以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
[第1の実施の形態]
本実施の形態においては、画像処理装置が内蔵された画像形成装置の構成と、この画像処理装置が行う処理とについて説明する。
[画像形成装置の構成]
始めに、本実施の形態における画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の構成を示す側面図である。
図1を参照して画像形成装置1は、給紙カセット3と、排紙トレイ5と、画像形成部30と、制御部40とを備える。制御部40は本発明の画像処理装置の一例であり、画像形成装置1に内蔵されている。
給紙カセット3は、画像形成装置1の下部に、画像形成装置1の筐体に抜き差し可能に配置されている。各給紙カセット3に装てんされた用紙(記録媒体)は、印字時に、1枚ずつ給紙カセット3から給紙され、画像形成部30に送られる。
排紙トレイ5は、画像形成装置1の筐体の上方に配置されている。排紙トレイ5には、画像形成部30により画像が形成された用紙が筐体の内部から排紙される。
画像形成部30は、画像形成装置1の筐体の内部に配置されている。画像形成部30は、おおまかに、用紙搬送部200と、トナー像形成部300と、定着装置400とを有している。画像形成部30は、いわゆるタンデム方式で、必要に応じてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のYMCKの4色の画像を合成し、用紙にカラー画像を形成する。
用紙搬送部200は、給紙ローラ210、搬送ローラ220、および排紙ローラ230などで構成されている。搬送ローラ220および排紙ローラ230は、それぞれ、たとえば対向する2つのローラで用紙を挟みながらそのローラを回動させて用紙を搬送する。
給紙ローラ210は、給紙カセット3から用紙を1枚ずつ給紙する。用紙は、給紙ローラ210により画像形成装置1の筐体の内部に給紙される。搬送ローラ220は、給紙ローラ210により給紙された用紙をトナー像形成部300に搬送する。搬送ローラ220は、定着装置400を経由した用紙を排紙ローラ230に搬送する。排紙ローラ230は、搬送ローラ220により搬送された用紙を画像形成装置1の筐体の外部に排出する。
用紙搬送部200は、これら以外にも用紙を搬送するためなどに用いられるローラを有していてもよい。
トナー像形成部300は、4色のトナーボトル(補給機構の一例)301Y、301M、301C、301K(以下、これらをまとめてトナーボトル301と呼ぶことがある。)と、中間転写ベルト305と、転写ローラ307と、4組のプリントユニット310Y、310M、310C、310K(以下、これらをまとめてプリントユニット310と呼ぶことがある。)と、レーザスキャンユニット320などで構成されている。
イエロートナーボトル301Y、マゼンタトナーボトル301M、シアントナーボトル301C、およびブラックトナーボトル301Kは、YMCK各色のトナーを保管する。トナーボトル301Y、301M、301C、301Kは、それぞれ、駆動モータ330Y、330M、330C、330K(以下、これらをまとめて駆動モータ330と呼ぶことがある。)により回転駆動され、内部に保管されているトナーを各プリントユニット310に補給する。トナーの補給動作は、後述するようにして、プリントユニット310の現像器350内のトナーが少なくなると行われる。
中間転写ベルト305は、環状であり、2つのローラ(図示せず)間に架けわたされている。中間転写ベルト305は、用紙搬送部200と連動して回転する。転写ローラ307は、中間転写ベルト305のうち一方のローラに接触している部分に対向するように配置されている。転写ローラ307と中間転写ベルト305との間隔は、圧接離間機構により調整される。用紙は、中間転写ベルト305と転写ローラ307との間で挟まれながら搬送される。
プリントユニット310は、感光体ドラム311、現像器350、クリーナ、および帯電器などを含む。ここで、感光体ドラム311は、プリントユニット310Y、310M、310C、310Kにそれぞれ対応する感光体ドラム311Y、311M、311C、311Kである。現像器350は、感光体ドラム311Y、311M、311C、311Kにそれぞれ対応する現像器350Y、350M、350C、350Kである。イエロープリントユニット310Y、マゼンタプリントユニット310M、シアンプリントユニット310C、ブラックプリントユニット310Kは、それぞれY、M、C、Kの画像を形成するために配置されている。プリントユニット310は、中間転写ベルト305の直下に並置されている。レーザスキャンユニット320は、各感光体ドラム311上にレーザ光を走査可能に配置されている。
トナー像形成部300において、レーザスキャンユニット320は、YMCKの各色別の画像データに基づいて、帯電器により一様に帯電した感光体ドラム311上に潜像を形成する。現像器350は、潜像が形成された各感光体ドラム311上に各色のトナーを付着させることにより、各感光体ドラム311上にトナー像を形成する(現像)。各感光体ドラム311は、トナー像を中間転写ベルト305に転写し、その中間転写ベルト305上に、用紙に形成する4色分のトナー像の鏡像を形成する(1次転写)。その後、高電圧が印加された転写ローラ307により、中間転写ベルト305に形成されたトナー像が用紙に転写され、用紙上にトナー像が形成される(2次転写)。
定着装置400は、加熱ローラ401と、加圧ローラ403と、ヒータ405と、ファン407とを有している。加熱ローラ401の内部にはヒータ405が内蔵されている。ヒータ405へ電圧を印加することによりヒータ405が発熱し、それにより加熱ローラ401が加熱される。ヒータ405による熱は、ファン407により画像形成装置1の外部へ排出する。定着装置400は、加熱ローラ401と加圧ローラ403とでトナー像が形成された用紙を挟みながら搬送し、その用紙に加熱および加圧を行う。これにより、定着装置400は、用紙に付着したトナーを溶融させて用紙に定着させ、用紙に画像を形成する。定着装置400を経由した用紙は、排紙ローラ230により、画像形成装置1の筐体から排紙トレイ5に排出される。なお本実施の形態では、定着装置400として2つのローラを用いる構成のものについて示したが、定着装置400はローラとベルトとを用いる構成のものであってもよい。
