本発明は、遊技機用の入球具及び遊技機に係り、特に、省スペースで入球率の調整を容易とすることのできる遊技機用の入球具等に関する。
パチンコ機等の遊技機においては、弾球された球が遊技領域(遊技盤面上又はその近傍に形成された領域であって、球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で球が遊技領域内の障害釘(ゲージともいう。)や羽根車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域上に配置された各種入賞口に球が入賞すれば所定の景品球払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に球が流入すれば景品球払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は球の流下における偶然性を利用しつつ球の入賞及び景品球払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
このパチンコ機の遊技領域に配置される入賞口には、例えば普通入賞口、始動入賞口、大入賞口等の様々なものがある。そのうち、始動入賞口や大入賞口は、球の入賞が容易(又は、可能。)な状態と困難(又は、不可能。)な状態とに変更可能な開閉部材を有する変動入賞役物によって構成されることがある。
例えば、始動入賞口を構成する役物としてよく用いられる変動入賞役物(いわゆる電動チューリップ。)は、入賞口上方の左右両側に揺動開閉可能な開閉羽根部材が配置され、その開閉羽根の開閉により入賞容易/入賞困難の状態を作り出している。また、大入賞口を構成する役物としてよく用いられる変動入賞役物(いわゆるアタッカー。)は、入賞口の前方に前後開閉可能な開閉扉部材が配置され、その扉の開閉により入賞容易/入賞困難の状態を作り出している。
このように、常に球を入賞可能な状態とするのでなく、遊技の状況に応じて入賞の確率(又は、可否。)を変化させることによって、パチンコ機における遊技の興趣を一層増大させることができるのである。なお、このように、球の入賞確率を変化させた変動入賞役物については、例えば特許文献1,2に開示されている。
特開2007−144222号公報
特開2007−244617号公報
しかしながら、上記のような開閉羽根部材による開閉を行う変動入賞役物や開閉扉部材による開閉を行う変動入賞役物は、開閉部材が比較的大きくまたその動作も大きいため、遊技領域内において必要な面積も大きくなってしまうという問題がある。特に近年では、遊技領域内の略中央に配置される図柄表示装置の大型化が進んでいるので、変動入賞役物等の他の役物においては小型化が要求されている。
更に、開閉羽根部材や開閉扉部材は、その閉鎖動作において球を入賞させる方向に羽根部材や扉部材が傾きながら閉じていくので、閉鎖途中に入賞しかかった球が、そのまま開閉羽根部材や開閉扉部材によって入賞口へと押し込まれてしまって入賞してしまうという問題がある。本来入賞すべきでない球が、開閉部材の閉鎖動作の途中で入賞してしまうと、入賞率が設計値から外れてしまってパチンコホールが不利益を受けてしまう場合がある。なお、上記のように、開閉部材の閉鎖途中に意図せず入球口に入球した球又はそのような入球を総称して「不測の入球」と呼ぶこととする。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、遊技領域内におけるスペース効率を向上させることができ、遊技領域における球の流下方向や流入開口への流入確率(入球率)の調整を容易とし、流下方向や入球率に対する設計意図を反映させ易い遊技機用の入球具等を提供することを例示的課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての遊技機用の入球具は、遊技領域を流下する球を流入させるための流入開口と、流入開口を進退しかつ球を受ける受け面を有する受け面部材と、受け面部材を進退移動させる駆動手段と、を有し、進出時において受け面により球を受けてその球を流入開口から流入可能とすると共に、退避時において受け面と流入開口の開口縁との距離を球の直径未満としてその球を流入開口から流入不可とすることを特徴とする。
