JP4103649B2 - エンジンの始動装置 - Google Patents

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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイドリング時等に自動的にエンジンを一旦停止させ、その後に自動的に再始動させるエンジンの始動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃費低減およびCO2排出量抑制等のため、アイドル時に自動的にエンジンをいったん停止させ、その後に発進操作等の再始動条件が成立したときに自動的にエンジンを再始動させる(以下アイドルストップ又はI/Sという)ようにしたエンジンの始動装置が開発されてきている。
【0003】
アイドルストップにおける再始動は、発進操作等に応じて即座に始動させることが要求されるため、スタータ(始動用のモータ)によりエンジン出力軸を駆動するクランキングを経てエンジンを始動させるような、始動完了までにかなりの時間を要する従来の一般的な始動の方法は好ましくない。
【0004】
そこで、停止状態のエンジンの特定気筒(膨張行程にある気筒)に燃料を供給して着火、燃焼を行わせ、そのエネルギーでエンジンが即時的に始動されるようにすることが望ましい。しかし、膨張行程にある気筒に燃料を供給して着火させ、燃焼させてもエンジン始動のための充分なトルクが得られるとは限らない。円滑に再始動を行うためには一定以上の着火性と発生トルクの大きさが求められる。
【0005】
このような問題の対策として、例えば特許文献1に示されるように、IG OFF(点火停止)後、排気弁の閉時期を制御してピストンが適正位置にある状態でエンジンを停止させ易くしたもの、あるいは特許文献2に示されるように、ピストン位置を調節するためのモータ、ギヤ等からなる調節駆動装置を設け、エンジン停止時にピストンが適正位置にない場合は、エンジン停止中に上記調節駆動装置によりピストンを適正位置まで変位させるようにしたものなどが提案されている。
【0006】
再始動するためのピストンの適正停止位置とは、一般的には上死点後90°CA(クランク角)前後、即ち上死点と下死点の中間付近であり、この位置でピストンを停止させると、適度に存在する筒内空気と再始動時に供給される燃料とで良好な燃焼が得られ、再始動に充分なトルクを発生させ易い。即ち、特許文献1及び特許文献2は、燃焼によって充分な再始動トルクが得られるように、ピストンの停止位置を規制しようとするものである。
【0007】
【特許文献1】
WO 01/44636 A2号公報
【特許文献2】
特開平8−210231号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例では、燃料に着火し、良好な燃焼が行われれば円滑な再始動が出来るが、エンジンの状態によっては着火しなかったり、燃焼が不安定であったりすることがあり、そのような場合にはたとえピストンが適正位置で停止していても円滑な再始動が望めないものであった。例えばエンジンの温度状態が比較的低い場合には、良好な着火、燃焼を行い難い。従って、そのような場合にはスタータによる再始動を行ったり、初めからエンジンの停止を行わない(エンジン停止条件を成立させない)ようにしたりする必要があった。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑み、エンジンの温度状態が比較的低い場合でも良好な着火、燃焼が行えるようにして、スタータによる再始動の機会を減少させ、またアイドルストップを行う機会を比較的低温領域まで拡大することによって、一層の燃費低減およびCO2排出量抑制等を図ることができるエンジンの始動装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の本発明は、所定のエンジン停止条件が成立したときに自動的に燃料供給を停止してエンジンを停止させるとともに、エンジン停止後における再始動条件成立時に、膨張行程にある気筒に対して燃料を噴射させて点火、燃焼を行わせ、エンジンを再始動させるエンジンの始動装置において、吸気弁と排気弁の少なくとも一方の開閉タイミングを変更可能にするバルブタイミング可変手段と、上記バルブタイミング可変手段による吸排気弁の開閉タイミングを制御するバルブタイミング制御手段とを備え、上記バルブタイミング制御手段は、エンジン停止条件成立後における燃料供給停止後の所定期間、上記吸排気弁の開閉タイミングを、内部EGR量が増大するような設定に変更することを特徴とする。
【0011】
内部EGRとは、EGR(排気還流)の一形態であり、通常のEGRが排気通路と吸気通路とを連通させるEGR通路を用いる(請求項5参照)のに対し、EGR通路を用いることなく、気筒内で排気還流(或いは排気の残留)を行うもので、一般的には吸排気弁の開閉タイミングを変更することによってなされる。
【0012】
請求項1の構成によると、燃料供給停止後の所定期間、内部EGR量(内部EGRによって還流されるガスの量)が増大するため、高温の既燃ガスが気筒内に還流または残留することとなり、筒内温度を上昇させる。筒内温度が上昇すると、その後の再始動の際、燃料の気化が促進されるので、良好な燃焼が得られ易くなる。即ち、エンジン温度が比較的低い状態でもアイドルストップを実行し易くなるので、アイドルストップの実行可能領域を低温側に拡大することができる。その結果、更なる燃費の向上とCO2排出量の抑制等が図られる。
【0013】
ここでいう燃料供給停止後の所定期間とは、燃料供給が停止された瞬間からエンジンが完全に停止するまでの全期間の内の任意の期間である。所定期間の終了時点を遅い時期(例えばエンジン回転数が0rpmとなるエンジン完全停止時点)に設定すると、多くの既燃ガスが還流されることになり、筒内温度上昇効果が大となる。一方、所定期間の終了時点をエンジン完全停止時点より早めると、筒内温度上昇効果は目減りするが、エンジン停止時に残存する既燃ガスの量が低減するので、再始動時の燃焼に供される酸素量が増大し、再始動性を向上させることができる。
【0014】
内部EGR量が増大するような設定として、上記排気弁の閉弁時期を上死点前とすることができる。このような設定とすれば、排気弁から掃気される既燃ガスの量が削減されるので、多くの既燃ガスを気筒内に残留させることができ、筒内温度を高め易くなる。
【0015】
また、内部EGR量が増大するような設定として、上記吸気弁の開弁時期を上死点後とすることができる。このような設定とすれば、ピストンが上昇中に吸気弁が開弁することがないので、気筒内から吸気ボートへの既燃ガスの逆流が効果的に抑制され、より多くの既燃ガスを気筒内に残留させることができ、筒内温度を高め易くなる。
【0016】
更に、内部EGR量が増大するような設定として、上記排気弁の閉時期を上死点前とするとともに、上記吸気弁の開時期を上死点後とし、かつ上死点から上記吸気弁の開時期までの期間を、上記排気弁の閉時期から上死点までの期間と同等以下とするようにしても良い。このようにすれば、上記のように多くの既燃ガスを気筒内に残留させることができることに加え、吸気弁の開弁時期が上死点付近となるため、断熱膨張(ここでは、吸排気弁が共に閉弁状態の下で、ピストンが降下する膨張形態)を可及的に回避し、その膨張仕事による筒内温度の低下を効果的に抑制することができる。
【0017】
請求項5の発明は、所定のエンジン停止条件が成立したときに自動的に燃料供給を停止してエンジンを停止させるとともに、エンジン停止後における再始動条件成立時に、膨張行程にある気筒に対して燃料を噴射させて点火、燃焼を行わせ、エンジンを再始動させるエンジンの始動装置において、吸気通路に設けられて吸気量を調節するスロットル弁と、排気通路と上記スロットル弁よりも気筒側の上記吸気通路とを連通して排気を還流するEGR通路と、上記EGR通路に設けられ、排気還流量を調節するEGR弁と、上記スロットル弁を制御するスロットル弁制御手段と、上記EGR弁を制御するEGR弁制御手段とを備え、エンジン停止条件成立後における燃料供給停止後、上記EGR弁制御手段は上記EGR弁を所定期間開弁状態とするとともに、上記スロットル弁制御手段は上記スロットル弁を所定期間閉弁状態とし、その後の所定期間、上記スロットル弁制御手段は上記スロットル弁を開弁状態とすることを特徴とする。
【0018】
