JP2009163973A - メタルハライドランプおよびそれを用いた照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】メタルハライドランプにおいて、容囲器が多結晶アルミナのセラミックからなり、このセラミックがランタンを含む場合であっても特別な処理を施すことなく短寿命化を防止する。
【解決手段】容囲器12が多結晶アルミナのセラミックからなり、その内部に電極体21が配置され、かつ発光物質としてジスプロシウム(Dy)、ツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)のうちの少なくとも一種の希土類金属を含む発光管4を備えている。発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対する希土類金属全体の組成比率は5[mol%]以上35[mol%]以下の範囲内であり、容囲器12を構成するセラミックに含まれるランタン(La)の含有量が100[ppm]以上300[ppm]以下の範囲内にある。
【選択図】図1

Description

本発明は、メタルハライドランプおよびそれを用いた照明装置に関するものである。
近時、容囲器を構成する材料が透光性セラミックからなる発光管を用いたメタルハライドランプ(以下、「セラミックメタルハライドランプ」という)は、高効率で、かつ高演色なランプであり、例えば店舗等の商業施設で屋内照明用として広く使用されている。
この種のセラミックメタルハライドランプでは、特に高い演色性を得るために、発光物質としてジスプロシウム(Dy)、ツリウム(Tm)、ホルミウム(Ho)の希土類金属、タリウム(Tl)およびナトリウム(Na)等を組み合わせたものが用いられている。
ところで、この種の容囲器は、例えばアルミナを主成分とし、種々の添加剤を混ぜたものを公知の鋳込み成形法等によって成形し、その後、焼成等の処理が施されて作製される。このとき、前記添加剤として、そのセラミック成形体の結晶粒の異常成長を抑制するためにランタン(La)等の金属酸化物を添加することが知られている(例えば特許文献1,2等)。また、上記した発光物質は一般的に金属ハロゲン化物の状態で封入されるが、これら特許文献1,2にはランタンを含む酸化物が金属ハロゲン化物に対する化学的安定性がアルミナよりも低く、その反応による不純物がランプの諸特性に悪影響を及ぼすことも開示されている。しかしながら、上記したように結晶粒の異常成長を抑制するためには前記金属酸化物の添加は必須である。そこで、この問題に対しては、容囲器の内面から前記ランタンを含む酸化物を除去する処理を施したり、容囲器の形状等を工夫したりすることが提案されている。
特開平11−224647号公報 特開2002−164019号公報
これに対して本発明者らは、結晶粒の異常成長を抑制するべく例えば酸化ランタンを添加した場合において、そのランタンを含む酸化物と金属ハロゲン化物との反応に起因して特に寿命への悪影響を抑えるための上記したような除去処理等を施すことなく、解決できる手段を見出した。
つまり、本発明は、メタルハライドランプにおいて、容囲器が多結晶アルミナのセラミックからなり、このセラミックがランタンを含む場合であっても特別な処理を施すことなく短寿命化を防止することを目的とする。
本発明のメタルハライドランプは、容囲器が多結晶アルミナのセラミックからなり、その内部に電極体が配置され、かつ発光物質としてジスプロシウム(Dy)、ツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)のうちの少なくとも一種の希土類金属を含む発光管を備え、前記発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対する前記希土類金属全体の組成比率は5[mol%]以上35[mol%]以下の範囲内であり、前記セラミックに含まれるランタン(La)の含有量が100[ppm]以上300[ppm]以下の範囲内にあるという構成を有している。
この場合において、前記発光物質にはカルシウム(Ca)が含まれており、前記発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対する前記カルシウムの組成比率は5[mol%]以上65[mol%]以下の範囲内であることが好ましい。
また、前記発光物質にはプラセオジム(Pr)およびセリウム(Ce)の少なくとも一方が含まれていることがさらに好ましい。
