JP2008133792A - エンジン停止制御装置 - Google Patents

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雅之 鐵野
Kunikimi Minamitani
邦公 南谷
Takeshi Inoue
武 井上
Hiroyuki Kisaka
浩幸 木坂
Koichi Shimizu
幸一 清水
Kazumi Kaneko
和巳 金子
Junichi Taga
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Abstract

【課題】所定の停止条件の成立時にエンジンを停止させ、その後所定の再始動条件の成立時にエンジンを再始動させるエンジン停止制御装置において、スタータモータへの負担を軽減し、長寿命化を図ることができるエンジン停止制御装置を提供する。
【解決手段】復帰推定手段が、エンジン停止前に燃焼によるエンジンの復帰が可能であると推定し、エンジン復帰制御手段が、エンジンの停止後に燃焼によるエンジンの再始動が不可能であると推定した場合、ピストンの逆転動作に同期して燃料を供給して点火し、エンジン動作を復帰させる。従来スタータモータによってエンジン始動を行わなければならなかったエンジンの停止条件の場合でも、エンジンを完全に停止させる前に燃焼によってエンジン動作を復帰させるので、スタータモータの使用頻度を少なくすることができ、スタータモータへの負担を軽減でき、長寿命化を図ることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、エンジンの停止および始動を制御するエンジン停止制御装置に関し、特に、例えば車両停止中のエンジンのアイドル運転状態等に所定のエンジン停止条件が成立したときにエンジンを停止させ、その後所定のエンジン再始動条件が成立したときにエンジンを再始動させるように構成されたエンジン停止制御装置に関する。
近年、燃費低減およびCO2排出量の抑制等を図るため、車両停止中のアイドル運転時等にエンジンを自動的に一旦停止させ、その後に運転者により車両の発進操作が行われる等の再始動条件が成立した時点で、エンジンを自動的に再始動させるようにしたエンジンの自動停止制御(いわゆるアイドルストップ制御)の技術が開発されている。このアイドルストップ制御時における再始動には、車両の発進操作等に応じてエンジンを即座に始動させる迅速性が要求されるが、通常のエンジン始動時のように、スタータモータによりクランキングを経てエンジンを再始動させる方法によると、始動が完了するまでにかなりの時間を要する、スタータモータの消耗が激しい等の問題がある。
その対策として、例えば特許文献1のようなエンジンの始動装置が知られている。この特許文献1のエンジンの始動装置では、エンジンの再始動に際し、まず圧縮行程で停止状態にある圧縮行程気筒内に燃料を噴射して燃焼を行わせ、エンジンを一旦逆転させ、膨張行程で停止している気筒の筒内圧を高めた後、この筒内圧を高めた気筒内に燃料を噴射して燃焼を行わせ、エンジンを正転させてスタータモータを用いずにエンジンを始動させる。
このようなスタータモータを用いないエンジンの再始動(燃焼による再始動)においては、圧縮行程で停止している気筒内での燃焼によって膨張行程で停止している気筒内の筒内圧を高めるのに十分な出力を得て、さらに筒内圧が高められた気筒での燃焼によってエンジンを正転させ始動させるのに十分な出力を得ることができるように、エンジン停止時に圧縮行程気筒および膨張行程気筒のピストンを適切な位置で停止させる必要がある。そこで、特許文献1のエンジンの始動装置では、ピストンが適切な位置で停止するように、燃料供給を停止する時のエンジン回転数等を制御して、エンジン停止制御を行うとともに、エンジンの再始動時に、ピストンの停止位置を検出し、ピストンの停止位置が、燃焼による再始動が可能な範囲内にある場合には、燃焼による再始動を行い、この範囲外である場合に、スタータモータによる再始動を行っている。
特開2004−124753号公報
しかしながら、上述のエンジンの始動装置では、スロットル弁の不具合や経年劣化によって所望の吸気圧が得られない、オルタネータの制御やエンジン性能がばらつく、或いはこれらの経年劣化等によって所望の回転数が得られないなどの理由により、ピストンの停止位置を所定範囲に適切に制御することができないことがある。このような場合の全てにおいて、スタータモータによるエンジンの再始動を行うので、スタータモータの消耗が激しく、スタータモータの寿命が短くなってしまうという問題がある。
