合には、上記気筒内の空気密度に応じて空気量の算出値を補正することが好ましい。
【0047】
続いて、上記ステップS101で算出されたNo.1気筒内の空気量、つまりエンジンの停止時点tで圧縮行程にあるNo.1気筒内の新気量に基づき、このNo.1気筒内に燃料を噴射することにより生成される混合気の空燃比が理論空燃比よりもリーンとなるように設定された量の燃料噴射を行うとともに(ステップS102)、エンジンの停止時点tで膨張行程にあるNo.2気筒内に燃料を噴射することにより形成される混合気の空燃比が所定値(例えばλ=1の近傍またはλ≦1のリッチ)となるように算出された量の燃料噴射F1をNo.2気筒に対して実行する(ステップS103)。
【0048】
そして、上記No.1気筒に噴射された燃料が気化するのに要する所定時間が経過した時点で、上記No.1気筒に対する点火を実行して初回の燃焼(図10の矢印▲1▼参照)を行うことにより(ステップS104)、エンジンのクランク軸を逆転させる。上記初回の燃焼▲1▼を行った後に、クランク角センサのエッジ(クランク角信号の立ち上がりまたは立ち下がり)が検出されたか否かを検出することにより(ステップS105)、ピストンが動いたか否かを判定する。
【0049】
上記ステップS105の判定結果がNOであり、失火によりピストンが動いていないことが確認された場合には、予め設定された所定時間が経過したか否かを判定し(ステップS106)、NOと判定された場合には、再点火を行った後(ステップS107)、上記ステップS105に移行してクランク角センサのエッジが検出されたか否かを再度判定する。
【0050】
上記ステップS106でYESと判定され、再始動制御の開始後に所定時間が経過してもピストンが動かなかった場合には、図11に示す第1のスタートアシスト制御を実行する(ステップS108)。上記所定時間は、エンジンの停止時に圧縮行程にあるNo.1気筒で初回の燃焼▲1▼を行った後に実際にエンジンが逆転し始めるまでのディレー時間を考慮するとともに、エンジンの再始動に要する時間を一定時間、つまり運転者が違和感を受けることのない時間内に抑えるために予め設定されたものである。
【0051】
上記ステップS105でYESと判定され、所定時間内にエンジンが逆転し始めたことが確認された場合には、エンジンの停止時に圧縮行程にあるNo.1気筒で初回の燃焼▲1▼を行うことにより駆動されたクランク軸の逆転量が予め設定された所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップS109)。このステップSでNOと判定され、クランク軸の逆転量が小さいために、エンジンの停止時に膨張行程にあるNo.2気筒内の空気が充分に圧縮された状態にないことが確認された場合には、ステップS108に移行して図11に示す第1のスタートアシスト制御を実行する。
【0052】
上記ステップS109でYESと判定された場合には、エンジンの停止時に圧縮行程にあるNo.1気筒で初回の燃焼▲1▼を行うことにより、このNo.1気筒のピストンが下死点Bを超えていないか否かを判定し(ステップS110)、NOと判定されて上記ピストンが下死点Bを超えたこと、つまり上記初回の燃焼▲1▼によるクランク軸の逆転量が大きすぎることが確認された場合には、上記ステップS108に移行して図11に示す第1のスタートアシスト制御を実行する。
【0053】
上記ステップS110でYESと判定されてNo.1気筒のピストンが下死点Bを超えていないこと、つまり上記初回の燃焼▲1▼によるクランク軸の逆転量が適正値であることが確認された場合には、上記エッジの検出後に所定時間が経過した時点で、エンジンの停止時に膨張行程にあるNo.2気筒に対する点火S1を行った後(ステップS111)、図12に示す後述のスタートアシスト判定制御を実行する(ステップS112)。
【0054】
次いで、所定のクランク角となった時点で、エンジンの停止時に圧縮行程にあるNo.1気筒に対する再度の燃料噴射F2および点火S2を行うことにより(ステップS113)、クランク軸を正転駆動する第二回目の燃焼▲2▼を行わせる。この場合、上記No.1気筒内に残存する新気量を演算するとともに、上記燃料噴射F2よりNo.1気筒内の空燃比が理論空燃よりもややリッチとなるように上記燃料噴射量を設定する。その後、所定のタイミングで第2目のスタートアシスト判定制御を実行するとともに(ステップS114)、エンジンの停止時に吸気行程にあるNo.3気筒に対して燃料噴射F3および点火S3を所定のタイミングで実行した後(ステップS115)、リターンして通常の制御状態に移行する。
【0055】
