JP5308057B2 - 中空ラックバーの製造方法及び中空ラックバー - Google Patents

中空ラックバーの製造方法及び中空ラックバー Download PDF

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Description

本発明は、自動車のパワーステアリング装置等に使用されるラック&ピニオンギアに用いられる中空ラックバーの製造方法及び中空ラックバーに関する。
自動車のパワーステアリング装置に使用される中空ラックバーは、中間部にピニオンギアに噛み合わされる歯部を有するとともに、その端部にボールジョイントとの接続に供されるネジ部が形成されている。
図6及び図7は、中実ラックバーに代わり近年開発された中空ラックバーの一例を示す図である。中空ラックバー100は、中空の軸部101を有し、この軸部101の中間部には、ピニオン(不図示)に噛み合わされるラック歯を有する歯部102が形成されているとともに、その端部103にはボールジョイントとの接続に供される内周ネジ104とが設けられている。
近年は、ラック&ピニオンギアへの入力荷重が大きくなる傾向がある。したがって、中空ラックバー100に高周波でズブ焼入れをすることで強度を確保することがあった。
一方、歯部のラック歯及び主軸の外周部にあって、主軸部とラック軸部の境界付近の内周側は、焼入層が形成されていない非焼入層が設けられたものがあった。このため、焼入層により中空ラックの強度及び耐磨耗性は確保される。また、非焼入層が設けられているため、主軸部の内周面の延性が確保される。故に中空ラック軸に曲がりが生じていても矯正を良好に行うことができる。
また、
「主軸部内周側の非焼入層厚さ」>「ラック軸部のラック歯内周側における非焼入層の厚さ」
とすることで、曲げ矯正工程の矯正量は主軸内部の非焼入層で主として確保されるため、ラック歯への負荷が軽減され、ラック歯の噛合性を良好に確保可能となった。このため、肉眼または検査装置で内周面の焼入状況の検査が簡素化または廃止することができる。
なお、主軸外周部の焼入層が厚肉焼入層と薄肉焼入層を交互に形成する場合は、通電量、周波数、導電コイルのうち少なくとも一方を変更するという技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ラックバーの歯直角モジュールが例えば2以上のものであっても、ラックバーの歯面及び背面を含めた全周面に所望の深さで、かつ、硬さが十分に確保された焼入硬化層を形成することができるようなラックバーを高周波焼入れで実現するため、2つ以上の周波数の高周波電流を加熱コイルに同時に供給して前記歯面及び背面を含めた全周面を高周波誘導加熱する工程と、1つの周波数の高周波電流を加熱コイルに供給して軸部の外周面を高周波加熱する工程とを含むようにした技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−312489号公報(段落番号0009,0011〜0012,0014,0038) 特開2004−315851号公報(段落番号0009〜0010)
上述した中空ラックバーにあっては、次のような問題があった。すなわち、図6に示すように軸部101については高周波焼入れを行うが、軸部101と端部103との境界部分Pにおいては内周ネジ104の加工に影響しないように高周波焼入れを行わない。このため、境界部分Pの強度を高くすることができないという問題があった。また、端部103の内周ネジ104にかからないように、外周側にのみ高周波焼入れすることも考えられるが、全体的な強度を保てないという問題があった。
一方、歯部102を焼入れした後、次に軸部101を焼入れする処理を行うと、焼入れ範囲が重複する境界部分Qでは硬度が急激に低下することがあった。このため、図7に示すように、中空ラックバー100に荷重がかけられると、軸部101と歯部102との境界部分Qに応力が集中し破壊される。このとき、硬度が高いため、完全分離するように破壊されてしまうという問題があった。
また、完全分離を防止するために、軸方向全体にわたって非焼入れ層を形成すると、主軸部の内周面の延性が確保されるものの、全体的な強度が弱くなってしまうという問題があった。
そこで本発明は、軸部と端部との境界部分や軸部と歯部との境界部分において、所望の強度が得られる中空ラックバーの製造方法及び中空ラックバーを提供することを目的としている。
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の中空ラックバーの製造方法及び中空ラックバーは次のように構成されている。