遊技領域を流下する球を受け面で受ける受け面部材が流入開口を前後方向に進退することにより、球を流入開口に流入可能としたり流入不可としたりするので、比較的小面積で入球率(入球許容/入球阻止)の変更を実現することができ、遊技領域内のスペース効率の向上に寄与することができる。また、退避移動の途中で受け面に受け止められた球を入球させずに遊技領域に残し、そのまま遊技領域を流下させることができる。したがって、このような不測の入球を有効に防止することができる。
また、退避時において受け面と流入開口の開口縁との距離を球の直径未満としているので、受け面部材の退避時には、確実に球の流入を阻止することができる。流入開口は、受け面部材の進出時に球が流入することのできる寸法とされている。しかし、受け面部材の退避時には開口縁と受け面部材との位置関係を利用することにより開口寸法を狭めて、確実な入球阻止を実現している。球の流入を阻止するために別途の部材を用いることなく開口縁を利用して入球阻止を実現しているので、部品点数の削減に寄与している。
なお、ここにおいて遊技機とは、遊技媒体として球を用いてその流下による遊技を実現するものをいい、パロット機等を含むが、典型的にはパチンコ機を意味する。そして、この入球具は、パチンコ機において、普通入賞具、始動入賞具等として利用される。
その遊技機用の入球具において、駆動手段が、受け面部材を平行スライド移動させることにより進退させてもよい。
平行スライド移動により受け面部材の進退を実現するので、その動作を単純な直線動作(一次元的動作)とすることができる。したがって、駆動手段を簡単な構造とすることができ、低コスト、小型化に寄与することができる上に、動作の信頼性向上をも図ることができる。
直線動作により受け面部材が進退移動するので、退避移動の途中に受け面に受けられた球には流入開口側へ押し込むような力が働かない。そのまま直線的に受け面部材が退避することにより、その球が遊技領域内に取り残されて流下することとなる。したがって、退避移動の途中における不測の入球を防止することができ、この入球具における入球率が調整し易くなる。設計意図に従った入球率を容易に実現することができる。
受け面が、球を流入開口へと導くように傾斜していてもよい。
受け面が傾斜しているので、受け面で受け取った球がスムーズに流入開口へと導かれる。進出時において受け面で球を受けたにも拘らず流入開口へと流入させることができない、いわゆる取りこぼしの球を減少させることができるので、受け面部材の進出時には受けた球を確実に流入開口へと導き、退避時には球の流入を確実に阻止することができる。その結果、流入開口への入球率の把握を容易とすることができる。
本発明の他の例示的側面としての遊技機は、上記の遊技機用の入球具と、遊技領域をその表面に画定する遊技盤と、遊技盤を遊技者にとって視認可能となるように保持する枠体と、遊技盤に対してその前方に一定距離以上離間して配置された前面透明板と、遊技領域に向けて球を発射する発射ユニットと、球を貯留する貯留皿と、を有することを特徴とする。
この遊技機は、上記の入球具を有しているので、比較的小面積で入球確率の変更を実現することができる。したがって、遊技領域内のスペース効率の向上に寄与することができ、図柄表示装置等の遊技領域内に配置される他の装置の大型化や配置に自由度を高めることができる。遊技領域を流下する球の入球具への入球率の調整を容易とすることができ、不測の入球を防止して、設計意図を充分に反映させた遊技機とすることができる。ここで、遊技盤の表面は、前面(遊技者に対向する側の面)のみならず、後面(前面に対する裏面)をも概念として含む。
その遊技機が、遊技領域に設けられて球が入球可能な第1始動口を備えた第1始動入賞具と、第1始動口への入球に基き第1の遊技を実行する第1遊技手段と、流入開口への入球に基き第2の遊技を実行する第2遊技手段とを備え、第1始動入賞具と遊技機用の入球具とが遊技領域の正面視において左右方向同側に配置されていてもよい。
第1始動入賞具と上記の入球具とが遊技領域の正面視において左右方向同側に配置されているので、遊技者は、いわゆる右打ち・左打ちに打ち分ける必要なく、左右同側に球発射を続けることにより第1の遊技の発生も第2の遊技の発生も狙うことができる。この場合において、左右同側に第1始動入賞具と上記の入球具とが配置されているが、上記の入球具においては、受け面部材の前後進退移動によって、不測の入球が防止されている。したがって、遊技者が第1の遊技の発生を狙っている最中に、意図せず第2の遊技が発生してしまうのを防止することができる。