図11は、図9のフローチャート中のステップS109またはステップS110でNOと判定された場合等に実行される第1のスタートアシスト制御動作を示している。この制御動作がスタートすると、スタータ31の駆動を開始するとともに(ステップS41)、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒、つまり図10に示す例におけるNo.2気筒に対する点火S1を実行する(ステップS42)。すなわち、図9のステップS103で既に燃料噴射F1が行われることにより、No.2気筒内に生成された混合気を燃焼させてエンジンを正転方向に駆動する。
【0056】
また、図9のステップS101で算出された空気量に基づき、エンジン停止時に圧縮行程にあるNo.1気筒内の空燃比が理論空燃比(λ=1)付近となる燃料噴射量を算出し、上記No.1気筒に対する燃料噴射F2を実行するとともに(ステップS43)、上記No.1気筒が上死点となった後に点火S2を実行する(ステップS44)。なお、上記No.1気筒では、エンジンを逆転方向に駆動するために、図9のステップS102で既に燃料噴射が行われて初回の燃焼▲1▼が行われているため、この初回の燃焼時における燃料噴射を考慮して上記燃料噴射量の算出を行うようにする。
【0057】
次いで、ECU30に設けられた空気温度推定手段により推定されたエンジンの再始動時点における気筒内温度が、予め設定された基準温度よりも高いか否かを判定する(ステップS45)。この基準温度は、スタータ31による再始動のアシストを行いつつ、エンジンの停止時に膨張行程および圧縮行程にある気筒での燃焼を行うことによりエンジンを再始動させる際に、エンジンの停止時に吸気行程にあるNo.3気筒に対する燃料噴射F3を行うと、この燃料噴射F3により生成された混合気が、圧縮行程で自己着火が生じる可能性が高いか否かを判別するために設定された温度である。
【0058】
上記ステップS45でNOと判定されて気筒内温度が上記基準温度以下であることが確認された場合には、エンジンの停止時に吸気行程にあるNo.3気筒に対し、その圧縮トップ前90degCAとなった時点で燃料噴射F3を実行する(ステップS46)。この燃料噴射F3により生成される混合気の空燃比A/Fが14程度のややリッチとなるように、上記No.3気筒に対する燃料噴射量を設定する。次いで、上記No.3気筒が上死点Tとなった直後に点火S3を実行する(ステップS47)。
【0059】
上記ステップS45でYESと判定されて気筒内温度が上記基準温度よりも高いことが確認された場合には、エンジンの停止時に吸気行程にあるNo.3気筒に対する燃料噴射F3を中止した後(ステップS48)、通常のタイミングで燃料の噴射および点火を行う通常の制御状態に移行する(ステップS49)。そして、エンジンのクランク角度またはエンジンの再始動開始時点から経過時間に対応した値として予め設定されたマップから、スタータ31によるアシスト駆動を終了させるか否かを判断するために用いるエンジン駆動終了判定値Rを読み出して設定する(ステップS50)。
【0060】
次に、現時点のエンジン回転数Neが上記駆動終了判定値R以上となったか否か判定し(ステップS51)、NOと判定された場合には、上記ステップS50に戻り、再びエンジン回転数Neが上記駆動終了判定値R以上となったか否か判定する。そして、上記ステップS51においてYESと判定された時点で、スタータ31の駆動を停止してリターンする(ステップS52)。
【0061】
図9のステップS112,S114において実行されるスタートアシスト判定制御動作を、図12に基づいて説明する。この判定制御動作がスタートすると、現時点(エンジンの停止時に膨張行程にあるNo.2気筒の燃焼が行われた後の時点、またはエンジンの停止時に圧縮行程にあるNo.3気筒の第2回目の燃焼が行われた後の時点)におけるエンジン回転数Neが、予め設定された基準回転数以上であるか否かを判定し(ステップS61)、NOと判定された場合には、後述する第2のスタートアシスト制御を実行する(ステップS62)。
【0062】
また、上記ステップS61でNOと判定され、現時点のエンジン回転数が基準回転数以上であることが確認された場合には、ブレーキスイッチがOFFとなった状態でエンジンの再始動が行われたか否かを判定する(ステップS63)。このステップS63でYESと判定され、運転者が車両の発進を意図してブレーキペダルから足を離すことにより、ブレーキスイッチがOFFとなった状態で、再始動条件が成立したことが確認された場合には、ブレーキスイッチがOFFとなった時点から所定時間内にアクセルスイッチがON状態となったか否かを判定することにより(ステップS64)、エンジンの再始動時における要求トルクが大きいか否かを判別する。なお、車両が登坂状態であるか否か、または右折待機状態にあるか否か等によりエンジンの再始動時における要求トルクが大きいか否かを判別するようにしてもよい。
【0063】
