JP2006319112A - ドライエッチング装置用電極 - Google Patents

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信悟 菊谷
Motonobu Teramoto
元信 寺本
Toshihisa Suyama
敏尚 須山
Seiji Sagawa
誠二 寒川
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Abstract

【課題】 耐プラズマ性が充分高く、寿命の長いドライエッチング装置用電極を提供する。
【解決手段】 例えば窒化アルミニウム粉末100質量部および希土類酸化物0.5〜20質量部を含むグリーン体を還元性雰囲気中で焼結することにより窒化アルミニウム粒界に希土類窒化物を生成させることにより得られる導電性の窒化アルミニウムで表面の一部又は全部を構成した貫通孔を有する成形体をドライエッチング装置用電極として用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、一部又は全部が導電性化された導電性窒化アルミニウム成形体、特にドライエッチング装置用電極として好適に使用される前記導電性窒化アルミニウム成形体およびその製造方法に関する。
近年、半導体集積回路やハードディスク等の情報記録媒体、微細光学素子あるいはマイクロマシーン等の分野において、その加工パターンが著しく微細化されている。かかる分野の加工においては、プラズマを用いたエッチング装置が広く採用されている。このようなプラズマを用いたエッチング装置としては、正イオン、ラジカル粒子等を生成するRIE
(Reactive Ion Etching)装置が知られている。この装置用の電極材料として、従来シリコン、グラファイト、グラッシーカーボン、炭化ケイ素等が使われていた。この内シリコン、グラファイト、グラッシーカーボンは耐プラズマ性が十分でなく、プラズマガスによる侵食を受け易く、寿命が短いという問題があった。炭化ケイ素の寿命はグラファイトのそれの2〜5倍であるが、十分とは言えない。
一方、特許文献1に記載されているように、RIE装置によるエッチング加工においては
、高精度と高選択比を両立できないこと、およびチャージアップによるエッチング形状異常の問題があった。このような問題を解決するため、特許文献1においては、電荷を持たず大きな並進エネルギーを持つコリメートされた中性粒子ビームによって被処理物を加工するエッチング方法が提案されている。この装置におけるイオンを中性化するための電極、すなわち中性化電極は導電体でなければならない。この中性化電極は、特許文献1ではオリフィス電極として、また特許文献2ではグリット電極として記載されている。これらの中性化電極は、RIE装置と同様、導電性や化学的安定性が要求されるためグラファイト
やグラッシーカーボン等の炭素系導電体が用いられてきた。しかしながら、これら炭素系部材はRIE装置用電極部材と同様、耐プラズマ性が十分でなく、プラズマガスによる侵食
を受け易く、寿命が短いという問題があった。
なお、特許文献3には、導電性窒化アルミニウムならびにこれを用いた半導体製造装置用部材が提案されているが、具体的には、静電チャックおよび被処理物を保持するためのステージとして使用が記載されているのみであり、電極素材として使用することは記載されていない。
特開2003−109942号公報 特開2004−281232号公報 WO2005/008683
しかしながら、特許文献1等に記載の炭素系部材は耐プラズマ性が充分でなく、プラズマガスによる侵食を受け易く、寿命が短いという問題があった。
したがって、本発明は耐プラズマ性が充分高く、プラズマガスによる侵食を受け難く、寿命の長いドライエッチング装置用電極、及びこのような電極を効率よく製造する方法を提供することを目的としている。
本発明は、上記課題を解決するものであり、下記(1)〜(9)の発明を含む。
(1) 表面の一部または全部が導電性窒化アルミニウムで構成されてなるドライエッ
チング装置用電極。
(2) 貫通孔を有する上記(1)のドライエッチング装置用電極。
(3) 表面の一部または全部が導電性窒化アルミニウムで構成され、貫通孔を有する窒化アルミニウム成形体。
(4) 窒化アルミニウム粉末100質量部および希土類酸化物0.5〜20質量部を含むグリーン体を準備する工程、グリーン体に貫通孔を形成する工程、およびグリーン体を還元性雰囲気中で焼結する工程を含み、焼結工程において、焼結体表面の一部または全部において、窒化アルミニウム粒界に希土類窒化物を生成させる前記(3)の窒化アルミニウム成形体の製造方法。
(5) 窒化アルミニウム粉末100質量部および希土類酸化物0.5〜20質量部を含むグリーン体を準備する工程、グリーン体を焼結する第1の焼結工程、前記工程で得られた焼結体に貫通孔を形成する工程、および前記工程で得られた貫通孔を有する焼結体を還元性雰囲気中で焼結する第2の焼結工程を含み、第2の焼結工程において、焼結体表面の一部または全部において、窒化アルミニウム粒界に希土類窒化物を生成させる前記(3)の窒化アルミニウム成形体の製造方法。
(6) グリーン体が、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、遷移金属窒化物を10質量部以下含む前記(4)または(5)の製造方法。