ここにおいて、第1遊技手段とは、第1の特別遊技としての図柄変動大当たり(後述)を実行するための手段を意味し、より具体的に例示すれば、第1始動口への入球に起因して第1抽選を行う第1抽選手段、その抽選結果の呈示を実行する抽選結果呈示手段、抽選結果に応じて第1大入賞口の開閉制御を実行する動作制御手段等を含む概念である。第2遊技手段とは、第2の特別遊技としての役物大当たり(後述)を実行するための手段を意味し、より具体的に例示すれば、流入開口への入球に基づき第2大入賞口の開閉制御を実行する動作制御手段を含む概念であるが、これらについての詳細は後述する。
なお、第1の遊技(1種大当たり又は図柄変動大当たりともいう。)と第2の遊技(2種大当たり又は役物大当たりともいう。)とを実現可能な遊技機として、例えば、後述する1種2種タイプのパチンコ機が概念できる。このような、1種2種タイプのパチンコ機に本発明を適用することにより、例えば、右側領域及び右打ち遊技を廃することができる。遊技領域のうち左側領域のみを用いて、意図しない2種大当たりを防止しつつ1種2種遊技を実現することができる。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、受け面部材の進退移動により入球確率の変更を実現しているので、遊技領域内における省スペース化に貢献することができ、進退部材の退避移動中における不測の入球を防止することができる。また、入球阻止のための別途部品を使用せず、少ない部品点数で、入球確率変更を実現することができる。
本発明の実施の形態に係るパチンコ機の正面図である。
図1に示すパチンコ機が有する第2始動入賞具の外観斜視図である。
図2に示す第2始動入賞具の前板を外した状態での外観斜視図である。
図3に示す下ベロ部材の進出状態及び退避状態における第2始動口との位置関係を説明するための側方断面模式図であって、(a)は下ベロ部材の進出状態を示し、(b)は下ベロ部材の退避状態を示す。
本発明の変形例1に係る第2始動入賞具の側方断面模式図であって、(a)は下ベロ部材の進出状態を示し、(b)は下ベロ部材の退避状態を示す。
本発明の変形例1に係る第2始動入賞具の他の例を示す側方断面模式図であって、(a)は下ベロ部材の進出状態を示し、(b)は下ベロ部材の退避状態を示す。
本発明の変形例2に係る第2始動入賞具の側方断面模式図であって、(a)は下ベロ部材の進出状態を示し、(b)は下ベロ部材の退避状態を示す。
本発明の変形例2に係る第2始動入賞具の側方断面模式図であって、(a)は下ベロ部材の進出状態を示し、(b)は下ベロ部材の退避状態を示す。
実施するための形態
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る遊技機としてのパチンコ機2の正面図である。このパチンコ機2は、枠体3、遊技盤ユニット5、前面ガラス(前面透明板)10、装飾枠(前面枠)12、発射ユニット(不図示)、貯留皿14を有している。
なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパロット機、アーケードマシン、各種ゲーム機、その他の球の流下による遊技を実現する遊技機を概念することができる。パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)とハネモノ遊技(2種遊技、役物遊技ともいう。)の両方の遊技を実現するいわゆる1種2種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技及び役物遊技については後述する。
パチンコ機2の枠体3は、後述する遊技盤ユニット5を内側に保持し、装飾枠12と協働してこのパチンコ機2の周囲及び前方又はそれらに加えて後方を囲むように構成される。枠体3の内部には、遊技盤6の他にも各種電子基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、枠体3及び装飾枠12によって周囲側方及び前方又はそれらに加えて後方からのパチンコ機2内部への不正アクセスが防止されるようになっている。
枠体3は、例えば、最外郭に配置されてパチンコホールの遊技機設置島に取り付けられる筐体枠4、その筐体枠4に対して前後揺動可能に軸支され遊技盤ユニット5を保持する機枠9とを有して構成される。そして、その機枠9の前方には、前面ガラス10とその周囲を装飾する装飾部材32とを保持する装飾枠12が配置される。なお、前面ガラス10は、枠体3内部に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材であるが、詳細は後述する。