この構成によると、内部EGRに代えてEGR通路を使用する排気還流(一般的なEGR)によって、請求項1と同様の作用効果を得ることができる。なお、所定期間の排気還流後、スロットル弁を開弁することによって、エンジン停止時には充分な酸素を含んだ新気を気筒内に導くことができるので、再始動性を高めることができる。
【0019】
以上の構成において、出力軸を駆動してエンジンを始動させるスタータを備え、エンジンの温度状態が所定の温度よりも低い場合は、上記再始動の開始時点から上記スタータを作動させるようにしても良い。このようにすると、EGRによって筒内温度を上昇させてもなお再始動性が懸念される場合(例えばエンジン温度が更に低い場合)や、エンジン停止時間が長く、その間の筒内温度の低下が大である場合であっても、スタータの補助により、安定した再始動を行うことができる。この際のスタータは補助的に使用されるため、完全にスタータのみによって始動する場合よりも始動遅れは充分小さくすることができる。
【0020】
更に以上の構成において、上記再始動時の燃料噴射は、分割噴射としても良い。分割噴射とは、1回分の噴射燃料を複数に分割し、所定の時間間隔をもって噴射することである。分割噴射を行えば、1回の噴射当りの燃料が少ないため、気化性が向上する。従って、再始動性を一層向上させることができる。
【0021】
なお、本発明の始動装置は、エンジンの再始動時に、膨張行程にある気筒で燃焼を行わせてエンジンを再始動させるものであるが、膨張行程にある気筒での燃焼に先立ち、圧縮工程にある気筒で燃焼を行わせて、エンジンを僅かに逆回転させるものも含む。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1及び図2は本発明の第1実施形態によるエンジンの概略構成を示している。これらの図において、エンジン1の本体はシリンダヘッド2a及びシリンダブロック2で構成される。当実施形態ではエンジン1は4気筒4サイクルエンジンであり、4つの気筒3(詳しくは、図2に示す状態で左から順に1番気筒3A、2番気筒3B、3番気筒3C、4番気筒3D)を有している。各気筒3にはピストン4が嵌挿され、ピストン4の上方に燃焼室5が形成されている。上記ピストン4はコンロッドを介してクランクシャフト6に連結されている。
【0024】
各気筒3の燃焼室5の頂部には点火プラグ7が装備され、そのプラグ先端が燃焼室5内に臨んでいる。
【0025】
更に、燃焼室5の側方部には、燃焼室5内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁8が設けられている。この燃料噴射弁8は、図略のニードル弁及びソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。そして、点火プラグ7付近に向けて燃料を噴射するように燃料噴射弁8の噴射方向が設定されている。なお、この燃料噴射弁8には図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、かつ、圧縮行程での燃焼室内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
【0026】
また、各気筒3の燃焼室5に対して吸気ポート9及び排気ポート10が開口し、これらのポート9,10に吸気弁11及び排気弁12が装備されている。これら吸気弁11及び排気弁12は、カムシャフト26,27等からなる動弁機構により駆動される。そして、後に詳述するように各気筒が所定の位相差をもって燃焼サイクルを行うように、各気筒の吸・排気弁の開閉タイミングが設定されている。
【0027】
吸気弁11及び排気弁12の開閉時期は、カム位相可変機構26a,27aによって可変となっている。カム位相可変機構26a,27aは、カムシャフト26,27の回転位相をクランクシャフトの回転位相に対して変動させる、従来から知られた機構であり、バルブタイミング可変手段として機能する。図2に示すように吸気弁11側のカムシャフト26にはカム位相可変機構26aが、排気弁12側のカムシャフト27にはカム位相可変機構27aが設けられており、それぞれ独立して制御されている。従って、吸気弁11及び排気弁12の開閉時期は、カム位相可変機構26a,27aによってそれぞれ独立して全体的に前後に変動させることができる。
【0028】
吸気ポート9及び排気ポート10には吸気通路15及び排気通路16が接続されている。吸気通路15は、サージタンク15bの下流に気筒別の分岐吸気通路15aを有し、各分岐吸気通路15aの下流端が各気筒の吸気ポート9に連通するが、その各分岐吸気通路15aの下流端近傍に、各分岐吸気通路15aを同時に絞り調節する多連型のロータリバルブからなるスロットル弁17が配設されている。このスロットル弁17はスロットル弁アクチュエータ18により駆動されるようになっている。
【0029】
上記吸気通路15におけるサージタンク15bの上流の共通吸気通路15cには、吸気量を検出するエアフローセンサ20が設けられている。また、上記クランクシャフト6に対し、その回転角を検出するクランク角センサが設けられており、当実施形態では、後に詳述するように、互いに一定量だけ位相のずれたクランク角信号を出力する2つのクランク角センサ21,22が設けられている。さらにカムシャフト26,27に対し、その特定回転位置を検出することで気筒識別信号を与えることのできるカム角センサ23が設けられている。また、エンジン1を始動させるためのモータであるスタータ28が設けられており、このスタータ28の駆動力が図外のスタータギヤを介してクランクシャフト6に直接伝達されることにより、エンジン1が始動するように構成されている。
【0030】
なお、この他にもエンジン1の制御に必要な検出要素として、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ24、アクセル開度(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ25(図3参照)等が装備されている。
【0031】
図3は、エンジン1の制御ブロック図であり、ECU(エンジンコントロールユニット)30を中心に、信号を入力するスイッチやセンサと、出力する装置やアクチュエータ等を示す。なお、このブロック図は、アイドルストップ制御に関するものなので、その他の制御に関する部分については省略している。
【0032】
ECU30の入力側には、上記エアフローセンサ20、クランク角センサ21,22、カム角センサ23、水温センサ24及びアクセル開度センサ25に加え、I/S(アイドルストップ)を行うためのセンサ類として、ブレーキの踏み込み深さを検出するブレーキセンサ62、車速を検出する車速センサ63、AT(自動変速機)のシフトレバー位置を検出するインヒビタスイッチ64、パーキングブレーキのON/OFFを検出するパーキングブレーキスイッチ65、ウインカのON/OFFを検出するウインカスイッチ66、エアコンのON/OFFを検出するエアコンスイッチ67及びブレーキ負圧を検出するブレーキ負圧センサ68がそれぞれ接続され、各検出信号が入力される。
【0033】
またECU30の出力側には、上記点火プラグ7、燃料噴射弁8、スロットル弁アクチュエータ18、カム位相可変機構26a,27a及びスタータ28に加え、アイドルストップ表示ランプ71、電動オイルポンプ72、ATF切換弁73及びヒルホルダ用ソレノイド弁74が接続され、各装置類への駆動信号を出力する。
【0034】
アイドルストップ表示ランプ71は、I/Sの実施状況を運転者に示すためのランブで、詳細は後述するが、I/Sによるエンジンの停止中であることや、I/Sが禁止中であること、或いはエンジンを再始動すること等を表示するランプの総称である。
【0035】
電動オイルポンプ72は、I/Sによるエンジン停止中に、ATへの油圧を供給する電動のオイルポンプである。通常運転時、AT内部のクラッチは、クランクシャフト6に直結して駆動される図外の機械式オイルポンプを油圧供給源として作動する。従って、I/Sによってエンジンが停止すると、油圧が低下し、クラッチは解放する。これではエンジン再始動後、クラッチを再締結させるための時間ロスが発生し、発進性が悪化する。それを防止するため、エンジンの停止中には別途電動オイルポンプ72によってATに油圧を供給するように構成されている。
【0036】
ATF切換弁73は、油圧供給源からATへのATF(自動変速機油)の通路を切換える換え弁である。通常の運転時には機械式オイルポンプからATにATFを導き、I/Sによるエンジン停止中には電動オイルポンプ72から導くように切換えられる。
【0037】
