第1実施形態
図1は、基板処理システムの電気的構成を模式的に示すブロック図である。図2は、第1実施形態にかかる基板処理システムの機械的構成を模式的に示す平面図である。図2および後述する図面では、鉛直方向をZ軸とするXY直交座標軸が適宜示される。また、以下では、各座標軸の矢印方向を正方向と適宜称するとともに、各座標軸の矢印と逆方向を負方向と適宜称する。
この基板処理システム1000では、X軸方向(図2)に直列に並ぶ印刷機100、3台の実装機200および炉300から構成されるラインLb、Lf(基板生産ライン)が、2本並列に並んでいる。また、基板処理システム1000は、印刷機100、実装機200および炉300等の基板処理装置を統括的に制御するホストコンピューター400(図1)を備える。
印刷機100は、機内に搬入されてきた基板に対して半田を印刷し、印刷済みの基板を機外へ搬出するものであり、例えば特開2010−56141号公報等に記載の印刷機と同様に構成することができる。実装機200は、機内に搬入されてきた半田印刷済みの基板に対して部品を実装し、部品実装済みの基板を機外へ搬出するものであり、例えば特開2010−272549号公報に記載の実装機と同様に構成することができる。また、炉300は、炉内に搬入されてきた部品実装済みの基板に対してリフローを行って、実装部品と基板とを半田接合するものであり、例えば特開2008−300526号公報に記載のリフロー炉と同様に構成することができる。
図2に示すように、Y軸方向に並ぶ2つのラインLb、Lfの基板搬送方向Db、Dfは互いに平行でかつ逆向きとなっている。詳しくは、ラインLbの基板搬送方向DbはX軸正方向を向いており、ラインLfの基板搬送方向DfはX軸負方向を向いている。そして、各ラインLb、Lfでは、それぞれの基板搬送方向Db、Dfに沿って、印刷機100、3台の実装機200および炉300がこの順番で間隔を空けて並んでいる。つまり、ラインLbでは、X軸正方向(基板搬送方向Db)に向かって印刷機100、3台の実装機200および炉300がこの順番で間隔を空けて並ぶ一方、ラインLfでは、X軸負方向(基板搬送方向Df)に向かって印刷機100、3台の実装機200および炉300がこの順番で間隔を空けて並ぶ。
この際、ラインLbを構成する5台の基板処理装置100、200、300と、ラインLfを構成する5台の基板処理装置100、200、300とは、Y軸方向に一対一で隣り合うように配置されている。見方を変えれば、異なるラインLb、Lfに属しつつY軸方向に隣り合う2台の基板処理装置100、200、300からなる装置対1が、X軸方向に間隔を空けて5つ並んでいる。そして、X軸方向に並ぶ装置対1の間には、Y軸方向に延びる2本のレールをX軸方向に並べたレール対2が、ラインLb、Lfを跨ぐように配置されている。
各レール対2には、当該レール対2に沿ってY軸方向に移動自在な可動テーブル3が2つずつ設けられている。また、この可動テーブル3の上面には、X軸方向に基板を搬送可能な2本のコンベアをY軸方向に並べたコンベア対4が設けられている。したがって、コンベア対4は、可動テーブル3と一体的にY軸方向に移動自在となっている。
基本的には、このコンベア対4は、図2に示すように、X軸方向に隣り合う基板処理装置100、200、300の間の受渡位置Pに位置して、基板搬送方向Db、Dfに搬送されてきた基板を受け取る。ただし、各コンベア対4は、一方のラインLb、Lfの受渡位置Pに搬送されてきた基板を他方のラインLf、Lbの受渡位置Pへ受け渡す受渡動作と、一方のラインLb、Lfの受渡位置Pに搬送されてきた基板を他方のラインLf、Lbの受渡位置Pへ受け渡さずに、一方のラインLb、Lfの基板搬送方向Db、Dfに向けて送り出す送出動作とを、選択的に実行することが可能となっている。したがって、基板処理システム1000は、ラインLb、Lfのそれぞれで独立して基板生産を行う通常生産動作のほか、ラインLb、Lfの間で基板を受け渡しつつ基板生産を行うこともできる。
通常生産動作の際は、各コンベア対4は送出動作を実行して、基板搬送方向Db、Dfに沿って受渡位置Pに搬送されてきた基板を、そのまま受渡位置Pから基板搬送方向Db、Dfへと送り出す。つまり、ラインLb、Lfは、それぞれの基板搬送方向Db、Dfに沿った搬送経路R1、R2に基板を搬送しつつ、基板処理装置100、200、300に基板への処理(印刷、部品実装、リフロー)を実行させる。こうして通常生産動作では、ラインLb、Lfは互いに独立して基板の生産を行う。一方、基板処理システム1000は、一部のコンベア対4に上述の受渡動作を実行させることで、通常生産動作の搬送経路R1、R2とは異なる搬送経路で基板を搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板に実行することができる。この搬送経路の変更動作について、次に詳述する。
図3は、第1実施形態における搬送経路の変更動作の第1例を模式的に示す平面図である。なお、図3では、X軸方向に隣接する基板処理装置100、200、300の間の受渡位置Pに対して符号P1〜P8が付されている。詳しくは、ラインLbの4つの受渡位置Pに対しては、基板搬送方向Dbに順番に符号P1〜P4が付されており、ラインLfの4つの各受渡位置Pに対しては、基板搬送方向Dfに順番に符号P5〜P8が付されている。また、図3以外の以下に示す図面についても、同様に符P1〜P8を適宜付することとする。
図3に示す例では、基板処理システム1000は、受渡位置P2で基板Sを受け取ったコンベア対4に受渡動作を実行させて、ラインLbからラインLfへ基板Sを受け渡す。具体的には、ラインLbにおいて、印刷機100による半田印刷を受けた基板Sは、基板搬送方向Dbに搬送されつつ、実装機200による部品実装を受けて、受渡位置P2に到る(図3の1段目の状態)。この状態から、受渡位置P7に位置していたコンベア対4が受渡位置P7からY軸負方向に退避するのに伴って、受渡位置P2で基板Sを受け取ったコンベア対4がY軸負方向に受渡位置P7にまで移動する(図3の2段目の状態)。
こうして、ラインLbの受渡位置P2からラインLfの受渡位置P7へと受け渡された基板は、ラインLfにおいて、基板搬送方向Dfへ搬送されつつ、実装機200による部品実装を受けた後に、炉300によるリフローを受ける。こうして、基板処理システム1000は、図3に示す動作を実行して、ラインLbからラインLfへ基板Sを受け渡すことで、通常生産動作での搬送経路R1とは異なる搬送経路R3で基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を実行できる。
このとき、図2と図3との対比から判るように、受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R1に存在する基板処理装置200、300の台数(3台)と、受渡位置P7より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R3に存在する基板処理装置200、300の台数(2台)とは異なっている。したがって、搬送経路R1に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(5台)と、搬送経路R3に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(4台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R1、R3の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する基板処理装置100、200、300の台数を変更することが可能となっている。
特に、この実施形態では、受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R1に存在する実装機200の台数(2台)と、受渡位置P7より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R3に存在する実装機200の台数(1台)とは異なっている。したがって、搬送経路R1に沿って存在する実装機200の台数(3台)と、搬送経路R3に沿って存在する実装機200の台数(2台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R1、R3の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する実装機200の台数を変更することが可能となっている。
また、基板処理システム1000は、図3の例とは逆にラインLfからラインLbへ基板を受け渡すことで、通常生産動作の搬送経路R2とは異なる搬送経路R4で基板Sを搬送することもできる(図4)。図4は、第1実施形態における搬送経路の変更動作の第2例を模式的に示す平面図である。図4に示す例では、基板処理システム1000は、受渡位置P7で基板Sを受け取ったコンベア対4に受渡動作を実行させて、ラインLfからラインLbへ基板Sを受け渡す。具体的には、ラインLfにおいて、印刷機100による半田印刷を受けた基板Sは、基板搬送方向Dfに搬送されつつ、2台の実装機200から順次部品実装を受けて、受渡位置P7に到る(図4の1段目の状態)。この状態から、受渡位置P2に位置していたコンベア対4が受渡位置P2からY軸正方向に退避するのに伴って、受渡位置P7で基板Sを受け取ったコンベア対4がY軸正方向に受渡位置P2にまで移動する(図4の2段目の状態)。
こうして、ラインLfの受渡位置P7からラインLbの受渡位置P2へと受け渡された基板Sは、ラインLbにおいて、基板搬送方向Dbへ搬送されつつ、2台の実装機200から順次部品実装を受けた後に、炉300によるリフローを受ける。こうして、基板処理システム1000は、図4に示す動作を実行して、ラインLfからラインLbへ基板Sを受け渡すことで、通常生産動作での搬送経路R2とは異なる搬送経路R4で基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を実行できる。
このとき、図2と図4との対比から判るように、受渡位置P7より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R2に存在する基板処理装置200、300の台数(2台)と、受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R4に存在する基板処理装置200、300の台数(3台)とは異なっている。したがって、搬送経路R2に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(5台)と、搬送経路R4に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(6台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R2、R4の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する基板処理装置100、200、300の台数を変更することが可能となっている。
特に、この実施形態では、受渡位置P7より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R2に存在する実装機200の台数(1台)と、受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R4に存在する実装機200の台数(2台)とは異なっている。したがって、搬送経路R2に沿って存在する実装機200の台数(3台)と、搬送経路R4に沿って存在する実装機200の台数(4台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R2、R4の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する実装機200の台数を変更することが可能となっている。
