(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる遊技機の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(遊技機の基本構成)
図1および図2は、本実施の形態の遊技機の基本構成を示す説明図である。図1においては、本実施の形態の遊技機の一例を正面から見た状態を示している。図2においては、本実施の形態の遊技機の一部を分解して斜め方向から見た状態を示している。
図1および図2において、この発明にかかる実施の形態の遊技機は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の下部位置には、遊技領域103内に遊技球を発射する発射部(図3−1における符号355を参照)が配置されている。発射部の駆動によって発射された遊技球は、レール102a、102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、自重によって遊技領域103内を落下する。遊技領域103には、複数の釘や風車などが設けられており、遊技領域103内に打ち出された遊技球は、複数の釘や風車などに衝突することで落下方向を各種方向に変化させながら落下する。
遊技領域103には、始動入賞口105、入賞ゲート106、複数の普通入賞口107などが配設されている。始動入賞口105、入賞ゲート106、複数の普通入賞口107には、各入賞口105〜107における遊技球の入賞の有無に応じて出力が変化する各検出部(図3−1における符号321〜324を参照)が設けられている。始動入賞口105には、電動で開閉するチューリップ型の普通電動役物である、図示を省略する電動チューリップ(以下「電チュー」という)が設けられている。電チューは、入賞ゲート106に入賞があった場合に、所定のタイミングで、始動入賞口105を一定時間だけ通常より大きく開放するように動作する。
遊技領域103の下方には、大入賞口109が設けられている。大入賞口109には、大入賞口109を開放可能に閉塞する大入賞扉109aが設けられている。大入賞口109は、大当たり遊技状態以外の状態では大入賞扉109aによって閉塞されている。大入賞扉109aによる大入賞口109の開閉は、大入賞口開閉部(図3−1における符号331を参照)によっておこなわれる。遊技領域103の最下部には、どの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する回収口108が設けられている。
遊技盤101の遊技領域103の外周部分には、枠部材110が設けられている。枠部材110は、遊技盤101の上下左右の4辺において遊技領域103の周囲を囲む形状からなる。枠部材110には、遊技機に向かって右下部分に、操作ハンドル113が設けられている。操作ハンドル113は、上記の発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材114を備えている。
発射指示部材114は、操作ハンドル113の外周部において、所定方向(たとえば遊技者から見て右回り)に回転可能に設けられている。発射部は、発射指示部材114が遊技者によって直接操作され、所定方向に回転した状態において遊技球を発射させる。操作ハンドル113には、遊技者が発射指示部材114を直接操作していることを検出するセンサなどが設けられている。遊技者が発射指示部材114を直接操作していることを検出するセンサについては、公知の技術であるため説明を省略する。
枠部材110において、遊技領域103の下側となる辺には、遊技者による操作を受け付けるチャンスボタン117が設けられている。この実施の形態において、チャンスボタン117は、凸状ボタン形状を有している。
また、枠部材110において、チャンスボタン117の隣には、十字キー118が設けられている。十字キー118は、操作内容などの選択などをおこなうカーソルキーと、カーソルキーの操作によって選択された操作内容などを確定する「ENTER」キー(図示を省略する)と、を備えている。チャンスボタン117や十字キー118などの演出ボタンは、凸状ボタンの他、タッチパネル方式を採用した入力パッドなどであってもよい。
遊技盤101において、遊技領域103の中央部分には、画像表示画面を備えた表示部104が配置されている。表示部104は、たとえば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)によって実現することができる。液晶ディスプレイによって実現される表示部104は、図2に示すように、各種画像をカラー表示可能な画像表示画面を実現する液晶表示パネル201と、液晶表示パネル201の背面に設けられる液晶シャッター202とを備えている。
表示部104の背面側には、表示部104を照明する、図示を省略する光源が設けられている。液晶シャッター202は、印加された電圧に基づいて、表示領域全域にわたってあるいは一部表示領域において、光源から照射された照明光を遊技機の前面側に透過あるいは遮断するように動作する。
表示部104の背面側(遊技者から見て遊技機の奥側)には、リール203が配置されている。リール203は、縦3個×横3個の合計9個(9コマ)の小リール203a〜203iをマトリクス状に配置することによって構成されている。小リール203a〜203iは、表示部104の背面側において、表示部104がなす液晶表示パネル201に平行な面をなすように配置されている。