ヒルホルダ用ソレノイド弁74は、ブレーキオイルの供給通路を遮断する図略のヒルホルダを駆動するためのソレノイド弁である。通常運転時にはエンジンに連動する倍力装置が作動し、ブレーキ油圧が高められている。しかしエンジン停止中にはこの倍力装置が作動しないため、ブレーキ油圧が低下し、制動力が減少する。従って、例えば坂道等でアイドルストップを行った場合、制動力不足によって車両が動く可能性がある。それを防止するため、ヒルホルダは、ヒルホルダ用ソレノイド弁74でブレーキオイルの供給通路を遮断することによってブレーキ油圧を高い状態で保持するように構成されている。
【0038】
ECU30は、内部にスロットル弁制御手段31、燃料噴射弁制御手段32、点火制御手段33、アイドルストップ制御手段34、カム位相制御手段35、表示制御手段36、AT制御手段37及びヒルホルダ制御手段38を含む。
【0039】
スロットル弁制御手段31は、アクセル開度センサ25からのアクセル開度情報や、クランク角センサ21,22からのクランク角速度情報に基づくエンジン回転数等から、必要なスロットル弁17の開度を演算し、スロットル弁アクチュエータ18を制御する。
【0040】
燃料噴射弁制御手段32及び点火制御手段33は、上記アクセル開度情報やエンジン回転数情報に加え、エアフローセンサ20による吸気量情報や水温センサ24による冷却水温度情報等から、必要な燃料噴射量とその噴射時期及び適正な点火時期を演算し、燃料噴射弁8及び点火プラグ7に制御信号を出力する。
【0041】
なお、スロットル弁制御手段31、燃料噴射弁制御手段32、点火制御手段33は、I/Sを行う場合については上記制御に加えて、次に述べるアイドルストップ制御手段34によっても制御される。
【0042】
アイドルストップ制御手段34は、I/Sの実行条件を判定したり、ECU30内の各手段にI/Sを実行するために必要な情報を提供したりする。
【0043】
I/Sの実行条件としては、基本停止条件、基本再始動条件及びI/S禁止条件に類別される。各条件は適宜設定して良いが、例えばブレーキセンサ62から得られるブレーキの踏み込み深さが所定値以上、かつ車速センサ63から得られる車速がゼロ、かつインヒビタスイッチ64から得られるATのシフトレバー位置が非走行レンジ、かつパーキングブレーキスイッチ65の信号がON、かつウインカスイッチ66の信号がOFF、かつエアコンスイッチ67がOFFの場合に基本停止条件が成立とされる。
【0044】
また、例えばブレーキの踏み込み深さが所定値以下、又は車速が所定値以上、又はATのシフトレバー位置が走行レンジ、又はウインカスイッチ66の信号がON、又はエアコンスイッチ67がON、又はブレーキ負圧センサ68から得られるブレーキ負圧(制動力を補う倍力装置を構成するブースター内の負圧)が所定値以下の場合に基本再始動条件が成立とされる。
【0045】
そして、例えばエンジン冷却水温度Tcが所定値以下(例えばTc≦Tc1、Tc1=50℃)、又はバッテリのモニタ電圧が所定値以下、又は前回の再始動からの経過時間が所定値以下の場合にI/S禁止条件が成立とされる。
【0046】
基本停止条件が成立し、かつI/S禁止条件が成立しないとき、最終的にエンジンの停止条件が成立(当明細書では、これをエンジン停止条件の成立という)したとされ、I/Sによるエンジンの自動停止が行われる。即ち燃料噴射弁8からの燃料噴射を停止させるとともに、点火プラグ7の点火を停止させる。
【0047】
エンジン停止の際の制御としては、エンジン停止時に圧縮行程となる気筒(説明の都合上、これを3番気筒3Cであると想定し、以下圧縮行程気筒3Cと記す。)及び膨張行程となる気筒(同様に1番気筒3Aであると想定し、以下膨張行程気筒3Aと記す。)においてピストン上死点方向の移動に対する抵抗を大きくすべく少なくともこれらの気筒に対する吸気量を増大させ、特に膨張行程気筒3Aにより多く吸気を供給するように、上記スロットル弁17をエンジン停止動作期間中の所定期間だけ所定の開弁状態とする。
【0048】
そして、特にエンジン冷却水温度Tcが比較的低温(例えばTc1<Tc≦Tc2、Tc1=50℃、Tc2=60℃)のとき、EGR増大制御として、カム位相制御手段35はカム位相可変機構26a,27aを内部EGR量が増大するように制御する。即ち後に詳述するように、排気弁12の閉弁時期を早期化し、吸気弁11の開弁時期を遅延させる。このようにすると、膨張行程気筒3Aや圧縮行程気筒3C内に高温の既燃ガスを多く残留させることができ、筒内温度が上昇するので、その後の再始動時に噴射燃料の気化が促進される。
【0049】
エンジンの自動停止中に基本再始動条件またはI/S禁止条件が成立すると、最終的に再始動条件が成立(当明細書では、これを再始動条件の成立という)したとされ、再始動がなされる。即ち燃料噴射弁8からの燃料噴射と点火プラグ7の点火を復帰させる。
【0050】
再始動の際の制御としては、先ず圧縮行程気筒3Cに対して初回の燃焼を実行してエンジンを少し逆転させることにより、膨張行程気筒3Aのピストン上昇によって筒内圧力を高めるようにしてから、当該膨張行程気筒3Aで燃焼を行わせるようにする。
【0051】
当実施形態では、上述のように圧縮行程気筒3Cでの初回燃焼、膨張行程気筒3Aでの燃焼を行わせるとともに、初回燃焼後の圧縮行程気筒3Cの筒内に燃焼用空気を残存させて圧縮行程気筒3Cのピストン4が上昇に転じてから上死点付近に達したときに再燃焼を行わせる第1再始動制御モードと、圧縮行程気筒3Cでの初回燃焼及び膨張行程気筒3Aでの燃焼は行わせるが圧縮行程気筒3Cでの再燃焼を行わせない第2再始動制御モードと、圧縮行程気筒3Cでの初回燃焼を行わずにスタータ28でアシストしつつ膨張行程気筒3Aでの燃焼及びその次の圧縮行程気筒3Cでの燃焼により始動を行う第3再始動制御モードとを、ピストン4の停止位置に応じて選択的に実行するようになっている。
【0052】
表示制御手段36は、I/Sの実行状況に応じてアイドルストップ表示ランプ71のON/OFF制御を行う。アイドルストップ表示ランプ71は、図外の自動停止中ランプ、アイドルストップ禁止中ランプ及び再始動ランプによって構成されている。I/Sによるエンジンの自動停止中は、自動停止中ランプを点灯させ、I/S禁止条件が成立中はアイドルストップ禁止中ランプを点灯させ、エンジンの再始動時には再始動ランプを点灯させる。このようにして、運転者がアイドルストップの制御状況を認識できるようにしている。
【0053】
AT制御手段37は、アイドルストップが実行されることにより、自動変速機に供給される作動油の圧力が低下した場合に、ATF切換弁73に切換指令信号を出力して上記作動油の供給経路をエンジン1によって駆動される図外の機械式オイルポンプ側から電動オイルポンプ72側に切換えるとともに、電動オイルポンプ72を作動させる作動指令信号を出力して、この電動オイルポンプ72から自動変速機に所定圧力の作動油を供給するように構成されている。
【0054】
ヒルホルダ制御手段38は、I/Sによるエンジン停止中に、ヒルホルダ用ソレノイド弁74によってヒルホルダの制御を行う。
【0055】
以上のような当実施形態の装置の作用を次に説明する。
【0056】
4気筒4サイクルエンジンであるエンジン1では、各気筒3が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっており、図4に示すように、上記サイクルが1番気筒3A、3番気筒3C、4番気筒3D、2番気筒3Bの順にクランク角で180°(180°CA)ずつの位相差をもって行われるようになっている。
【0057】
エンジン1が運転されている状態においてエンジン1の出力を要しない所定のアイドリング状態となった場合には、エンジン停止条件成立か否かの判定に基づき、アイドルストップが実行される。その際、水温センサ24によるエンジン冷却水温度Tcが、Tc>Tc2(Tc2=60℃)、即ち充分暖気された温間状態にある場合と、Tc1<Tc≦Tc2(Tc1=50℃)、即ち温間状態よりもやや低温である場合とで異なる制御を行う。Tc≦Tc1の場合はI/S禁止条件が成立するので、アイドルストップは実行されない。なお、Tc1及びTc2の値は上記値に限定せず、エンジンの特性等に応じて適宜決定して良い。
【0058】
図4は、エンジン温間時(Tc>Tc2)のアイドルストップにおけるエンジン停止までの説明図である。
【0059】
