JP4103664B2 - エンジンの始動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイドリング時等に自動的にエンジンをいったん停止させ、その後に自動的に再始動させるエンジンの始動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃費低減およびCO2排出量抑制等のため、アイドル時に自動的にエンジンをいったん停止させ、その後に発進操作等の再始動条件が成立したときに自動的にエンジンを再始動させるようにしたエンジンの始動装置が開発されてきている。
【0003】
このようにエンジン停止後に自動的に再始動させる場合に、発進操作等に応じて即座に始動させることが要求されるため、始動用のモータによりエンジン出力軸を駆動するクランキングを経てエンジンを始動させるような、始動完了までにかなりの時間を要する従来の一般的な始動の方法は好ましくない。
【0004】
そこで、停止状態のエンジンの特定気筒に燃料を供給して着火、燃焼を行わせ、そのエネルギーでエンジンが即時的に始動されるようにすることが望ましい。この場合、エンジン停止中に膨張行程にある気筒に燃料を供給して燃焼を行わせるようにすればその燃焼のエネルギーをエンジン正転方向に作用させることができる。しかし、エンジン作動中であれば燃焼室内が高圧縮状態となってから燃焼が行われるので大きなエネルギーが得られるが、エンジン停止中には膨張行程の気筒から空気が洩出して燃焼室内の圧力が低下するため、その低い圧力の燃焼室内に燃料を供給して燃焼を行わせても始動に必要なエネルギーが充分に得られない場合が多い。
【0005】
このような問題の対策として、多気筒エンジンにおいてエンジン停止時に圧縮行程にある気筒に対して初回の燃焼を実行して当該気筒のピストンを下死点前の位置まで押し下げ、それに伴い膨張行程にある気筒のピストンが上死点に近づくことによって当該気筒の筒内圧力を高めるようにした上で、この膨張行程の気筒に対して燃料を噴射させて点火、燃焼を行わせ、こうしてエンジン正転方向に作用する燃焼エネルギーを増大させるように工夫したものも提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
国際公開第01/81759号パンフレット
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1に示されるような始動装置による場合、始動初期に圧縮行程での燃焼により当該気筒のピストンを押し下げてエンジンを逆転させるときに、下死点に近い位置まで当該気筒のピストンの有効ストロークを確保して膨張行程の気筒の圧縮圧力を高め得るようにすることが望ましいが、一般にエンジンの吸気弁の閉時期は下死点よりある程度遅角側(圧縮行程側)に設定されているので、エンジン逆転方向の作動によって圧縮行程の気筒のピストンが下死点側に移動したとき、吸気弁の閉時期より進角側まで移動すると吸気弁が開いてしまって、燃焼圧がピストンに有効に作用しなくなる。このため、ピストンの有効ストロークが制限される。この点で改善の余地がある。
【0008】
また、このようなエンジン逆転動作の後にエンジンが正転方向に駆動されて次第に回転数が高められる始動期間中は、圧縮圧力が高いと圧縮上死点を乗り越えにくくなるので、圧縮圧力を比較的低く抑えることが好ましく、このような点でも改善の余地がある。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑み、エンジンの始動初期に圧縮行程気筒での燃焼により当該気筒のピストンを押し下げるときの有効ストロークを確保して膨張行程の気筒の圧縮圧力を充分に高め得るようにするとともに、その後のエンジン始動期間中に圧縮圧力を低減することができ、これによって始動性を向上することができるエンジンの始動装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジン停止後において再始動条件が成立したときに、エンジン停止時に圧縮行程にある気筒に燃料を供給して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを逆転方向に所定量作動させて、エンジン停止時に膨張行程となり得る気筒の筒内圧力を高めてから、この膨張行程となり得る気筒で燃焼を行わせることによりエンジンを正転方向に回転させて再始動させるエンジンの始動装置において、吸気弁の閉時期を変更可能にする吸気弁閉時期可変手段と、エンジン再始動時に燃料噴射の制御、点火時期の制御及び上記吸気弁閉時期可変手段の制御を行う制御手段とを備え、上記制御手段は、エンジン再始動が開始された後に通常制御に移行するまでの始動期間に、筒内に吸い込んだ空気が吸気ポート側に吹き返されて有効膨張比に対し有効圧縮比が低くなるように吸気弁閉時期を上死点より所定量遅く設定するとともに、始動初期のエンジン逆転方向作動時には、吸気弁閉時期を進角させるように制御する構成としたものである。
【0011】