各小リール203a〜203iは、それぞれ、円筒形をなし、外周面には複数種類の図柄が表記されている。具体的には、小リール203a〜203iの外周面には、それぞれ、大当たり用の図柄(たとえば、赤の「7」や白の「7」)、およびハズレ用の図柄(たとえば星印やフルーツ図柄)が表記されている。各小リール203a〜203iは、それぞれ、円筒の軸心を中心として回転可能に設けられている。
各小リール203a〜203iには、それぞれ、各小リール203a〜203iを独立して回転させる図示を省略するモータが接続されている。この実施の形態における「回転」は、各小リール203a〜203iにおける任意の基準位置が、各々の軸心を中心とする円周上を360度移動する動作状態を示す。また、この実施の形態における「回転」は、各小リール203a〜203iにおける任意の基準位置が、各々の軸心を中心とする円周上を360度未満あるいは360度より大きな回転角度で移動する、いわゆる「回動」する動作状態を含む。
リール203においては、各モータを駆動して各小リール203a〜203iを個々に回転させることによって、各小リール203a〜203iが表示部104側に向ける図柄をそれぞれ変化させることができる。各小リール203a〜203iは、それぞれが1つの図柄を表示部104側に向けて停止した状態において、所定の出目を示す。リール203が示す所定の出目は、各小リール203a〜203iがすべて停止した状態において、各小リール203a〜203iがそれぞれ示す図柄の組み合わせによって示される。
上記の光源は、表示部104とリール203との間に設けられている。光源は、たとえば複数のLEDによって構成することができる。光源は、表示部104のバックライトとして機能するとともに、リール203における各小リール203a〜203iが示す図柄を照らす照明として機能する。
(制御部の内部構成)
つぎに、遊技機の制御部の内部構成について説明する。図3−1は、遊技機の制御部の内部構成を示すブロック図である。制御部300は、主制御部301、演出制御部302および賞球制御部303を含む、複数の制御部によって構成されている。各制御部301〜303は、それぞれ独立した基板に設けられている。各制御部301〜303は、たとえば主制御部301と賞球制御部303とを同一のプリント基板上に設けるなど、一部あるいは全部が同じ基板に設けられていてもよい。
主制御部301は、遊技機の遊技にかかる基本動作を制御する。主制御部301は、CPU311、ROM312、RAM313などによって構成されている。CPU311は、ROM312に記憶されたプログラムに基づき、遊技内容の進行にともなう基本処理を実行する。ROM312は、遊技内容の進行にともなう基本処理を実行するための各種プログラムや、大当たり判定に用いる大当たり値などを記憶している。RAM313は、CPU311の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
CPU311は、遊技内容の進行にともなう基本処理として、たとえば大当たり判定用乱数のカウントをおこなう。具体的には、たとえば大当たり確率が1/280に設定されている遊技機の場合、CPU311は、遊技機が起動している間中、1ループが0〜279までの数値で+1ずつカウントアップする。CPU311は、このカウントアップを、主制御部301への電源供給時から開始し、1ループ分のカウント後は、つぎの1ループ分のカウントをおこなう、というようにループ状のカウントをおこなう。RAM313は、このような大当たり判定用乱数のカウントに際してのカウンタとして機能する。
そして、CPU311は、発射部355によって発射された遊技球が始動入賞口105に入賞(以下「始動入賞」という)すると、始動入賞した時点のカウント値を大当たり判定用乱数として取得する。取得する大当たり判定用乱数は、始動入賞したタイミングによって異なる。具体的には、たとえば上記の大当たり確率1/280が設定されている遊技機であれば、CPU311は、0〜279までの整数を含む数値群から、始動入賞した時点でカウントされた数値を、大当たり判定用乱数として取得する。上記の例であれば、0〜279までの整数によって構成される数値群の中の数値を大当たり判定用乱数として取得する。
CPU311は、大当たり判定用乱数を取得するごとに、取得した大当たり判定用乱数とROM312に記憶されている大当たり値とを比較して、大当たり判定をおこなう。CPU311は、具体的には、たとえば大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致するか否かを判定し、一致する場合を大当たりと判定する。大当たり判定は、当該大当たり判定をおこなうための大当たり判定用乱数を取得した時点、すなわち始動入賞があった時点において先の始動入賞に対応した特別図柄の変動中である場合、当該変動が終了してからおこなう。始動入賞があった時点において先の始動入賞に対応した特別図柄の変動中である場合、始動入賞による大当たり判定の権利は、保留球として所定数保留することができる。
また、主制御部301は、CPU311によって大当たり判定用乱数を取得し、取得した大当たり判定用乱数をROM312あるいはRAM313に記憶することで始動入賞を保留した際に、この保留された大当たり判定用乱数が大当たり値と一致するものであるかを判定する、いわゆる先読みをおこなう。先読みをおこなう場合、主制御部301は、先読み結果を示す信号を演出制御部302に出力する。これにより、演出制御部302は、大当たりとなる変動開始前から徐々に遊技者の期待感を高めていく演出(先読み演出)などをおこなうことができる。