本発明の目的は、所定の停止条件が成立したときにエンジンを停止させ、その後所定の再始動条件が成立したときにエンジンを再始動させるように構成されたエンジン停止制御装置において、スタータモータへの負担を軽減し、長寿命化を図ることができるエンジン停止制御装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明のエンジン停止制御装置は、所定のエンジン停止条件が成立したときに、エンジンへの燃料供給を停止してエンジンを停止させるエンジン停止制御手段と、エンジンの停止後、所定のエンジン再始動条件が成立したときに、エンジンを再始動させるエンジン再始動制御手段と、を備え、エンジン停止制御手段は、エンジンの停止状態が、ピストンが圧縮行程で停止している気筒内での燃焼によりエンジンを逆転させて、ピストンが膨張行程で停止している気筒内に筒内圧を発生させ、該筒内圧が発生した気筒内での燃焼によりエンジンを再始動させることができる再始動可能範囲内となるか否かを推定する停止状態推定手段と、エンジンの状態が、燃料供給停止によるエンジン停止前のエンジンの逆転動作に同期してエンジンに燃料を供給して点火し、燃焼を行わせることによりエンジンの動作を復帰させることが可能な、復帰可能範囲内であるか否かを推定する復帰推定手段と、停止状態推定手段によってエンジンの停止状態が再始動可能範囲外になると推定され、且つ復帰推定手段によってエンジンの状態が復帰可能範囲内になると推定されたとき、エンジンの停止前のエンジンの逆転動作に同期してエンジンに燃料を供給して点火し、燃焼を行わせることによりエンジンの動作を復帰させるエンジン復帰制御手段と、を有する、ことを特徴としている。
このように構成された本発明においては、エンジン復帰制御手段が、停止状態推定手段および復帰推定手段の推定結果に基づいて、エンジン停止後の燃焼によるエンジンの再始動が不可能で、且つエンジン停止前にピストンの逆転動作に同期して燃焼を行わせることによってエンジンの動作を復帰させることができる場合には、エンジンが完全に停止する前に、再び燃焼を開始させてエンジン動作を復帰させる。
したがって、エンジンを完全に停止させてしまうと燃焼によるエンジンの再始動ができない、即ちスタータモータによらなければ再始動ができない場合には、特定条件を満たせばエンジンを完全に停止させずに復帰させるので、スタータモータの使用頻度を減少させることができる。したがって、スタータモータの早期の劣化を防止することができ、長寿命化を図ることができる。
本発明において、好ましくは、停止状態推定手段および復帰推定手段は、エンジンが逆転動作を行う直前のピストン上死点におけるエンジン回転数がそれぞれ所定範囲内か否かを判断することによって、エンジンの停止状態および復帰可能状態を推定するように構成される。
このように構成された本発明においては、停止状態推定手段および復帰推定手段が、エンジンが逆転動作を行う直前のピストン上死点におけるエンジン回転数に基づいてエンジンの停止状態および復帰可能状態を推定する。したがって、エンジンの停止間際のエンジン回転数を用いてエンジン停止状態および復帰可能状態をそれぞれ推定するので、より確実な推定結果を得られ、エンジン停止制御装置の信頼性を向上させることができる。
本発明において、好ましくは、停止状態推定手段は、エンジンが逆転動作を行う直前のピストン上死点における吸気圧が所定範囲内か否かを判断することによってエンジンの停止状態を推定するように構成され、復帰推定手段は、エンジンが逆転動作を行う直前のピストン上死点におけるエンジン回転数が所定範囲内で、且つ吸気圧が所定範囲外であるとき、復帰可能範囲内になると推定する。
このように構成された本発明においては、停止状態推定手段は、エンジンが逆転動作を行う直前のピストン上死点におけるエンジン回転数に加えて、吸気圧にも基づいて、エンジンの停止状態を推定する。したがって、より正確にエンジン停止状態を推定することができ、停止状態推定手段の信頼性を向上させることができる。
また、復帰推定手段が、エンジンが逆転動作を行う直前のピストン上死点におけるエンジン回転数が所定範囲内で、且つそのときの吸気圧が所定範囲外であるときに、所定の復帰可能範囲内であると判断するので、エンジン復帰制御手段は、このような条件においても、エンジンの停止前に燃焼を再開してエンジンを停止させずに動作を復帰させる。したがって、このような動作状況においてもスタータモータの使用を回避することができるため、スタータモータの使用頻度を減らすことができ、早期劣化を防止することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明のエンジン停止制御装置1の一実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるエンジン停止制御装置1により制御されるエンジン本体2の概略断面図であり、図2は、エンジン本体2を示す概略平面図である。これらの図1および図2に示すように、エンジン本体2は、シリンダヘッド3およびシリンダブロック4を備え、シリンダブロック4内には、複数の気筒6A,6B,6C,6Dが形成されている。各気筒6A〜6Dには、それぞれピストン8が嵌挿され、ピストン8の上方に燃焼室10が形成されている。各ピストン8は、コンロッドを介してクランクシャフト12に連結されている。