この発明によると、エンジン再始動の際に、先ず圧縮行程にある気筒で燃焼が行われることによりエンジンがある程度だけ逆転し、これにより膨張行程となり得る気筒のピストンが上昇して筒内圧力が高められてから、当該気筒で燃焼が行われることにより、当該気筒での燃焼圧が高められて、その燃焼圧が有効にピストンに作用し、エンジン正転方向の駆動力が得られる。
【0012】
この場合、始動初期のエンジン逆転方向作動時には吸気弁閉時期が進角されることにより、圧縮行程の気筒のピストン下死点に近づいたとき吸気弁が開いてしまうことが避けられてピストン有効ストロークが確保され、このため膨張行程となり得る気筒の筒内圧力が充分に高められる。そして、その後の始動期間には、吸気弁閉時期が遅くされることにより、始動期間中に圧縮行程となる気筒での圧縮抵抗が軽減される。
【0013】
これらの作用により、始動性が高められる。
【0014】
本発明において、上記制御手段は、エンジンの逆転方向の作動から正転方向の作動への移行時に、吸気弁閉時期を遅角させるようになっていることが好ましい。このようにすると、正転時の圧縮抵抗が早期に低減され、始動性がより一層高められる。
【0015】
また、エンジン停止時のピストン位置を検出するピストン位置検出手段を備え、上記制御手段は、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストン位置が所定の適正範囲にあるときに、圧縮行程にある気筒での燃焼によりエンジンを逆転方向に所定量作動させてから膨張行程にある気筒で燃焼を行わせるようにするとともに、上記ピストン位置が上記適正範囲のうちの上死点寄りの一定範囲内にあるときに、始動初期の吸気弁閉時期を進角させるようになっていることが好ましい。
【0016】
このようにすると、膨張行程のピストン位置が上記適正範囲のうちの上死点寄りの一定範囲内にあるときに、圧縮行程の気筒での燃焼によりエンジンが逆転方向に作動され、且つ、そのときに圧縮行程の気筒のピストンは下死点寄りの位置から押し下げられるが、この場合でも可及的にピストンの有効ストロークが確保される。
【0017】
また、エンジン停止時に圧縮行程にある気筒における始動初期の逆転のための燃焼の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とするように燃料供給量を制御してもよい。
【0018】
とくに、エンジン停止時のピストン位置を検出するピストン位置検出手段を備え、上記制御手段は、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストン位置が行程を3等分したうちの中間の範囲内で、かつ、行程の1/2より上死点寄りにあるときに、吸気弁閉時期を進角させるとともに、エンジン停止時に圧縮行程にある気筒における始動初期の逆転のための燃焼の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とし、この始動初期の燃焼の後に当該気筒に燃料を供給して、当該気筒が圧縮上死点を越えて膨張行程に移行したときに再度燃焼を行わせるように制御することが好ましい。
【0019】
このようにすると、膨張行程の気筒のピストン位置が行程の中間の範囲内で上死点寄りにある場合、つまり圧縮行程の気筒のピストン位置が下死点寄りにある場合に、圧縮行程の気筒内の空気量が比較的多いため空燃比をリーンにした状態で燃焼させても下死点近くまでピストンを移動させることができ、且つ、吸気弁閉時期が進角されることでピストン有効ストロークが確保される。そして、圧縮行程の気筒での始動初期の燃焼の空燃比がリーンとされることにより、余剰空気が残されて、この気筒が膨張行程に移行したときに再度燃焼を行わせることが可能となり、始動性がより一層高められる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1及び図2は本発明の一実施形態によるエンジンの概略構成を示している。これらの図において、エンジン本体はシリンダヘッド1及びシリンダブロック2で構成され、複数の気筒を有し、図示の実施形態では4つの気筒3A〜3Dを有している。各気筒3A〜3Dにはピストン4が嵌挿され、ピストン4の上方に燃焼室5が形成されている。上記ピストン4はコンロッドを介してクランクシャフト6に連結されている。
【0022】
各気筒3A〜3Dの燃焼室5の頂部には点火プラグ7が装備され、そのプラグ先端が燃焼室5内に臨んでいる。
【0023】
さらに、燃焼室5の側方部には、燃焼室5内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁8が設けられている。この燃料噴射弁8は、図略のニードル弁及びソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。そして、点火プラグ7付近に向けて燃料を噴射するように燃料噴射弁8の噴射方向が設定されている。なお、この燃料噴射弁8には図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、かつ、圧縮行程での燃焼室内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