上記ステップS64でYESと判定され、エンジンの再始動時における要求トルクが大きいことが確認された場合には、エンジンの再始動開始時点からエンジンのクランク角が予め設定された基準角度となった時点までの経過時間が、予め設定された第1基準時間T1以上であるか否かを判定する(ステップS65)。このステップS65でYESと判定された場合には、エンジンの再始動を失敗する可能性が高いと判断して後述する第2のスタートアシスト制御を実行する(ステップS66)。
【0064】
また、上記ステップS64でNOと判定され、エンジンの再始動時における要求トルクが小さいことが確認された場合には、エンジンの再始動開始時点からエンジンのクランク角が基準角度となった時点までの経過時間が、第1基準時間T1よりも長い時間に設定された第2基準時間T2以上であるか否かを判定する(ステップS67)。このステップS67でYESと判定されてエンジンの再始動を失敗する可能性が高いことが確認された場合には、ステップS66に移行して第2のスタートアシスト制御を実行する。
【0065】
一方、上記ステップS63でNOと判定され、運転者が車両の発進を意図することなく、エアコンが作動状態となり、あるいはバッテリーの容量が減少する等によりエンジンの再始動条件が成立した状態にあることが確認された場合には、エンジンの再始動開始時点からエンジンのクランク角が基準角度となった点までの経過時間が、第2基準時間T2よりも長い時間に設定された第3基準時間T3以上であるか否かを判定する(ステップS68)。このステップS68でYESと判定されてエンジンの再始動を失敗する可能性が高いことが確認された場合には、ステップS66に移行して第2のスタートアシスト制御を実行する。
【0066】
図13は、上記判定制御動作のステップS62またはステップS66で実行される第2のスタートアシスト制御動作を示している。この制御動作がスタートすると、スタートアシスト時にエンジン回転数およびエンジン回転方向の抵抗力を算出する後述の算出制御を実行した後(ステップS71)、このエンジン回転数およびエンジン回転方向の抵抗力に基づき、現時点におけるエンジンの運転状態が、図15の第1領域にあるか否か、つまりエンジンの高回転・高抵抗領域にあるか否かを判定する(ステップS72)。
【0067】
上記ステップS72でNOと判定され、エンジンが低回転・低抵抗領域にあってエンジンが逆転している可能性が高いことが確認された場合には、スタータ31の駆動を待機するとともに(ステップS73)、エンジンの運転状態が図15の第1領域から、図15の斜線で示す第2領域に移行したか否かを判定し(ステップS74)、YESと判定されてエンジンが正転領域に移行したことが確認された時点で、スタータ31の駆動を実行する(ステップS75)。
【0068】
一方、上記ステップS72でYESと判定されてエンジンが高回転・高抵抗領域にあることが確認された場合には、エンジン回転数Neが予め設定された基準回転数以下に低下したか否かを判定し(ステップS76)、NOと判定された場合には、スタータ31の駆動を待機する(ステップS77)。そして、上記ステップS76でYESと判定された時点で、ステップS75に移行してスタータ31の駆動を開始した後、エンジン回転数Neが予め設定された駆動終了判定値R以上に上昇したか否かを判定し(ステップS78)、YESと判定された時点でスタータ31の駆動を終了する(ステップS79)。
【0069】
図14は、図13に示すフローチャートのステップS71で実行されるエンジン回転数および抵抗力の算出制御動作を示している。この制御動作がスタートすると、エンジンの停止時に膨張行程にある燃料で燃焼を行った後に検出された角加速度に対応した燃焼エネルギーEcを、図外のマップに基づいて推定するとともに(ステップS81)、現在のエンジン回転数に対応した燃焼エネルギーEuを図外のマップに基づいて算出する(ステップS82)。
【0070】
次いで、ピストンが所定のクランク角間を移動して筒内の空気が圧縮されることにより生じるエネルギーロスEpを、図外のマップに基づいて算出するとともに(ステップS83)、ピストンが所定のクランク角間を移動する際の摩擦抵抗に応じて生じるエネルギーロスEfを、図外のマップに基づいて算出した後(ステップS84)、ピストンが所定のクランク角間を移動する際に生じるバルブスプリングの反力に対応したエネルギーロスEvを、図外のマップに基づいて算出する(ステップS85)。
【0071】
そして、上記ステップS81〜S85で算出した各エネルギーに基づいてエンジンのクランクが所定角度となった後の運動エネルギーE(=Ec+Eu−Ep−Ef−Ev)を算出するとともに(ステップS86)、この運動エネルギーEに基づいてエンジンのクランクが所定角度となった時点におけるエンジン回転数の予測値を算出するとともに(ステップS87)、上記エンジン回転数の予測値と、上記エネルギーロスEp,Ef,Evとに基づいてエンジンのクランクが所定角度となった時点におけるエンジンの回転抵抗の予測値を算出する。
