JP3698883B2 - 高周波焼入方法及び冷却ジャケット - Google Patents

高周波焼入方法及び冷却ジャケット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、傘歯車の歯面を高周波焼入れする高周波焼入方法、及び、この高周波焼入れの際に使用される冷却ジャケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から種々の産業機械に傘歯車が使用されている。この傘歯車の歯面や歯底などを高周波焼入れする際には、通常、互いに向き合う歯面と歯面との間で歯幅方向に誘導加熱コイルを移動させながらこれらの歯面などを焼入温度に誘導加熱し、焼入温度に加熱されたこれらの歯面などに冷却液を噴出してこれらの歯面などを硬化させている。
【0003】
このようにして傘歯車の歯面などを硬化させる技術としては、傘歯車に形成された複数の歯を一歯跳びに焼入れして歯面の軟化を防止する、いわゆる一歯跳び焼入れする技術が知られている(特公平5−12413号公報、及び特公平7−76379号公報参照)。また、焼入れされた歯面の軟化を防止する他の技術として、誘導加熱されている歯面の裏側の歯面に冷却液を噴出してこの裏側の歯面を冷却する技術も知られている(特公平4−18011号公報、及び特公平4−21732号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、傘歯車では互いに向き合う歯面どおしが、歯先の外端から内端に向かうほど近付いている。逆にいうと、傘歯車の互いに向き合う2つの歯面は、歯先の内端から外端に向かうほど遠ざかっている。また、互いに向き合う2つの歯面を誘導加熱する際に使用される誘導加熱コイルは、歯先の内端における2つの歯面の間隔に合うサイズになるように作製されている。従って、傘歯車の互いに向き合う歯面と歯面の間で歯幅方向に誘導加熱コイルを移動させた場合、歯先の外端と内端とでは誘導加熱コイルと歯面との距離に差が生じる。
【0005】
このように歯先の外端から内端までの間で誘導加熱コイルと歯面との距離に差が生じると、歯面が均一に加熱されないこととなる。このため、歯面のうち、歯先の外端部分では内端部分よりも、焼入温度にまで加熱される深さが浅くなり易い。一方、歯面のうち、歯先の内端部分では外端部分よりも加熱深さが深くなり易い。この結果、硬さ分布に差が生じ、歯面のうち、歯先の外端部分では内端部分に比べて硬度が低下することがある。
【0006】
ところで、一般に、傘歯車では歯先の外端から内端に向かうほど歯たけ(歯底から歯先までの距離)が短くなる。また、誘導加熱コイルは、歯たけの一番長い歯先外端部分を基準にして作製されている。このため、誘導加熱コイルを歯先の外端から内端まで移動させた場合、歯先内端部分では歯たけが短いので、歯先よりもかなり上にまで誘導加熱コイルが飛び出している。このように誘導加熱コイルが歯先よりもかなり上にまで飛び出ていると、歯先が過熱(オーバーヒート)され易く、歯先の結晶組織が粗大化したり、焼入れの際に焼割れを起こしたりするなど、種々の悪影響を及ぼす。
【0007】
また、誘導加熱されている歯面の裏側の歯面に冷却液を噴出してこの裏側の歯面を冷却する技術では、冷却液が、加熱されている歯面にまで到達してこの歯面を冷却するおそれがある。この場合、加熱されている歯面が均一に加熱されずに焼むらが生じるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、歯面の全体が実質的に均一な硬化層深さになるように傘歯車を高周波焼入れできる高周波焼入方法、及び、傘歯車の歯面等を焼きむらなどが無いように高周波焼入れできる冷却ジャケットを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の高周波焼入方法は、傘歯車の互いに向き合う歯面と歯面の間で歯幅方向に誘導加熱コイルを相対的に移動させながらこれらの歯面を焼入温度に誘導加熱し、焼入温度に加熱されたこれらの歯面に冷却液を噴出してこれらの歯面を硬化させる高周波焼入方法において、誘導加熱コイルを歯幅方向に相対的に移動させながら上記歯面を焼入温度に誘導加熱するに当り、上記歯面のうち、上記歯先の外端から所定位置までの部分を予熱し、その後、上記歯面全体を焼入温度に加熱することを特徴とするものである。
【0010】
