JP6283925B2 - ブランク材及び自動車部品の製造方法並びにブランク材及び自動車部品 - Google Patents

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本発明は、強度が異なる領域を有するブランク材及び自動車部品の製造方法と、ブランク材及び自動車部品とに関する。
従来、自動車部品などには、一部材中に強度が異なる領域を有する部品が使用されている。このような部品を製造する方法として、単一の鋼材からなる部材を熱処理することで、互いに異なる強度の領域を形成することが提案されている。
例えば下記特許文献1では、加熱後にプレス成形しつつ冷却する熱間プレス成形により、強度が異なる領域を有する部材を製造する方法が提案されている。
この特許文献1では、成形素材の一部の領域に通電加熱中に冷媒を吹き付け、その領域を焼入れ温度より低く維持することで焼入れ領域を制限し、その後、プレス成形しつつ冷却することで強度の異なる領域を有する部材を製造していた。
下記特許文献2では、成形品の一部の領域を焼入れできるプレス加工方法が提案されている。この特許文献2では、プレス加工する板材の形状により電流密度を異ならせて、一部を焼入れ温度以上に加熱した後、プレスすると共に冷却することで、強度が異なる領域を有する部材を製造していた。
なお、焼入れ処理した部材全体を焼戻し処理して靱性等を向上することも、従来より行われていた。その場合、焼戻し処理は所定温度に設定された加熱炉内に収容して所定の焼戻し温度範囲に加熱し、冷却することで熱処理していた。
特開2010−179317号公報 特許4563469号公報
しかしながら、特許文献1、2のように、一対の電極を接触させて通電加熱する加熱方法は、温度がばらつき易いことが知られている。例えば、一対の電極間で断面積が途中位置で変化すると、それに伴い電流密度が不均一になる結果、加熱温度にばらつきが生じる。さらに通電経路に温度差が生じると、抵抗値に差が生じるため、加熱温度のばらつきが大きくなる。
焼入れ処理では、融点以下でA1又はA3変態点以上であればよいため、通電加熱によって加熱することで多少温度がばらついていても、プレス加工に伴う焼入れを行うことは可能であった。しかし焼戻し処理の場合には、焼戻し温度により性質が変動し易く、加熱温度のばらつきの許容範囲が狭い。そのため従来は通電加熱ではなく、所定温度に保たれた加熱炉により加熱して冷却することが一般的であった。
ところが、加熱炉による加熱装置は、通電加熱する加熱装置に比べて装置が大きくなり易い。特に自動車部品のように短いタクトタイムで多数個のワークを製造する場合には、より大きな加熱炉が必要であり、焼戻しのための設備が顕著に大型化していた。
そこで本発明は、焼戻し領域を簡素な設備で形成できるブランク材及び自動車部品の製造方法を提供することを第1の目的とし、一部材中に強度が異なる領域を有して製造容易なブランク材及び自動車部品を提供することを第2の目的とする。
上記第1の目的を達成する本発明のブランク材の製造方法は、強度が互いに異なる複数の領域を備えたブランク材の製造方法であって、ワークを焼入れ処理して焼入れ領域を形成し、焼入れ後にメッキ処理し、メッキ処理したワークにおける焼入れ領域の表面の互いに離間した位置に一対の電極を接触させて通電し、焼入れ領域の少なくとも一部を所定の焼戻し温度範囲に通電加熱して焼戻し処理することで焼戻し領域を形成する。
また、上記第1の目的を達成する本発明の自動車部品の製造方法は、強度が互いに異なる複数の領域を備えた自動車部品の製造方法であって、ワークの所望の位置を焼入れ処理して焼入れ領域を形成し、焼入れ後にメッキ処理し、メッキ処理したワークにおける焼入れ領域の表面に一対の電極を接触させて通電し、焼入れ領域の少なくとも一部を所定の焼戻し温度範囲に通電加熱して焼戻し処理することで焼戻し領域を形成する。
