JP2011190510A - 通電加熱方法及び通電加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークの背面と歯面の焼入れや焼鈍しを略連続した一つの作業サイクル内で行うことができて、焼入れや焼鈍し作業の能率向上を図ると共に、背面と歯面に高精度な焼入れや焼鈍し品質を容易に得ることが可能な通電加熱方法及び通電加熱装置を提供する。
【解決手段】切替手段を背面側に切り替えて、支持手段で支持されたワークの背面の長手方向加熱範囲両端部に一対の第1接触子を接触させ該接触子に電源装置から背面用の所定の周波数及び出力の電流を供給して背面を通電加熱するステップと、該ステップ後に切替手段を歯面側に切り替えて、ワークの歯面の長手方向加熱範囲両端部に一対の第2接触子を接触させ該接触子に電源装置から歯面用の所定の周波数及び出力の電流を供給して歯面を通電加熱するステップと、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ステアリング用ラックバー等のワークの背面と歯面を、通電加熱により焼入れしたり焼き戻しする際に使用される通電加熱方法及び通電加熱装置に関する。
従来、この種の通電加熱装置としては、例えば特許文献1に開示されている。この通電加熱装置は、ラックバーの長手方向に沿って加熱範囲内で対向配置された一対の通電電極(接触子)と、該通電電極に所定周波数の電流を供給する電源装置を備え、通電電極の対向方向の略中間位置から該対向方向と略直交する水平方向に延設された端子部を介して、前記電源装置から通電電極に所定の電流を供給し、ラックバーの歯面等を通電加熱して焼入れするようにしたものである。
特許第4232973号公報
しかしながら、このような通電加熱装置にあっては、一対の接触子をラックバーの歯面と背面のいずれかに接触させつつ、歯面や背面にそれぞれ対応した所定周波数で所定出力の電流を供給することにより、ラックバーの歯面もしくは背面を通電加熱して焼入れするようになっていることから、ラックバーの背面の焼入れ後に続けて歯面を焼入れすることができない。そのため、ワックバーの背面と歯面の焼入れや焼き戻しを略連続した一つの作業サイクル内で行うことができず、作業能率が劣ると共に、ラックバーの背面や歯面に良好な焼入れや焼鈍し品質を得ることが難しいという問題点を有している。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ワークの背面と歯面の焼入れや焼鈍しを略連続した一つの作業サイクル内で行うことができて、焼入れや焼鈍し作業の能率向上を図ると共に、背面と歯面に高精度な焼入れや焼鈍し品質を容易に得ることが可能な通電加熱方法及び通電加熱装置を提供することにある。
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、切替手段を背面側に切り替えて、支持手段で支持されたワークの背面の長手方向加熱範囲両端部に一対の第1接触子を接触させ該接触子に電源装置から背面用の所定の周波数及び出力の電流を供給して背面を通電加熱するステップと、該ステップ後に前記切替手段を歯面側に切り替えて、前記ワークの歯面の長手方向加熱範囲両端部に一対の第2接触子を接触させ該接触子に前記電源装置から歯面用の所定の周波数及び出力の電流を供給して歯面を通電加熱するステップと、を備えることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記背面の通電加熱後及び前記歯面の通電加熱後に、前記各接触子間に配置された冷却手段から前記背面及び歯面に向けて冷却水を噴射するステップを備えることを特徴とする。さらに、請求項3に記載の発明は、前記切替手段の切り替え後に、前記各接触子に供給される電流の周波数と電力の少なくとも一方を調整するステップを備えることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、支持手段で支持されたワークの背面及び歯面の長手方向加熱範囲両端部に接触可能な一対の第1接触子及び第2接触子と、該各接触子間に配置された一対の冷却手段と、前記第1接触子及び第2接触子に切替手段を介して所定の電流を供給する電源装置と、該電源装置、前記冷却手段及び前記切替手段を制御する制御手段と、を備えた通電加熱装置であって、前記制御手段は、前記切替手段を背面側と歯面側に択一的に切り替えると共に、該切替手段の切替状態に応じて前記第1接触子と第2接触子のいずれかに前記電源装置から背面用と歯面用の所定の周波数及び出力の電流を供給することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記電源装置が複数のインバータ回路を有するか、もしくは周波数と出力の少なくとも一方を調整可能な一つのインバータ回路を有することを特徴とする。