各気筒6A〜6Dの燃焼室10の頂部には、点火プラグ14が配置され、そのプラグ先端が燃焼室10に臨んでいる。
さらに、燃焼室10の側方部には、燃焼室10内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁16が設けられている。この燃料噴射弁16は、図示しないニードル弁およびソレノイドを内蔵しており、パルス信号が入力されることにより、パルスに対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。そして、燃料噴射弁16は、点火プラグ14付近に向けて燃料を噴射するように取り付けられている。なお、この燃料噴射弁16には、図示しない燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して、圧縮行程での燃料室内の圧力よりも高い圧力で燃料が供給されるように構成されている。
また、各気筒6A〜6Dの燃焼室10に対して吸気ポート18および排気ポート20が開口し、これらのポート18,20に吸気弁22および排気弁24がそれぞれ取り付けられている。これらの吸気弁22および排気弁24は、図示しないカムシャフト等からなる動弁機構により駆動される。そして、各気筒が所定の位相差を持って燃焼サイクルを行うように、各気筒の吸排気弁の開閉タイミングが設定されている。
上記吸気ポート18および排気ポート20には、吸気通路26および排気通路28がそれぞれ接続されている。吸気通路26には、吸入空気量を調節する多連型のロータリバルブからなるスロットル弁30が設けられている。このスロットル弁30は、アクチュエータ32により駆動されるようになっている。
吸気通路26におけるサージタンク26Bの上流の共通吸気通路26C(図2)には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ34が設けられている。また、クランクシャフト12に対し、その回転角を検出するクランク角センサが設けられており、本実施形態では、互いに一定量だけ位相のずれたクランク角信号を出力する二つのクランク角センサ36,38が設けられている。さらにカムシャフトに対し、その特定回転位置を検出することで気筒識別信号を与えることのできるカム角センサ40が設けられている。なお、この他にも、エンジンの制御に必要な検出要素として、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ42、アクセル開度(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ44等が取り付けられている。また、エンジンの始動を補助するためのスタータモータ46が設けられている。
エンジン停止制御装置1は、制御手段としてのECU(エンジンコントロールユニット)48を備え、ECU48は、各センサ34,36,38,40,42,44からの信号を受け、燃料噴射弁16に対して燃料噴射量および噴射時期を制御する信号を出力するとともに、点火装置に対して点火時期制御信号を出力し、さらにスロットル弁30のアクチュエータ32に対してスロットル開度を制御する信号を出力する。また、ECU48は、図示しないオルタネータに対して適切な発電量を設定しその駆動信号を出力し、発電量を調整することによってクランクシャフト12の負荷を変化させる。
ECU48は、さらに、図1に示すように、エンジン運転中に、例えば車両が30秒停止した等の所定のエンジン停止条件が成立したときに、燃料の供給を停止して自動的にエンジンを停止させるエンジン停止制御手段50と、エンジンの停止後、運転者がアクセルを踏んだ等のエンジン再始動条件成立時に、自動的にエンジンの再始動を行わせるエンジン再始動制御手段52とを備える。
エンジン停止制御手段50は、エンジン停止条件が成立したときにエンジンへの燃料供給を停止してエンジンを所定状態で停止させるように制御するエンジン停止状態制御手段51と、エンジンの停止状態が、エンジンの停止後、燃焼によるエンジンの再始動が可能な再始動可能範囲内となるか否かを推定する停止状態推定手段54と、エンジンの停止状態が、エンジンの停止前に燃焼によるエンジン動作の復帰が可能な復帰可能範囲内であるか否かを推定する復帰推定手段56と、停止状態推定手段54によってエンジンの停止状態が再始動可能範囲外になると推定され、且つ復帰推定手段56によってエンジンが復帰可能範囲内になると推定されたとき、エンジンの停止前に燃焼によってエンジンの動作を復帰させるエンジン復帰制御手段58と、を有する。