【0072】
図7のフローチャート中のステップS27でNOと判定され、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストン停止位置が、予め設定された上記判定領域内であって、そのBDC側の領域A2内にあることが確認された場合に実行される第2再始動モードは、第1再始動モードの制御動作R1を示す図9のフローチャート中のステップS102において実行される燃料噴射によりNo.1気筒(エンジンに停止時に圧縮行程にある気筒)の空燃比が理論空燃比またはそれよりもリッチになるように制御される点と、上記No.1気筒に対する再度の燃料噴射F2および点火S2(ステップS113)が行われない点を除き、図9に示す第1再始動モードの制御動作R1と同様の処理が実行されるようになっている。
【0073】
図16は、図7のフローチャート中のステップS26でNO判定されてエンジン停止時に膨張行程にあるピストン4の停止位置が、予め設定された判定領域外にあるとき、あるいは上記フローチャートのステップS22でYESと判定されて気筒内の空気温度が極めて高い場合に実行される第3再始動モードの制御動作R3を示している。この第3再始動モードの制御動作R3がスタートすると、まずスタータ31の駆動を開始するとともに(ステップS91)、エンジンの停止時におけるピストンの停止位置に基づき、エンジンの停止時に圧縮行程にある気筒および膨張行程にある気筒の空気量を算出した後(ステップS92)、これらの気筒内の各空燃比が理論空燃比付近(λ=1)となるように燃料噴射F3を実行する(ステップS93)。なお、上記両気筒に対する燃料噴射量を算出する際に基準となる気筒内の空気量は、各気筒内の空気温度に対応して変化する空気密度に基づいて補正することが好ましい。
【0074】
そして、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒に対する燃料の噴射後に、この燃料の気化時間を考慮して設定された時間が経過した時点で、上記気筒に対する点火S1を実行する(ステップS94)。また、エンジンの停止時点に圧縮行程にある気筒が所定クランク角となった時点で、この気筒に対する燃料噴射F2を行った後(ステップS95)、上記図11に示す第2再始動モードR2のステップS44〜S52と同様の制御を実行する。
【0075】
以上のように、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張および排気の各行程からなるサイクルを行うように構成された多気筒4サイクルエンジンにおいて、エンジンの出力を要しない所定のアイドリング状態となってエンジンの停止条件が成立した場合には、この停止条件の成立時点で燃料供給が停止されることにより、エンジン回転数が次第に低下してエンジンが自動停止状態となる。
【0076】
そして、上記自動停止状態にあるエンジンを再始動させる際に、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置を検出し、このピストンの停止位置が上記気筒の燃焼によってエンジンの再始動を行い得るか否かを判定するために設定され判定領域内である場合には、原則としてスタータ31を作動させることなくエンジンを再始動させる図9に示す再始動制御を実行し、上記ピストンの停止位置が上記気筒の燃焼によってエンジンの再始動を行い得る上記判定領域よりも上死点側または下死点側にある場合には、再始動開始時点からスタータ31を作動させることによりエンジンを再始動させる図10に示す再始動制御を実行するように構成されたエンジンの始動装置において、エンジンの再始動開始時点における気筒内の空気密度を予測し、この空気密度の予測値が予め設定された基準値よりも低いと判定された場合に、通常時に比べて上記判定領域を狭めることにより、再始動開始時点からスタータ31を作動させる領域を広げるように構成したため、エンジンの状態の如何に拘わらず、エンジンを短時間で確実に再始動させることができるという利点がある。
【0077】
すなわち、エンジンの再始動開始時点で気筒内の空気密度が低いことに起因して始動性が悪化し易い状態にある場合には、スタータ31を作動させることなくエンジンの再始動を行うか否か判定するための判定領域を図8の実線で示す領域Aから破線で示す領域A′に狭めることにより、再始動開始時点からスタータ31を作動させる領域を広げるように構成したため、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストン停止位置が上記領域A′よりも上死点TDC側または下死点BDC側にあって、上記各気筒に対する燃料噴射および点火を行うだけでは適正にエンジンを始動させることができない可能性がある場合に、エンジンの再始動開始時点から上記スタータ31による始動アシストが積極的に行われることになる。
