JP4295700B2 - メタルハライドランプの点灯方法及び照明装置 - Google Patents
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Description
近年、このようなセラミック材の放電容器を用いたメタルハライドランプを、省エネルギの観点から、調光点灯させる検討が進められている。しかしながら、メタルハライドランプを調光点灯すべく低ランプ電力で点灯させると、そのランプ性能が高ランプ電力で点灯させたときに比べて、著しく低下して実用化できないという問題がある。なお、本発明では、調光点灯時の色温度との差が750[K]以上、或いはDuv((黒体軌道からのずれ)×1000)の差が7以上になると、実用化できないとしている。
る透光性セラミックとMgI2との反応性が高く、短寿命になるという問題があり、調光
点灯用として実用可能とは言い難い。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、調光点灯させてもランプ性能の変化が少ないメタルハライドランプの点灯方法及び照明装置を提供することを目的とする。
Wmax/60 ≦ S ≦ Wmin/20
の関係を満たし、前記ハロゲン化物は、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化セリウム、ハロゲン化タリウム及び少なくともハロゲン化ディスプロシウム、ハロゲン化ホルミウム、ハロゲン化ツリウム、ハロゲン化ガドリニウム、ハロゲン化エルビウムの何れか一種類を含んでいることを特徴としている。
0<Wmin/Wmax≦0.70
であることを特徴としている。
さらに、前記放電容器は、本管部と、当該本管部の両端部から延伸する細管部とからなり、前記電極部を含む電極導入体の一部は前記細管部にシール材によって封着されていると共に、前記細管部のうち、前記電極導入体が前記シール材によって封着されている封着部分において、前記放電空間側に位置する部分の外面温度は、最高のランプ電力で点灯時に900[℃]以下であることを特徴としている。
前記発光管には、発光物質であるハロゲン化物(水銀を除く)が封入されており、当該ハロゲン化物の総封入量をHtotal[mg]、前記放電空間の体積をV[cm3]、とすると、
0.9 ≦ (Htotal−3)/V ≦5.2
の関係を満足する量のハロゲン化物が封入されていることを特徴としている。
1.0 ≦ MT/C ≦ 3.5
の関係を満たすことを特徴としている。
一方、本発明に係るメタルハライドランプの点灯方法は、透光性セラミック製の放電容器内に一対の電極部が保持されている発光管を備えるメタルハライドランプを調光点灯させる点灯方法であって、前記放電容器内には、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化セリウム、ハロゲン化タリウム及び少なくともハロゲン化ディスプロシウム、ハロゲン化ホルミウム、ハロゲン化ツリウム、ハロゲン化ガドリニウム、ハロゲン化エルビウムの何れか一種類のハロゲン化物を含んでおり、調光点灯時における最高のランプ電力での前記発光管の管壁負荷[W/cm2]をWLmax、最低のランプ電力での前記発光管の管壁負荷[W/cm2]をWLminとすると、前記管壁負荷が、
WLmin ≧ 20 且つ WLmax ≦ 60
となるように前記メタルハライドランプにランプ電力を供給することを特徴としている。
また、本発明に係るメタルハライドランプの点灯方法は、メタルハライドランプを、調光点灯時における発光管の管壁負荷を所定の範囲内で点灯させている。このような管壁負荷でメタルハライドランプを調光点灯させると、ランプ性能の変化を少なくできる。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係るメタルハライドランプの一部破断図である。
本メタルハライドランプ(以下、単に、「ランプ」という。)100は、ランプ電力値が、150[W]〜225[W]の範囲における調光点灯用であって、例えば、店舗用や展示用などの屋内照明用である。この場合、ランプ効率、色特性とも重視され、いわゆる白色光源(CRIは、80以上、好ましくは90以上、Duvは+2〜−10)が用いられる。
ランプ100は、図1に示すように、口金110(例えば、E26タイプ)を一端に備える外管バルブ120内に発光管150が収納されている。外管バルブ120内には、発光管150の周りを囲んで、外管バルブ120が破損するのを防止する石英シールド管130が設けられている。
