JP4144968B2 - 透光性部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタルハライドランプ及びナトリウムランプ等の放電ランプの発光管に使用される透光性部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタルハライドランプは、ヨウ化ナトリウム・ヨウ化スカンジウム・ヨウ化希土類等のハロゲン化金属を発光管に入れて、アーク放電により発生した紫外線によって金属が励起し、発光する。従来、石英が発光管材料に使用されてきた。
また、ナトリウムランプは、ナトリウム蒸気からの放電により光を発生する放電ランプである。その発光管は酸化アルミニウムが使用されてきた。
しかし、メタルハライドランプの場合、ハロゲンガスおよび放電電極に使用するW(タングステン)によって、石英がエッチングされ、失透する。また、ナトリウムランプの場合、ナトリウム蒸気によって、酸化アルミニウムがエッチングされる。
【0003】
両方の発光管用の代替材料として、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)が提案されている(特開平10−67555号公報・特開平10−101411号公報)。YAG(Y3Al5O12)焼結体は、従来の石英や酸化アルミニウムより、ハロゲンガスやWやナトリウム蒸気に対する耐食性が高い。しかし、YAGは融点(1960℃)が高く、透光性焼結体を製造するには難しい。特開平10−101411号公報に記載されているように、SiO2・MgO等の助剤を使用すると、透光性焼結体は製造できるが、助剤によって、焼結体の強度が低下するという問題が生じる。また、助剤は結晶粒界に存在するので、ハロゲンガスやWやナトリウム蒸気によって、粒界の助剤から腐食されるという問題もある。そのため、実際には実用化されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上に述べた従来技術の欠点を解消し、ハロゲンガスやWやナトリウム蒸気によって腐食され難く、かつ、比較的低温で焼結できる、メタルハライドランプ及びナトリウムランプ等の放電ランプの発光管に使用される透光性部材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために、本発明は、Yb 3 Al 5 O 12 で表現されるガーネット構造で、その表面粗さ(Ra)が1μm以下、気孔率が1%以下の焼結体であり、可視光の光線透過率50%以上である透光性部材とする。焼結体の結晶粒径が30μm以下であることが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明者は、従来の石英やYAGの問題点を解決するには、Yb 3 Al 5 O 12 で表現されるガーネット構造の透光性焼結体を放電ランプ発光管に用いることが極めて有用であることを見出して、本発明を完成するに至った。
Yb 3 Al 5 O 12 で表現されるガーネット構造の焼結体は、比較的融点が低く、融点を下げるためにSiO2・MgO等の助剤を使用する必要がないし、ハロゲンガスやWやナトリウム蒸気に対する耐食性も高い。
【0007】
Yb 3 Al 5 O 12 焼結体の方が、Y3Al5O12焼結体より耐食性が高い。
Yb 3 Al 5 O 12 焼結体は、平均粒径が2μm以下の粉末を原料とし、圧粉成形およびストリップキャストで成形し、真空または水素雰囲気中で焼結する。
Yb 3 Al 5 O 12 焼結体の表面粗さ(Ra)は、可視光の光線透過率及び耐食性に影響する。表面の凹凸で光を散乱し、光の透過の障害になる。また耐食性は、反応面積に依存するから、その表面積の影響が大きい。
【0008】
そのため、本発明においては、その表面粗さ(Ra)を1μm以下に制御することによって、表面積を極力低く押さえて耐食性を上げ、かつ、平滑性を向上させて光の透過率を確保する。
焼結体の表面粗さ(Ra)が1μmを超えると、ハロゲンガスに接する表面積が大きくなり耐食性が低下する。表面粗さ(Ra)は小さければ小さいほど好ましい。
【0009】
焼結体の気孔率は、光の透過率、機械的強度に影響する。表面付近にある気孔によって、その表面粗さ(Ra)にも影響がある。焼結体内部に存在する密閉気孔が光を散乱し、光の透過の障害になる。焼結体内部に存在する気孔は機械的強度を下げることはいうまでもない。焼結体内部に存在する気孔が連続している場合には、その影響は特に大きい。焼結体の気孔率を1%以下にすると、部材表面の局部的な腐食の進行と表面状態の劣化を防止できる。気孔率が1%を超えると、表面付近にある気孔によって、その表面粗さ(Ra)が1μm以下を保つことができない。また、焼結体の気孔率を1%以下にすると、光の散乱もそれほど大きくなく、機械的強度の劣化も許容できる範囲に収まる。
焼結体の気孔率は、主に焼結条件(最高温度、焼結時間)を管理することによって制御する。例えば、焼結温度は1800℃近辺で、±30℃程度、焼結時間3〜6時間程度が目安となる。なお、比較例のうち、Y3Al5O12粉末を用いる場合には、焼結温度は1850℃付近が中心になる。
【0010】
放電ランプの発光管に使用するためには、当然のことながら、光を透過する必要がある。具体的には、可視光の光線透過率が50%以上である必要がある。
