JP5314237B2 - 窒化アルミニウム焼結体 - Google Patents
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Description
しかしながら、アルミナからなる発光管を用いた高圧放電ランプは、寿命が約9000時間と短い。これは、主に、アルミナの低い耐熱衝撃性に起因する。また、メタルハライドランプにおいては、アルミナのメタルハライドガスに対する耐食性が低いために、ランプの寿命が更に短くなる。
ところで、窒化アルミニウム等のセラミック材料は、研磨によりその光学的特性が改善されることが知られている。一般に、表面粗さが小さくなるほど、焼結体の光学的特性(光透過率)は向上すると言われており、焼結体表面を鏡面研磨することにより光透過性の向上が期待される。
(1)表面の算術平均高さRaが1μm以下であり、最大高さRzが10μm以下である窒化アルミニウム焼結体。
(2)酸素濃度が450ppm以下、酸素、窒素、アルミニウム以外の不純物元素濃度が350ppm以下であり、かつ平均結晶粒径が2μm〜20μmである(1)に記載の窒化アルミニウム焼結体。
(3)焼成後、研磨前の状態にある(1)に記載の窒化アルミニウム焼結体。
(4)上記(1)〜(3)の何れかに記載の窒化アルミニウム焼結体からなる発光管。
本発明に係る窒化アルミニウム焼結体は、未研磨の状態において、その表面の算術平均高さRaが1μm以下、好ましくは0.8μm以下、さらに好ましくは0.7μm以下、特に好ましくは0.5μm以下であり、最大高さRzが10μm以下、好ましくは8μm以下、さらに好ましくは6μm以下、特に好ましくは5μm以下である。
本発明の窒化アルミニウム焼結体は、不純物濃度(アルミニウム及び窒素以外の成分濃度)が著しく低い範囲に抑制されている。具体的には、酸素濃度が好ましくは450pp
m以下、特に好ましくは300ppm以下、またその他の不純物濃度が好ましくは350ppm以下、特に好ましくは200ppm以下に抑制されている。
本発明の窒化アルミニウム焼結体は、後述するように特定の焼結助剤を特定量用い、特定の加熱条件下で焼成することで得られ、これにより不純物濃度が、従来公知の窒化アルミニウム焼結体に比して著しく低減されており、しかも、焼結後未研磨の状態における平滑性に優れるものであり、この結果として、後述する実施例にも示されているように、優れた光学特性を示す。例えば、不純物濃度が上記範囲内に抑制されており、表面の平滑性が制御された本発明の窒化アルミニウム焼結体は、可視光領域における光全透過率が80%以上であり高い光透過率を示す。
また、本発明に係る窒化アルミニウム焼結体は、その熱伝導率が好ましくは170W/mK以上、さらに好ましくは190W/mK以上、特に好ましくは200W/mK以上であり、窒化アルミニウム焼結体が本来有する高熱伝導性をも兼ね備える。
尚、本発明の窒化アルミニウム焼結体における上記諸特性、特に算術平均高さRa、最大高さRzおよび光透過性は、焼成後、研磨前の状態、すなわち焼成直後(as fired)における物性を示す。
研磨によってRaの値を著しく低くすることができる。そして、セラミック材料の光学的特性は、算術平均高さRaと関連していることが多く、算術平均高さRaが小さくなるほどセラミック材料の光学的特性は向上する。したがって、光学用セラミックにおいては、多くの場合、研磨されている。
次に本発明に係る窒化アルミニウム焼結体の製造方法について具体例をあげて説明するが、本発明の窒化アルミニウム焼結体は、上記物性を有する限り、その製造方法は特に限定はされない。
l2O4(CaO・Al2O3)等のカルシウムアルミネートが用いられる。特にCa3Al2O6を用いることで、原料窒化アルミニウム粉末に含まれる不純物酸素を効率良く除去で
きる。さらに、焼結助剤としてCa3Al2O6を用い、後述する特定の温度条件下で焼成
を行なうことで、焼結終了後に助剤が揮散され、各不純物濃度をさらに低減する上で好適
であり、これにより、焼結体の光学特性をさらに向上させることができる。
圧成形することにより、成形体を作製することができる。
脱脂は、空気中、窒素中、水素中等の任意の雰囲気で加熱することにより行うことができるが、残留炭素量の調整がし易い、窒素中で脱脂を行うことが好ましい。また、脱脂温度は、有機バインダーの種類によっても異なるが、一般には、300〜900℃、特に300〜700℃が好適である。尚、圧縮成形法のように、有機バインダーを用いずに成形を行った場合には、上記の脱脂工程は不要である。