ランプ100は、発光管150の両端から導出する、後述の給電体183,188が、口金110に接続されているステム線141,142に電気的に接続されることにより、口金110から給電されて点灯するようになっている。なお、ステム線141,142は、通常、複数の金属線を接続して一体化したものが用いられている。
図2は、第1の実施の形態に係る発光管の縦断面図である。
発光管150は、同図に示すように、内部に放電空間161を形成する本管部160と、この本管部160の両端部162,163に設けられた細管部170,175と、一対の電極導入体180,185とを有する。なお、細管部170,175は、その軸心が本管部160の軸心と略一直線状となるように、本管部160に設けられている。
本管部160の端部162,163と細管部170,175とは焼結により一体化されている。放電容器155は、本管部160と細管部170,175とにより構成されている。本管部160は、図2に示すように、中間部164が大径の円筒状をし、当該中間部164の端部から本管部160の両端部162,163に移るに従って径が小さくなる形状をしている。また、細管部170,175は、ストレート状の円筒形状をしている。
電極導入体180,185は、コイル182,187側を先端として細管部170,175の内部に挿入されて、給電体183,188の一部が細管部170,175内にシール材、例えば、フリット191,192により気密封着されることで、細管部170,175に保持される。なお、フリット封着には、Dy2O3−Al2O3−SiO2系のフリット191,192が用いられている。
発光管150の放電空間161には、ハロゲン化物(例えば、DyI3、TmI3、HoI3、TlI、ヨウ化ナトリウム(以下、「NaI」とする。)からなる発光物質165と、緩衝ガスとしての水銀と、始動補助用希ガスとしてのアルゴンがそれぞれ所定量封入されている。
先ず、発光管150は、調光点灯される最高のランプ電力値Wmaxにおける管壁負荷WLmaxと最低のランプ電力値Wminにおける管壁負荷WLminとが、後述する所定の範囲になるようにそれぞれ設定されている。この管壁負荷WLは、ランプ電力値をWi[W]と、放電空間161の表面積をS[cm2]とそれぞれすると、WL=Wi/S により算出される。
以下、発光管150の寸法の一例について説明する。
発光管150は、外管バルブ120の内部に収納されており、外管バルブ120内部に窒素が、56.5[kPa]で封入されている。
なお、本実施の形態の放電容器155では、本管部160内であって、細管部170と細管部175の端面間、つまり、図2におけるL1の範囲が放電空間161となっており、細管部170,175の孔は前記放電空間161には含まれない。
DyI3:TmI3:HoI3:TlI:NaI
=6.6:4.8:6.5:8.5:73.5 (mol%)
である。
上記の具体的構成の発光管150を備えるランプ100を、最低のランプ電力値Wminが150[W]、最高のランプ電力値Wmaxが225[W]の範囲で調光点灯させる場合について説明する。
表1は、ランプ電力値を150[W]〜225[W]の範囲でランプ100を調光点灯させた場合における、全光束、ランプ効率、色温度、CRI(平均演色評価数)、Duv((黒体軌道からのずれ)×1000)の測定結果を示す。
また、従来のメタルハライドランプを調光点灯させると、ランプ電力値の変化に伴う色温度の変化が大きかった(750[K]以上)が、上記構成のランプ100では、ランプ電力値に関係なく、略一定の色温度の値を示しているのが分かる。つまり、最高のランプ電力値Wmaxでの点灯時の色温度(3555[K])と、最低のランプ電力Wminでの点灯時の色温度(3615[K])との差が60[K]であり、従来に比べて大幅に改善されている。
なお、厳密に言えば、上記の各値は、ランプ電力値の変化に伴って、ランプ効率では1.5[%]、色温度では1.7[%]程度変動しているが、これらの変動幅では、実際の使用で問題が生じることはなく十分実用化できる。なお、変動幅は、最高のランプ電力値(Wmax)での点灯を基準として、各ランプ電力値との差を基準値で割った絶対値である。
次に、ランプ電力値が150[W]〜225[W]の範囲での調光点灯時におけるランプの寿命特性について説明する。
なお、寿命試験は、5.5時間点灯し、0.5時間消灯する点滅繰り返し試験であり、光束維持率の基準となる初期値の光束は、100時間点灯後の光束である。また、ランプの寿命は、上記の点灯・消灯の繰り返し試験において、光束維持率が初期値に対して70[%]となった時点の累計の点灯時間により規定している。