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、切替手段を背面側に切り替えてワークの背面を通電加熱するステップと、このステップ後に切替手段を歯面側に切り替えてワークの歯面を通電加熱するステップを備えるため、ワークの背面と歯面の焼入れや焼鈍しを略連続した一つの作業サイクル内で行うことができて、焼入れや焼鈍し作業の能率向上を図ることができると共に、背面と歯面に良好な焼入れや焼鈍し品質を容易に得ることができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、背面の通電加熱後及び歯面の通電加熱後に、各接触子間に配置された冷却手段から背面及び歯面に向けて冷却水を噴射するステップを備えるため、冷却水でワークの背面と歯面の焼入れを能率的に行うことができると共に、背面と歯面に高精度な焼入れ品質を容易に得ることができる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、切替手段の切り替え後に、各接触子に供給される電流の周波数と出力の少なくとも一方を調整するステップを備えるため、ワークの背面と歯面の焼入れ条件を自動的に切り替えることができて、背面と歯面の焼入れや焼鈍しをより一層能率的に行うこと等ができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、制御手段により、切替手段を背面側と歯面側に択一的に切り替えると共に、この切替手段の切替状態に応じて第1接触子と第2接触子のいずれかに電源装置から背面用と歯面用の所定の周波数で出力の電流を供給するため、請求項1に記載の発明と同様に、ワークの背面と歯面の焼入れや焼鈍しを略連続した一つの作業サイクル内で行うことができて、焼入れや焼鈍し作業の能率向上を図ることができると共に、背面と歯面に高精度な焼入れや焼鈍し品質を容易に得ることができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、電源装置が複数のインバータ回路を有するか、もしくは周波数と出力の少なくとも一方を調整可能な一つのインバータ回路を有するため、ワークの背面もしくは歯面に適した電流を各インバータ回路から各接触子に確実かつ安定供給できて、作業能率や焼入れ品質等を一層向上させることができる。
本発明に係わる通電加熱装置の概略構成図 同その接触子を接触状態を示す断面図 同接触子の他の接触状態を示す正面図及びB−B線矢視図 同冷却ジャケットの説明図 同切替器及びインバータ回路の説明図 同切替器及びインバータ回路の他の例の説明図 同焼入れ方法の一例を示す工程図
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図7は、本発明に係わる通電加熱装置をラックバーの焼入れに適用した場合の一実施形態を示している。図1に示すように、本発明の通電加熱装置1が適用されるラックバー(ワークWという)は、軸線に対して所定角度をなす斜歯を有する歯面Wbと、この歯面Wbと反対側の半円弧面からなる背面Waで形成されている。
そして、通電加熱装置1は、前記ワークWの両端部を支持する支持手段としての左右のチャック2a、2bと、このチャック2a、2bを矢印イの如く移動させてワークWをチャックもしくはアンチャックするモータ等からなるチャック駆動部3と、ワークWの背面Waの長手方向加熱範囲両端部に配置された銅板等からなる一対の第1接触子4a、4bと、ワークWの歯面Wbの長手方向加熱範囲両端部に配置された銅板等からなる1対の第2接触子4c、4dを備えている。
また、前記第1接触子4a、4bには、接触子駆動部5aが接続されて、各接触子4a、4bが同時に図1の矢印ロの如く進退すると共、切替手段として切替器6の一方の出力端子が接続されている。また、前記第2接触子4c、4dには、接触子駆動部5bが接続されて、各接触子4c、4dが同時に矢印ハの如く進退すると共に、前記切替器6の他方の出力端子が接続されている。また、前記第1接触子4a、4b間及び第2接触子4c、4d間には、冷却手段としての冷却ジャケット7a及び冷却ジャケット7bが配置され、この冷却ジャケット7aには開閉バルブ等からなるジャケット駆動部8aが接続され、冷却ジャケット7bには同様のバルブ等からなるジャケット駆動部8bが接続されている。