エンジン停止条件が時点t1で成立するとアイドルストップによるエンジン停止のための一連の制御が行われる。エンジンを停止させるため、まず燃料供給が停止(燃料カット)される。その際、条件が成立すると直ちに燃料カットを行っても良いが、当実施形態では燃料カット許容回転数域を設け、エンジン回転数が燃料カット許容回転数域内にある時を狙って燃料カットを行うように構成されている。例えばアイドル回転数が650±50rpmにフィードバック制御されているとき、燃料カット許容回転数域は650±10rpmに設定される。つまり、アイドル時には650±50rpmの範囲でエンジン回転数にふらつきが発生するところ、その中で650±10rpmの範囲に入った瞬間を狙って燃料カットを行うのである。これは、ピストン4を再始動のための好ましい範囲内(図5の範囲A)で停止させるためになされるもので、燃料カット許容回転数域で燃料カットを行うと、ピストン4が好ましい範囲内で停止する確率が高くなることが確認されている。エンジン停止条件が成立した時のエンジン回転数が、燃料カット許容回転数域にあれば直ちに燃料カットされる。しかしそうでない場合は、図4に示すようにエンジン回転数が燃料カット許容回転数域に入る時点t2まで燃料カットが保留される。
【0060】
時点t2(エンジン回転数N2)で燃料カットするとともに、スロットル弁17を所定開度に開き、その後、エンジン回転数が予め設定された所定回転数N3(当実施形態ではN3=500rpm)まで低下した時点t3でスロットル弁17を閉じるように制御する。これにより、気筒3内の空気の圧力を利用してエンジン停止位置が好ましい範囲内となる確率を高めるようにしている。
【0061】
すなわち、上記時点t2からt3の間だけスロットル弁17が所定開度に開かれることにより、多少の時間的遅れをもって一時的に吸気負圧が減少(吸気量が増大)し、その後に吸気負圧が増大(吸気量が減少)するが、一時的に吸気負圧が減少する期間が、膨張行程気筒3Aの吸気行程の期間に概ね対応するように予め上記所定回転数等が設定されている。これにより、スロットル弁17が開かれない場合と比べ、エンジン停止前に各気筒3に吸入される空気量が増加し、そのうちでも特に膨張行程気筒3Aに流入する吸気量が多くなる。
【0062】
そして、エンジン停止に至るときには、圧縮行程気筒3Cではピストン4が上死点に近づくにつれて当該気筒3C内の空気が圧縮されてピストン4を押し返す方向に圧力が作用し、これによりエンジン1が逆転して圧縮行程気筒3Cのピストン4が下死点側に押し返されると、膨張行程気筒3Aのピストン4が上死点側に移動し、それに伴い当該気筒3A内の空気が圧縮され、その圧力で膨張行程気筒3Aのピストン4が下死点側に押し返される。このようにしてピストン4がある程度振動してから停止し、この際、圧縮行程及び膨張行程においてそれぞれピストン4が上死点に近いほどこれを押し戻す力が大きいため、ピストン4の停止位置は行程中間部に近い位置(図5の範囲A)となる場合が多い。
【0063】
特に、上記のようにエンジン停止前に吸気量が増加されることにより、上死点に近づいたときにピストン4を押し戻す力が増大するので、ピストン4が上記範囲A内に停止する確率が高くなる。さらに、上記のようなスロットル弁17の制御により膨張行程気筒3Aの吸気量が圧縮行程気筒3Cと比べて多くなるようにすれば、膨張行程気筒3Aにおいてピストン4が行程中間部に近い範囲のうちでも多少下死点寄り(図5の範囲A2)に停止することが多くなる。
【0064】
なお、燃料カットからエンジン1が完全に停止するまでに慣性でエンジン1が数回転するため、既燃ガスは排出され、膨張行程といえども筒内は殆ど新気となる。また、エンジン1が停止すると圧縮行程気筒3Cでも圧力は直ぐにリークする。従って、エンジン停止後は、いずれの気筒も筒内には略大気圧の新気が存在する状態となる。
【0065】
また、スロットル弁17をエンジン停止まで閉弁しないようにしても良いが、そうするとエンジン停止までずっと吸気量が多い状態が続くので、吸気の圧縮によるピストン4の押し下げ力が減衰し難く、ピストン4の振動回数が増加してエンジン停止時に揺れ戻しが大きくなる場合がある。従って、当実施形態に示すように好適な時点t3でスロットル弁17を閉弁するのが望ましい。
【0066】
ピストン4の停止位置は、クランク角センサ21,22からの信号によって以下のように検出される。図6はクランクシャフト6が回転することによって得られるパルス信号であり、クランク角センサ21からの第1クランク角信号CA1と、クランク角センサ22からの第2クランク角信号CA2とを示す。図6(a)は正転時(図1の状態で右回り)のもの、図6(b)は逆転時のものを示す。エンジンの正転時には、図6(a)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相遅れをもって生じることにより、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLow、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなる。一方、エンジンの逆転時には、図6(b)のように、第1クランク角信号CA1に対して第2クランク角信号CA2が半パルス幅程度の位相の進みをもって生じることにより、エンジンの正転時とは逆に第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がHigh、第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がLowとなる。ECU30は、この差異を検出して、クランクシャフト6が正転中か逆転中かを判定しつつパルス信号をカウントする。カウントした値はCAカウンタ値として記憶され、エンジン1が作動中は常時更新される。そして、CAカウンタ値の増減がなくなった状態がエンジン1の停止であり、そのときのCAカウンタ値によってピストン4の停止位置が検出される。
【0067】
図12は、CAカウンタ値の積算フローチャートである。スタート後、ステップS51で、第1クランク角信号CA1の立ち上がり時に第2クランク角信号CA2がLowとなっているか、或いは第1クランク角信号CA1の立ち下がり時に第2クランク角信号CA2がHighとなっているかの判定がなされ、YESであればエンジン1は正転していることを示すので、ステップS52に移行して計測したパルス数をCAカウンタ値に加算する(CAカウンタup)。ステップS51でNOであれば、エンジン1が逆転していることを示すので、ステップS53に移行して計測したパルス数をCAカウンタ値から減算する(CAカウンタdown)。
【0068】
図7は、エンジンが温間時よりもやや低温(Tc1<Tc≦Tc2)である場合のアイドルストップにおけるエンジン停止までの説明図である。
【0069】
比較的低温であるため、アイドル回転数は温間時よりも若干高めに設定(アイドルアップ)されている。例えばアイドル回転数が850±50rpmにフィードバック制御されている。そして、エンジン停止条件が時点t4から燃料カットを行う時点t5まで、温間時と同様の制御がなされる。但し、時点t5におけるエンジン回転数N5はアイドルアップ分だけ高く、燃料カット許容回転数は850±10rpmに設定されている。
【0070】
そして、時点t5で燃料カットを行うとともに、EGR増大制御をONとする。当第1実施形態では、EGR増大制御としてカム位相可変機構26a,27aによるバルブタイミング制御を行っている。図8は吸気弁11及び排気弁12の開閉タイミングを示す説明図であり、特に排気行程と吸気行程の部分を示す。図8(a)は通常の状態を、(b)はEGR増大制御がなされている状態のものを示す。それぞれ、横軸にクランク角を取り、BDCは下死点を、TDCは上死点を示す。図8(a)では、下段に排気弁開期間101を、上段に吸気弁開期間105を示す。排気弁開期間101はBDC前30°CA(クランク角)からTDC後25°CAに、また吸気弁開期間105はTDC前10°CAからBDC後55°CAに、それぞれ設定されている。従って、吸気弁開時期106から排気弁閉時期102までの間、両弁共に開いている期間(オーバーラップ)が35°CAの設定となっている。これは一般的な吸排気弁の開閉時期設定である。
【0071】
それに対し、EGR増大制御がなされている状態の図8(b)では、カム位相可変機構27aによって排気弁12の開弁期間が全体的に45°CA早期化されている。このため排気弁12の閉弁時期がTDC前15°CAとなっている。その結果、排気弁12から掃気される既燃ガスの量が削減され、多くの既燃ガスが気筒内に残留するので、筒内温度を上昇させることができる。
【0072】