上記還元性雰囲気での焼成を実現する方法としては、焼成用の容器として、非カーボン製、例えば、窒化アルミニウム焼結体、窒化ホウ素成形体等の容器を使用し、該容器の外部にカーボン発生源を存在させることにより、カーボンもしくは炭素化合物をガスの状態で焼成用の容器内に供給する方法が最も好適である。即ち、成形体とカーボン発生源とを焼成用の容器内に共存させた場合、還元濃度が高くなり過ぎ、強い還元力のため、焼結助剤の揮散速度が速くなることがある。このため、焼結後の窒化アルミニウム焼結体の表面粗度が大きくなってしまうおそれがある。
また、上記カーボンの発生源は特に制限されず、無定形炭素や黒鉛等の公知の形態のカーボンを用いることができ、固体状のカーボンが好適である。上記カーボンの形状としては、特に制限されず、粉末状、繊維状、フェルト状、シート状、板状のいずれもよく、またそれらを組み合わせてもよい。その中でも、より高い熱伝導率を得ることを勘案すると、板状の無定形炭素や黒鉛が好適である。
また、得られた焼結体を、高温分解性アルミニウム化合物の共存下で加熱処理(アニール処理)することで窒化アルミニウム焼結体の光透過性をさらに向上できる。共存させる高温分解性アルミニウム化合物は、窒化アルミニウムの焼成中期、さらには、焼成後期において安定に存在し尚且つ、アルミニウム系ガスを気相に放出する材料が好ましい。すなわち、1000℃以上の温度において安定に存在し尚且つアルミニウム系ガスを放出する材料が好ましい。例えば、Al2O3、Al2S3、AlF3、AlNなどが挙げられる。尚
、高温分解性アルミニウム化合物として用いられる窒化アルミニウムは、上記焼成工程を経て得られる本発明の焼結体とは異なり、1500℃程度の温度においてアルミニウム系ガスを徐放する。高温分解性窒化アルミニウムのガス徐放性は、粒界相の組成や構造に起因するものと考えられる。これら高温分解性アルミニウム化合物は、粉末、成形体、焼結体などのいずれの形態であっても構わず、ガス化したアルミニウム系化合物を上記焼結体に曝すことによっても同様の効果が得られる。アニール工程では、N2ガスを0.1〜3
0L/minの条件でフローさせる。アニール温度は、1600〜2000℃で、1〜200時間、緻密質なカーボン、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの材質からなる焼成容器を用いて、高温分解性アルミニウム化合物を焼成容器内に共存させることにより行われる。
く、また円筒の一部に球状の中空部が設けられた構造でもよく、またその他の形状であってもよい。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1)算術平均表面高さRa
表面粗さは、(株)東京精密製サーフコム470Aを用いて、トレーシングスピード0.3mm/秒、カットオフ0.8、測定長さ2.5mmの条件で測定した。
2)最大表面高さRz
表面粗さは、(株)東京精密製サーフコム470Aを用いて、トレーシングスピード0.3mm/秒、カットオフ0.8、測定長さ0.5mmの条件で測定した。
3)不純物濃度
金属不純物濃度(金属元素濃度)は、窒化アルミニウム焼結体を粉砕し粉末状にした後、アルカリ溶融後、酸で中和し、島津製作所製「ICP−1000」を使用して溶液のICP発光分析により定量した。
した。
4)熱伝導率
理学電気(株)製の熱定数測定装置PS−7を使用して、レーザーフラッシュ法により測定した。厚み補正は検量線により行った。
5)光透過率
チューブ形状の窒化アルミニウム焼結体の光透過率は、図1に示すように、積分球の中に光ファイバーでハロゲン光を導入し、光ファイバーの先端にサンプルを覆ったときに漏れ出した光量を測定した。サンプルを覆わなかったとき、つまり、空気をリファレンスとして、その比を透過率とした。サンプルの厚さは0.8mmとした。
(実施例1)
内容積が2.4Lのナイロン製ポットに、鉄心をナイロンで被覆した、直径15mmのナイロンボール(表面硬度100kgf/mm2以下、密度3.5g/cm3)を入れ、次いで、平均粒径が1.3μm、比表面積が3.39m2/g、酸素濃度0.8wt%、金
属元素濃度35ppmの窒化アルミニウム粉末100重量部に対して、焼結助剤粉末として平均粒径が1.8μm、比表面積が3.75m2/gのカルシウムアルミネート化合物