また、本発明の照明装置は、前記メタルハライドランプと、このメタルハライドランプを点灯させるための点灯回路と、前記メタルハライドランプが組み込まれている照明器具とを備えているという構成を有している。
本発明の構成によれば、メタルハライドランプにおいて、容囲器が多結晶アルミナのセラミックからなり、このセラミックがランタンを含む場合であっても特別な処理を施すことなく短寿命化を防止することができる。
以下、本発明の最良な実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態である定格電力150[W]のメタルハライドランプ1は、一端部が略半球状に閉塞され、かつ他端部にステム2が封着されている例えば硬質ガラス製の略円筒状(両端部を除く)の外管3と、この外管3の内部に収納されている発光管4と、外管3と発光管4との間に位置し、万一発光管4が破損してもその破片によって外管3が破損するのを防止するための例えば石英ガラス製のスリーブ5と、外管3の他端部側に取り付けられた例えばE形の口金6とを備えている。
ステム2には、2本の電力供給線7が封着されている。これらの電力供給線7の一端部は、外管3の内部に導入され、後述する発光管4の外部リード線8にそれぞれ電気的に接続されている。一方、電力供給線7の他端部は外管3の外部に導出されており、そのうちの一方が口金6のアイレット部6aに、残る他方が口金6のシェル部6bにそれぞれ電気的に接続されている。
なお、電力供給線7は、複数の金属線を一体化した一本の金属線からなる。口金6は、E形に限らず、ピン状のG形やPG形等、公知の種々のものを用いることができる。
外管3の内部には、例えば常温(25[℃])で40[kPa]〜80[kPa]となるように窒素ガスが封入されている。もっとも、外管3の内部は、必要に応じて真空状態であってもよい。
なお、外管3は、その外形形状として略円筒状に限らず、中央部が最も膨出し、それぞれの端部に近付くに従って径が徐々に小さくなっていく形状等、公知の種々の形状のものを用いることができる。
発光管4は、図2に示すように、放電空間9を形成する本管部10とこの本管部10の両端部にそれぞれ連なって形成された細管部11とから構成された多結晶アルミナの透光性セラミックからなる容囲器12を有している。この容囲器12を構成している本管部10および細管部11は、各部材10,11を同時に成形する一体成形によって形成されたものであって、それぞれ別個に成形され、後に焼きばめによって一体化されたものではない。容囲器12の全体の長さLは、例えば48[mm]である。本管部10は、最大内径rが例えば11[mm]、肉厚tが例えば0.6[mm]の略円筒状の円筒部13と、その両端部に一体成形によって連なって形成された略半球状の半球部14とからなる。細管部11は、略円筒状であって、内径rが例えば1.0[mm]、肉厚tが例えば1.1[mm]である。この肉厚tは定格電力150[W]のメタルハライドランプにおいては0.9[mm]以上であることが好ましい。この発光管4において、管壁負荷は例えば13[W/cm]以上35[W/cm]以下の範囲内となるように設定されている。
ここで、容囲器12は、アルミナを主成分とし、種々の添加剤を混ぜたものを例えば公知の鋳込み成形法等によって成形し、その後、焼成等の処理が施されて作製されている。このとき特に添加剤として、そのセラミック成形体の結晶粒の異常成長を抑制するために例えばランタンが酸化ランタン(La)の状態で添加されている。その添加量は、容囲器12を構成するセラミック成形体において、後述する理由により、そのセラミックに含まれるランタン(La)の含有量が100[ppm]以上300[ppm]以下の範囲内になるように調整されている。
もっとも、容囲器の構造として、上記したように本管部10と細管部11とが一体成形されたものについて説明したが、これに限らず例えば図3に示すように略円筒状の円筒部15とこの円筒部15の両端部に焼きばめによって一体化された肉厚な略円板状の閉塞部16とを有する本管部17と、一端部が閉塞部16の中央部に設けられた貫通孔16aに挿入され、かつ焼きばめによって一体化された略円筒状の細管部19とから構成されたもの等、公知の種々の構造のものを用いることができる。しかし、このように図3に代表されるような発光管18の容囲器20では、円筒部15、閉塞部16および細管部19の3つのパーツからなり、円筒部15と閉塞部16、閉塞部16と細管部19とをそれぞれ焼きばめによって一体化しているので、各部材15,16,19の接合部における気密性を十分に保つとともに、焼きばめ時に破損しないように機械的強度を十分に確保するべく、特に閉塞部16の肉厚(例えば2.6[mm])を厚くしている。このように容囲器20の肉厚を厚くすると、その肉厚部分において光透過率が低下したり、熱伝導損失が増大したりしてランプ効率が低下するおそれがある。そこで、容囲器に図2に示すような本管部10と細管部11とが一体成形されたものを用いることにより、図3に示すような容囲器20に比して肉厚な閉塞部16が不要になり、光透過率を上げることができるとともに、熱伝導損失を低減させることができるので、ランプ効率を向上させることができる。