【0024】
また、各気筒3A〜3Dの燃焼室5に対して吸気ポート9及び排気ポート10が開口し、これらのポート9,10に吸気弁11及び排気弁12が装備されている。これら吸気弁11及び排気弁12は動弁機構により駆動される。そして、後に詳述するように各気筒が所定の位相差をもって燃焼サイクルを行うように、各気筒の吸・排気弁11,12の開閉タイミングが設定されている。
【0025】
さらに、上記吸気弁11に対し、その閉時期を変更可能にする吸気弁閉時期可変手段13が設けられている。この吸気弁閉時期可変手段13は、例えば図3に示すように吸気弁のバルブリフト特性を通常特性V1、遅閉じ特性V2、早閉じ特性V3の3種類に切換え得るようになっている。上記通常特性V1は、吸気弁閉時期が下死点よりも少し遅く、通常運転時に充填効率を高めるのに適した時期となるように設定されている。上記遅閉じ特性V2は、通常特性V1と比べて閉時期を遅くしたものであり、筒内に吸い込んだ空気が吸気ポート側に吹き返されて有効膨張比に対し有効圧縮比が低くなるように吸気弁閉時期が上死点より所定量遅く設定されている。また、早閉じ特性V3は、通常特性V1と比べて閉時期を早くしたものであり、略下死点で吸気弁11が閉じるように設定されている。
【0026】
吸気弁閉時期可変手段13の具体的構造は本発明で限定しないが、例えば、通常特性V1を与える第1動弁カムと、遅閉じ特性V2を与える第2動弁カムと、、早閉じ特性V3を与える第3動弁カムとをカムシャフトに配設するとともに、これらの動弁カムと吸気弁11との間に、選択的にいずれかの動弁カムにより吸気弁11が開閉作動されるように、油圧等により作動されて動弁カムと吸気弁との連結を切換える切換機構を設けておくようにすればよい。あるいは、開弁用と閉弁用の一対の電磁石等からなる電磁式の動弁機構によって吸気弁を作動するようにし、これらの電磁石に対する通電を制御することにより吸気弁の開閉タイミングを変更し得るようにしてもよい。
【0027】
図1に戻って、上記吸気ポート9及び排気ポート10には吸気通路15及び排気通路16が接続されている。上記吸気通路15には、吸入空気量を調節するスロットル弁が設けられ、当実施形態では、吸入空気量の制御の応答性を高めるため、吸気ポート9に近い分岐吸気通路15aにスロットル弁17が設けられている。すなわち、吸気通路15は、サージタンク15bの下流に気筒別の分岐吸気通路15aを有し、各分岐吸気通路15aの下流端が各気筒の吸気ポート9に連通するが、その各分岐吸気通路15aの下流端近傍に、各分岐吸気通路15aを同時に絞り調節する多連型のロータリバルブからなるスロットル弁17が配設されている。このスロットル弁17はアクチュエータ18により駆動されるようになっている。
【0028】
上記吸気通路15におけるサージタンク15bの上流の共通吸気通路15cには、吸入空気量を検出するエアフローセンサ20が設けられている。また、上記クランクシャフト6に対し、その回転角を検出するクランク角センサが設けられており、当実施形態では、後に詳述するように、互いに一定量だけ位相のずれたクランク角信号を出力する2つのクランク角センサ21,22が設けられている。さらに、エンジンの特定クランク角を検出することで気筒識別信号を与えることのできる気筒識別センサ23が設けられている。なお、この他にもエンジンの制御に必要な検出要素として、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ24、アクセル開度(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ25等が装備されている。
【0029】
30は制御手段としてのECU(エンジンコントロールユニット)であり、上記各センサ20〜25からの信号を受け、上記燃料噴射弁8に対して燃料噴射量及び噴射時期を制御する信号を出力し、点火装置に対して点火時期制御信号を出力するとともに、バルブ駆動変更手段13に制御信号を出力している。また、スロットル弁17のアクチュエータ18に対してスロットル開度を制御する信号を出力している。さらに、スタータ(始動用モータ)31に対し、必要なときにその駆動を制御する信号を出力するようになっている。
【0030】
そして、アイドリング時において所定のエンジン停止条件が成立したときに、燃料供給停止等により自動的にエンジンを停止させるとともに、その後のエンジン再始動条件成立時に、自動的にエンジンの再始動を行わせる。このエンジン再始動時に、ピストンの停止位置が特定範囲にある場合は、先ずエンジン停止時に圧縮行程にある気筒に燃料を供給して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを逆転方向に所定量作動させてから、膨張行程にある気筒で燃焼を行わせることによりエンジンを正転方向に回転させて始動させる。また、吸気弁閉時期可変手段13の制御として、始動初期のエンジン逆転方向作動時には吸気弁11を早閉じ特性V3(図3参照)とし、その後の始動期間中は吸気弁11を遅閉じ特性V2(図3参照)とするようになっている。
