JP2003027143A - 高周波焼入方法及び歯車 - Google Patents

高周波焼入方法及び歯車

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JP2003027143A JP2001217613A JP2001217613A JP2003027143A JP 2003027143 A JP2003027143 A JP 2003027143A JP 2001217613 A JP2001217613 A JP 2001217613A JP 2001217613 A JP2001217613 A JP 2001217613A JP 2003027143 A JP2003027143 A JP 2003027143A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】歯先の歯すじ方向一端部を硬化させずに歯底を
広い領域に渡って硬化させて歯車の強度を向上させる高
周波焼入方法を提供する。 【解決手段】歯車10を治具40に固定し、歯先22に
環状の誘導加熱コイル50を接近させる。この状態で誘
導加熱コイル50に高周波電流を通し、歯先22の他の
部分22bと歯底24とが所定の予熱温度になるように
加熱する。続いて、歯先22の他の部分22bと歯底2
4とを約2秒間だけ放冷した。その後直ちに、歯先22
の他の部分22bと歯底24とを所定の焼入温度に加熱
した。この加熱の後、これらの部分に冷却液を噴射して
これらを急冷した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯先のうち歯すじ
方向一端部を除いた他の部分を硬化させると共に歯底も
硬化させるように歯車を高周波焼入れする高周波焼入方
法及び歯車に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、様々な産業装置(機械)にお
いて、様々な歯車が使用されている。歯車を製造する際
には、一般に、その耐摩耗性や強度などを向上させるた
めに、歯先、歯面、及び歯底を高周波焼入れしてこれら
に硬化層を形成する。
【0003】ところで、様々な歯車のなかには、歯先の
うち歯すじ方向一端部を除いた他の部分を硬化させるよ
うに高周波焼入れされるものがある。このような歯車で
は、歯先のうち歯すじ方向一端部は硬化されないので、
通常、この一端部は高周波焼入れ後に機械加工される。
【0004】歯車の歯先のうち歯すじ方向一端部を硬化
しないようにこの歯車を高周波焼入れする場合、上記の
歯すじ方向一端部を除いた他の部分に誘導加熱コイルを
接近させ、この他の部分を焼入温度に加熱して急冷す
る。この場合、歯面も歯底も焼入温度に加熱されて急冷
される。しかし、歯先のうち歯すじ方向一端部には誘導
加熱コイルが接近していないので、この歯すじ方向一端
部に対応する歯底の部分も焼入温度に加熱されない。従
って、この歯底の部分は硬化されにくい。即ち、この歯
底の部分が硬化される面積は、歯先のうち歯すじ方向一
端部を除いた他の部分が硬化される面積よりも狭くな
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように歯底のう
ち歯すじ方向一端部が硬化されにくい場合、その分、歯
底の強度が低下して歯車の強度が低下することとなる。
歯底の全て(全領域)を硬化して歯車の強度を向上させ
るためには、歯先の全面に誘導加熱コイルを接近させて
この全面を焼入温度に加熱する。しかし、このようにし
て歯先の全面を硬化させた場合、焼入れ後に、歯先の歯
すじ方向一端部を非常に機械加工しにくい。
【0006】本発明は、上記事情に鑑み、歯先の歯すじ
方向一端部を硬化させずに歯底を広い領域に渡って硬化
させて歯車の強度を向上させる高周波焼入方法、及び強