またカム位相可変機構26aによって吸気弁11の開弁期間が全体的に15°CA遅らされている。このため吸気弁11の開弁時期がTDC後5°CAとなっている。その結果、気筒3内から吸気ポート9への既燃ガスの逆流が効果的に抑制され、より多くの既燃ガスが気筒内に残留するので、更に筒内温度を上昇させることができる。
【0073】
そして、TDCから吸気弁11の開弁時期までの期間は、排気弁12の閉弁時期からTDCまでの期間よりも短く設定されており、吸気弁11の開弁時期がTDC付近となっているため、断熱膨張(吸気弁11及び排気弁12が共に閉弁状態の下で、ピストン4が降下する膨張形態)が回避され、その膨張仕事による筒内温度の低下が効果的に抑制される。
【0074】
再び図7に戻って説明を続ける。EGR増大制御は、エンジン回転数が所定の回転数N6となる時点t6まで継続される。膨張行程気筒3Aでは、燃料カット時点t5以前の吸気行程で噴射された燃料が、燃料カット後に燃焼し、排気される。しかし、その排気後半と次の吸気前半が、EGR増大制御期間内に入っているので、内部EGR量の増大が効果的になされ、筒内温度が上昇する。エンジン回転数N6は、このような吸排気のタイミングとなるように設定される。当実施形態ではエンジン回転数N6=N2=650rpm(図4参照)としている。
【0075】
時点t6から時点t7の間は、温間時における時点t2から時点t3(図4参照)の間と同様の制御がなされる。即ち、スロットル弁17が所定開度に開かれ、特に膨張行程気筒3Aに流入する吸気量を多くしている。時点t7におけるエンジン回転数N7は、N7=N3=500rpm(図4参照)としている。
【0076】
また、時点t7からエンジン停止までの間は、温間時における時点t3からエンジン停止まで(図4参照)と同様の制御がなされる。即ち、スロットル弁17を閉弁することによって、停止時の揺れ戻しを防止している。
【0077】
以上のように、温間時よりやや低温の場合は、エンジン1の自動停止の際、スロットル弁17を開閉することによってエンジン停止時の揺れ戻しを防止しつつピストン4を後の再始動に好適な位置に停止させるとともに、主に膨張行程気筒3Aの内部EGR量を増大させて筒内温度を高め、後の再始動時における燃料の気化を促進して再始動性を向上させている。
【0078】
次に、エンジン停止後に上記基本再始動条件またはI/S禁止条件が成立すると、再始動条件が成立したとされ、自動的にエンジン1を再始動する制御が行われる。この際、ピストン4の停止位置が膨張行程気筒3Aにおいて行程中間部付近の所定範囲内で、かつ、上死点寄りの範囲A1(図5)にある場合は、第1再始動制御モードが実行される。
【0079】
図9は上記第1再始動制御モードによる場合のエンジンの各気筒の行程と始動制御開始時点からの各気筒における燃焼(図中に燃焼の順序に従って▲1▼,▲2▼,▲3▼……で示す)との関係を示すとともに、各燃焼によるエンジンの動作方向を矢印で示しており、また図10は、上記第1再始動制御モードによる場合のエンジン回転速度、クランク角、角気筒の筒内圧及び図示トルクの時間的変化を示している。
【0080】
これらの図に示すように、上記第1再始動制御モードによる場合には、先ず圧縮行程気筒3Cにおいて燃焼空燃比は理論空燃比よりもリーンとされつつ初回燃焼(図9中の▲1▼)が行われ、この初回燃焼による燃焼圧(図10中のa部分)で圧縮行程気筒のピストン4が下死点側に押し下げられてエンジン1が逆転方向に駆動され、それに伴い、膨張行程気筒3Aのピストン4が上死点に近づくことにより当該気筒3A内の空気が圧縮されて筒内圧が上昇する(図10中のb部分)。そして、膨張行程気筒3Aのピストン4が上死点に充分に近づいた時点で当該気筒3Aに対する点火が行われて、予め当該気筒3Aに噴射されている燃料が燃焼し(図9中の▲2▼)、その燃焼圧(図10中のc部分)でエンジン1が正転方向に駆動される。さらに、上記圧縮行程気筒3Cに対して適当なタイミングで燃料が噴射されることにより、圧縮行程気筒3Cの上死点付近で当該気筒3Cにおける2回目の燃焼が行われる(図9中の▲3▼)。その燃焼圧(図10中のd部分)でエンジン駆動力が高められる。
【0081】
この場合、圧縮行程気筒3Cの初回燃焼では空燃比がリーンとされたことにより初回燃焼後も当該気筒3Cに空気が残存するため、上記2回目の燃焼が可能となる。そして、上記初回燃焼により圧縮行程気筒3C内の温度が高くなっている状態で燃料が噴射されるとともに圧縮が行われるため、当該気筒3Cでの2回目の燃焼は圧縮自己着火により行われる。
【0082】
このようにして上記2回目の燃焼が行われてから、当該気筒3Cの次に圧縮行程を迎える気筒(4番気筒3D)の圧縮上死点に達した後は、通常制御により各気筒で順次燃焼が行われ、再始動が完了する。
【0083】
なお、再始動時における燃料の噴射は、分割噴射を行っても良い。当実施形態では図10に示すように、膨張行程気筒3Aと圧縮行程気筒3Cで分割噴射を行っている。即ち、膨張行程気筒3Aにおける最初の噴射301では、所定量の一部の燃料を噴射し、残りの燃料は点火直前の時点303で噴射する。また、圧縮行程気筒3Cにおける2回目の噴射305でも、所定量の一部の燃料を噴射し、残りの燃料は点火直前の時点307で噴射する。このようにすると、1回の噴射当りの燃料が少ないため気化性が向上し、再始動性を一層向上させることができる。特にエンジンの温度状態が比較的低温である場合に効果的である。この分割噴射は、他のタイミング、他の気筒において適宜必要に応じて行って良く、燃料を3以上に分割して噴射しても良い。
【0084】
ピストン4の停止位置が膨張行程気筒3Aにおいて行程中間部付近の所定範囲内で、かつ、下死点寄りの範囲A2(図5参照)にある場合の再始動時には、第2再始動制御モードによる制御が行われる。
【0085】
この第2再始動制御モードによる制御としては、先ず圧縮行程気筒3Cにおいて燃焼空燃比が略理論空燃比もしくはそれよりリッチとされつつ初回燃焼(図9中の▲1▼に相当する燃焼)が行われる。そして、初回燃焼により圧縮行程気筒3Cのピストン4が押し下げられてエンジン1が逆転方向に駆動され、それに伴い膨張行程気筒3Aのピストン4が上死点に近づくことにより当該気筒3A内の空気が圧縮されて筒内圧が上昇し、膨張行程気筒3Aのピストンが上死点に充分に近づいた時点で当該気筒3Aに対する点火が行われて、予め当該気筒3Aに噴射されている燃料が燃焼すること(図9中の▲2▼に相当)によりエンジン1が正転方向に駆動されることは、第1再始動制御モードによる制御と同様である。ただし、第2再始動制御モードでは、膨張行程気筒3Aの燃焼後に圧縮行程気筒3Cが上死点を過ぎるときに燃焼(図9中の▲3▼の燃焼)は行われず、次に圧縮行程を迎える気筒(4番気筒3D)の圧縮上死点に達するまでエンジンの回転が慣性で維持され、その後は通常制御に移行して再始動が完了する。
【0086】
上述のように第1再始動制御モードと第2再始動制御モードとがピストン4の停止位置によって使い分けられることにより、エンジン1の再始動が効果的に行われる。この点を図11も参照しつつ説明する。
【0087】
図11はエンジン停止時のピストン位置と圧縮行程気筒3Cの初回燃焼(逆転用)における要求空燃比、圧縮行程気筒3Cの空気量、膨張行程気筒3Aの空気量及び発生頻度との関係を示しており、この図のように、エンジン停止時に膨張行程気筒3Aのピストン4が上死点寄り(圧縮行程気筒3Cのピストン4が下死点寄り)となるほど膨張行程気筒3Aの空気量が少なくて圧縮行程気筒3Cの空気量が多くなり、逆に膨張行程気筒3Aのピストン4が下死点寄り(圧縮行程気筒3Cのピストン4が上死点寄り)となるほど膨張行程気筒3Aの空気量が多くて圧縮行程気筒3Cの空気量が少なくなる。
【0088】
また、圧縮行程気筒3Cでの初回燃焼では、圧縮行程気筒3Cのピストン4が下死点より少し手前(膨張行程気筒3Aのピストン4が上死点より少し手前)となる所定位置までエンジンを逆転させるだけのトルクを生じさせることが要求されるが、圧縮行程気筒3Cのピストン4が上死点寄りにあれば、圧縮行程気筒3C内の空気量が少なく、かつ、上記所定位置までの逆転に要求されるトルクが比較的大きいので、要求空燃比がリッチとなり、一方、圧縮行程気筒3Cのピストン4が下死点寄りにあれば圧縮行程気筒内3Cの空気量が多く、かつ、上記所定位置までの逆転に要求されるトルクが比較的小さいので、要求空燃比がリーンとなる。
【0089】
膨張行程気筒3Aにおいては、ピストン4が下死点寄りにある程空気量が多いため燃料を多く燃焼させることができる。
【0090】
