JP2004315329A - 窒化アルミニウム焼結体の製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】窒化アルミニウム焼結体の高熱伝導化に伴う、強度、加工性の低下を伴うことなく、高熱伝導性を有する窒化アルミニウム焼結体を製造することが可能な窒化アルミニウム焼結体の製造方法を提供する。
【解決手段】平均粒子径0.3〜3μmの窒化アルミニウム粉末、希土類化合物及び/又はアルカリ土類金属よりなる焼結助剤粉末、並びに有機バインダーよりなる成形体を、残存炭素量が2500〜10000ppmとなるように脱脂した後、得られる脱脂体を温度1550〜1900℃の中性雰囲気下で35〜100時間焼成し、次いで、得られる焼結体を温度1550〜1900℃の還元性雰囲気下で10〜50時間焼成する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い熱伝導性を有する窒化アルミニウムの新規な製造方法に関する。詳しくは、窒化アルミニウム焼結体の高熱伝導化に伴う、強度、加工性の低下を伴うことなく、高熱伝導性を有する窒化アルミニウム焼結体を製造することが可能な窒化アルミニウム焼結体の製造方法である。
【0002】
【従来の技術】
窒化アルミニウムの焼結体は、理論上高い熱伝導率を有しており、かかる特性を十分に発揮させるための焼結方法が数多く提案されている。
【0003】
そのうち、窒化アルミニウム粉末に希土類金属化合物やアルカリ土類金属化合物等の焼結助剤を添加して得られた成形体を、カーボンを存在させた還元性雰囲気下で焼成することにより行う方法が一般的である。
【0004】
上記方法を実施するに際し、窒化アルミニウム粉末に焼結助剤を添加して成形体を製造する過程で、ホットプレスによる方法(特許文献1)と有機バインダーを使用して成形体を得る方法(特許文献2参照)がある。そのうち、大量生産においては、一般に有機バインダーを使用して成形体を得る方法が、成形体の取扱い易さや延いては製品の窒化アルミニウム焼結体の歩留りの点で有利であり、好適に採用される。
【0005】
一方、上記還元性雰囲気下での焼成の目的は、焼結助剤にトラップされた酸素を焼結助剤と共に除去することにより、得られる焼結体中の酸素と焼結助剤の濃度を可及的に低減せしめることにあるが、上記有機バインダーを使用した窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、前記還元性雰囲気中での焼成時間を長く採る必要があり、前記特許文献2においても、最低でも24時間を必要とし、更に高い熱伝導性、具体的には、220W/m・K以上の焼結体を製造しようとした場合には、実施例にも示されているように、温度1900℃における焼成を100時間程度実施することが必要である。
【特許文献1】特開平1−230481号公報
【特許文献2】特許第2829247号公報
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の方法により、220W/m・K以上の優れた熱伝導性を有する窒化アルミニウム焼結体を得ることが可能である。
【0006】
しかしながら、上記方法は、窒化アルミニウム粉末に添加された焼結助剤を除去するための還元性雰囲気下における焼結時間の増大により、窒化アルミニウム焼結体を構成する窒化アルミニウム結晶の結晶粒子の粒径が大きくなる傾向がある。そして、それによる焼結体の機械的強度、加工性の低下が問題となり、かかる点において、改良の余地が残されていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記技術課題を解決すべく鋭意研究を行ってきた。その結果、実質的にカーボンが不存在下の中性雰囲気下での焼成することによって結晶粒子の成長を抑えつつ焼結助剤を焼結体の粒界に移動せしめ、その後、カーボンが存在する還元雰囲気下で焼成を行い、上記粒界に存在する焼結助剤を除去することによって、還元性雰囲気下での焼成時間を短縮して焼結助剤の除去を効果的に行うことができ、これにより結晶粒の過度の成長が抑えられ、高い熱伝導性を有しながら、機械的強度、加工性に優れた窒化アルミニウム焼結体を得ることができることを見出した。
【0008】
また、この場合、中性雰囲気下での焼成における窒化アルミニウム結晶の粒径制御には、原料とする窒化アルミニウム粉末の粒径及び脱脂体中の炭素量を特定の範囲に調整することが極めて重要であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、平均粒子径0.3〜3μmの窒化アルミニウム粉末、希土類化合物及び/又はアルカリ土類金属よりなる焼結助剤粉末、並びに有機バインダーよりなる成形体を、残存炭素量が2500〜10000ppmとなるように脱脂した後、温度1550〜1900℃の中性雰囲気下で35〜100時間焼成し、次いで、得られる焼結体を温度1550〜1900℃の還元性雰囲気下で10〜50時間焼成することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる窒化アルミニウム粉末は、その平均粒子径が0.3〜3μmであることが必要であり、特に、0.3〜2.5μmであることが好ましい。窒化アルミニウム粉末の粒子径が3μmより大きい場合は、焼結後の結晶粒径が大きくなり焼結体の密度が低下し、熱伝導率が低下するという問題が生じるとともに、曲げ強度、加工性能が低下する傾向があるため、本発明の目的を達成することができない。また、窒化アルミニウム粉末の粒子径が0.3μmより小さいものは、製造上困難である。
