JP4926728B2 - スプラインシャフト、熱処理方法および熱処理装置 - Google Patents

スプラインシャフト、熱処理方法および熱処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、誘導加熱を用いたスプラインシャフトの熱処理に関する。特に、スプライン部が異形であり、かつシャフトの軸方向から突出する段差部や凸部などを有するスプラインシャフトの熱処理に関する。
従来、2つの異なる周波数の電力を誘導加熱コイルに供給して、ワークの熱処理を行う誘導加熱装置が知られ、このような誘導加熱装置によりワークを加熱した後、冷却することによって、高周波焼入れが行われる(例えば、特許文献1、2)。
特許文献1では、2周波の電力を1つの誘導加熱コイルに同時に供給し、2周波の電力配分または加熱時間をそれぞれ任意に変えることにより、ワークの加熱深さを調整している。
また、特許文献2では、二電源による2周波の電力を1つの誘導加熱コイルに供給し、二電源からコイルへの出力を加熱部位に応じて制御装置で切換え、ラックバーにおけるラック部の歯面・背面、およびラック部に隣接する軸部に移動焼入れを実施している。
具体的に、軸部を加熱する際は高周波・低周波のうち高周波を選択し、高周波で加熱する。他方、ラック部を加熱する際は、高周波電力および低周波電力を同時にコイルに供給する。これにより、ラック部の歯底および歯先を含めたラックバーの表面に所定深さで所定硬度の焼入硬化層を形成している。
ここで、ワークとして、軸中心からの距離が一定でない異形のスプライン部を有するスプラインシャフトがあり、回転を与えながら加熱する必要上、このような異形スプラインシャフトの各歯に対応するコイルが製作されない。なお、スプライン部が異形でなくても、モデュール規格外のスプライン部であればそのスプラインの歯に通常のコイルが対応しない。
特開2003−342633号公報(図5、図6) 特開2004−315851号公報(図3、段落0018〜0020)
特許文献1、2の方法により、スプライン部は熱処理できるかもしれないが、スプライン部に隣接する位置に、歯底に対して立ち上がりかつ歯先と同等の高さを持つ段差部が形成されたスプラインシャフトの熱処理は、環状等とされる誘導加熱コイルの内側にこのような段差部が入らないことと、以下のような事情とにより、困難である。
この段差部は、例えば、スプライン部の転造エンド部・余り肉とされたツバ状のものであり、このような段差部が形成されたスプラインシャフト熱処理には、次のような問題が生じる。
(1)一発焼入れ方式・ヘアピン型コイル使用の場合
歯先、歯底および、段差部のシャフト軸方向に対して立ち上がる部分、の各部位における昇温のバランスをとることが、加熱装置の電源周波数帯を最大に利用したとしても不可能である。すなわち、シャフトの軸方向に沿った縦軸電流および近接効果の相乗により、歯先および立ち上がり部における昇温が強いため、歯底における加熱深さが不足する。
(2)一発焼入れ方式・ターン型コイル使用の場合
段差部の径は、スプライン部の最大径(歯先部分)と同等程度に大きいため、シャフト軸方向に対する立ち上がり部の角隅部(R部)に対向する1ターンのコイルを設計することができない。すなわち、段差部と歯底とがなす略直角の角隅部付近が昇温不足となる。逆に、立ち上がり部先端には熱応力が集中し、溶損が生じてしまう。
(3)移動焼入れ方式・ヘアピン型コイル使用の場合
(1)と同様、歯底において充分な昇温を得ることができないので、歯底の加熱深さが不足する。
(4)移動焼入れ方式・ターン型コイル使用の場合
1ターンのコイルでは、移動したとしても、(2)と同様、R部には対向しないので、立ち上がり部のR部が昇温不足となり、R部先端部は溶損する。
つまり、特許文献1、2の方法により、スプライン部は熱処理できるかもしれないが、段差部を有するスプラインシャフトの熱処理は極めて困難である。
本発明の目的は、段差部が形成されたスプラインシャフトに関し、その熱処理方法および熱処理装置、並びに熱処理がされた段差付きスプラインシャフトを提供することにある。
本発明の熱処理方法は、歯山および歯底を有するスプライン部と、このスプライン部の軸方向端部と連続し前記歯底から立ち上がる段差部と、を有するスプラインシャフトを当該スプラインシャフトの周方向に沿って囲む誘導加熱コイルにより加熱し、焼入れを行う熱処理方法であって、前記スプラインシャフトが前記誘導加熱コイルに対して前記段差部側から前記スプラインシャフトの軸方向に沿って前記段差部とは反対側に移動するように、前記誘導加熱コイルと前記スプラインシャフトとを相対移動可能に設け、前記段差部において前記歯底からの立ち上がり部と交差し前記スプラインシャフトの軸方向にほぼ沿って延びる軸方向部に前記誘導加熱コイルが対向した状態で開始し、周波数の異なる2周波の電力のうち低周波電力を単独で前記誘導加熱コイルに供給する低周波供給工程と、前記低周波電力よりも高周波の高周波電力を前記低周波電力と合成して前記誘導加熱コイルに供給する2周波供給工程と、を備え、前記低周波供給工程は、前記軸方向部または前記立ち上がり部に前記誘導加熱コイルが対向した状態で前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとを相対移動させずに定置状態とする定置時間を有し、この定置時間後、少なくとも前記立ち上がり部が前記誘導加熱コイルを通過するまで前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとを相対移動させており、前記低周波供給工程および前記2周波供給工程を通じて、前記誘導加熱コイルを通過した前記スプラインシャフトの部位に冷却液を連続的に供給することにより、焼入れを行うことを特徴とする。
この発明によれば、移動焼入れ方式において、段差部を加熱する際に定置状態とする時間を設け、かつ、低周波単独での加熱開始、冷却開始に続き、段差部の立ち上がり部が誘導加熱コイルを通過した後のタイミングで2周波による誘導加熱を開始するので、段差部の立ち上がり部と、スプライン部の歯底と歯山とのそれぞれが適切に昇温し、これら立ち上がり部、歯底、および歯山のそれぞれに所定硬度の焼入硬化層を充分な焼入深さで形成することができる。なお、定置加熱後、移動加熱を行い、スプラインシャフトにおいて誘導加熱コイルを通過した加熱済みの部位に冷却液を噴射するため、段差部が昇温するのに支障がない。