定着の際には、定着装置400は定着に必要な温度となるように、その温度が制御される。定着に必要な温度は、ジョブの属性(たとえば画像の色、用紙の種類(厚さ、材質)、用紙のサイズ、画像面積率など)に応じて決まる。定着装置400の温度制御は、ヒータ405に印加する電圧の出力を調節(たとえば電圧をオン/オフ)することにより行われる。すなわちこの温度制御は、センサ409(図2)により定着装置400の温度(または加熱ローラ401の表面温度など)を測定し、目標温度より低ければ、ヒータ405に電圧を印加し、高ければ印加を停止するなどである。
画像形成部30には、たとえば、メインモータ501、定着モータ502、黒現像モータ503、カラー現像モータ504、およびカラー感光体モータ505が設けられている(以下、これらのモータについて単にモータ501〜505などと称することがある。)。メインモータ501は、給紙工程から転写工程までの用紙搬送と、中間転写ベルト305および黒感光体ドラム311Kの駆動とを行う。定着モータ502は、定着装置400を駆動する。黒現像モータ503は、黒現像器350Kなどの黒プリントユニット310Kを駆動する。カラー現像モータ504は、イエロー・マゼンタ・シアンの現像器350などのプリントユニット310Y、310M、310Cを駆動する。カラー感光体モータ505は、イエロー・マゼンタ・シアンの感光体ドラム311Y、311M、311Cを駆動する。これらのモータ501〜505の他、たとえば転写ローラ307や定着装置400における用紙を挟む圧力を変更するための圧接離間モータなどを設けてもよい。
制御部40は、たとえばCPU41(Central Processing Unit)と、記憶部42とを含んでいる。CPU41は、画像形成装置の全体の動作を一括して制御するコントローラである。記憶部42は、画像形成動作の制御のための制御プログラムや、加熱停止後の定着装置400内に発生する余熱の熱量やジョブの定着に必要な熱量の計算するためのプログラムなどを記憶している。
画像形成装置1はさらに、原稿から画像を読み取るための画像読み取り部100を備えてもよい。
図2は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
図2を参照して、画像形成装置1は、画像読み取り部100と、画像情報取得部101と、モデム103と、画像順序判定部104と、信号出力部105と、プロセス部106とを備える。モデム103と、画像順序判定部104と、信号出力部105とは、制御部40の構成の一部である。
画像読み取り部100は、CCD(Charge Coupled Device)センサなどによってガラス上に置かれた原稿の画像を読み取る。画像情報取得部101は、たとえばモデム103を通じて、ユーザが使用する複数のPC102に接続されており、画像読み取り部100から送られてくる原稿画像情報や、PC102の各々から送信されたジョブに関する画像情報(プリント情報)を、モデム103を通じて取得する(受け付ける)。画像順序判定部104は、画像情報取得部101にて取得された画像情報から得た各ジョブの属性に基づいて、必要な熱量を想定し、ヒータ405の電圧印加停止後に発生する定着装置400内の余熱と比較する。そして、複数のジョブの定着の順序を複数のジョブの受付の順序から変更する(ジョブの順序の入れ替えを行う)。信号出力部105は、画像順序判定部104により決定したジョブの順序でプリントすべく、プロセス部106などの各部へ信号の出力を行う。プロセス部106は、ヒータ405、ファン407、センサ409、環境センサ111、画像プロセス系、定着プロセス系、用紙搬送系などを構成する。
制御部40は、画像形成装置1の複数のジョブの中から、定着装置400の加熱を停止した後(加熱停止後)に定着を行うことが可能な少なくとも1つのジョブであって、それ以外のジョブの定着の終了後に定着を実行するジョブを決定する。そして制御部40は、決定された少なくとも1つのジョブの定着が、それ以外のジョブの定着の終了後であって、定着手段の加熱を停止した後に実行されるよう、複数のジョブの処理順序を変更する。以下、定着装置400の加熱停止後に定着を行うことが可能な少なくとも1つのジョブであって、それ以外のジョブの定着の終了後に定着を実行するジョブを「加熱後ジョブ」と記すことがある。
[定着の順序の決定方法]
続いて、本実施の形態の画像形成装置の制御部における定着の順序の決定方法について説明する。本実施の形態においては、画像情報取得部101にて取得した複数のジョブの各々の属性に基づいて、複数のジョブの各々における定着に必要となる熱量(以下、この熱量を必要熱量と記すことがある)が予測される。また、定着装置400の加熱停止直前に定着を行ったジョブの属性に基づいて、加熱停止後の定着装置400の余熱熱量が予測される。そして、必要熱量と余熱熱量とに基づいて加熱後ジョブが決定され、定着の順序が決定される。
図3は、ジョブ1〜ジョブ5の各々の定着順序の変更の一例を説明するための図である。(a)は、ジョブ1〜ジョブ5の各々の属性および必要熱量を説明するための図である。(b)は、(a)のジョブ1〜ジョブ5の各々の必要熱量と余熱熱量との比較結果の一例を示す図である。(c)は、(a)のジョブ1〜ジョブ5の定着の順序の一例を示す図である。
図3(a)を参照して、画像読み取り部100やPC102からCPU41がジョブ1〜ジョブ5をこの順序で受け付けた場合が想定されている。ジョブ1はカラープリント10枚のジョブであり、ジョブ2はモノクロプリント5枚のジョブであり、ジョブ3はカラープリント10枚のジョブであり、ジョブ4はモノクロプリント10枚のジョブであり、ジョブ5はカラープリント5枚のジョブである。ジョブ1〜ジョブ5において、画像の色(カラー/モノクロ)およびプリントする用紙の枚数以外のジョブの属性は同一である。
制御部40のCPU41は、受け付けたジョブ1〜ジョブ5の各々の画像の色(カラーまたはモノクロ)およびプリントする用紙の枚数に基づいて、ジョブ1〜ジョブ5の各々における定着に必要となる熱量N1〜熱量N5(必要熱量)を予測する。