また、CPU311は、遊技内容の進行にともなう基本処理として、たとえばリーチ乱数のカウント、変動パターン乱数のカウント、図柄乱数のカウント、などをおこなう。リーチ乱数は、始動入賞があった場合に取得され、当該始動入賞にしたがっておこなう演出においてリーチ演出をおこなうか否かを決定する。リーチ乱数は大当たり判定の結果がハズレであった場合に有効となり、遊技機においては大当たり判定の結果がハズレであってCPU311が特定のリーチ乱数を取得した場合にリーチ演出つきのハズレ演出をおこなう。
変動パターン乱数は、始動入賞にしたがって演出をおこなうごとに、当該演出を開始する直前に取得され、演出に際してリール203あるいは表示部104が表示する図柄の変動パターンを決定する。図柄乱数は、始動入賞にしたがって大当たり演出をおこなうごとに、当該大当たり演出を開始する直前に取得され、大当たりの図柄を決定する。リーチ乱数のカウント、変動パターン乱数のカウント、および図柄乱数のカウントは、それぞれ別々のカウンタを用いておこなう。各乱数のカウントについては、上記の大当たり判定用乱数のカウントと同様であるため説明を省略する。
主制御部301の入力側には、始動入賞口検出部321、ゲート検出部322、普通入賞口検出部323および大入賞口検出部324などが接続されている。始動入賞口検出部321は、始動入賞口105に入賞した入賞球を検出する。ゲート検出部322は、入賞ゲート106を通過した遊技球を検出する。普通入賞口検出部323は、普通入賞口107に入賞した遊技球を検出する。大入賞口検出部324は、大入賞口109に入賞した入賞球を検出する。各検出部321〜324は、たとえば近接センサなどによって実現することができる。この場合、検出部321〜324を実現する各センサは、それぞれ、遊技球が各センサに接近したタイミングでオン状態を示す信号を出力する。
CPU311は、一定時間(たとえば4msec)ごとに各検出部321〜324からの出力を監視している。始動入賞口105、入賞ゲート106、普通入賞口107あるいは大入賞口109に遊技球が入賞した場合、該当する検出部321〜324からの出力は2回以上連続してオン状態となる。CPU311は、各検出部321〜324からの出力に基づいて、2回以上連続してオン状態となった検出部321〜324に対応する箇所において入賞があったものとして判断する。
主制御部301の出力側には大入賞口開閉部331が接続されており、CPU311は、遊技球が大入賞口109に入賞したことを検出すると、大入賞口開閉部331に対して、大入賞扉109aの開閉信号を出力する。大入賞口開閉部331は、主制御部301から出力された開閉信号に基づいて、大入賞扉109aによる大入賞口109の開閉を制御する。大入賞口開閉部331は、たとえば大入賞扉109aに連結されたソレノイドによって実現することができる。
CPU311は、大当たりが発生した場合に、大入賞口109を一定期間だけ開放するように大入賞口開閉部331を制御する。大入賞口109は、たとえば大当たり判定により大当たりが確定してから所定時間後に開放される。また、CPU311は、大当たりが発生した場合に、大入賞口109を開放した後ふたたび閉塞する開閉動作を、所定ラウンド(たとえば15ラウンド)繰り返すように大入賞口開閉部331を制御する。1ラウンドの期間は、たとえば大入賞口109に遊技球が10個入賞する間、あるいは、所定期間(たとえば30秒間)とされている。大当たりは、生成した乱数に基づき所定の確率(たとえば1/280)で発生するよう予めプログラムされている。
また、CPU311は、始動入賞口105、普通入賞口107、大入賞口109など、払い出しがある箇所に遊技球が入賞したことを検出すると、主制御部301の出力側に接続された賞球制御部303に対して、賞球制御信号を出力する。賞球制御部303は、主制御部301からの出力信号に基づいて、遊技機が入賞した箇所に応じた賞球数を払い出すように、賞球制御部303の出力側に接続された払出部354を駆動制御する。
賞球制御部303は、CPU351、ROM352、RAM353などによって構成されている。CPU351は、主制御部301からの制御信号およびROM352に記憶されたプログラムに基づいて、賞球制御部303の出力側に接続された払出部354を駆動制御し、入賞した箇所に対応した数の賞球を払い出させる。
賞球制御部303は、大入賞口109の開閉動作中、たとえば大入賞口109に対して遊技球が1個入賞するごとに、15個の賞球数を払い出させる。RAM353は、CPU351の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。払出部354は、遊技球の貯留部につながっており、遊技球を払い出すためのモータや、払い出した遊技球の個数をカウントするためのセンサなどを備えている。払出部354は、賞球制御部303からの出力信号にしたがって、入賞した箇所に対応した数の賞球を払い出す。
また、賞球制御部303は、発射部355に対する遊技球の発射の操作を検出し、遊技球の発射を制御する。発射部355は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサと、遊技球を発射させるソレノイドなどを備える(いずれも図示を省略する)。賞球制御部303は、発射部355のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
演出制御部302は、遊技中の各種演出の制御をおこなう。演出制御部302の出力側には表示部104およびリール203が接続されており、演出制御部302は表示部104およびリール203の動作を制御することによって遊技中の演出動作を制御する。演出制御部302は、CPU341、ROM342、RAM343などによって構成されている。