ここで、低周波供給工程における低周波での定置加熱・移動加熱により、段差部において誘導加熱コイルと近接する部位が過熱で溶損することもなく、立ち上がり部基端の角隅部(R部)を含めた立ち上がり部全体に亘って適切な加熱深さが得られる。
また、立ち上がり部が誘導加熱コイルを通過した後に開始する2周波供給工程では、低周波によって歯底が昇温し、高周波によって歯山が昇温するので、スプライン部の表面全体に亘り、適切な加熱深さが得られる。
すなわち、本発明におけるスプラインシャフトには、歯山と歯底との凹凸に加え、歯底と段差部との凹凸があり、誘導加熱コイルとの距離が各部位によって異なるが、これら各部位それぞれで所定温度に昇温でき、各部位の表面それぞれに充分な硬さ、硬化深さの焼入硬化層を形成できる。言い換えると、表面温度は一定の状態で加熱深さをコントロールできる。
このように、高周波加熱および低周波数加熱それぞれの特長を生かし、低周波単独での定置加熱、ワーク(スプラインシャフト)の移動開始、冷却開始、および2周波合成での加熱開始を行うことにより、段差部が形成されたスプラインシャフトにおいて、スプライン部および段差部両方の焼入れを適切に行うことができる。
なお、スプラインシャフトと誘導加熱コイルとを相対移動させる態様としては、位置が固定された誘導加熱コイルに対してスプラインシャフトを移動させるものや、位置が固定されたスプラインシャフトに対して誘導加熱コイルを移動させるものなどがある。
なお、誘導加熱コイルには、1ターンや複数ターンの環状のコイル等を使用できる。
また、段差部には、例えば、スプライン部の径よりも大径とされた部分が該当し、そのほか、スプライン部の歯底から立ち上がる突起状の部分なども含まれる。さらに、段差部の立ち上がり部は、スプラインシャフトの軸方向に対して立ち上がる部分をいい、スプライン部の歯底からだけでなく歯山からも立ち上がっている場合がある。立ち上がり部は、スプラインシャフトの歯底から突出していればよく、スプラインシャフトの軸に対する立ち上がり角度などは問わない。
本発明の熱処理方法では、前記スプライン部が異形とされているスプラインシャフトを熱処理対象とすることが好ましい。
この発明によれば、異形とされ各歯に対応するコイルが製作されず、単独の周波数による加熱では所定の加熱深さが得られない異形スプラインシャフトを処理対象とするからこそ、本発明の効果を際立たせることができる。
本発明の熱処理方法では、前記低周波供給工程は、前記2周波供給工程における前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとの相対移動速度よりも低速で前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとを相対移動させる低速移動時間を有し、前記低速移動時間は、前記誘導加熱コイルに対向する前記スプラインシャフトの位置が、前記立ち上がり部から前記スプライン部に移行するタイミングを含むことが好ましい。
この発明によれば、移動速度が遅いことで段差部がより確実に昇温し、特に、立ち上がり部が誘導加熱コイルを通過する際の移動速度が低速であることで、立ち上がり部基端の角隅部における昇温をより充分に得ることができる。
ここで、この低速移動時間の時間や、移動速度を調整することにより、立ち上がり部の加熱深さなどを調整可能となる。
本発明の熱処理方法において、前記低周波供給工程は、前記立ち上がり部が前記誘導加熱コイルを通過した後の所定時間継続されることが好ましい。
この発明によれば、スプライン部の立ち上がり部側の端縁部が高周波ではなく低周波で加熱されることで、立ち上がり部表面の過加熱を防止できる。
本発明の熱処理装置は、歯山および歯底を有するスプライン部と、このスプライン部の軸方向端部と連続し前記歯底から立ち上がる段差部と、を有するスプラインシャフトを当該スプラインシャフトの周方向に沿って囲む誘導加熱コイルにより加熱する熱処理装置であって、前記スプラインシャフトが前記誘導加熱コイルに対して前記段差部側から前記スプラインシャフトの軸方向に沿って前記段差部とは反対側に移動するように、前記誘導加熱コイルと前記スプラインシャフトとを相対移動可能とする移動装置と、周波数の異なる2周波の電力のうち低周波電力を出力する低周波出力装置と、前記低周波電力よりも高周波の高周波電力を出力する高周波出力装置と、前記誘導加熱コイルを通過した前記スプラインシャフトの部位に冷却液を供給する冷却装置と、を備え、前記誘導加熱コイルには、前記低周波電力が単独で、または、前記低周波電力と前記高周波電力とが合成されて供給され、前記低周波出力装置は、前記段差部において前記歯底からの立ち上がり部と交差し前記スプラインシャフトの軸方向にほぼ沿って延びる軸方向部と前記誘導加熱コイルとが対向した状態から、前記スプラインシャフトの前記段差部とは反対側の端部が前記誘導加熱コイルを通過するまで、前記低周波電力を出力し、前記高周波出力装置は、前記立ち上がり部が前記誘導加熱コイルを通過した後から、前記スプラインシャフトの前記段差部とは反対側の端部が前記誘導加熱コイルを通過するまで、前記高周波電力を出力し、前記移動装置は、前記軸方向部または前記立ち上がり部に前記誘導加熱コイルが対向した状態で所定の定置時間、前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとを相対移動させずに定置状態とすることを特徴とする。
この発明によれば、前記の熱処理方法と略同様、段差部を加熱する際に定置状態とされ、かつ、低周波単独での加熱開始、冷却開始に続き、段差部の立ち上がり部を誘導加熱コイルが通過した後のタイミングで2周波による誘導加熱が開始される。これにより、段差部の立ち上がり部、歯底、および歯山のそれぞれに所定硬度の焼入硬化層を充分な焼入深さで形成することができ、段差部が形成されたスプラインシャフトの焼入れを適切に行うことができる。
本発明の熱処理装置では、前記スプライン部が異形とされているスプラインシャフトを熱処理対象とすることが好ましい。
この発明によれば、前述と同様に、異形スプラインシャフトを処理対象とするからこそ、本発明の効果を際立たせることができる。