さらに、前記切替器6は、その入力側に電源装置としてのインバータ回路9が接続されると共に、マイコンやシーケンサー等を有する制御部10が接続されている。このとき、切替器6は、図5に示すように、共通接点6aと常閉接点6b、常開接点6c及び駆動部6dを有する電磁開閉器や専用の切替器で構成され、共通接点6aがインバータ回路9に接続され、常閉接点6bが第1接触子4a、4bに接続されると共に、常開接点6cが第2接触子4c、4dに接続されている。なお、図1に示すように、前記制御部10は、切替器6の他に、インバータ回路9、チャック駆動部3、接触子駆動部5a、5b、ジャケット駆動部8a、8bがそれぞれ接続され、また、前記各ジャケット駆動部8a、8bには、冷却水タンクや水道配管等の冷却水供給部11が接続されている。
前記第1接触子4a、4b及び第2接触子4c、4dは、図2に示すように、その接触面に半円弧形状の凹部12を有し、この凹部12がワークWの円弧形状の外周面の一部に密に接触(密着)するようになっている。このとき、第1接触子4a、4bは、ワークWの背面Waに例えば上方から接触し、第2接触子4c、4dは、ワークWの歯面Wbの長手方向加熱範囲両端部の非歯面(後述する溝以外の部分)に、例えば下方から接触するようになっている。
なお、前記第2接触子4c、4dは、図2に示した形態に限定されず、例えば図3に示すように、その接触面が歯面Wbの長手方向加熱範囲両端部の最初の溝(谷)Wc内に接触するようにしても良い。また、第1接触子4a、4b及び第2接触子4c、4dは、一対の接触子のうち、一方の接触子4b、4dが図3(a)の矢印ニの如く移動可能に配設されて、歯面Wbや背面Waの長さLに対応できるように構成することもでき、この構成は、図2に示す形態の各接触子4a〜4dにも適用することができる。このように、接触子4a〜4dの形態は、ワークWの背面Waや歯面Wbの大きさや溝Wcの深さ等の形状に応じて、適宜形状の接触線や所定幅の接触面を有するものを使用できる。
前記冷却ジャケット7a、7bは、図4に示すように、内部に冷却水流路13aが形成されたジャケット本体13を有し、このジャケット本体13のワークWの歯面Wbもしくは背面Waと対向する上面もしくは下面には、多数の噴射孔13bが形成されている。このとき、歯面Wb側の冷却ジャケット7bの噴射孔13bは、歯面Wbの斜歯に沿って斜め方向に形成されている。そして、ジャケット本体13の冷却水流路13aに前記ジャケット駆動部8a、8bが作動することにより、前記冷却水供給部11から冷却水が供給され、噴射孔13bから矢印ホの如くワークWの歯面Wb(もしくは背面Wa)に向けて噴射されるようになっている。
前記インバータ回路9は、半導体スイッチング素子を使用したインバータ回路で構成され、所定周波数(例えば60〜100Hz)で、所定出力(例えば100〜150KW)の交流電流をその出力端子から前記切替器6に出力するようになっている。このインバータ回路9は、図5に示すように、その内部に、前記各接触子4a〜4dに供給する電流の周波数や出力及び時間を調整可能な出力調整部14を有しており、前記制御部10からの制御信号により出力調整部14が調整されて、例えば背面焼入れ用の電流と歯面焼入れ用の電流の例えば2種類の電流が出力されるようになっている。
なお、電源装置としてのインバータ回路9の構成は、図5に限定されず、例えば図6に示すように、インバータ回路9が、背面焼入れ用の第インバータ回路9aと、歯面焼入れ用の第2インバータ回路9bを有し、この各インバータ回路9a、9bの出力端子を切替器6の共通端子6aに接続するようにしても良い。この場合、第1インバータ回路9aと第2インバータ回路9bは、制御部10の制御信号により択一的に作動状態とされるが、切替器6の構成を、一入力・二出力の切り替えではなく、二入力・二出力の切り替えとすることにより、両インバータ回路9a、9bを共に動作状態とすることもできる。このように構成すれば、各インバータ回路9a、9bから第1接触子4a、4bと第2接触子4c、4dに所定の(専用の)電流が供給されることになる。また、この場合、第1インバータ回路9aと第2インバータ回路9bに前記出力調整部14を設けるようにして、背面焼入れ用や歯面焼入れ用の電流を決め細かに制御するようにしても良い。