【0031】
なお、当実施形態では、上述のようにエンジン停止時に圧縮行程にある気筒でのエンジン逆転のための初回燃焼と、エンジン停止時に膨張行程にある気筒でのエンジン正転のための燃焼とを行わせてから、エンジン停止時に圧縮行程にあった気筒が膨張行程に移行したときに当該気筒での再燃焼を行わせる第1再始動制御モードと、上記再燃焼を行わせない第2再始動制御モードと、エンジン停止時に圧縮行程にある気筒での初回燃焼を行わずにスタータ(始動用モータ)31でアシストしつつ膨張行程の気筒での燃焼により始動を行う第3再始動制御モードとを、ピストンの停止位置に応じて選択的に実行するようになっている。
【0032】
上記ECU30によるエンジン停止及び再始動の制御を、図4〜図10によって説明する。なお、以下の説明では、吸気行程にある気筒を吸気気筒、圧縮行程にある気筒を圧縮気筒、膨張行程にある気筒を膨張気筒、排気行程にある気筒を排気気筒と略称する。
【0033】
図4のフローチャートに示す処理は、エンジンが運転されている状態からスタートし、ECU30は、先ずステップS1でアイドルストップ条件が成立したか否かを判定する。この判定は、車速、エンジン温度(エンジン冷却水の温度)等に基づいて行い、例えば車速が0の停車状態が所定時間以上持続し、かつ、エンジン温度が所定範囲内にあり、さらにエンジンを停止させることに格別の不都合がない状況にある場合等に、アイドルストップ条件成立とする。
【0034】
アイドルストップ条件が成立したときは、エンジンの各気筒に対する燃料供給を停止し(ステップS2)、次いでいったんスロットル弁17を所定開度に開き(ステップS3)、それからエンジン回転数が所定回転数以下となるまでこの状態を保ち(ステップS4)、所定回転数以下となればスロットル弁17を閉じる(ステップS5)。
【0035】
続いて、ステップS6でエンジンが停止したか否かを判定し、エンジンが停止すると、後述の図6の停止位置検出ルーチンによるピストンの停止位置の検出に基づき、上記ステップS7で上記停止位置が所定範囲内にあるか否かを判定する。この場合に、エンジン停止時の膨張気筒においてピストン停止位置が図5中に斜線を付して示した範囲A、つまり、膨張行程中期に相当する範囲(3等分したうちの中間の範囲)を所定範囲とする。そして、この所定範囲A内にあるときは、ステップS8で、エンジン停止時の膨張気筒においてピストン停止位置が所定位置(行程の1/2)よりTDC(上死点)側にあるか否かを判定する。
【0036】
上記ステップS7,S8の判定に基づき、ピストン4の停止位置が所定範囲A内であって、そのTDC側(範囲A1内)にあることが確認された場合には、後述の図8に示す第1再始動制御モードのルーチン(R1)を実行し、ピストン4の停止位置が所定範囲A内であって、そのBDC側(下死点側)の範囲A2内にあることが確認された場合には、第2再始動制御モードのルーチン(R2)を実行する。また、ピストン4の停止位置が所定範囲A外であることが確認された場合は、第3再始動制御モードのルーチン(R3)を実行する。
【0037】
図6は停止位置検出ルーチンを示している。このルーチンがスタートすると、ECU30は、第1クランク角信号CA1(第1クランク角センサからの信号)および第2クランク角信号CA2(第2クランク角センサからの信号)を調べ、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLowまたは第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighであるか否かを判定する。要するに、これらの信号CA1,CA2の位相の関係が図7(a)のようになるか、それとも図7(b)のようになるかを判別することにより、エンジンの正転時か逆転時かを判別する(ステップS11)。
【0038】
すなわち、エンジンの正転時には、図7(a)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相遅れをもって生じることにより、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLow、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなる。一方、エンジンの逆転時には、図7(b)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相の進みをもって生じることにより、エンジンの正転時とは逆に第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がHigh、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がLowとなる。そこで、ステップS11の判定がYESであればエンジンの正転方向のクランク角変化を計測するためのCAカウンタをアップし(ステップS12)、ステップS11の判定がNOの場合は上記CAカウンタをダウンする(ステップS13)。そして、エンジン停止時に上記CAカウンタの値を調べることで停止位置を求める(ステップS14)。