本発明の熱処理装置では、前記移動装置は、前記誘導加熱コイルに対向する前記スプラインシャフトの位置が、前記立ち上がり部から前記スプライン部に移行するタイミングを含む所定の低速移動時間では、前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとの相対移動速度をその他の時間における前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとの相対移動速度よりも低速にしていることが好ましい。
この発明によれば、誘導加熱コイルが立ち上がり部を通過する際の移動速度が低速であることで、立ち上がり部基端の角隅部における昇温をより充分に得ることができる。
本発明の熱処理装置では、前記冷却装置は、前記スプラインシャフトの軸方向に対して傾斜する方向から前記冷却液を噴射することが好ましい。
この発明によれば、冷却液の噴射角度がスプラインシャフトの軸方向に対して斜めであることで、立ち上がり部基端の角隅部を含めた立ち上がり部全体に冷却液が充分にかかる。すなわち、この冷却液の噴射角度により、段差部およびスプライン部の端部それぞれが急冷され、所定硬度の焼入硬化層をより確実に形成できる。
本発明のスプラインシャフトは、歯山および歯底を有するスプライン部と、このスプライン部の軸方向端部と連続し前記歯底から立ち上がる段差部と、を有するスプラインシャフトであって、前記段差部側から前記スプラインシャフトの軸方向に沿って前記段差部とは反対側に移動するように、前記誘導加熱コイルに対して相対移動可能とされ、前記誘導加熱コイルにより当該スプラインシャフトの周方向に沿って加熱され、かつ冷却されることによって焼入硬化層が形成され、前記焼入硬化層は、前記誘導加熱コイルに供給される周波数の異なる2周波の電力のうち低周波電力により、前記段差部において前記歯底からの立ち上がり部と交差し前記スプラインシャフトの軸方向にほぼ沿って延びる軸方向部から、前記スプラインシャフトの前記段差部とは反対側の端部まで、前記立ち上がり部および前記歯底の間の角隅部と、前記歯底とをそれぞれ含んで形成された低周波硬化パターンと、前記低周波電力よりも高周波でありかつ前記低周波電力と合成されて前記誘導加熱コイルに供給される高周波電力により、前記スプライン部の軸方向一端部から他端部まで、前記歯山を含んで形成された2周波硬化パターンと、を有していることを特徴とする。
この発明によれば、前記熱処理方法および前記熱処理装置と略同様に2周波が用いられ、低周波硬化パターンと高周波硬化パターンとにより、段差部の立ち上がり部、歯底、および歯山のそれぞれに所定硬度の焼入硬化層が充分な焼入深さで形成される。これにより、段差部が形成されたスプラインシャフトの誘導加熱焼入れが可能となる。
本発明のスプラインシャフトでは、前記スプライン部は、異形とされていることが好ましい。
この発明によれば、異形とされ各歯に対応するコイルが製作されず、単独の周波数による加熱では所定の加熱深さが得られない異形スプラインシャフトへの適用により、本発明の効果を大きくすることができる。
本発明のスプラインシャフトでは、前記段差部は、前記スプライン部の周方向全体に亘って、前記スプライン部の前記歯山と同等または同等以上の径で形成されていることが好ましい。
この発明によれば、スプライン形状でありながらスプライン部の歯山と略同等またはそれ以上に突出する段差部を有し、各部位において所定の加熱深さを実現することが難しいスプラインシャフトにこそ、本発明を適用することが好ましく、ここに本発明の効果を際立たせることができる。
なお、段差部が歯山と同等またはそれ以上の径で大径に形成されているため、この段差部を冶具などによって良好に保持することができる。
以上の本発明によれば、段差部が形成されたスプラインシャフトに関し、その熱処理方法および熱処理装置と、熱処理された段差付きのスプラインシャフトとをそれぞれ実現できる。
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
〔1.熱処理装置の全体構成〕
図1は、本実施形態における熱処理装置が備える誘導加熱装置100の概略構成を示す回路図である。ここで、この熱処理装置は、図2および図3に示すスプラインシャフト200を誘導加熱および冷却により表面焼入れするものであり、図1の誘導加熱装置100のほか、スプラインシャフト200を移動させる図示しない移動装置を備えて構成されている。
〔2.誘導加熱装置の構成〕
図1において、100は熱処理装置としての誘導加熱装置で、この誘導加熱装置100は、異なる2つの周波数を利用して、スプラインシャフト200を誘導加熱して焼入れする装置である。
この誘導加熱装置100は、スプラインシャフト200を誘導加熱する誘導加熱コイル110と、変圧器としての第1の変圧器120と、例えば周波数が1kHz以上50kHz未満の電力を誘導加熱コイル110に供給して誘導加熱させる低周波出力装置140と、誘導加熱コイル110に低周波出力装置140の周波数より高い周波数、例えば10kHz以上400kHz以下の高周波電力を誘導加熱コイル110に供給して加熱させる高周波出力装置130と、制御手段150と、を備えている。
誘導加熱コイル110は、高周波出力装置130および低周波出力装置140に直列に接続されている。この誘導加熱コイル110は、高周波出力装置130と低周波出力装置140とのそれぞれから所定周波数の電力が供給され、スプラインシャフト200を誘導加熱する。
第1の変圧器120は、高周波出力装置130および低周波出力装置140に接続されるとともに誘導加熱コイル110に接続され、所定の周波数の交流電力を誘導加熱コイル110に供給する。
この第1の変圧器120は、例えば自己インダクタンスが小さいもの、すなわち空芯結合形のもので、2次側となる2次巻線122および3次巻線123が1回巻きで、これら2次巻線122および3次巻線123のインダクタンスの値と、誘導加熱コイル110のインダクタンスの値とが略同一となる状態に設定されたものである。そして、第1の変圧器120は、2次巻線122の一端側と、3次巻線123の他端側との間に、誘導加熱コイル110が接続されている。
高周波出力装置130は、第1の発振手段131と、第2の変圧器132と、第1のコンデンサC1と、を備えている。また、第1の発振手段131は、第1のコンバータ131Aと、第1の平滑コンデンサCf1と、第1のインバータ131Bと、を備えている。