(7) 酸素を0.3〜2.0質量%含む平均粒子径0.1〜20μmの窒化アルミニ
ウム粉末100質量部に対してアルカリ土類金属化合物からなる焼結助剤を0〜0.1質量部を含むグリーン体を準備する工程、
得られたグリーン体に貫通孔を形成する工程、および
貫通孔が形成されたグリーン体を中性又は還元性雰囲気中で焼結する工程を含み、
前記焼結工程において、少なくとも表面一部又は全部の焼結体中の窒化アルミニウムの平均粒子径を、原料として用いた窒化アルミニウム粉末の平均粒子径の5〜30倍になるまで粒成長させ、焼結体中の固溶酸素量を0.1〜0.6質量%とすることを特徴とする前記(3)の製造方法。
(8) 酸素を0.3〜2.0質量%含む平均粒子径0.1〜20μmの窒化アルミニ
ウム粉末100質量部に対してアルカリ土類金属化合物からなる焼結助剤を0〜0.1質量部を含むグリーン体を準備する工程、
グリーン体を中性又は還元性雰囲気中で焼結する工程、および
得られた焼結体に貫通孔を形成する工程を含み、
前記焼結工程において、少なくとも表面一部又は全部の焼結体中の窒化アルミニウムの平均粒子径を、原料として用いた窒化アルミニウム粉末の平均粒子径の5〜30倍になるまで粒成長させ、焼結体中の固溶酸素量を0.1〜0.6質量%とすることを特徴とする前記(3)の製造方法。
(9) 導電性窒化アルミニウム成形体がドライエッチング装置用電極である前記(4)〜(8)の何れかの製造方法。
本発明によれば、窒化アルミニウムが本来有する優れた熱伝導性を有し、かつ耐プラズマ性が充分高く、プラズマガスによる侵食を受け難く、寿命の長い導電性窒化アルミニウム成形体が提供される。このような成形体は、ドライエッチング装置用電極、特に中性粒子ビーム装置用の中性化電極として有用である。
中性粒子ビーム装置における中性化電極とは、特許文献1等に示されているように、多数の貫通孔を有する円盤形状の導電体であり、一方の表面がやや凸状に成形されている。プラズマ室で生成し、加速されたイオンビームが、上記電極中の貫通孔を通過する際に貫通孔内壁の固体表面近傍において中性化され、あるいは貫通孔内部に残存しているガスと電荷交換され中性化され、中性粒子となる。
従来の中性化電極は、上記したように炭素系素材からなるものであったが、本発明では、窒化アルミニウム系電極が提案される。
すなわち、本発明に係るドライエッチング装置用電極は、表面の一部または全部が導電性窒化アルミニウムで構成されてなることを特徴としている。窒化アルミニウムは、一般に絶縁性であるが、近年特許文献3のように、導電性窒化アルミニウム焼結体が提案されている。
窒化アルミニウムの焼結助剤には、通常は希土類元素の酸化物、たとえば酸化イットリウムが用いられている。焼結助剤は窒化アルミニウムの原料中に含まれる酸素と反応して液相を生成して、窒化アルミニウムの緻密化を行う一方、酸素を粒界相に固定することにより窒化アルミニウム粒子内部への酸素の固溶を阻害して高熱伝導性を可能とするものである。焼結助剤に酸化イットリウムを用いた場合、粒界相にはイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)等のアルミニウムの複合酸化物が生成する。これら複合酸化物は
絶縁体であるので、粒界相が高抵抗となり、焼結体の電気抵抗を下げるのは容易ではない。
これに対し、本発明で使用する導電性窒化アルミニウムは、次のような手段で導電性が付与されてなるが、これらの手段に限定はされない。
(1)窒化アルミニウム焼結体の粒界相に希土類窒化物を含ませる。
(2)焼結体において粒界相を形成させずに窒化アルミニウム多結晶粒子中に酸素を固溶させる。
方法(1)について説明する。希土類窒化物は、たとえばJ. Physics and Chemistry of Solids., Vol.24, Issue 7, July 1963, p. 863-870に記載されているとおり、半導体
または半金属導体である。導電性窒化アルミニウムにおいては、この希土類窒化物が粒界相に存在し、三次元的に網目状に連続した導電ネットワークを形成する。この導電ネットワークにより粒界相の抵抗を大幅に低下させることができるので、焼結体全体の電気抵抗を低下させることが可能になる。一方、希土類窒化物はマトリックス相に実質的に存在しないので、マトリックス相である窒化アルミニウム(該窒化アルミニウムには酸素が固溶していてもよいし、固溶していなくてもよい)の高熱伝導性や高強度を低下させることがない。
上記希土類窒化物には、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウムの窒化物の単独またはそれらの2種以上の混合物、ならびにそれらの固溶体を用いることができる。固溶体としては、たとえば、窒化イットリウムと窒化セリウムとの固溶体、窒化イットリウムと窒化ランタンとの固溶体が好ましく用いられる。
上記方法(1)による導電性窒化アルミニウムにおける上記希土類窒化物の含有量は、酸化物換算で、0.5〜20重量%程度であることが好ましい。
上記導電性窒化アルミニウムには、さらに周期律表4〜8族から選ばれる1種以上の遷移金属の窒化物が含まれていてもよく、また窒化ホウ素が含まれていてもよい。周期律表
4〜8族から選ばれる1種以上の遷移金属としては、Ti, Zr, Hf, V, Nb, Ta, Cr, Mo, W, Mn, Fe, Co, Niが好適であり、特にTi, Mo, Wが好ましい。これらの窒化物の添加量は