このように、第1実施形態の基板処理システム1000は、搬送経路R3や搬送経路R4に沿って基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板Sに施して、基板生産を実行できる。さらに、この際、搬送経路R3での基板生産と搬送経路R4での基板生産を、並行して実行することもできる。つまり、搬送経路R3に基板Sを搬送しつつ、印刷機100、2台の実装機200および炉300に順次処理を実行させる基板生産動作と、搬送経路R4に基板Sを搬送しつつ、印刷機100、4台の実装機200および炉300に順次処理を実行させる基板生産動作とを、並行して実行できる。このように、異なる2つの搬送経路R3、R4のそれぞれで基板生産を並行して行うことで、基板生産の効率化を図ることができる。
以上に説明したように、この実施形態では、複数の基板処理装置100、200、300を基板搬送方向Db、Dfに沿って並べたラインLb、Lfが並ぶ。そして、これらラインLb、Lfのそれぞれでは、各基板処理装置100、200、300が基板Sに対して処理を実行する。つまり、各ラインLb、Lfは、基板搬送方向Db、Dfに基板Sを搬送しつつ、この基板Sへの処理を各基板処理装置100、200、300に順次実行させることができる。
また、この実施形態では、異なる2本のラインLb、Lfのうち、一方のラインLb、Lfから他方のラインLf、Lbへ基板Sの搬送経路を適宜切り換えられるようになっている。具体的には、一方のラインLb、Lfの受渡位置P2、P7に搬送されてきた基板Sを他方のラインLf、Lbの受渡位置P7、P2へ受け渡す受渡動作と、一方のラインLb、Lfの受渡位置P2、P7に搬送されてきた基板Sを他方のラインLf、Lbの受渡位置P7、P2へ受け渡さずに、一方のラインLb、Lfの基板搬送方向Db、Dfに向けて送り出す送出動作とを、選択的に実行することが可能となっている。したがって、受渡動作を実行した場合は、基板Sの搬送経路R3、R4は、受渡位置P2、P7を介して一方のラインLf、Lbから他方のラインLb、Lfへと移動するものとなり、送出動作を実行した場合は、基板Sの搬送経路R1、R2は、他方のラインLf、Lbへ移ることなく一方のラインLb、Lfを進むものとなる。このように、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで、基板Sの搬送経路が、搬送経路R1、R2から搬送経路R3、R4へと切換可能となっている。
しかも、この実施形態では、一方のラインLb、Lfにおける受渡位置P2、P7から基板搬送方向Db、Dfの最下流の基板処理装置300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R1、R2の受渡位置P2、P7より下流側の経路)にある基板処理装置200、300の台数と、他方のラインLf、Lbにおける受渡位置P7、P2から基板搬送方向Df、Dbの最下流の基板処理装置300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R3、R4の受渡位置P7、P2より下流側の経路)にある基板処理装置200、300の台数とが、異なっている。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路それぞれで、当該搬送経路にある基板処理装置200、300の台数が異なっている。こうして、基板処理装置200、300の台数の異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路が切換可能となり、基板処理システム1000の汎用性の向上が図られている。
特に、この実施形態では、一方のラインLb、Lfにおける受渡位置P2、P7から炉300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R1、R2の受渡位置P2、P7から炉300までの経路)にある実装機200の台数と、他方のラインLf、Lbにおける受渡位置P7、P2から炉300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R3、R4の受渡位置P7、P2から炉300までの経路)にある実装機200の台数とが、異なっている。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路それぞれで、当該搬送経路にある実装機200の台数が異なっている。こうして、実装機200の台数の異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路が切換可能となり、基板処理システム1000の汎用性の向上が図られている。
ちなみに、上記実施形態では、基板処理システム1000を構成する各実装機200の詳細については特に説明しなかったが、実装機200には、求められる性能に応じて異なる内容の処理を実行する種々のものが存在する。具体的には、小型の部品を高速で実装することに特化した高速実装機や、高速実装機より低速ではあるものの小型から大型の部品までを実装できる汎用実装機や、高速実装機および汎用実装機により実装できない種類の部品を実装する異型実装機等の異なる内容の処理を行う種々の実装機がある。
そこで、基板処理システム1000の汎用性を向上させるために、搬送経路を変更することで、実装機200の種類を変更して、基板Sに対して異なる内容の処理を実行可能に構成することもできる。具体的には例えば、ラインLbにおいて基板搬送方向Dbの下流側で受渡位置P2に隣接する実装機200を汎用実装機とし、ラインLfにおいて基板搬送方向Dfの下流側で受渡位置P7に隣接する実装機200を高速実装機としても良い。
このように構成した場合、ラインLbにおいて受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で基板Sが受ける処理の内容(汎用実装機による実装処理)と、ラインLfにおいて受渡位置P7より基板搬送方向Dfの下流側で基板Sが受ける処理の内容(高速実装機による実装処理)とが、互いに異なる。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路R1、R3それぞれで、基板Sが受ける処理の内容が異なっている。こうして、基板Sに対する処理の内容が異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路を切換可能として、基板処理システム1000の汎用性の向上を図ることができる。
あるいは、ラインLbにおいて基板搬送方向Dbの下流側で受渡位置P2に隣接する汎用実装機200に代えて、ボンドを塗布するディスペンサーや検査機を配置しても良い。このように構成した場合、ラインLbにおいて受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で基板Sが受ける処理の内容(ボンドの塗布あるいは検査)と、ラインLfにおいて受渡位置P7より基板搬送方向Dfの下流側で基板Sが受ける処理の内容(高速実装機による実装処理)とが、互いに異なる。これによっても、基板Sに対する処理の内容が異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路を切換可能として、基板処理システム1000の汎用性の向上を図ることができる。
第2実施形態
図5は、第2実施形態における搬送経路の変更動作の例を模式的に示す平面図である。なお、第2実施形態の基板処理システム1000は、通常動作時は第1実施形態と同様に図2に示す動作を実行するものとする。
図5に示す例では、基板処理システム1000は、受渡位置P4で基板Sを受け取ったコンベア対4に受渡動作を実行させて、ラインLbからラインLfへ基板Sを受け渡す。具体的には、ラインLbにおいて、印刷機100による半田印刷を受けた基板Sは、基板搬送方向Dbに搬送されつつ、3台の実装機200による部品実装を受けて、受渡位置P4に到る(図5の1段目の状態)。この状態から、受渡位置P5に位置していたコンベア対4が受渡位置P5からY軸負方向に退避するのに伴って、受渡位置P4で基板Sを受け取ったコンベア対4がY軸負方向に受渡位置P5にまで移動する(図5の2段目の状態)。
こうして、ラインLbの受渡位置P4からラインLfの受渡位置P5へと受け渡された基板Sは、ラインLfにおいて、基板搬送方向Dfへ搬送されつつ、3台の実装機200による部品実装を受けた後に、炉300によるリフローを受ける。こうして、基板処理システム1000は、図5に示す動作を実行して、ラインLbからラインLfへ基板Sを受け渡すことで、通常生産動作での搬送経路R1とは異なる搬送経路R5で基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を実行できる。
このとき、図2と図5との対比から判るように、受渡位置P4より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R1に存在する基板処理装置300の台数(1台)と、受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R5に存在する基板処理装置200、300の台数(4台)とは異なっている。したがって、搬送経路R1に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(5台)と、搬送経路R5に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(8台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R1、R5の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する基板処理装置100、200、300の台数を変更することが可能となっている。
特に、この実施形態では、受渡位置P4より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R1に存在する実装機200の台数(0台)と、受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R5に存在する実装機200の台数(3台)とは異なっている。したがって、搬送経路R1に沿って存在する実装機200の台数(3台)と、搬送経路R5に沿って存在する実装機200の台数(6台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R1、R5の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する実装機200の台数を変更することが可能となっている。特に、この実施形態の基板処理システム1000は、基板Sの搬送経路を搬送経路R5に切り換えることで、基板Sへの処理に供する実装機200の台数を大幅に増大することができ、部品点数の多い基板Sの生産に適している。
以上に説明したように、この実施形態においても、一方のラインLbにおける受渡位置P4から基板搬送方向Dbの最下流の基板処理装置300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R1の受渡位置P4より下流側の経路)にある基板処理装置300の台数と、他方のラインLfにおける受渡位置P5から基板搬送方向Dfの最下流の基板処理装置300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R5の受渡位置P5より下流側の経路)にある基板処理装置200、300の台数とが、異なっている。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路それぞれで、当該搬送経路にある基板処理装置200、300の台数が異なっている。こうして、基板処理装置200、300の台数の異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路が切換可能となり、基板処理システム1000の汎用性の向上が図られている。