また、エンジン再始動制御手段52は、停止状態推定手段54によってエンジンの停止状態が所定の再始動可能範囲内であると推定された場合に、エンジンの停止後、燃焼によりエンジンを再始動させる燃焼始動制御手段60と、停止状態推定手段54によってエンジンの停止状態が所定の再始動可能範囲外になると推定され、且つ復帰推定手段56によっても所定の復帰可能範囲外になると推定されたとき、エンジンの停止後にスタータモータ46によってエンジンを始動させるスタータアシスト始動制御手段62と、を有する。
停止状態推定手段54によって推定される再始動可能範囲は、エンジン停止時に圧縮行程にある圧縮行程気筒に燃料を供給して点火し、燃焼を行わせることによりエンジンを一旦逆転方向に所定量作動させ、エンジン停止時に膨張行程にある膨張行程気筒のピストン上昇によって圧縮圧力を高めてから、この膨張行程気筒で燃焼を行わせることによりエンジンを正転方向に作動させて始動させることが可能な範囲である。停止状態推定手段54は、エンジン停止時にピストンの停止位置が適切な範囲となるか否かを推定することによって始動が可能か否かを推定するのが好ましく、これに加えてエンジン停止時の吸気圧が適切な範囲となるか否かを推定することによって始動が可能かを推定するのがより好ましい。本実施形態では、停止状態推定手段54は、エンジンが停止する過程でピストンが停止前に逆転する直前でのピストン上死点におけるエンジン回転数が所定範囲内か否かを判定し、且つ、ピストンが逆転する直前のピストン上死点における吸気圧が所定範囲内か否かを判定することによってエンジン停止状態を推定するように構成されている。
復帰推定手段56によって推定される復帰可能範囲は、エンジンの停止前に生じるエンジンの逆転動作に同期してエンジンに燃料を供給して点火し、燃焼を行わせることによりエンジンの動作を復帰させることが可能な範囲である。本実施形態では、復帰推定手段56は、エンジン停止時にピストンの停止位置が適切な範囲となるか否かを推定することによって、エンジン動作の復帰が可能か否かを推定する。具体的には、復帰推定手段56は、エンジンが停止する過程でピストンが逆転する直前でのピストン上死点におけるエンジン回転数が所定範囲内か否かを判定することにより、復帰可能状態の推定を行う。
このような構成のエンジン停止制御手段50は、エンジン停止状態制御手段51によって、燃料供給停止後エンジンが停止するまでに、エンジン状態が再始動範囲内で停止するようにエンジンを制御するが、エンジンの停止時のピストン8の停止位置が、エンジン停止後燃焼による再始動には適切でないが、エンジンの停止前に燃焼によってエンジン動作の復帰が可能な範囲内にある場合には、エンジンを停止させずに、エンジンが停止する直前に生じるピストンの逆転動作を利用して、燃焼を再開させるように制御する。
エンジン再始動制御手段52の燃焼始動制御手段60は、エンジン再始動時に、ピストン8の停止位置が特定範囲にある場合には、まずエンジン停止時の圧縮行程気筒に対して燃焼を実行してピストンを押し下げ、膨張行程にある気筒のピストン上昇によって筒内圧力を高めるようにしてから、当該膨張行程気筒に対して燃料を噴射させて点火、燃焼を行わせるように制御する。
エンジン再始動制御手段52のスタータアシスト始動制御手段62は、エンジン再始動時に、ピストン8の停止位置が、燃焼による再始動が可能な特定位置から外れている場合に、スタータモータ46によってエンジンを始動するように制御する。
本実施形態のエンジン停止制御装置1によるエンジン停止の制御を、図3のフローチャートに基づいて説明する。また、図4は、エンジンを停止させるときの、時間tに対するピストン上死点のエンジン回転数(TDCエンジン回転数)Ne、吸気圧(TDC吸気圧)Btおよびスロットル弁30の開度Kの関係を示す。
図3に示すように、まず、エンジンが運転されている状態で、ECU48は、ステップS11においてエンジンを一時停止させる条件、即ちアイドルストップ条件が成立したか否かを判定する。この判定は、車速、エンジン温度(エンジン冷却水の温度)等に基づいて行われ、例えば車速が0の停車状態が所定時間以上継続し、且つエンジン温度が所定範囲内にあり、さらにエンジンを停止させることに格別の不都合がない状況にある場合にアイドルストップ条件成立とする。