また、発光管4の内部には、図2に示すように電極体21が配置されている。具体的に、本管部10の内部には、先端部同士が互いに対向し、かつ長手方向の中心軸X(図2参照)が略同一軸上に位置するように電極部22が配置されている。電極部22間の距離Lは例えば10[mm]である。各細管部11の内部には、上述したとおり先端部に形成されている電極部22が本管部10内に位置するように、かつその反対側の端部(後述する内部リード部23の一部と外部リード部8)が細管部11の外部に導出するように電極体21がそれぞれ挿入されている。挿入された電極体21は、細管部11の端部のうち、本管部10とは反対側の端部のみにおいて内部リード部23全体を覆うように細管部11と電極体21とで形成される隙間に流し込まれたガラスフリットからなるシール材24によって封着されている。シール材24は、細管部11と電極体21とで形成される隙間だけではなく、細管部11の外部においても内部リード部23を覆うように存在している。
電極体21は、先端部に形成された電極部22と、一端部がこの電極部22に接続された例えば酸化アルミニウム(Al)とモリブデン(Mo)との混合物を焼結した導電性サーメットからなる直径が例えば0.9[mm]、長さが例えば6[mm]の内部リード部23と、一端部がこの内部リード部23に接続された例えばニオビウムからなる外部リード部8とを有している。外部リード部8の他端部は、電力供給線7に電気的にそれぞれ接続されている。
なお、内部リード部23として、酸化アルミニウム(Al)とモリブデン(Mo)との混合物を焼結した導電性サーメット以外に、酸化アルミニウム(Al)とタングステン(W)との混合物を焼結した導電性サーメットや、これらの導電性サーメットに代えて単なる金属のモリブデン棒等、公知の種々の耐ハロゲン性材料を用いることができる。
電極部22は、直径が例えば0.5[mm]、長さが例えば16.5[mm]のタングステン製の電極棒25とこの電極棒25の先端部に設けられた外径が例えば0.9[mm]のタングステン製の電極コイル26とを有している。電極棒25には、細管部11と電極棒25との間に形成される隙間を可能な限り埋め、その隙間に発光物質が沈み込んで発光に寄与しなくなるのを防止するために、例えばモリブデン製のコイル27が取り付けられている。
なお、電極体の構造として、電極部22、内部リード部23および外部リード部8からなるものを示したが、これに限らず例えば内部リード部と外部リード部とが単一部材からなり、一端部が電極棒25に接続され、かつ他端部が細管部11の外部に導出してそのまま電力供給線7に接続されているもの等、公知の種々の電極体を用いることができる。そして、種々の電極体を用いることができる結果、電極体の細管部11内での封着方法として上記したシール材24による封着方法以外に、公知のメタライズ封着を用いることができる。
さらに、発光管4の内部には、発光物質(発光金属)、緩衝ガスとしての水銀、および始動補助ガスとしての希ガス、例えばアルゴンガス等がそれぞれ所定量封入されている。
発光物質には、ジスプロシウム(Dy)、ツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)のうちの少なくとも一種の希土類金属が含まれる。このとき、発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対する希土類金属全体の組成比率は5[mol%]以上35[mol%]以下の範囲内に規定されている。また、発光物質にはカルシウム(Ca)が含まれていることが好ましい。その場合、発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対するカルシウムの組成比率は5[mol%]以上65[mol%]以下の範囲内に規定されていることが好ましい。ただし、本発明でいう「組成比率」はいずれも金属単体での比率を示している。