また、この実施形態においても、一方のラインLbにおける受渡位置P4から炉300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R1の受渡位置P4から炉300までの経路)にある実装機200の台数(0台)と、他方のラインLfにおける受渡位置P5から炉300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R5の受渡位置P5から炉300までの経路)にある実装機200の台数(3台)とが、異なっている。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路それぞれで、当該搬送経路にある実装機200の台数が異なっている。こうして、実装機200の台数の異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路が切換可能となり、基板処理システム1000の汎用性の向上が図られている。
また、この実施形態では、ラインLbにおいて受渡位置P4より基板搬送方向Dbの下流側で基板Sが受ける処理の内容(炉300によるリフロー)と、ラインLfにおいて受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で基板Sが受ける処理の内容(3台の実装機200による処理と炉200によるリフロー)とが、互いに異なる。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路R1、R5それぞれで、基板Sが受ける処理の内容が異なっている。こうして、基板Sに対する処理の内容が異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路を切換可能として、基板処理システム1000の汎用性の向上を図ることができる。
第3実施形態
図6は、第3実施形態にかかる基板処理システムの機械的構成を模式的に示す平面図である。図6に示すように、第3実施形態では、Y軸方向に並ぶ2つのラインLb、Lfの基板搬送方向Db、Dfは互いに平行でかつ同じ向きとなっている。詳しくは、ラインLb、Lfそれぞれの基板搬送方向Db、DfはいずれもX軸正方向を向いている。そして、各ラインLb、Lfでは、それぞれの基板搬送方向Db、Dfに沿って、印刷機100、3台の実装機200および炉300がこの順番で間隔を空けて並んでいる。つまり、ラインLb、Lfのそれぞれにおいて、X軸正方向(基板搬送方向Db、Df)に向かって印刷機100、3台の実装機200および炉300がこの順番で間隔を空けて並ぶ。
この際、ラインLbを構成する5台の基板処理装置100、200、300と、ラインLfを構成する5台の基板処理装置100、200、300とは、Y軸方向に一対一で隣り合うように配置されている。見方を変えれば、異なるラインLb、Lfに属しつつY軸方向に隣り合う2台の基板処理装置100、200、300からなる装置対1が、X軸方向に間隔を空けて5つ並んでいる。そして、X軸方向に並ぶ装置対1の間には、Y軸方向に延びる2本のレールをX軸方向に並べたレール対2が、ラインLb、Lfを跨ぐように配置されている。
各レール対2には、当該レール対2に沿ってY軸方向に移動自在な可動テーブル3が2つずつ設けられている。また、この可動テーブル3の上面には、X軸方向に基板を搬送可能な2本のコンベアをY軸方向に並べたコンベア対4が設けられている。したがって、コンベア対4は、可動テーブル3と一体的にY軸方向に移動自在となっている。
これらレール対2の間には、X軸方向に基板を搬送可能な2本のコンベアをY軸方向に並べたコンベア対5が設けられている。このコンベア対5は、レール対2上の中継位置Pa〜Pdにあるコンベア対4から受け取った基板を、X軸方向に搬送するものである。したがって、コンベア対5によって、レール対2上の中継位置Pa〜Pdに位置したコンベア対4の間で基板を搬送することが可能となっている。また、このコンベア対5は、装置対1を形成する2つの基板処理装置100、200、300の間に配置されており、換言すれば、ラインLb、Lfの間に配置されている。したがって、コンベア対5は、コンベア対4から受け取った基板を、ラインLb、Lfの間を通すようにして位置Pa〜Pdの間で搬送する。
基本的には、コンベア対4は、図2に示すように、X軸方向に隣り合う基板処理装置100、200、300の間の受渡位置Pに位置して、基板搬送方向Db、Dfに搬送されてきた基板を受け取る。ただし、各コンベア対4はコンベア対5と協働して、一方のラインLb、Lfの受渡位置Pに搬送されてきた基板を他方のラインLf、Lbの受渡位置Pへ受け渡す受渡動作と、一方のラインLb、Lfの受渡位置Pに搬送されてきた基板を他方のラインLf、Lbの受渡位置Pへ受け渡さずに、一方のラインLb、Lfの基板搬送方向Db、Dfに向けて送り出す送出動作とを、選択的に実行することが可能となっている。したがって、基板処理システム1000は、ラインLb、Lfのそれぞれで独立して基板生産を行う通常生産動作のほか、ラインLb、Lfの間で基板を受け渡しつつ基板生産を行うこともできる。
通常生産動作の際は、各コンベア対4は送出動作を実行して、基板搬送方向Db、Dfに沿って受渡位置Pに搬送されてきた基板を、そのまま受渡位置Pから基板搬送方向Db、Dfへと送り出す。つまり、ラインLb、Lfは、それぞれの基板搬送方向Db、Dfに沿った搬送経路R6、R7に基板を搬送しつつ、基板処理装置100、200、300に基板への処理(印刷、部品実装、リフロー)を実行させる。こうして通常生産動作では、ラインLb、Lfは互いに独立して基板の生産を行う。一方、基板処理システム1000は、一部のコンベア対4に上述の受渡動作を実行させることで、通常生産動作の搬送経路R6、R7とは異なる搬送経路で基板を搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板に実行することができる。この搬送経路の変更動作について、次に詳述する。
図7は、第3実施形態における搬送経路の変更動作の第1例を模式的に示す平面図である。図7に示す例では、基板処理システム1000は、受渡位置P2で基板Sを受け取ったコンベア対4に受渡動作を実行させて、ラインLbからラインLfへ基板Sを受け渡す。具体的には、ラインLbにおいて、印刷機100による半田印刷を受けた基板Sは、基板搬送方向Dbに搬送されつつ、実装機200による部品実装を受けて、受渡位置P2に到る(図7の1段目の状態)。この状態から、受渡位置P2で基板Sを受け取ったコンベア対4がY軸負方向に中継位置Pbにまで移動する(図7の2段目の状態)。
続いて、中継位置Pbに移動してきた基板Sは、コンベア対5によって中継位置Paへと向けてX軸負方向に搬送される。これに並行して、受渡位置P7に位置していたコンベア対4が中継位置Paに移動して、コンベア対5によって中継位置Paへと搬送されてきた基板Sを受け取る(図7の3段目の状態)。そして、中継位置Paで基板Sを受け取ったコンベア対4は、Y軸負方向に移動して受渡位置P5にまで基板Sを搬送する(図7の4段目の状態)。
こうして、ラインLbの受渡位置P2からラインLfの受渡位置P5へと受け渡された基板は、ラインLfにおいて、基板搬送方向Dfへ搬送されつつ、3台の実装機200による部品実装を受けた後に、炉300によるリフローを受ける。こうして、基板処理システム1000は、図7に示す動作を実行して、ラインLbからラインLfへ基板Sを受け渡すことで、通常生産動作での搬送経路R6とは異なる搬送経路R8で基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を実行できる。
このとき、図6と図7との対比から判るように、受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R6に存在する基板処理装置200、300の台数(3台)と、受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R8に存在する基板処理装置200、300の台数(4台)とは異なっている。したがって、搬送経路R6に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(5台)と、搬送経路R8に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(6台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R6、R8の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する基板処理装置100、200、300の台数を変更することが可能となっている。
特に、この実施形態では、受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R6に存在する実装機200の台数(2台)と、受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R3に存在する実装機200の台数(3台)とは異なっている。したがって、搬送経路R6に沿って存在する実装機200の台数(3台)と、搬送経路R8に沿って存在する実装機200の台数(4台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R6、R8の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する実装機200の台数を変更することが可能となっている。
また、基板処理システム1000は、図7の例とは逆にラインLfからラインLbへ基板を受け渡すことで、通常生産動作の搬送経路R7とは異なる搬送経路R9で基板Sを搬送することもできる(図8)。図8は、第3実施形態における搬送経路の変更動作の第2例を模式的に示す平面図である。図8に示す例では、基板処理システム1000は、受渡位置P5で基板Sを受け取ったコンベア対4に受渡動作を実行させて、ラインLfからラインLbへ基板Sを受け渡す。具体的には、ラインLfにおいて、印刷機100による半田印刷を受けた基板Sは、基板搬送方向Dfに搬送されて、受渡位置P5に到る(図8の1段目の状態)。この状態から、受渡位置P5で基板Sを受け取ったコンベア対4がY軸負方向に中継位置Paにまで移動する(図8の2段目の状態)。
続いて、中継位置Paに移動してきた基板Sは、コンベア対5によって中継位置Pbへと向けてX軸正方向に搬送される。これに並行して、受渡位置P2に位置していたコンベア対4が中継位置Pbに移動して、コンベア対5によって中継位置Pbへと搬送されてきた基板Sを受け取る(図8の3段目の状態)。そして、中継位置Pbで基板Sを受け取ったコンベア対4は、Y軸負方向に移動して受渡位置P2にまで基板Sを搬送する(図8の4段目の状態)。
こうして、ラインLfの受渡位置P5からラインLbの受渡位置P2へと受け渡された基板は、ラインLbにおいて、基板搬送方向Dbへ搬送されつつ、2台の実装機200による部品実装を受けた後に、炉300によるリフローを受ける。こうして、基板処理システム1000は、図8に示す動作を実行して、ラインLfからラインLbへ基板Sを受け渡すことで、通常生産動作での搬送経路R7とは異なる搬送経路R9で基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を実行できる。
このとき、図6と図8との対比から判るように、受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R7に存在する基板処理装置200、300の台数(4台)と、受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R9に存在する基板処理装置200、300の台数(3台)とは異なっている。したがって、搬送経路R7に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(5台)と、搬送経路R9に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(4台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R7、R9の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する基板処理装置100、200、300の台数を変更することが可能となっている。