必要熱量は、ジョブの属性(たとえば画像の色、用紙の種類、用紙のサイズ、画像面積率など)に応じて決まる。たとえば、カラープリントの定着をするためには定着装置400をカラー温調温度以上に保つ必要がある。カラープリントのジョブの定着中常に定着装置400をカラー温調温度に保つのに必要となる熱量が、カラープリントのジョブの必要熱量となる。同様に、モノクロプリントの定着をするためには定着装置400をモノクロ温調温度以上に保つ必要があり、モノクロプリントのジョブの定着中常に定着装置400をモノクロ温調温度に保つのに必要な熱量が、モノクロプリントの必要熱量となる。
なお、必要熱量は、上述の画像の色およびプリントする用紙の枚数の他に、または上述の画像の色およびプリントする用紙の枚数に加えて、たとえば用紙の種類、用紙のサイズ、または画像面積率などに基づいて決定されてもよい。
必要熱量の予測に関して、たとえばジョブの属性と予測される必要熱量との対応関係に関するデータが記憶部42に予め記憶されていてもよい。この場合CPU41は、記憶部42にアクセスし、ジョブの属性に該当する必要熱量をデータから抽出することによって必要熱量を予測してもよい。
またCPU41は、加熱停止後の定着装置400の余熱熱量を予測する。余熱熱量とは、たとえば定着装置400に内蔵されたヒータの電圧印加停止後における、定着装置400内の残熱量であり、定着装置400の加熱停止直前に定着を行ったジョブの属性に依存する。本実施の形態では、最後に受け付けたジョブ(ジョブ5)の定着後に定着装置400の加熱が停止されるため、定着装置400の余熱熱量は、ジョブ5の画像の色や、ジョブ5においてプリントする用紙の枚数に依存する。
余熱熱量の予測に関して、たとえばジョブの属性と予測される余熱熱量との対応関係に関するデータが記憶部42に予め記憶されていてもよい。この場合CPU41は、記憶部42にアクセスし、定着装置400の加熱停止直前に定着を行ったジョブの属性に該当する余熱熱量を、データから抽出することによって余熱熱量を予測してもよい。
記憶部42が上述の対応関係に関するデータを記憶する場合、記憶部42が記憶するデータは、モノクロプリントとカラープリントとの各々の場合で予測される余熱熱量(定数)であってもよい。また記憶部42が記憶するデータは、そのジョブにおいてプリントする用紙の枚数の増加とともに、予測される余熱熱量が段階的に増加するものであってもよい。
余熱熱量は加熱停止直前のジョブの属性に基づいて予測されればよい。余熱熱量は、上述の画像の色(モノクロプリントまたはカラープリント)およびプリントする用紙の枚数の他に、または上述の画像の色およびプリントする用紙の枚数に加えて、用紙の種類、用紙のサイズ、画像面積率などに基づいて決定されてもよい。さらに、余熱熱量の予測の際に、センサ409で測定された温度や、環境センサ411(図2)により測定された画像形成装置の周囲(および/または内部)の温度の影響が考慮されてもよい。
余熱熱量は、たとえばカラー印字可能熱量Ncおよびモノクロ印字可能熱量Nkとして予測されることが好ましい。カラー印字可能熱量Ncとは、カラープリントに用いることが可能な熱量である。モノクロ印字可能熱量Nkとは、モノクロプリントに用いることが可能な熱量である。
次にCPU41は、熱量N1〜熱量N5の各々と、予測された余熱熱量とに基づいて、定着装置400の加熱停止後にトナー像の定着を行うジョブ(加熱後ジョブ)を決定する。たとえば、カラープリントのジョブであるジョブ1、ジョブ3、およびジョブ5の各々の熱量N1、熱量N3、および熱量N5をカラー印字可能熱量Ncと比較し、モノクロプリントのジョブであるジョブ2およびジョブ4の各々の熱量N2および熱量N4をモノクロ印字可能熱量Nkと比較する。その結果CPU41は、必要熱量がカラー印字可能熱量Nc以下またはモノクロ印字可能熱量Nk以下であるジョブを、加熱後ジョブとして決定する。
なおCPU41は、上述の加熱後ジョブの決定方法に代えて、必要熱量がカラー印字可能熱量Ncまたはモノクロ印字可能熱量Nkよりも小さいことに基づいて、加熱後ジョブを決定してもよい。
図3(b)では、ジョブ1の熱量N1、ジョブ3の熱量N3、およびジョブ5の熱量N5はカラー印字可能熱量Ncよりも大きくなっており、ジョブ4の熱量N4はモノクロ印字可能熱量Nkよりも大きくなっている。一方、ジョブ2の熱量N2はモノクロ印字可能熱量Nk以下となっている。従ってCPU41は、ジョブ2を加熱後ジョブとして決定する。
その結果、図3(c)に示すように、ジョブの定着の順序が、受付の際のジョブ1→ジョブ2→ジョブ3→ジョブ4→ジョブ5という順序から、ジョブ1→ジョブ3→ジョブ4→ジョブ5→ジョブ2という順序に変更される。そして、ジョブ5の定着終了後に定着装置400の加熱が停止され、加熱停止後の定着装置400内の余熱によりジョブ2の定着が行われる。言い換えれば、CPU41は、余熱によりジョブ2が印字可能と判断すると、ジョブ2の順序をジョブ5の後へと入れ替え、ジョブ5後の期間は定着装置400をヒータ無点灯とする。
[定着の順序の変更処理のフローチャート]
続いて、本実施の形態の画像形成装置の制御部が複数のジョブを受け付けた場合における、ジョブの定着の順序の変更処理について説明する。以下のフローチャートに示す処理は、制御部40のCPU41(コンピュータの一例)がプログラムを実行することにより実現される。
図4は、本発明の第1の実施の形態において、画像形成装置の制御部が行うジョブの定着の順序の変更処理を示すフローチャートである。
図4を参照して、CPU41は、画像読み取り部100やPC102からのジョブの入力をたとえば一定時間受け付け、複数のジョブに関する画像情報を取得する(S1)。CPU41は複数のジョブを受け付けると、複数のジョブの各々の属性に基づいてプリントの必要熱量を予測し(S3)、加熱停止後(ヒータ405への電圧印加停止後)の定着装置400内に発生する余熱熱量を予測する(S5)。次にCPU41は、複数のジョブの各々の必要熱量と、予測した余熱熱量とを比較する(S7)。そしてCPU41は、複数のジョブの中に余熱で印字可能なジョブがあるか否か(すなわち、必要熱量が余熱熱量以下となるジョブがあるか否か)を判別する(S9)。必要熱量が余熱熱量以下となるジョブがある場合には、余熱で印字可能なジョブがあると判別される(S9でYES)。この場合CPU41は、そのジョブを加熱後ジョブとして、加熱後ジョブの定着を定着装置400の加熱停止後に行うよう、ジョブの定着の順序をジョブの受付の順序から変更する(S11)。その後、決定された定着の順序に従ってプリント(定着)を行うよう定着装置400が制御され(S13)、処理が終了する。