封入される発光物質の一例として、色温度が4200[K]のタイプでジスプロシウムが10[mol%]、ツリウムが5[mol%]、ホルミウムが5[mol%]、カルシウムが25[mol%]、セリウム(Ce)が2[mol%]、ナトリウム(Na)が46[mol%]、タリウム(Tl)が7[mol%]である。
もっとも、これらの発光物質は、通常、その封入過程において金属単体で封入されるのではなく、金属ハロゲン化物の形態で封入される。例えばジスプロシウムはヨウ化ジスプロシウム(DyI)、ツリウムはヨウ化ツリウム(TmI)、ホルミウムはヨウ化ホルミウム(HoI)、カルシウムはヨウ化カルシウム(CaI)、セリウムはヨウ化セリウム(CeI)、ナトリウムはヨウ化ナトリウム(NaI)、タリウムはヨウ化タリウム(TlI)の形態でそれぞれ封入される。もちろん、これらは全てがヨウ化物の形態である必要はなく、任意の発光物質の一部または全部が臭化物の形態であってもよい。
また、発光物質としては、必要に応じて上記した金属に加えて例えばプラセオジム(Pr)、テルビウム(Tb)、ルテチウム(Lu)、リチウム(Li)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)等を封入してもよい。上記したセリウムと同様にプラセオジムを付加した場合、ランプ効率を向上させることができる。このように発光物質としてプラセオジムおよびセリウムの少なくとも一方が含まれることにより、ランプ効率を向上させることができるが、その場合、ランプ効率を一層向上させるために発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対するプラセオジムおよびセリウムの合計の組成比率を10[mol%]以上に規定することが好ましい。また、テルビウムやルテチウムを付加した場合、平均演色評価数Raを高めることができる。さらに、リチウム、バリウム、ストロンチウムを付加した場合、特殊演色評価数Rを高めることができる。
次に、発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対する希土類金属全体の組成比率を5[mol%]以上35[mol%]以下の範囲内に規定し、かつ容囲器12の構成材料であるセラミックに含まれるランタンの含有量を100[ppm]以上300[ppm]以下の範囲内に規定した理由について説明する。
(1)まず、上記した本実施形態の定格電力150[W]のメタルハライドランプ1において、容囲器12の構成材料であるセラミックに含まれるランタンの含有量のみが異なる点を除いてその他の構成を同じとするサンプル1〜6の6種類のメタルハライドランプをそれぞれ10本ずつ作製した。サンプル1のランタンの含有量は136[ppm]、サンプル2のランタンの含有量は170[ppm]、サンプル3のランタンの含有量は238[ppm]、サンプル4のランタンの含有量は272[ppm]、サンプル5のランタンの含有量が306[ppm]、サンプル6のランタン含有量は340[ppm]である。
なお、いずれのサンプル1〜6においても封入された発光物質の組成比率は、ジスプロシウムが10[mol%]、ツリウムが10[mol%]、ホルミウムが10[mol%]、セリウムが1[mol%]、ナトリウムが54[mol%]、タリウムが15[mol%]である。
これらのサンプル1〜6を定格どおりに点灯させて寿命試験を行った。寿命試験では点灯時間5.5時間、消灯時間0.5時間を1サイクルとしてこれを繰り返した。そして、各サンプル1〜6において累積点灯時間が3000時間時点、9000時間時点、12000時間時点(定格寿命時間)のそれぞれで容囲器12にクラックが発生しているものの本数をカウントし、クラック発生率[(クラック発生本数)/(全サンプル数)]として調べた。その結果を表1に示す。
Figure 2009163973
表1に示すように、セラミックに含まれるランタンの含有量が306[ppm]以下であるサンプル1〜5のいずれについても、累積点灯時間が定格寿命である12000時間時点でも容囲器12にクラックが発生したものは無かった。一方、セラミックに含まれるランタンの含有量が340[ppm]であるサンプル6については、10本中全てのものが累積点灯時間3000時間時点で容囲器12にクラックが発生していた。このクラックは、サンプル6のいずれにも本管部10と細管部11との境界領域に発生していた。そして、クラックが発生した容囲器12を切断し、その切断面を観察したところ、その境界領域の内面側が激しく浸食されていた。ランプ点灯中、封入された金属ハロゲン化物の一部は、余剰物として細管部11の端部のうち、本管部10側の端部においてその細管部11と電極体21との間の隙間に液状化して滞留することが知られている。したがって、その液状の余剰物とセラミックとが化学的に反応して浸食されたと考えられる。