以上のことから、上記構成のランプ100は、その調光点灯時(管壁負荷が、27.3[W/cm2](150[W]のランプ電力値での点灯時)から40.9[W/cm2](225[W]のランプ電力値での点灯時))の範囲において、発光物質165を変更させることもなく色温度の低下を防ぐことができ、しかも、各調光点灯時の全てのランプ電力値の範囲において光束維持率が大きく低下することはなく、調光点灯用のランプとして十分実用可能と考えられる。
これまでの調光点灯用のメタルハライドランプの開発においては、調光点灯時における最高のランプ電力値Wmaxで点灯するときが、管壁負荷WLmaxが最も大きくなり、このときのランプ寿命が最も短いと考えられていた。つまり、管壁負荷WLが小になるほど、ランプ電力が小さくなり、ランプ寿命が長くなると従来から考えられていた。
このようにして種々の検討を行った結果、上記のような構成のランプでは、調光点灯時の管壁負荷WLの設定値を、調光点灯時の最高のランプ電力値Wmaxが250[W]以下のときは、最低のランプ電力値Wminにおける管壁負荷WLminが20[W/cm2]以上、且つ、最高のランプ電力値Wmaxにおける管壁負荷WLmaxが60[W/cm2]以下の範囲にすれば良いことを見出した。
まず、ランプ電力値を135[W]〜225[W]の範囲で変化させて調光点灯するときに、最高のランプ電力値Wmaxにおける管壁負荷WLmaxが、25[W/cm2]から70[W/cm2]までの範囲を略5[W/cm2]単位で変化させた値となるように放電空間161の表面積Sを変化させた合計10種類のサンプルを製作し、各サンプルを調光点灯させて、ランプ効率、調光特性等のランプ特性及び寿命特性について試験した。
この10種類のサンプルを用いた試験結果を表2に示す。
次に、ランプ特性及び寿命特性は、「×」、「△」、「○」、「◎」の4段階で判定しており、各判定内容は、以下の通りである。
△ ・・・ やや悪い(実用上問題あり)
○ ・・・ 良い(実用上問題なし)
◎ ・・・ 良好
(a)ランプ特性について
先ず、ランプ特性について説明する。
しかしながら、管壁負荷が33(20)〜65(39)の範囲を外れる、つまり、管壁負荷が、30(18)以下、或いは、70(42)以上では、「△」、「×」の判定結果となり、実用できるランプ特性が得られていない。
まず、管壁負荷が30(18)以下の条件で、最低のランプ電力値Wmin(135[W])で点灯させると、放電空間161の温度が、最高のランプ電力値Wmax(225[W])で点灯させたときの温度より低くなり、放電空間161内に封入されている各ハロゲン化物の蒸気圧特性の違いから、ランプ100を、最高のランプ電力値Wmaxで点灯させたときのランプ効率、色温度等の諸特性と、最低のランプ電力値Wminで点灯させたときの諸特性との差が大きくなり、「△」、「×」の判定結果となった。
(b)寿命特性について
次に、寿命特性について説明する。
しかしながら、管壁負荷が30(18)〜60(36)の範囲を外れる、つまり、管壁負荷が、25(15)以下、或いは、65(39)以上では、「△」、「×」の判定結果となり、実用できる寿命特性が得られていない。
まず、管壁負荷が25(15)以下の条件では、最低のランプ電力値Wminで点灯させると、放電容器155の管壁の温度が低く、ハロゲンサイクルが機能し難くなり、放電容器155の管壁が激しく黒化し、「△」の判定結果となった。
一方、管壁負荷が、65(39)以上では、発光管150の温度が上昇して放電容器155と当該放電容器155の内部の発光物質165とが反応しやすくなり、寿命試験において、3000時間以内で発光管150の本管部160にクラックが発生して、リークが生じるなどのランプ不点灯が発生し、「×」の判定結果となった。
以上のランプ特性及び寿命特性を考慮すると、両特性を満足するのは、管壁負荷を33(20)〜60(36)の範囲(この範囲を、「調光時における最適な管壁負荷の範囲」ともいう。)となる。
つまり、調光点灯時の管壁負荷WLの設定値を、調光点灯時の最高のランプ電力値Wmaxが250[W]以下のときは、最低のランプ電力値Wminにおける管壁負荷WLminが20[W/cm2]以上、且つ、最高のランプ電力値Wmaxにおける管壁負荷WLmaxが60[W/cm2]以下の範囲にすれば良い。
従って、発光管150は、調光点灯の条件、具体的には、最高のランプ電力値Wmax及び最低のランプ電力値Wminが設定されれば、上記の調光時における最適な管壁負荷の範囲内の管壁負荷WLとなるように放電空間161の表面積Sを決定すればよく、表面積Sは、上記の5.5[cm2]に限定するものではない。
図4は、第2の実施の形態に係るメタルハライドランプの一部破断図である。