【0078】
したがって、上記気筒内の空気密度が低いことに起因して失火が発生し、あるいは燃料エネルギーが不充分であることに起因してエンジンが停止状態となる可能性が高いと判定された時点で、図17(b)に示すように、スタータ31を作動させるスタート駆動信号を出力することにより、再始動のアシストを行うように構成した場合のように、エンジン回転数が所定回転数(例えば600rpm)以上に上昇して再始動が完了するまでに0.5秒近くを要するという事態を生じることなく、図17(a)に示すようにエンジンの再始動開始信号の出力直後からスタータ駆動信号出力してスタータ31を作動させつつ、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒および圧縮行程に気筒に対する燃料噴射を行って順次点火することにより、再始動開始後の0.35秒程度でエンジン回転数を所定回転数以上に上昇させてエンジンの再始動を完了させることができる。
【0079】
しかも、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストン停止位置が図8の破線で示す領域A′内にあって、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒および圧縮行程にある気筒等を順次燃焼させるだけで、エンジンを適正に再始動することができる状態にある場合には、エンジンの再始動時に上記スタータ31の駆動を停止することにより、騒音の発生を防止するとともに、スタータ31の寿命が短くなるのを防止しつつ、エンジンを迅速かつ適正に再始動させることができるという利点がある。
【0080】
また、上記実施形態では、ECU30に設けられた空気密度予測手段により予測された気筒内の空気密度に基づき、再始動開始時点からスタータ31を作動させる領域を広げる際に、図8の破線で示すように、上記領域の上死点TDC側の拡大幅αを、下死点側の拡大幅βよりも大きく設定したため、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒のピストン停止位置が上死点側にあり、当該気筒内の空気量が元々少ない状態で空気密度が低下すると、気筒内の空気量が極端に減少して燃焼性が低下し易い状態にある場合には、再始動開始時点からスタータ31を作動させエンジンの始動性を向上させる制御を積極的に実行することにより、上記燃焼性の低下に起因して始動性が悪化するのを効果的に防止することができる。
【0081】
さらに、上記実施形態に示すようにエンジンの自動停止時のエンジン温度および吸気温度と、エンジンの自動停止状態の継続時間とに基づき、空気温度予測手段によりエンジンの再始動開始時点における気筒内の空気温度を予測するとともに、この空気温度の予測値に基づき、空気密度予測手段により空気密度を予測するように構成した場合には、エンジンの再始動時に気筒内の空気密度を正確に予測し、この予測結果に対応したエンジンの再始動制御を適正に実行することができるという利点がある。
【0082】
また、上記のようにエンジンの停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止状態で再始動条件が成立したときに、実質的な膨張行程にある気筒に燃料を噴射して点火することにより、エンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置において、図3に示すように、点火プラグ7の電極部7aに噴霧燃料Faの外縁部が位置するように燃料を噴射する燃料噴射弁7からなる燃料噴射手段を設けるとともに、エンジンの再始動開始時点における上記燃料の噴霧状態を予測し、この噴霧範囲が予め設定された基準範囲よりも小さい場合に、再始動開始時点からスタータ31を作動させるようにした構成によると、エンジンの再始動開始時点で燃料の噴霧領域が小さくなることに起因して燃焼性が低下し易い状態にある場合においても、エンジンを短時間で確実に再始動させることができる。
【0083】
すなわち、噴霧燃料Faの外縁部を上記電極部7aに位置させるように、燃料噴射弁8の燃料噴射方向、噴霧角度および噴霧圧力を設定した場合には、上記電極部7aに燃料の液滴が付着するのを防止しつつ、その周囲に適度の空燃比を有する混合気を形成することができるため、図18に示すように、通常時には空燃比A/Fが30以上となる極端なリーンな範囲まで着火可能である。これに対し、気筒内の空気温度が高温になることに起因して燃料噴霧Faの範囲が小さくなり、図3の破線で示すように、噴霧燃料Faの外縁部が上記電極部7aから外れると、燃料噴射時期を極端に遅らせても着火可能な空燃比A/Fが15程度まで極端に低下する傾向がある。したがって、上記のように気筒内の温度が上昇して燃料噴霧の範囲が小さい状態にある場合には、再始動開始時点からスタータ31を作動させることにより、エンジンを短時間で確実に再始動させることができる。