特に、この実施形態では、受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R7に存在する実装機200の台数(3台)と、受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R9に存在する実装機200の台数(2台)とは異なっている。したがって、搬送経路R7に沿って存在する実装機200の台数(3台)と、搬送経路R9に沿って存在する実装機200の台数(2台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R7、R9の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する実装機200の台数を変更することが可能となっている。
このように、第3実施形態の基板処理システム1000は、搬送経路R8や搬送経路R9に沿って基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板Sに施して、基板生産を実行できる。さらに、この際、搬送経路R8での基板生産と搬送経路R9での基板生産を、並行して実行することもできる。つまり、搬送経路R8に基板Sを搬送しつつ、印刷機100、4台の実装機200および炉300に順次処理を実行させる基板生産動作と、搬送経路R9に基板Sを搬送しつつ、印刷機100、2台の実装機200および炉300に順次処理を実行させる基板生産動作とを、並行して実行できる。このように、異なる2つの搬送経路R8、R9のそれぞれで基板生産を並行して行うことで、基板生産の効率化を図ることができる。
以上に説明したように、この実施形態では、複数の基板処理装置100、200、300を基板搬送方向Db、Dfに沿って並べたラインLb、Lfが並ぶ。そして、これらラインLb、Lfのそれぞれでは、各基板処理装置100、200、300が基板Sに対して処理を実行する。つまり、各ラインLb、Lfは、基板搬送方向Db、Dfに基板Sを搬送しつつ、この基板Sへの処理を各基板処理装置100、200、300に順次実行させることができる。
また、この実施形態では、異なる2本のラインLb、Lfのうち、一方のラインLb、Lfから他方のラインLf、Lbへ基板Sの搬送経路を適宜切り換えられるようになっている。具体的には、一方のラインLb、Lfの受渡位置P2、P5に搬送されてきた基板Sを他方のラインLf、Lbの受渡位置P5、P2へ受け渡す受渡動作と、一方のラインLb、Lfの受渡位置P2、P5に搬送されてきた基板Sを他方のラインLf、Lbの受渡位置P5、P2へ受け渡さずに、一方のラインLb、Lfの基板搬送方向Db、Dfに向けて送り出す送出動作とを、選択的に実行することが可能となっている。したがって、受渡動作を実行した場合は、基板Sの搬送経路R8、R9は、受渡位置P2、P5を介して一方のラインLf、Lbから他方のラインLb、Lfへと移動するものとなり、送出動作を実行した場合は、基板Sの搬送経路R6、R7は、他方のラインLf、Lbへ移ることなく一方のラインLb、Lfを進むものとなる。このように、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで、基板Sの搬送経路が、搬送経路R6、R7から搬送経路R8、R9へと切換可能となっている。
しかも、この実施形態では、一方のラインLb、Lfにおける受渡位置P2、P5から基板搬送方向Db、Dfの最下流の基板処理装置300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R6、R7の受渡位置P2、P5より下流側の経路)にある基板処理装置200、300の台数と、他方のラインLf、Lbにおける受渡位置P5、P2から基板搬送方向Df、Dbの最下流の基板処理装置300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R8、R9の受渡位置P5、P2より下流側の経路)にある基板処理装置200、300の台数とが、異なっている。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路それぞれで、当該搬送経路にある基板処理装置200、300の台数が異なっている。こうして、基板処理装置200、300の台数の異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路が切換可能となり、基板処理システム1000の汎用性の向上が図られている。
特に、この実施形態では、一方のラインLb、Lfにおける受渡位置P2、P5から炉300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R6、R7の受渡位置P2、P5から炉300までの経路)にある実装機200の台数と、他方のラインLf、Lbにおける受渡位置P5、P2から炉300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R8、R9の受渡位置P5、P2から炉300までの経路)にある実装機200の台数とが、異なっている。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路それぞれで、当該搬送経路にある実装機200の台数が異なっている。こうして、実装機200の台数の異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路が切換可能となり、基板処理システム1000の汎用性の向上が図られている。
また、この実施形態においても、基板処理システム1000の汎用性を向上させるために、搬送経路を変更することで、実装機200の種類を変更して、基板Sに対して異なる内容の処理を実行可能に構成することもできる。具体的には例えば、ラインLbにおいて基板搬送方向Dbの下流側で受渡位置P2に隣接する実装機200を汎用実装機とし、ラインLfにおいて基板搬送方向Dfの下流側で受渡位置P5に隣接する実装機200を高速実装機としても良い。
このように構成した場合、ラインLbにおいて受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で基板Sが受ける処理の内容(汎用実装機による実装処理)と、ラインLfにおいて受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で基板Sが受ける処理の内容(高速実装機による実装処理)とが、互いに異なる。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路R6、R8それぞれで、基板Sが受ける処理の内容が異なっている。こうして、基板Sに対する処理の内容が異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路を切換可能として、基板処理システム1000の汎用性の向上を図ることができる。
あるいは、ラインLbにおいて基板搬送方向Dbの下流側で受渡位置P2に隣接する汎用実装機200に代えて、ボンドを塗布するディスペンサーや検査機を配置しても良い。このように構成した場合、ラインLbにおいて受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で基板Sが受ける処理の内容(ボンドの塗布あるいは検査)と、ラインLfにおいて受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で基板Sが受ける処理の内容(高速実装機による実装処理)とが、互いに異なる。これによっても、基板Sに対する処理の内容が異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路を切換可能として、基板処理システム1000の汎用性の向上を図ることができる。
第4実施形態
図9は、第4実施形態における搬送経路の変更動作の第1例を模式的に示す平面図である。なお、第4実施形態の基板処理システム1000は、通常動作時は第3実施形態と同様に図6に示す動作を実行するものとする。
図9に示す例では、基板処理システム1000は、受渡位置P3で基板Sを受け取ったコンベア対4に受渡動作を実行させて、ラインLbからラインLfへ基板Sを受け渡す。具体的には、ラインLbにおいて、印刷機100による半田印刷を受けた基板Sは、基板搬送方向Dbに搬送されつつ、2台の実装機200による部品実装を受けて、受渡位置P3に到る(図9の1段目の状態)。この状態から、受渡位置P3で基板Sを受け取ったコンベア対4がY軸負方向に中継位置Pcにまで移動する(図9の2段目の状態)。
続いて、中継位置Pbに移動してきた基板Sは、コンベア対5によって中継位置Paへと向けてX軸負方向に搬送される。具体的には、受渡位置P2にいたコンベア対4が中継位置Pbに移動するとともに、受渡位置P5にいたコンベア対4が中継位置Paに移動することで、中継位置Pcから中継位置Paまで、コンベア対4、5が一列に並ぶ。そして、基板Sは、これらのコンベア対4、5によって中継位置Pcから中継位置Paへと搬送される(図9の3段目の状態)。そして、そして、中継位置Paで基板Sを受け取ったコンベア対4は、Y軸負方向に移動して受渡位置P5にまで基板Sを搬送する(図9の4段目の状態)。
こうして、ラインLbの受渡位置P3からラインLfの受渡位置P5へと受け渡された基板Sは、ラインLfにおいて、基板搬送方向Dfへ搬送されつつ、3台の実装機200による部品実装を受けた後に、炉300によるリフローを受ける。こうして、基板処理システム1000は、図9に示す動作を実行して、ラインLbからラインLfへ基板Sを受け渡すことで、通常生産動作での搬送経路R6とは異なる搬送経路R10で基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を実行できる。
このとき、図6と図9との対比から判るように、受渡位置P3より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R6に存在する基板処理装置200、300の台数(2台)と、受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R10に存在する基板処理装置200、300の台数(4台)とは異なっている。したがって、搬送経路R6に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(5台)と、搬送経路R10に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(7台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R6、R10の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する基板処理装置100、200、300の台数を変更することが可能となっている。
特に、この実施形態では、受渡位置P3より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R6に存在する実装機200の台数(1台)と、受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R3に存在する実装機200の台数(3台)とは異なっている。したがって、搬送経路R6に沿って存在する実装機200の台数(3台)と、搬送経路R10に沿って存在する実装機200の台数(5台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R6、R10の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する実装機200の台数を変更することが可能となっている。
また、基板処理システム1000は、図9の例とは逆にラインLfからラインLbへ基板を受け渡すことで、通常生産動作の搬送経路R7とは異なる搬送経路R11で基板Sを搬送することもできる(図10)。図10は、第4実施形態における搬送経路の変更動作の第2例を模式的に示す平面図である。図10に示す例では、基板処理システム1000は、受渡位置P5で基板Sを受け取ったコンベア対4に受渡動作を実行させて、ラインLfからラインLbへ基板Sを受け渡す。具体的には、ラインLfにおいて、印刷機100による半田印刷を受けた基板Sは、基板搬送方向Dfに搬送されて、受渡位置P5に到る(図10の1段目の状態)。この状態から、受渡位置P5で基板Sを受け取ったコンベア対4がY軸負方向に中継位置Paにまで移動する(図10の2段目の状態)。