CPU341は、主制御部301からの制御信号およびROM342に記憶されたプログラムに基づいて、遊技内容を演出する演出処理を実行する。ROM342は、演出処理の実行にかかる各種プログラム、表示部104に各種画像(背景画像、図柄画像、キャラクター画像など)を表示させる各種画像データなどの表示制御データ、リール203に対する回転制御データを記憶する。RAM343は、CPU341の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
CPU341は、ROM342に記憶されたプログラムや各種画像データを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示/変動処理、キャラクター画像表示処理などの各種画像処理をおこなう。各種画像処理の実行に際し、CPU341は、適宜必要な画像データをROM342から読み出し、読み出した画像データを、演出制御部302が備えるVRAM344などに書き込む。CPU341は、演出制御部302が備えるVRAM344への画像データの書き込みに際して、図柄画像やキャラクター画像が背景画像よりも手前に見えるように、画像データの加工をおこなう。
具体的には、たとえば表示部104に表示させる背景画像と図柄画像の表示位置が画像表示画面内の同一位置に重なる場合、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、VRAM344などに図柄画像を優先して記憶させる。表示部104は、VRAM344に書き込まれた画像データに基づいて、図柄画像やキャラクター画像が背景画像よりも手前に見える画像を表示する。表示部104は、具体的には、たとえば入賞するまでの間遊技内容を演出する図柄や、リーチ(3つの図柄のうち2つが揃った状態)図柄、大当たり時の遊技内容を演出する図柄などをあらわす画像を表示する。
また、CPU341は、ROM342に記憶されたプログラムや回転制御データを読み込んで、リール203の回転制御処理をおこなう。リール203の回転制御処理に際し、CPU341は、適宜必要な回転制御データをROM342から読み出し、読み出した回転制御データに基づいてリール203における各小リール203a〜203iに接続されたモータの回転方向、回転速度、回転数などを制御する。
CPU341によってリール203を回転制御することにより、リール203においては、具体的には、たとえば所定数(たとえば3つ)の図柄が1つの有効ライン上に揃った図柄が示される。また、CPU341によってリール203を回転制御することにより、リール203においては、具体的には、たとえばリーチを示す数(3つの図柄のうち2つ)の図柄が1つの有効ライン上に揃った図柄が示される。
CPU341は、表示部104が表示する演出画像とリール203が示す図柄の状態とが互いに連動するように、リール203が示す図柄の状態に合わせて、リール203が示す図柄を補助する各種画像データを生成して出力する。具体的には、CPU341は、たとえばリール203がなす図柄がリーチ状態や大当たり遊技状態を示す場合には、リール203の図柄を補助し、遊技者の期待感や興奮を高めるような演出画像の画像データを生成して出力する。
また、CPU341は、チャンスボタン117や十字キー118などの演出ボタンの操作にしたがって、表示部104が表示する演出画像が変化するように、演出ボタンの操作の有無あるいは演出ボタンの操作タイミングにしたがって異なる画像データを生成して出力する。また、CPU341は、演出ボタンの操作にしたがって、リール203が示す図柄が変化するように、演出ボタンの操作の有無あるいは演出ボタンの操作タイミングにしたがってリール203の回転制御を異ならせる。
演出制御部302は、所定のタイミングで、演出モードを切り替える、すなわちステージ移行するための抽選をおこなう。また、演出制御部302は、ステージ移行するための抽選を経てステージ移行をおこない、移行先の各ステージでおこなった演出の実行履歴に関する情報をRAM343に記憶する。
演出制御部302の出力側には、音声制御部345が接続されている。CPU341は、音声制御部345に対して、スピーカ346が備えるコイルに対する通電状態を制御するためのデータ(音声出力制御データ)を出力する。音声制御部345は、演出制御部302から出力された音声出力制御データに基づいて、コイルに対する通電状態を変化させることによって、BGM、演出の効果音、キャラクターの台詞などの各種の音声をスピーカ346から出力させる。
(遊技機の基本動作)
つぎに、本実施の形態の遊技機の基本動作の一例を説明する。遊技機は、遊技者の操作を検出した場合に、発射部355によって遊技球の発射をおこなう。発射された遊技球は、遊技領域103内を、釘や風車に衝突しながら自重によって下方へ落下する。発射された遊技球の一部は、始動入賞口105、普通入賞口107、大入賞口109などに入賞する。
主制御部301は、始動入賞口105、普通入賞口107、大入賞口109など、払い出しがある箇所における遊技球の入賞状況を賞球制御部303に出力する。賞球制御部303は、主制御部301からの出力信号にしたがって、入賞状況に対応した賞球数の払い出しをおこなう。また、主制御部301は、遊技球が入賞ゲート106に入賞した場合、始動入賞口105を一定時間だけ通常より大きく開放させる。