一方、必要熱量が余熱熱量以下となるジョブが無い場合には、CPU41は、余熱で印字可能なジョブが無いと判別する(S9でNO)。この場合には、ジョブの定着の順序を変更せず、ジョブの受付の順序を定着の順序とする(S21)。その後、決定された定着の順序でプリントを行うよう定着装置400が制御され(S13)、処理が終了する。以上の工程により、定着の順序の変更処理が実行される。
[本実施の形態の効果]
以下、本実施の形態の効果について、比較例と対比して説明する。
図5は、比較例の画像形成装置における定着装置内の温度推移を模式的に示す図である。縦軸は温度を示しており、横軸は時間経過を示している。図5に示す比較例では、画像読み取り部100やPC102より送信されるジョブ1〜ジョブ5を順次受け付けた場合に、定着の順序が受付の順序から変更されず、ジョブ1→ジョブ2→ジョブ3→ジョブ4→ジョブ5という受付の順序で定着(出力)される場合が想定されている。また、カラーの温調温度がモノクロの温調温度よりも高い場合が想定されている。
図5を参照して、カラープリントのジョブであるジョブ1の定着の際には、定着装置400の温度はカラー温調温度に保たれる。モノクロプリントのジョブであるジョブ2の定着の際には、定着装置400の温度はモノクロ温調温度以上に保たれる。しかし、ジョブ1の定着終了時に定着装置400はモノクロ温調温度を超える温度となっているため、ジョブ2の定着の際には、定着装置400に内蔵されているヒータ405に印加する電圧の出力が弱められ(たとえばオフされ)、定着装置400の温度は緩やかに低下している。同様に、ジョブ3およびジョブ5の各々の定着の際には、定着装置400の温度はカラー温調温度に保たれ、モノクロプリントのジョブであるジョブ4の定着の際には、定着装置400の温度はモノクロ温調温度以上に保たれる。ジョブ5の定着終了後には、ヒータ405への電圧印加を停止することにより定着装置400の加熱が停止される。
定着装置400の加熱停止後には定着装置400内には余熱が残っており、この余熱は印字可能であるにもかかわらず無駄になってしまう。特に、定着装置400の加熱停止直後にはオーバーシュートが発生し、定着装置400の温度が一時的にカラー温調温度よりも高くなる。定着装置400の温度がカラー温調温度以上を保っている間に放出される余熱熱量がカラー印字可能熱量Ncに相当する。このオーバーシュートは、ヒータ405から加熱ローラ401表面までの伝熱にタイムラグがあることや、定着装置400の加熱停止とともに放熱のためのファン407も停止するので、定着装置400内に一時的に熱が蓄積することなどに起因する。なお、定着装置405の加熱停止とともにファン407を停止することにより、オーバーシュートにより発生する熱量を増加させてもよい。
オーバーシュートが収まった後、定着装置400の温度は時間とともに低下するが、それでもなお、定着装置400の温度がモノクロ温調温度よりも高い状態が続く。ジョブ5の終了から定着装置400の温度がモノクロ温調温度以上を保っている間に放出される余熱熱量がモノクロ印字可能熱量Nkに相当する。
一方、本実施の形態における画像形成装置は、複数のプリントジョブを受け付けて画像形成を行う画像形成装置において、原稿(記録媒体)上にトナー像を形成するトナー像形成部300(画像形成手段)と、記録媒体上に形成されたトナー像を定着処理する定着装置400(定着手段)と、画像形成動作を制御する制御部40(制御手段)とを備えている。制御手段は、印字待機中の各ジョブの属性に応じて、ヒータ405への電圧印加停止後の余熱で印字するジョブを決定し実行する。
図6は、本発明の第1の実施の形態の画像形成装置における定着装置内の温度推移を模式的に示す図である。縦軸は温度を示しており、横軸は時間経過を示している。
図6を参照して、本実施の形態においては、ジョブ5の定着終了後に定着装置400の加熱が停止される。そしてヒータ405が無点灯の状態で、ジョブ5に続いて定着装置400内の余熱(ヒータ残熱)を用いてジョブ2の定着(印字)が行われる。
このように、定着装置400に残る熱量により印字できるジョブを、蓄積されたジョブの中より選択し、ジョブの実行順序を入れ替えることにより定着ヒータ無点灯にてそのジョブのプリントを行うので、プリントジョブ終了時に定着器に残る熱を利用し、蓄積されているジョブを印刷することができる。複数のプリントジョブ全体の処理の中で、ジョブ終了時に定着装置400に残り、無駄となっている熱(余熱)を利用してプリントすることで、複数ジョブ印刷時の消費電力を低減することができる。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態における画像形成装置の処理は、余熱で印字可能なジョブが複数存在する場合の処理である点において、第1の実施の形態の画像形成装置の処理と異なっている。本実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成などは、第1の実施の形態におけるそれと同じであるため、ここでの説明を繰り返さない。本実施の形態の画像形成装置における定着の順序の決定方法と、定着の順序の変更処理のフローチャートとを以下に説明する。
[定着の順序の決定方法]
図7は、ジョブ1〜ジョブ5の各々の定着順序の変更の他の例を説明するための図である。(a)は、図3(a)のジョブ1〜ジョブ5の各々の必要熱量と余熱熱量との比較結果の他の例である。(b)は、ジョブ1〜ジョブ5の定着の順序の他の例である。(c)は、ジョブ1〜ジョブ5の定着の順序のさらに他の例である。