この製造方法では、焼入れ領域の複数部位をそれぞれ焼戻し温度範囲に加熱して複数の焼戻し領域を形成することができる。
上記第2の目的を達成する本発明のブランク材は、上述のブランク材の製造方法によって形成された焼入れ領域及び焼戻し領域を有するものである。このブランク材では焼戻し領域が後加工領域に設けられているのがよい。
第2の目的を達成する本発明の自動車部品は、上述の自動車部品の製造方法によって形成された焼入れ領域及び焼戻し領域を有するものである。この自動車部品は上記ブランク材を用いて製造することができる。
本発明のブランク材及び自動車部品の製造方法によれば、焼入れ領域の表面に一対の電極を接触させて通電することで一部の領域を加熱するため、形状変化が少ない領域や形状変化が単調な領域となるように焼戻し領域を設定すれば、その領域を所望の焼戻し温度範囲に精度よく加熱して焼戻し処理することができる。そのため、焼入れ領域の一部に所望の焼戻し領域を形成可能である。しかも、一対の電極からワークに通電するため、加熱炉のような大型の設備を用いる必要もない。
その結果、焼戻し領域を簡素な設備で形成できるブランク材の製造方法を提供できる。
本発明のブランク材及び自動車部品によれば、焼入れ領域と焼戻し領域とを一対の電極により通電して形成するため、製造が容易であり、一部材中に強度が異なる領域を有するブランク材及び自動車部品を提供できる。
(a),(b)は、本発明の第1実施形態における焼入れ工程を説明する概念図である。 (a)〜(d)は、本発明の第1実施形態における焼戻し工程を説明する概念図である。 (a),(b)は、本発明の第1実施形態の変形例を説明する図である。 (a)〜(g)は、本発明の第2実施形態における自動車部品を製造する工程を示す概略工程図である。 (a)〜(g)は、本発明の第2実施形態における変形例を示す概略工程図である。
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。
[第1実施形態]
この第1実施形態においてブランク材を製造するには、ワークWを準備し、このワークWに焼入れ処理を施して焼入れ領域Rhを形成し、焼入れ領域Rhの一部に焼戻し処理を施すことで焼戻し領域Rtを形成することで行う。
この製造方法で使用するワークWは、通電加熱できて焼入れ可能な鋼材等からなる薄肉の板材である。薄肉とは、焼入れ処理時及び焼戻し処理時に厚み方向に温度分布が生じない厚みであればよい。ワークWの形状は特に限定されないが、この第1実施形態では厚みが略均一な板材で、外形が一軸方向に延びて両側縁が平行な長方形形状を有している。
この第1実施形態の製造方法で使用する加熱装置は、図1及び図2に示すように、互いに離間して配置される一対の電極11,12と、一対の電極11,12と対向配置されてワークWを支持する支持部13,14と、一対の電極11,12間に電力を供給するための電源設備15と、を備えている。電源設備15は電流及び電圧等が調整可能に構成されたものである。
一対の電極11,12は、支持部13、14との間でワークWを挟持することで、ワークWの表面と密着できるようになっている。この第1実施形態では、一対の電極11,12は、それぞれワークWの長手方向に対して交差する方向に該ワークWを横断する大きさとなっており、ワークWの幅全体に接触している。
この第1実施形態の製造方法では、このような装置を用いて、まずこのワークWに焼入れ処理を施す。
焼入れ処理の方法は、加熱炉を用いて全体を加熱してもよいが、ここでは図1(a)(b)に示すように、ワークWの両端側に一対の電極11,12を接触させて通電することで所定温度以上に加熱する。焼入れ処理では、ワークWを焼入れ温度範囲、即ち、A1変態点又はA3変態点以上に加熱してオーステナイト化した後、急冷して主組織をマルテンサイト相、ベイナイト相、或いはマルテンサイト及びベイナイト相とすればよい。