【0011】
また、窒化アルミニウム粉末中の酸素原子の含有量は、得られる焼結体の熱伝導率を勘案すると、1重量%以下であることが好ましく、0.8重量%以下であることが更に好ましい。
【0012】
本発明において、焼結助剤粉末として、希土類金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用される。
【0013】
上記アルカリ土類金属化合物を例示するとマグネシウム[Mg]、カルシウム[Ca]、ストロンチウム[Sr]、バリウム[Ba]等の金属の酸化物、リン酸塩等が挙げられ、熱伝導率の向上を勘案すると、酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ピロリン酸カルシウム等のカルシウムの酸化物、アルミン酸塩、リン酸塩が好適である。
【0014】
また、上記希土類金属化合物を例示するとイットリウム[Y]、ランタン[La]、セリウム[Ce]等の金属の酸化物等が挙げられ、熱伝導率の向上を勘案すると、酸化イットリウム及び酸化ランタンが好適である。
【0015】
上記した焼結助剤の中でも、アルカリ土類金属化合物、特にカルシウム[Ca]化合物が好適であり、その中でもリン酸三カルシウム等のリン酸カルシウム類が最も好適である。
【0016】
また、上記希土類金属化合物とアルカリ土類金属化合物とは併用しても良く、さらに、それぞれ数種類を用いても良い。
【0017】
焼結助剤粉末の粒径は、特に制限されないが、一般に小さい程、活性が高くなる為、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。
【0018】
上記焼結助剤粉末の添加量は、何ら制限されないが、窒化アルミニウム粉末100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、1〜7重量部が更に好ましい。焼結助剤粉末の添加量をこの範囲に制御することにより、焼結体を十分緻密化して得られる焼結体の熱伝導率を向上せしめると共に、後述の還元雰囲気下での該焼結助剤の除去を速やかに行うために好ましい。
【0019】
窒化アルミニウム粉末と焼結助剤粉末との混合粉は、公知の方法で製造すればよく、たとえば、ボールミル等の混合機によって、乾式または湿式により混合する方法が好適で採用できる。上記方法の中で、湿式で混合する場合は、水、アルコール類、炭化水素類等の分散媒を使用するが、分散性の点でアルコール類、炭化水素類を用いることが好ましい。
【0020】
本発明においては、窒化アルミニウム焼結体を量産するため、上記混合粉の成形体の強度が必要とされ、かかる強度を保つ目的で有機バインダーが使用される。有機バインダーとしては、ポリビニルブチラール等のブチラール樹脂、ポリメタクリルブチル等のアクリル樹脂等、公知のものが挙げられる。
【0021】
上記有機バインダーは、窒化アルミニウム粉末100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは、1〜15重量部の割合で配合することが好ましい。
【0022】
また、上記組成物中には、必要に応じて、グリセリン化合物類などの分散剤及びフタル酸エステル類などの可塑剤も添加してよい。
【0023】
上記した窒化アルミニウム粉末、焼結助剤粉末、及び有機バインダーよりなる組成物は、例えば、ドクターブレード法等によりシート状に成形される。
【0024】
得られた成形体は、空気中、窒素中、水素中等の任意の雰囲気で加熱し、脱脂する。特に、本発明においては、後記のように、脱脂後の残留炭素量(含有量)を特定の範囲とすることを必要とするため、残留炭素量の調整がし易い、窒素中での脱脂が好ましい。また、脱脂における温度は、有機バインダーの種類によっても異なるが、300〜900℃が好ましく、300〜700℃が特に好ましい。
【0025】
本発明において、上述した脱脂を行って得られる脱脂体中の残存炭素量は、2500〜10000ppm、好ましくは、2500〜7000ppmであることが、得られる窒化アルミニウム焼結体の高熱伝導性と優れた機械的強度及び加工性とを、共に高度な状態でバランスさせるために必要である。即ち、上記残存炭素量が2500ppmより少ない場合、中性雰囲気下での焼成によって得られる焼結体(以下、一次焼結体ともいう)の結晶粒径が大きくなる傾向があり、これを更に還元雰囲気下で焼成して窒化アルミニウム焼結体とした場合、結晶粒子の成長が進み過ぎ、機械的強度及び加工性が低下する。また、上記残存炭素量が10000ppmより多い場合、得られる結晶粒子の径は本発明の目的である曲げ強度、加工性能を満足するものであるが、熱伝導率が低下するため本発明の目的を達成することができない。