次に、前記通電加熱装置1を使用したワークWの焼入れ作業の一例を図7の工程図に基づいて説明する。なお、以下の説明では、電源装置としてのインバータ回路9が図5に示す如く構成されているものとする。先ず、前記ワークWを左右のチャック2a、2bでチャック(K01)し、前記接触子駆動部5a、5bを作動させて、第1接触子4a、4bと第2接触子4c、4dをワークWの背面Waと歯面Wbに対して前進(K02)させて、第1接触子4a、4bをワークWの背面Waの長手方向加熱範囲両端部に接触させると共に、第2接触子4c、4dをワークWの歯面Wbの長手方向加熱範囲両端部に接触させる。
この状態で、制御部10の制御信号により切替器6の駆動部6dを作動させ、該切替器6を背面側に切り替え(K03)る。そして、この状態で、制御部10の制御信号により、前記出力調整部14を調整して、背面焼入れ用の電流を第1接触子4a、4bに所定時間供給して背面Waを通電加熱(K04)し、この通電加熱が終了すると略同時に、制御部10の制御信号によりジャケット駆動部8aを所定時間作動させて冷却ジャケット7aから冷却水を噴射して、加熱された背面Waを冷却(K05)する。この所定時間の加熱及び冷却により、ワークWの背面Waが焼入れされる。
次に、ワークWの背面Waが焼入れされたら、制御部10の制御信号により切替器6を歯面Wb側に切り替え(K06)、この状態で制御部10の制御信号によりインバータ回路9の出力調整部14を調整して、歯面焼入れ用の電流を第2接触子4c、4dに所定時間供給して歯面Wbを通電加熱(K07)し、この通電加熱が終了すると略同時に、制御部10の制御信号によりジャケット駆動部8bを所定時間作動させて冷却ジャケット7bから冷却水を噴射して、加熱された歯面Wbを冷却(K08)する。
この所定時間の加熱及び冷却により、ワークWの歯面Wbが焼入れされる。この歯面Wbの焼入れが終了したら、前記接触子駆動部5a、5bを作動させて、各接触子4a〜4dを後退(K09)させ、各接触子4a〜4dとワークWの接触状態を解除する。その後、制御部10の制御信号によりチャック駆動部3を作動させ、チャック2a、2bを後退させて、ワークWをアッチャック(K10)し、左右のチャック2a、2bからワークWを取り出すことにより、一連の焼入れ作業が終了する。つまり、ワークWの背面Waと歯面Wbの焼入れが、制御部10の制御信号により、ワークWをセットしたままの状態において、略連続した1サイクルの工程で行えることになる。
なお、以上の焼入れ方法は、一例であって、例えば工程K02における接触子4a〜4dの前進を第1接触子4a、4bのみとし、工程K06の後に第2接触子4c、4dを前進させる等、第1接触子4a、4bと第2接触子4c、4dを個別に動作可能としても良い。また、図7においては、ワークWの背面Waや歯面Wbを焼入れする場合について説明したが、これらを焼き戻しする場合には、工程K05、K08の冷却工程を省略すれば良い。さらに、ワークWの背面Waと歯面Waを同一の通電状態で加熱する場合は、インバータ回路9の出力調整部14を調整することなく、一定出力の電流を各接触子4a〜4dに供給するようにすれば良い。
このように、前記通電加熱装置1によれば、制御部10により、切替器6を背面側と歯面側に択一的に切り替えると共に、この切替器6の切替状態に応じて第1接触子4a、4bと第2接触子4c、4dのいずれかにインバータ回路9から所定の周波数で出力の電流を所定時間供給するため、ワークWの背面Waと歯面Wbの焼入れや焼鈍しを略連続した一つの作業サイクル内で行うことができて、焼入れや焼鈍し作業の能率向上を図ることができると共に、ワークWの背面Waと歯面Wbに高精度な焼入れや焼鈍し品質を容易に得ることができる。
また、電源装置としてのインバータ回路9を、周波数と出力を調整可能な一つのインバータ回路で構成すれば、制御部10により出力調整部14を介して背面用の電流と歯面用の電流をそれぞれ出力することができ、インバータ回路9の構成を簡略化して、通電加熱装置1を安価に形成することができる。また、インバータ回路9を、背面用と歯面用の専用の2つのインバータ回路9a、9bで構成すれば、ワークWの背面Waや歯面Wbに所定の電流を確実に安定供給できると共に、制御部10による制御を簡略化することができる。
さらに、第1接触子4a、4b及び第2接触子4c、4dに半円弧形状の凹部12を設けるように構成すれば、各接触子4a〜4dをワークWの背面Waや歯面Wbの非歯部に密着できて、通電状態を安定化させ、通電時のスパーク等の発生を抑えて、ワークWの歯面Wbや背面Waに一層高精度な焼入れや焼き戻し品質を容易に得ることができる。また、第2接触子4c、4dが、ワークWの歯面Wbの溝Wc内に接触するように構成すれば、第2接触子4c、4dとワークWの歯面Wbとの位置決めが確実となり、通電時の第2接触子4c、4dの動き等を確実に規制して、通電状態を安定化させ、ワークWの歯面Wbに高精度な焼入れや焼き戻し品質を容易に得ることができる。