そして、浸食された部分のセラミックを化学分析したところ、希土類金属とランタンとを含む複合酸化物が多く検出された。上記した特許文献1の記載に基づけば、酸化ランタンがアルミナとともに異相物質である複合酸化物を形成し、この異相物質が金属ハロゲン化物と化学反応を引き起こしていると考えられるが、この検出結果から金属ハロゲン化物の中でも特に希土類金属のハロゲン化物が影響していることを見出した。
(2)そこで、上記サンプル1〜5において、封入する発光物質のうち、希土類金属の組成比率のみを種々変化させて上記(1)と同じ実験を行ったところ、その結果として発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対する希土類金属全体の組成比率が5[mol%]以上35[mol%]以下の範囲内において、セラミックに含まれるランタンの含有量が300[ppm]以下の範囲内であれば、累積点灯時間12000時間時点においても容囲器12にクラックが発生しないことがわかった。一方、たとえセラミックに含まれるランタンの含有量が300[ppm]以下の範囲内であっても、発光物質全体に対する希土類金属全体の組成比率が35[mol%]を超えると、累積点灯時間12000時間時点において容囲器12にクラックが発生する場合が生じた。
したがって、寿命中、容囲器12にクラックが発生するのを防止するためには、発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対する希土類金属全体の組成比率を5[mol%]以上35[mol%]以下の範囲内に規定し、かつセラミックに含まれるランタン(La)の含有量を300[ppm]以下の範囲内に規定すべきことがわかった。
(3)ところで、容囲器12を構成しているセラミック成形体を形成するプロセスにおいて添加するランタンの量が少ないほど、セラミック成形体の結晶粒が異常成長する。結晶粒が異常成長したセラミック成形体を発光管4の容囲器12として用いると、容囲器12としての機械的強度が不足し、ランプ点灯中の各封入物の蒸気圧に耐えられなくなることが確認された。そこで、上記したサンプル1〜6でそれぞれ用いた容囲器12の耐圧強度[kPa]を測定した。具体的には、容囲器12に静水圧をかけ、その圧力を徐々に上げていき容囲器12が破損するまでの圧力を耐圧強度とした。その結果を図4に示す。ただし、図4において、横軸はセラミックに含まれるランタンの含有量[ppm]を、縦軸は耐圧強度[kPa]をそれぞれ示す。
本発明者らの経験等から、通常、その耐圧強度が約20[kPa]以上であれば実使用に耐え得ることができるとわかっており、その良否判断基準値を20[kPa]とした。図4からセラミックに含まれるランタンの含有量の減量により耐圧強度が低下する傾向にあることが明らかとなった。さらに図4よりランタンの含有量が100[ppm]以上であれば、容囲器12として約20[kPa]の耐圧強度を確保できることがわかった。したがって、容囲器12に対して最低限の耐圧強度を確保するためには、セラミックに含まれるランタンの含有量を100[ppm]以上に規定すべきことがわかった。また、特に管壁負荷を高く設定した場合等、一層強い強度を確保するために200[ppm]以上に規定することが好ましい。
以上の結果から、発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対する希土類金属全体の組成比率を5[mol%]以上35[mol%]以下の範囲内に規定し、かつセラミックに含まれるランタンの含有量を100[ppm]以上300[ppm]以下の範囲内に規定した。
以上のとおり本発明の第1の実施の形態にかかるメタルハライドランプ1の構成によれば、容囲器12を構成するセラミック成形体の結晶粒の異常成長を抑制し、容囲器12の耐圧強度を十分に確保しつつも、容囲器12にクラックが発生するのを防止することができ、従来のような容囲器12に何ら特別な処理を施すことなくランプの短寿命化を防止することができる。