ピニオンギアに噛み合わされる歯部を軸部に有するとともに、その端部の内周面にボールジョイントとの接続に供されるネジ部が形成された中空ラックバーの製造方法において、前記軸部に第1の周波数による高周波焼入れを行う第1焼入れ工程と、前記軸部の端部側から前記端部にかけて前記第1の周波数より高い第2の周波数による高周波焼入れを行う第2焼入れ工程とを備えていることを特徴とする。
ピニオンギアに噛み合わされる歯部を軸部に有するとともに、その端部の内周面にボールジョイントとの接続に供される内周ネジ部が形成された中空ラックバーの製造方法において、前記軸部において軸方向の第1の移動速度で高周波焼入れを行う第1焼入れ工程と、前記軸部と前記端部との境界部分にかけて前記第1の移動速度より速い第2の移動速度による高周波焼入れを行う第2焼入れ工程とを備えていることを特徴とする。
ピニオンギアに噛み合わされる歯部を有する中空状の軸部と、この軸部の少なくとも一方の端の内周面に設けられ、ボールジョイントとの接続に供されるネジ部が形成された端部とを備え、前記軸部には、その内周面側から外周面側に亘って焼入れ処理が行われた焼入れ層が形成され、前記軸部と前記端部との境界部分においてその外周面側には焼入れ処理が行われた外側焼入れ層、その内周面側には、焼入れ処理が行われていない内側未焼入層が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、軸部と端部との境界部分や軸部と歯部との境界部分において、所望の強度が得られる。
図1は本発明の一実施の形態に係る中空ラックバー10が組み込まれたラック&ピニオンギアの要部を示す縦断面図、図2は同中空ラックバー10を異なる2つの周波数を利用して誘導加熱して焼入れする誘導加熱装置の構成を示す説明図である。
中空ラックバー10は、管状の中空素材から成り、外周面が平滑状の軸部11と、軸部11に隣接してピニオン30に噛み合わされる歯部12とが形成されているとともに、両端に位置する端部13の内周面にはボールジョイントとの接続に供されるネジ15が設けられている。中空ラックバー10は、例えばSMn433等の材料を用い、当初の硬度はHv100〜250である。
端部13側には、ソケット21を介してボールジョイント20が取り付けられている。ソケット21には、ネジ15に螺合する外周ネジ22とが設けられている。また、ソケット21は、ボールジョイント20を揺動自在に支持する構造となっており、樹脂シート23が配置されている。なお、図1中40はケーシング、50は蛇腹式のブーツを示している。
誘導加熱装置100は、中空ラックバー10を誘導加熱する誘導加熱コイル110と、変圧器としての第1の変圧器120と、例えば周波数が1kHz以上25kHz未満の電力を誘導加熱コイル110に供給して誘導加熱させる低周波出力装置140と、誘導加熱コイル110に低周波出力装置140の周波数より高い周波数、例えば100kHz以上300kHz以下の高周波電力を誘導加熱コイル110に供給して加熱させる高周波出力装置130と、制御手段150とを備えている。
誘導加熱コイル110は、高周波出力装置130及び低周波出力装置140に直列に接続されている。この誘導加熱コイル110は、高周波出力装置130と低周波出力装置140とのそれぞれから所定周波数の電力が供給され、中空ラックバー10を誘導加熱する。
第1の変圧器120は、高周波出力装置130及び低周波出力装置140に接続されるとともに誘導加熱コイル110に接続され、所定の周波数の交流電力を誘導加熱コイル110に供給する。
この第1の変圧器120は、例えば自己インダクタンスが小さいもの、すなわち空芯結合形のもので、2次側となる2次巻線122及び3次巻線123が1回巻きで、これら2次巻線122及び3次巻線123のインダクタンスの値と、誘導加熱コイル110のインダクタンスの値とが略同一となる状態に設定されたものである。そして、第1の変圧器120は、2次巻線122の一端側と、3次巻線123の他端側との間に、誘導加熱コイル110が接続されている。
高周波出力装置130は、第1の発振手段131と、第2の変圧器132と、第1のコンデンサC1と、を備えている。また、第1の発振手段131は、第1のコンバータ131Aと、第1の平滑コンデンサCf1と、第1のインバータ131Bと、を備えている。第1のコンバータ131Aは、例えば各種のブリッジ整流回路が用いられる順変換回路で、商用交流電源eに接続されて商用交流電源eの交流を直流に変換する。この変換した直流電流は、第1の平滑コンデンサCf1を介して適宜平滑され、第1のインバータ131Bへ出力される。