アイドルストップ条件が成立したときは、ステップS12に進み、エンジンの目標速度を設定速度に制御して、吸気圧が所定圧力で安定するようにスロットル弁30の開度を調整する、エンジン停止前制御を行う。そして、次にステップS13で、エンジン停止条件が成立したか否かを判定する。この判定は、エンジン回転速度に基づいて行われ、エンジン回転速度が目標速度で安定したときにエンジン停止条件成立とされる。ステップS13においてYES、即ちエンジン停止条件が成立すると、ステップS14に進み、エンジンの各気筒に対する燃料供給を停止する。すると、図4のt1以降に示すように、TDCエンジン回転数Neは、徐々に減少していく。
次いで、ステップS15において、ピストン8を所定位置で停止させるように、エンジン停止制御を開始する。このエンジン停止制御では、スロットル弁30を所定開度に開き(図4のt1)、TDCエンジン回転数が所定回転数以下となるまでこの状態を保ち、所定回転数以下となったときスロットル弁30を閉じる(図4のt2)。また、オルタネータの発電を停止させてクランクシャフト12の回転抵抗を低減させ、TDCエンジン回転数を調節する。
次に、ステップS16で、ECU48は、このTDCエンジン回転数が第一の所定範囲内であるか否かを判定する。ここで、第一の所定範囲は、次に上死点となるはずのピストン8のTDCエンジン回転数がマイナス、つまり逆転するようなTDCエンジン回転数の範囲に設定されており、本実施形態では、0rpm〜280rpmに設定されている。
ステップS16においてYES、即ちTDCエンジン回転数が第一の所定範囲内であるときには、ECU48は、次に上死点となるはずのピストン8が逆転すると判断し、この時のTDCエンジン回転数が逆転動作を行う直前のTDCエンジン回転数と判定する。
次にステップS17において、ECU48は、このTDCエンジン回転数が第二の所定範囲内であるか否かを判定する。ここで、第二の所定範囲は、エンジン停止時の圧縮行程気筒および膨張行程気筒のピストン8の停止位置が燃焼によってエンジンを再始動することが可能な位置となるようなTDCエンジン回転数の範囲に設定されている。本実施形態では、180rpm〜280rpmに設定されている。
ステップS17においてYES、即ちTDCエンジン回転数が第二の所定範囲内である場合には、ステップS18に進み、ECU48は、次に上死点でのTDC吸気圧が所定範囲内か否かを判定する。ここで、吸気圧の所定範囲は、エンジン停止時の圧縮行程気筒および膨張行程気筒のピストン8の停止位置が、燃焼によるエンジンの再始動が可能な位置となるような吸気圧の範囲に設定されており、本実施形態では、−200〜−300mmHgに設定されている。
ここで、本得実施形態の再始動可能範囲は、ピストンが逆転する直前のTDCエンジン回転数が第二の所定範囲(180〜280rpm)内であり、且つピストンが逆転する直前のTDC吸気圧が所定範囲(−200〜−300mmHg)内となる範囲である。
ステップS18においてYES、即ちTDC吸気圧が所定範囲内である場合には、ECU48は、エンジン停止時の圧縮行程気筒および膨張行程気筒のピストン8の位置が、燃焼によりエンジンの再始動が可能な位置になると推定する。これにより、ECU48は、エンジンを一旦停止させても、燃焼によるエンジン再始動が可能であると判断し、そのままエンジン停止制御を続行し、ステップS19においてエンジンが停止するのを待って処理を終了する。その後、図4の時間t3以降に示すように、ピストン8は逆転、正転を繰り返し、圧縮行程気筒と膨張行程気筒との空気圧のバランスがとれた位置で停止する(図4のt4)。
こうしてピストン8が完全に停止するが、その停止直前から停止までのピストン8の動作をクランク各センサ36,38で検出することにより、ECU48は、ピストン8の停止位置を検出する。
図5は、各気筒のピストン8の停止位置検出ルーチンを示す。このルーチンがスタートすると、ECU48は、ステップS31において、第一クランク角信号CA1(第一クランク角センサ36からの信号)および第二クランク角信号CA2(第二クランク角センサ38からの信号)を調べ、第一クランク各信号CA1の立ち上がり時に第二クランク角信号CA2がLowまたは第一クランク角信号CA1の立ち下がり時に第二クランク角信号CA2がHighであるか否かを判定する。要するに、これらの信号CA1,CA2の位相の関係が図6(A)のようになるか、図6(B)のようになるかを判別することにより、エンジンの正転時か逆転時かを判別する。