【0084】
上記実施形態において、エンジンの自動停止時のエンジン温度および吸気温度と、エンジンの自動停止状態の継続時間とに基づき、噴霧予測手段により燃料の噴霧状態を予測するように構成した場合には、エンジンの再始動開始時点で燃料の噴霧領域が小さくなることに起因して燃焼性が低下し易い状態にあるか否かを正確に判別し、この判別結果に対応したエンジンの再始動制御を適正に実行することができる。
【0085】
また、上記実施形態では、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒および圧縮行程にある気筒で順次燃焼を行うことにより変化するエンジン回転数を、再始動開始時点から最初の気筒が上死点を超えて第2番目の気筒が上死点を超える時点またはその近傍までの期間内で検出し、このエンジン回転数を予め設定された基準回転数と比較することにより、エンジンの始動状態が不良であるか否かを判定するように構成したため(図12参照)、この判定結果に応じて上記各気筒の燃焼による再始動が適正であるか否かを早期に判断し、適正でないと判断された時点でスタータ31を駆動して再始動のアシストを行うように構成したため、自動停止状態にあるエンジンが迅速かつ適正に再始動させることができる。
【0086】
すなわち、エンジンの停止時に膨張行程にある気筒および圧縮行程にある気筒で順次燃焼を行うことにより、例えば図19示すように、第1番目の気筒が上死点を超えた燃焼の終了した時点t1および第2番目の気筒が上死点を超えた燃焼の終了時点t2で検出されたエンジン回転数を、予め設定された基準回転数と比較することにより、エンジンの始動状態が不良であるか否かを判定するように構成したため(図13参照)、この判定結果に応じて上記各気筒の燃焼による再始動が適正であるか否かを早期に判断し、適正でないと判断された時点でスタータ31を駆動して再始動のアシストを行うことにより、自動停止状態にあるエンジンを迅速かつ適正に再始動させることができる。
【0087】
なお、エンジンの再始動開始時点から上記期間内でエンジンの回転速度の検出値に基づいて始動状態の良否を判定する場合に、回転変動が顕著に生じる各気筒の燃焼期間に上記回転速度の検出を行うと判定誤差が生じ易い傾向がある。したがって、エンジンの再始動時に上記期間内おいて燃焼の影響を受けることなく正確に検出されたエンジンの回転速度に基づき、再始動状態の良否が迅速かつ適正に判別するためには、上記期間内で各気筒の燃焼期間を除いた時期に検出されたエンジンの回転速度の検出値に基づいて始動状態の良否を判定することが望ましい。
【0088】
また、図19の(a)に示すように、エンジンの再始動開始時点tから第2番目の気筒が上死点Tを超える前の期間内おいて、各気筒の燃焼期間を除いた時期t1,t2に検出されたエンジン回転数に基づき、始動状態の良否を判定するように構成した場合には(図9のステップS112,S114参照)、エンジンの再始動時に上記期間内おいて燃焼の影響を受けることなく正確に検出されたエンジンの回転速度に基づき、より迅速かつ適正に再始動状態の良否を判別することができるという利点がある。
【0089】
さらに、エンジンの再始動開始後にエンジンを正転させる方向に駆動する第1番目の気筒の燃焼終了時点から、第1番目の気筒(図10に示すNo.1気筒)が上死点Tを超える前までの期間において、各気筒の燃焼期間を除いた時期t1に検出されたエンジン回転数に基づいて始動状態の良否を判定するように構成した場合には(図9のステップS112参照)、エンジンの再始動時に上記期間内おいて燃焼の影響を受けることなく正確に検出されたエンジン回転数に基づき、さらに迅速かつ適正に再始動状態の良否を判別することができる。
【0090】
また、上記実施形態では、図19(b)に示すように、再始動開始時点からエンジンのクランク角が予め設定された基準角度に到達するまで経過時間Tを計測するとともに、この経過時間Tが予め設定された基準時間よりも長い否かを判定することによりエンジンの再始動状態が適正であるか否かを判定するように構成したため(図12のステップS65,S67,S68参照)、エンジンの再始動を失敗してエンジンが停止状態となるか否かを正確に判別することができる。
【0091】