第1のコンバータ131Aは、例えば各種のブリッジ整流回路が用いられる順変換回路で、商用交流電源eに接続されて商用交流電源eの交流を直流に変換する。この変換した直流電流は、第1の平滑コンデンサCf1を介して適宜平滑され、第1のインバータ131Bへ出力される。
第1のインバータ131Bは、例えば電圧形インバータで、第1の平滑コンデンサCf1を介して入力される直流電流を所定の周波数である上述した高周波の交流電流に変換する。また、第1のインバータ131Bの出力端子間には、第2の変圧器132の1次巻線132Aが直列に接続されている。
そして、高周波出力装置130は、第2の変圧器132の2次巻線132Bの出力端子間に、第1のコンデンサC1および第1の変圧器120の1次巻線121の直列回路が直列に接続されて構成される。
すなわち、第1のコンデンサC1は、第1のインバータ131Bから出力され第2の変圧器132を介して供給される高周波電力により直列共振状態となり、誘導加熱コイル110にてスプラインシャフト200を誘導加熱させる。
また、第1のコンデンサC1は、第1の変圧器120および誘導加熱コイル110の無効電力を補償するとともに、第1の変圧器120で低周波出力装置140から帰還される交流電力の低周波成分を減衰する。
そして、高周波出力装置130は、上述したように、周波数が10kHz以上400kHz以下の高周波電力を第1の変圧器120を介して誘導加熱コイル110に供給し、第1のコンデンサC1で直列共振により、スプラインシャフト200を誘導加熱させる。
ここで、高周波出力装置130が供給する高周波電力の周波数が10kHzより低くなると、特にスプラインシャフトのスプライン部の凹凸被加熱面において良好な焼入れが得られなくなるおそれがある。一方、400kHzより高くなると、良好な誘導加熱が得られにくくなるおそれがある。このため、高周波出力装置130で供給する周波数は、10kHz以上400kHz以下の範囲に設定することが好ましい。
低周波出力装置140は、第2の発振手段141と、リアクトルL1と、第2のコンデンサC2と、第3の変圧器142と、第3のコンデンサC3と、第4のコンデンサC4と、を備えている。
第2の発振手段141は、高周波出力装置130と同様に、第2のコンバータ141Aと、第2の平滑コンデンサCf2と、第2のインバータ141Bと、を備えている。
また、第2のコンバータ141Aは、例えば各種のブリッジ整流回路が用いられる順変換回路で、商用交流電源eに接続されて商用交流電源eの交流を直流に変換する。この変換した直流電流は、第2の平滑コンデンサCf2を介して適宜平滑され、第2のインバータ141Bへ出力される。第2のインバータ141Bは、例えば電圧形インバータで、第2の平滑コンデンサCf2を介して入力される直流電流を上述した低周波の交流電流に変換する。
そして、低周波出力装置140は、第2のインバータ141Bの出力端子間に、リアクトルL1と、第2のコンデンサC2と、第3の変圧器142の1次巻線142Aとの直列回路が接続されている。また、低周波出力装置140は、第3の変圧器142の2次巻線142B間に、第3のコンデンサC3および第4のコンデンサC4の直列回路が接続されている。この第3のコンデンサC3および第4のコンデンサC4の接続点は、グランドに接続されている。
さらに、低周波出力装置140は、第3の変圧器142の2次巻線142Bの出力端子が、第1の変圧器120の2次巻線122の他方および3次巻線123の一方に接続されている。そして、低周波出力装置140は、リアクトルL1が高周波出力装置130の高周波の帰還成分を減衰し、直列共振回路を構成する。
また、第3のコンデンサC3および第4のコンデンサC4は、低周波の交流電流をバイパスするために第1の変圧器120の2次側を低いインダクタンスとした第1の変圧器120の無効電力を補償する。
そして、低周波出力装置140は、上述したように、周波数が1kHz以上50kHz未満の低周波電力を誘導加熱コイル110に供給し、リアクトルL1および第2のコンデンサC2の直列共振により、スプラインシャフト200を誘導加熱させる。
ここで、低周波出力装置140が供給する低周波電力の周波数が1kHzより低くなると、良好な誘導加熱が得られにくくなるおそれがある。一方、50kHz以上に高くなると、スプラインシャフト200表面から内部に至る良好な誘導加熱が得られなくなるおそれがある。このことから、低周波出力装置140にて供給する周波数は、1kHz以上50kHz未満が好ましい。
制御手段150は、高周波出力装置130および低周波出力装置140の動作を制御する。この制御手段150は、高周波出力装置130および低周波出力装置140から誘導加熱コイル110に供給する交流電力の大きさを、作業者による入力操作にて設定する図示しない操作手段を備えている。具体的には、操作手段は、例えば作業者が入力操作可能な操作つまみを有する操作手段を備え、高周波出力装置130および低周波出力装置140の最大出力をそれぞれ100%として、0%以上100%以下の範囲で操作つまみが入力操作されることで、高周波出力装置130および低周波出力装置140を電流一定制御にて、それぞれ入力操作された設定値に対応する電流値となる交流電力をそれぞれ設定入力する。
そして、制御手段150は、高周波出力装置130による交流電力を、設定された出力割合で電流値が一定となる状態に電流一定制御で誘導加熱コイル110に供給させる。
さらに、制御手段150は、低周波出力装置140による交流電力を、同様に電流一定制御で設定された出力割合で誘導加熱コイル110に供給させる。
これら高周波の交流電力および低周波の交流電力は、それぞれ単独で供給可能であるとともに、高周波および低周波を適宜合成して供給可能となっている。そして、制御手段150は、高周波および低周波を合成して交流電力を供給させる際、所定の式に基づいて、高周波出力装置130の設定値を補正し、一定の交流電力を供給する状態に制御する。なお、電流一定制御であることから、設定値と供給される電流値とは正比例する関係、例えば最大規格値が10000Aである場合、設定値が9%であれば約900A、50%であれば約5000A、100%であれば約10000Aとなる。
すなわち、制御手段150は、プログラムとしての、図示しない変換値取得手段と、処理手段と、などを備えている。高周波および低周波が合成される状態で交流電力を高周波出力装置130および低周波出力装置140から供給することにより、スプラインシャフト200の透磁率が変化し、この変化する透磁率に対応して高い周波数側となる高周波出力装置130におけるインピーダンスが低下し、高周波出力装置130から供給する交流電力が低下する。