すなわち、エンジンの正転時には、図6(A)のように、第一クランク角信号CA1に対して第二クランク各信号CA2が半パルス幅程度の位相が遅れているので、第一クランク角信号CA1の立ち上がり時に第二クランク各信号CA2がLow、第一クランク角信号CA1の立ち下がり時に第二クランク角信号CA2がHighとなる。一方、エンジンの逆転時には、図6(B)のように、第一クランク角信号CA1に対して第二クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相が進んでいるので、エンジンの正転時とは逆に第一クランク各信号CA1の立ち上がり時に第二クランク角信号CA2がHigh、第一クランク角信号CA1の立ち下がり時に第二クランク各信号CA2がLowとなる。そこで、ステップS31の判定がYESであれば、ステップS32に進み、エンジンの正転方向のクランク角変化を計測するためのCAカウンタをアップし、ステップS31の判定がNOの場合には、ステップS33に進み、CAカウンタをダウンする。そして、エンジン停止時にCAカウンタの値を調べることで停止位置を求めることができる。
図3に戻って、ステップS17においてNO、即ちTDCエンジン回転数が第二の所定範囲内でなかった場合には、ECU48は、TDCエンジン回転数が、エンジン停止時にピストン8が適切な位置とならない再始動可能範囲外になると推定する。次に、ステップS20に進み、ECU48は、TDCエンジン回転数が第三の所定範囲内であるか否かを判定する。ここで、第三の所定範囲は、本実施形態の復帰可能範囲に相当し、エンジン停止直前のエンジン逆転によって膨張行程気筒の圧縮が十分にでき、エンジンが逆転から正転に転じるときに膨張行程気筒を燃焼させてエンジンが始動できるような位置にピストン8が停止する範囲に設定される。本実施形態では、第三の所定範囲は、TDCエンジン回転数が100rpm〜180rpmとなる範囲に設定されている。
ステップS20においてNO、即ちTDCエンジン回転数が第三の所定範囲内でない場合には、ECU48は、エンジン停止前の燃焼による再始動はできないと推定する。ECU48は、この推定結果に基づいて、前述のステップS19に進んでエンジン停止制御を続行し、エンジンを停止させる。
ステップS20においてYES、即ちTDCエンジン回転数が第三の所定範囲内である場合には、ECU48は、エンジン停止前に燃焼を再開させることによりエンジンの運転を再開することが可能であると推定する。ECU48は、この推定結果およびエンジンの停止状態の推定結果に基づいて、エンジンが停止したときのピストンの位置では停止後に燃焼によるエンジンの再始動はできないが、エンジン停止前の燃焼によるエンジンの運転再開(動作復帰)は可能であると判断して、ステップS21に進んでエンジン停止前の燃焼によるエンジン復帰制御を行う。
また、ステップS18においてNO、即ち、TDCエンジン回転数が第一の所定範囲内であるが、TDC吸気圧が所定範囲外である場合には、ECU48は、エンジン停止時のピストンの停止位置が、エンジン停止後燃焼によるエンジン再始動が不可能であるが、エンジン停止前に燃焼を再開させることによりエンジンを再開することが可能な、復帰可能範囲内であると推定する。そしてステップS21に進み、エンジン停止前の燃焼によるエンジン復帰制御を行う。
図7は、図3のステップS21でエンジン停止前に燃焼によるエンジン動作の復帰を行うエンジン復帰制御のフローチャートである。この図7に示すように、ステップS41では、第一クランク角センサ36および第二クランク角センサ38によってピストン8の正転または逆転を監視する。ステップS41においてYES、即ちピストンの逆転を検出したら、ステップS42に進み、ECU48は、膨張行程気筒に燃料噴射を行う。そして、ステップS43において、ピストンが逆転から正転に転じるタイミングを待って、ステップS44において点火プラグ14で点火する。これにより、膨張行程気筒内の燃料が燃焼し、膨張行程気筒のピストン8が押し下げられ、エンジンが正転する。その後、ステップS45に進み、ECU48は、エンジンの通常制御に移行する。
図8は、図3のステップS19を経て、完全に停止したエンジンを再始動する場合のフローチャートを示す。この図8に示すように、ECU48は、まず、ステップS51において所定のエンジン再始動条件が成立したか否かを判定し、エンジン再始動条件が成立していなければ待機する。
ステップS51の判定がYESのとき、即ちエンジン再始動条件が成立する場合とは、例えば停車状態から発進のためのアクセル操作が行われた場合や、バッテリー電圧が低下した場合等があり、このときには、まず、ステップS52に進み、ECU48は、第一クランク角センサ36および第二クランク角センサ38によって検出されたピストン8の停止位置に基づいて、燃焼によるエンジンの再始動が可能か否かを判断する。ここで、ピストン8の停止位置の所定範囲は、例えば膨張行程で停止しているピストン8のクランク角100°〜120°である範囲に設定される。ステップS52においてYES、即ちピストン8の位置が適切で、燃焼によるエンジンの再始動が可能であると判断された場合には、ステップS53に進み、ECU48は、エンジン燃焼再始動制御を行う。