さらに、上記のようにエンジンのクランク角が予め設定された基準速度に到達するまでの計測時間を基準時間と比較することにより、始動状態の良否を判定する場合において、エンジンの再始動時におけるエンジンの要求トルクを検出し、この要求トルクが大きいほど、上記基準時間を短い値に設定するようにした構成によると、エンジンの再始動時に大きな出力トルクを発揮することが要求されている場合には、上記基準時間が短い値に設定されることにより、エンジンの再始動状態が適正であるか否かを迅速に判定することができる。したがって、例えば運転者が迅速な発進を意図している場合、車両が登坂状態または右折待機状態にある場合等に、始動状態の良否を早期に判定してスタータ31を早期に駆動することにより、エンジンを迅速に再始動させて上記要求トルクに対応した運転性を確保することができるという利点がある。
【0092】
また、エンジンの再始動時にアクセルペダルの踏込状態を検出し、このアクセルペダルの踏込状態に基づいてエンジンの要求トルクを判別するように構成してもよい。この構成によると、運転者がアクセルペダルを早期に踏み込み、あるいはアクセルペダル大きく踏み込む等により迅速に発進することを要求していることが確認された場合に、エンジンの再始動状態が適正であるか否かを判定するための上記基準時間を短い値に設定することにより、エンジンの再始動状態が適正であるか否かを迅速に判定することができるという利点がある。
【0093】
さらに、上記実施形態では、図12に示すように、エンジンの再始動時にブレーキスイッチのON・OFF状態に応じて車両の発進要求があるか否かを判定し、発進要求がない場合には、この発進要求がある場合に比べて上記基準時間を長い値に設定するように構成したため、運転者が発進を意図していない状態で再始動条件が成立した場合には、エンジンの再始動状態が適正であるか否かを判定するための基準時間を長い値に設定することにより、エンジンの再始動状態が適正であるか否かを正確に判定することが可能となり、スタータ31を必要な場合にのみに駆動させてエンジンを適正に再始動させることができる。
【0094】
【発明の効果】
以上のように請求項1に係る発明は、エンジンの停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止状態で再始動条件が成立したときに、実質的な膨張行程にある気筒に燃料を噴射して点火することにより、エンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置において、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置を検出するピストン位置検出手段と、このピストン位置検出手段により検出された上記ピストンの停止位置が上記気筒の燃焼によってエンジンの再始動を行い得る領域内である場合には、スタータを作動させることなくエンジンを再始動させるとともに、上記ピストンの停止位置が上記気筒の燃焼によってエンジンの再始動を行い得る領域よりも上死点側または下死点側にある場合には、再始動開始時点からスタータを作動させるように制御する再始動制御手段と、エンジンの再始動開始時点における気筒内の空気密度を予測する空気密度予測手段とを備え、この空気密度の予測値が予め設定された基準値よりも低い場合に、通常時に比べて再始動開始時点からスタータを作動させる領域を広げるように構成したため、エンジンの状態の如何に拘わらず、エンジンを短時間で確実に再始動させることができるという利点がある。
【0095】
また、請求項4に係る発明は、エンジンの停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止状態で再始動条件が成立したときに、実質的な膨張行程にある気筒に燃料を噴射して点火することにより、エンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置において、点火プラグの電極部に噴霧燃料の外縁部が位置するように燃料を噴射する燃料噴射手段と、エンジンの再始動開始時点における上記燃料の噴霧状態を予測する噴霧予測手段と、この噴霧予測手段により予測された噴霧範囲が予め設定された基準範囲よりも小さい場合に、再始動開始時点からスタータを作動させるように制御する再始動制御手段とを備えたため、エンジンの再始動開始時点で燃料の噴霧領域が小さくなることに起因して燃焼性が低下し易い状態にある場合においても、エンジンを短時間で確実に再始動させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による始動装置を備えたエンジンの概略断面図である。
【図2】上記エンジンの概略平面図である。
【図3】燃料の噴霧状態を示す説明図である。
【図4】エンジンの自動停止時おける制御動作を示すフローチャートである。
【図5】エンジン停止時のピストン位置を検出するための処理を示すフローチャートである。