【0026】
上記脱脂体中の残存炭素量の調整方法は特に制限されないが、例えば、脱脂時間を調整する方法、脱脂温度を調整する方法、有機バインダーの使用量を調整する方法、有機バインダーの種類を選択する方法等を単独で、或いは組み合わせて採用することができる。
【0027】
本発明において、上記方法により得られた脱脂体を、温度1550〜1900℃の中性雰囲気下で35〜100時間焼成し(以下、第1段焼成ともいう。)、次いで、得られる焼結体を温度1550〜1900℃の還元性雰囲気下で10〜50時間焼成する(以下、第2段焼成ともいう。)ことが極めて重要である。
【0028】
前記したように、本発明の方法は、窒化アルミニウム焼結体を構成する窒化アルミニウムの結晶粒径が、還元雰囲気下での焼成によって過度に大きくなる現象を防止し、適度な結晶粒径を有し、且つ、該還元雰囲気下での焼成によって効率的に焼結助剤を除去することを目的とするものである。
【0029】
かかる目的を達成するため、第1段焼成として、脱脂体を、温度1550〜1900℃の中性雰囲気下で35〜100時間焼成することが重要である。
【0030】
尚、上記中性雰囲気下とは、雰囲気中に酸素[O]及び炭素が実質的に存在しない状態をいう。かかる状態は、具体的には、密閉容器内を窒素、アルゴン等の不活性ガスに置換し、且つ、該密閉容器として、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等のセラミックスや、タングステン[W]、モリブデン[Mo]等の非炭素製の材料よりなる容器を使用し、該密閉容器内に脱脂体中の残存炭素以外に炭素源を存在させない状態で焼成することによって達成される。その中でも、耐久性の点から窒化アルミニウム、窒化ホウ素等のセラミックス製の容器が好ましい。また、材質の全てを上記材料で構成する必要はなく、たとえば、カーボン質の容器内面を、上記した非カーボン質でガスを透過しない材料で被覆したものも使用することができる。
【0031】
上記第1段焼成において、焼成温度が1550℃より低い場合、焼結が進み難く、長時間かけても、熱伝導性の高い窒化アルミニウム焼結体を得ることが困難である。また、該焼成温度が1900℃よりも高い場合、脱脂体中の残留炭素による窒化アルミニウム中の酸素の還元除去反応が十分に進行する前に窒化アルミニウムの焼結が進行してしまい熱伝導率の高い窒化アルミニウム焼結体を得ることができない。上記焼成温度は、1600〜1850℃が特に好ましい。
【0032】
また、上記温度下における焼成時間が35時間より短い場合は、続く第2焼成における助剤の除去が十分に進まず、高い熱伝導性を有する窒化アルミニウム焼結体を得ることが困難となる。一方、上記焼成時間が100時間を超えた場合、第1段焼成の効果、即ち、第2段焼成における焼成時間の短縮効果が頭打ちとなるばかりでなく、逆に得られる窒化アルミニウム焼結体の強度が低下する。上記焼成温度は、35〜80時間が特に好ましい。
【0033】
上記第1段焼成の作用について、本発明者らは、次のように推定している。即ち、中性雰囲気下での焼成を行うことにより結晶粒の成長が進み難いが、前記残存炭素量の制御により、適度な結晶粒の成長により、第2段焼成において、助剤が除去され易い粒界に移動せしめることができ、かかる助剤を第2段焼成において、還元雰囲気下で、短時間で除去することを可能とする。
【0034】
本発明において、第2段焼成では、第1段焼成により得られる焼結体を温度1550〜1900℃の還元性雰囲気下で10〜50時間焼成する。
【0035】
上記第2段焼成の焼成温度が1550℃より低い場合、焼結助剤の除去を短時間で行うことができず、本発明の目的を達成することができない。また、上記焼成温度が1900℃より高い場合、焼結助剤の除去はより短時間で行うことが可能であるが、還元処理中に一部の酸素が窒化アルミニウム粒子中に固溶する現象が起こり、焼結体の熱伝導率が低下する。
【0036】
また、第2段焼成における焼成時間が10時間より短い場合、焼結助剤の除去が十分でなく、230W/m・K以上の高熱伝導性を達成することが困難となる。また、上記焼成時間が50時間を超えた場合、得られる焼結体中の結晶粒径が増大し、機械的強度の低下、加工性の低下を招く。
【0037】
尚、還元性雰囲気を実現する方法としては、成形体とカーボンとを容器内に共存させる方法、カーボン製の容器を用いる方法等が挙げられるが、その中でも、得られる熱伝導率や色ムラ等を勘案すると、成形体とカーボンとを容器内に共存させる方法が好適であり、特に、密閉容器内に成形体とカーボンとを収容する方法が、より高い熱伝導率を得ることを勘案すると、さらに好適である。
【0038】