、窒化アルミニウム100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。これらの窒化物もまた導体であり、マトリックス粒子である窒化アルミニウムに対して、第2の粒界相として存在することにより、体積抵抗率をより低位安定化することができる。また、窒化ホウ素を、マトリックス粒子に対して第2の粒界相として存在させることにより、機械加工性を向上させることができる。
上記導電性窒化アルミニウムの熱伝導率は、好ましくは100W/mK以上、より好ましくは120W/mK以上、さらに好ましくは150W/mK以上であり、窒化アルミニウムが本来有する優れた熱伝導性を維持している。
このような粒界相で導電性を発現する導電性窒化アルミニウムの詳細は、たとえば特許文献3に記載されている。
また、窒化アルミニウムに導電性を付与する方法(2)では、焼結体において粒界相を形成させずに窒化アルミニウム多結晶粒子中に酸素を固溶させる。窒化アルミニウムに酸素を固溶させることにより、Al格子欠陥が生成し、この欠陥が電気のキャリアとなり、該キャリアは粒界相によって阻害されることなく移動できるので、マトリックス相の電気抵抗が低下する。
格子欠陥型の導電性窒化アルミニウムにおいては、固溶酸素量を好ましくは0.1〜0.6質量%、さらに好ましくは0.2〜0.5質量%とすることが望ましい。固溶酸素量が少な過ぎるとAl格子欠陥の生成量が少なくなり、所望の導電性を達成できないおそれがある。また、固溶酸素量が多過ぎると、窒化アルミニウムが本来有する高熱伝導性が損なわれるおそれがある。該導電性窒化アルミニウムにおいては、X線回折法による測定にお
いて助剤相がまったく検出されない。したがって、赤外線検出器を用いた酸素濃度測定機で測定される酸素量(この酸素量の内、焼結体表面の酸化層の酸素量は通常無視できる量
である。)は、窒化アルミニウムに固溶している酸素の量である。
このような格子欠陥型の導電性窒化アルミニウムの熱伝導率は、好ましくは50W/mK以上、より好ましくは60W/mK以上、さらに好ましくは70W/mK以上である。
上記導電性窒化アルミニウム焼結体は、次のような方法により製造することができる。即ち、平均粒子径0.1〜20μm、酸素濃度0.3〜2.0質量%の窒化アルミニウム
粉末100質量部に対してアルカリ土類金属化合物からなる焼結助剤を0〜0.1質量部含むグリーン体を中性又は還元性雰囲気中で焼結する方法であって、焼結に際して焼結体中の窒化アルミニウムの平均粒子径を原料として用いた窒化アルミニウム粉末の平均粒子径の5〜30倍になるまで粒成長させる方法により製造することができる。以下、この方法について詳しく説明する。
上記製造方法においては、グリーン体の原料として酸素を0.3〜2.0質量%含む平均粒子径0.1〜20μmの窒化アルミニウム粉末を使用する。このような原料粉末は、
たとえば平均粒子径0.1〜20μmの窒化アルミニウム粉末を空気中で550〜750℃に3〜10時間保持することにより調製することができる。このときの温度及び保持時間を調整することにより酸素濃度を制御することができる。原料粉末に含まれる酸素量は、赤外線検出器を用いた酸素濃度測定機で測定することができる。最終的に得られる焼結体の導電性の観点から原料粉末の平均粒子径は0.5〜15μm、特に1〜10μmであるのが好ましく、酸素濃度は0.5〜1.5質量%であるのが好ましい。
前記製造方法においは、焼結体の粒界に助剤相のような窒化アルミニウム(酸素が固溶している)と異質の相が存在すると、高い導電性を得ることができなくなるため、グリー
ン体を製造する際に使用する焼結助剤の種類及び量が限定される。すなわち、前記方法では、焼結助剤を全く使用しないか又はアルカリ土類金属化合物からなる焼結助剤を窒化アルミニウム粉末100質量部に対して0.1質量部以下添加してグリーン体を製造する。アルカリ土類金属化合物からなる焼結助剤は、焼成時に窒化アルミニウム原料粉末中の不純物酸素と反応し、窒化アルミニウムの粒成長の過程で、焼結体から揮散しやすいため、添加量を上記範囲とした場合には粒界に助剤相が残りにくい。アルカリ土類系化合物としては、カルシウムアルミネートが最も好適であるが、その他、CaOあるいはSrOが好適に使用できる。これらの焼結助剤は、単独、あるいは組み合わせて使用することができる。これら焼結助剤を使用した場合には、液相焼結により焼結が促進され、緻密な焼結体を得ることができ、さらにその使用量によって窒化アルミニウム結晶粒子に固溶する酸素量をある程度制御することも可能となる。前記製造方法においては、粒界に助剤相が全く形成されないという観点から、グリーン体製造に際しては焼結助剤を使用しないことが好ましい。
前記方法におけるグリーン体の製造は、通常のグリーン体の製法と同様に、必要に応じて所定の焼結助剤を所定量添加した窒化アルミニウム粉末に有機バインダーを添加し、さらにアルコール類やトルエン等の有機溶媒、グリセリン化合物等の分散剤およびフタル酸等の可塑剤を必要に応じ加えて、ボールミルで十分に混合してスラリー状にしたものをスプレードライ法等により顆粒状にした後にプレス成形によりグリーン体を得る方法や、ドクターブレード法によりシートを得、それを積層してグリーン体を得る方法が一般的である。