一方、ステップS52においてNO、即ちピストンの停止位置が不適切で、燃焼によるエンジン再始動が不可能であると判断された場合には、ステップS54に進み、ECU48は、スタータアシストによるエンジン再始動を行う。
図8のステップS53に示す燃焼によるエンジン燃焼再始動制御では、まず、ピストンの停止位置に基づいて圧縮行程気筒および膨張行程気筒の空気量を算出する。つまり、停止位置から圧縮行程気筒および膨張行程気筒の燃焼室容積が求められ、またエンジン停止の際には燃料カット後にエンジンが数回転してから停止するので、膨張行程気筒も新気で満たされた状態にあり、且つエンジン停止中に圧縮行程気筒および膨張行程気筒の筒内圧はほぼ大気圧となっているので、燃焼室容積から空気量を求めることができる。
続いて、算出された圧縮行程気筒の空気量に基づいて圧縮行程気筒内が所定の空燃比となるように燃料を噴射するとともに、算出された膨張行程気筒の空気量に基づいて膨張行程気筒内が所定の空燃比となるように燃料を噴射する。この場合、圧縮行程気筒および膨張行程気筒の空燃比は、ピストンの停止位置に応じて作成されたマップから求められる。圧縮行程気筒および膨張行程気筒の空燃比は、ほぼ理論空燃比もしくはそれより多少リッチな空燃比となるように、予め各マップが設定されている。
次に、圧縮行程気筒の燃料噴射後に、燃料の気化時間を考慮して設定した時間の経過後に、当該気筒に対して点火を行う。そして、点火してから一定時間内にクランク角センサのエッジ(クランク角信号の立ち上がりまたは立ち下がり)が検出されたか否かにより、ピストンが動いたか否かを判定し、失火によりピストンが動かなかった場合は、圧縮行程気筒に対して再点火を繰り返し行う。
クランク角センサのエッジが検出されたとき、エッジ検出後所定ディレイ時間が経過してから膨張行程気筒に対して点火を行う。ディレイ時間はピストンの停止位置に応じてマップから求められる。その後、通常の制御に移行する。
一方、図8のステップS54に示すスタータアシストによるエンジン再始動では、ECU48は、スタータモータ46の駆動を開始し、ピストン8の停止位置に基づいて圧縮行程気筒および膨張行程気筒の空気量を算出し、圧縮行程気筒および膨張行程気筒の各空燃比が理論空燃比付近となる量の燃料を噴射する。そして、膨張行程気筒の燃料噴射後に燃料の気化時間を考慮して設定された時間が経過してから、当該気筒に対して点火を行う。
次に、所定クランク角となったとき圧縮行程気筒に対して点火を行う。それからスタータモータ46の駆動を停止し、通常の制御に移行する。このとき、クランク角センサ36,38によってピストン8の位置が予め把握できるので、スタータモータ46の始動と同時に燃料を噴射することができるから、エンジンの始動を迅速に行うことができる。
このように構成された本実施形態によれば、次のような優れた効果を得ることができる。
エンジン復帰制御手段58が、停止状態推定手段54および復帰推定手段56の推定結果に基づいて、エンジン停止後の燃焼によるエンジンの再始動が不可能で、且つエンジン停止前にピストンの逆転動作に同期して燃焼を行わせることによってエンジンの動作を復帰させることができる場合には、エンジンが完全に停止する前に、再び燃焼を開始してエンジン動作を復帰させる。
したがって、従来スタータモータ46によるエンジン始動が必要であった場合についても、エンジンを停止させる前に復帰することができるので、スタータモータ46の使用頻度を減少させることができる。したがって、スタータモータ46の早期の劣化を防止することができ、長寿命化を図ることができる。また、スタータモータ46の信頼性を確保することができる。
また、スタータモータ46を用いたエンジン始動の頻度が少なくなるので、エンジン始動の際の騒音を抑制することができ、車両の快適性を向上させることができる。
停止状態推定手段54および復帰推定手段56が、エンジンが逆転動作を行う直前のピストン上死点におけるエンジン回転数に基づいてエンジンの停止状態および復帰可能状態を推定する。したがって、エンジンの停止間際のエンジン回転数を用いてそれぞれエンジン停止状態および復帰可能状態を推定するので、確実な推定結果を得られ、エンジン停止制御装置1の信頼性を向上させることができる。
停止状態推定手段52は、エンジンが逆転動作を行う直前のピストン上死点におけるエンジン回転数に加えて、吸気圧にも基づいて、エンジンの停止状態を推定する。したがって、より正確にエンジン停止状態を推定することができ、エンジン停止制御装置1の信頼性を向上させることができる。