(Ca3Al2O6)を5部、次いで、エタノールを溶媒として40重量部加えて湿式混合
した。この時、前記ナイロンボールはポットの内容積の40%(見かけの体積)充填した。混合はポットの回転数70rpmで3時間行った。更に、得られたスラリーを乾燥して窒化アルミニウム粉末を得た。
た。
最高温度保持時間を50時間としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。窒化アルミニウム焼結体の製造条件及び得られた窒化アルミニウム焼結体の特性を表1に示した。
最高温度保持時間を100時間としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。窒化アルミニウム焼結体の製造条件及び得られた窒化アルミニウム焼結体の特性を表1に示した。
実施例1により得られた焼結体を、さらに、高温分解性アルミニウム化合物としてアルミナ粉末を3g入れた窒化アルミニウム製のセッターに入れ、温度1880℃、30時間でアニールを行い、窒化アルミニウム焼結体を得た。窒化アルミニウム焼結体の製造条件及び得られた窒化アルミニウム焼結体の特性を表1に示した。
アニール処理における高温分解性アルミニウム化合物の種類をAlNとしたこと以外は実施例4と同様の操作を行い、窒化アルミニウム焼結体を得た。窒化アルミニウム焼結体の製造条件及び得られた窒化アルミニウム焼結体の特性を表1に示した。尚、アニール処理で使用した高温分解性窒化アルミニウムは、SH30(トクヤマ製窒化アルミニウム焼結体)である。
焼結助剤の添加量を2部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。窒化アルミニウム焼結体の製造条件及び得られた窒化アルミニウム焼結体の特性を表1に示した。
焼結助剤の添加量を10部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。窒化アルミニウム焼結体の製造条件及び得られた窒化アルミニウム焼結体の特性を表1に示した。
焼成用のセッターの材質を窒化ホウ素としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。窒化アルミニウム焼結体の製造条件及び得られた窒化アルミニウム焼結体の特性を表1に示した。
焼結助剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。窒化アルミニウム焼結体の製造条件及び得られた窒化アルミニウム焼結体の特性を表1に示した。
焼結助剤の添加量を0.5部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。窒化アルミニウム焼結体の製造条件及び得られた窒化アルミニウム焼結体の特性を表1に示した。
焼結助剤の添加量を20部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。窒化アルミニウム焼結体の製造条件及び得られた窒化アルミニウム焼結体の特性を表1に示した。
焼結助剤の種類を酸化イットリウムとし、その添加量を5部としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。窒化アルミニウム焼結体の製造条件及び得られた窒化アルミニウム焼結体の特性を表1に示した。
焼成用のセッターの材質をカーボンとしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。窒化アルミニウム焼結体の製造条件及び得られた窒化アルミニウム焼結体の特性を表1に示した。
Claims (3)
- 焼成後、未研磨の状態にある表面の算術平均高さRaが1μm以下であり、最大高さRzが10μm以下であり、酸素濃度が450ppm以下、酸素、窒素、アルミニウム以外の不純物元素濃度が350ppm以下であり、かつ平均結晶粒径が2μm〜20μmである窒化アルミニウム焼結体。
- 窒化アルミニウム粉末100重量部と、焼結助剤であるカルシウムアルミネート1〜15重量部との混合物を、非カーボン製の容器中、還元雰囲気下、1500〜2000℃の温度で焼成して得られる請求項1に記載の窒化アルミニウム焼結体。
- 請求項1または2に記載の窒化アルミニウム焼結体からなる発光管。
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