遊技盤ユニット5は、遊技盤6とその遊技盤6の略中央に配置されたセンター役物7とを有して構成されている。その遊技盤6は、遊技盤面6a(表面)に球(パチンコ球)23の流下による遊技を実現するための遊技領域6bを画定するための盤状部材であり、遊技盤面6aを前方から遊技者にとって視認可能となるように枠体3(本実施の形態においては、枠体3の一部としての機枠9。)に保持されている。遊技盤面6aには、略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の内周面(内側面)26aが遊技盤面6aに対して立設するように配置されている。そして、その内側面26aによって画定され、内側面26aに面した略円形状の領域が遊技領域6bとなっている。
遊技領域6bには、ゲージ(障害釘)27が配置されている。このゲージ27は、遊技領域6bを流下する球23と衝突してその流下方向を変更させるものであり、遊技領域6b内に多数配置されている。また、遊技領域6bには、普通入賞口28、第1始動口29、第2始動口(図2参照)16を備えた第2始動入賞具(遊技機用の入球具)13、第1大入賞口31、第2大入賞口8a、通過ゲート(通過領域)33、風車34等が配置されており、流下する球23が各入賞口や始動口に流入したり、通過ゲート33を通過したり、風車34を回転させたりすることによって、球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
センター役物7は、遊技盤面6aの略中央に配置されて図柄変動遊技や役物遊技を実現するものであり、主として第1の遊技における図柄表示を行う図柄表示装置7a及び主として役物遊技を実現するセンター飾り8を有している。
図柄表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示画面(映像表示面)7b上に映像表示を行うものである。この表示画面7b上には、例えば、3桁の数字又は文字等により構成される表示図柄7cが回転又は停止するように映像として表示される。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示画面7b上に表示されるようになっている。
図示しない球発射ユニットにより球23が発射されると、球23はレール飾り26の内側面26aに沿いつつ進行して遊技領域6b内の上部に至る。その後、球23はゲージ27に衝突しつつ遊技領域6b内を下方に流下し、あるものは普通入賞口に入賞して一定数の景品球払出しの契機となり、あるものはいずれの入賞口にも流入せずに遊技領域6b内最下部に位置するアウト口30に流入してパチンコ機2の外部へと排出される。
図柄変動遊技中に球23が第1始動口に流入すると、その流入に起因して第1の遊技発生のための第1抽選手段(第1遊技手段の一部)による第1抽選が開始される。それと共に、図柄表示装置7aの表示図柄7cが回転表示を開始する。第1抽選の結果が当たりであれば、表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示し、図柄変動遊技における大当たり(第1の遊技。以下、図柄変動大当たりという。)が発生する。そして、第1大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の景品球が貯留皿14へと払い出されるようになっている。
センター飾り8は、図柄表示装置7aの表示画面7bの周囲であって遊技盤面6a上に配置された樹脂製の造形体である。センター飾り8は、例えば表示画面7bの周囲を囲み、表示画面7bが遊技者に視認可能となるように配置されている。センター飾り8には、模様や色彩が付され、また、キャラクター等の造形が施されており、装飾的な演出効果を発揮するようになっている。
また、センター飾り8の一部には、球23の流入可能な状態と流入不可能な状態とに状態変更可能(開閉可能)な第2大入賞口8aが配置されている。この第2大入賞口8aは役物遊技中において大当たり(第2の遊技。以下、役物大当たりという。)発生時に所定時間開放され、その開放時には球23がセンター飾り8の内部へと流入可能とされている。一方、第2大入賞口8aの閉鎖時にはセンター飾り8の内部への球23の流入はできないようになっている。