ここで、上記所定位置は、上記誘導加熱コイルと上記歯面との距離が1mm以上4mm以下の範囲内の距離になる位置であってもよい。
【0011】
また、上記歯面のうち上記外端から上記所定位置までの部分を予熱するに当り、焼入温度よりも50℃以上低い温度に予熱してもよい。
【0012】
さらに、上記歯先の上記外端から上記所定位置までの予熱と、歯面の全体を焼入温度にする加熱とを行うに当り、一つの誘導加熱コイルを用いて行ってもよい。
【0013】
さらにまた、上記歯面のうち、上記外端から上記所定位置までの部分を予熱する際に、誘導加熱コイルを上記外端から上記所定位置まで複数回往復させて予熱してもよい。
【0014】
さらにまた、上記歯面のうち、上記外端から上記所定位置までの部分を予熱する時間中、及び、上記歯面の全体を焼入温度に加熱する時間中は、上記歯面の裏側の歯面に冷却液を噴出してこの裏側の歯面を冷却してもよい。
【0015】
また、上記目的を達成するための本発明の冷却ジャケットは、傘歯車の互いに向き合う歯面と歯面の間で歯幅方向に誘導加熱コイルを相対的に移動させながらこれらの歯面を誘導加熱する際に、これらの歯面の裏側の歯面に冷却液を噴出してこの裏側の歯面を冷却する冷却ジャケットにおいて、上記誘導加熱コイルで生成される交番磁束を遮断して歯先の過熱を防止するシールド部材と、噴出した冷却液が上記歯面に到達しないように防止する、上記歯先に当接する防水部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
ここで、上記シールド部材は銅製のものであり、上記防水部材はアスベスト製のものであってもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1から図4までを参照して本発明の高周波焼入方法の一実施形態を説明する。
【0019】
図1は、傘歯車の互いに向き合う歯面と歯面の間で歯幅方向(矢印A方向)に誘導加熱コイルを移動させている様子を模式的に示す斜視図である。この図では、誘導加熱コイルはその概略だけが示されている。図2は、歯面と歯面の間に位置する誘導加熱コイルを歯幅方向から視た模式図である。図3は、歯面と歯面の間における誘導加熱コイルの移動状況を模式的に示す平面図である。図4は、図3の側面図である。
【0020】
鋼製の傘歯車10は、周知のように、円錐台の外側または内側に複数の歯20が切られている歯車である。この傘歯車10では、通常、互いに向き合う歯面22,22どおしが、歯先24の外端24aから内端24bに向かうほど近付いている。歯底26の幅Wも外端24aの部分が最も広く、この外端24aの部分から徐々に狭まり、内端24bの部分が最も狭くなっている。また、歯たけH(歯底26から歯先24までの距離)は、外端24aの部分ほど高く、内端24bに向かうほど低くなっている。
【0021】
上記のような形状の傘歯車10の歯面22を高周波焼入れする際に使用される誘導加熱コイル30について説明する。
【0022】
誘導加熱コイル30は周知のものであり、全体的な形状は略「V」字状である。「V」字の外周面(誘導加熱コイル30の外周面)にはアスベストのような絶縁体32が張り付けられている。また、この「V」字の開き量は、歯先24の内端24bにおいて互いに向き合う2つの歯面22,22どおしの間隔に合わせて作製されている。従って、歯先24の内端24bから外端24aに向かうほど、誘導加熱コイル30の外周面は歯面24から離れる。
【0023】
一方、「V」字の高さは、歯先24の外端24aにおける歯たけHに合わせて作製されている。従って、歯先24の外端24aから内端24bに向かうほど、図4に示すように、誘導加熱コイル30が歯先24よりもかなり上まで飛び出る。なお、誘導加熱コイル30の上端部には、高周波電源(図示せず)に接続された端子34,36が固定されている。
【0024】
誘導加熱コイル30を用いて傘歯車10の歯面22を高周波焼入れする際に使用される冷却ジャケットを、図5、図6を参照して説明する。
【0025】
図5は、歯幅方向から冷却ジャケットを視た模式図であり、図6は、図5の側面図である。
【0026】
冷却ジャケットは、一対の冷却ジャケット40,50が連結されたものであり、2つの冷却ジャケット40,50は対称的な形状になっている。また、冷却ジャケット40,50は、歯面22,22を誘導加熱し始めて焼入れし終るまでの時間中、歯面22,22の裏側の歯面28,28に冷却液を噴出してこの歯面28を冷却する。
【0027】