有機バインダーとしては、ポリビニルブチラール、エチルセルロース類やアクリル樹脂類等、一般的な窒化アルミニウムを製造する際に使用される有機バインダーが特に制限なく使用できるが、グリーン体の成形性が良好になるという理由からポリn―ブチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、又はアクリル酸メチルエステルを使用するのが好適である。また、有機バインダーの使用量も従来のグリーン体を製造する場合と同様であるが、成形性の観点から、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して1〜15質量部、特に2〜10質量部とするのが好適である。
このようにして得られたグリーン体は、必要に応じて乾燥、脱脂等の前処理工程を行った後、焼結される。これら前処理は、グリーン体を用いて通常の窒化アルミ焼結体を得る場合と同様にして行うことができる。
前記方法では、必要に応じて前記前処理を行った後、グリーン体を中性または還元性雰囲気中で、焼結体中の窒化アルミニウムの平均粒子径を原料として用いた窒化アルミニウム粉末の平均粒子径の5〜30倍になるまで粒成長するように焼結する。前記したような方法で調製された原料窒化アルミニウム粉末含まれる酸素は、一般に4〜6割程度が粉体粒子内部に固溶した状態で存在し、残部は粒子表面に酸化物として存在するが、このような条件で焼結を行うことにより、粒成長に伴い粉体粒子表面に酸化物として存在していた酸素が粒子内部に固溶するようになる。
なお、中性雰囲気下とは、雰囲気中に酸素及び炭素が実質的に存在しない状態を意味し、たとえば、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等のセラミックスや、タングステン[W]、モ
リブデン[Mo]等の非炭素製の材料よりなる密閉容器内を窒素、アルゴン等の不活性ガスに置換することにより得ることができる。また、還元性雰囲気とは、炭素蒸気のような還元性を有するガスを含む雰囲気を意味し、たとえば不活性ガス中でグリーン体とカーボン(例えば、無定形炭素又は黒鉛)と共存させて1800〜1900℃に加熱する、或いはグリーン体をカーボン製の容器内に収納し不活性ガス雰囲気中で1800〜1900℃に加熱することにより得ることができる。
上記焼結工程において、焼結体中の窒化アルミニウムの平均粒子径を原料として用いた窒化アルミニウム粉末の平均粒子径の5〜30倍になるまで粒成長させるためには、1800〜1900℃で、少なくとも5時間以上、好ましくは10〜100時間加熱すればよい。このような温度で長時間保持することにより窒化アルミニウム結晶粒子の粒成長が進行する。一般に焼成中に焼結体の窒化アルミニウム平均粒子径や固溶酸素量をモニターすることは困難であるので、予備実験により雰囲気ごとに焼成温度や焼成時間を変えて多くの焼結体を調製し、得られた焼結体を分析することにより焼成条件と焼結体の窒化アルミニウム平均粒子径や固溶酸素量との関係を把握しておき、該関係に基づいて焼成条件を決定するのが好ましい。なお、焼結体の窒化アルミニウム平均粒子径は、実施例のところで後述するコード法により求めることができ、固溶酸素量は、赤外線検出器を用いた酸素濃度測定機で測定することができる。一般に赤外線検出器を用いた酸素濃度測定機で測定では、酸素の存在状態を決定することはできないが、粒界相が実質的に存在せず、表面に存在する酸素量が無視できる程度に少ない場合(粉体と異なり焼結体の比表面積は小さいので、焼結体表面に存在する酸素量は通常無視しうる)には、測定される酸素量は固溶酸素量と考えられる。
本発明に係るドライエッチング装置用電極は、その表面の一部または全部が、上述した導電性窒化アルミニウムで構成されている。導電性窒化アルミニウムは、上記(1)、(2)の方法の何れによって製造されたものでもよく、またこれら以外の他の方法により製造されたものでもよい。
ドライエッチング装置用途の導電性窒化アルミニウムの室温体積抵抗率の上限は108Ω
・cmであり、また室温体積抵抗率は、導電性という目的の観点から必然的に低いほど好ましいため、下限は特に限定されない。一方、通常の窒化アルミニウム焼結体の室温体積抵抗率は、108Ω・cmより大きい。
電極の大きさ、形状は、エッチング装置の仕様により様々であり、特に限定はされないが、中性粒子ビーム装置の中性化電極として使用する場合には、円盤形状であり、一方の表面の内周部がやや隆起し、全体として凸状に成形されている。電極の直径も装置の仕様により様々であるが、一般的には100〜400mm程度である。また、特に中性化電極として使用する場合には、一方の表面から他方の表面に至る貫通孔が形成されている。この場合、貫通孔の直径は、好ましくは0.5〜2mm、さらに好ましくは0.8〜1.5mm程度である。また、貫通孔はひとつ以上形成されていればよいが、中性化電極の仕様により複数の貫通孔が設けられていてもよい。貫通孔の長さは電極の厚みと等しく、好ましくは2〜15mm、さらに好ましくは5〜10mm程度である。また貫通孔の孔径および形成数は、開口率が10〜70%、好ましくは30〜50%程度となるように適宜に設定することが望ましい。貫通孔の配置は特に限定されず、放射状、四角格子状、三角格子状であってもよい。