このことにより、変換値取得手段は、低下する電力分を、重畳する前の状態に補正するための変換値としての補正値を演算し、この変換値取得手段で演算した補正値に基づいて、処理手段が高周波出力装置130を制御し、変換した補正後の設定による電流値の交流電力を供給させる。
〔3.スプラインシャフトの構成〕
次に、本実施形態の熱処理装置のワークであるスプラインシャフトの構成を説明する。
図2は、スプラインシャフト200の外観側面図である。スプラインシャフト200は、歯山211および歯底212を有するスプライン部210と、冶具などで保持される略円柱状の軸部290とを備えている。ここで、軸部290は、スプライン部210と連続する側に、スプラインシャフト200の軸方向に対して突出する段差部としての径大部250を有している。
なお、本実施形態では、スプラインシャフト200の材質はS35C鋼とされ、冷間鍛造により形成されている。また、スプライン部210の最大径は20mmとされているが、スプラインシャフト200の材質や径はこれに限らない。
図3(A)は、スプラインシャフト200のスプライン部210および径大部250を示す縦断面図であり、図3(B)はスプラインシャフト200の平面図を示す。
スプライン部210は、図3(B)に示すように、異形とされており、6つの歯山211が2つずつ近接して配置され、形状の異なる歯底212A,212Bが各歯山211の間に形成されている。これらの歯底212A,212Bそれぞれにおいて、軸中心からの距離は異なり、これらの歯底212A,212Bの両方に所定の焼入深さの焼入硬化層を形成する必要があるが、以下では、これらの歯底212A,212Bを特に区別する必要がない場合、これらを歯底212と総称する。また、以下では、スプラインシャフト200の軸方向をSという。
径大部250は、図3(B)に示すように、スプライン部210の歯山211と略同等の径とされており、図3(A)に示すように、歯底212から立ち上がる立ち上がり部251と、立ち上がり部251と交差し軸方向Sにほぼ沿う軸方向部252とを含んで形成されている。
なお、立ち上がり部251は歯底212に対して例えば約5mmの高さで略直角に立ち上がり、立ち上がり部基端にR部251Rが形成されている。
〔4.スプラインシャフトの熱処理概略〕
次に図4を参照して、スプラインシャフト200の誘導加熱焼入れの概略を説明する。
すなわち、スプラインシャフト200を誘導加熱装置100(図1)の誘導加熱コイル110の内周側に配置し、図示しない移動装置によって回転を与えながら、誘導加熱コイル110に対してスプラインシャフト200を軸方向Sに沿って移動させる。
スプラインシャフト200の熱処理開始位置は、図4に示すように、誘導加熱コイル110の内周面110Aに軸方向部252が対向する位置であり、図4の状態から、スプラインシャフト200を軸方向Sに沿って下方に移動させ、スプライン部210の径大部250とは反対側の端部が誘導加熱コイル110の内周面110Aを通過したとき、スプラインシャフト200への加熱を終了する。
ここで、誘導加熱コイル110は、環状で幅6mmの1ターン(巻数1回)とされているとともに、冷却水(焼入水)を噴射する冷却装置と一体化されている。図4中、115は冷却水の噴射孔を示し、本実施形態では誘導加熱コイル110の周方向に沿って多数の噴射孔115が4列で千鳥配列され、冷却幅は20.0mm以上となっている。
また、本実施形態では、R部251Rを含めて立ち上がり部251全体に冷却水がかかるように、噴射孔115の噴射角度を軸方向Sに対して約30°に設定している。
〔5.スプラインシャフトの硬化パターン〕
本実施形態のスプラインシャフト200は、前述した誘導加熱装置100(図1)を備える熱処理装置によって誘導加熱焼入れされる。
図5は、焼入れ完了したスプラインシャフト200を示し、(A)および(B)はそれぞれ、図2のA−A線、B−B線断面図である。
スプラインシャフト200の表面には、軸方向Sに沿って焼入硬化層270が形成されている。なお、図5中、280はスプラインシャフト200の素地である。
焼入硬化層270は、低周波出力装置140(図1)による低周波電力の供給により形成される低周波硬化パターン271と、高周波出力装置130(図1)による高周波電力の供給により形成される高周波硬化パターン272とを含んで形成されている。なお、図5では、低周波硬化パターン271をライトグレー(淡灰色)で示し、高周波硬化パターン272をダークグレー(濃灰色)で示す。
ここで、低周波出力装置140で誘導加熱コイル110に供給する低周波電力の周波数は、本実施形態では10kHzとし、高周波出力装置130で誘導加熱コイル110に供給する高周波電力の周波数は、本実施形態では200kHzとしている。
低周波硬化パターン271は、R部251Rおよび歯底212を含む所定の焼入深さで形成されている。一方、高周波硬化パターン272は、立ち上がり部251および歯底212のいずれも含まずに歯山211の部分に、低周波硬化パターン271よりも浅い焼入深さで当該低周波硬化パターン271の外側に形成されている。
〔6.スプラインシャフトの熱処理工程〕
次に、図4、図6〜図8を参照して、図5のような硬化パターン271,272を有するスプラインシャフト200の熱処理方法について説明する。
前述した誘導加熱装置100を備える熱処理装置により、低周波・高周波の2周波を用いてスプラインシャフト200を径大部250側から焼入れするが、処理開始から所定時間は低周波電力を誘導加熱コイル110に供給し、その後は低周波・高周波の2周波を合成して誘導加熱コイル110に供給する。
図6は、低周波・高周波をそれぞれ供給するタイミングと冷却のタイミングを示す(熱処理サイクル)。図6のグラフの縦軸は、誘導加熱コイル110の内周面110Aに径大部250の軸方向部252が対向した状態(図4)を位置「0」として、スプラインシャフト200が軸方向Sに沿って移動した位置を示し、グラフ横軸は、位置「0」における加熱処理開始時からの経過時間を示す。
すなわち、スプラインシャフト200の熱処理方法は、処理開始時T0から所定時間、低周波を単独で誘導加熱コイル110に供給する低周波供給工程P1と、所定タイミングで、低周波・高周波を合成して誘導加熱コイル110に供給する2周波供給工程P2とを備えている。