本メタルハライドランプ(以下、単に、「ランプ」という)200は、ランプ電力値が、270[W]〜400[W]までの範囲で調光可能なランプであって、例えば、街路灯などの屋外照明用、あるいは施設、体育館などの高天井用である。この場合では、ランプ効率が重視され、色特性はさほど重視されない(CRIは約50〜70、Duvは+10〜+20前後)。
ランプ200は、図4に示すように、口金210(例えば、E39タイプ)を一端に備える外管バルブ220内に発光管250が収納されている。外管バルブ220内には、第1の実施の形態と同様に、発光管250の周りを囲む石英シールド管230が設けられている。
発光管250は、端部から導出する給電体283,288がステム線241,242に電気的に接続することにより、口金210から給電される。
図5は、第2の実施の形態に係る発光管の縦断面図である。
発光管250は、同図に示すように、内部に放電空間261を形成する本管部260と、この本管部260の両端部から延伸する細管部270,275と、一対の電極導入体280,285とを有する。
本管部260は、図5に示すように、中間部264が大径で、両端部に移るに従って円弧状に径が小さくなる円筒形状をし、また、細管部270,275は、ストレート状の円筒形状をしている。
電極導入体280,285は、放電空間261内の電極棒281,286間が30[mm]となるように、給電部283,288の一部が細管部270,275内に、例えば、第1の実施の形態と同様に、フリット291,292により気密封着されている。
発光管250内には、ハロゲン化物(例えば、ヨウ化セリウム(以下、「CeI3」とする。)、ヨウ化インジウム(以下、「InI3」とする。)、TlI、NaI)からなる発光物質265、水銀、アルゴンがそれぞれ所定量封入されている。
この発光管250は、その最高のランプ電力値Wmax(ここでは、400[W]である。)における管壁負荷WLmaxが37[W/cm2]、最低のランプ電力値Wmin(ここでは、270[W]である。)における管壁負荷WLminが25[W/cm2]にそれぞれ設定されており、このときの放電空間261の表面積Sが約10.8[cm2]となるように、放電空間261を構成すべく放電容器255の各種寸法が決定されている。
なお、本実施の形態の放電容器255では、図5に示すように、細管部270,275の放電空間255側の内周面における端部側が直線から曲線に変わり始める位置間、つまり、図5におけるL2の範囲が放電空間261となっている。
放電空間261内には、発光物質265が18[mg]封入されている。この発光物質265を構成するハロゲン化物及びそのハロゲン化物の比率は、
CeI3:InI3:TlI:NaI
=14.5:0.9:2.6:82.0 (mol/%)
である。
上記の具体的構成の発光管250を備えるランプ200を、最低のランプ電力値Wminが270[W]、最高のランプ電力値Wmaxが400[W]の範囲で調光点灯させる場合について説明する。
表3は、ランプ電力値が270[W]〜400[W]の範囲で調光点灯させた場合における、全光束、ランプ効率、色温度、CRI(平均演色評価数)、Duv(黒体軌道からのずれ)×1000)の測定結果を示す。
また、色温度も、ランプ電力値に関係なく、略一定の値を示しているのが分かる。つまり、最高のランプ電力Wmaxでの点灯時の色温度(4155[K])と、最低のランプ電力Wminでの点灯時の色温度(4095[K])との差が60[K]であることから、従来に比べて大幅に改善されていることが分かる。
以上の測定結果から、上記の管壁負荷WLに設定されたランプ200では、ランプ電力値が270[W]〜400[W]の範囲では、ランプ効率、色温度等の性能にほとんど変化が見られず、良好な状態で調光点灯できることが分かる。
図6は、上記構成のランプ200を用いて、270[W]、300[W]、350[W]、400[W]の各ランプ電力値で寿命試験を行った際の点灯時間と光束維持率との関係を示す図である。
試験の結果から、図6に示すように、ランプ電力値が大きいほど光束維持率が高くなっており、寿命特性も良くなる傾向にあり、従来のように、調光点灯の際に、低ランプ電力値で点灯したときに見られた短寿命となるようなことは観察されていない。
3.管壁負荷について
上記具体的寸法の説明では、調光点灯時における発光管250の管壁負荷WLは25[W/cm2]〜37[W/cm2]となるように設定されていたが、調光点灯時の管壁負荷の設定値WLは、調光点灯時の最高のランプ電力値Wmaxが250[W]より大のときも、最低のランプ電力値Wminにおける管壁負荷WLminが20[W/cm2]以上、且つ、最高のランプ電力値Wmaxにおける管壁負荷WLmaxが60[W/cm2]以下の範囲であれば良い。