また、主制御部301は、遊技球が始動入賞口105に入賞(始動入賞)した場合、上記の大当たり判定をおこない、大当たり判定結果にしたがってハズレ演出あるいは大当たり演出をおこなう。遊技機は、具体的には、取得した大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致しないと判定した場合に、演出制御部302によってハズレ演出を実行する。また、主制御部301は、取得した大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致すると判定した場合に、演出制御部302によって大当たり演出を実行する。また、主制御部301は、取得した大当たり判定用乱数と大当たり値とが一致すると判定した場合に、大入賞口109を所定ラウンド数分開放する。
また、主制御部301は入賞があった箇所に応じた信号を賞球制御部303に出力し、賞球制御部303は主制御部301からの出力信号にしたがって払出部354を駆動制御して、入賞があった箇所に応じた賞球数の払い出しをおこなわせる。そして、主制御部301は、大当たり演出終了後は、大当たり遊技状態を解除し、通常の遊技状態に復帰する。
主制御部301は、先の始動入賞に対応する特別図柄の変動中に別の始動入賞があった場合、当該始動入賞があった時点の大当たり判定用乱数を取得するとともに取得した大当たり判定用乱数を保留する。そして、特別図柄の変動が終了した後に、保留した大当たり判定用乱数を用いた大当たり判定をおこない、当該大当たり判定結果を示す信号を演出制御部302に出力する。演出制御部302は、主制御部301からの出力信号に応じた各種演出をおこなう。
演出制御部302は、表示部104およびリール203を用いて、ハズレ演出および大当たり演出などの各種演出をおこなう。演出制御部302は、具体的には、たとえばすべての小リール203a〜203iを回転させたのち、当該小リール203a〜203iを順次停止させる(図11−4を参照)ことでリール203が所定の出目を示すようにリール203を制御するとともに、リール203の回転および停止動作に合わせた画像が表示部104に表示されるように表示部104を制御する。表示部104は、リール203の動作およびリール203がなす出目に連動した画像を表示する。このように、表示部104における画像の表示動作とリール203の動作とを連動することによって、遊技機がなす演出の演出効果を高めることができる。
表示部104およびリール203が遊技機の奥行き方向に重ねて配置されているため、遊技者は、表示部104が表示する画像に応じて、リール203全体あるいは一部の小リール203a〜203iを視認することができる。遊技者は、表示部104を通して、当該表示部104のうしろ側(背面側)にあるリール203を見ることになり、表示部104による演出とリール203による演出とを、視線をずらすことなく同時に見ることができる。
また、表示部104およびリール203が遊技機の奥行き方向に重ねて配置されているため、表示部104とリール203とが重なる領域において、表示部104による光の透過具合を調整することにより、遊技者にリール203全体を見せたり、リール203の一部(たとえば小リール203a〜203iの中の1つのみ)だけを遊技者に見せたりする演出をおこなうことができる。具体的には、たとえば液晶ディスプレイによって表示部104を実現する場合、シャッターの開閉度合いを調整することによって、遊技者にリール203全体を見せたり、リール203の一部だけを遊技者に見せたりする演出をおこなうことができる。
(遊技機の演出制御部の機能的構成)
つぎに、本実施の形態における遊技機の演出制御部302の機能的構成について説明する。図3−2は、本実施の形態における遊技機の演出制御部302の機能的構成を示すブロック図である。図3−2において、遊技機の演出制御部302は、受信部361と、抽選部362と、モード移行演出部363とを備えている。各部361〜363の機能は、演出制御部302によって実現することができる。
受信部361は、主制御部301から、当該主制御部301の遊技状態を示すコマンドを受信する。主制御部301の遊技状態は、たとえば、確変遊技状態、時短遊技状態、潜伏確変遊技状態、通常遊技状態などである。抽選部362は、表示部104上におけるモード移行抽選をおこなう。モードについては、図5−1および図5−2を用いて後述する。
モード移行演出部363は、コマンドによって示される遊技状態が普通電動役物(電チュー)のサポート機能を有する遊技状態であり、かつ、モード移行抽選に当選した場合、複数回の特別図柄の変動を跨いでモード移行演出をおこなう。普通電動役物のサポート機能を有する遊技状態は、本実施の形態においては、確変遊技状態および時短遊技状態とするが、このほかにも、突確遊技状態や突時遊技状態などを含めてもよい。
モード移行演出部363は、具体的には、確変遊技状態および時短遊技状態において、抽選部362によりモード移行抽選に当選した場合、複数回の特別図柄の変動を跨いでモード移行演出をおこなう。複数回の特別図柄の変動を跨ぐとは、具体的には2回以上であればよい。本実施の形態において、モード移行演出部363は、特別図柄の変動を跨ぐ回数を可変にしてモード移行演出をおこなう。モード移行演出部363によるモード移行演出は、リール203および表示部104から出力される。
モード移行演出部363は、モード移行抽選に当選し、かつ、保留球を保持した状態にある場合に、複数回の特別図柄の変動を跨いでモード移行演出をおこなう。なお、保留球のない状態において、複数回の特別図柄の変動を跨いでモード移行演出をおこなうことも可能である。この場合、時間的に連続したモード移行演出とはならないが、遊技者は、モード移行演出が途切れて通常とは異なる演出となったことにより、つぎの変動に対する期待感を得ることができ、趣向性を高めることが可能になる。