図7(a)を参照して、第1の実施の形態と同様に、画像読み取り部100やPC102からCPU41がジョブ1〜ジョブ5をこの順序で受け付けた場合が想定されている。ジョブ1の熱量N1、ジョブ3の熱量N3、およびジョブ5の熱量N5はカラー印字可能熱量Ncよりも大きくなっている。一方、ジョブ2の熱量N2およびジョブ4の熱量N4の両方がモノクロ印字可能熱量Nk以下となっている。ジョブ4の熱量N4はジョブ2の熱量N2より大きくなっている。
このような場合には、ジョブ2およびジョブ4のいずれの定着も、定着装置400の加熱停止後の余熱で行うことができる。しかし、ジョブ4の熱量N4はジョブ2の熱量N2より大きくなっているので、ジョブ2の定着よりもジョブ4の定着を定着装置400の加熱停止直後に行った方が、定着装置400の余熱をジョブの定着により有効に利用することができる。従ってCPU41は、ジョブ4を加熱後ジョブとして決定し、ジョブ4の定着の順序を変更する。
その結果図7(b)に示すように、ジョブの定着の順序が、受付の際のジョブ1→ジョブ2→ジョブ3→ジョブ4→ジョブ5という順序から、ジョブ1→ジョブ2→ジョブ3→ジョブ5→ジョブ4という順序に変更される。そして、ジョブ5の定着終了後に定着装置400の加熱が停止され、加熱停止後の定着装置400内の余熱によりジョブ4の定着を行うよう定着装置400が制御される。
また、ジョブ4の定着を定着装置400の加熱停止直後に行った場合であって、ジョブ4の定着後に定着装置400内に発生すると予測される余熱熱量よりもジョブ2の熱量N2が小さいときは、ジョブ4の定着の後にジョブ2の定着が行われてもよい。ジョブ4の定着後に定着装置400内に発生する余熱熱量は、ジョブ4の定着に必要な熱量N4を定着装置400の加熱停止直後の余熱熱量から引いた値として予測されてもよい。この場合CPU41は、ジョブ2の定着の順序をジョブ4の定着後に変更する。
すなわち図7(c)に示すように、ジョブの定着の順序がCPU41によって、受付の際のジョブ1→ジョブ2→ジョブ3→ジョブ4→ジョブ5という順序から、ジョブ1→ジョブ3→ジョブ5→ジョブ4→ジョブ2という順序に変更される。そして、ジョブ5の定着終了後に定着装置400の加熱が停止され、加熱停止後の定着装置400内の余熱によりジョブ4の定着とジョブ2の定着とが行われる。
[定着の順序の変更処理のフローチャート]
続いて、本実施の形態の画像形成装置の制御部が複数のジョブを受け付けた場合のジョブの定着の順序の変更処理について説明する。以下のフローチャートに示す処理は、制御部40のCPU41がプログラムを実行することにより実現される。
図8は、本発明の第2の実施の形態において、画像形成装置の制御部が行うジョブの定着の順序の変更処理を示すフローチャートである。
図8を参照して、始めにCPU41は、図4に示すS1〜S9の処理と同様の処理を行う。次に、受け付けた複数のジョブの中に余熱で印字可能なジョブがある場合には(S9でYES)、CPU41は余熱で印字可能なジョブが複数存在するか否かを判別する(S101)。余熱で印字可能なジョブが複数存在する場合には(S101でYES)、CPU41は、余熱で印字可能なジョブの中で必要熱量が最も大きいジョブを加熱後ジョブとして、その加熱後ジョブの定着の順序を定着装置400の加熱停止直後(加熱停止後1番目)に変更する(S103)。次にCPU41は、余熱で印字可能なジョブの中に加熱後ジョブの定着後の余熱で印字可能なジョブがあるか否かを判別する(S105)。加熱後ジョブの定着後の余熱で印字可能なジョブがある場合には(S105でYES)、CPU41は、そのジョブの定着の順序を加熱ジョブの定着後(加熱停止後2番目)に変更する(S107)。その後、決定された定着の順序でプリントを行うよう定着装置400は制御され(S13)、処理が終了する。
S9において、受け付けた複数のジョブの中に余熱で印字可能なジョブが無い場合には(S9でNO)、CPU41はジョブの定着の順序を入れ替えず、ジョブの受付の順序を定着の順序とする(S21)。その後、決定された定着の順序でプリントを行うよう定着装置400が制御され(S13)、処理が終了する。
S101において、余熱で印字可能なジョブが1つのみである場合には(S101でNO)、CPU41は余熱で印字可能なジョブを加熱後ジョブとして、加熱後ジョブの定着を定着装置400の加熱停止後に行うよう、ジョブの定着の順序をジョブの受付の順序から変更する(S11)。その後、決定された定着の順序でプリントを行うよう定着装置400が制御され(S13)、処理が終了する。
S105において、加熱後ジョブの定着後の余熱で印字可能なジョブが無い場合には(S105でNO)、加熱後ジョブのみが変更された定着の順序でプリントを行うよう定着装置400が制御され(S13)、処理が終了する。以上の工程により、定着の順序の変更処理が実行される。
なお、加熱停止後2番目に定着を実行するジョブの定着後に定着装置400に発生する余熱で印字可能なジョブがさらにある場合には、そのようなジョブの定着が、加熱停止後2番目に定着を実行するジョブの後に続けて実行されてもよい。
[本実施の形態の効果]
本実施の形態の画像処理装置は、加熱後ジョブの定着後に定着手段に発生すると予測される余熱熱量(残熱量)よりも必要熱量が小さいジョブ(残熱量でプリント可能なジョブ)が複数ある場合、より必要熱量の多いジョブを残熱量でプリントするように加熱後ジョブを決定し、ジョブの入れ替えを行う。また、加熱後ジョブの定着後に定着手段に発生すると予測される余熱熱量よりも必要熱量が小さいジョブの定着を、加熱後ジョブの定着の後に行うよう、定着の順序が変更される。これにより、定着装置400内に発生する余熱のより多くを、定着の熱として利用することができ、消費電力を一層低減することができる。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態における画像形成装置の処理は、カラープリントのジョブの定着を定着装置の加熱停止直前に行う点において、第1の実施の形態における画像形成装置の処理と異なっている。本実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成などは、第1の実施の形態におけるそれと同じであるため、ここでの説明を繰り返さない。本実施の形態の画像形成装置における定着の順序の決定方法と、定着装置のヒータの制御処理のフローチャートとを以下に説明する。