【0039】
図8は図4のフローチャート中のステップS7での判定がYESのときに実行される第1再始動制御モードのルーチンを示している。また、図9は第1再始動制御モードにより制御される場合の各気筒のサイクル及び燃焼動作を示している。 なお、図9は4気筒4サイクルエンジンの場合について示しており、この4気筒4サイクルエンジンの場合、気筒列方向一端側からNo.1〜NO.4気筒と呼ぶと、吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルがNO.1気筒、NO.3気筒、NO.4気筒、NO.2気筒の順にクランク角で180°ずつの位相差をもって行われるようになっているので、例えば図9の例のようにエンジン停止時にNO.1気筒が圧縮行程であれば、NO.2気筒は膨張行程、NO.3気筒は吸気行程、NO.4気筒は排気行程となる。図9を参照しつつ、図8のルーチンを説明する。
【0040】
ECU30は、このルーチンにおいて先ずステップS21で、所定のエンジン再始動条件が成立したか否かを判定し、エンジン再始動条件が成立していなければ待機する。
【0041】
停車状態から発進のためのアクセル操作等が行われた場合や、バッテリー電圧が低下した場合等のエンジン再始動条件成立時(ステップS21の判定がYESのとき)には、ステップS22で、ピストンの停止位置に基づき、圧縮気筒(図9ではNO.1気筒)と膨張気筒(図9ではNO.2気筒)の各空気量を算出する。つまり、上記停止位置から上記各気筒の燃焼室容積が求められ、また、エンジン停止の際には燃料カット後にエンジンが数回転してから停止するので上記各気筒はいずれも新気で満たされ、かつ、エンジン停止中に各気筒の筒内圧は略大気圧となるので、上記燃焼室容積から空気量が求められることとなる。
【0042】
続いてステップS23で、算出した圧縮気筒の空気量に対して所定の空燃比となるように燃料噴射量を求めて、その噴射量で当該気筒に対する燃料噴射(図9中のF11)を行う。この場合、当該気筒での初回燃焼後も余剰空気が残存するように、上記所定の空燃比は理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とされる。また、ステップS24で、算出した膨張気筒の空気量に対して所定の空燃比(理論空燃比もしくはその近傍)となるように燃料噴射量を求め、その噴射量で当該気筒に対する燃料噴射(図9中のF12)を行う。
【0043】
また、ステップS25で、圧縮気筒の吸気弁11を早閉じ(図3中の早閉じ特性V3)とするように、吸気弁閉時期可変手段13を制御する。
【0044】
さらにステップS26で、圧縮気筒の燃料噴射後に燃料の気化時間を考慮して設定した時間が経過してから、当該気筒に対して点火(図9中のI11)を行う。こうして圧縮気筒内で燃焼を行わせ、その燃焼圧で当該気筒のピストンを押し下げ、エンジンを逆転させる。
【0045】
次にステップS27で、点火してから一定時間内にクランク角センサのエッジ(クランク角信号の立ち上がり又は立ち下り)が検出されたか否かにより、ピストンが動いたか否かを判定し、失火によりピストンとが動かなかった場合は圧縮行程気筒に対して再点火を繰り返し行う(ステップS28)。
【0046】
クランク角センサのエッジが検出されたときは、ステップS29で、エッジ検出後所定のディレイ時間が経過してから膨張行程に対して点火を行う。上記ディレイ時間はピストンの停止位置に応じて図外マップから求められる。
【0047】
こうして、エンジンの再始動開始後にいずれかの気筒が上死点に達するまでの第1行程において、圧縮気筒で点火、燃焼が行われてエンジンがある程度だけ逆転をした後、膨張気筒で点火、燃焼が行われてエンジンが正転する。
【0048】
また、ステップS30で、エンジンの始動期間中に吸気行程となる気筒の吸気弁11を遅閉じ(図3中の遅閉じ特性V2)とするように、吸気弁閉時期可変手段13を制御する。
【0049】
次にステップS31で、所定クランク角となったとき圧縮気筒に対して再度燃料を噴射する。この場合、圧縮気筒内に残存する空気量を演算するとともに、圧縮気筒2回目燃料噴射用の空燃比(理論空燃比もしくはそれより多少リッチ)を設定し、これらの基づいて燃料噴射量を演算し、その噴射量で圧縮気筒に対する燃料噴射(F21)を行う。そして、ステップS32で、停止時圧縮気筒が上死点を越えた時点で点火(図9中のI21)を行う。つまり、エンジン停止時の圧縮気筒が膨張行程となる第2行程で、この気筒において再燃焼を行わせる。
【0050】
さらにステップS33で、始動完了まで、吸気弁遅閉じを保ちつつ、順次各気筒に対して燃料噴射、点火を行う。例えば、エンジン停止時の吸気気筒は第2行程で圧縮行程となるが、この気筒が膨張行程に移行する第3行程ではこの気筒で燃焼が行われるように、この気筒に対する燃料噴射及び点火が制御される。
【0051】
始動が完了すれば通常制御に移行する(ステップS34)。通常制御としては、燃料噴射量、噴射時期及び点火時期が運転状態に応じて制御されるとともに、吸気弁閉時期も運転状態に応じて制御され、例えば低負荷時等にはポンピングロス低減のため遅閉じとされ、高速高負荷時等には図3中の通常特性V1とされる。