センター飾り8の中央部に配置された図柄表示装置7aは、奥行き方向において遊技盤面6aよりもやや奥まって配置されている。その図柄表示装置7aの前方部分には第2大入賞口8aから流入した球23を一定確率で入賞させることのできるV入賞口35が配置されている。そのV入賞口35に球23が流入すると、第1大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、役物大当たり遊技を継続的に楽しむことができるようになっている。
センター飾り8は、この遊技盤面6aの略中央やや右寄りに位置しており、遊技盤面6aの正面視右側領域にはセンター飾り8の上部及び側部付近とレール飾り26の内側面26aとによって球通路8bが形成されている。この球通路8bは球23が1個宛通過することのできる通路寸法とされており、球通路8bを通過した球23は、遊技領域6bの右下方近傍に至ってアウト口30へと流入するようになっている。この球通路8b部分以外の遊技領域6bは、遊技盤面6aの左側から下方部分にかけて構成されている。
発射ユニットによって発射された球23は、左側の遊技領域6bを流下しつつ例えば通過ゲート33を通過する。その通過ゲート33の通過に起因して第2抽選手段による抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に、第2始動入賞具13が備える第2始動口16が一定時間開放する。第2始動口16は、閉鎖状態では球23の流入が不可能とされているが、その開放中に球23が第2始動口16に流入すると、それに起因して役物大当たり遊技が発生し、第2大入賞口8aが所定時間開放する。その開放時間中に、後続の球23が第2大入賞口8a内に流入し、V入賞口35に入賞すれば、第1大入賞口31の開放により役物大当たり遊技の継続を楽しむことができるようになっている。
なお、ここにおいて、第2始動口16の開放状態とは、後述する下ベロ部材(受け面部材)17(図2参照)が進出した状態であって、第2始動口16が球23を流入可能な状態をいう。また、第2始動口16の閉鎖状態とは、下ベロ部材17が退避した状態であって、第2始動口16が球23を流入不可能な状態をいう。
以下、この第2始動口16を備える第2始動入賞具13の構成について詳細に説明する。
図2は、このパチンコ機2が有する第2始動入賞具13の外観斜視図である。この第2始動入賞具13は、ベースプレート11、下ベロ部材17、ソレノイド(駆動手段)18、収納部19、前板20を有している。なお、図3は、第2始動入賞具13の前板20を外した状態での外観斜視図である。
ベースプレート11は、この第2始動入賞具13を遊技盤面6aに取り付けるための取付けプレートである。このベースプレート11には、下ベロ部材17の進出時において球23を流入させるための第2始動口16が開口形成されている。第2始動口16は、略長方形状に開口形成されており、その縦寸法H及び横寸法Wは、それぞれ球23の直径寸法D(図4参照)よりも大きい寸法とされている。
下ベロ部材17は、第2始動口16内を前方向(図3中矢印Z方向)及び後方向(−Z方向)に進退移動する板状部材である。下ベロ部材17は上面側に受け面17aを有しており、遊技領域6bを流下する球23を進出状態において受け取って第2始動口16内へと流入させるようになっている。
図4は、この下ベロ部材17の進出状態及び退避状態における第2始動口16との位置関係を説明するための側方断面模式図であって、(a)は下ベロ部材17の進出状態を示し、(b)は下ベロ部材17の退避状態を示す。図4(a)に示す下ベロ部材17の進出状態において、受け面17aと第2始動口16の上縁(開口縁)16aとの距離Lは球23の直径寸法Dよりも大きくなるように設定されている。したがって、受け面17aで受け止められた球23は、第2始動口16から流入することができる。なお、受け面17aは、球23を第2始動口16へと導くように、後方に向けて下がり傾斜している。したがって、受け面17aで受け止められた球23は、素早くかつ円滑に第2始動口16へと流入する。
一方、図4(b)に示す下ベロ部材17の退避状態において、受け面17aと第2始動口16の上縁16aとの距離Lは、球23の直径寸法Dよりも小さくなるように設定されている。したがって、この下ベロ部材17の退避状態においては、遊技領域6bを流下する球23がゲージ27等に衝突して第2始動口16に向かってきたとしても、第2始動口16への流入は確実に阻止される。