ドライエッチング装置用電極は、そのすべてが導電性窒化アルミニウムにより成形されていてもよいが、その目的を達成する上では、表面の一部が導電性窒化アルミニウムによって構成されていれば充分である。この場合、電極の内部や、表面の導電性窒化アルミニウム以外の領域は、他のセラミック材料、たとえば絶縁性窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等により構成されている。製造の容易性の点から、ドライエッチング装置用電極は窒化アルミニウム焼結体により形成され、その表面の窒化アルミニウムが導電化されていることが好ましい。前記(1)の方法によれば、窒化アルミニウムの導電化は、表面領域において、粒界相の焼結助剤を窒化することで行われるが、窒化アルミニウム成形体のすべての粒界相において焼結助剤を窒化するには長時間を要し、実用性および生産性の観点から、内部領域も含めたすべての窒化アルミニウムを導電化する必要はない。したがって
、ドライエッチング装置用電極を構成するすべてのセラミック材料のうち、20〜90質量%、好ましくは50〜90質量%程度が導電性窒化アルミニウムにより構成されていれば充分であり、また電極の全表面の50〜100%、好ましくは80〜100%が導電性窒化アルミニウムにより構成されていることが望ましい。また、導電性窒化アルミニウム層は、成形体表面から100μm以上の深さ、好ましくは500μm以上の深さまで形成されていることが好ましい。導電性窒化アルミニウムの重量比率および領域が少な過ぎる場合には、必要とする導電性を達成できないおそれがある。一方、導電性窒化アルミニウムの重量比率および領域が多過ぎる場合には、製造に長時間を要することになり生産性には劣るが、経済性が許容する場合には、電極材料のすべてが導電性窒化アルミニウムであってもよい。
以上、説明したように、本発明に係るドライエッチング装置用電極は、表面の一部または全部が導電性窒化アルミニウムで構成され、特に中性粒子ビームエッチング装置の中性化電極として使用する場合には、貫通孔が形成されてなる。
本発明に係る導電性窒化アルミニウム成形体は、表面の一部または全部が導電性窒化アルミニウムで構成され、貫通孔を有することを特徴としている。この導電性窒化アルミニウム成形体は、上記の中性化電極として好適なドライエッチング装置用電極と同様の構成を有し、その具体例、好適例も上記と同様である。
次に、上記中性化電極としても使用できる本発明に係る導電性窒化アルミニウム成形体の4つの製造方法について説明する。
本発明の導電性窒化アルミニウム成形体は、貫通孔を有する。この貫通孔は焼結前の予備成形体(グリーン体)の段階で形成されていてもよく、また焼結後に形成されていてもよい。さらに、焼結後に研磨あるいは任意の形状に加工することも当然に許容される。
本発明に係る第1の製法では、導電性方法として前記(1)の方法を採用し、グリーン体に予め貫通孔を形成した後、焼成する。すなわち、第1の製法は、次の工程を含む。
(a) 窒化アルミニウム粉末100質量部および希土類酸化物0.5〜20質量部を含むグリーン体を準備する工程、
(b) グリーン体に貫通孔を形成する工程、および
(c) グリーン体を還元性雰囲気中で焼結する工程を含み、焼結工程において、焼結体表面の一部または全部において、窒化アルミニウム粒界に希土類窒化物を生成させる。
原料である窒化アルミニウム粉末としては、市販材料を含め種々の窒化アルミニウム粉末が特に制限されることなく用いられる。一般的には平均粒径が0.5〜20μm、好ま
しくは、0.7〜15μmのものが好適である。また、金属不純物は200ppm以下で
あることが好ましい。また、酸素濃度も2重量%以下のものが好ましい。
希土類酸化物としては、前記希土類窒化物で説明したものと同様のランタン等から選択される希土類元素の酸化物の単独またはそれらの2種以上の混合物を用いることができる。混合物としては、たとえば、酸化イットリウムと酸化セリウムとの混合物、酸化イットリウムと酸化ランタンとの混合物が好ましく用いられる。
希土類酸化物は、前記窒化アルミニウム粉末100質量部に対し、0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部、さらに好ましくは2〜10質量部の割合で用いられる。希土類酸化物は、焼結過程においては酸化物の形で焼結助剤として機能し、焼結後には窒化物の形で粒界相に存在し、導電体として機能する。
また、グリーン体には、前述した第2の粒界相を生成させるため、周期律表4〜8族か
ら選ばれる1種以上の遷移金属の窒化物が含まれていてもよく、また窒化ホウ素が含まれていてもよい。遷移窒化物の添加量は、窒化アルミニウム100質量部に対して20質量部以下であることが好ましい。また窒化ホウ素の添加量は、窒化アルミニウム100質量部に対して30質量部以下であることが好ましい。
また、グリーン体には、成形性を付与するため、通常は有機バインダーが含有されている。有機バインダーとしては、ポリビニルブチラール、エチルセルロース類やアクリル樹脂類が使用され、グリーン体の成形性が良好になるという理由からポリn―ブチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、アクリル酸メチルエステルが特に好適に使用される。
本発明では、まず上記成分からなる所望形状のグリーン体を準備する(工程(a))。次
いで、グリーン体に貫通孔を形成する(工程(b))。グリーン体は焼結により収縮するた