また、図示しない移動装置により、誘導加熱コイル110に対してスプラインシャフト200を軸方向Sに沿って移動させるが、その際の移動速度を途中まで低速としている。
さらに、誘導加熱コイル110に装備された冷却装置により、処理開始時T0から遅れて開始されスプラインシャフト200に冷却水を噴射する冷却工程Qが行われる。
〔低周波供給工程〕
低周波供給工程P1では、処理開始T0から所定の定置時間T1、誘導加熱コイル110に対してスプラインシャフト200を移動させずに定置状態とし、その後、図示しない移動装置により、誘導加熱コイル110に対してスプラインシャフト200を低速で移動させる(低速移動時間T2)。ここで、低速移動時間T2は、誘導加熱コイル110に対向するスプラインシャフト200の位置が立ち上がり部251からスプライン部210に移行するタイミングを含む。
そして、低速移動時間T2の間の所定のタイミングで、冷却水の噴射を開始する。この冷却は、立ち上がり部251(図4)が誘導加熱コイル110の内周面110Aを通過した直後のタイミングで開始することで、冷却水の跳ね返りを防止して噴射孔115からの冷却水が立ち上がり部251と軸方向部252とに充分に掛かるようにする。本実施形態では、約7mmの位置で冷却開始しているが、立ち上がり部251の形状等に応じて、冷却開始タイミングは適宜設定できる。このようなタイミングで冷却することで、冷却時の変態の遅れで引っ張り応力が掛かり軸方向部252やスプライン部210でクラックが発生することを防止できる。
なお、冷却は、スプラインシャフト200の移動により、誘導加熱コイル110の内周面110Aを通過したスプラインシャフト200の部位に冷却水を連続的に噴射して行う。
低速移動時間T2の後は、誘導加熱コイル110に対するスプラインシャフト200の移動速度を上げ、低周波による誘導加熱を連続して行う。
すなわち、低周波供給工程P1では、定置加熱後、移動加熱を所定時間低速で行い、かつ遅れ冷却を開始する。ここで、この低周波供給工程P1は、立ち上がり部251が誘導加熱コイル110を通過するまで行えばよいが、本実施形態では、立ち上がり部251が誘導加熱コイル110を通過した後も、スプライン部210の端部に誘導加熱コイル110の内周面110Aが対向する所定時間継続して低周波単独による誘導加熱を行う。
なお、本実施形態では、定置時間は約0.5秒以内、低速移動時間T2における移動速度は約5mm/秒、低速移動時間T2後の移動速度は約15mm/秒に設定しているが、これらはスプラインシャフト200の形状等に応じて適宜設定できる。
以上の低周波供給工程P1における誘導加熱により、スプラインシャフト200の軸方向部252から立ち上がり部251にかけて、所定の加熱深さが得られ、この誘導加熱焼入れの結果、図7に示すように、立ち上がり部251のR部251Rを含んだ領域に所定硬度で所定焼入深さの低周波硬化パターン271が形成される。
なお、図7に示したスプラインシャフト200は、仮に、低周波のみを単独で供給することでスプライン部210および径大部250の焼入れを行った際の例を示している。この例では、歯山211部分は昇温不足による未溶解フェライトが多くなり、硬度が不足する。一方、スプライン部210の軸心を含む中心部は、ズブ加熱となり不適切であった。
〔2周波供給工程〕
続いて、2周波供給工程P2(図6)では、低周波・高周波を合成してスプライン部210(図4)の移動加熱および冷却を行う。この2周波供給工程P2は、本実施形態では処理開始時T0から約1.7秒後に開始し、スプライン部210の上端部が誘導加熱コイル110を通過するまで、約3秒間加熱した後、低周波出力装置140および高周波出力装置130(図1)それぞれによる加熱を終了する。
なお、2周波供給工程P2を開始するタイミングはスプラインシャフト200の形状等に応じて適宜設定できる。
また、高周波を用いる2周波供給工程P2では、スプライン部210の軸心を含む所定範囲に熱影響が至らない未焼部を確保するために、スプラインシャフト200を約15mm/秒の比較的高速で移動させる。
この2周波供給工程P2により、図5に示したように、スプライン部210の歯底212における低周波硬化パターン271および、歯山211における高周波硬化パターン272が形成される。
ここで、高周波のみを単独で供給することでスプライン部210および径大部250の焼入れを行った場合の例を図8に示す。この図8の場合は、径大部250において誘導加熱コイル110に最も近接し、かつ熱伝導により熱応力が最も集中する部位、すなわち軸方向部252と立ち上がり部251とが交差する部位Zで溶損(黒色で示す)が生じてしまう。これに対して本実施形態では、上記低周波供給工程P1においてこの立ち上がり部251および軸方向部252を含む部分を低周波で加熱してから、2周波供給工程P2ではスプライン部210から、高周波によって加熱する。このため、図5に示すように、溶損は生じない。
〔定置冷却〕
最後に、定置冷却を10秒程度行い、スプラインシャフト200の誘導加熱焼入れを完了する。
[7.硬さ分布]
図9は、図5に示した焼入れ完了後のスプラインシャフト200の焼入硬化層270における硬さ分布を示す。ここで、丸や三角等は、図5などに示したスプラインシャフト200の各部位にそれぞれ対応しており、白丸は歯底212Aの硬さを、白三角は歯底212Bの硬さを、黒丸は歯山211の硬さを、白四角はR部251Rの硬さをそれぞれ示す。図9に示すように、これらスプラインシャフト200の各部位において、焼入れ後の表面硬さは約600HVであり、焼入深さは約2mmであった。
[8.本実施形態による効果]
以上のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)誘導加熱装置100を備えた熱処理装置によって低周波供給工程P1および2周波供給工程P2を実施し、スプラインシャフト200の各部位に応じて低周波単独で、あるいは低周波・高周波の合成でそれぞれ誘導加熱を行うことによって、径大部250の立ち上がり部251と、スプライン部210の歯底212・歯山211とのそれぞれが適切に昇温する。これにより、これら立ち上がり部251、歯底212、および歯山211のそれぞれに所定硬度の焼入硬化層270を充分な焼入深さで形成することができる。