【図6】2つのクランク角センサからのクランク角信号を示すものであって、(a)はエンジン正転時の信号、(b)はエンジン逆転時の信号である。
【図7】エンジンの再始動時における基本制御動作を示すフローチャートである。
【図8】エンジン停止時のピストン位置に応じた再始動モード選択のための領域の設定を示す説明図である。
【図9】第1再始動モードの制御動作を示すフローチャートである。
【図10】エンジン再始動時における各気筒のサイクルおよび燃焼動作を示す説明図である。
【図11】第1のスタートアシスト制御動作を示すフローチャートである。
【図12】エンジンの再始動制御時にスタートアシストが必要であるか否かを判定する判定制御動作を示すフローチャートである。
【図13】第1再始動モードの制御動作を示すフローチャートである。
【図14】エンジンの回転数および回転抵抗の算出制御動作を示すフローチャートである。
【図15】スタートアシスト時におけるエンジンの状態を示す説明図である。
【図16】第1再始動モードの制御動作を示すフローチャートである。
【図17】エンジンの始動に要する時間を示すタイムチャートである。
【図18】燃料の噴霧領域に対応した着火限界を示すグラフである。
【図19】エンジンの再始動時におけるエンジン回転数およびクランク角の変化状態を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
3A〜3D 気筒
4 ピストン
7 点火プラグ
8 燃料噴射弁
30 ECU(再始動制御手段)
31 スタータ

Claims (5)

  1. エンジンの停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止状態で再始動条件が成立したときに、実質的な膨張行程にある気筒に燃料を噴射して点火することにより、エンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置において、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストンの停止位置を検出するピストン位置検出手段と、このピストン位置検出手段により検出された上記ピストンの停止位置が上記気筒の燃焼によってエンジンの再始動を行い得る領域内である場合には、スタータを作動させることなくエンジンを再始動させるとともに、上記ピストンの停止位置が上記気筒の燃焼によってエンジンの再始動を行い得る領域よりも上死点側または下死点側にある場合には、再始動開始時点からスタータを作動させるように制御する再始動制御手段と、エンジンの再始動開始時点における気筒内の空気密度を予測する空気密度予測手段とを備え、この空気密度の予測値が予め設定された基準値よりも低い場合には、再始動開始時点からスタータを作動させる領域を上記空気密度の予測値が予め設定された基準値よりも高い場合に比べて広げるように構成したことを特徴とするエンジンの始動装置。
  2. 空気密度予測手段により予測された気筒内の空気密度に基づき、再始動開始時点からスタータを作動させる領域を広げる際に、上記領域の上死点側の拡大幅を下死点側の拡大幅よりも大きく設定することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの始動装置。
  3. エンジンの自動停止時のエンジン温度および吸気温度と、エンジンの自動停止状態の継続時間とに基づいてエンジンの再始動開始時点における気筒内の空気温度を予測するとともに、この空気温度の予測値に基づいて空気密度を予測することを特徴とする請求項1または2項に記載のエンジンの始動装置。
  4. エンジンの停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるとともに、エンジンの自動停止状態で再始動条件が成立したときに、実質的な膨張行程にある気筒に燃料を噴射して点火することにより、エンジンを再始動させるように構成されたエンジンの始動装置において、点火プラグの電極部に噴霧燃料の外縁部が位置するように燃料を噴射する燃料噴射手段と、エンジンの再始動開始時点における上記燃料の噴霧状態を予測する噴霧予測手段と、この噴霧予測手段により予測された噴霧範囲が予め設定された基準範囲よりも小さい場合に、再始動開始時点からスタータを作動させるように制御する再始動制御手段とを備えたことを特徴とするエンジンの始動装置。
  5. エンジンの自動停止時のエンジン温度および吸気温度と、エンジンの自動停止状態の継続時間とに基づき、噴霧予測手段により燃料の噴霧状態を予測することを特徴とする請求項4に記載のエンジンの始動装置。
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