度を向上した歯車を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の高周波焼入方法は、歯車の歯先のうち歯すじ
方向一端部を除いた他の部分を硬化させると共に歯底及
び歯面も硬化させるように前記歯車を高周波焼入れする
高周波焼入方法において、(1)前記歯先の前記他の部
分に誘導加熱コイルを接近させて該他の部分、前記歯
底、及び前記歯面を所定の予熱温度になるように誘導加
熱し、この誘導加熱の直後に、(2)前記歯車を所定の
放冷時間だけ放冷し、この放冷の直後に、(3)前記所
定の予熱温度よりも高い所定の焼入温度になるように前
記歯先の前記他の部分、前記歯底、及び前記歯面を誘導
加熱し、(4)前記歯先の前記他の部分、前記歯底、及
び前記歯面を急冷して該他の部分、該歯底、及び該歯面
を硬化することを特徴とするものである。
【0008】ここで、(5)前記歯車を前記所定の放冷
時間だけ放冷する際に、1秒間以上5秒間以下の範囲内
の放冷時間だけ放冷してもよい。
【0009】また、(6)前記歯先の前記他の部分、前
記歯底、及び前記歯面を前記所定の予熱温度に加熱する
予熱時間は、前記所定の放冷時間よりも長い時間であ
り、(7)前記歯先の前記他の部分、前記歯底、及び前
記歯面を前記所定の焼入温度に加熱する本加熱時間は、
前記放冷時間と同じ時間若しくは該放冷時間よりも長い
時間であり、前記予熱時間と同じ時間若しくは該予熱時
間よりも短い時間であってもよい。
【0010】さらに、(8)前記予熱時間を3乃至4と
したときに、前記放冷時間は1乃至2となり、前記本加
熱時間は2乃至3となるような比で、前記予熱時間、前
記放冷時間、及び前記本加熱時間を設定してもよい。
【0011】さらにまた、(9)前記歯先の前記他の部
分、前記歯底、及び前記歯面を前記所定の予熱温度にな
るように誘導加熱する際の周波数、及び、前記歯先の前
記他の部分、前記歯底、及び前記歯面を前記所定の焼入
温度になるように誘導加熱する際の周波数を、20kH
z以上40kHz以下の周波数に設定してもよい。
【0012】さらにまた、(10)前記周波数を25k
Hz以上35kHz以下の周波数に設定してもよい。
【0013】また、上記目的を達成するための本発明の
歯車は、(11)歯すじ方向一端部に所定幅の未硬化部
分が形成された歯先と、(12)前記所定幅と略同じ幅
であって前記歯先の未硬化部分に連続する未硬化部分が
形成された歯面と、(13)前記所定幅と略同じ幅であ
って前記歯面の未硬化部分に連続する未硬化部分が形成
された歯底とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】ここで、(14)前記歯先の未硬化部分
は、機械加工代であってもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施形態
を説明する。
【0016】先ず、本発明の高周波焼入方法の一実施形
態によって高周波焼入れされる歯車について、図1と図
2を参照して説明する。
【0017】図1は、高周波焼入れの対象になる歯車を
示す平面図である。図2は、歯車の一部を示す斜視図で
ある。
【0018】歯車10の歯部20には、この歯部20の
外側に向いた歯先22と歯底24が交互に形成されてい
る。歯先22と歯底24は、底部12の厚さ方向(歯す
じ方向。図2の矢印B方向であり、図1の紙面に垂直な
方向である。)に延びている。なお、歯車10は鋼製で
あり、S45C(JIS)から作製されている。
【0019】歯車10を高周波焼入れするに当っては、
歯先22のうち歯すじ方向の一端部22a(図2の斜線
で示す領域)を硬化させず、他の部分22bを硬化させ
る。また、歯底24は出来るだけ広い領域にわたって硬
化させる。
【0020】図3と図4を参照して、歯車10の歯部2
0を高周波焼入れする方法を説明する。
【0021】図3は、歯車の歯部とこの歯部に接近させ