急冷方法は、例えば冷却液を接触させるか、冷却機能を有する金型を接触させるなどにより抜熱することで行うことができる。
ここではワークWの両端側の全幅にそれぞれ電極11,12を接触させて通電することで、ワークWの中間部分(ワークWの長手方向で電極11,12に挟まれている部分)全体を加熱して冷却液と接触させることで焼入れ処理しており、両端部に素材領域Rmを設けた状態で、ワークWに焼入れ領域Rhを形成している。
次に、焼入れ処理されたワークWに、例えば亜鉛メッキ等のメッキ処理を施し、全表面をメッキ層により被覆する。メッキ処理は任意であるが、第1実施形態では、防錆の目的で亜鉛メッキを施している。
その後、メッキ処理されたワークWに焼戻し処理を施す。
焼戻し処理は、図2(a)(b)に示すように、焼入れ領域Rhの表面のうちの予め設定した領域を挟むように、一対の電極11,12を位置調整して接触させ、焼入れ領域Rhの一部を通電加熱して冷却する。
通電加熱時には、電流、電圧及び通電時間等の通電条件を焼入れ処理時よりも低減させて一対の電極11,12間に通電し、予め設定した領域Rtの範囲の温度ができるだけ均一になるように加熱するのがよい。ここでは一方の電極11がワークWに接触する長さと、他方の電極12がワークWに接触する長さとを同じにし、ワークWの長手方向にそれぞれ直交させて互いに平行となるように配置している。この状態で一対の電極11,12から通電し、予め設定した領域Rtの範囲内全体で電流密度を略均一にすることで、領域Rtの範囲内をできるだけ均一に加熱する。
このとき、予め設定した領域Rt全体の温度が焼戻し温度範囲内となることが望ましい。焼戻し温度範囲とは、焼入れ温度範囲未満、例えばA1変態点未満の温度において焼戻しの効果が得られる温度範囲である。焼戻しの効果は焼戻し処理における温度の影響が大きいため、所望の物性が得られる温度範囲に加熱する。
焼戻しにより所望の物性を得るための温度範囲は、焼入れ処理における到達温度の許容範囲より狭いため、焼戻し領域Rtの温度を焼入れ処理よりも精度よく調整する。本第1実施形態では、ワークWの一部分に一対の電極11,12を接触させて通電するため、電流密度ができるだけ均一になるように焼戻し領域Rtを設定することが可能であり、これにより所望の焼戻し温度範囲に加熱することが可能である。
このようにして焼戻し温度範囲に加熱した後、急冷或いは空冷することにより焼戻し領域Rtを形成する。
第1実施形態では、複数位置に焼戻し領域Rtを形成するため、図2(c)(d)に示すように、一対の電極11,12を移動させて、このような焼戻し処理を繰り返す。その際、異なる位置の焼戻し処理において、電源設備15から給電する電流を異ならせて給電することで加熱し、その後冷却することで、互いに異なる強度を有する複数の焼戻し領域Rtを形成する。
そして、焼入れ領域Rhに複数の焼戻し領域Rtを形成し、その後、必要に応じて素材領域Rmや焼戻し領域Rtに後加工を施し、ブランク材の製造を終了する。
このようにして製造されたブランク材では、焼入れ領域Rh及び焼戻し領域Rtが長手方向の異なる位置に形成され、各領域における強度が互いに異なるため、強度分布を有している。
このブランク材を用いて各種の部材を製造すると、後工程でプレス加工や機械加工等を施す後加工領域に予め焼戻し領域Rtを設けておき、この焼戻し領域Rtを利用して後加工を施すことで、各種の部材を容易に製造できる。また強度の高い焼戻し領域Rtや焼入れ領域Rhを利用して、製品の強度分布を適切なものにすることができる。
以上のようなブランク材の製造方法によれば、焼入れ領域Rhの表面に一対の電極11,12を接触させて通電することで、一部の領域を加熱するため、形状変化が少ない領域となるように焼戻し領域Rtを設定すれば、その領域を所望の焼戻し温度範囲に精度よく加熱して焼戻し処理することができる。そのため、焼入れ領域Rhの一部に所望の焼戻し領域Rtを形成することが可能である。