め、収縮率および目的の大きさを勘案してグリーン体を成形し、貫通孔を形成する。
その後、グリーン体を還元性雰囲気中で焼結する(工程(c))。なお、焼結工程(c)に先立ち、乾燥、脱脂等の前処理工程を行ってもよい。焼結は、たとえば炭素を含む窒素気流中などで行われる。焼結温度は、希土類酸化物が助剤として作用して焼結し、かつ焼結体表面の一部または全部において、窒化アルミニウム粒界に希土類窒化物が生成する条件で行われ、通常は1600℃以上であれば特に限定はされない。しかしながら、1900℃を超えると窒化アルミニウムの蒸気圧が高くなり緻密化が困難になることから、1900℃以下が好ましい。たとえば、希土類酸化物として酸化イットリウムを用いる場合、焼結温度は1825℃以上、また酸化イットリウムと酸化セリウムとの混合物を用いる場合、焼結温度は1700℃以上が好ましい。
焼結時間は、希土類酸化物が焼結助剤として作用して焼結体が緻密化し、また粒界相の希土類酸化物が還元窒化されて希土類窒化物を生成するのに充分な時間であり、通常は3〜100時間、好ましくは3〜50時間である。
このような工程を経ることで、本発明に係る導電性窒化アルミニウム成形体が得られる。なお、焼結工程後、研磨あるいは任意の形状に加工することも当然に許容される。
次に本発明に係る第2の製法について説明する。
本発明に係る第2の製法では、導電化方法として前記(1)の方法を採用し、グリーン体を焼結して得た焼結体に貫通孔を形成した後、再度焼成する。すなわち、第2の製法は、次の工程を含む。
(A) 窒化アルミニウム粉末100質量部および希土類酸化物0.5〜20質量部を含むグリーン体を準備する工程、
(B) グリーン体を焼結する第1の焼結工程、
(C) 前記工程で得られた焼結体に貫通孔を形成する工程、および
(D) 前記工程で得られた貫通孔を有する焼結体を還元性雰囲気中で焼結する第2の焼結工程を含み、第2の焼結工程において、焼結体表面の一部または全部において、窒化アルミニウム粒界に希土類窒化物を生成させる。
工程(A)は、前記第1の製法における工程(a)と同様である。
焼結工程(B)は、還元雰囲気中で行う必要は必ずしもなく、非酸化性雰囲気(窒素中、
アルゴン中)であれば充分であるが、還元雰囲気中で行ってもよい。焼結温度、時間は、前記第1の製法における工程(c)と同様である。なお、焼結工程(B)に先立ち、前述した脱脂等の前処理を行ってもよい。
次いで、得られた焼結体に貫通孔を形成する(工程(C))。焼結体は既に工程(B)によ
り収縮しているため工程(D)における収縮は考慮する必要がない。したがって、貫通孔
を形成する穿孔は、最終製品の仕様に基づいて行われる。すなわち、第2の製法は第1の製法に比べて、焼成工程を2度行う点で不利であるが、より寸法精度の高い成形体が得られるという利点がある。
最後に、貫通孔が形成された焼結体を還元雰囲気中で焼成する(工程(D))。
工程(B)を還元雰囲気中で行わなかった場合には、粒界相に希土類窒化物が形成され
ないため、工程(D)において粒界相の希土類酸化物を還元窒化し、導電性を得る。また
、工程(B)を還元雰囲気中で行った場合であっても、希土類窒化物の生成は、通常は焼
結体の表面近傍の粒界相で優先的に起こり、焼結体の内部はほぼ絶縁性のままである。この状態で貫通孔を形成すると、貫通孔の壁面には絶縁性窒化アルミニウムが露出することになる。したがって、貫通孔の壁面に導電性を付与するため、工程(D)を行い、窒化ア
ルミニウム粒界に希土類窒化物を生成させる。
工程(D)は、前記第1の製法における工程(c)と同様の条件で行われるが、既に焼結を終えているため、焼成時間は短くしてもよい。
このような工程(D)により、粒界相の希土類酸化物を還元窒化し、導電性が得られる
ばかりでなく、導電性窒化アルミニウム成形体使用時のパーティクルの発生を低減することができる。すなわち、再度の焼結工程(D)を行わない場合には、穿孔加工時(工程(C))に印加される局部的剪断エネルギーや振動エネルギーのため、孔周辺の結晶粒界の結合力が低下した状態が継続し、プラズマガスに曝されたときにこの弱体化した粒界部分がエッチングされて剥離し、パーティクルが発生する。一方、再度の焼結工程(D)を行うと
、孔周辺の弱体化した結晶粒界を再焼結させ、結晶粒子の結合力を回復することができ、パーティクルの発生が低減されると考えられる。
次に、第3及び第4の製法について説明する。第3の製法は、前記(2)の導電化手段を利用したものであり、グリーン体を準備し、これに穿孔加工を施した後に焼成により焼結体表面の一部又は全部を導電化するものである。また、第4の製法は、前記(2)の導電化手段を利用したものであり、グリーン体を準備し、これを焼成により焼結体表面の一部又は全部を導電化した後に得られた焼結体に穿孔加工を施すものである。これら第3及び4の製法では、グリーン体を製造する際の原料および焼成条件を(2)の導電化方法のところで説明したようにすればよい。
本発明によれば、窒化アルミニウムが本来有する優れた熱伝導性を有し、かつ耐プラズマ性が充分高く、プラズマガスによる侵食を受け難く、寿命の長い導電性窒化アルミニウム成形体が提供される。このような成形体は、ドライエッチング装置用電極、特に中性粒子ビームエッチング装置における中性化電極として有用である。
[実施例]