続いて、中継位置Paに移動してきた基板Sは、コンベア対5によって中継位置Pcへと向けてX軸負方向に搬送される。具体的には、受渡位置P2にいたコンベア対4が中継位置Pbに移動するとともに、受渡位置P3にいたコンベア対4が中継位置Pcに移動することで、中継位置Paから中継位置Pcまで、コンベア対4、5が一列に並ぶ。そして、基板Sは、これらのコンベア対4、5によって中継位置Paから中継位置Pcへと搬送される(図10の3段目の状態)。そして、そして、中継位置Pcで基板Sを受け取ったコンベア対4は、Y軸負方向に移動して受渡位置P3にまで基板Sを搬送する(図10の4段目の状態)。
こうして、ラインLfの受渡位置P5からラインLbの受渡位置P3へと受け渡された基板Sは、ラインLbにおいて、基板搬送方向Dbへ搬送されつつ、1台の実装機200による部品実装を受けた後に、炉300によるリフローを受ける。こうして、基板処理システム1000は、図10に示す動作を実行して、ラインLfからラインLbへ基板Sを受け渡すことで、通常生産動作での搬送経路R7とは異なる搬送経路R11で基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を実行できる。
このとき、図6と図10との対比から判るように、受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R7に存在する基板処理装置200、300の台数(3台)と、受渡位置P3より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R11に存在する基板処理装置200、300の台数(2台)とは異なっている。したがって、搬送経路R7に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(5台)と、搬送経路R11に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(3台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R7、R11の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する基板処理装置100、200、300の台数を変更することが可能となっている。
特に、この実施形態では、受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R7に存在する実装機200の台数(3台)と、受渡位置P3より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R11に存在する実装機200の台数(1台)とは異なっている。したがって、搬送経路R7に沿って存在する実装機200の台数(3台)と、搬送経路R11に沿って存在する実装機200の台数(1台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R7、R11の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する実装機200の台数を変更することが可能となっている。
このように、第4実施形態の基板処理システム1000は、搬送経路R10や搬送経路R11に沿って基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板Sに施して、基板生産を実行できる。さらに、この際、搬送経路R10での基板生産と搬送経路R11での基板生産を、並行して実行することもできる。つまり、搬送経路R10に基板Sを搬送しつつ、印刷機100、5台の実装機200および炉300に順次処理を実行させる基板生産動作と、搬送経路R11に基板Sを搬送しつつ、印刷機100、1台の実装機200および炉300に順次処理を実行させる基板生産動作とを、並行して実行できる。このように、異なる2つの搬送経路R10、R11のそれぞれで基板生産を並行して行うことで、基板生産の効率化を図ることができる。
以上に説明したように、この実施形態においても、一方のラインLb、Lfにおける受渡位置P3、P5から基板搬送方向Db、Dfの最下流の基板処理装置300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R6、R7の受渡位置P3、P5より下流側の経路)にある基板処理装置200、300の台数と、他方のラインLf、Lbにおける受渡位置P5、P3から基板搬送方向Df、Dbの最下流の基板処理装置300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R10、R11の受渡位置P5、P3より下流側の経路)にある基板処理装置200、300の台数とが、異なっている。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路それぞれで、当該搬送経路にある基板処理装置200、300の台数が異なっている。こうして、基板処理装置200、300の台数の異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路が切換可能となり、基板処理システム1000の汎用性の向上が図られている。
特に、この実施形態では、一方のラインLb、Lfにおける受渡位置P3、P5から炉300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R6、R7の受渡位置P3、P5から炉300までの経路)にある実装機200の台数と、他方のラインLf、Lbにおける受渡位置P5、P3から炉300までの基板Sの搬送経路(つまり、搬送経路R10、R11の受渡位置P5、P3から炉300までの経路)にある実装機200の台数とが、異なっている。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路それぞれで、当該搬送経路にある実装機200の台数が異なっている。こうして、実装機200の台数の異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路が切換可能となり、基板処理システム1000の汎用性の向上が図られている。
また、この実施形態においても、基板処理システム1000の汎用性を向上させるために、搬送経路を変更することで、実装機200の種類を変更して、基板Sに対して異なる内容の処理を実行可能に構成することもできる。具体的には例えば、ラインLbにおいて基板搬送方向Dbの下流側で受渡位置P3に隣接する実装機200を汎用実装機とし、ラインLfにおいて基板搬送方向Dfの下流側で受渡位置P5に隣接する実装機200を高速実装機としても良い。
このように構成した場合、ラインLbにおいて受渡位置P3より基板搬送方向Dbの下流側で基板Sが受ける処理の内容(汎用実装機による実装処理)と、ラインLfにおいて受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で基板Sが受ける処理の内容(高速実装機による実装処理)とが、互いに異なる。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路R6、R10それぞれで、基板Sが受ける処理の内容が異なっている。こうして、基板Sに対する処理の内容が異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路を切換可能として、基板処理システム1000の汎用性の向上を図ることができる。
あるいは、ラインLbにおいて基板搬送方向Dbの下流側で受渡位置P3に隣接する汎用実装機200に代えて、ボンドを塗布するディスペンサーや検査機を配置しても良い。このように構成した場合、ラインLbにおいて受渡位置P3より基板搬送方向Dbの下流側で基板Sが受ける処理の内容(ボンドの塗布あるいは検査)と、ラインLfにおいて受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で基板Sが受ける処理の内容(高速実装機による実装処理)とが、互いに異なる。これによっても、基板Sに対する処理の内容が異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路を切換可能として、基板処理システム1000の汎用性の向上を図ることができる。
第5実施形態
図11は、第5実施形態にかかる基板処理システムの機械的構成を模式的に示す平面図である。第5実施形態では第1実施形態と同様に、基板処理システム1000において、X軸方向に直列に並ぶ印刷機100、3台の実装機200および炉300から構成されるラインLb、Lf(基板生産ライン)が、2本並列に並んでいる。また、Y軸方向に並ぶ2つのラインLb、Lfの基板搬送方向Db、Dfは互いに平行でかつ逆向きとなっている。
ただし、第5実施形態が第1実施形態と異なるのは、各基板処理装置100、200、300が、2本の搬送レーン上を搬送されてきた2枚の基板に対して並行して処理を実行可能なデュアルレーン方式によるものである点である。例えば、このような印刷機100としては、特開2011−15122号公報に記載されたもののように、2本の搬送レーン上を搬送されてきた2枚の基板に対して並行して半田印刷を行うものである。また、このような実装機200としては、特開2011−54605号公報に記載されたもののように、2本の搬送レーン上を搬送されてきた2枚の基板に対して並行して部品実装を行うものである。また、このような炉300としては、2本の搬送レーン上を搬送されてきた2枚の基板に対して並行してリフローを行うものである。
このように、各ラインLb、Lfでは、デュアルレーン方式の基板処理装置100、200、300が並んでいる。その結果、ラインLb、Lfそれぞれでは、並行して基板を搬送する2本の搬送レーンが基板搬送方向Db、Dfに並ぶ。具体的には、ラインLbでは、基板搬送方向Db(X軸正方向)に並行して基板を搬送する2本の搬送レーンl1、l2が並ぶ一方、ラインLfでは、基板搬送方向Df(X軸負方向)に並行して基板を搬送する2本の搬送レーンl3、l4が並ぶ。
4本の搬送レーンl1〜l4は、基板搬送方向Db、Dfに並ぶ基板処理装置100、200、300の間にコンベアを配置した構成を備えている。より具体的には、レーンl1、l4それぞれでは、図11の左から4個の基板処理装置100、200、300の間に、X軸方向に基板を搬送可能なコンベアをY軸方向に2つ並べたコンベア対6が1つずつ配置されている。
また、搬送レーンl2、l3それぞれでは、図11の左から4個の基板処理装置100、200、300の間に、Y軸方向に延びる2本のレールをX軸方向に並べたレール対2が、搬送レーンl2、l3を跨ぐように配置されている。各レール対2には、当該レール対2に沿ってY軸方向に移動自在な可動テーブル3が2つずつ設けられている。また、この可動テーブル3の上面には、X軸方向に基板を搬送可能な2本のコンベアをY軸方向に並べたコンベア対4が設けられている。したがって、コンベア対4は、可動テーブル3と一体的にレール2上をY軸方向に移動自在となっている。
さらに、4本の搬送レーンl1〜l4では、図11の右から2個の基板処理装置100、200、300の間に、Y軸方向に延びる2本のレールをX軸方向に並べたレール対2aが、搬送レーンl1〜l4を跨ぐように配置されている。このレール対2aには、当該レール対2aに沿ってY軸方向に移動自在な可動テーブル3が4つ設けられている。また、この可動テーブル3の上面には、X軸方向に基板を搬送可能な2本のコンベアをY軸方向に並べたコンベア対4が設けられている。したがって、コンベア対4は、可動テーブル3と一体的にレール2a上をY軸方向に移動自在となっている。