また一対の電極11,12によりワークWに通電するため、加熱炉のような大型の設備を用いる必要がなく、焼入れ領域Rhと焼戻し領域とを備えたブランク材を簡素な設備で製造できる。
特に、一対の電極11,12によりワークWに通電することで焼戻し処理を行うと、極めて短時間で焼戻し処理を行うことが可能である。その結果、多数個のブランク材を製造する際、タクトタイムが短くても焼戻し処理を行うことができ、ブランク材の製造設備のコンパクト化を図ることができる。
この製造方法では、ワークWにメッキ層を設けてから焼戻し処理を行っているが、一対の電極11,12により精度よく焼戻し温度範囲に通電加熱することができるため、一部が過剰に昇温されたり、高温状態が長時間続いたりすることがない。そのため、メッキの剥離や合金化などによるメッキ層の劣化を防止でき、例えばメッキ層による防錆効果を維持することができる。そのため生産工程の順序を設定する自由度が大きい。
なお、上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。
上記では、長方形形状のワークWを熱処理した例について説明したが、例えば図3(a)に示すように、一方向に沿って幅が徐々に増加したり、図3(b)に示すように厚みが徐々に増加するなど、形状が一方向に単調変化する場合であっても本発明を適用可能である。単調変化とは断面積が一方向に沿って増加又は減少して途中に変曲点がないような形状である。
その場合、一対の電極11,12をワークWの表面に接触させて通電した状態のまま、ワークWの形状変化に対応させて一方又は双方の電極を移動させ、各部の通電時間や通電量を調整することで、各焼戻し領域Rtの範囲内を所定の焼戻し温度範囲内に加熱して焼戻しを行うことができる。
上記では焼入れ処理、メッキ処理、及び焼戻し処理を連続して行ったが、焼入れ処理やメッキ処理が予め施されているワークWを用いて焼戻し処理することもできる。
上記では焼入れ処理と焼戻し処理とにおいて同じ電極を使用したが、例えば焼戻し処理時に長さがワークWの幅より短い電極を使用することにより、焼入れ領域Rhと焼戻し領域Rtとの幅を異ならせることができる。
上記では、焼入れ処理をワークWの略全体に施して焼入れ領域Rhを全体に形成したが、一対の電極11,12を接触させて通電加熱することで焼入れ処理を施す場合には、一対の電極11,12の配置位置を適宜選択することで、ワークWの一部に焼入れ処理Rhを形成してもよい。このようにすれば焼入れ処理が施されない素材領域Rmを大きく形成することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態は、ブランク材を後加工して自動車部品を製造する例である。
自動車部品は、例えばセンターピラー、フロントサイドメンバー、フロントサイドエクステンション、リヤサイドメンバー、トンネル、シル等、ブランク材を後加工して製造する車体部品やシャーシ部品などであり、衝突の際に変形して衝撃を吸収する強度メンバーに好適に適用できる。なお後加工は、例えば曲げ加工、絞り加工、切断加工、トリム加工、ピアス加工、溶接加工等のプレス加工、孔明け、切削、研削等の機械加工など、ブランク材から所望の部品を得るための加工であればよい。
第2実施形態において、自動車部品を製造するには、図4(a)のように、まずブランキング等により自動車部品に応じた板状の粗加工素材20を作製し、図4(b)のように、粗加工素材20を熱処理することでブランク材21を製造し、図4(c)〜(f)のように後加工を施すことで、図4(g)のような自動車部品を製造する。
図4(b)の熱処理は第1実施形態と同様に、焼入れ処理し、その後電極11,12を用いて一部を焼戻し処理することで行う。
焼入れ処理は、粗加工素材20の全体に施してもよいが、ここでは両端側を除いて焼入れ温度範囲に通電加熱して急冷することで、後述する焼入れ領域Rh及び焼戻し領域Rtを合わせた領域、具体的には両端側の素材領域Rmを除く残部全体を焼入れする。