た誘導加熱コイルの一部を示す側面図である。図4は、
歯部を誘導加熱して急冷するときのヒートパターンを示
すグラフである。
【0022】歯車10を高周波焼入れするに際しては、
図3に示すように、歯車10を治具40に固定する。治
具40に固定された歯車10の歯先22の他の部分22
bに環状の誘導加熱コイル50を接近させる。上記のよ
うに歯先22の他の部分22bに誘導加熱コイル50を
接近させた状態で誘導加熱コイル50に高周波電流を通
し、歯先22の他の部分22b、歯面23b、及び歯底
24が所定の予熱温度になるように所定の予熱時間だけ
加熱(予熱)する。ここでは、図5に示すように、歯先
22の他の部分22bを908℃に加熱し、歯底24を
897℃に加熱した。また、誘導加熱の際の周波数を3
0kHzとし、予熱時間を3.5秒間とした。
【0023】上記のようにして歯先22の他の部分22
b、歯面23b、及び歯底24が所定の予熱温度に加熱
された後、誘導加熱コイル50に高周波電流を通さずに
歯先22の他の部分22b、歯面23b、及び歯底24
を所定の放冷時間(2秒間)だけ放冷した。この放冷に
よって、歯先22の他の部分22b、歯面23b、及び
歯底24の温度は、約650〜680℃の範囲内の温度
まで下がった。
【0024】上記の放冷の後、直ちに、誘導加熱コイル
50に高周波電流を通し、歯先22の他の部分22b、
歯面23b、及び歯底24を所定の焼入温度に所定の時
間(本加熱時間)だけ加熱した。ここでは、図5に示す
ように、歯先22の他の部分22bを1015℃に加熱
し、歯底24を1026℃に加熱した。また、誘導加熱
の際の周波数を30kHzとし、本加熱時間を2.5秒
間とした。
【0025】歯先22の他の部分22b、歯面23b、
及び歯底24が上記の焼入温度に加熱された後、これら
の部分に冷却液を噴射してこれらを急冷した。冷却液の
噴射量は60リットル/分であり、14秒間だけ噴射し
た。この結果、歯先22の他の部分22b、歯面23
b、及び歯底24に所望の硬化深さをもつ硬化層が形成
された。ここでは、限界硬さを450(Hv)としたと
きの有効硬化層深さは、歯先22の他の部分22bで
2.8mmであり、歯底24で1.8mmであった。次
に、硬化された領域について説明する。
【0026】図5を参照して、歯車10の歯先22、歯
面23b、及び歯底24が硬化された領域(硬化領域)
について説明する。
【0027】図5は、歯先、歯面、及び歯底の硬化領域
を示す斜視図であり、斜線部分及びクロス線部分双方が
硬化された領域である。
【0028】上述したように、高周波焼入れの際には、
誘導加熱コイル50を他の部分22bに接近させる。し
かし、歯すじ方向一端部22a(斜線もクロス線も無い
部分)に対向する位置には、誘導加熱コイル50が存在
しないので、この一端部22aは加熱されにくい。従っ
て、一端部22aは硬化されていない。また、この一端
部22aに連続する歯面23の一部23a(斜線もクロ
ス線も無い部分)及び歯底24の一部24a(斜線もク
ロス線も無い部分)も硬化されていない。一端部22a
と一部24aの歯すじ方向(矢印B方向)長さはほぼ同
じであった。
【0029】ところで、上記した実施形態では、歯先2
2、歯面23b、及び歯底24を焼入温度に加熱するに
先立って、これらを予熱して放冷した。この結果、歯底
24では、斜線部分とクロス線部分が硬化された領域と
なった。これに対し、上記した予熱と放冷を行わずに歯
先22、歯面23b、及び歯底24を焼入温度に加熱し
た場合、歯底24では斜線部分のみが硬化領域となり、
クロス線部分は硬化されない非硬化領域となる。
【0030】このように予熱と放冷を行って焼入れをし
た場合、歯底24の硬化領域が広くなるので、予熱と放
冷を行わない焼入れに比べて歯車10の強度が向上す
る。なお、上記の実施形態では予熱の後に放冷を行った
が、放冷時間が長すぎた場合、硬化深さが深くなり過ぎ