また、受信部361は、始動入賞した遊技球を保留球として保持するタイミングにて大当たりに関する判定がおこなわれた先読み情報を受信する。大当たりに関する判定は、具体的には、大当たり判定や、リーチ判定である。ここでは、先読み情報のうち、大当たりまたはリーチを示す情報を予兆情報という。なお、リーチを示す予兆情報は、より期待度の高いものに限定するという観点から、変動時間の長いスーパーリーチを示すものに限定してもよい。
モード移行演出部363は、モード移行抽選に当選し、かつ、先読み情報に予兆情報が含まれる場合に、複数回の特別図柄の変動を跨いでモード移行演出をおこなうようにする。なお、モード移行演出部363は、先読み情報に予兆情報が含まれる場合、予兆情報が含まれる保留球の直前の変動までに、モード移行演出をおこなうようにすればよい。なお、予兆情報が含まれる保留球の消化を含ませないようにしたのは、この保留球を消化する際の変動時間はリーチの発生により長く、時間を短縮させるための複数変動に跨ぐモード移行演出をおこなう必要がないためである。
本実施の形態において、モード移行演出は、保留球を有する状態において、予兆情報を有する保留球がない場合には特別図柄の2変動相当としており、予兆情報を有する保留球がある場合には、保留球の予兆情報に応じ、特別図柄の2〜4変動相当としている。ここで、図3−3を用いて、本実施の形態におけるモード移行演出について説明する。
図3−3は、本実施の形態におけるモード移行演出を示した模式図である。図3−3において、符号371は、通常の遊技状態におけるモード移行演出を示したものであり、保留球の有無に関係なく、特別図柄の変動を開始する遊技球の1変動に対応して、モード移行演出がおこなわれることを示している。
符号372は、電チューサポート機能を有する遊技状態において、保留数に予兆情報が含まれない場合に、特別図柄の2変動に跨るモード移行演出がおこなわれることを示している。なお、保留数が2である場合や3である場合、当該保留数を含む3変動または4変動に跨るモード移行演出をおこなうことも可能であるが、本実施の形態のように、2変動に跨るモード移行演出とすることにより、予兆情報が含まれる場合と区別化して予兆情報が含まれる場合の期待度を上げるようにしている。
符号373は、電チューサポート機能を有する遊技状態において、保留数が2であり、2つ目の保留球に予兆情報が含まれる場合に、今回の変動と1つ目の保留球による2変動に跨るモード移行演出がおこなわれることを示している。符号374は、電チューサポート機能を有する遊技状態において、保留数が3であり、3つ目の保留球に予兆情報が含まれる場合に、今回の変動と2つ目までの保留球による3変動に跨るモード移行演出がおこなわれることを示している。
さらに、符号375は、電チューサポート機能を有する遊技状態において、保留数が4であり、4つ目の保留球に予兆情報が含まれる場合に、今回の変動と3つ目までの保留球による4変動に跨るモード移行演出がおこなわれることを示している。この場合、特別図柄の変動回数を跨ぐ回数が多ければ多いほど、期待度を高くするようにすれば、擬似連続演出と同様に遊技者に期待感を与えることが可能になる。なお、擬似連続演出は、特別図柄の1回の変動に対して複数回の演出図柄の変動をおこなう演出である。
このように、モード移行演出部363は、予兆情報を有する保留球よりも手前の保留球を消化するまでの変動において、複数回の特別図柄の変動を跨いでモード移行演出をおこなう。なお、この場合、遊技者により期待感を与えるという観点から、高確率状態を示唆するモードへの当選確率を上げてモード移行抽選をおこなう。
(本実施の形態の遊技機が取り得る遊技状態)
つぎに、本実施の形態の遊技機が取り得る遊技状態について説明する。図4は、本実施の形態の遊技機が取り得る遊技状態を示す説明図である。図4に示すように、本実施の形態の遊技機は、「通常遊技状態」410と、「大当たり遊技状態」420と、「時短遊技状態」430と、「確変遊技状態」440と、「潜伏確変遊技状態」450とのいずれかの遊技状態を取り得る。以下にそれぞれの遊技状態の内容について説明する。
「大当たり遊技状態」420を除く他の遊技状態において、大当たりに当選すると、遊技機は、「大当たり遊技状態」420へと移行する。「大当たり遊技状態」420は、所定の大当たり終了条件を満たすまで継続される。大当たり終了条件は、たとえば規定ラウンド数分の大入賞口109の開放となっている。大当たり終了条件を満たした場合には、当選した大当たりの種別ごとに設定された遊技状態へ移行する。
たとえば、遊技機は、当選した大当たりの種別が、確変大当たりである場合は「確変遊技状態」440へと移行し、通常大当たりである場合は「時短遊技状態」430へと移行する。また、たとえば、遊技機は、当選した大当たりの種別が、潜伏確変大当たり(以下「潜確大当たり」という)である場合は「潜伏確変遊技状態」450へと移行する。
この実施の形態の遊技機においては、上記のそれぞれの大当たりにおける大入賞口109の開閉回数、すなわちラウンド数は、同一のラウンド数(たとえば8ラウンド)となっており、1ラウンド当たりに大入賞口109が開放される開放時間がそれぞれ異なるように設定されている。たとえば、上記の確変大当たりや通常大当たりでは、1ラウンド当たりの開放時間は30秒とされる。一方、潜確大当たりでは、1ラウンド当たりの開放時間は0.1秒とされる。
一般に、ぱちんこ遊技機では、ラウンド数の異なる大当たりが複数種類ある場合、大当たり当選時に、たとえば所定のランプ(以下「ラウンド数報知ランプ」という)を点灯させて、当選した大当たりのラウンド数を遊技者に対して報知しなければならない。この実施の形態の遊技機は、上記のようにすべての大当たりが同一のラウンド数となっているため、当選した大当たりのラウンド数を遊技者に対して報知する必要がない。このため、この実施の形態の遊技機は、ラウンド数報知ランプを設ける必要性をなくすことができ、遊技機の製造における低コスト化を図ることができる。