例えば、下ベロ部材17に対向配置されて下ベロ部材17と連動する上ベロ部材(不図示)と協働して第2始動口16への流入阻止を実現するのでなく、第2始動口16の上縁16aを利用して第2始動口16への流入阻止を実現しているので、流入阻止のために別途の部材を用いておらず、部品点数やコストの低減、構造の簡単化に寄与している。
下ベロ部材17を直線的に(本実施の形態においては、前後に。)進退移動させるだけで、球23の第2始動口16への流入の可否を変更することができるので、移動構造を簡単な構造にすることができる。そして、受け面17a上に球23が載った場合においても、下ベロ部材17の退避移動に起因して、第2始動口16へと押し入れるような外力を作用させない。したがって、例えば、下ベロ部材17の退避途中に意図しない球23を第2始動口16内に流入させてしまったりする「不測の入球」を防止することができる。
なお、下ベロ部材17の受け面17aの先端部分(先端面)17bが、左右方向に下がり傾斜とされていて、受け取った球23を左右に振り分けて流下させるようになっていてもよい(図3参照)。それにより、下ベロ部材17の退避途中に先端面17bで受け取った球23が不測の入球となってしまうのを一層確実に防止することができると共に、その球23を左右に均等に振り分け流下させることができる。もちろん、先端面17bの左右の下がり傾斜の比率(傾斜角度や傾斜面積。)を変更することにより、左右への振り分け率を変更することができる。また、頂部17cを前後方向に傾斜させれば、下ベロ部材17の進出時に頂部17cと前板20との間に球23を挟み込むことによる球詰まりも有効に防止することができる。
ソレノイド18は、下ベロ部材17を前後方向(±Z方向)に進退移動させるための駆動手段である。ソレノイド18は、下ベロ部材17に連結されてその後方に配置され、収納部19内に保持されている。その収納部19は、ベースプレート11の後方に取り付けられた収容部材であり、ソレノイド18の他、ソレノイド18と下ベロ部材17とを連結する連結機構(不図示)等を内部に保持している。収納部19内には、第2始動口16から流入した球23を検出する球通過センサも保持され、その球23をパチンコ機2内の入賞球通路へと導く球経路(不図示)が形成されている。
前板20は、ベースプレート11の前方に配置されて、球23が第2始動口16へ流入するのを補助するプレート部材である。前板20は、補助経路を構成する側壁20aを有して構成され、第2始動入賞具13の上方から流下して来た球23を、進出状態の下ベロ部材17の受け面17aへと導く機能を有している。
前面ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。前面ガラス10は透明平板ガラスで形成されて装飾枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者が前面ガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないように不正アクセスを防止する機能、を発揮する。
装飾枠12は、主として遊技盤6の前方を囲む枠部材であり、機枠9の前方にヒンジ部22によって前方開閉可能に揺動支持されている。装飾枠12は、開口形成された開口部分に前面ガラス10を保持し、その前面ガラス10を通して遊技盤6を遊技者にとって視認可能としている。開口の周囲には、パチンコ機2を装飾し、遊技を演出するための装飾部材32が配置されている。
発射ユニットは、球供給装置(不図示)によって貯留皿14の一部としての上皿14aから発射位置に送り出された球23を遊技領域6bの上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、機枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
貯留皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上皿14aと下皿14bとを有している。上皿14aの近傍に配置された球排出ボタン14cを操作すると、上皿14a内に貯留された球23が下皿14bへと排出されるようになっている。
次に、このパチンコ機2における遊技方法について簡単に説明する。なお、このパチンコ機2においては、遊技領域6bが主に遊技盤面6aの左側及び下方部分に配置されており、第1始動口29、第2始動口16及び通過ゲート33のいずれもが左側の遊技領域6bに配置されている。また、遊技開始時においては、下ベロ部材18は退避状態にあり、第2始動口16は閉鎖状態となっている。