【0052】
なお、図3のフローチャート中のステップS8での判定がNOのときに実行される第2再始動制御モード(再燃焼なし)のルーチンの詳細については図示を省略するが、第1再始動制御モードのルーチンのうちのステップS21〜S24,S26〜S30,S33,S34と略同様の処理が行われる。ただし、ステップS23に相当する処理において、ピストンの停止位置に応じてマップから求められる圧縮行程気筒の空燃比は略理論空燃比もしくはそれよりリッチとなる。
【0053】
図10は、図4のフローチャート中のステップS7での判定がNOのときに実行される第3再始動制御モード(モータアシスト)のルーチンを示している。ECUは、このルーチンにおいて先ずステップS41で、所定のエンジン再始動条件が成立したか否かを判定し、エンジン再始動条件が成立していなければ待機する。
【0054】
エンジン再始動条件成立時(ステップS41の判定がYESのとき)には、ステップS42でスタータ31の駆動を開始し、ステップS43でピストンの停止位置に基づいて圧縮気筒及び膨張気筒の空気量を算出し、ステップS44で圧縮気筒及び膨張気筒の各空燃比が理論空燃比付近となるように燃料を噴射する。そして、ステップS45で、膨張気筒の燃料噴射後に燃料の気化時間を考慮して設定された時間が経過してから、当該気筒に対して点火を行う。
【0055】
次に、ステップS46で、所定クランク角となったとき圧縮気筒に対して点火を行う。それからスタータ31の駆動を停止し(ステップS47)、通常の制御(ステップS48)に移行する。
【0056】
以上のような当実施形態の装置によると、エンジンの出力を要しない所定のアイドル状態となってエンジン停止条件が成立したときにエンジンが自動停止状態となる。このエンジン停止に至るときには、圧縮気筒ではピストンが上死点に近づくにつれて当該気筒内の空気が圧縮されてピストンを押し返す方向に圧力が作用し、これによりエンジンが逆転して圧縮気筒のピストンが下死点側に押し返されると、膨張気筒のピストンが上死点側に移動し、それに伴い当該気筒内の空気が圧縮され、その圧力で膨張気筒のピストンが下死点側に押し返される。このようにしてピストンがある程度振動してから停止し、この際、圧縮気筒及び膨張気筒においてそれぞれピストンが上死点に近いほどこれを押し戻す力が大きいため、ピストンの停止位置は行程中間部に近い位置となる場合が多い。
【0057】
このようにエンジンが自動停止状態となった後にエンジン再始動条件が成立したとき、再始動が行われるが、この場合、エンジン停止時の膨張気筒のピストン位置が行程中間部付近の所定範囲A(図5参照)にあるときは、第1再始動制御モードのルーチン(図8)または第2再始動制御モードのルーチンが実行されることにより、圧縮気筒での点火、燃焼によりエンジンが多少逆転されてから、膨張気筒での点火、燃焼によりエンジンが正転方向に駆動される。
【0058】
すなわち、図9に示す例によると、圧縮気筒であるNO.1気筒に対する燃料噴射後に点火、燃焼が行われることにより、この気筒のピストンが押し下げられてエンジンが逆転し、これにより、膨張気筒であるNO.2気筒ではピストンが上死点に近づき、当該気筒内の空気が圧縮されて筒内圧が上昇し、この状態で点火が行われて、当該気筒に既に噴射されている燃料が燃焼することにより、比較的大きな燃焼圧が膨張気筒のピストンに作用し、エンジン正転方向の駆動力が高められる。
【0059】
ところで、上記逆転時に、エンジン停止時の圧縮気筒(NO.1気筒)の吸気弁11が仮に通常特性の開閉タイミング(図9中の破線)となっていると、圧縮気筒のピストンが下死点に近づいたときに吸気弁閉時期に相当するクランク角よりも進角側となることにより吸気弁11が開いてしまい、圧縮気筒内のガスが吸気ポート側に排出されて燃焼圧がピストンに作用しなくなる。従って、圧縮気筒のピストンの有効ストロークは吸気弁11の閉時期に相当するクランク角位置までに制限され、そのため膨張気筒の圧縮が不充分となる。
【0060】
これに対し、当実施形態では、始動初期に吸気弁11の閉時期が下死点付近まで進角した早閉じとされることにより、上記逆転時に圧縮気筒のピストンが下死点に近づいても吸気弁11が開くことがないため、圧縮気筒のピストンの有効ストロークが確保され、膨張気筒の圧縮が充分に行われる。そして、このように充分に圧縮した膨張気筒で燃焼が行われて燃焼圧が高められることにより、エンジン正転方向の駆動力がより一層高められる。
【0061】
また、エンジンが逆転から正転へ移行した後の始動期間中は、吸気弁11が通常特性よりも遅閉じとされることにより、始動中にいずれかの気筒の圧縮上死点を通過するときの圧縮抵抗が軽減される。
【0062】
これらの作用を図11を参照して説明する。同図は、エンジン回転数、膨張気筒(エンジン停止時に膨張行程にあった気筒)のクランク角、同気筒の筒内圧、圧縮気筒(エンジン停止時に圧縮行程にあった気筒)の筒内圧、および吸気気筒(エンジン停止時に吸気行程にあった気筒)の筒内圧について、始動開始時点からの時間経過に応じた変化を示している。