冷却ジャケット40,50それぞれは、歯20の形状に合わせた細長い板状のものから形成されており、その長さLは、歯幅(歯先の長さ)よりもやや長い。また、その幅wは歯たけH(図2参照)に対応した幅になっており、この幅wは歯先24の外端24aから内端24bに向かうほど短い。冷却ジャケット40,50を歯20にセットしたときに歯面28に向き合う面42,52には多数の噴出孔44,54が形成されており、この噴出孔44,54から冷却液が噴出して歯面28が冷却される。なお、冷却ジャケット40,50の長さ方向両端部には冷却液を供給するための供給口46,56が形成されている。
【0028】
冷却ジャケット40,50の上端部は折れ曲がって歯先24に接触しており、歯先24と接触する部分にはアスベスト48,58が張り付けられている。このアスベスト48,58は、噴出孔44,54から噴出した冷却液が漏れて歯面22に到達することを防止する防水部材として機能する。また、冷却ジャケット40,50の折れ曲がった部分の外側には銅板49,59が取り付けられている。この銅板49,59は、誘導加熱コイル30が歯先24よりも上に飛び出した場合、誘導加熱コイル30で生成される交番磁束が歯先24のほうに来ないように遮断して歯先24の過熱を防止するシールド部材として機能する。
【0029】
誘導加熱コイル30と冷却ジャケット40,50を用いて傘歯車10の歯面22や歯底26を高周波焼入れする方法を説明する。
【0030】
先ず、図3を参照して歯面22を誘導加熱する方法を説明する。
【0031】
この方法では、歯面22を誘導加熱するに当り、歯面22のうち、歯先24の外端24aから所定位置までの部分を所定温度まで予熱し、その後、歯面22の全体を焼入温度まで加熱(本加熱)する点に特徴がある。
【0032】
歯面22のうち、歯先24の外端24aから所定位置までの部分を所定温度まで予熱する際は、歯先24の外端24aに誘導加熱コイル30を配置して誘導加熱コイル30を内端24bに向けて移動させながら歯面22を誘導加熱する。上記の所定位置としては、誘導加熱コイル30と歯面22との距離Mが1mm以上4mm以下の範囲内の距離になる位置とする。1mm以上4mm以下とした理由は、誘導加熱コイル30と歯面22との距離が4mmを超えていると、1回の加熱では焼入温度にまで加熱されにくいからである。また、誘導加熱コイル30と歯面22との距離が1mm未満の場合、1回の加熱で焼入温度にまで充分に加熱できるからである。
【0033】
この予熱によって歯面22を加熱する温度は、焼入温度(オーステナイト化温度)よりも50℃以上低い温度にする方がよい。この理由は、予熱温度を焼入温度に近付け過ぎると、後述する本加熱の際に歯面22や歯底26がオーバーヒートになるおそれがあるからである。また、予熱に当っては、誘導加熱コイル30を歯先24の外端24aから所定位置まで複数回往復させながら所定温度まで予熱してもよい。
【0034】
上記のようにして予熱した後、誘導加熱コイル30を歯先24の外端24aから内端24bまで移動させながら歯面22をオーステナイト変態点以上の焼入温度に加熱(本加熱)する。互いに対向する歯面22,22のうち、歯先24の外端24aやその近傍部分に位置する誘導加熱コイル30は歯面22,22との距離が離れるので、誘導加熱コイル30を一回だけ通過させながら歯面22のこれら近傍部分を加熱しても、これら近傍部分は焼入温度にまで昇温しにくい。しかし、ここでは本加熱するに先立って、歯面22のうち、誘導加熱コイル30とかなり離れている部分を予熱しているので、本加熱によって歯面22は充分に焼入温度にまで加熱される。なお、これら予熱と本加熱の際の高周波電力の周波数と出力等は、誘導加熱コイル30のサイズや硬化層深さなどに応じて適宜変更する。また、本加熱後には、歯面22に冷却液を噴出して急冷し、歯面22の組織をマルテンサイト変態させる。なお、歯面を加熱するに当っては、誘導加熱コイルを停止しておき、傘歯車10を移動させてもよい。
【0035】