従って、エンジン停止時に膨張行程気筒3Aのピストン位置が中間部より下死点寄り(圧縮行程気筒3Cのピストン位置が上死点寄り)の所定範囲A2にある場合、圧縮行程気筒3Cでは初回燃焼時の空燃比が上記要求に適合するようにリッチとされ、初回燃焼後に燃焼用空気が残存しないため圧縮上死点付近での2回目の燃焼は行われないが、膨張行程気筒3Aでは空気量が比較的多くて、それに応じた燃料が噴射された上で、圧縮されてから着火、燃焼が行われるため、比較的大きなトルクが得られ、上記圧縮行程気筒3Cの圧縮上死点を過ぎてさらに次の気筒の圧縮上死点を越えるまでエンジンを回転させることができ、再始動を達成することができる。
【0091】
一方、エンジン停止時に膨張行程気筒3Aのピストン位置が中間部より上死点寄り(圧縮行程気筒3Cのピストン位置が下死点寄り)の所定範囲A1にある場合、範囲A2にある場合と比べると、膨張行程気筒内3Aの空気量が少ないため膨張行程での燃焼により得られるトルクが小さくなるが、圧縮行程気筒3Cでは初回燃焼時の空燃比が上記要求に対応してリーンとされ、それにより初回燃焼後も残存する余剰空気が利用されて圧縮上死点付近での2回目の燃焼が行われるため、エンジン正転方向の駆動のためのトルクが補われ、膨張行程気筒3Aでの燃焼と圧縮行程気筒3Cにおける2回目の燃焼の両方により、再始動を達成するに足るトルクが得られる。
【0092】
ところで、当実施形態では、前述のようにエンジン停止の際、燃料供給停止後に所定期間だけスロットル弁17を所定の開弁状態として吸気量を増加させることにより、圧縮行程気筒3C及び膨張行程気筒3Aにおいてピストン4の上死点方向への移動に対する抵抗を大きくし、かつ、膨張行程気筒3Aの吸気量をより多くしているため、図11中にも示すように、エンジン停止時の膨張行程気筒3Aにおけるピストン位置は行程中間部付近の所定範囲A内となることが殆どであり、そのうちでも多少下死点寄りの範囲A2内となることが多く、このように停止位置が調整されることで効果的に再始動が行われる。
【0093】
すなわち、ピストン停止位置が上記範囲Aよりも膨張行程気筒3Aの上死点側(圧縮行程気筒3Cの下死点側)に近づきすぎた場合には、エンジン逆転方向の移動量を充分にとることができなくなるとともに、膨張行程気筒3Aの空気量が少なくなるので膨張行程気筒3Aでの燃焼により得られるトルクが少なくなり、また、上記範囲よりも膨張行程気筒3Aの下死点側(圧縮行程気筒3Cの上死点側)に近づきすぎた場合には、圧縮行程気筒3Cの空気量が少なくなるのでエンジン逆転のためのトルクが充分に得られなくなる。これに対し、ピストン停止位置が上記範囲A内にあれば、圧縮行程気筒3Cでの初期燃焼による逆転駆動が可能で、かつ、膨張行程気筒3Aでの燃焼が良好に行われてその燃焼エネルギーを充分にピストンに作用させることができ、とくにピストン停止位置が膨張行程気筒3Aの下死点寄りの範囲A2にあれば膨張行程気筒3Aの空気量を充分に多く確保でき、膨張行程気筒3Aでの燃焼エネルギーを増大させ、始動性を高めることができる。
【0094】
また、エンジンの温度状態が比較的低温の場合には、予めエンジン停止時にEGR増大制御がなされ、筒内温度を上昇させているので、第1再始動制御モード及び第2再始動制御モードの何れの場合も燃料の気化が促進され、良好な再始動性を得ることができる。
【0095】
なお、稀にエンジン停止時のピストン位置が上記範囲Aから外れた場合や、エンジン停止中に筒内温度が低下し、冷却水温度TcがTc≦T1(=50℃)となった場合には、第3再始動制御モードが実行されてスタータ28により始動がアシストされる。
【0096】
図13は、アイドルストップにおけるエンジン停止までのECU30の概略制御フローチャートを示す。スタート後、各種センサ類(図3参照)からの信号を読み取る(ステップS1)。次にその信号に基づき、エンジン停止条件が成立したか否かの判定を行い(ステップS3)、YESであればステップS5に移行する。ステップS5では、エンジン冷却水温度Tcが、Tc>Tc2(=60℃)であるか、即ち温間状態にあるか否かの判定を行う。ステップS5でYESであれば更にステップS7でエンジン回転数が燃料カット許容回転数域(650±10rpm)にあるか否かの判定を行う。ステップS7でNOであれば、YESとなるまで待機する。ステップS7でYESと判定されたとき、ピストン4を再始動に好適な位置に停止させやすいエンジン回転数となっており、燃料噴射弁8からの燃料供給を停止(燃料カット)し、点火プラグ7での点火を停止する(ステップS9)。そして、直ちにスロットル弁17を開弁し、吸気負圧を減少させる(ステップS11)。その後、エンジン回転数が500rpmよりも低くなった時点でスロットル弁17を閉弁する(ステップS13、S15)。次に、常時カウント中のCAカウンタ値(図12参照)を読み取る(ステップS16)。次のステップS17で、CAカウンタ値の変化度合いからエンジン1が完全に停止したか否かの判定がなされ、YESであればCAカウンタ値から決定されるピストン4の停止位置を記憶(ステップS19)してリターンする。
【0097】
遡って、ステップS5でNOと判定されたとき、エンジン冷却水温度Tcは、Tc1<Tc≦Tc2(Tc1=50℃)、即ち温間状態よりもやや低温の状態である。この場合はステップS21に移行し、EGR増大制御を行う。
【0098】
図14は、EGR増大制御の概略フローチャートである。ステップS31でエンジン回転数が燃料カット許容回転数域(850±10rpm、アイドルアップにより温間時よりも高い。)にあるか否かの判定を行う。ステップS31でNOであれば、YESとなるまで待機する。ステップS31でYESと判定されたとき、ピストン4を再始動に好適な位置に停止させやすいエンジン回転数となっており、燃料噴射弁8からの燃料供給を停止(燃料カット)し、点火プラグ7での点火を停止する(ステップS33)。そして、直ちにカム位相可変機構26a,27aによって排気弁12の開閉タイミングを早期化するとともに、吸気弁11の開閉タイミングを遅らせる。即ち、吸排気弁の開閉タイミングを図8(a)の状態から図8(b)の状態に切換える(ステップS35)。また、スロットル弁17を閉弁する(ステップS37)。こうすることにより、気筒3の内部EGRが増加するので、筒内温度を上昇させることができ、後の再始動の際、燃料の気化が促進されて再始動性を向上させることができる。その後、エンジン回転数が650rpmよりも低くなった時点でステップS35の処理を終了する。即ち、吸排気弁の開閉タイミングを図8(b)の状態から図8(a)の状態に戻す(ステップS39、S41)。そしてリターンして図13のステップS11へ移行する。
【0099】
図15は、エンジン再始動時の制御の概略フローチャートである。エンジンの自動停止中に、再始動条件が成立する(ステップS61でYES)と、更にエンジン冷却水温度Tcが、Tc<Tc1(=50℃)であるか否かの判定を行う(ステップS63)。それがYESと判定されると、更にピストン4の停止位置の判定を行う(ステップS65)。ピストン4の停止位置が図5の範囲A1にあるときは、上記第1再始動制御モードを実施し(ステップS67)、範囲A2にあるときは、上記第2再始動制御モードを実施する(ステップS69)。そして、範囲A1、A2の何れにもない(比較的上死点または下死点に近い)とき、及びステップS63でNOと判定されたときには第3再始動制御モードを実施する。何れの再始動モードの制御を行った場合でも、引き続き通常運転の制御(ステップS73)に移行してリターンする。
【0100】
図16は図15のフローチャート中のステップS67に示す第1再始動制御モード(再燃焼あり)を示す。まずステップS102でピストン4の停止位置に基づいて圧縮行程気筒3C及び膨張行程気筒3Aの空気量を算出する。つまり、上記停止位置から圧縮行程気筒3C及び膨張行程気筒3Aの燃焼室容積が求められ、また、エンジン停止の際には燃料カット後にエンジンが数回転してから停止するので上記膨張行程気筒3Aも新気で満たされた状態にあり、かつ、エンジン停止中に圧縮行程気筒3C及び膨張行程気筒3Aの筒内圧は略大気圧となっているので、上記燃焼室容積から新気量が求められることとなる。
【0101】
続いて、ステップS103で、算出された圧縮行程気筒3Cの空気量に対して所定の圧縮行程気筒1回目用空燃比となるように燃料を噴射するとともに、ステップS104で、算出された膨張行程気筒3Aの空気量に対して所定の膨張行程気筒用空燃比となるように燃料を噴射する。この場合、圧縮行程気筒1回目用空燃比及び膨張行程気筒用空燃比はピストン4の停止位置に応じてマップM1,M2から求められる。圧縮行程気筒1回目用空燃比は理論空燃比よりもリーンな空燃比となり、膨張行程気筒用空燃比は略理論空燃比もしくはそれより多少リッチな空燃比となるように、予め上記各マップM1,M2が設定されている。