低周波供給工程P1における低周波での定置加熱・移動加熱により、径大部250において誘導加熱コイル110と近接する部位が過熱で溶損することもなく、立ち上がり部251基端のR部251Rを含めた立ち上がり部251全体に亘って適切な加熱深さが得られる。
また、誘導加熱コイル110が立ち上がり部251を通過した後に開始する2周波供給工程P2では、低周波によって歯底212が昇温し、高周波によって歯山211が昇温するので、スプライン部210の表面全体に亘り、適切な加熱深さが得られる。
すなわち、高周波加熱および低周波数加熱それぞれの特長を生かし、径大部250が形成されたスプラインシャフトにおいて、スプライン部210および径大部250両方の焼入れを適切に行うことができる。
(2)低周波供給工程P1は低速移動時間T2を有し、誘導加熱コイル110が立ち上がり部251を通過する際の移動速度が低速であることで、立ち上がり部251基端のR部251Rにおける昇温をより充分に得ることができる。
(3)低周波供給工程P1は、誘導加熱コイル110が立ち上がり部251を通過した後の所定時間継続されるため、スプライン部210の立ち上がり部251側の端縁部が高周波加熱されず、これによって立ち上がり部251の過熱を防止できる。
(4)誘導加熱コイル110に実装された冷却装置による噴射角度が、スプラインシャフト200の軸方向に対して傾斜しているため、立ち上がり部251基端のR部251Rを含めた立ち上がり部251全体に冷却水が充分にかかる。これにより、径大部250およびスプライン部210の端部それぞれが急冷され、所定硬度の焼入硬化層270をより確実に形成できる。
〔本発明の変形例〕
図10は、本発明の変形例に係るワーク(被焼入物)9を示す。すなわち、このワーク9は、歯山91および歯底92を有する歯車部90と、歯山91と同等の径のツバ部95とを備えており、歯底92から立ち上がる立ち上がり部951基端側への焼入れが難しい点では、前述したスプラインシャフト200と同様である。
このようなワーク9の誘導加熱焼入れも、前述した誘導加熱コイル110(図4)を有する誘導加熱装置100(図1)と、ワークの移動装置とを備える熱処理装置により、また、前述した低周波供給工程P1および2周波供給工程P2(図6)と略同様の方法により、行うことができる。
ここで、ツバ部95の立ち上がり寸法などに基づいて、誘導加熱に用いる周波数の選定を適宜行うことができる。この周波数選定に用いられる一般式を示す。

δ:うず電流の浸透深さ(電流密度が表面の36.8%の位置)(cm)
ρ:ワークの抵抗率(Ω・cm)
μ:ワークの比透磁率(磁性材:μ>1、非磁性材:μ=1)
f:周波数(Hz)
すなわち、本発明の熱処理方法および熱処理装置は、歯山および歯底などの凹凸部と、その凹部から立ち上がる部分とを含む各種ワークに汎用的に用いることができる。
また、誘導加熱コイルに供給する低周波数および高周波数は、前述した例に限らず、ワークの形状や寸法、材質等に応じて適宜設定できる。また、定置加熱時間や、冷却開始のタイミング、誘導加熱コイルとワークとの相対移動速度、移動速度切換えのタイミング、低周波と高周波とを合成するタイミング、低周波単独加熱時間、低周波・高周波合成加熱時間、コイルの幅、冷却水噴射角度、などについても勿論、前述した例に限らず、ワークの形状や寸法、材質等に応じて適宜設定できる。
なお、低周波、高周波の2周波に加え、これら2周波とは周波数が異なる他の周波数を用いてもよい。これら複数の周波数をそれぞれ単独で、あるいは2つ以上を合成して誘導加熱を行うことも検討できる。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明の実施形態における誘導加熱装置の概略構成回路図。 前記実施形態におけるワークであるスプラインシャフトの外観側面図。 前記スプラインシャフトの縦断面図および平面図。 前記スプラインシャフトの誘導加熱焼入れの概略を説明するための図。 前記スプラインシャフトの焼入硬化パターンを示す図。 前記実施形態における熱処理サイクルを示す図。 仮に、低周波単独で熱処理した場合の硬化パターンを示す図。 仮に、高周波単独で熱処理した場合の硬化パターンを示す図。 前記スプラインシャフトの各部位における硬さ分布を示す図。 本発明の変形例を示す図。
符号の説明
100 誘導加熱装置
110 誘導加熱コイル
115 噴射孔
130 高周波出力装置
140 低周波出力装置
200 スプラインシャフト
210 スプライン部
211 歯山
212 歯底
212A 歯底
212B 歯底
250 径大部(段差部)
251 立ち上がり部
251R R部(角隅部)
252 軸方向部
270 焼入硬化層
271 低周波硬化パターン
272 高周波硬化パターン
P1 低周波供給工程
P2 2周波供給工程
S 軸方向
T1 定置時間
T2 低速移動時間

Claims (11)

  1. 歯山および歯底を有するスプライン部と、このスプライン部の軸方向端部と連続し前記歯底から立ち上がる段差部と、を有するスプラインシャフトを当該スプラインシャフトの周方向に沿って囲む誘導加熱コイルにより加熱し、焼入れを行う熱処理方法であって、
    前記スプラインシャフトが前記誘導加熱コイルに対して前記段差部側から前記スプラインシャフトの軸方向に沿って前記段差部とは反対側に移動するように、前記誘導加熱コイルと前記スプラインシャフトとを相対移動可能に設け、
    前記段差部において前記歯底からの立ち上がり部と交差し前記スプラインシャフトの軸方向にほぼ沿って延びる軸方向部に前記誘導加熱コイルが対向した状態で開始し、周波数の異なる2周波の電力のうち低周波電力を単独で前記誘導加熱コイルに供給する低周波供給工程と、
    前記低周波電力よりも高周波の高周波電力を前記低周波電力と合成して前記誘導加熱コイルに供給する2周波供給工程と、を備え、
    前記低周波供給工程は、前記軸方向部または前記立ち上がり部に前記誘導加熱コイルが対向した状態で前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとを相対移動させずに定置状態とする定置時間を有し、この定置時間後、少なくとも前記立ち上がり部が前記誘導加熱コイルを通過するまで前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとを相対移動させており、