当然、発光管250は、調光点灯の条件、具体的には、最高のランプ電力値Wmax及び最低のランプ電力値Wminが設定されば、調光時における最適な管壁負荷の範囲内の管壁負荷WLとなるように放電空間261の表面積Sを決定すればよく、表面積Sは、上記の10.8[cm2]に限定するものではない。
<第3の実施の形態>
図7は、第3の実施の形態に係るメタルハライドランプの一部破断図である。
本メタルハライドランプ(以下、単に、「ランプ」という)300は、ランプ電力値が、90[W]〜150[W]までの範囲で調光可能なランプであって、例えば、店舗用、展示用などの屋内照明用である。この場合、ランプ効率、色特性ともに重視され、いわゆる、白色光源(CRIは80以上、好ましくは90以上、Duvは+2〜−10)が用いられる。
ランプ300は、図7に示すように、口金310(例えば、E26タイプ)を一端に備える外管バルブ320内に発光管350が保持されている。外管バルブ320内には、第1及び第2の実施の形態と同様に、発光管350の周りには、外管バルブ破損防止用の石英シールド管330が設けられている。上記外管バルブ320は、例えば、硬質ガラスからなる。
次に発光管350について説明する。
発光管350は、第1及び第2の実施の形態と同様に、内部に放電空間を形成する本管部360と、この本管部360の両端部から延伸する細管部370,375と、一対の電極導入体とを有する。
本管部360は、図7に示すように、中間部が大径で、両端部に移るに従って径が小さくなる円筒形状をし、また、細管部370,375は、ストレート状の円筒形状をしている。
発光管350内には、ハロゲン化物(例えば、DyI3、TmI3、HoI3、CeI3、TlI、NaI)からなる発光物質、水銀、アルゴンがそれぞれ所定量封入されている。
この発光管350は、その最高のランプ電力値Wmax(ここでは、150[W]である。)における管壁負荷WLmaxが40[W/cm2]、最低のランプ電力値Wmin(ここでは、90[W]である。)における管壁負荷WLminが24[W/cm2]にそれぞれ設定されており、このときの放電空間の表面積Sが約3.75[cm2]となるように、放電空間を構成する放電容器の各種寸法が決定されている。
次に電極導入体の主要な寸法について説明すると、電極棒は、その外径が0.45[mm]、全長が13.5[mm]であり、給電体は、その外径が0.9[mm]、全長が12[mm]である。なお、外管バルブ320の内部には、窒素が50[kPa]で封入されている。
発光物質に含まれるハロゲン化物の構成及びそのハロゲン化物の比率が異なる2種類の発光管350を用いて、各種特性等を測定した。ここで、ハロゲン化物の構成が異なる2種類の発光管350は、以下の2タイプで、ハロゲン化物の構成が異なる以外は、例えば、各寸法等は同じ構成である。なお、下記の比率は、mol%で記載している。
DyI3:TmI3:HoI3:CeI3:TlI:NaI
=9.6:9.6:9.5:1.8:3.7:65.7
タイプ2
DyI3:TmI3:HoI3:CeI3:TlI:NaI
=2.1:2.1:2.1:1.3:3.9:88.5
2−1.タイプ1について
(a)調光特性について
上記で説明したタイプ1の発光管350を備えるランプ300を、最低のランプ電力値Wminが90[W]、最高のランプ電力値Wmaxが150[W]の範囲で調光点灯させる場合について説明する。
ランプ効率については、ランプ電力値が90[W]と150[W]とで比較すると、ランプ電力値が90[W]の方(86.8[lm/W])が、ランプ電力値が150[W](95.4[lm/W])より、若干低下しているものの、ともに高い値を示している。
以上の測定結果から、上記の管壁負荷WL(最高のランプ電力値では40[W/cm2]、最低のランプ電力値では24[W/cm2]、である。)に設定されたランプ300では、ランプ電力値が90[W]、150[W]において、ランプ効率、色温度等の性能にほとんど変化が見られないため、ランプ電力値が90[W]〜150[W]において良好な状態で調光点灯できる。なお、タイプ1におけるランプ300の管壁負荷も、第1の実施の形態で説明した、調光時における最適な管壁負荷の範囲に入っている。
次に、ランプ電力値が90[W]〜150[W]までの調光点灯時におけるランプの寿命特性について説明する。
図8は、上記構成のランプ300を用いて、90[W]、120[W]、150[W]の各ランプ電力値で寿命試験を行った際の点灯時間と光束維持率との関係を示す図である。