また、上記カーボンの発生源は特に制限されず、無定形炭素や黒鉛等の公知の形態のカーボンを用いることができ、固体状のカーボンが好適である。上記カーボンの形状としては、特に制限されず、粉末状、繊維状、フェルト状、シート状、板状のいずれもよく、またそれらを組み合わせてもよい。その中でも、より高い熱伝導率を得ることを勘案すると、板状の無定形炭素や黒鉛が好適である。
【0039】
更に、成形体とカーボンとを容器内に収容する方法は、特に制限されず、また、カーボンと成形体とを非接触、接触のいずれの形態で収容してもよい。その中でも、非接触の形態の方が、得られる焼結体の熱伝導率の制御の容易さの点で好ましい。また、上記非接触の形態は、公知の形態を採用すればよく、たとえば、単にカーボンと成形体との間に間隔を設ける方法、カーボンと成形体との間に窒化ホウ素等の粉末を介在させることにより非接触にする方法、カーボンと成形体との間に窒化アルミニウム、窒化ホウ素等のセラミックス製の板等を設置して非接触にする方法等が挙げられるが、熱伝導率の向上を勘案すると、カーボンと成形体との間に板等を設置して非接触にする方法が好適であり、特に密閉容器内においてカーボンを収容した空間と、成形体を収容した空間とをできるだけ遮断するように板を設置する方法が、さらに高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム焼結体を得るために好ましい。
【0040】
本発明において、第2段焼成時に所定量のカーボンガスが存在している状態は、下記に示すカーボン源の比表面積およびそのガスの発生量を制御する方法により容易に達成することができる。
【0041】
上記カーボンの比表面積は、焼成する成形体の量・大きさ及び成形体中の酸素原子の含有量により異なるが、通常は、0.01〜100m/gの範囲が好適であり、熱伝導率の向上を勘案すると、0.1〜50m/gの範囲がより好ましい。
【0042】
また、カーボンの量は、焼成する成形体の量・大きさ及び成形体中の酸素原子の含有量と、上記比表面積とを勘案し、適宜設定すればよく、カーボンの種類等により異なるが、通常は、成形体100重量部あたり、カーボン1〜1000重量部程度であり、10〜500重量部が好適な範囲である。
【0043】
本発明において、上記第2段焼成によって得られた窒化アルミニウム焼結体は、優れた熱伝導性と共に、機械的強度、加工性においても優れたものであるが、該焼結体の表面状態を更に改良するため、第2段焼成に続いて、更に、温度1550〜1850℃、好ましくは、1600〜1800℃の中性雰囲気下で5〜50時間、好ましくは、10〜40時間焼成する工程を付加することが好ましい。
【0044】
即ち、還元性雰囲気下での焼成により、窒化アルミニウム焼結体の表面に色ムラが発生する場合があり、かかる第3段焼成は、かかる色ムラを解消するために有効である。
【0045】
上記中性雰囲気下での焼成は、前記第1段焼成と同様な態様によって実現することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明の方法によれば、前記第1段焼成及び第2段焼成を採用することにより、得られる窒化アルミニウム焼結体の結晶粒径の過度の成長を防止しながら、焼結助剤の除去を達成できるため、熱伝導度230W/m・K以上を有し、曲げ強度が250MPa以上であり、且つ、遊離砥粒を用いた研磨法によって表面研磨して表面粗さRaが0.05μm以下に到達する時間が60分以下であるという極めて優れた性能を有する窒化アルミニウム焼結体を得ることが可能である。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を更に具体的に説明するため実施例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0048】
尚、実施例及び比較例における各物性等の測定条件は、下記の方法によって行った。
【0049】
1)平均粒子径
窒化アルミニウム焼結体破断面の電子顕微鏡写真よりコード法に基づいて平均粒子径を算出した。
【0050】
2)脱脂体中の残存炭素量
(株)堀場製作所製非分散型赤外吸収法炭素分析装置「EMIA−110」により分析を行った。
【0051】
3)熱伝導率
真空理工(株)製「LF/TCM−FA8510B」を使用して、レーザーフラッシュ法により、2次元法で測定した。
【0052】
4)曲げ強度
東洋精機製「ストログラフVE1D:商品名」を使用して、JIS−C2141に準じて測定を行った。
【0053】
5)加工性評価
焼結後の窒化アルミニウム焼結体の表面を、下記に示すダイヤモンドペーストを用いた遊離砥粒研磨方法によって研磨し、研磨表面の算術表面粗さRaが0.6μmから0.05μmに達するまでの時間(加工時間)を測定し、加工性評価を行った。
【0054】
研磨方法としてはビューラー社製研磨装置を使用し、平均粒径6μmのダイヤモンド砥粒を2重量%の濃度で含むスラリーを0.6ml/分の流量でワークステージへ供給して500g/cmの加重でワークを砥石に押し付けて研磨した。また、ワークステージの回転速度は100rpmとした。
【0055】
上記加工時間が短いほど加工性が良好といえる。
【0056】