ところで、一般的にランプを水平点灯させた場合、点灯中における発光管4、特に本管部10において上下に生じる温度分布が大きくなるとその温度差によって本管部10が破損するおそれがあることが知られている。そして、その場合において発光管4の寸法パラメータの一つであるL/rを大きくするに従って点灯中のアークが湾曲しやすくなり、当該温度差が拡がって本管部10が破損しやすくなる。そこで、本発明者らは上記結果を受けてセラミックに含まれるランタンの含有量が100[ppm]の容囲器12から構成された発光管4を用いた場合において、別の観点からも実用上十分な破損に対する強度を確保させるべく、L/rを種々変化させた点を除いて上記したサンプル1〜6と同じ構成を有している定格電力150[W]のメタルハライドランプ1を作製し、それらの水平点灯時における寿命試験を行った。その結果、本発明において最も強度が小さくなる場合、すなわちセラミックに含まれるランタンの含有量が100[ppm]の容囲器12から構成された発光管4を用いた場合であっても、L/r≦2.0なる関係式を満たすことにより、実用上十分な破損に対する強度を確保することができ、例えば水平点灯時における本管部10の破損を防止することができるとわかった。一方、関係式L/rが2.0を越えると、上記した理由により水平点灯時において本管部10が破損する場合が生じた。したがって、特に水平点灯時における本管部10の破損を防止するべく、L/r≦2.0なる関係式を満たすことが好ましい。しかし、関係式L/rを小さくしていくと、つまり電極部22間の距離Lを小さくしていくと、点灯中のアークの温度が上がり、電極部22の構成材料であるタングステンが蒸発し、それが容囲器12の内壁に付着することによって黒化し、光束維持率が低下する傾向になることがわかった。そこで、十分な光束維持率を確保するべく、L/r≧0.5なる関係式を満たすことが好ましい。
(4)ここで、発光物質としてカルシウム(Ca)を含めると、発光色に赤味成分が増し、特殊演色評価数Rを向上させることができる。
そこで、本発明者らは、上記サンプル1〜6において、発光物質としてジスプロシウムが10[mol%]、ツリウムが5[mol%]、ホルミウムが5[mol%]、カルシウムが25[mol%]、セリウムが2[mol%]、ナトリウムが46[mol%]、タリウムが7[mol%]とした点を除いてその他の構成が同じサンプルを作製し、上記(1)と同じ実験を行ったところ、驚くべきことにセラミックに含まれるランタンの含有量が340[ppm]のサンプル6に対応するサンプルであっても、累積点灯時間12000時間時点において容囲器12にクラックが発生しないことがわかった。その原因を次のように考えた。すなわち、ハロゲン化カルシウムの前記異相物質に対する化学反応によるセラミックの浸食度合いは、他の金属ハロゲン化物の前記異相物質に対する化学反応によるセラミックの浸食度合いに比して極めて小さく、それが金属ハロゲン化物中に一定量含まれることにより、金属ハロゲン化物全体としてみれば前記異相物質に対する化学反応によるセラミックの浸食度合いが小さくなり、その浸食が抑制されたと考えられる。さらにその最適量を検討したところ、発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対するカルシウムの組成比率を5[mol%]以上65[mol%]以下の範囲内に規定することにより、その効果を十分に発揮できることが確認された。したがって、容囲器12のクラックの発生を一層防止するためには、発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対するカルシウムの組成比率を5[mol%]以上65[mol%]以下の範囲内に規定することが好ましいとわかった。
(5)また、上述したとおり発光物質としてプラセオジムおよびセリウムの少なくとも一方を含めることにより、ランプ効率を向上させることができる。ところが、上述したように希土類金属とランタンとの反応が進むと、その希土類金属がハロゲン化物として封入されているために放電空間9における遊離ハロゲンの量が増加し、それに起因して点灯中におけるアークが不安定となる。一方、プラセオジムやセリウムは点灯中のアークを細らす作用を有している。したがって、遊離ハロゲンが多く存在する中にアークを細らす作用を有するプラセオジムやセリウムを含めることはアークの一層の不安定を引き起こすために適切ではない。しかしながら、セラミックに含まれるランタンの含有量を300[ppm]以下に、つまりその含有量を少なくするように規定することにより、前記遊離ハロゲンの増加を抑えることができ、プラセオジムやセリウムを封入してもアークの不安定が引き起こされることはない。
なお、上記第1の実施の形態では定格電力150[W]のメタルハライドランプ1を例示して説明したが、定格電力が例えば20[W]〜400[W]のメタルハライドランプにも適用することができるものである。