試験の結果から、図8に示すように、ランプ電力値が大きいほど光束維持率が高くなっており、寿命特性も良くなる傾向にあり、従来のように、調光点灯の際に、低ランプ電力値で点灯したときに見られた短寿命となるようなことは観察されていない。なお、前記傾向は、第1及び第2の実施の形態と同じ傾向にある。
2−2.タイプ2について
(a)調光特性について
上記で説明したタイプ2の発光管350を備えるランプ300を、最低のランプ電力値Wminが90[W]、最高のランプ電力値Wmaxが150[W]の範囲で調光点灯させる場合について説明する。
ランプ効率については、ランプ電力値が90[W]と150[W]とで比較すると、ランプ電力値が90[W]の方(94.1[lm/W])が、ランプ電力値が150[W]のランプ効率(97.7[lm/W])より、若干低下しているものの、高い値を示している。
(a)ランプ効率について
次に、発光物質にCeI3がランプ効率に及ぼす影響について説明する。
表6は、色温度が4300[K]で、上記タイプ1に相当するランプであって、CeI3を含んでいないランプ(「タイプ1相当品」という。)の調光特性を示している。また、表7は、色温度が3000[K]で、上記タイプ2に相当するランプであって、CeI3を含んでいないランプ(「タイプ2相当品」という。)の調光特性を示している。
なお、タイプ1相当品及びタイプ2相当品に封入されている発光物質の構成比率(mol%)を以下に示す。
・タイプ1相当品
DyI3:TmI3:HoI3:TlI:NaI=10:10:10:12:58
・タイプ2相当品
DyI3:TmI3:HoI3:TlI:NaI=2:2:2:10:83
表4及び表5で示す本発明に係るタイプ1及び2の両タイプは、表6及び表7で示す、CeI3を含んでいないタイプ1相当品及びタイプ2相当品に対して、ランプ効率が向上している。
同様に、タイプ2をランプ電力値150[W]及び90[W]で点灯させたときのランプ効率が97.7[lm/W]及び94.1[lm/W]で、これに対応するタイプ2相当品でのランプ効率が92.5[lm/W]及び92.1[lm/W]であり、タイプ2の方が、タイプ2相当品に対して5.6[%]及び2.2[%]程度上昇している。
(b)調光特性
発明者らは、上記のように、発光物質にCeI3が含まれるとランプ効率が向上することを見出し、さらに、CeI3の量を変化させたところ、調光点灯時における色温度及びDuvの変化量が増大する問題が発生した。
つまり、ハロゲン化セリウムCeI3の量[mol]と、ハロゲン化タリウムTlIの量[mol]との比をMT/Cとしたときに、当該MT/Cが以下の範囲内にあれば、調光点灯時に良好な調光特性が得られるのである。
以下、上記理由について説明する。
表8は、MT/Cを変化させたときの調光特性(100時間点灯後)を示す表である。
・タイプ3
DyI3:TmI3:HoI3:CeI3:TlI:NaI
=6.3:6.3:6.2:3.9:1.5:75.8
MT/C =0.4
・タイプ4
DyI3:TmI3:HoI3:CeI3:TlI:NaI
=8.4:8.4:8.3:4.1:4.1:66.1
MT/C =1.0
・タイプ5
DyI3:TmI3:HoI3:CeI3:TlI:NaI
=8.8:8.8:8.7:1.6:4.3:67.8
MT/C =2.6
・タイプ6
DyI3:TmI3:HoI3:CeI3:TlI:NaI
=2.2:2.2:2.1:1.1:3.8:88.6
MT/C =3.5
・タイプ7
DyI3:TmI3:HoI3:CeI3:TlI:NaI
=2.1:2.1:2.0:1.1:6.4:86.3
MT/C =5.8
上記タイプ3〜タイプ7までの各ランプを、ランプ電力値が90[W]と150[W]の2種類で点灯させた。ここで、ランプ電力値が90[W]〜150[W]で点灯されるランプは、例えば、屋内の店舗用として用いられる場合がある。この場合、ランプの発光色は調光点灯によって、特に色変化が少ないものが好まれ、一般に、店舗用としては、調光点灯時のDuvの差が2.5以下となるようなものが求められている。
なお、表8での各タイプは、色温度が4300[K]、3000[K]の2種類を記載しているが、特に色温度が変わっても、この傾向は変化しないものと考えられている。また、ランプの用途が屋外等の場合、色変化に対する許容量が大きく、調光点灯時のDuvの差が2.5以下とする必要はない。従って、ランプの用途・出力等に対応して、背景技術の欄で説明したように、Duvの差が7より小となるように、CeI3の量とTlIの量との比MT/Cを、適宜決定すれば良い。