6)色ムラの評価
得られた焼結体を目視により、以下の基準に従って、色ムラを評価した。
【0057】
A:色ムラの面積が 全面積の0〜5%未満
B:色ムラの面積が 全面積の5%以上20%未満
C:色ムラの面積が 全面積の20%以上
実施例1
平均粒子径1.5μmの窒化アルミニウム粉末100重量部に対して、焼結助剤として酸化イットリウム粉末を5重量部、リン酸三カルシウム粉末を0.5重量部、分散剤としてソルビタントリオレエートを0.65重量部、結合剤としてポリビニルブチラールを8重量部、可塑剤としてジブチルフタレートを4.72重量部、溶媒としてトルエンを62.4重量部、エタノールを36.4重量部、ブタノールを5.2重量部加えた混合物をボールミルで混合し、脱溶媒した後、ドクタ−ブレード法によりシート成形を行った。得られたシートより69mm角、厚さ1.4mmの成形体を作成した。この成形体を窒素雰囲気中、500℃で3時間脱脂した。得られた脱脂体の炭素濃度は5540ppmであった。
【0058】
次いで、脱脂体を窒化アルミニウム製の容器内に1枚入れ、窒素雰囲気中、1780℃で80時間焼成した(第1段焼成)。その後、窒化アルミニウム容器内にカーボン板(比表面積0.365m/g、重量18.5g)を入れ、窒素雰囲気中、1780℃で24時間焼成した(第2段焼成)。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0059】
実施例2
実施例1で作成した成形体を用いて、窒素雰囲気中、500℃で3時間脱脂した後、空気中、300℃で1時間脱脂を行った。得られた脱脂体の炭素濃度は3990ppmであった。次いで実施例1と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0060】
実施例3
実施例1で作成した成形体を用いて、窒素雰囲気中、500℃で3時間脱脂を行った。得られた脱脂体の炭素濃度は4800ppmであった。次いで第2段焼成時間を14時間とした以外は実施例1と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0061】
実施例4
実施例2で得られた脱脂体を用いて、第2段焼成時間を39時間とした以外は実施例1と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0062】
実施例5
実施例1で作成した脱脂体を用いて、第1段焼成時間を37時間、第2段焼成時間を22時間とした以外は実施例1と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0063】
実施例6
実施例5で得られた焼結体の中で色ムラが発生した焼結体を窒化アルミニウム製の容器内に入れ、窒素雰囲気中、1730℃で20時間焼成した(第3段焼成)。第3段焼成後、焼結体に発生した色ムラは完全に除去された。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0064】
実施例7
平均粒子径が1.0μmの窒化アルミニウム粉末を用いて実施例1と同様にして成形体を作成した。作成した成形体を窒素雰囲気中、500℃で3時間脱脂を行った。得られた脱脂体の炭素濃度は5500ppmであった。次いで、脱脂体を窒化アルミニウム製の容器内に1枚入れ、窒素雰囲気中、1780℃で40時間焼成した(第1段焼成)。その後、窒化アルミニウム容器内にカーボン板(比表面積0.365m/g、重量18.5g)を入れ、窒素雰囲気中、1780℃で20時間焼成した(第2段焼成)。更に得られた焼結体を、カーボン板を仕込んでいない窒化アルミニウム製の容器に入れ、窒素雰囲気中、1780℃で20時間焼成を行った。得られた焼結体の物性を表2に示す。
【0065】
実施例8
実施例1で作成した成形体を用いて、窒素雰囲気中、500℃で3時間脱脂した後、空気中、300℃で1時間脱脂を行った。得られた脱脂体の炭素濃度は4000ppmであった。次いで実施例7と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0066】
実施例9
実施例7で作成した脱脂体を用いて、第1段焼成温度を1650℃とした以外は実施例7と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0067】
実施例10
実施例8で作成した脱脂体を用いて、実施例9と同様にして同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0068】
実施例11
実施例7で作成した脱脂体を用いて、第2段焼成温度を1650℃とした以外は実施例7と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0069】
実施例12
実施例8で作成した脱脂体を用いて、実施例11と同様にして同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0070】
実施例13