上記の予熱と本加熱をしている間は、冷却ジャケット40,50(図5参照)も使用する。この冷却ジャケット40,50は、上述したように、防水部材としての機能とシールド部材としての機能を有している。従って、図5に示すように、歯面22の裏側の歯面28を冷却するために噴出孔44,54から冷却液を噴出しても、この冷却液が漏れて歯面22に到達することがアスベスト48,58によって防止される。このため、加熱中の歯面22が不用意に冷却されることが無く、焼きむらなどを防止できる。また、本加熱後に歯面22を急冷する際にも冷却ジャケット40,50で歯面28を冷却する。この結果、既に焼入れされた歯面28が焼き戻されずに、しかも、歯面22が充分に急冷されることとなる。また、予熱と本加熱をしている間は、冷却ジャケット40,50の銅板49,59が、誘導加熱コイル30で生成される交番磁束を歯先24のほうに来ないように遮断する。この結果、図4に示すように、歯先24よりもかなり上にまで誘導加熱コイル30が飛び出しても、歯先24やこの歯先24と歯面22の境界部分25(図5参照)がオーバーヒートされることが無く、歯先の結晶組織の粗大化を防止したり、焼割れを防止したりできる。
【0036】
図7を参照して、上記の高周波焼入方法で傘歯車10を焼入れした実験結果を説明する。
【0037】
図7は、高周波焼入れした傘歯車の一部を模式的に示す斜視図である。この図では、図1から図6までの構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。また、図中、H1からH3までは歯底26においてショア硬さを測定した位置であり、H4からH9までは歯面22,22においてショア硬さを測定した位置である。
【0038】
この実験で使用した傘歯車はSCM440(JIS規格)製のものであり、そのサイズは、モジュール28である。歯面22を予熱するに際しては、高周波電源の出力を65kW、周波数を8kHzとして、誘導加熱コイル30を3.8mm/秒の移動速度で歯面22のうち、歯先24の外端24aに対応する部分から、誘導加熱コイル30と歯面22との距離が2.5mmなる部分まで移動させた。また、歯面22を本加熱するに際しては、高周波電源の出力と周波数は予熱のときと同一にしたが、誘導加熱コイル30の移動速度を3.7mm/秒にした。本加熱した後は、0.3kg/cm3 の水圧で冷却液を歯面22に噴出して急冷した。なお、予熱から急冷までの間は、冷却ジャケット40,50を用いて歯面28を冷却し続けた。
【0039】
上記の処理条件で傘歯車10を高周波焼入れした結果、H1からH3までのショア硬さは66〜67の範囲内であり、H4からH9までのショア硬さは71〜73の範囲内となって規格を満足した。
【0040】
次に、図8から図11までを参照して歯面及び歯底のビッカース硬さの測定結果を説明する。
【0041】
図8(a)は、ビッカース硬さを測定する歯面の位置を示す模式図であり、紙面の右側が歯先の外端に相当し、左側が歯先の内端に相当する。図8(a)において距離L1は80mm、L4は80mmであり、L2とL3は等しい距離である。また、図8(b)は、(a)のA−A断面、B−B断面、及びC−C断面におけるビッカース硬さ測定位置を示し、二点鎖線で示す矢印a,eが歯面の硬さ測定方向であり、矢印b,c,dが歯底の硬さ測定方向である。図9は、A−A断面におけるビッカース硬さ分布を示し、図10は、B−B断面におけるビッカース硬さ分布を示し、図11は、C−C断面におけるビッカース硬さ分布を示すグラフである。
【0042】
歯面におけるビッカース硬さは、表面から少なくとも3.0mmの距離でHv500以上620以下であることが要求される。また、歯底におけるビッカース硬さは、表面から少なくとも2.0mmの距離でHv400以上であることが要求される。
【0043】
図9から図11までの各グラフに示すように、歯面における硬さ(○、●で表わされる)は、表面からの距離3.0mmでHv500以上620以下となり、規格を満たした。また、歯底における硬さ(×、△、□で表わされる)は、表面からの距離2.0mmではHv450以上となり、規格を十分に満たした。さらに、図9から図11までの各グラフからわかるように、歯面の全体が実質的に均一な硬化層深さになり、焼きむらなどは無かった。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の高周波焼入方法では、歯面を焼入温度に誘導加熱するに当り、歯面のうち、歯先の外端から所定位置までの部分を予熱した後に歯面の全体を焼入温度に加熱する。予熱によって歯面の上記部分は所定温度に昇温しているので、その後の加熱によって歯面全体は一様に焼入温度にまで昇温する。この結果、歯面全体が実質的に均一な硬化層深さになるように傘歯車の歯面を高周波焼入れできる。
【0045】
ここで、上記の所定位置が、誘導加熱コイルと歯面との距離が1mm以上4mm以下の範囲内の距離になる位置である場合は、いっそう確実に歯面全体を均一に焼入温度まで加熱できる。