発明者らは、種々の検討により、発光物質にCeI3が含まれるとランプ効率が向上することを見出し、CeI3とTlIとの量を最適化することにより、調光点灯時の色変化(Duvの差)を小さくできることを見出したが、さらに、CeI3の封入量は、ハロゲン化物(水銀を除く)総量に対する比が4.0[mol%]より小であれば、高いランプ効率、高演色、良好なDuv、すなわち、店舗照明などに適した白色光源を得ることができることを見出した。
<その他>
1.ランプ電力について
上記の第1〜第3の実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、第1〜第3の各実施の形態で説明したランプ電力値以外にも適用できる。例えば、200[W]〜300[W]等の様々な範囲で調光点灯用のランプにも適用できる。
上記実施の形態では、発光物質として、DyI3、TmI3、HoI3、TlI、NaI、CeI3、InIを用いたが、これら以外に、ハロゲン化プラセオジム、ハロゲン化セリウム、ハロゲン化カドリニウム、ハロゲン化ルテチウム、ハロゲン化イッテルビウム、ハロゲン化テルビウム、ハロゲン化エルビウムなどを用いても良い。なお、これらの物質は、放電容器の材料であるアルミナなどと反応し難い特質を有している。
3.発光物質の封入量について
一般的に、メタルハライドランプは、その放電空間に封入している発光物質量によってもランプ特性が変化する。発明者らは、さらに検討を進めた結果、ランプを調光点灯させる際に、良好な調光特性が得られる発光物質量[mg]をHtotalとし、放電空間の容積をV[cm3]としたときに、
0.9 ≦ (Htotal−3)/V ≦ 5.2
であれば良いことを見出した。この範囲とした理由について以下説明する。
先ず、試験は、発光物質の封入量を変化させたランプを用意し、このランプをランプ電力値が90[W]〜150[W]の範囲で調光点灯させたときの調光特性について評価した。なお、ここでのランプは、第3の実施の形態で説明したランプと略同じ構成のものである。
試験に用いるランプは、その内部に封入している発光物質を構成するハロゲン化物の及びハロゲン化物の構成比(mol%)が異なり、各発光物質は、以下の2種類(タイプ8及びタイプ9とする)である。
・タイプ8
DyI3:TmI3:HoI3:TlI:NaI=10:10:10:9:61
・タイプ9
DyI3:TmI3:HoI3:TlI:NaI=3:3:3:7:84
(c)発光物質の封入量について
各タイプにおける放電空間に封入している発光物質の封入量は異なっており、これらの封入量は、4.3[mg]、5.7[mg]、7.1[mg]、8.6[mg]、10.0[mg]、11.1[mg]の計6種類である。
(d)試験結果
上記タイプ8及びタイプ9について、上記6種類の封入量のランプを用いて調光点灯させ、そのときの各調光特性の判定結果を表9及び表10に示す。なお、タイプ8の結果を表9に示し、タイプ9の結果を表10に示している。
× ・・・ 悪い
△ ・・・ やや悪い(実用上問題あり)
○ ・・・ 良い(実用上問題なし)
◎ ・・・ 良好
表9及び表10から、両タイプとも、「(Htotal−3)/V」が3.8以上であれば「◎」の結果となり、調光点灯させても良好なランプ特性が得られるのが分かる。さらに、「(Htotal−3)/V」が0.9以上であれば、「○」の結果となり、調光点灯させても、実用上問題のない調光特性が得られているのが分かる。
つまり、タイプ8では、表9から、タイプ8におけるハロゲン化物の構成では、最高のランプ効率は91[lm/W]程度と考えられ、この最高のランプ効率の95%程度は、ランプ効率が86[lm/W]程度である。これに対応する「(Htotal−3)/V」は、5.2程度であり、これより大きくなると(例えば、6.3)、最高のランプ効率に対して確実に95%より小さくなる。
4.発光管の形状について
発光管の本管部は、上記の第1の実施の形態では、中間部から端部かけて直線状に小径化し、第2の実施の形態では、中間部から端部にかけて円弧状に小径化している。しかしながら、本管部の形状が他の形状、例えば、中央部及び端部の径が略同じ円筒状等であっても良い。
上記第1の実施の形態では、最高のランプ電力値Wmaxと最低のランプ電力値Wminとの比が0.66であり、上記第2の実施の形態では、最高のランプ電力値Wmaxと最低のランプ電力値Wminとの比が0.675であり、また、上記第3の実施の形態では、最高のランプ電力値Wmaxと最低のランプ電力値Wminとの比が0.6である。
6.リークについて
第1の実施の形態において、管壁負荷が高くなると、発光管の本管部からリークが発生すると説明したが、本管部以外でもリークは発生する。例えば、第1の実施の形態のランプ100で説明すると、発光管150の温度上昇に伴って、細管部170,175のうち、電極導入体180,185の一部が細管部170,175内にフリットによって封着されている部分(封着部分)において発生する。