【0063】
同図に示すように、始動初期に、先ず圧縮気筒での燃焼により同気筒の筒内圧が少し高くなり(a部)、エンジンが逆転し、それにより膨張気筒の筒内が圧縮されて圧力上昇する(b部)。続いて燃焼により同気筒の筒内圧が上昇し(c部)、それによりエンジンが正転する。この際、上述のように圧縮気筒の吸気弁が早閉じとされることで膨張気筒が充分に圧縮されるため、このようにしない場合(b部及びc部の中の破線)と比べて膨張気筒の筒内圧が高められ、正転方向の駆動力が高められる。
【0064】
次に、圧縮気筒が膨張行程に移行するとき、当該気筒において上死点までは圧縮により筒内圧が上昇し(d部)、上死点を過ぎてから燃焼により筒内圧が上昇する(e部)。
【0065】
さらにその次に、吸気気筒が圧縮行程を経て膨張行程に移行するとき、当該気筒において上死点までは圧縮により筒内圧が上昇する(f部)。この場合、圧縮による筒内圧の上昇はエンジン回転に対する抵抗となり、その抵抗が駆動力と比べて大きければこの気筒の上死点を越えられずにエンジンが停止する可能性があるが、当実施形態では上述のように始動期間中に吸気弁が遅閉じとされることにより、このようにしない場合(f部の中の破線)と比べて圧縮による筒内圧の上昇が小さくなり、エンジン回転に対する軽減されるため、この気筒の上死点を越え易くなる。そして、この気筒の上死点を越えれば、燃焼により筒内圧が大きく上昇し(g部)、それにより駆動力が高められるため、始動が達成されることとなる。
【0066】
なお、エンジン停止時の膨張気筒のピストン位置が上記所定範囲Aのうちで中間部より上死点寄りの範囲A1にあれば、圧縮気筒のピストンは下死点寄りとなるので、このピストンを下死点の近くまで移動させるのに必要なトルクが小さくなるとともに、圧縮気筒内の空気量か多くなることから、当該気筒の空燃比をリーンとするように燃料噴射量が制御される。それにより、逆転のための初回燃焼の後にも筒内に余剰空気が残されるので、この余剰空気に応じた燃料が噴射され、当該気筒が膨張行程に移行したとき再燃焼が行われ、始動性が高められる。
【0067】
一方、エンジン停止時の膨張気筒のピストン位置が上記所定範囲Aのうちで中間部より下死点寄りの範囲A2にあれば、圧縮気筒のピストンは上死点寄りとなるので、このピストンを下死点の近くまで移動させるのに比較的大きなトルクが必要となり、かつ、圧縮気筒内の空気量か比較的少ないことから、当該気筒の空燃比を理論空燃比もしくはこれよりリッチとするように燃料噴射量が制御され、この場合は上記再燃焼は行われない。
【0068】
そして、このようにエンジン停止時の膨張気筒のピストン位置が下死点寄りの範囲A2にある場合には、圧縮気筒のピストンは上死点寄りの位置から下死点側へ移動して、通常の吸気弁閉時期に相当する位置までであっても移動ストロークは確保されるので、必ずしも吸気弁閉時期を進角させる必要はない。
【0069】
また、上述のようにエンジン停止時のピストン位置は上記範囲A内となることが多いため、エンジン再始動時に殆どの場合は上記第1再始動制御モードまたは第2再始動制御モードの制御により良好に再始動が行われるが、稀にはエンジン停止時のピストン位置が上記範囲Aから外れる可能性があり、上記範囲Aよりも膨張気筒の上死点側(排気気筒の下死点側)に近寄りすぎた場合には、エンジン逆転方向の移動量を充分にとることができなくなるとともに、膨張気筒の空気量が少なくなるので膨張気筒での燃焼により得られるトルクが少なくなり、また、上記範囲Aよりも膨張気筒の下死点側(排気気筒の上死点側)に近寄りすぎた場合には、排気気筒の空気量が少なくなるのでエンジン逆転のためのトルクが充分に得られなくなるため、これらの場合には上記第1再始動制御モードによる再始動が困難になる。
【0070】
そこで、エンジン停止時のピストン位置が上記範囲Aから外れた場合には、第3再始動制御モードが実行されてスタータにより始動がアシストされる。
【0071】
なお、本発明の装置の具体的構成は上記実施形態に限定されず、種々変更可能である。
【0072】
例えば、図8及び図9に示す制御において、始動初期におけるエンジンの逆転方向の作動から正転方向の作動への移行時に、圧縮気筒の吸気弁を図9に一点鎖線で示す遅閉じに変更するようにしてもよい。このようにすると、エンジン逆転方向作動時にはピストン有効ストローク確保のため早閉じとされていた圧縮の吸気弁が、正転方向の作動への移行時には遅閉じに変更されることにより、正転時の圧縮抵抗が早期に低減され、始動性がより一層高められる。
【0073】
また、上記実施形態では、始動時における第1行程でのエンジン正転方向の駆動のための燃焼は膨張気筒で行わせるようにしているが、吸気気筒は膨張気筒とピストンの動きが同じであって、吸気気筒の吸気弁を閉じれば膨張気筒化する(膨張行程となり得る)ので、膨張気筒化した吸気気筒で点火、燃焼を行わせてエンジン正転方向の駆動力を与えることも可能である。
【0074】
【発明の効果】