[定着の順序の決定方法]
図9は、ジョブ1〜ジョブ5の各々の属性を説明するための図である。
図9を参照して、画像読み取り部100やPC102からCPU41がジョブ1〜ジョブ5をこの順序で受け付けた場合が想定されている。ジョブ1はカラープリント10枚のジョブであり、ジョブ2はモノクロプリント5枚のジョブであり、ジョブ3はモノクロプリント10枚のジョブであり、ジョブ4はモノクロプリント10枚のジョブであり、ジョブ5はモノクロプリント5枚のジョブである。ジョブ1〜ジョブ5において、画像の色(カラー/モノクロ)およびプリントする用紙の枚数以外のジョブ1〜ジョブ5の各々の属性は同一である。
CPU41は、受け付けたジョブ1〜ジョブ5の中のカラープリントのジョブの定着を、定着装置400の加熱停止直前に行う。図9ではジョブ1のみがカラープリントのジョブであるため、ジョブ1の定着を定着装置400の加熱停止直前に行うよう、CPU41はジョブの定着の順序を入れ替える。なお、カラープリントのジョブが複数存在する場合には、最も必要熱量(または発生する余熱熱量)の高いジョブの定着が定着装置400の加熱停止直前に行われてもよいし、任意のカラープリントのジョブの定着が定着装置400の加熱停止直前に行われてもよい。
その後、ジョブ1の属性に基づいて定着装置400内に発生する余熱熱量が予測されてもよい。
[定着の順序の変更処理のフローチャート]
続いて、本実施の形態の画像形成装置の制御部が複数のジョブを受け付けた場合のジョブの定着の順序の変更処理について説明する。以下のフローチャートに示す処理は、制御部40のCPU41がプログラムを実行することにより実現される。
図10は、本発明の第3の実施の形態において、画像形成装置の制御部が行うジョブの定着の順序の変更処理を示すフローチャートである。
図10を参照して、CPU41は、画像読み取り部100やPC102からのジョブの入力をたとえば一定時間受け付け、複数のジョブに関する画像情報を取得する(S1)。CPU41が複数のジョブを取得すると、受け付けた複数のジョブの中にカラープリントのジョブが含まれているか否かを判別する(S201)。カラープリントのジョブが含まれている場合には(S201でYES)、CPU41は、そのカラープリントのジョブの定着を定着装置400の加熱停止直前に行うよう、定着の順序を変更する(S203)。その後、CPU41は、図4に示すS3以降の処理と同様の処理を行う。一方、カラープリントのジョブが無い場合には(S201でNO)、CPU41は、S203を経ずに図4に示すS3以降の処理と同様の処理を行う。以上の工程により、定着の順序の変更処理が実行される。
[本実施の形態の効果]
通常、カラー温調温度はモノクロ温調温度よりも高い。これは、モノクロプリントの場合にはブラックのトナーのみを定着させるのに対して、カラープリントの場合にはブラック、シアン、マゼンダ、イエローの4色のトナーを定着させる必要があるためである。このため、カラープリントジョブの直後の定着装置400内の余熱はモノクロプリントジョブの直後の定着装置400内の余熱よりも大きい。したがって、カラープリントジョブの定着を定着装置400の加熱停止直前に行うことで、加熱停止後の定着装置400内に一層大きな余熱が発生し、この余熱により一層大きな必要熱量のジョブの定着を行うことができる。その結果、消費電力を一層低減することができる。
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態における画像形成装置の処理は、画像形成装置が未印刷の複数のジョブを受け付けている状態で、新たなジョブを受け付けた場合の処理である。
図11は、未印刷の複数のジョブの定着の順序を説明するための図である。
図11を参照して、未印刷の複数のジョブが、定着の順序で図中上から下へ並んでいる。ジョブの定着の順序のうち最後から2つ前のジョブの順序をジョブ順序J2と表し、最後から1つ前のジョブの順序をジョブ順序J1と表し、最後のジョブの順序をジョブ順序J0と表す。
通常、カラープリントのジョブ直後の定着装置400の余熱熱量は、モノクロプリントのジョブ直後の定着装置400の余熱熱量よりも大きく、かつモノクロプリントのジョブの必要熱量は、カラープリントのジョブの必要熱量よりも小さい。受け付けた複数のジョブの中にカラープリントのジョブとモノクロプリントのジョブとが含まれている場合であって、モノクロプリントのジョブの属性が基準値以下である場合には、カラープリントのジョブをジョブ順序J1とし、ジョブの属性が基準値以下であるモノクロプリントをジョブ順序J0とするように新たなジョブの定着の順序を決め、ジョブ順序J1のジョブの定着直後に定着装置400の加熱を停止する。新たなジョブの定着の順序をこのように決めることにより、ジョブ順序J1であるカラープリントのジョブの定着によって生じた余熱を、ジョブ順序J0であるモノクロプリントのジョブの定着に利用することができる。
以下、画像形成装置が未印刷の複数のジョブを受け付けている状態で新たなジョブを受け付けた場合における、定着の順序の変更処理および定着装置のヒータの制御処理について説明する。
[定着の順序の変更処理のフローチャート]
図12は、本発明の第4の実施の形態において、画像形成装置の制御部が行うジョブの定着の順序の変更処理を示すフローチャートである。以下のフローチャートに示す処理は、制御部40のCPU41がプログラムを実行することにより実現される。
図12を参照して、CPU41は、新たに受け付けたジョブがモノクロプリントのジョブか否かを判別する(S301)。新たに受け付けたジョブがモノクロプリントのジョブである場合には(S301でYES)、CPU41は、新たに受け付けたジョブの必要熱量が基準値A以下であるか否かを判別する(S303)。
基準値Aは、たとえばカラープリントのジョブの定着の直後に定着装置400内に発生すると予測される余熱熱量であってもよい。また上述の判別方法の代わりに、新たに受け付けたジョブの属性(たとえばデータ量など)が、ある基準値(基準量)A以下であるか否かが判別されてもよい。