焼戻し処理は、電極11,12の形状や配置を調整することで、中央部分に焼入れ領域Rhを残し、両側を焼戻し温度範囲に通電加熱して冷却することで行い、帯状の焼入れ領域Rhとその両側の焼戻し領域Rtとを形成する。
ブランク材21の後加工が施される領域が予め特定されているため、素材領域Rm及び焼戻し領域Rhは、後加工領域を含むように形成する。
具体的には、絞り加工(c)によりブランク材21を屈曲させて断面略コ字状の立体形状体に成形し、トリム加工(d)により周囲を切除し、曲げ加工(e)によりフランジ部を形成し、溶接加工(f)により他の板材を接合して閉断面形状に形成することで、後加工を行う。
そのため、素材領域Rmと焼戻し領域Rhは、それぞれ絞り加工(c)時の屈曲部、トリム加工(d)時の切断部、曲げ加工(e)のフランジ部、溶接加工(f)の溶接部、などの後加工領域が含まれるように形成する。ここでは屈曲線や切断線などの境界線が素材領域Rm又は焼戻し領域Rhに含まれるようにしている。
またこのブランク材21を用いて製造される自動車部品25は、衝突の際に変形して衝撃を吸収する部材である。そのためブランク材21において焼入れ領域Rhと焼戻し領域Rtとを、自動車部品25における所望の強度分布となるように形成する。
この自動車部品25は、所定の剛性を確保しつつ衝突時に変形可能にするため、長手方向に延びる一面を略全長で焼入れ領域Rhとし、これと並列に長手方向に延びる他の面を略全長で焼戻し領域Rtとするように、焼入れ領域Rhと焼戻し領域Rtとの形状が調整されている。
なお、これらの焼入れ領域Rh及び焼戻し領域Rtは、中間材のブランク材21の状態であっても、完成品の自動車部品25の状態であっても、接触子を部品表面に接触させてインピーダンスを計測することで確認できる。
判定方法としては、例えば略コ字状のヨークにコイルを巻いた接触子を作製し、接触子のヨークのコ字状両端を各領域に接触させてコイルに交流電流を流し、ヨークと各領域とに交流磁気回路を形成してインピーダンスを測定するなども可能である。
インピーダンスは透磁率に対応した変化を示し、焼入れ領域Rhの焼戻しが進むことで透磁率が上がるため、その変化を計測して判定できる。予め透磁率とインピーダンスの対応表を作成しておいて判定に利用してもよい。
以上のような第2実施形態における自動車部品25及びその製造方法によれば、第1実施形態と同様にブランク材21を製造するため、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。特に焼戻し領域Rtを後加工領域に設けることで、焼入れ領域Rhにより必要な強度を確保しつつ、後加工を容易に行うことができる上、成形前に熱処理を纏めて行うことで、所定形状に成形した後で熱処理するときのような変形が生じないため、精度を確保して各種の自動車部品を容易に製造できる。
しかも、このようにブランク材21を用いて自動車部品25を製造すれば、焼入れ領域Rhと焼戻し領域Rtとの位置や大きさを調整することで、種々の強度分布を実現できるため、剛性と衝撃吸収性能を両立することが可能である。
[第2実施形態の変形例]
上記では板状の粗加工素材20を用いてブランク材21を製造したが、例えば図5(a)のように、周縁に予めフランジ部が設けられた断面略コ字状の立体形状の粗加工素材20を作製し、図5(b)のように粗加工素材20を熱処理することでブランク材21を製造し、図5(d)〜(f)のように後加工を施すことで、図5(g)のような自動車部品を製造する。
この例では、後加工はブランク材21を曲げ加工(d)により立体形状体にし、ピアス加工(e)により所定位置に孔を開設し、溶接加工(f)により他の板材を接合して閉断面形状に形成することで行う。