以下、本発明の方法を具体的に説明するため、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例における各種の物性の測定は次の方法により行った。
1) 体積抵抗率
体積抵抗率が109Ω・cm以下の場合は、van der pauw法で、体積抵抗率が109Ω・cm以上の場合は、JIS C2141に基づき測定した。
2) エッチングレート
サンプル(形状:□10mm×t1mm)の中央に、幅1〜2mm長さ10mmのポリ
イミドテープを貼り、ドライエッチング装置内でプラズマ(プラズマの種類:O2,N2,F2,Cl2)を照射した。照射後ポリイミドテープを剥がし、サンプル表面のプラズマに曝された部分とそうでない部分の高低差を、接触式または非接触式の段差計で測定した。この高低差をエッチング時間で除した値をエッチングレートとした。
3) 耐プラズマ性
上記の方法で求めたサンプルのエッチングレートの逆数を、同一のプラズマ条件で測定したグラファイトのエッチングレートの逆数で除した数値。この数値は、サンプルとグラファイトの単位厚み当りのプラズマに対する耐久時間の比であり、この値が大きいほど、プラズマ耐性が高いことを表している。
なお、グラファイトのエッチングレートは、F2プラズマの場合は2950nm/min、Cl2プラズマの場合は1880nm/minであった。
4) 熱伝導率
理学電機(株)製レーザー法熱定数測定装置LF/TCM-FA8510Bを用い、レーザーフラッシュ法で測定した。
5) 曲げ強度
形状3mm×4mm×20mmのサンプルを用い、3点曲げ法により強度を求めた。試料数はサンプル毎に5本とし、その平均値を曲げ強度とした。
6) 窒化アルミニウム焼結体の平均粒子径
窒化アルミニウム焼結体の平均粒子径D(μm)は、コード法により次のようにして求めた。即ち、先ず、窒化アルミニウム焼結体の破断面について、走査型電子顕微鏡写真を撮影する。このときの倍率は、写真に焼結体の厚さ方向に対して垂直な方向(セラミック焼結体が板状体である場合には、その主表面に対して平行となる方向)に、任意の特定の長さL(mm){通常は、写真の幅と同じ長さ}の直線を引いたときに、該直線とセラミック粒子の粒界との交点の数が10〜50となるような倍率{通常は1000〜5000倍}とする。そして、倍率から実際の長さ1(μm)に対応する写真上の長さU(mm)を求める。次に、写真に所定の間隔(通常3〜7mm、特に5mm)で上記直線と平行な長さLの直線をn本引く。このとき直線の数nは、全ての直線におけるセラミック粒子の粒界との交点の数の合計εが100〜300となるようにする。n本の直線を引いたら、各直線と粒界との交点に印をつけ、その印の総数εを求める。そして、下記式に基づきDを求めることができる。
D=(1.57×L×n)/(U×ε)
平均粒径が1.5μm、酸素濃度0.8質量%の窒化アルミニウム粉末((株)トクヤマH
グレード)100質量部に、希土類酸化物として純度99.99%以上で比表面積が12.5m2/g
の酸化イットリウム粉末を0.8質量部、純度99.9%以上で平均粒径が0.5μmの酸化セリウム粉末を2.7質量部、有機物バインダーとしてアクリル酸メチルエステルを4質量部、およびエタノールを100質量部加えてボールミルにて24時間混合することによりスラリーを作成した。このスラリーをスプレードライヤーにて造粒し、平均粒径80μmの
顆粒を得た。この顆粒をプレス成形し、直径200mm、厚さ15mmのグリーン体を作成した。
上記グリーン体を脱脂し、得られた脱脂体をカーボン製の焼成容器に入れ、窒素雰囲気中、温度1875℃で保持時間20時間の常圧焼成を行い、直径170mm、厚さ13mmの焼結体を得
た。この焼結体の外形を直径140mm、厚さ10mmに加工するとともに、中央の直径110mmの領域に直径1mmの貫通孔を1.3mmピッチで千鳥格子状に約7000個開けた。この後再度カーボン
製の焼成容器に入れ、窒素雰囲気中、温度1875℃で保持時間7時間の再加熱を行い、電極
部材を得た。当該部材の作成条件を表1に纏めた。
この部材を中性粒子ビームエッチング装置に組み込み、装置を稼動させた状態で中性粒子が生成することを確認した。
さらに、この部材の貫通孔のない部分より各種評価用サンプルを切り出した。体積抵抗率測定用として、10mm×t0.5mmの大きさのサンプルを、部材表面、および部材の厚み方向中心の2箇所から切り出した。その他の特性の評価用サンプルは、部材表面か
ら切り出した。評価結果を表2に示した。
また、体積抵抗率測定用サンプルを用い、X線回折法により助剤相の同定を行った。その結果、表面および内部共に(Y,Ce)N(Ceが固溶した窒化イットリウム)、2Y2O3・Al2O3(YAM)、3Y2O3・5Al2O3(YAG)が検出された。この内(Y,Ce)Nの量は、内部より表面の方が多かった。この結果より本系のように焼結体のサイズが大きい場合は、粒界相であるイットリウムアルミネートの表面から内部への窒化反応が進みにくいと考えられる。
Figure 2006319112
Figure 2006319112
酸化イットリウム粉末を1.6質量部、酸化セリウム粉末を5.6質量部としたこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、グリーン体を作成した。
上記グリーン体の外形を直径165mm、厚さ12mmに加工するとともに、中央の直径130mmの領域に直径1.2mmの貫通孔を1.35mmピッチで千鳥格子状に約7000個開けた。このグリーン