以上のように本発明のエンジンの始動装置によると、始動時に圧縮行程にある気筒での燃焼によりエンジン逆転方向の作動が行われる始動初期には、吸気弁閉時期が進角されることにより、圧縮行程の気筒のピストン下死点に近づいたとき吸気弁が開いてしまうことが避けられてピストン有効ストロークが確保され、このため膨張行程となり得る気筒の筒内圧力が充分に高められ、エンジン正転方向の駆動力が高められる。また、その後のエンジン始動期間中は、筒内に吸い込んだ空気が吸気ポート側に吹き返されて有効膨張比に対し有効圧縮比が低くなるように吸気弁閉時期が上死点より所定量遅く設定されるため、始動期間中に圧縮行程となる気筒での圧縮抵抗が軽減される。これらの相乗作用により、始動性を大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による始動装置を備えたエンジンの概略断面図である。
【図2】上記エンジンの概略平面図である。
【図3】吸気弁のバルブリフト特性を示す説明図である。
【図4】制御手段によるエンジンの停止及び再始動のための制御のフローチャートである。
【図5】エンジン停止時のピストン位置に応じた再始動制御モード選択のための範囲の設定を示す説明図である。
【図6】エンジン停止時のピストン位置を検出するための処理を示すフローチャートである。
【図7】2つのクランク角センサからのクランク角信号を示すものであって、(a)はエンジン正転時の信号、(b)はエンジン逆転時の信号である。
【図8】第1再始動制御モードを示すフローチャートである。
【図9】エンジン再始動時の各気筒のサイクル及び燃料供給、点火のタイミング等を示す説明図である。
【図10】スタートアシスト実行判定の処理を示すフローチャートである。
【図11】エンジン回転数、膨張気筒のクランク角、同気筒の筒内圧、圧縮気筒の筒内圧及び吸気気筒の筒内圧について、エンジン再始動開始後の時間経過に応じた変化を示す図である。
【符号の説明】
3A〜3D 気筒
4 ピストン
5 燃焼室
7 点火プラグ
8 燃料噴射弁
13 吸気弁閉時期可変手段
30 ECU
31 スタータ

Claims (5)

  1. エンジン停止後において再始動条件が成立したときに、エンジン停止時に圧縮行程にある気筒に燃料を供給して点火、燃焼を行わせることによりエンジンを逆転方向に所定量作動させて、エンジン停止時に膨張行程となり得る気筒の筒内圧力を高めてから、この膨張行程となり得る気筒で燃焼を行わせることによりエンジンを正転方向に回転させて再始動させるエンジンの始動装置において、
    吸気弁の閉時期を変更可能にする吸気弁閉時期可変手段と、
    エンジン再始動時に燃料噴射の制御、点火時期の制御及び上記吸気弁閉時期可変手段の制御を行う制御手段とを備え、
    上記制御手段は、エンジン再始動が開始された後に通常制御に移行するまでの始動期間に、筒内に吸い込んだ空気が吸気ポート側に吹き返されて有効膨張比に対し有効圧縮比が低くなるように吸気弁閉時期を上死点より所定量遅く設定するとともに、始動初期のエンジン逆転方向作動時には、吸気弁閉時期を進角させるように制御することを特徴とするエンジンの始動装置。
  2. 上記制御手段は、エンジンの逆転方向の作動から正転方向の作動への移行時に、吸気弁閉時期を遅角させるようになっていることを特徴とする請求項1記載のエンジンの始動装置。
  3. エンジン停止時のピストン位置を検出するピストン位置検出手段を備え、上記制御手段は、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストン位置が所定の適正範囲にあるときに、圧縮行程にある気筒での燃焼によりエンジンを逆転方向に所定量作動させてから膨張行程にある気筒で燃焼を行わせるようにするとともに、上記ピストン位置が上記適正範囲のうちの上死点寄りの一定範囲内にあるときに、始動初期の吸気弁閉時期を進角させることを特徴とする請求項1又は2記載のエンジンの始動装置。
  4. 上記制御手段は、エンジン停止時に圧縮行程にある気筒における始動初期の逆転のための燃焼の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とするように燃料供給量を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエンジンの始動装置。
  5. エンジン停止時のピストン位置を検出するピストン位置検出手段を備え、上記制御手段は、エンジン停止時に膨張行程にある気筒のピストン位置が行程を3等分したうちの中間の範囲内で、かつ、行程の1/2より上死点寄りにあるときに、吸気弁閉時期を進角させるとともに、エンジン停止時に圧縮行程にある気筒における始動初期の逆転のための燃焼の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とし、この始動初期の燃焼の後に当該気筒に燃料を供給して、当該気筒が圧縮上死点を越えて膨張行程に移行したときに再度燃焼を行わせるように制御することを特徴とする請求項1記載のエンジンの始動装置。
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