熱処理においては、後加工領域を含むように素材領域Rm及び焼戻し領域Rtを形成すると共に、自動車部品が所定の剛性を確保しつつ衝突時に変形可能となるように焼入れ領域Rtを形成する。ここではフランジ部を除いて全体を焼入れ処理した後、電極11,12の形状や配置を調整して、目的とする自動車部品の強度分布及び後加工領域とに応じた焼戻し処理を行う。
具体的には、図5(c)に示すように、フランジ部を素材領域Rmとし、頂面部や両側面部に長手方向の略全長に細い帯状の焼入れ領域Rhを残留させて、所望の剛性を確保しつつ、長手方向に延びる屈曲部とピアス加工時の孔部とを含むように焼戻し領域Rtを形成する。
なお、この第2実施形態も第1実施形態と同様に本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば焼入れ領域Rh、焼戻し領域Rt及び素材領域Rmの形状は、所望の後加工領域及び所望の強度分布に応じて適宜設定することができ、例えば長手方向に焼戻し領域Rtと素材領域Rmとを交互に配置したり、長手方向と交差する方向に交互に配置したりすることも可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。
炭素含有量0.16%の低炭素鋼からなり、寸法が50mm×200mmの大きさで厚みが1.2mmの板材からなるワークWを、図1及び図2に示す装置と同様の装置を用いて、焼入れ処理及び焼戻し処理を行った。
まず焼入れ処理では、ワークWの表面を横断する一対の電極に、21kW(2400A,8.8V)のような電力を6秒間給電することで、一対の電極11,12間を900℃まで加熱し、ワークWの表面に金型を接触させて抜熱することで急冷した。これによりワークWの端部を除く広い領域に焼入れ領域Rhを形成した。両端部は素材領域として焼入れ処理を施さない状態で残留させた。
次に、一対の電極11,12を焼入れ領域Rhの一部を挟んでワークWを横断するように接触させ、15kW(2300A,6.6V)のような電力を5秒間給電することで、一対の電極11,12間を660℃まで昇温し、そのまま660℃で5秒間保持した。その後、ワークWの表面に金型を接触させて抜熱することで急冷し、部分的に焼戻し領域Rtが形成されたブランク材を製造した。
このようにして得られたブランク材の各部のビッカーズ硬度を測定した。
その結果、素材領域の硬度は165HV、焼入れ領域Rhの硬度は418HV、焼戻し領域Rtの硬度は276HVとなっていた。
従って、このように熱処理することで、強度分布を有するブランク材を製造することができた。
W ワーク
Rh 焼入れ領域
Rt 焼戻し領域
11,12 電極
15 電源設備
20 粗加工素材
21 ブランク材
25 自動車部品

Claims (3)

  1. 強度が互いに異なる複数の領域を備えたブランク材の製造方法であって、
    ワークを焼入れ処理して焼入れ領域を形成し、
    前記焼入れ後にメッキ処理し、
    前記メッキ処理した前記ワークにおける前記焼入れ領域の表面の互いに離間した位置に一対の電極を接触させて通電し、前記焼入れ領域の少なくとも一部を所定の焼戻し温度範囲に通電加熱して焼戻し処理することで焼戻し領域を形成する、ブランク材の製造方法。
  2. 前記焼入れ領域の複数部位をそれぞれ焼戻し温度範囲に加熱して複数の焼戻し領域を形成する、請求項1に記載のブランク材の製造方法。
  3. 強度が互いに異なる複数の領域を備えた自動車部品の製造方法であって、
    ワークの所望の位置を焼入れ処理して焼入れ領域を形成し、
    前記焼入れ後にメッキ処理し、
    前記メッキ処理した前記ワークにおける前記焼入れ領域の表面に一対の電極を接触させて通電し、前記焼入れ領域の少なくとも一部を所定の焼戻し温度範囲に通電加熱して焼戻し処理することで焼戻し領域を形成する、自動車部品の製造方法。
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