【0046】
また、歯面のうち外端から所定位置までの部分を予熱するに当り、焼入温度よりも50℃以上低い温度に予熱する場合は、歯面がオーバーヒートすることを防止し易い。
【0047】
さらに、歯先の外端から所定位置までの予熱と、歯面の全体を焼入温度にする加熱とを行うに当り、一つの誘導加熱コイルを用いて行う場合は、焼入装置を簡略にできる。
【0048】
さらにまた、歯面のうち、外端から所定位置までの部分を予熱する際に、誘導加熱コイルを外端から所定位置まで複数回往復させて予熱する場合は、歯面を徐々に昇温できるので変形を低減できる。
【0049】
さらにまた、歯面のうち、外端から所定位置までの部分を予熱する時間中、及び、歯面の全体を焼入温度に加熱する時間中は、歯面の裏側の歯面に冷却液を噴出してこの裏側の歯面を冷却する場合は、既に焼入れされた裏側の歯面が焼戻されて軟化することを防止できる。
【0050】
また、上記目的を達成するための本発明の冷却ジャケットには、歯先の過熱を防止するシールド部材と、噴出した冷却液が上記歯面に到達しないように防止する防水部材とが備えられているので、歯先の焼割れと、歯面等の焼きむらを防止できる。
【0051】
ここで、シールド部材が銅製のものであり、防水部材がアスベスト製のものである場合は、比較的安価に冷却ジャケットを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】傘歯車の互いに向き合う歯面と歯面の間で歯幅方向に誘導加熱コイルを移動させている様子を模式的に示す斜視図である。
【図2】歯面と歯面の間に位置する誘導加熱コイルを歯幅方向から視た模式図である。
【図3】歯面と歯面の間における誘導加熱コイルの移動状況を模式的に示す平面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】歯幅方向から冷却ジャケットを視た模式図である。
【図6】図5の面図である。
【図7】高周波焼入れされた傘歯車のショア硬さ測定位置を模式的に示す斜視図である。
【図8】(a)は、ビッカース硬さを測定する歯面の位置を示す模式図であり、(b)は、(a)のA−A断面、B−B断面、及びC−C断面におけるビッカース硬さ測定位置を示す説明図である。
【図9】図8のA−A断面におけるビッカース硬さ分布を示すグラフである。
【図10】図8のB−B断面におけるビッカース硬さ分布を示すグラフである。
【図11】図8のC−C断面におけるビッカース硬さ分布を示すグラフである。
【符号の説明】
10 傘歯車
20 歯
22 歯面
24 歯先
24a 歯先の外端
24b 歯先の内端
30 誘導加熱コイル
40,50 冷却ジャケット
48,58 アスベスト
49,59 銅板

Claims (4)

  1. 傘歯車の互いに向き合う歯面と歯面の間で歯幅方向に誘導加熱コイルを相対的に移動させながらこれらの歯面を焼入温度に誘導加熱し、焼入温度に加熱されたこれらの歯面に冷却液を噴出してこれらの歯面を硬化させる高周波焼入方法において、
    誘導加熱コイルを歯幅方向に相対的に移動させながら前記歯面を焼入温度に誘導加熱するに当り、前記歯面のうち、該歯面の歯先の外端から、前記誘導加熱コイルと前記歯面との距離が1mm以上4mm以下の範囲内の距離になる所定位置までの部分を前記誘導加熱コイルで予熱し、その後、前記歯面の全体を前記誘導加熱コイルで焼入温度に加熱することを特徴とする高周波焼入方法。
  2. 前記歯面のうち、前記外端から前記所定位置までの部分を予熱するに当り、焼入温度よりも50℃以上低い温度であって、且つ、前記焼入温度に誘導加熱する際に該焼入温度になる温度に予熱することを特徴とする請求項1に記載の高周波焼入方法。
  3. 前記歯面のうち、前記外端から前記所定位置までの部分を予熱する際に、誘導加熱コイルを前記外端から前記所定位置まで複数回往復させて予熱することを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波焼入方法。
  4. 前記歯面のうち、前記外端から前記所定位置までの部分を予熱する時間中、及び、前記歯面の全体を焼入温度に加熱する時間中は、前記歯面の裏側の歯面に冷却液を噴出して該裏側の歯面を冷却することを特徴とする請求項1,2,又は3に記載の高周波焼入方法。
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