第1のインバータ131Bは、例えば電圧形インバータで、第1の平滑コンデンサCf1を介して入力される直流電流を所定の周波数である上述した高周波の交流電流に変換する。また、第1のインバータ131Bの出力端子間には、第2の変圧器132の1次巻線132Aが直列に接続されている。
そして、高周波出力装置130は、第2の変圧器132の2次巻線132Bの出力端子間に、第1のコンデンサC1及び第1の変圧器120の1次巻線121の直列回路が直列に接続されて構成される。
すなわち、第1のコンデンサC1は、第1のインバータ131Bから出力され第2の変圧器132を介して供給される高周波電力により直列共振状態となり、誘導加熱コイル110にて中空ラックバー10を誘導加熱させる。
また、第1のコンデンサC1は、第1の変圧器120及び誘導加熱コイル110の無効電力を補償するとともに、第1の変圧器120で低周波出力装置140から帰還される交流電力の低周波成分を減衰する。
そして、高周波出力装置130は、上述したように、周波数が100kHz以上300kHz以下の高周波電力を第1の変圧器120を介して誘導加熱コイル110に供給し、第1のコンデンサC1で直列共振により、中空ラックバー10を誘導加熱させる。
ここで、高周波出力装置130が供給する高周波電力の周波数が100kHzより低くなると、特に中空ラックバー10の所望の焼入れ品質が得られなくなるおそれがある。一方、300kHzより高くなると、良好な誘導加熱が得られにくくなるおそれがある。このため、高周波出力装置130で供給する周波数は、100kHz以上300kHz以下の範囲に設定することが好ましい。
低周波出力装置140は、第2の発振手段141と、リアクトルL1と、第2のコンデンサC2と、第3の変圧器142と、第3のコンデンサC3と、第4のコンデンサC4と、を備えている。
第2の発振手段141は、高周波出力装置130と同様に、第2のコンバータ141Aと、第2の平滑コンデンサCf2と、第2のインバータ141Bと、を備えている。また、第2のコンバータ141Aは、例えば各種のブリッジ整流回路が用いられる順変換回路で、商用交流電源eに接続されて商用交流電源eの交流を直流に変換する。この変換した直流電流は、第2の平滑コンデンサCf2を介して適宜平滑され、第2のインバータ141Bへ出力される。第2のインバータ141Bは、例えば電圧形インバータで、第2の平滑コンデンサCf2を介して入力される直流電流を上述した低周波の交流電流に変換する。
そして、低周波出力装置140は、第2のインバータ141Bの出力端子間に、リアクトルL1と、第2のコンデンサC2と、第3の変圧器142の1次巻線142Aとの直列回路が接続されている。また、低周波出力装置140は、第3の変圧器142の2次巻線142B間に、第3のコンデンサC3及び第4のコンデンサC4の直列回路が接続されている。この第3のコンデンサC3及び第4のコンデンサC4の接続点は、グラウンドに接続されている。
さらに、低周波出力装置140は、第3の変圧器142の2次巻線142Bの出力端子が、第1の変圧器120の2次巻線122の他方及び3次巻線123の一方に接続されている。そして、低周波出力装置140は、リアクトルL1が高周波出力装置130の高周波の帰還成分を減衰し、直列共振回路を構成する。
また、第3のコンデンサC3及び第4のコンデンサC4は、低周波の交流電流をバイパスするために第1の変圧器120の2次側を低いインダクタンスとした第1の変圧器120の無効電力を補償する。
そして、低周波出力装置140は、上述したように、周波数が10kHz以上25kHz未満の低周波電力を誘導加熱コイル110に供給し、リアクトルL1及び第2のコンデンサC2の直列共振により、中空ラックバー10を誘導加熱させる。
ここで、低周波出力装置140が供給する低周波電力の周波数が10kHzより低くなると、良好な誘導加熱が得られにくくなるおそれがある。一方、25kHz以上に高くなると、中空ラックバー10表面から内部に至る良好な誘導加熱が得られなくなるおそれがある。このことから、低周波出力装置140にて供給する周波数は、10kHz以上25kHz未満が好ましい。
制御手段150は、高周波出力装置130及び低周波出力装置140の動作を制御する。この制御手段150は、高周波出力装置130及び低周波出力装置140から誘導加熱コイル110に供給する交流電力の大きさを、作業者による入力操作にて設定する図示しない操作手段を備えている。具体的には、操作手段は、例えば作業者が入力操作可能な操作つまみを有する操作手段を備え、高周波出力装置130及び低周波出力装置140の最大出力をそれぞれ100%として、0%以上100%以下の範囲で操作つまみが入力操作されることで、高周波出力装置130及び低周波出力装置140を電流一定制御にて、それぞれ入力操作された設定値に対応する電流値となる交流電力をそれぞれ設定入力する。