<図柄変動遊技>
遊技者が、発射ハンドル15を操作すると、球発射が行われ、球23が発射レール(不図示)及びレール飾り26の内側面26aに沿って発射されて遊技領域6bの上部へと至る。図柄変動遊技においては、遊技者は第1始動口29への入賞を狙って左打ち(遊技領域6bの左側部分への球発射)を行う。発射された球23は内側面26aから落下を開始し、遊技領域6bを流下する。遊技領域6bを流下した球23は、例えば普通入賞口28に入賞したり、第1始動口29に入賞したりする。
第1始動口29へと球23が流入すると、第1抽選手段による第1抽選(第1の遊技の抽選)が実行され、図柄表示装置7aが表示図柄7cの回転表示(第1の遊技の抽選。)を開始する。そして、第1抽選の結果が当たりとなり、所定の大当たり態様(例えば、「7・7・7」。)で表示図柄7cが停止表示されると、図柄変動大当たり発生となり、第1大入賞口31が開放する。そして、多量の球23が第1大入賞口31へと流入し、多量の景品球が払い出される。
第1大入賞口31の開閉動作が所定回数繰り返して行われ、その後に図柄変動大当りが終了する。図柄変動大当たりの表示図柄7cの停止態様は、例えば「2・2・2」、「6・6・6」「7・7・7」等のように複数の態様を有している。そのうちの一部の態様(例えば、「7・7・7」。)での図柄変動大当たり遊技が終了すると、その後に役物遊技が開始される。
<役物遊技>
役物遊技が開始されると、遊技者は通過ゲート33への球23の通過を狙い、図柄変動遊技の場合と同様に左打ちを行う。球23が通過ゲート33を通過すると、それに起因して第2抽選手段による第2抽選が行われる。その抽選結果が当たりの場合に、第2始動口16における下ベロ部材17が進退移動し、一定時間(例えば、1秒以下の短時間。)の第2始動口16の開放状態を発生させる。
その下ベロ部材17の進出状態において、球23が下ベロ部材17の受け面17aに受け止められて第2始動口16に入賞した場合には、役物大当たり遊技発生となり、第2大入賞口8aが所定時間開放する。後続して遊技領域6bを流下する球23が第2大入賞口8aに流入し、センター役物7内に配置されたV入賞口35に入賞すれば、役物大当たり遊技継続となって第1大入賞口31が開放する。そして、多量の球23が第1大入賞口31へと流入し、多量の景品球が払い出されつつ役物大当たり遊技を継続して楽しむことができる。
なお、第1始動口29、第2始動口16及び通過ゲート33がいずれも遊技盤面6aの左側に配置される遊技領域6bに位置するため、図柄変動遊技中に通過ゲート33に球23が通過してしまう場合がある。そして、第2抽選手段による抽選結果が当たりになると、第2始動口16における下ベロ部材17が進退移動することとなる。
しかしながら、下ベロ部材17の進退移動が、直線的な前後移動であってその退避移動の途中に球23が受け面17aに載ったとしても、その球23を第2始動口16へと押し込むような外力を作用させない。したがって、退避移動の途中に受け面17aに載った球23をそのまま遊技領域6bに残して流下させることができるので、いわゆる「不測の入球」を防止することができる。
また、退避時において受け面17aと上縁16aとによって確実に入球阻止することができることに加え、先端面17bが左右方向に下がり傾斜となっているので、これらによっても「不測の入球」を一層確実に防止することができる。その結果、第2始動口16への入球確率を設計通りとすることができ、図柄変動遊技中における第2始動口16への入球確率を、極めて低確率に設定することも可能となる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
[変形例1]
図5は、本発明の変形例1に係る第2始動入賞具53の側方断面模式図であって、(a)は下ベロ部材57の進出状態を示し、(b)は下ベロ部材57の退避状態を示す。この第2始動入賞具53においては、退避状態における下ベロ部材57が、第2始動口56の略中央部に位置している。そして、ソレノイド58が下ベロ部材57を斜め下前方に移動させることにより、下ベロ部材57が進出状態となるようになっている。すなわち、下ベロ部材57が上下移動と前後移動とを含んで進退移動している。
その退避状態においては、第2始動口56の上縁56aと下ベロ部材57との距離L1も第2始動口56の下縁(開口縁)56bと下ベロ部材57との距離L2も球23の直径寸法Dより小さく設定され、球23の第2始動口56への流入が阻止されている。そして、下ベロ部材57の進出状態においては、上縁56aと下ベロ部材57との距離L1が直径寸法Dよりも大きく設定され、球23の第2始動口56への流入が可能とされている。