【0102】
次にステップS105で、圧縮行程気筒3Cの燃料噴射後に燃料の気化時間を考慮して設定した時間の経過後に、当該気筒に対して点火を行う。そしてステップS106で、点火してから一定時間内にクランク角センサ21,22のエッジ(クランク角信号の立ち上がり又は立ち下がり)が検出されたか否かにより、ピストン4が動いたか否かを判定し、失火によりピストン4が動かなかった場合は圧縮行程気筒3Cに対して再点火を繰り返し行う(ステップS107)。
【0103】
クランク角センサ21,22のエッジが検出されたとき(ステップS106の判定がYESのとき)は、ステップS108で、エッジ検出後所定ディレイ時間が経過してから膨張行程気筒3Aに対して点火を行う。上記ディレイ時間はピストン4の停止位置に応じてマップM3から求められる。
【0104】
さらに、ステップS109で、所定クランク角(圧縮行程気筒2回目用噴射時期)となったとき圧縮行程気筒3Cに対して再度燃料を噴射する。この場合、圧縮行程気筒3C内に残存する新気量を演算するとともに、上記停止位置に応じてマップM4から圧縮行程気筒2回目用空燃比を求め、これらに基づいて燃料噴射量を演算するとともに、適正なタイミングで圧縮自己着火が行われるように圧縮行程2回目用噴射時期を設定する。なお、圧縮行程気筒2回目用空燃比は、過早な圧縮自己着火により逆トルクが作用しないように、圧縮行程1回目と2回目の合計燃料噴射量における空燃比であって、理論空燃比よりリッチに設定される。
【0105】
この燃料噴射により圧縮自己着火が行われるが、着火不良の場合の補償のため上死点付近でバックアップ点火を行い(ステップS110)、リターンする。
【0106】
なお、ステップS103およびステップS104における燃料噴射は、分割噴射としても良い。即ち、図10における燃料噴射301を所定量の一部に留め、残りの燃料を時点303(点火直前)で噴射する。同様に燃料噴射305を所定量の一部に留め、残りの燃料を時点307(点火直前)で噴射する。
【0107】
図15のフローチャート中のステップS69に示す第2再始動制御モード(再燃焼なし)の詳細については図示を省略するが、第1再始動制御モードのルーチンのうちのステップS102〜S108と略同様の処理が行われる。ただし、ステップS103に相当する処理において、ピストン4の停止位置に応じてマップから求められる圧縮行程気筒3Cの空燃比は略理論空燃比もしくはそれよりリッチとなる。
【0108】
図17は、図15のフローチャート中のステップS71に示す第3再始動制御モード(モータアシスト)を示す。まずステップS202でスタータ28の駆動を開始し、ステップS203でピストン4の停止位置に基づいて圧縮行程気筒3C及び膨張行程気筒3Aの空気量を算出し、ステップS204で圧縮行程気筒3C及び膨張行程気筒3Aの各空燃比が理論空燃比付近となるように燃料を噴射する。そして、ステップS205で、膨張行程気筒3Aの燃料噴射後に燃料の気化時間を考慮して設定された時間が経過してから、当該気筒に対して点火を行う。
【0109】
次に、ステップS206で、所定クランク角となったとき圧縮行程気筒3Cに対して点火を行う。それからスタータ28の駆動を停止し(ステップS207)、リターンする。
【0110】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図18は、第2実施形態のエンジン1aの概略構成を示している。なお、当実施形態において、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0111】
エンジン1aは、気筒3A〜3Dを有する4気筒4サイクルエンジンであるという基本構成は第1実施形態のエンジン1と同様であるが、排気通路16と共通吸気通路15cとを連通するEGR通路50が設けられている点が主に異なっている。EGR通路50には、EGR弁51が設けられ、EGR弁アクチュエータ52によってその開度が調節されるようになっている。EGR弁アクチュエータ52によってEGR弁51が開弁状態とされると、排気通路16を通る排気の一部がEGR通路50を介して共通吸気通路15cに還流され、再び吸気として気筒3A〜3Dに供される。即ちEGR(排気還流)がなされる。
【0112】
なお、スロットル弁17aは、気筒3A〜3Dに共通のスロットル弁であり、共通吸気通路15cの、EGR通路50との合流点より上流に設けられている。スロットル弁17aはスロットル弁アクチュエータ18aによってその開度が調節されるようになっている。
【0113】
また、説明を簡潔にするため、エンジン1aはカム位相可変機構26a,27aを備えない構成としたが、これらを備えるものであっても良い。
【0114】
図19は、エンジン1aの制御ブロック図である。ECU30aへの入力側はECU30の場合と同様であるが、出力側はカム位相可変機構26a,27aに代えてEGR弁アクチュエータ52となっている。それに対応して、ECU30aにはEGR弁アクチュエータ52を制御するEGR制御手段が設けられている。
【0115】
このように構成されたエンジン1aは、EGR弁51を開弁してEGRを行うことにより、第1実施形態においてカム位相可変機構26a,27aによって内部EGR量を増大するのに相当する作用効果を得ることができる。即ち、エンジンの自動停止の際、比較的低温の場合には、第1実施形態と同様、図7に示すように時点t5から時点t6の間、EGR増大制御を行う。但し当実施形態のEGR増大制御は、EGR弁51を開弁状態とすることによってなされる。その結果、EGR量が増大され、特に膨張行程気筒3Aの筒内温度上昇が図られるため、再始動性を向上させることができる。
【0116】
なお、EGR弁51の開度は、全開/全閉(ON/OFF制御)としても良いが、必要に応じて中間の開度で調整するようにしても良い。全開の場合が最も筒内温度上昇効果が高いが、ある程度絞って還流排気の量を削減すると、その後の掃気によって筒内に残存する新気の量を増大させることができる。
【0117】
第2実施形態の制御フローチャートは、第1実施形態の制御フローチャートとほぼ同様なので省略するが、図14に示すEGR増大制御のフローチャートにおいて、ステップS35を「EGR弁51を開弁状態とする」に、ステップS41を「EGR弁51を閉弁状態とする」に、それぞれ置き換えたものとすれば良い。
【0118】
本発明の装置の具体的構成は上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲内で種々変更可能である。例えば第1実施形態における吸排気バルブの具体的な開閉タイミングは、エンジンの特性によって適宜設定して良い。また、内部EGR量を増大させるため、第1実施形態では排気弁12の閉弁タイミングを早期化するとともに吸気弁11の開弁タイミングを遅延させているが、どちらか一方を行うようにしても良い。或いは、逆に排気弁12の閉弁タイミングを遅延させるとともに吸気弁11の開弁タイミングを早期化しても良い。このようにした場合、バルブオーバーラップの期間が増大することによって内部EGR量を増大させることができる。
【0119】
第1実施形態では、バルブタイミング可変手段としてカム位相可変機構26a,27aを採用したが、他の機構を用いても良く、例えば形状の異なるカムを切換えることによってバルブの開閉時期を変更させるような機構を用いても良い。
【0120】
エンジンのアイドル回転数、アイドルアップ回転数、燃料カット許容回転数、EGR増大制御を終了してスロットル弁17,17aを開弁するエンジン回転数およびスロットル弁17,17aを閉弁するエンジン回転数は、当実施形態では順に650±50、850±50、650±10(アイドルアップ時は850±10)、650及び500rpmとしたが、これらの設定値はエンジンの特性によって適宜設定して良い。なお、上記実施形態では、EGR増大制御の期間やスロットル弁の開弁期間などの区切りをエンジン回転数によって決定するようにしているが、必ずしもその必要はなく、例えばタイマ値などを用いて決定しても良い。
【0121】
上記実施形態では、エンジン停止時のピストン位置が所定範囲内にあるときのエンジン始動時に、圧縮行程気筒3Cで初回燃焼を行わせてエンジンを少し逆転させてから膨張行程気筒3Aでの燃焼を行わせるようにしているが、上記圧縮行程気筒3Cでの初回燃焼によるエンジン逆転を行わず、エンジン停止状態でいきなり膨張行程気筒3Aに燃料を供給し、所定時間後に点火することにより、膨張行程気筒3Aでの燃焼を最初に行わせるようにしてもよい。