また、本発明の通電加熱方法によれば、切替器6を背面側に切り替えてワークWの背面Waを通電加熱する工程と、この工程後に切替器6を歯面側に切り替えてワークWの歯面Wbを通電加熱する工程を備えるため、ワークWの背面Waと歯面Wbの焼入れや焼鈍しを略連続した一つの作業サイクル内で行うことができて、焼入れや焼鈍し作業の能率向上を図ることができると共に、ワークWの背面Waと歯面Wbに良好な焼入れや焼鈍し品質を容易に得ることができる。
また、背面Waの通電加熱後及び歯面Wbの通電加熱後に、各接触子4a、4b及び4c、4d間に配置された冷却ジャケット7a及び冷却ジャケット7bから背面Wa及び歯面Wbに向けて冷却水を噴射する工程を備えるため、冷却水でワークWの背面Waと歯面Wbの焼入れを能率的に行うことができると共に、ワークWの背面Waと歯面Wbに高精度な焼入れ品質を容易に得ることができる。さらに、切替器6の切り替え時に、インバータ回路9から出力される電流の周波数と出力の少なくとも一方を調整する工程K04、K07を備えるため、ワークWの背面Waと歯面Wbの焼入れ条件等を自動的に切り替えることができて、背面Waと歯面Wbの焼入れや焼鈍しをより一層能率的に行うこと等ができる。
なお、前記実施形態における、各接触子4a〜4dの形態やワークWへの接触位置、冷却ジャケット7a、7bの形態、インバータ回路9から出力される電流の周波数等は一例であって、例えばワークWの背面Wa側と歯面Wb側の接触子4a、4b及び4c、4dの形態を異ならせる等、ワークWの形態に応じて適宜に変更することができる。
本発明は、ワークとしてラックバーに限定されず、歯面等の焼入れ焼鈍し面と、これと反対の面に焼入れや焼き戻しを必要とする背面を有する各種ワークにも利用できる。
1・・・通電加熱装置、2a、2b・・・チャック、3・・・チャック駆動部、4a、4b・・・第1接触子、4b、4d・・・第2接触子、5a、5b・・・接触子駆動部、6・・・切替器、7a、7b・・・冷却ジャケット、8a、8b・・・ジャケット駆動部、9・・・インバータ回路、9a・・・第1インバータ回路、9b・・・第2インバータ回路、10・・・制御部、11・・・冷却水供給部、12・・・凹部、13・・・ジャケット本体、13a・・・冷却水流路、13b・・・噴射孔、14・・・出力調整部、W・・・ワーク(ラックバー)、Wa・・・背面、Wb・・・歯面、Wc・・・溝(谷)。

Claims (5)

  1. 切替手段を背面側に切り替えて、支持手段で支持されたワークの背面の長手方向加熱範囲両端部に一対の第1接触子を接触させ該接触子に電源装置から背面用の所定の周波数及び出力の電流を供給して背面を通電加熱するステップと、該ステップ後に前記切替手段を歯面側に切り替えて、前記ワークの歯面の長手方向加熱範囲両端部に一対の第2接触子を接触させ該接触子に前記電源装置から歯面用の所定の周波数及び出力の電流を供給して歯面を通電加熱するステップと、を備えることを特徴とする通電加熱方法。
  2. 前記背面の通電加熱後及び前記歯面の通電加熱後に、前記各接触子間に配置された冷却手段から前記背面及び歯面に向けて冷却水を噴射するステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の通電加熱方法。
  3. 前記切替手段の切り替え後に、前記各接触子に供給される電流の周波数と電力の少なくとも一方を調整するステップを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の通電加熱方法。
  4. 支持手段で支持されたワークの背面及び歯面の長手方向加熱範囲両端部に接触可能な一対の第1接触子及び第2接触子と、該各接触子間に配置された一対の冷却手段と、前記第1接触子及び第2接触子に切替手段を介して所定の電流を供給する電源装置と、該電源装置、前記冷却手段及び前記切替手段を制御する制御手段と、を備えた通電加熱装置であって、
    前記制御手段は、前記切替手段を背面側と歯面側に択一的に切り替えると共に、該切替手段の切替状態に応じて前記第1接触子と第2接触子のいずれかに前記電源装置から背面用と歯面用の所定の周波数及び出力の電流を供給することを特徴とする通電線加熱装置。
  5. 前記電源装置が複数のインバータ回路を有するか、もしくは周波数と出力の少なくとも一方を調整可能な一つのインバータ回路を有することを特徴とする請求項4に記載の通電加熱装置。
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