また、近年のぱちんこ遊技機では、「小当たり」と呼ばれる特定のハズレを設けたものがある。この小当たりに当選すると、ぱちんこ遊技機は、「大当たり遊技状態」420には移行しないものの、たとえば上記の潜確大当たり当選時と同じ内容の演出をおこなう。しかしながら、小当たりは、ハズレであるためラウンド数報知ランプは点灯されない。したがって、遊技者は、潜確大当たりに当選したのか、小当たりに当選したのかを、ラウンド数報知ランプの点灯の有無により容易に判断することが可能になる。
具体的には、遊技者は、ラウンド数報知ランプが点灯された場合には潜確大当たりに当選したと判断することができ、ラウンド数報知ランプが点灯されなかった場合には小当たりに当選したと判断できた。このため、遊技者は遊技状態が容易に判断でき、「潜伏確変遊技状態」450を設けても、「潜伏確変遊技状態かもしれない」といった継続的な期待感を遊技者に対して与えることができていなかった。
この実施の形態の遊技機は、ラウンド数報知ランプを設けないことで、潜確大当たりに当選したのか、小当たりに当選したのかを遊技者が判断不可能な状態とすることができる。このため、この実施の形態の遊技機は、たとえば小当たり当選後であっても遊技者に対して「潜伏確変遊技状態になったかもしれない」といった期待感を与えることができ、その後も「潜伏確変遊技状態かもしれない」といった遊技者の期待感を持続させることができる。
「確変遊技状態」440は、上記の高確率状態(大当たり確率1/28)に、電チューによる遊技サポート(以下「電チューサポート」という)が付与された遊技状態である。ここで、電チューサポートとは、たとえば始動入賞口105を一定時間だけ通常より大きく開放させたり、始動入賞口105を開放させる頻度を増加させたりすることで、電チューサポートなしのときよりも、始動入賞口105へ入賞する機会を増加させる機能である。「確変遊技状態」440は、所定の確変終了条件を満たすまで継続される。たとえば本実施の形態では、大当たりへの当選(すなわち「大当たり遊技状態」420への移行)が確変終了条件となっている。
「潜伏確変遊技状態」450は、上記の高確率状態(大当たり確率1/28)に、電チューサポートが付与されない遊技状態である。「潜伏確変遊技状態」450は、所定の潜伏確変終了条件を満たすまで継続される。たとえば本実施の形態では、大当たりへの当選(すなわち「大当たり遊技状態」420への移行)が潜伏確変終了条件となっている。
「時短遊技状態」430は、上記の低確率状態(大当たり確率1/280)に、電チューサポートが付与された遊技状態である。「時短遊技状態」430は、所定の時短終了条件を満たすまで継続される。たとえば本実施の形態では、規定回数(たとえば100回)の図柄の変動、または、大当たりへの当選が時短終了条件となっている。時短終了条件を満たした場合には、遊技機は、「通常遊技状態」410、または「大当たり遊技状態」420へ移行する。
「通常遊技状態」410は、上記の低確率状態(大当たり確率1/280)に、電チューサポートが付与されない遊技状態である。すなわち、「通常遊技状態」410は、「潜伏確変遊技状態」450と同様に電チューサポートが付与されず、異なるのは大当たり確率のみとなっている。この大当たり確率は遊技機の内部確率であるため遊技者は視認することができない。したがって、本実施の形態の遊技機は、「通常遊技状態」410と「潜伏確変遊技状態」450とで同様の演出をおこなう(見た目上の演出を揃える)ことで、遊技者は遊技状態がそのどちらであるか判断できないようになっている。
(演出モードの構成)
つぎに、本実施の形態の演出モードの構成について説明する。本実施の形態の遊技機は、たとえば主人公(遊技者)が邪悪な魔王を討伐するストーリーを題材としたものとなっている。具体的には、この実施の形態の遊技機は、たとえば小人の国から魔王を倒す旅に出発した主人公が、魔王の住む魔界へと入るために魔界の門を通過して魔界へ入り、魔王の重臣ドラゴンを倒した後に、魔王の居城へと到達し、魔王と対決するストーリーにしたがった演出をおこなう。遊技に際して魔王と対決し、魔王の討伐に成功した場合に大当たりが発生する。
図5−1および図5−2は、本実施の形態における演出モードの構成を示す説明図である。図5−1および図5−2において、本実施の形態における演出モードは、上記のストーリーにしたがった複数のステージによって構成されている。具体的には、小人の国を想定した「小人ステージ」510、魔界の門を想定した「ゲートステージ」520、魔王の重臣ドラゴンとの対決の場を想定した「ドラゴンステージ」530、魔王との対決を想定した「魔王ステージ」540、の4つのステージによって構成されている。
魔王ステージ540、ドラゴンステージ530、ゲートステージ520および小人ステージ510の各ステージは、現在の遊技状態が大当たり当選の確率が高い高確率状態であるかどうかを示す高確期待度を示唆するように、階層構造をなしている。高確期待度の高さは、具体的には、たとえば「魔王ステージ>ドラゴンステージ>ゲートステージ>小人ステージ」とされている。演出モードの切り替えをおこなう演出(ステージ移行演出)は、現在の演出モード(ステージ)から直近の階層に位置する演出モード(ステージ)への移行を基本としておこなう。