平均粒子径が2.5μmの窒化アルミニウム粉末を用いて実施例1と同様にして成形体を作成した。作成した成形体を窒素雰囲気中、500℃で3時間脱脂を行った。得られた脱脂体の炭素濃度は5500ppmであった。次いで第1段焼成温度を1650℃とした以外は実施例7と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0071】
実施例14
実施例13で作成した脱脂体を用いて、実施例11と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0072】
実施例15
実施例13で作成した成形体を、窒素雰囲気中500℃で3時間脱脂した後、空気中300℃で1時間脱脂した。得られた脱脂体の炭素濃度は4000ppmであった。次いで実施例9と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0073】
実施例16
実施例15で作成した脱脂体を用いて、実施例11と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0074】
実施例17
実施例7で作成した脱脂体を用いて、第1,2段焼成温度をそれぞれ1650℃とした以外は実施例7と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0075】
実施例18
実施例8で作成した脱脂体を用いて、実施例17と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0076】
実施例19
実施例13で作成した脱脂体を用いて、実施例17と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0077】
実施例20
実施例15で作成した脱脂体を用いて、実施例17と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0078】
比較例1
実施例1で得られた成形体を、窒素雰囲気中、500℃で3時間脱脂した。得られた脱脂体の炭素濃度は6080ppmであった。次いで第1段焼成時間を12時間、第2段焼成時間を22時間とした以外は実施例1と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0079】
比較例2
実施例1で得られた成形体を、窒素雰囲気中、500℃で3時間脱脂した後、空気中、330℃で1時間脱脂した。得られた脱脂体の炭素濃度は2250ppmであった。次いで実施例1と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0080】
比較例3
平均粒子径が5.0μmの窒化アルミニウム粉末を用いて実施例1と同様にして成形体を作成した。作成した成形体を窒素雰囲気中、500℃で3時間脱脂を行った。得られた脱脂体の炭素濃度は5500ppmであった。次いで実施例1と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0081】
比較例4
実施例1で作成した成形体を用いて、窒素雰囲気中、200℃で2時間脱脂を行った。得られた脱脂体の炭素濃度は11000ppmであった。次いで実施例7と同様にして焼成を行った。得られた焼結体の物性は表2に示す。
【0082】
【表1】
Figure 2004315329
【表2】
Figure 2004315329

Claims (4)

  1. 平均粒子径0.3〜3μmの窒化アルミニウム粉末、希土類化合物及び/又はアルカリ土類金属よりなる焼結助剤粉末、並びに有機バインダーよりなる成形体を、残存炭素量が2500〜10000ppmとなるように脱脂した後、温度1550〜1900℃の中性雰囲気下で35〜100時間焼成し、次いで、得られる焼結体を温度1550〜1900℃の還元性雰囲気下で10〜50時間焼成することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  2. 得られる窒化アルミニウム焼結体が、熱伝導度230W/m・K以上を有し、曲げ強度が250MPa以上であり、且つ、遊離砥粒を用いた研磨法によって表面研磨して表面粗さRaが0.05μm以下に到達する時間が60分以下である請求項1記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  3. 還元性雰囲気下での焼成時間が24時間以下である請求項1又は2に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  4. 還元性雰囲気下での焼成終了後、更に、温度1550〜1850℃の中性雰囲気下で5〜50時間焼成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化アルミニウムの製造方法。
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