る。また、目的とする硬化深さによっては放冷を行わな
くてもよい。
【0031】ここで、放冷時間について実験した結果を
説明する。
【0032】上記した例では、放冷時間を2秒間とした
が、放冷時間を種々に変えて実験を行った。この結果、
放冷時間が1秒間未満のときは、歯底の硬化領域は狭く
なり、歯底の強度は向上しなかった。この理由は、歯底
の加熱領域を広げられずこの加熱領域が狭かったからで
あると考えられる。一方、放冷時間が5秒間を超えると
きは、歯先の硬化領域が広くなりすぎた。このため、焼
入れ後に歯先を機械加工しにくくなった。この理由は、
歯先の加熱領域が広くなりすぎたからだと考えられる。
以上の結果、放冷時間は、1秒間以上5秒間以下の範囲
内が最適である
【0033】次に、予熱時間、放冷時間、及び本加熱時
間の関係について実験した結果を説明する。
【0034】この実験では、予熱時間を所定の放冷時間
よりも長くし、本加熱時間を放冷時間と同じ時間若しく
は放冷時間よりも長くすると共に予熱時間と同じ時間若
しくは予熱時間よりも短い時間とした。このように予熱
時間、放冷時間、及び本加熱時間を設定することによ
り、歯先の硬化領域に比べて歯底の硬化領域が広くな
り、歯底の強度が向上した。
【0035】上記した予熱時間、放冷時間、及び本加熱
時間を比で表した場合、 予熱時間:放冷時間:本加熱時間=(3乃至4):(1
乃至2):(2乃至3) となった。
【0036】このような比で表される時間を設定するこ
とにより、歯先の硬化領域に比べて歯底の硬化領域がい
っそう確実に広くなったので、歯底の強度がいっそう確
実に向上した。
【0037】また、予熱と本加熱の際に周波数を種々に
変えて実験した結果を説明する。
【0038】この実験によれば、予熱と本加熱の際の周
波数が20kHz未満のときは、歯先の温度が上がり過
ぎて歯先の硬化領域が広くなり過ぎたので、焼入れ後に
おける歯先の機械加工が困難になった。一方、周波数が
40kHzを超えるときは、歯底の温度が十分に加熱さ
れずに歯底の硬化領域が狭くなったので、歯底の強度が
低下した。従って、歯先の他の部分、歯底、及び歯面を
所定の予熱温度になるように誘導加熱する際の周波数、
及び、歯先の他の部分、歯底、及び歯面を所定の焼入温
度になるように誘導加熱する際の周波数を、20kHz
以上40kHz以下の周波数に設定することにより、歯
先と歯底の硬化領域を適宜に広げられる。
【0039】また、この実験によれば、上記の周波数を
25kHz以上35kHz以下の周波数に設定すること
により、歯先の硬化領域がいっそう確実に適切な広さに
なったので、焼入れ後における歯先の機械加工が容易に
なった。また、歯底の硬化領域もいっそう適切な広さに
なったので、歯底の強度が向上した。
【0040】なお、上記の周波数を80kHzとした場
合、予熱では、歯底温度が869℃になり、歯先温度は
867℃になった。放冷後の本加熱では、歯底温度が9
84℃になり、歯先温度は1022℃になった。このよ
うに本加熱の際に歯先温度が歯底温度よりも高くなった
ときは歯先の硬化領域が広くなり過ぎるおそれがあり、
歯底の硬化領域が狭まるおそれがあるので、都合が悪
い。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明の高周波焼入
方法によれば、歯底が所定の予熱温度になるように誘導
加熱した後に、この歯車を所定の放冷時間だけ放冷する
ので、この放冷時間を適宜に選択することにより、歯底
が加熱される(歯すじ方向の)領域(加熱領域)を広め
たり狭めたりできることとなる。従って、焼入れ後にお
いて、歯底が硬化される(歯すじ方向の)領域(硬化領
域)を広めたり狭めたりできる。また、放冷後に、歯底
を所定の焼入温度に誘導加熱するので、歯底の加熱領域
を広めていたときは、歯底は歯すじ方向の広い範囲にわ
たって焼入温度に加熱され、焼入温度になる加熱領域が