可視光の光線透過率は、焼結体の材質に基づく透明度だけではなく、前述のとおり、焼結体の表面粗さ(Ra)および焼結体の気孔率によっても影響される。
放電ランプの発光管では、可視光以外に、紫外線および赤外線が発光する。発光管は、紫外線および赤外線を遮断する働きがあると更によい。Y3Al5O12焼結体よりYb 3 Al 5 O 12 焼結体は紫外線および赤外線を遮断する働きがより強い。
【0011】
焼結体の結晶粒径が耐食性に及ぼす影響は小さい。しかし、焼結体を部材として使用する際に、機械的強度が必要である。結晶粒径が30μm以上の場合、極端に機械的強度が低下するので、結晶粒径は30μm以下であることが必要である。
焼結体の結晶粒径は、原料粉末の粒径、焼結条件等に影響される。結晶粒径を30μm以下にするためには、それぞれ原料粉末の平均粒径D50=0.5〜2μm(レーザ回析法)で、焼結温度を1700〜1800℃の範囲とすることが望ましい。
【0012】
以下に実施例・比較例を示すが、評価は次のようにした。
気孔率はアルキメデス法で測定した密度から求めた。
表面粗さ(Ra)は、表面粗さ計(キーエンス社製)により測定した。
光線透過率は200〜1200nm範囲で分光光度計(VV3100S:(株)島津製作所製)によって求めた。
ハロゲンガスやWやナトリウム蒸気に対する耐食性を求めるためには、ランプにして1000時間から10000時間点灯し続ける必要があるので、ハロゲンガスに対する耐食試験として、より簡便な方法であるフッ酸溶液への溶解試験を代わりに行った。50%フッ酸溶液に160℃で12時間漬けて、未溶解物を純水で洗浄・乾燥し重量を測った。初期重量に対する未溶解物重量パーセントで表示した。石英は50%フッ酸溶液に160℃で4時間で全量が溶解する。
焼結体を3×4×40mmに加工し、3点曲げ強度を測った。
結晶粒径は、焼結体の断面の電子顕微鏡写真から求めた。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態を実施例と比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
[実施例1]
Yb3Al5O12粉末を金型で450kg/cm2の圧力で70φ×5mmの形状に成形し、真空中(1×10−3Pa)で、表1に示す温度と時間で焼結した。焼結温度・時間を変えることによって、求める気孔率及び平面粗さにした。別途、機械的強度測定用に、3×4×40mmの焼結体も製作した。
得られた焼結体について、表面粗さ(Ra)、気孔率、結晶粒子径、フッ酸への溶解度、光線透過率、3点曲げ強度を測定した。求めた結果を、焼結条件とともに、表1に示す。
【0014】
[比較例1]
Y3Al5O12粉末を金型で450kg/cm2の圧力で実施例1と同様の形状に成形し、真空中(1×10−3Pa)で所定温度・時間で焼結した。焼結温度・時間を変えることによって、求める気孔率及び平面粗さにした。
実施例1と同項目について測定した。求めた結果を、焼結条件とともに、表1に示す。
【0015】
[比較例2]
Yb3Al5O12粉末とYb3Al5O12にSiO2を1000ppm添加した粉末の2種類を用意した。金型で450kg/cm2の圧力で成形し、真空中(1×10−3Pa)で所定温度・時間で焼結した。焼結温度・時間を変えることによって、気孔率を2%のものを製造した。また、気孔率1%以下の焼結体で、平面粗さを3μmを超えるものも製造した。実施例1と同項目について測定した。求めた結果を、焼結条件とともに、表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
表1より、希土類・アルミニウム・ガーネット焼結体(Yb3Al5O12)は、YAG(Y3Al5O12)より、フッ酸溶液への溶解速度が遅い。このことより、ハロゲンガスやWやナトリウム蒸気に対して、Yb3Al5O12がYAGより耐食性があることがわかる。Yb3Al5O12焼結体でも気孔率の高いものや表面が粗いものもフッ酸溶液への溶解速度が速いことより、ハロゲンガスやWやナトリウム蒸気に対して、Yb3Al5O12焼結体でも気孔率の高いものや表面の粗いものは腐食されやすい。また、SiO2を添加することにより、曲げ強度が低下し、腐食されやすくなる。
【0018】
【発明の効果】
本発明では、メタルハライドランプおよびナトリウムランプ等の放電ランプ発光管に使用される透光性部材として、Yb 3 Al 5 O 12 で表現される希土類元素・アルミニウム・ガーネット焼結体が、ハロゲンガスやWやナトリウム蒸気に対する耐食に替えて調べた弗酸溶液に対する溶解度が小さく、可視光線に対する光線透過率が50%を超えるものであり、一方、人体に有害な紫外線や赤外線を遮断する。かつ、機械的強度も十分にあるものが得られる。
Claims (2)
- Yb 3 Al 5 O 12 で表現されるガーネット構造で、その表面粗さ(Ra)が1μm以下、気孔率が1%以下の焼結体であり、可視光の光線透過率50%以上であることを特徴とする放電ランプの発光管に使用される透光性部材。
- 上記焼結体の結晶粒径が30μm以下である請求項1に記載の透光性部材。
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