基本的には、このコンベア対4は、図11に示すように、X軸方向に隣り合う基板処理装置100、200、300の間の受渡位置Pに位置して、基板搬送方向Db、Dfに搬送されてきた基板を受け取る。ただし、各コンベア対4は、一方のラインLb、Lfの受渡位置Pに搬送されてきた基板を他方のラインLf、Lbの受渡位置Pへ受け渡す受渡動作と、一方のラインLb、Lfの受渡位置Pに搬送されてきた基板を他方のラインLf、Lbの受渡位置Pへ受け渡さずに、一方のラインLb、Lfの基板搬送方向Db、Dfに向けて送り出す送出動作とを、選択的に実行することが可能となっている。したがって、基板処理システム1000は、ラインLb、Lfのそれぞれで独立して基板生産を行う通常生産動作のほか、ラインLb、Lfの間で基板を受け渡しつつ基板生産を行うこともできる。
通常生産動作の際は、各コンベア対4は送出動作を実行して、基板搬送方向Db、Dfに沿って受渡位置Pに搬送されてきた基板を、そのまま受渡位置Pから基板搬送方向Db、Dfへと送り出す。つまり、ラインLb、Lfは、それぞれの基板搬送方向Db、Dfに沿った搬送経路R12〜R14に基板を搬送しつつ、基板処理装置100、200、300に基板への処理(印刷、部品実装、リフロー)を実行させる。こうして通常生産動作では、ラインLb、Lfは互いに独立して基板の生産を行う。一方、基板処理システム1000は、一部のコンベア対4に上述の受渡動作を実行させることで、通常生産動作の搬送経路R12〜R14とは異なる搬送経路で基板を搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板に実行することができる。この搬送経路の変更動作について、次に詳述する。
図12は、第5実施形態における搬送経路の変更動作の第1例を模式的に示す平面図である。なお、図12では、X軸方向に隣接する基板処理装置100、200、300の間の受渡位置Pに対して符号P1〜P10が付されている。詳しくは、ラインLbの搬送レーンl2において基板処理装置100、200、300の間にある4つの受渡位置Pに対しては、基板搬送方向Dbに順番に符号P1〜P4が付されており、ラインLfの搬送レーンl3において基板処理装置100、200、300の間にある4つの各受渡位置Pに対しては、基板搬送方向Dfに順番に符号P5〜P8が付されている。さらに、ラインLbの搬送レーンl1において実装機200と炉300の間にある受渡位置Pに対しては、符号P9が付されており、ラインLfの搬送レーンl4において印刷機100と実装機200の間にある受渡位置Pに対しては符号P10が付されている。なお、図12以外の以下に示す図面についても、同様に符P1〜P8を適宜付することとする。
図12に示す例では、基板処理システム1000は、受渡位置P9で基板Sを受け取ったコンベア対4に受渡動作を実行させて、ラインLbの搬送レーンl1からラインLfの搬送レーンl4へ基板Sを受け渡す。具体的には、搬送レーンl1において、印刷機100による半田印刷を受けた基板Sは、基板搬送方向Dbに搬送されつつ、3台の実装機200による部品実装を受けて、受渡位置P9に到る(図12の1段目の状態)。この状態から、受渡位置P4、P5、P10に位置していたコンベア対4が、受渡位置P10よりY軸負方向に退避するのに伴って、受渡位置P9で基板Sを受け取ったコンベア対4がY軸負方向に受渡位置P10にまで移動する(図12の2段目の状態)。
こうして、ラインLbの搬送レーンl1の受渡位置P9からラインLfの搬送レーンl4の受渡位置P10へと受け渡された基板は、この搬送レーンl4において、基板搬送方向Dfへ搬送されつつ、3台の実装機200による部品実装を受けた後に、炉300によるリフローを受ける。こうして、基板処理システム1000は、図12に示す動作を実行して、ラインLbからラインLfへ基板Sを受け渡すことで、通常生産動作での搬送経路R12とは異なる搬送経路R16で基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を実行できる。
このとき、図11と図12との対比から判るように、受渡位置P9より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R12に存在する基板処理装置300の台数(1台)と、受渡位置P10より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R16に存在する基板処理装置200、300の台数(4台)とは異なっている。したがって、搬送経路R12に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(5台)と、搬送経路R16に沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(8台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R12、R16の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する基板処理装置100、200、300の台数を変更することが可能となっている。
特に、この実施形態では、受渡位置P9より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R12に存在する実装機200の台数(0台)と、受渡位置P10より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R3に存在する実装機200の台数(3台)とは異なっている。したがって、搬送経路R12に沿って存在する実装機200の台数(3台)と、搬送経路R16に沿って存在する実装機200の台数(6台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R12、R16の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する実装機200の台数を変更することが可能となっている。特に、この実施形態の基板処理システム1000は、基板Sの搬送経路を搬送経路R16に切り換えることで、基板Sへの処理に供する実装機200の台数を大幅に増大することができ、部品点数の多い基板Sの生産に適している。
また、この基板処理システムでは、搬送レーンl1と搬送レーンl4の間のみならず、搬送レーンl2と搬送レーンl3の間で基板Sを受け渡すことで、ラインLbとラインLfとの間で基板Sを受け渡すこともできる(図13、図14)。ここで、図13は、第5実施形態における搬送経路の変更動作の第2例を模式的に示す平面図であり、図14は、第5実施形態における搬送経路の変更動作の第3例を模式的に示す平面図である。つまり、図3、図4を用いて上述したラインLb、Lfの間の基板Sの受け渡しと同様にして、搬送レーンl2、l3の間で基板Sを受け渡すことで、搬送経路R17で基板Sを搬送したり(図13)、搬送経路R18で基板Sを搬送したり(図14)することができる。そして、基板Sの搬送経路を搬送経路R17、R18へ適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する基板処理装置100、200、300の台数や、部品実装を行う実装機200の台数を変更することができる。
このように、第5実施形態の基板処理システム1000は、搬送経路R16、R17あるいはR18に沿って基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板Sに施して、基板生産を実行できる。さらに、この際、搬送経路R16、R17、R18それぞれでの基板生産を並行して実行することもできる。このように、異なる2つの搬送経路R16、R17、R18のそれぞれで基板生産を並行して行うことで、基板生産の効率化を図ることができる。
以上に説明したように、この実施形態においても、一方のラインLb、Lfにおける受渡位置Pから基板搬送方向Db、Dfの最下流の基板処理装置300までの基板Sの搬送経路にある基板処理装置200、300の台数と、他方のラインLf、Lbにおける受渡位置Pから基板搬送方向Df、Dbの最下流の基板処理装置300までの基板Sの搬送経路にある基板処理装置200、300の台数とが、異なっている。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路それぞれで、当該搬送経路にある基板処理装置200、300の台数が異なっている。こうして、基板処理装置200、300の台数の異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路が切換可能となり、基板処理システム1000の汎用性の向上が図られている。
特に、この実施形態では、一方のラインLb、Lfにおける受渡位置Pから炉300までの基板Sの搬送経路にある実装機200の台数と、他方のラインLf、Lbにおける受渡位置Pから炉300までの基板Sの搬送経路にある実装機200の台数とが、異なっている。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路それぞれで、当該搬送経路にある実装機200の台数が異なっている。こうして、実装機200の台数の異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路が切換可能となり、基板処理システム1000の汎用性の向上が図られている。
第6実施形態
図15は、第6実施形態にかかる基板処理システムの機械的構成を模式的に示す平面図である。第6実施形態の基板処理システム1000は、第5実施形態と同様に、デュアルレーン方式の基板処理装置100、200、300を基板搬送方向Db、Dfに並べたラインLb、Lfを備える点で共通する。ただし、第6実施形態の基板処理システム1000は、第5実施形態と異なり、ラインLb、Lfの基板搬送方向Db、Dfが同じ向きとなっている。そのため、ラインLbの搬送レーンl1、l2およびラインLfの搬送レーンl3、l4はいずれも、同じ方向(X軸正方向)に基板Sを搬送する。
4本の搬送レーンl1〜l4は、基板搬送方向Db、Dfに並ぶ基板処理装置100、200、300の間にコンベアを配置した構成を備えている。より具体的には、レーンl1、l4それぞれでは、5個の基板処理装置100、200、300の間に、X軸方向に基板を搬送可能なコンベアをY軸方向に2つ並べたコンベア対6が1つずつ配置されている。
また、搬送レーンl2、l3それぞれでは、5個の基板処理装置100、200、300の間に、Y軸方向に延びる2本のレールをX軸方向に並べたレール対2が、搬送レーンl2、l3を跨ぐように配置されている。各レール対2には、当該レール対2に沿ってY軸方向に移動自在な可動テーブル3が2つずつ設けられている。また、この可動テーブル3の上面には、X軸方向に基板を搬送可能な2本のコンベアをY軸方向に並べたコンベア対4が設けられている。したがって、コンベア対4は、可動テーブル3と一体的にレール2上をY軸方向に移動自在となっている。
これらレール対2の間には、X軸方向に基板を搬送可能な2本のコンベアをY軸方向に並べたコンベア対5が設けられている。このコンベア対5は、レール対2上の中継位置Pa〜Pdにあるコンベア対4から受け取った基板を、X軸方向に搬送するものである。したがって、コンベア対5によって、レール対2上の中継位置Pa〜Pdに位置したコンベア対4の間で基板を搬送することが可能となっている。また、このコンベア対5は、装置対1を形成する2つの基板処理装置100、200、300の間に配置されており、換言すれば、ラインLb、Lfの間に配置されている。したがって、コンベア対5は、コンベア対4から受け取った基板を、ラインLb、Lfの間を通すようにして位置Pa〜Pdの間で搬送する。
基本的には、このコンベア対4は、図15に示すように、X軸方向に隣り合う基板処理装置100、200、300の間の受渡位置Pに位置して、基板搬送方向Db、Dfに搬送されてきた基板を受け取る。ただし、各コンベア対4は、一方のラインLb、Lfの受渡位置Pに搬送されてきた基板を他方のラインLf、Lbの受渡位置Pへ受け渡す受渡動作と、一方のラインLb、Lfの受渡位置Pに搬送されてきた基板を他方のラインLf、Lbの受渡位置Pへ受け渡さずに、一方のラインLb、Lfの基板搬送方向Db、Dfに向けて送り出す送出動作とを、選択的に実行することが可能となっている。したがって、基板処理システム1000は、ラインLb、Lfのそれぞれで独立して基板生産を行う通常生産動作のほか、ラインLb、Lfの間で基板を受け渡しつつ基板生産を行うこともできる。