そして、制御手段150は、高周波出力装置130による交流電力を、設定された出力割合で電流値が一定となる状態に電流一定制御で誘導加熱コイル110に供給させる。さらに、制御手段150は、低周波出力装置140による交流電力を、同様に電流一定制御で設定された出力割合で誘導加熱コイル110に供給させる。
これら高周波の交流電力及び低周波の交流電力は、それぞれ単独で供給可能であるとともに、高周波及び低周波を適宜合成して供給可能となっている。そして、制御手段150は、高周波及び低周波を合成して交流電力を供給させる際、所定の式に基づいて、高周波出力装置130の設定値を補正し、一定の交流電力を供給する状態に制御する。なお、電流一定制御であることから、設定値と供給される電流値とは正比例する関係、例えば最大規格値が10000Aである場合、設定値が9%であれば約900A、50%であればま約5000A、100%であれば約10000Aとなる。
すなわち、制御手段150は、プログラムとしての、図示しない変換値取得手段と、処理手段と、などを備えている。高周波及び低周波が合成される状態で交流電力を高周波出力装置130及び低周波出力装置140から供給することにより、中空ラックバー10の透磁率が変化し、この変化する透磁率に対応して高い周波数側となる高周波出力装置130におけるインピーダンスが低下し、高周波出力装置130から供給する交流電力が低下する。
このことにより、変換値取得手段は、低下する電力分を、重畳する前の状態に補正するための変換値としての補正値を演算し、この変換値取得手段で演算した補正値に基づいて、処理手段が高周波出力装置130を制御し、変換した補正後の設定による電流値の交流電力を供給させる。
ここで、誘導加熱に用いる周波数の選定宜行うことができる。この周波数選定に用いられる一般式を示す。
δ=5.03×10×√(ρ/[μ・f])
δ:うず電流の浸透深さ(電流密度が表面の36.8%の位置)(cm)
ρ:中空ラックバーの抵抗率(Ω・cm)
μ:中空ラックバーの比透磁率(磁性材:μ>1、非磁性材:μ=1)
f:周波数(Hz)
上述した中空ラックバー10は、次のようにして形成される。すなわち、軸部11に冷間の転写鍛造にて歯部12を形成する。具体的には、パイプ材を冷間鍛造金型によって加圧することにより歯形一次成形と共に上面が平坦に形成され、次なる工程でパイプ材の空洞に芯金が圧入される。芯金は棒状に形成されるとともに、パイプ材の平坦部側にテーパ状の突起部を有しており、突起部がパイプ材の平坦部に内周側において係合することにより平坦部の肉が成形型の歯列に向けて塑性変形的に流動することにより張出され、パイプ材の外周平坦部に成形型の歯列に対応した形状の直線方向の歯部12が転写方式にて付与される。
図3に示すように、軸部11には、その内周面側から外周面側に亘って焼入れ処理が行われた焼入れ層Kが形成されている。また、軸部11と端部13の境界部分Pには、外周面側には焼入れ処理が行われた外側焼入れ層La、内周面側には、焼入れ処理が行われていない内側未焼入層Lbが形成されている。軸部11と歯部12の境界部分Pについても同様である。このような焼入れ層K、外側焼入れ層La、内側未焼入層Lbは誘導加熱装置100を用いて次のようにして形成される。
すなわち、軸部11に低周波による高周波焼入れを行う(第1焼入れ工程)。次に、軸部11と端部13と境界部分P及び軸部11と歯部12との境界部分Pのいずれにも第1の周波数より高い高周波による高周波焼入れを行う(第2焼入れ工程)。
このように異なる周波数により高周波焼入れを行うことで、図3に示すように、焼入れ深度の異なる焼入れ層K、外側焼入れ層La、内側未焼入層Lbが形成される。なお、焼入れ層K、外側焼入れ層Laは、内側未焼入層Lbよりも硬度が高くなる。なお、図3に示す例では、連続的に焼入れ深さを変化させるようにしている。
焼入れ層K、外側焼入れ層Laが内側未焼入層Lbよりも硬度が高く形成されていると、図4に示すように、外部から荷重を受けた際に、硬度は低いが靭性の高い内側未焼入れ層Lbがあるために分離しない。このため、中空ラックバー10が外力により破壊された場合であっても、その部品が飛散することを防止することができる。
なお、上述した説明では、軸部11・歯部12と端部13との境界部分Pについて説明したが、軸部11と歯部12との境界部分Qにおいても同様の処理を行うようにしてもよい。
上述したように、本実施の形態の中空ラックバーの製造方法によれば、軸部11・歯部12と端部13との境界部分Pや軸部11と歯部12との境界部分Qにおいて、所望の強度が得られる中空ラックバー10が得られる。