広がる。このようにして焼入温度に加熱された歯底を急
冷するので、歯底は歯すじ方向の広い範囲にわたって
(広い加熱領域で)焼入れされて硬化される。この結
果、歯車の強度が向上する。また、歯先のうち歯すじ方
向一端部を誘導加熱しないようにしているので、この一
端部は硬化されない。従って、焼入れ後に、この一端部
を加工し易い。また、歯先の他の部分と歯底とを予熱温
度及び焼入れ温度に誘導加熱する際には周知の誘導加熱
コイルを使用できるので、歯車を低コストで焼入れでき
る。
【0042】ここで、前記歯車を前記所定の放冷時間だ
け放冷する際に、1秒間以上5秒間以下の範囲内の放冷
時間だけ放冷する場合は、歯底の硬化領域を最適に広げ
られる。放冷時間が1秒間未満のときは、歯底の加熱領
域を広げられずこの加熱領域は狭くなるので、歯底の硬
化領域も狭くなり、歯底の強度は向上しない。一方、放
冷時間が5秒間を超えるときは、歯先の加熱領域が広く
なりすぎてその硬化領域も広くなりすぎる。この結果、
焼入れ後に歯先を機械加工しにくくなる。
【0043】また、前記歯先の前記他の部分、前記歯
底、及び前記歯面を前記所定の予熱温度に加熱する予熱
時間は、前記所定の放冷時間よりも長い時間であり、前
記歯先の前記他の部分、前記歯底、及び前記歯面を前記
所定の焼入温度に加熱する本加熱時間は、前記放冷時間
と同じ時間若しくは該放冷時間よりも長い時間であり、
前記予熱時間と同じ時間若しくは該予熱時間よりも短い
時間である場合は、歯先の硬化領域に比べて歯底の硬化
領域が広くなるので、歯底の強度が向上する。
【0044】さらに、前記予熱時間を3乃至4としたと
きに、前記放冷時間は1乃至2となり、前記本加熱時間
は2乃至3となるような比で、前記予熱時間、前記放冷
時間、及び前記本加熱時間を設定する場合は、歯先の硬
化領域に比べて歯底の硬化領域がいっそう確実に広くな
るので、歯底の強度がいっそう確実に向上する。
【0045】さらにまた、前記歯先の前記他の部分、前
記歯底、及び前記歯面を前記所定の予熱温度になるよう
に誘導加熱する際の周波数、及び、前記歯先の前記他の
部分、前記歯底、及び前記歯面を前記所定の焼入温度に
なるように誘導加熱する際の周波数を、20kHz以上
40kHz以下の周波数に設定する場合は、歯先と歯底
の硬化領域を適宜に広げられる。周波数が20kHz未
満のときは、歯先の温度が上がり過ぎて歯先の硬化領域
が広くなり過ぎるので、焼入れ後における歯先の機械加
工が困難になる。一方、周波数が40kHzを超えると
きは、歯底の温度が十分に加熱されずに歯底の硬化領域
が狭くなるので、歯底の強度が低下する。
【0046】さらにまた、前記周波数を25kHz以上
35kHz以下の周波数に設定する場合は、歯先の硬化
領域がいっそう確実に適切な広さになるので、焼入れ後
における歯先の機械加工が容易になる。また、歯底の硬
化領域もいっそう適切な広さになるので、歯底の強度が
向上する。
【0047】また、本発明の歯車では、歯先、歯面、及
び、歯底それぞれの未硬化部分の幅が略同じであるの
で、歯先のうち歯すじ方向一端部に機械加工などのため
の未硬化部分を形成しても、強度の高い歯車が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】高周波焼入れの対象になる歯車を示す平面図で
ある。
【図2】歯車の一部を示す斜視図である。
【図3】歯車の歯部とこの歯部に接近させた誘導加熱コ
イルの一部を示す側面図である。
【図4】歯部を誘導加熱して急冷するときのヒートパタ
ーンを示すグラフである。