通常生産動作の際は、各コンベア対4は送出動作を実行して、基板搬送方向Db、Dfに沿って受渡位置Pに搬送されてきた基板を、そのまま受渡位置Pから基板搬送方向Db、Dfへと送り出す。つまり、ラインLb、Lfは、それぞれの基板搬送方向Db、Dfに沿った搬送経路R19〜R21に基板を搬送しつつ、基板処理装置100、200、300に基板への処理(印刷、部品実装、リフロー)を実行させる。こうして通常生産動作では、ラインLb、Lfは互いに独立して基板の生産を行う。一方、基板処理システム1000は、一部のコンベア対4に上述の受渡動作を実行させることで、通常生産動作の搬送経路R19〜R21とは異なる搬送経路で基板を搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板に実行することができる(図16、図17)。
ここで、図16は、第6実施形態における搬送経路の変更動作の第1例を模式的に示す平面図であり、図17は、第6実施形態における搬送経路の変更動作の第2例を模式的に示す平面図である。つまり、図7、図8を用いて上述したラインLb、Lfの間の基板Sの受け渡しと同様にして、搬送レーンl2、l3の間で基板Sを受け渡すことで、搬送経路R23で基板Sを搬送したり(図16)、搬送経路R24で基板Sを搬送したり(図17)することができる。そして、基板Sの搬送経路を搬送経路R23、R24へ適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する基板処理装置100、200、300の台数や、部品実装を行う実装機200の台数を変更することができる。
このように、第5実施形態の基板処理システム1000は、搬送経路R23あるいはR24に沿って基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板Sに施して、基板生産を実行できる。さらに、この際、搬送経路R23、R24それぞれでの基板生産を並行して実行することもできる。この際、搬送レーンl1、l4では、搬送経路R19、R22で基板Sを搬送しつつ処理を行なっても良い。このように、異なる搬送経路R19、R22、R23、R24のそれぞれで基板生産を並行して行うことで、基板生産の効率化を図ることができる。
以上に説明したように、この実施形態においても、一方のラインLb、Lfにおける受渡位置Pから基板搬送方向Db、Dfの最下流の基板処理装置300までの基板Sの搬送経路にある基板処理装置200、300の台数と、他方のラインLf、Lbにおける受渡位置Pから基板搬送方向Df、Dbの最下流の基板処理装置300までの基板Sの搬送経路にある基板処理装置200、300の台数とが、異なっている。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路それぞれで、当該搬送経路にある基板処理装置200、300の台数が異なっている。こうして、基板処理装置200、300の台数の異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路が切換可能となり、基板処理システム1000の汎用性の向上が図られている。
特に、この実施形態では、一方のラインLb、Lfにおける受渡位置Pから炉300までの基板Sの搬送経路にある実装機200の台数と、他方のラインLf、Lbにおける受渡位置Pから炉300までの基板Sの搬送経路にある実装機200の台数とが、異なっている。つまり、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路それぞれで、当該搬送経路にある実装機200の台数が異なっている。こうして、実装機200の台数の異なる搬送経路間で基板Sの搬送経路が切換可能となり、基板処理システム1000の汎用性の向上が図られている。
第7実施形態
ところで、上述した実施形態では、ラインLb、Lfのそれぞれで複数の受渡位置Pが設けられており、異なるラインLb、Lfの受渡位置Pの間で基板Sを受け渡すことで、基板Sの搬送経路を変更している。この際、基板Sの受け渡しを行う受渡位置Pを、ラインLb、Lfのそれぞれから適宜選択することで、状況に応じた搬送経路で基板Sを搬送しつつ、基板Sへの処理を実行することができる。これにより、基板処理システム1000の汎用性をより向上させることができる。第1実施形態での基板処理システム1000を用いて例を挙げれば、複数の品種の基板を同時に生産したい場合は、図3、図4に示したように受渡位置P2、P7の間で基板Sを受け渡して、搬送経路R3、R4で基板Sを搬送しつつ、基板Sへの処理を行なえば良い。
あるいは、ホストコンピューター400によって実装機200の故障の有無をモニターしておき、このモニター結果に基づいて、基板の受け渡しを行う受渡位置Pを選択して、搬送経路を切り換えるように構成しても良い(図18)。ここで、図18は、第7実施形態における搬送経路の設定動作の第1例を模式的に示す平面図である。図18に示す基板処理システム1000の基本的な構成は、第1実施形態で説明したのと同様であるから説明を省略する。
図18の例では、搬送経路R3、R4のそれぞれで基板を搬送しつつ、半田印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板に搬送していたところ(図18の1段目の状態)、ラインLbの2台目の実装機200が故障した場合を示している。この場合は、ホストコンピューター400は、故障した実装機200を外して搬送経路を設定しなおす。具体的には、レーンLfからレーンLbへの基板の受け渡しを行う受渡位置が、受渡位置P7、P2から受渡位置P6、P3へと変更される。これによって、基板は搬送経路R4aに搬送されつつ、半田印刷、部品実装、リフローの一連の処理を受ける。なお、この実施形態では、実装機200に対して段取りされる部品は各実装機200で共通しており、各実装機200は互いに同じ部品を実装可能である。したがって、搬送経路R4および搬送経路R4aは互いに同じ部品を基板Sに実装することができる。
また、このような実装機200の故障の有無に基づいて、搬送経路を切り換える動作は、図19に示す構成に対しても適用できる。ここで、図19は、第7実施形態における搬送経路の設定動作の第2例を模式的に示す平面図である。図19に示す基板処理システム1000の基本的な構成は、第3実施形態で説明したのと同様であるから説明を省略する。
図19の例では、搬送経路R8、R9のそれぞれで基板を搬送しつつ、半田印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板に搬送していたところ(図19の1段目の状態)、ラインLbの2台目の実装機200が故障した場合を示している。この場合は、ホストコンピューター400は、故障した実装機200を外して搬送経路を設定しなおす。具体的には、レーンLfを受渡位置P5まで搬送されてきた基板の受渡位置が、受渡位置P2から受渡位置P3へと変更される。これによって、基板は搬送経路R9aに搬送されつつ、半田印刷、部品実装、リフローの一連の処理を受ける。なお、この実施形態では、実装機200に対して段取りされる部品は各実装機200で共通しており、各実装機200は互いに同じ部品を実装可能である。したがって、搬送経路R9および搬送経路R9aは互いに同じ部品を基板Sに実装することができる。
このように、第7実施形態では、実装機200の故障の発生状況に応じて、基板への処理に供する実装機200を切り換えることが可能となり、実装機200の故障が発生した場合であっても、基板処理システム1000の停止を抑制することができる。
第8実施形態
また、基板の受け渡しを行う受渡位置Pの選択基準としては、実装機200の故障の有無以外の種々のものを採用可能である。そこで、実装機200へかかる負荷、言い換えれば、実装機200での部品実装に要する時間に基づいて、基板の受け渡しを行う受渡位置Pを選択しても良い。
具体的には、ホストコンピューター400によって各実装機200が部品実装に要する時間をモニターしておき、このモニター結果に基づいて、基板の受け渡しを行う受渡位置Pを選択して、搬送経路を切り換えるように構成しても良い(図20)。ここで、図20は、第8実施形態における搬送経路の設定動作の第1例を模式的に示す平面図である。図20に示す基板処理システム1000の基本的な構成は、第1実施形態で説明したのと同様であるから説明を省略する。
図20の例では、搬送経路R3、R4のそれぞれで基板を搬送しつつ、半田印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板に搬送していたところ(図20の1段目の状態)、ラインLbの2台目の実装機200への負荷が高く、この実装機の部品実装に要する時間が所定時間以上の長さであることが判明した場合を示している。この場合は、ホストコンピューター400は、この実装機200を外した新たな搬送経路R4aを設定し、搬送経路R4と搬送経路R4aのそれぞれに所定の割合で基板Sを搬送しつつ、半田印刷、部品実装、リフローの一連の処理を実行する。例を挙げれば、8割の基板を搬送経路R4に搬送する一方で、2割の基板を搬送経路R4aに搬送することで、高負荷と判明した実装機200の負荷を軽減することができる。
また、このような実装機200の負荷に基づいて、搬送経路を設定する動作は、図21に示す構成に対しても適用できる。ここで、図21は、第8実施形態における搬送経路の設定動作の第2例を模式的に示す平面図である。図21に示す基板処理システム1000の基本的な構成は、第3実施形態で説明したのと同様であるから説明を省略する。
図21の例では、搬送経路R8、R9のそれぞれで基板を搬送しつつ、半田印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板に搬送していたところ(図21の1段目の状態)、ラインLbの2台目の実装機200への負荷が高く、この実装機の部品実装に要する時間が所定時間以上の長さであることが判明した場合を示している。この場合は、ホストコンピューター400は、この実装機200を外した新たな搬送経路R9aを設定し、搬送経路R9と搬送経路R9aのそれぞれに所定の割合で基板Sを搬送しつつ、半田印刷、部品実装、リフローの一連の処理を実行する。例を挙げれば、8割の基板を搬送経路R9に搬送する一方で、2割の基板を搬送経路R9aに搬送することで、高負荷と判明した実装機200の負荷を軽減することができる。
このように、第8実施形態は、実装機200での処理に要する時間に応じて、基板への処理に供する実装機200を切り換えることが可能となり、スループットの向上に資するものである。
その他
上述したとおり、この実施形態では、基板処理システム1000が本発明の「基板処理システム」に相当し、印刷機100、実装機200、炉300のそれぞれが本発明の「基板処理装置」に相当し、印刷機100が本発明の「印刷機」に相当し、実装機200が本発明の「実装機」に相当し、炉300が本発明の「半田接合機」に相当し、ホストコンピューター400が本発明の「制御手段」に相当し、ラインLb、Lfが本発明の「ライン」に相当し、コンベア対4あるいはコンベア対4とコンベア対5が協働して本発明の「切換手段」として機能し、基板搬送方向Db、Dfが本発明の基板搬送方向に相当し、受渡位置P、P1〜P10が本発明の「受渡ポイント」に相当する。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。例えば、上記の第1実施形態では、受渡位置P2、P7の間で基板Sを受け渡して搬送経路を変更する場合を示したが、実施形態で示した受渡位置P2、P7以外の受渡位置(例えば、受渡位置P3、P6等)で基板Sを受け渡して搬送経路を変更しても良い。また、他の実施形態についても、例示した受渡位置P以外の受渡位置Pで基板Sを受け渡して搬送経路を変更するように構成しても良い。