実施の形態では、片口金E形タイプについて説明したが、他のタイプ、例えば、片口金PG形、両口金形等であっても良い。
150、250、350 発光管
155、255 放電容器
160、260、360 本管部
162、262 発光物質
170、175、270、275、370、375 細管部
180、185、280、285 電極導入体
Claims (6)
- 透光性セラミック製の放電容器内に一対の電極部が保持されている発光管を備えるメタルハライドランプを調光点灯させる点灯方法であって、
前記放電容器内には、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化セリウム、ハロゲン化タリウム及び少なくともハロゲン化ディスプロシウム、ハロゲン化ホルミウム、ハロゲン化ツリウム、ハロゲン化ガドリニウム、ハロゲン化エルビウムの何れか一種類のハロゲン化物と、水銀とを含んでおり、
前記ハロゲン化物(水銀を除く)の総封入量をHtotal[mg]、前記放電空間の体積をV[cm 3 ]、
とすると、
0.9 ≦ (Htotal−3)/V ≦5.2
の関係を満足する量のハロゲン化物が封入され、
前記ハロゲン化セリウムの封入量[mol]に対する前記ハロゲン化タリウムの封入量[mol]の比をM T/C としたとき、当該M T/C が、
1.0 ≦ M T/C ≦ 3.5
の関係を満たし、
調光点灯時における最高のランプ電力での前記発光管の管壁負荷[W/cm2]をWLmax、最低のランプ電力での前記発光管の管壁負荷[W/cm2]をWLminとすると、前記管壁負荷が、
WLmin ≧ 20 且つ WLmax ≦ 60
となるように前記メタルハライドランプにランプ電力を供給することを特徴とするメタルハライドランプの点灯方法。 - 透光性セラミック製の放電容器の内部に形成され且つ水銀が封入されている放電空間に、一対の電極部が保持され、かつハロゲン化物が封入されている発光管を備えるメタルハライドランプと、当該メタルハライドランプを最高のランプ電力Wmax[W]と最低のランプ電力Wmin[W]との範囲内で調光点灯させる点灯回路とを備える照明装置であって、
前記メタルハライドランプの前記放電空間の表面積S[cm2]は、
Wmax/60 ≦ S ≦ Wmin/20
の関係を満たし、
前記ハロゲン化物は、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化セリウム、ハロゲン化タリウム及び少なくともハロゲン化ディスプロシウム、ハロゲン化ホルミウム、ハロゲン化ツリウム、ハロゲン化ガドリニウム、ハロゲン化エルビウムの何れか一種類を含み、
前記ハロゲン化物(水銀を除く)の総封入量をHtotal[mg]、前記放電空間の体積をV[cm 3 ]、
とすると、
0.9 ≦ (Htotal−3)/V ≦5.2
の関係を満足する量のハロゲン化物が封入され、
前記ハロゲン化セリウムの封入量[mol]に対する前記ハロゲン化タリウムの封入量[mol]の比をM T/C としたとき、当該M T/C が、
1.0 ≦ M T/C ≦ 3.5
の関係を満たす
ことを特徴とする照明装置。 - 前記最高のランプ電力Wmaxと、前記最低のランプ電力Wminとの比が
0<Wmin/Wmax≦0.70
であることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。 - 前記放電容器は、本管部と、当該本管部の両端部から延伸する細管部とからなり、前記電極部を含む電極導入体の一部は前記細管部にシール材によって封着されていると共に、前記細管部のうち、前記電極導入体が前記シール材によって封着されている封着部分において、前記放電空間側に位置する部分の外面温度は、最高のランプ電力で点灯時に900[℃]以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の照明装置。
- 前記ハロゲン化物の総封入量[mol]に対する前記ハロゲン化セリウムの封入量[mol]の比が、4.0[mol%]より小であることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の照明装置。
- 前記放電空間に封入されているハロゲン化物のうち、ハロゲン化ナトリウムが一番多く含まれていることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の照明装置。
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