下ベロ部材57の進退移動が、前後移動だけでなく上下移動をも含むので、例えば、その前方に配置される前板を透明材料で形成すれば、前方から目視する遊技者にとって下ベロ部材57の進退移動が把握し易くなる。したがって、斬新な進退移動によって遊技者に興趣を与えることができる上に、進退移動を目視することにより遊技者が安心感を得ることができる。
なお、図6に示すように、下ベロ部材57とソレノイド58とをガイド部材52,54を用いて連結することにより、斜め上後方〜斜め下前方の進退移動を実現してもよい。
[変形例2]
図7は、本発明の変形例2に係る第2始動入賞具63の側方断面模式図であって、(a)は下ベロ部材67の進出状態を示し、(b)は下ベロ部材67の退避状態を示す。この第2始動入賞具63においては、進退移動方向は上記の実施の形態と同様であるが、下ベロ部材67の前方部分67bと後方部分67cとが、回転可能に連結されている。そして、第2始動口66の下縁66b近傍に突部62が配置され、その突部62が前方部分67bの下面を支持するようになっている。
下ベロ部材67の退避状態においては、前方部分67bの先端部近傍が突部62によって支持され、前方部分67bの傾斜は相対的に緩くなる。しかし、下ベロ部材67の進出状態においては、前方部分67bの根元部分近傍(すなわち、後方部分67cとの連結部近傍。)が突部62によって支持され、前方部分67bの傾斜が相対的に急になる。そのため、下ベロ部材67の進出状態において受け面67aに受け止められた球23が、一層スムーズかつ速やかに第2始動口66へと流入するようになっている。
この第2始動入賞具63においても、進出状態における下ベロ部材67と上縁66aとの距離Lは球23の直径寸法Dより大きく設定され、退避状態における下ベロ部材67と上縁66aとの距離Lは球23の直径寸法Dより小さく設定されている。なお、この際に、下ベロ部材67の先端部近傍に上方に向けてL字状に立設された屈曲部67dが形成されていれば、退避時の流入防止機能を一層確実に発揮することができる。
[変形例3]
図8は、本発明の変形例3に係る第2始動入賞具73の側方断面模式図であって、(a)は下ベロ部材77の進出状態を示し、(b)は下ベロ部材77の退避状態を示す。この第2始動入賞具73においては、下ベロ部材77の下面77bに凸部72が設けられ、第2始動口76の下縁76b側の面に凹部74が形成されている。そして、下ベロ部材77の進出状態では、凸部72が凹部74に嵌合し、下ベロ部材77が下方に下がって球23が第2始動口76から流入可能とされる。そして、下ベロ部材77が後方に退避すると、凸部72が下縁76b側の面に乗り上げるように凹部74から外れ、伴って下ベロ部材77が上方に移動し、その結果、球23の第2始動口76への流入が阻止されるようになっている。
D:直径寸法
H:縦寸法
L,L1,L2:距離
W:横寸法
Z:矢印
2:パチンコ機(遊技機)
3:枠体
4:筐体枠(枠体の一部)
5:遊技盤ユニット
6:遊技盤
6a:遊技盤面(表面)
6b:遊技領域
7:センター役物
7a:図柄表示装置
7b:表示画面(映像表示面)
7c:表示図柄
8:センター飾り
8a:第2大入賞口
8b:球通路
9:機枠(枠体の一部)
10:前面ガラス(前面透明板)
11:ベースプレート
12:装飾枠(前面枠)
13,53,63,73:第2始動入賞具(遊技機用の入球具)
14:貯留皿
14a:上皿
14b:下皿
14c:球排出ボタン
15:発射ハンドル
16,56,66,76:第2始動口(流入開口)
16a,56a,66a:上縁(開口縁)
56b,66b,76b:下縁(開口縁)
17,57,67,77:下ベロ部材(受け面部材)
17a,67a:受け面
17b:先端面
17c:頂部
18,58,68:ソレノイド(駆動手段)
19:収納部
20:前板
20a:側壁
22:ヒンジ部
23:球(パチンコ球)
26:レール飾り
26a:内側面(内周面)
27:ゲージ(障害釘)
28:普通入賞口
29:第1始動口
30:アウト口
31:第1大入賞口
32:装飾部材
33:通過ゲート(通過領域)
34:風車
35:V入賞口
52,54:ガイド部材
62:突部
67b:前方部分
67c:後方部分
67d:屈曲部
72:凸部
74:凹部
77b:下面