また、第1〜第4実施形態および第7、第8実施形態では、装置対1を構成する2台の基板処理装置100、200、300がY軸方向に隣接して配置されていた。この際に、Y軸方向に隣接して装置対1を構成する2台の基板処理装置100、200、300を一体的に構成しても良い。つまり、上述のデュアルレーン方式の実装機は、見方を変えれば2台の実装機をY軸方向に並べて一体的に構成したものである。同様に、デュアルレーン方式の印刷機は、2台の印刷機をY軸方向に並べて一体的に構成したものと言える。そこで、これに倣って、第1〜第4実施形態および第7、第8実施形態において、Y軸方向に隣接して装置対1を構成する2台の基板処理装置100、200、300を一体的に構成しても良い。
また、上記実施形態では、受渡動作および送出動作のいずれを選択するかで切換可能な2つの搬送経路それぞれで、当該搬送経路にある基板処理装置100、200、300の台数が異なっていた。しかしながら、上述したような、これらの搬送経路それぞれで基板Sが受ける処理内容を異ならせるといった効果に注目した場合、これらの搬送経路にある基板処理装置100、200、300の台数が異なることは必須ではない。つまり、一方の搬送経路の各実装機200を高速実装機とし、他方の搬送経路の各実装機200を異型実装機としたような場合には、切換可能な2つの搬送経路にある基板処理装置の台数は同じであっても、これらの搬送経路それぞれで基板Sが受ける処理内容は異なることとなる。
また、上記実施形態では、装置対1の各間の全てに可動式のコンベア対4を設けていた。しかしながら、装置対1の各間のうち一部に対してのみ可動式のコンベア対4を設けても良い。例えば、第2実施形態において、図5の右から2つの装置対1の間にのみ可動式のコンベア対4を設ける一方、図5の左から4つの装置対1の各間からコンベア対4を排しても良い。この場合、図5の左から4つの装置対1の各間をつめて、X軸方向に隣接する基板処理装置100、200、300の間でコンベアを介さず基板Sを搬送しても良いし、図5の左から4つの装置対1の各間に固定式のコンベアを配置して、X軸方向に隣接する基板処理装置100、200、300の間で固定式のコンベアを介して基板Sを搬送しても良い。
また、受渡位置Pの間で基板を搬送する構成は、コンベア対4に限られず、例えば単軸ロボット等のその他の搬送手段を用いることもできる。
また、上記実施形態では、ラインLb、Lfのそれぞれには、5台の基板処理装置100、200、300が並んでいた。しかしながら、ラインLb、Lfを構成する基板処理装置100、200、300の台数は5台に限られない。
また、上記実施形態では、ラインLb、Lfは、互いに同数の基板処理装置100、200、300で構成されていた。しかしながら、ラインLbを構成する基板処理装置100、200、300の台数と、ラインLfを構成する基板処理装置の台数とが異なっていても良い。
また、ラインLb、Lfを構成する基板処理装置は上述のものに限られず、例えば、基板を検査する検査機を基板処理装置として、印刷機100の基板搬送方向Db、Dfの下流側に配置したり、炉300の基板搬送方向Db、Dfの下流側に配置したりしても良い。
ところで、上記第3実施形態では、基板Sの受け渡しを行う受渡位置P2、P5がX軸方向にシフトしていた。したがって、これら受渡位置P2、P5の間で基板Sを受け渡すにあたっては、コンベア対5により基板SをX軸方向に搬送する必要があった。そこで、第3実施形態を変形して、ラインLbに対してラインLfをX軸正方向にずらすことで、受渡位置P2、P5のX軸方向の位置を一致させても良い(言い換えれば、受渡位置P2、P5をY軸方向に平行に並べても良い)。このように構成した場合は、受渡位置P2、P5の間で基板Sを受け渡すにあたって、基板SをX軸方向へ搬送する必要がなくなり、コンベア対5を排することができる。
この点について、図22〜図24を用いて詳述する。ここで、図22は、第3実施形態の変形例にかかる基板処理システムの機械的構成を模式的に示す平面図である。図23は、第3実施形態の変形例における搬送経路の変更動作の第1例を模式的に示す平面図である。図24は、第3実施形態の変形例における搬送経路の変更動作の第2例を模式的に示す平面図である。
図6と図22との比較から理解できるように、この変形例では、ラインLbに対してラインLfをX軸正方向にずらすことで、受渡位置P2、P5のX軸方向の位置を一致させてもいる。したがって、第3実施形態で示したように、受渡位置P2、P5の間で基板Sを受け渡すに際して、基板Sをコンベア対5によりX軸方向に移動させる必要が無い。そのため、この変形例では、コンベア対5が排除されている。また、この変形例では、ラインLbの印刷機100と実装機200の間のコンベア対4も排除されるとともに、ラインLfの実装機200と炉300の間のコンベア対4も排除されている。そして、この基板処理システム1000は、通常時は、ラインLf、Lbに沿った搬送経路R6a、R7aに基板Sを搬送しつつ、当該基板Sに対する処理を実行する。
また、この基板処理システム1000は、図23、図24に例示するようにして基板Sの搬送経路を変更することもできる。まず、図23に示す例では、基板処理システム1000は、受渡位置P2で基板Sを受け取ったコンベア対4に受渡動作を実行させて、ラインLbからラインLfへ基板Sを受け渡す。具体的には、ラインLbにおいて、印刷機100による半田印刷を受けた基板Sは、基板搬送方向Dbに搬送されつつ、実装機200による部品実装を受けて、受渡位置P2に到る(図7の1段目の状態)。この状態から、受渡位置P2で基板Sを受け取ったコンベア対4が、Y軸負方向に受渡位置P5まで移動する(図23の2段目の状態)。ちなみに、もともと受渡位置P5に位置していたコンベア対4は、受渡位置P5からY軸負方向に退避する。
こうして、ラインLbの受渡位置P2からラインLfの受渡位置P5へと受け渡された基板は、ラインLfにおいて、基板搬送方向Dfへ搬送されつつ、3台の実装機200による部品実装を受けた後に、炉300によるリフローを受ける。こうして、基板処理システム1000は、図7に示す動作を実行して、ラインLbからラインLfへ基板Sを受け渡すことで、通常生産動作での搬送経路R6aとは異なる搬送経路R8aで基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を実行できる。
このとき、図22と図23との対比から判るように、受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R6に存在する基板処理装置200、300の台数(3台)と、受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R8に存在する基板処理装置200、300の台数(4台)とは異なっている。したがって、搬送経路R6aに沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(5台)と、搬送経路R8aに沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(6台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R6a、R8aの間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する基板処理装置100、200、300の台数を変更することが可能となっている。
特に、この実施形態では、受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R6aに存在する実装機200の台数(2台)と、受渡位置P5aより基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R3に存在する実装機200の台数(3台)とは異なっている。したがって、搬送経路R6aに沿って存在する実装機200の台数(3台)と、搬送経路R8にa沿って存在する実装機200の台数(4台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R6、R8の間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する実装機200の台数を変更することが可能となっている。
また、基板処理システム1000は、図23の例とは逆にラインLfからラインLbへ基板を受け渡すことで、通常生産動作の搬送経路R7aとは異なる搬送経路R9aで基板Sを搬送することもできる(図24)。図24に示す例では、基板処理システム1000は、受渡位置P5で基板Sを受け取ったコンベア対4に受渡動作を実行させて、ラインLfからラインLbへ基板Sを受け渡す。具体的には、ラインLfにおいて、印刷機100による半田印刷を受けた基板Sは、基板搬送方向Dfに搬送されて、受渡位置P5に到る(図8の1段目の状態)。この状態から、受渡位置P5で基板Sを受け取ったコンベア対4がY軸負方向に移動して、受渡位置P2にまで移動する(図8の2段目の状態)。ちなみに、もともと受渡位置P2に位置していたコンベア対4は、受渡位置P2からY軸正方向に退避する。
こうして、ラインLfの受渡位置P5からラインLbの受渡位置P2へと受け渡された基板は、ラインLbにおいて、基板搬送方向Dbへ搬送されつつ、2台の実装機200による部品実装を受けた後に、炉300によるリフローを受ける。こうして、基板処理システム1000は、図24に示す動作を実行して、ラインLfからラインLbへ基板Sを受け渡すことで、通常生産動作での搬送経路R7aとは異なる搬送経路R9aで基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を実行できる。
このとき、図22と図24との対比から判るように、受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R7aに存在する基板処理装置200、300の台数(4台)と、受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R9aに存在する基板処理装置200、300の台数(3台)とは異なっている。したがって、搬送経路R7aに沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(5台)と、搬送経路R9aに沿って存在する基板処理装置100、200、300の台数(4台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R7a、R9aの間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する基板処理装置100、200、300の台数を変更することが可能となっている。
特に、この実施形態では、受渡位置P5より基板搬送方向Dfの下流側で搬送経路R7aに存在する実装機200の台数(3台)と、受渡位置P2より基板搬送方向Dbの下流側で搬送経路R9aに存在する実装機200の台数(2台)とは異なっている。したがって、搬送経路R7aに沿って存在する実装機200の台数(3台)と、搬送経路R9aに沿って存在する実装機200の台数(2台)とは異なることとなる。このように、基板Sの搬送経路を搬送経路R7a、R9aの間で適宜切り換えることで、基板Sへの処理に供する実装機200の台数を変更することが可能となっている。
このように、第3実施形態の変形例においても、基板処理システム1000は、搬送経路R8aや搬送経路R9aに沿って基板Sを搬送しつつ、印刷、部品実装、リフローの一連の処理を基板Sに施して、基板生産を実行できる。さらに、この際、搬送経路R8aでの基板生産と搬送経路R9aでの基板生産を、並行して実行することもできる。つまり、搬送経路R8aに基板Sを搬送しつつ、印刷機100、4台の実装機200および炉300に順次処理を実行させる基板生産動作と、搬送経路R9aに基板Sを搬送しつつ、印刷機100、2台の実装機200および炉300に順次処理を実行させる基板生産動作とを、並行して実行できる。このように、異なる2つの搬送経路R8a、R9aのそれぞれで基板生産を並行して行うことで、基板生産の効率化を図ることができる。以上が、第3実施形態の変形例である。なお、この変形例においても、第3実施形態と同様の構成を具備することで、共通する効果を奏することができることは言うまでも無い。