    前記低周波供給工程および前記2周波供給工程を通じて、前記誘導加熱コイルを通過した前記スプラインシャフトの部位に冷却液を連続的に供給することにより、焼入れを行う
    ことを特徴とするスプラインシャフトの熱処理方法。
  2. 請求項1に記載のスプラインシャフトの熱処理方法において、
    前記スプライン部が異形とされているスプラインシャフトを熱処理対象とする
    ことを特徴とするスプラインシャフトの熱処理方法。
  3. 請求項1または2に記載のスプラインシャフトの熱処理方法において、
    前記低周波供給工程は、前記2周波供給工程における前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとの相対移動速度よりも低速で前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとを相対移動させる低速移動時間を有し、
    前記低速移動時間は、前記誘導加熱コイルに対向する前記スプラインシャフトの位置が、前記立ち上がり部から前記スプライン部に移行するタイミングを含む
    ことを特徴とするスプラインシャフトの熱処理方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のスプラインシャフトの熱処理方法において、
    前記低周波供給工程は、前記立ち上がり部が前記誘導加熱コイルを通過した後の所定時間継続される
    ことを特徴とするスプラインシャフトの熱処理方法。
  5. 歯山および歯底を有するスプライン部と、このスプライン部の軸方向端部と連続し前記歯底から立ち上がる段差部と、を有するスプラインシャフトを当該スプラインシャフトの周方向に沿って囲む誘導加熱コイルにより加熱する熱処理装置であって、
    前記スプラインシャフトが前記誘導加熱コイルに対して前記段差部側から前記スプラインシャフトの軸方向に沿って前記段差部とは反対側に移動するように、前記誘導加熱コイルと前記スプラインシャフトとを相対移動可能とする移動装置と、
    周波数の異なる2周波の電力のうち低周波電力を出力する低周波出力装置と、
    前記低周波電力よりも高周波の高周波電力を出力する高周波出力装置と、
    前記誘導加熱コイルを通過した前記スプラインシャフトの部位に冷却液を供給する冷却装置と、を備え、
    前記誘導加熱コイルには、前記低周波電力が単独で、または、前記低周波電力と前記高周波電力とが合成されて供給され、
    前記低周波出力装置は、前記段差部において前記歯底からの立ち上がり部と交差し前記スプラインシャフトの軸方向にほぼ沿って延びる軸方向部と前記誘導加熱コイルとが対向した状態から、前記スプラインシャフトの前記段差部とは反対側の端部が前記誘導加熱コイルを通過するまで、前記低周波電力を出力し、
    前記高周波出力装置は、前記立ち上がり部が前記誘導加熱コイルを通過した後から、前記スプラインシャフトの前記段差部とは反対側の端部が前記誘導加熱コイルを通過するまで、前記高周波電力を出力し、
    前記移動装置は、前記軸方向部または前記立ち上がり部に前記誘導加熱コイルが対向した状態で所定の定置時間、前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとを相対移動させずに定置状態とする
    ことを特徴とするスプラインシャフトの熱処理装置。
  6. 請求項5に記載のスプラインシャフトの熱処理装置において、
    前記スプライン部が異形とされているスプラインシャフトを熱処理対象とする
    ことを特徴とするスプラインシャフトの熱処理装置。
  7. 請求項5または6に記載のスプラインシャフトの熱処理装置において、
    前記移動装置は、前記誘導加熱コイルに対向する前記スプラインシャフトの位置が、前記立ち上がり部から前記スプライン部に移行するタイミングを含む所定の低速移動時間では、前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとの相対移動速度をその他の時間における前記スプラインシャフトと前記誘導加熱コイルとの相対移動速度よりも低速にしている
    ことを特徴とするスプラインシャフトの熱処理装置。
  8. 請求項5から7のいずれかに記載のスプラインシャフトの熱処理装置において、
    前記冷却装置は、前記スプラインシャフトの軸方向に対して傾斜する方向から前記冷却液を噴射する
    ことを特徴とするスプラインシャフトの熱処理装置。
  9. 歯山および歯底を有するスプライン部と、このスプライン部の軸方向端部と連続し前記歯底から立ち上がる段差部と、を有するスプラインシャフトであって、
    前記段差部側から前記スプラインシャフトの軸方向に沿って前記段差部とは反対側に移動するように、前記誘導加熱コイルに対して相対移動可能とされ、
    前記誘導加熱コイルにより当該スプラインシャフトの周方向に沿って加熱され、かつ冷却されることによって焼入硬化層が形成され、
    前記焼入硬化層は、
    前記誘導加熱コイルに供給される周波数の異なる2周波の電力のうち低周波電力により、前記段差部において前記歯底からの立ち上がり部と交差し前記スプラインシャフトの軸方向にほぼ沿って延びる軸方向部から、前記スプラインシャフトの前記段差部とは反対側の端部まで、前記立ち上がり部および前記歯底の間の角隅部と、前記歯底とをそれぞれ含んで形成された低周波硬化パターンと、
    前記低周波電力よりも高周波でありかつ前記低周波電力と合成されて前記誘導加熱コイルに供給される高周波電力により、前記スプライン部の軸方向一端部から他端部まで、前記歯山を含んで形成された2周波硬化パターンと、を有している
    ことを特徴とするスプラインシャフト。
  10. 請求項9に記載のスプラインシャフトにおいて、
    前記スプライン部は、異形とされている
    ことを特徴とするスプラインシャフト。
  11. 請求項9または10に記載のスプラインシャフトにおいて、
    前記段差部は、前記スプライン部の周方向全体に亘って、前記スプライン部の前記歯山と同等または同等以上の径で形成されている
    ことを特徴とするスプラインシャフト。
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