なお、図5に示す例では、外側焼入れ層Laと内側未焼入層Lbとの厚さが一定長さで均等となるように形成されている。例えば、領域R1は高周波による焼入れ、領域R2は低周波による焼入れを行うことで、焼入れ層の深さを制御することができる。このような中空ラックバーの製造方法であっても、同様の効果を有する中空ラックバーを得ることができる。
なお、焼入れ層K、外側焼入れ層La、内側未焼入層Lbを形成するために、異なる2周波数を用いる場合の他、高周波焼入れの速度を変化させる方法を用いても良い。すなわち、軸部11及び歯部12に軸方向における第1の移動速度(15mm/s)による高周波焼入れを行う(第1焼入れ工程)。次に、軸部11・歯部12と端部13と境界部分P及び軸部11と歯部12との境界部分Qのいずれにも第1の移動速度より速い第2の移動速度(30mm/s)による高周波焼入れを行う(第2焼入れ工程)。
このように異なる移動速度により高周波焼入れを行うことで、焼入れ深度の異なる焼入れ層K、外側焼入れ層La、内側未焼入層Lbが形成される。なお、焼入れ層K、外側焼入れ層Laは、内側未焼入層Lbよりも硬度が高くなる。したがって、上述した周波数を異ならせて高周波焼入れを行った場合と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、材料、熱処理条件(焼入れ温度・焼戻し温度)、形状等は、適宜変更可能である。また、誘導加熱コイルに供給する低周波数及び高周波数は、前述した例に限らず、中空ラックバーの形状や寸法、材質等に応じて適宜設定できる。また、定置加熱時間や、冷却開始のタイミング、誘導加熱コイルと中空ラックバーとの相対移動速度、移動速度切換えのタイミング、低周波と高周波とを合成するタイミング、低周波単独加熱時間、低周波・高周波合成加熱時間、コイルの幅、冷却水噴射角度、などについても勿論、前述した例に限らず、中空ラックバーの形状や寸法、材質等に応じて適宜設定できる。
さらに、低周波、高周波の2周波に加え、これら2周波とは周波数が異なる他の周波数を用いてもよい。これら複数の周波数をそれぞれ単独で、あるいは2つ以上を合成して誘導加熱を行うことも検討できる。
この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
本発明の一実施の形態に係る中空ラックバーが組み込まれたラック&ピニオンギアの要部を示す縦断面図。 同中空ラックバーを焼入れする誘導加熱装置の構成を示す説明図。 同中空ラックバーの要部を示す縦断面図。 同中空ラックバーの改善点を示す説明図。 同中空ラックバーの要部の別の例を示す縦断面図。 従来の中空ラックバーの軸側端部の熱処理範囲を示す縦断面図。 従来の中空ラックバーの問題点を示す説明図。
符号の説明
10…中空ラックバー、11…軸部、12…歯部、13…端部、15…ネジ。

Claims (4)

  1. ピニオンギアに噛み合わされる歯部を軸部に有するとともに、その端部の内周面にボールジョイントとの接続に供されるネジ部が形成された中空ラックバーの製造方法において、
    前記軸部に第1の周波数による高周波焼入れを行う第1焼入れ工程と、
    前記軸部と前記端部と境界部分又は前記軸部と前記歯部との境界部分の少なくとも一方にかけて前記第1の周波数より高い第2の周波数による高周波焼入れを行う第2焼入れ工程とを備えていることを特徴とする中空ラックバーの製造方法。
  2. ピニオンギアに噛み合わされる歯部を軸部に有するとともに、その端部の内周面にボールジョイントとの接続に供される内周ネジ部が形成された中空ラックバーの製造方法において、
    前記軸部において軸方向の第1の移動速度で高周波焼入れを行う第1焼入れ工程と、
    前記軸部と前記端部との境界部分にかけて前記第1の移動速度より速い第2の移動速度による高周波焼入れを行う第2焼入れ工程とを備えていることを特徴とする中空ラックバーの製造方法。
  3. ピニオンギアに噛み合わされる歯部を有する中空状の軸部と、
    この軸部の少なくとも一方の端の内周面に設けられ、ボールジョイントとの接続に供されるネジ部が形成された端部とを備え、
    前記軸部には、その内周面側から外周面側に亘って焼入れ処理が行われた焼入れ層が形成され、
    前記軸部と前記端部との境界部分においてその外周面側には焼入れ処理が行われた外側焼入れ層、その内周面側には、焼入れ処理が行われていない内側未焼入層が形成されていることを特徴とする中空ラックバー。
  4. 前記軸部及び前記端部は、請求項1又は2の中空ラックバーの製造方法を用いて形成されていることを特徴とする請求項3に記載の中空ラックバー。
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