新たに受け付けたジョブの必要熱量が基準値A以下である場合には、新たに受け付けたジョブは、カラープリントのジョブの定着の余熱で定着可能であると判断される(S303でYES)。この場合CPU41は、最後に格納されているジョブ(ジョブ順序J0のジョブ)がモノクロプリントのジョブか否かを判別する(S305)。ジョブ順序J0のジョブがモノクロプリントのジョブである場合には(S305でYES)、新たに受け付けたジョブを加熱後ジョブとすべきか否かを判断するために、新たに受け付けたジョブの必要熱量がジョブ順序J0のジョブの必要熱量以上であるか否かを判別する(S307)。新たに受け付けたジョブの必要熱量がジョブ順序J0のジョブの必要熱量以上である場合には(S307でYES)、ジョブ順序J0とされているジョブの代わりに新たに受け付けたジョブが加熱後ジョブとされる。この場合CPU41は、ジョブ順序J0とされているジョブを2つ前に格納し(ジョブ順序J2へ移動し)(S309)、新たに受け付けたジョブを最後に格納し(ジョブ順序J0とする)(S311)、処理が終了する。
ステップS303において、新たに受け付けたジョブの必要熱量が基準値Aより大きい場合には、新たに受け付けたジョブは、カラープリントのジョブの定着の余熱で定着できないと判断される(S303でNO)。この場合CPU41は、新たに受け付けたジョブを2つ前に格納し(ジョブ順序J2とし)(S313)、処理が終了する。
ステップS305において、ジョブ順序J0のジョブがカラープリントのジョブである場合には(S305でNO)、新たに受け付けたジョブは加熱後ジョブとされる。この場合CPU41は、ジョブ順序J0とされているジョブを1つ前に格納し(ジョブ順序J1へ移動し)(S315)、新たに受け付けたジョブを最後に格納し(ジョブ順序J0とし)(S311)、処理が終了する。
ステップS307において、新たに受け付けたジョブの必要熱量がジョブ順序J0のジョブの必要熱量より小さい場合には(S307でNO)、新たに受け付けたジョブは加熱後ジョブとならない。この場合CPU41は、新たに受け付けたジョブを1つ前に格納し(ジョブ順序J1とし)(S321)、処理が終了する。
ステップS301において、新たに受け付けたジョブがカラープリントのジョブである場合には(S301でNO)、CPU41は、ジョブ順序J0のジョブがモノクロプリントのジョブか否かを判別する(S317)。ジョブ順序J0のジョブがモノクロプリントのジョブである場合には(S317でYES)、CPU41は、ジョブ順序J0のジョブの必要熱量が基準値A以下であるか否かを判別する(S319)。
基準値Aは、たとえばカラープリントのジョブの定着の直後に定着装置400内に発生すると予測される余熱熱量であってもよい。また上述の判別方法の代わりに、ジョブ順序J0のジョブの属性(たとえばデータ量など)が基準値(基準量)A以下であるか否かが判別されてもよい。
ジョブ順序J0のジョブの必要熱量が基準値A以下である場合には、ジョブ順序J0のジョブは、新たに受け付けたカラープリントのジョブによる定着の余熱で定着可能であると判断される(S319でYES)。この場合CPU41は、新たに受け付けたジョブを1つ前に格納し(ジョブ順序J1とし)(S321)、処理が終了する。
ステップS317において、ジョブ順序J0のジョブがカラープリントのジョブである場合(S317でNO)、またはステップS319において、ジョブ順序J0のジョブの必要熱量が基準値Aより大きい場合には(S319でNO)、CPU41は、新たに受け付けたジョブを最後に格納し(ジョブ順序J0とし)(S323)、処理が終了する。
[定着装置のヒータの制御処理のフローチャート]
続いて、上述の方法により定着の順序が決定された複数のジョブについて、個々のジョブを定着する際の定着装置のヒータ405の制御処理について説明する。
図13は、本発明の第4の実施の形態において、画像形成装置の制御部が行うヒータの制御処理を示すフローチャートである。
図13を参照して、CPU41は、新たに定着するジョブ(定着順序で最も先の(時間的に早く定着する)ジョブ)がある場合には(S401でYES)、新たに定着するジョブがモノクロか否かを判別する(S403)。新たに定着するジョブが無い場合には(S401でNO)、CPU41は定着装置400のヒータ405をオフにする(S411)。
S403において、新たに定着するジョブがモノクロプリントのジョブである場合には(S403でYES)、CPU41は、新たに定着するジョブの必要熱量が基準値A以下であるか否かを判別する(S405)。
基準値Aは、たとえばカラープリントのジョブの定着の直後に定着装置400内に発生すると予測される余熱熱量であってもよい。またS405において、上述の判別方法の代わりに、新たに定着するジョブの属性(たとえばデータ量など)が基準値(基準量)A以下であるか否かが判別されてもよい。
新たに定着するジョブの必要熱量が基準値A以下である場合には、新たに定着するジョブがカラープリントのジョブによる定着の余熱で定着可能であると判別される(S405でYES)。この場合CPU41は、1つ前(直前)に定着したジョブがカラープリントのジョブであったか否かを判別する(S407)。1つ前に定着したジョブがカラープリントのジョブであった場合には(S407でYES)、1つ前のジョブの定着により定着装置400内に発生した余熱を用いて、新たに定着するジョブの定着が可能である。この場合には、ヒータ405をオフした状態で、新たに定着するジョブの定着が行われ(S409)、処理がリターンされる。
S403において、新たに定着するジョブがカラープリントのジョブである場合には(S403でNO)、定着装置400をカラー用温調温度に設定した状態で、新たに定着するジョブの定着が行われ(S415)、処理がリターンされる。
S405において、新たなジョブの必要熱量が基準値Aよりも大きい場合(S405でNO)、およびS407において、1つ前に定着したジョブがモノクロプリントのジョブであった場合には(S407でNO)、定着装置400内に発生した余熱を用いて新たに定着するジョブの定着を行うことはできないと判断される。これらの場合には、定着装置400をモノクロ用温調温度に設定した状態で、新たに定着するジョブの定着が行われ(S413)、処理がリターンされる。図13の工程は、所定のタイミングで繰り返し実行される。以上の工程により、定着装置のヒータ405の制御処理が実行される。