【図5】歯先と歯底の硬化領域を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 歯車 12 底部 20 歯部 22 歯先 22a 歯先の歯すじ方向一端部 22b 歯先の他の部分 23 歯面 24 歯底 50 誘導加熱コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J030 AC10 BC02 BC03 BC10 3K059 AB09 AC35 AD01 4K042 AA18 BA01 BA05 DA01 DB01 DC05 DE02 DE03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯車の歯先のうち歯すじ方向一端部を除
    いた他の部分を硬化させると共に歯底及び歯面も硬化さ
    せるように前記歯車を高周波焼入れする高周波焼入方法
    において、 前記歯先の前記他の部分に誘導加熱コイルを接近させて
    該他の部分、前記歯底、及び前記歯面を所定の予熱温度
    になるように誘導加熱し、この誘導加熱の直後に、 前記歯車を所定の放冷時間だけ放冷し、この放冷の直後
    に、 前記所定の予熱温度よりも高い所定の焼入温度になるよ
    うに前記歯先の前記他の部分、前記歯底、及び前記歯面
    を誘導加熱し、 前記歯先の前記他の部分、前記歯底、及び前記歯面を急
    冷して該他の部分、該歯底、及び該歯面を硬化すること
    を特徴とする高周波焼入方法。
  2. 【請求項2】 前記歯車を前記所定の放冷時間だけ放冷
    する際に、 1秒間以上5秒間以下の範囲内の放冷時間だけ放冷する
    ことを特徴とする請求項1に記載の高周波焼入方法。
  3. 【請求項3】 前記歯先の前記他の部分、前記歯底、及
    び前記歯面を前記所定の予熱温度に加熱する予熱時間
    は、前記所定の放冷時間よりも長い時間であり、 前記歯先の前記他の部分、前記歯底、及び前記歯面を前
    記所定の焼入温度に加熱する本加熱時間は、前記放冷時
    間と同じ時間若しくは該放冷時間よりも長い時間であ
    り、前記予熱時間と同じ時間若しくは該予熱時間よりも
    短い時間であることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の高周波焼入方法。
  4. 【請求項4】 前記予熱時間を3乃至4としたときに、
    前記放冷時間は1乃至2となり、前記本加熱時間は2乃
    至3となるような比で、前記予熱時間、前記放冷時間、
    及び前記本加熱時間を設定することを特徴とする請求項
    3に記載の高周波焼入方法。
  5. 【請求項5】 前記歯先の前記他の部分、前記歯底、及
    び前記歯面を前記所定の予熱温度になるように誘導加熱
    する際の周波数、及び、前記歯先の前記他の部分、前記
    歯底、及び前記歯面を前記所定の焼入温度になるように
    誘導加熱する際の周波数を、20kHz以上40kHz
    以下の周波数に設定することを特徴とする請求項1から
    4までのうちのいずれか一項に記載の高周波焼入方法。
  6. 【請求項6】 前記周波数を25kHz以上35kHz
    以下の周波数に設定することを特徴とする請求項5に記
    載の高周波焼入方法。
  7. 【請求項7】 歯すじ方向一端部に所定幅の未硬化部分
    が形成された歯先と、 前記所定幅と略同じ幅であって前記歯先の未硬化部分に
    連続する未硬化部分が形成された歯面と、 前記所定幅と略同じ幅であって前記歯面の未硬化部分に
    連続する未硬化部分が形成された歯底とを備えたことを
    特徴とする歯車。
  8. 【請求項8】 前記歯先の未硬化部分は、機械加工代で
    あることを特徴とする請求項7に記載の歯車。
JP2001217613A 2001-07-18 2001-07-18 高周波焼入方法及び歯車 Expired - Lifetime JP4557240B2 (ja)

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