次に、図5に示すように、本発明の第2の実施の形態である照明装置28は、例えば天井29に組み込まれたダウンライトとして使用される照明装置であって、天井29に組み込まれた傘状の反射灯具30とこの反射灯具30の底部に取り付けられた板状のベース部31と反射灯具30内の底部に設けられたソケット部32とを有する照明器具33と、この照明器具33内のソケット部32に取り付けられた本発明の第1の実施の形態である定格電力150[W]のメタルハライドランプ1と、ベース部31の反射灯具30から離間した位置に取り付けられた点灯回路34とを備えている。
点灯回路34は、公知の電子安定器または公知の銅鉄形安定器である。
以上のとおり本発明の第2の実施の形態にかかる照明装置の構成によれば、上記した本発明の第1の実施の形態であるメタルハライドランプ1を用いているために、短寿命化を防止することができる。
なお、上記第2の実施の形態では、その照明装置の用途としてダウンライトとして天井用照明を一例に挙げたが、その他の屋内照明や店舗照明等にも用いることができ、その用途は限定されるものでない。また、その用途に応じて公知の種々の照明器具や安定器を用いることができる。
本発明は、容囲器が多結晶アルミナのセラミックからなり、このセラミックがランタンを含む場合であっても特別な処理を施すことなく短寿命化を防止することが必要なものにも適用することができるものである。
本発明の第1の実施の形態であるメタルハライドランプの一部切欠正面図 同じくメタルハライドランプに用いられている発光管の正面断面図 本発明の第1の実施の形態であるメタルハライドランプに用いることができる別の発光管の正面断面図 セラミックに含まれるランタンの含有量と容囲器の耐圧強度との関係を示す図 本発明の第2の実施の形態である照明装置を模式的に示した図
符号の説明
1 メタルハライドランプ
2 ステム
3 外管
4,18 発光管
5 スリーブ
6 口金
6a アイレット部
6b シェル部
7 電力供給線
8 外部リード部
9 放電空間
10,17 本管部
11,19 細管部
12,20 容囲器
13,15 円筒部
14 半球部
16 閉塞部
16a 貫通孔
21 電極体
22 電極部
23 内部リード部
24 シール材
25 電極棒
26 電極コイル
27 コイル
28 照明装置
29 天井
30 反射灯具
31 ベース部
32 ソケット部
33 照明器具
34 点灯回路

Claims (4)

  1. 容囲器が多結晶アルミナのセラミックからなり、その内部に電極体が配置され、かつ発光物質としてジスプロシウム(Dy)、ツリウム(Tm)およびホルミウム(Ho)のうちの少なくとも一種の希土類金属を含む発光管を備え、
    前記発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対する前記希土類金属全体の組成比率は5[mol%]以上35[mol%]以下の範囲内であり、
    前記セラミックに含まれるランタン(La)の含有量が100[ppm]以上300[ppm]以下の範囲内にあることを特徴とするメタルハライドランプ。
  2. 前記発光物質にはカルシウム(Ca)が含まれており、
    前記発光物質全体(ただし、水銀を除く)に対する前記カルシウムの組成比率は5[mol%]以上65[mol%]以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載のメタルハライドランプ。
  3. 前記発光物質にはプラセオジム(Pr)およびセリウム(Ce)の少なくとも一方が含まれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメタルハライドランプ。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載されたメタルハライドランプと、このメタルハライドランプを点灯させるための点灯回路と、前記メタルハライドランプが組み込まれている照明器具とを備えていることを特徴とする照明装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012195255A (ja) * 2011-03-18 2012-10-11 Iwasaki Electric Co Ltd セラミックメタルハライドランプ及びそれを用いた照明器具

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