また、復帰推定手段54が、エンジンが逆転動作を行う直前のピストン上死点におけるエンジン回転数が所定範囲内で、且つそのときの吸気圧が所定範囲外であるときに、所定の復帰可能範囲内であると判断するので、エンジン復帰制御手段58は、このような条件においても、エンジンの停止前に燃焼を再開してエンジンを停止させずに動作を復帰させる。したがって、このような動作状況においてもスタータモータ46の使用を回避することができるため、スタータモータ46の使用頻度を軽減でき、早期劣化を防止することができる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、例えば、停止状態推定手段は、TDCエンジン回転数およびTDC吸気圧の両方が所定範囲内にある場合に、エンジン停止後の燃焼によるエンジン再始動が可能とあると推定したが、これに限らず、例えばエンジンが逆転する直前のピストン上死点におけるTDCエンジン回転数が所定範囲内にあるか否かのみによって停止状態を推定してもよい。また、停止状態推定手段および復帰推定手段は、停止状態の推定および復帰可能状態の推定のために、TDCエンジン回転数をパラメータとして用いたが、これに限らず他のパラメータを用いて推定してもよい。
本発明の一実施形態によるエンジン停止制御装置を備えたエンジンの概略断面図である。 本発明の一実施形態によるエンジンを示す概略平面図である。 エンジン停止制御手段によるエンジン停止制御のフローチャートである。 エンジン停止時のエンジン回転数、吸気圧、およびスロットル弁の開度の変化を示す図である。 ピストン位置を検出するための処理を示すフローチャートである。 二つのクランク角センサからのクランク角信号を示すものであって、(A)はエンジン正転時の信号であり、(B)はエンジン逆転時の信号である。 エンジン復帰制御手段によるエンジン停止前の燃焼によるエンジン復帰制御を示すフローチャートである。 エンジン停止後、エンジン再始動を行う場合の処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 エンジン停止制御装置
2 エンジン本体
6A〜6D 気筒
8 ピストン
50 エンジン停止制御手段
52 エンジン再始動制御手段
54 停止状態推定手段
56 復帰推定手段
58 エンジン復帰制御手段

Claims (3)

  1. 所定のエンジン停止条件が成立したときに、エンジンへの燃料供給を停止して前記エンジンを停止させるエンジン停止制御手段と、前記エンジンの停止後、所定のエンジン再始動条件が成立したときに、前記エンジンを再始動させるエンジン再始動制御手段と、を備え、
    前記エンジン停止制御手段は、前記エンジンの停止状態が、ピストンが圧縮行程で停止している気筒内での燃焼によりエンジンを逆転させて、ピストンが膨張行程で停止している気筒内に筒内圧を発生させ、該筒内圧が発生した気筒内での燃焼によりエンジンを再始動させることができる再始動可能範囲内となるか否かを推定する停止状態推定手段と、前記エンジンの状態が、燃料供給停止によるエンジン停止前の前記エンジンの逆転動作に同期して前記エンジンに燃料を供給して点火し、燃焼を行わせることにより前記エンジンの動作を復帰させることが可能な、復帰可能範囲内であるか否かを推定する復帰推定手段と、前記停止状態推定手段によって前記エンジンの停止状態が再始動可能範囲外になると推定され、且つ前記復帰推定手段によって前記エンジンの状態が復帰可能範囲内になると推定されたとき、前記エンジンの停止前の前記エンジンの逆転動作に同期して前記エンジンに燃料を供給して点火し、燃焼を行わせることにより前記エンジンの動作を復帰させるエンジン復帰制御手段と、を有する、
    ことを特徴とするエンジン停止制御装置。
  2. 前記停止状態推定手段および前記復帰推定手段は、前記エンジンが逆転動作を行う直前のピストン上死点におけるエンジン回転数がそれぞれ所定範囲内か否かを判断することによって、前記エンジンの停止状態および復帰可能状態を推定するように構成される、
    請求項1記載のエンジン停止制御装置。
  3. 前記停止状態推定手段は、前記エンジンが逆転動作を行う直前のピストン上死点における吸気圧が所定範囲内か否かを判断することによって前記エンジンの停止状態を推定するように構成され、前記復帰推定手段は、前記エンジンが逆回転動作を行う直前のピストン上死点におけるエンジン回転数が所定範囲内で、且つ前記吸気圧が所定範囲外であるとき、前記復帰可能範囲内になると推定する、
    請求項2に記載のエンジン停止制御装置。
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