【0122】
この場合も、膨張行程気筒3Aのピストン停止位置が上死点に近づきすぎていると筒内の空気量が少ないので燃焼によるエネルギーが充分に得られず、また、上記停止位置が下死点に近づきすぎていると燃焼によるエネルギーがピストン4に作用する行程が極端に短くなるため、充分な駆動トルクが得られない。
【0123】
従って、前述のような停止動作期間における吸気量の調節によりピストン停止位置が行程途中の所定範囲A内となる確率を高めるようにすることが始動性向上のために有効であり、特に下死点寄りの範囲A2内に停止すれば、燃焼によるエネルギーがピストン4に作用する行程が極端に短くなることは避けつつ、筒内の空気量を比較的多くして燃焼エネルギーを高めることができ、始動性向上に有利となる。
【0124】
【発明の効果】
以上のように本発明のエンジンの始動装置によると、所定のエンジン停止条件が成立したときに自動的に燃料供給を停止してエンジンを停止させるとともに、エンジン停止後における再始動条件成立時に、膨張行程にある気筒に対して燃料を噴射させて点火、燃焼を行わせ、エンジンを再始動させるエンジンの始動装置において、吸気弁と排気弁の少なくとも一方の開閉タイミングを変更可能にするバルブタイミング可変手段と、上記バルブタイミング可変手段による吸排気弁の開閉タイミングを制御するバルブタイミング制御手段とを備え、上記バルブタイミング制御手段は、エンジン停止条件成立後における燃料供給停止後の所定期間、上記吸排気弁の開閉タイミングを、内部EGR量が増大するような設定に変更するので、筒内温度を上昇させ易い。また、吸気通路に設けられて吸気量を調節するスロットル弁と、排気通路と上記スロットル弁よりも気筒側の上記吸気通路とを連通して排気を還流するEGR通路と、上記EGR通路に設けられ、排気還流量を調節するEGR弁と、上記スロットル弁を制御するスロットル弁制御手段と、上記EGR弁を制御するEGR弁制御手段とを備え、エンジン停止条件成立後における燃料供給停止後、上記EGR弁制御手段は上記EGR弁を所定期間開弁状態とするとともに、上記スロットル弁制御手段は上記スロットル弁を所定期間閉弁状態とし、その後の所定期間、上記スロットル弁制御手段は上記スロットル弁を開弁状態とするようにしても筒内温度を上昇させ易くすることができる。これらのように筒内温度を上昇させやすくすることによって、比較的低温の状態でもアイドルストップを実行することができる。即ちアイドルストップの実行可能領域を低温側に拡大することができ、更なる燃費の向上とCO2排出量の抑制等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による始動装置を備えたエンジンの概略断面図である。
【図2】上記エンジンの概略平面図である。
【図3】上記エンジンの概略制御ブロック図である。
【図4】エンジン停止時のエンジン回転数、スロットル開度及び吸気管負圧の変化並びに各気筒のサイクルを示す説明図である。
【図5】エンジン停止時のピストン位置に応じた再始動制御モード選択のための範囲の設定を示す説明図である。
【図6】2つのクランク角センサからのクランク角信号を示すものであって、(a)はエンジン正転時の信号、(b)はエンジン逆転時の信号である。
【図7】エンジン停止時のエンジン回転数、EGR増大制御、スロットル開度及び吸気管負圧の変化並びに各気筒のサイクルを示す説明図である。
【図8】第1実施形態におけるEGR増大制御の詳細を示す説明図であり、(a)は通常の吸排気弁開閉タイミング、(b)はEGR増大制御が行われているときの吸排気弁開閉タイミングを示す。
【図9】エンジン再始動時の各気筒のサイクル及び燃焼動作を示す説明図である。
【図10】エンジン再始動時のエンジン回転数、クランク角、各気筒の筒内圧及び図示トルクの変化を示す説明図である。
【図11】エンジン停止時のピストン位置と圧縮行程気筒の要求空燃比、圧縮行程気筒の空気量、膨張行程気筒の空気量及び発生頻度との関係を示す説明図である。
【図12】エンジン停止時のピストン位置を検出するための処理を示すフローチャートである。
【図13】制御手段によるエンジンの自動停止のための制御フローチャートである。
【図14】第1実施形態のEGR増大制御のフローチャートである。
【図15】制御手段によるエンジンの再始動のための制御フローチャートである。
【図16】第1再始動制御モードを示すフローチャートである。
【図17】第3再始動制御モードを示すフローチャートである。
【図18】本発明の第2実施形態による始動装置を備えたエンジンの概略平面図である。
【図19】第2実施形態による始動装置を備えたエンジンの概略制御ブロック図である。
【符号の説明】
1,1a エンジン
3(3A,3B,3C,3D) 気筒(1番気筒,・・・,4番気筒)
4 ピストン
7 点火プラグ
8 燃料噴射弁
11 吸気弁
12 排気弁
15 吸気通路
16 排気通路
17,17a スロットル弁
21,22 クランク角センサ
26a,27a カム位相可変機構(バルブタイミング可変手段)
28 スタータ
30,30a ECU
31 スロットル弁制御手段
35 カム位相制御手段(バルブタイミング制御手段)
39 EGR弁制御手段
50 EGR通路
51 EGR弁

Claims (7)

  1. 所定のエンジン停止条件が成立したときに自動的に燃料供給を停止してエンジンを停止させるとともに、エンジン停止後における再始動条件成立時に、膨張行程にある気筒に対して燃料を噴射させて点火、燃焼を行わせ、エンジンを再始動させるエンジンの始動装置において、
    吸気弁と排気弁の少なくとも一方の開閉タイミングを変更可能にするバルブタイミング可変手段と、
    上記バルブタイミング可変手段による吸排気弁の開閉タイミングを制御するバルブタイミング制御手段と
    を備え、
    上記バルブタイミング制御手段は、エンジン停止条件成立後における燃料供給停止後の所定期間、上記吸排気弁の開閉タイミングを、内部EGR量が増大するような設定に変更する
    ことを特徴とするエンジンの始動装置。
  2. 上記内部EGR量が増大するような設定は、上記排気弁の閉弁時期を上死点前とするものであることを特徴とする請求項1記載のエンジンの始動装置。
  3. 上記内部EGR量が増大するような設定は、上記吸気弁の開弁時期を上死点後とするものであることを特徴とする請求項1又は2記載のエンジンの始動装置。
  4. 上記内部EGR量が増大するような設定は、上記排気弁の閉時期を上死点前とするとともに、上記吸気弁の開時期を上死点後とし、かつ上死点から上記吸気弁の開時期までの期間を、上記排気弁の閉時期から上死点までの期間と同等以下とするものであることを特徴とする請求項1記載のエンジンの始動装置。
  5. 所定のエンジン停止条件が成立したときに自動的に燃料供給を停止してエンジンを停止させるとともに、エンジン停止後における再始動条件成立時に、膨張行程にある気筒に対して燃料を噴射させて点火、燃焼を行わせ、エンジンを再始動させるエンジンの始動装置において、
    吸気通路に設けられて吸気量を調節するスロットル弁と、
    排気通路と上記スロットル弁よりも気筒側の上記吸気通路とを連通して排気を還流するEGR通路と、
    上記EGR通路に設けられ、排気還流量を調節するEGR弁と、
    上記スロットル弁を制御するスロットル弁制御手段と、
    上記EGR弁を制御するEGR弁制御手段と
    を備え、
    エンジン停止条件成立後における燃料供給停止後、上記EGR弁制御手段は上記EGR弁を所定期間開弁状態とするとともに、上記スロットル弁制御手段は上記スロットル弁を所定期間閉弁状態とし、
    その後の所定期間、上記スロットル弁制御手段は上記スロットル弁を開弁状態とする
    ことを特徴とするエンジンの始動装置。
  6. 出力軸を駆動してエンジンを始動させるスタータを備え、エンジンの温度状態が所定の温度よりも低い場合は、上記再始動の開始時点から上記スタータを作動させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエンジンの始動装置。
  7. 上記再始動時の燃料噴射は、分割噴射とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエンジンの始動装置。
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