なお、本実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成などは、第1の実施の形態におけるそれと同じであるため、ここでの説明を繰り返さない。
[本実施の形態の効果]
本実施の形態においては、CPU41がカラープリントのジョブとモノクロプリントのジョブとを受け付けた場合であって、モノクロプリントのジョブの属性が基準値A以下であるときは、CPU41は、カラープリントのジョブの定着直後に定着装置400の加熱を停止し、定着装置400の加熱停止後にモノクロプリントのジョブの定着を行うよう、定着装置400を制御する。これにより、画像形成装置が未印刷の複数のジョブを受け付けている状態で、新たなジョブを受け付けた場合にも、定着の順序を変更することにより、カラープリントのジョブの定着後の余熱をモノクロプリントのジョブの定着に利用することができる。
[第5の実施の形態]
第1の実施の形態においては、画像処理装置が画像形成装置に内蔵されている構成について説明した。しかし本発明の画像処理装置は、画像形成装置と別体で存在していてもよく、画像処理装置に接続されている複数の画像形成装置の各々の定着の順序を変更してもよい。本実施の形態における画像処理装置を含む画像形成システムの構成、および画像処理装置が行う処理について以下に説明する。
図14は、本発明の第5の実施の形態における画像形成装置システムの全体構成を示す図である。図14を参照して、本実施の形態における画像形成装置システム1000は、ネットワーク2にそれぞれ接続されたPC9a、9b、9cと、画像形成装置10a、10b、10cと、画像処理装置としてのプリントサーバ7とを含んでいる。PC9a、9b、9cは、それぞれがほぼ同一のハードウェア構成を有する。その1台を代表して、「PC9」と記載する。画像形成装置10a、10b、10cは、それぞれがほぼ同一の画像形成装置としての構成を有する。その1台を代表して、「画像形成装置10」と記載する。
ネットワーク2は、有線または無線のLAN(Local Area Network)である。ネットワーク2は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)のプロトコルを用いて接続される。ネットワーク2に接続された機器は、お互いに各種データのやり取りが可能となっている。なお、ネットワーク2に代えて、インターネット・専用線などの広域ネットワークを用いて各機器を接続してもよい。
PC9は、CPU、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、およびハードディスク装置(HDD)などからなるPC本体と、モニタと、キーボードおよびマウスなどの入力装置とを備えたパーソナルコンピュータである。PC9は、その記憶装置内に、文書、図面等の作成のためのアプリケーションソフトを備えている。PC9は、作成された文書等のプリントを画像形成装置10に指示する。
プリントサーバ7は、たとえば、図1に示す第1の実施の形態における制御部40と同様の構成を有している。プリントサーバ7は、CPU、RAM、ROM、EEPROM、およびハードディスク装置(HDD)などから成るPC本体と、モニタと、キーボードおよびマウスなどの入力装置とを備えたパーソナルコンピュータであってもよい。
プリントサーバ7は、たとえば、PC9a〜9cの各々から画像形成に関する複数のジョブ(ジョブ1〜ジョブ5)を受け付ける。そしてプリントサーバ7はジョブ1〜ジョブ5の各々を画像形成装置10a〜10cの各々に振り分ける。プリントサーバ7はジョブの振り分けの際、ジョブ1〜ジョブ5の各々の属性に基づいて、定着装置の余熱で特定のジョブ(たとえばジョブ1)の定着を行うことができる画像形成装置(たとえば画像形成装置10b)がある場合に、画像形成装置10bの定着装置の加熱停止後にジョブ1の定着を行うよう、ジョブ1〜ジョブ5の順序を変更する。そしてプリントサーバ7は、変更された定着の順序に従って振り分けたジョブの定着を行うよう、画像形成装置10a〜10cの各々における定着装置を制御する。
なお、画像形成装置10の具体的な構成、および上述以外の画像処理装置の制御方法は、第1の実施の形態とほぼ同様であるので、その説明は繰り返さない。
本実施の形態の画像処理装置によれば、画像形成装置10および画像形成装置システム1000の消費電力を低減することができる。
[その他]
上述の実施の形態においては、必要熱量と余熱熱量とに基づいて加熱後ジョブが決定される場合について示したが、本発明はこのような場合に限られるものではなく、複数のジョブの中から、定着手段の加熱を停止した後に定着を行うことが可能な少なくとも1つのジョブであって、それ以外のジョブの定着の終了後に定着を実行するジョブが決定されればよい。たとえば、定着装置400の加熱停止直前にカラープリントのジョブの定着が行われる場合には、定着手段の加熱を停止した後に定着を行うことが可能なジョブであって、そのカラープリントのジョブの定着の終了後に定着を実行するジョブとして、所定枚数以下のモノクロプリントのジョブが決定されてもよい。また、定着装置400の加熱停止直前に定着を行うカラープリントのジョブにおけるプリント枚数に基づいて、定着装置400の加熱停止後に定着を行うことが可能なジョブが決定されてもよい。
上述の実施の形態においては、カラー温調温度がモノクロ温調温度よりも高い場合を示した。しかし、カラー温調温度とモノクロ温調温度との関係は任意であり、本発明はこのような場合に限定されるものではない。
上述の実施の形態の各々は、適宜組み合わせることができる。たとえば第4の実施の形態においても、第2の実施の形態のように、加熱停止後に複数のジョブの定着を行ってもよい。
上述の実施の形態における処理は、ソフトウエアにより行なっても、ハードウェア回路を用いて行なってもよい。
上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピュータにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。