体を脱脂し、得られた脱脂体をカーボン製の焼成容器に入れ、窒素雰囲気中、温度1875℃で保持時間20時間の常圧焼成を行い、直径140mm、厚さ10mmの焼結体を得た。この部材を
中性粒子ビームエッチング装置に組み込み、中性粒子の生成を確認した。
また、実施例1と同様に評価用サンプルを切り出し、各種の評価を行った。その結果を表2に示した。
酸化イットリウム粉末を0質量部、酸化セリウム粉末を0質量部としたこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、グリーン体を作成した。
焼成温度を1880℃、保持時間を50時間、および再加熱は無しとしたこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、電極部材を得た。この部材を中性粒子ビームエッチング装置に組み込み、中性粒子の生成を確認した。
また、実施例1と同様に評価用サンプルを切り出し、各種の評価を行った。その結果を表2に示した。なお、当該部材の破断面の倍率1500倍のSEM写真より、コード法で求めた平均粒径は22μmであった。また、赤外線検出器を用いた酸素濃度測定機で酸素
濃度を測定したところ、酸素濃度(本焼結体はX線回折法により助剤相がまったく検出さ
れなかったので、酸素濃度測定機で測定される酸素量は、窒化アルミニウムに固溶している酸素の濃度になる)は、0.27質量%であった。
[比較例1]
酸化イットリウム粉末を5質量部、酸化セリウム粉末を0質量部としたこと以外は、実施例1と同様な操作を行い、グリーン体を作成した。
実施例3と同様にしてグリーン体の焼成を行い、電極部材を得た。この部材を中性粒子ビームエッチング装置に組み込み、実施例1と同じ条件で装置を稼動させたが、中性粒子は生成しなかった。これは、体積抵抗率が高すぎるためと考えられる。
また、実施例1と同様に評価用サンプルを切り出し、各種の評価を行った。その結果を表2に示した。

Claims (9)

  1. 表面の一部または全部が導電性窒化アルミニウムで構成されてなるドライエッチング装置用電極。
  2. 貫通孔を有する請求項1に記載のドライエッチング装置用電極。
  3. 表面の一部または全部が導電性窒化アルミニウムで構成され、貫通孔を有する窒化アルミニウム成形体。
  4. 窒化アルミニウム粉末100質量部および希土類酸化物0.5〜20質量部を含むグリーン体を準備する工程、
    グリーン体に貫通孔を形成する工程、および
    グリーン体を還元性雰囲気中で焼結する工程を含み、
    焼結工程において、焼結体表面の一部または全部において、窒化アルミニウム粒界に希土類窒化物を生成させる請求項3に記載の窒化アルミニウム成形体の製造方法。
  5. 窒化アルミニウム粉末100質量部および希土類酸化物0.5〜20質量部を含むグリーン体を準備する工程、
    グリーン体を焼結する第1の焼結工程、
    前記工程で得られた焼結体に貫通孔を形成する工程、および
    前記工程で得られた貫通孔を有する焼結体を還元性雰囲気中で焼結する第2の焼結工程を含み、
    第2の焼結工程において、焼結体表面の一部または全部において、窒化アルミニウム粒界に希土類窒化物を生成させる請求項3に記載の窒化アルミニウム成形体の製造方法。
  6. グリーン体が、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、遷移金属窒化物を10質量部以下含む請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 酸素を0.3〜2.0質量%含む平均粒子径0.1〜20μmの窒化アルミニウム粉末
    100質量部に対してアルカリ土類金属化合物からなる焼結助剤を0〜0.1質量部を含むグリーン体を準備する工程、
    得られたグリーン体に貫通孔を形成する工程、および
    貫通孔が形成されたグリーン体を中性又は還元性雰囲気中で焼結する工程を含み、
    前記焼結工程において、少なくとも表面一部又は全部の焼結体中の窒化アルミニウムの平均粒子径を、原料として用いた窒化アルミニウム粉末の平均粒子径の5〜30倍になるまで粒成長させ、焼結体中の固溶酸素量を0.1〜0.6質量%とすることを特徴とする請求項3に記載の窒化アルミニウム成形体の製造方法。
  8. 酸素を0.3〜2.0質量%含む平均粒子径0.1〜20μmの窒化アルミニウム粉末
    100質量部に対してアルカリ土類金属化合物からなる焼結助剤を0〜0.1質量部を含むグリーン体を準備する工程、
    グリーン体を中性又は還元性雰囲気中で焼結する工程、および
    得られた焼結体に貫通孔を形成する工程を含み、
    前記焼結工程において、少なくとも表面一部又は全部の焼結体中の窒化アルミニウムの平均粒子径を、原料として用いた窒化アルミニウム粉末の平均粒子径の5〜30倍になるまで粒成長させ、焼結体中の固溶酸素量を0.1〜0.6質量%とすることを特徴とする請求項3に記載の窒化アルミニウム成形体の製造方法。
  9. 導電性窒化アルミニウム成形体がドライエッチング装置用電極である請求項4〜8の何
    れかに記載の製造方法。
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