具体的には、たとえば現在の演出モード(ステージ)がゲートステージ520である場合は、小人ステージ510(図5−2における矢印500aを参照)、またはドラゴンステージ530へ切り替える(図5−2における矢印500bを参照)。また、具体的には、たとえば現在の演出モードがドラゴンステージ530である場合は、ゲートステージ520(図5−2における矢印500cを参照)、または魔王ステージ540へ切り替える(図5−2における矢印500dを参照)。また、具体的には、たとえば現在の演出モードが小人ステージ510である場合は、ゲートステージ520へ切り替えることを基本としている(図5−2における矢印500eを参照)。この実施の形態においては、一旦、魔王ステージ540へ移行した場合は、つぎに大当たりとなるまでの間、ステージ移行演出をおこなわない。
移行先ステージ抽選は、現在のステージから移行先の各ステージへ移行する確率(以下「移行確率」という)が定められた移行先ステージ抽選テーブルを用いておこなう。ステージ移行発生抽選は、ステージごとに異なる当選確率(ステージ移行発生抽選確率)が定められたステージ移行発生抽選テーブルを用いておこなう。
図6−1、図6−2および図6−3は、本実施の形態の移行先ステージ抽選テーブルを示す説明図である。図6−1、図6−2および図6−3において、本実施の形態の移行先ステージ抽選テーブル610、620、630は、遊技状態ごとに設けられている。移行先ステージ抽選は、現在の遊技状態に該当する移行先ステージ抽選テーブル610、620、630を用いておこなう。
移行先ステージ抽選テーブル610、620、630においては、具体的には、たとえば現在の遊技状態が高確率状態である場合は、現在のステージよりも高確期待度が高いステージへの移行確率が高くなるような移行確率が定められている。また、移行先ステージ抽選テーブル610、620、630においては、具体的には、たとえば現在の遊技状態が低確率状態である場合は、現在のステージよりも高確期待度が低いステージへの移行確率が高くなるような移行確率が定められている。
これにより、高確率状態である場合には現在のステージよりも高確期待度が高いステージへ移行し易く、現在のステージよりも高確期待度が低いステージへは移行しにくくなっている。逆に、低確率状態である場合には現在のステージよりも高確期待度が低いステージへ移行し易く、現在のステージよりも高確期待度が高いステージへ移行しにくくなっている。
ステージ移行の傾向は、具体的には、たとえば現在の遊技状態が潜伏確変遊技状態(高確率状態)450である場合と、現在の遊技状態が通常遊技状態(低確率状態)410である場合とで、それぞれ異なる。現在の遊技状態が潜伏確変遊技状態(高確率状態)450であって、かつゲートステージ520にある場合、図6−2に示すように、ドラゴンステージ530へ移行する割合が小人ステージ510へ移行する割合よりも高くなるように定められている。また、現在の遊技状態が通常遊技状態(低確率状態)410であって、かつゲートステージ520にある場合、図6−2に示すように、小人ステージ510へ移行する割合がドラゴンステージ530へ移行する割合よりも高くなるように定められている。
図7は、本実施の形態のステージ移行発生抽選テーブルを示す説明図である。図7において、本実施の形態のステージ移行発生抽選テーブル710においては、移行モード抽選の抽選結果の振分状態が示されている。すなわち、図7においては、ステージ移行抽選が発生する確率(ステージ移行発生抽選確率)が定められている。ステージ移行発生抽選確率は、移行モードごとに異なっている。移行モードは複数設けられており、この実施の形態においては移行モード(1)、移行モード(2)および移行モード(3)の3つの移行モードが設けられている。移行モードは、たとえば遊技中に所定の条件を満たした場合に抽選をおこない、常時いずれか1つの移行モードとなるように決定される。ステージ移行発生抽選確率は、遊技状態が高確率状態にあるか低確率状態にあるかにしたがって異なる。
具体的には、たとえば高確率状態においては、60%の確率で移行モード(1)が抽選によって決定され、30%の確率で移行モード(2)が抽選によって決定され、10%の確率で移行モード(3)が抽選によって決定される。また、具体的には、たとえば低確率状態においては、20%の確率で移行モード(1)が抽選によって決定され、50%の確率で移行モード(2)が抽選によって決定され、30%の確率で移行モード(3)が抽選によって決定される。
図8は、本実施の形態のステージ移行抽選の当選確率テーブルを示す説明図である。ステージ移行は、上記のステージ移行発生抽選テーブル710における、ステージ移行発生抽選確率にしたがった確率でステージ移行抽選が発生し、当該抽選に当選した場合におこなわれる。図8において、この発明にかかる実施の形態のステージ移行抽選の当選確率テーブル810においては、移行モードごとに、異なるステージ移行抽選の当選確率が定められている。具体的には、たとえば移行モード(1)の状態でステージ移行抽選が発生した場合、1/5の当選確率で当選し、ステージ移行がおこなわれる。また、具体的には、たとえば移行モード(2)の状態でステージ移行抽選が発生した場合は1/10の当選確率で当選し、移行モード(3)の状態でステージ移行抽選が発生した場合は1/20の当選確率で当選し、ステージ移行がおこなわれる。
本実施の形態の遊技機においては、具体的には、たとえば現在のステージにおける高確期待度が高いほど、ステージ移行発生抽選確率およびステージ移行抽選の当選確率が高くなるように定められている。
図9は、この発明にかかる実施の形態の遊技機におけるステージ移行の状態と高確期待度との関係を示す説明図である。図9において、現在の遊技状態の高確期待度は、ステージ移行の頻度によって示唆することができる。具体的には、たとえば高確期待度が高いステージでの遊技中はステージ移行の頻度が高くなるため、遊技者に対して、ステージ移行の頻度によって、現在の遊技状態が潜伏確変遊技状態(高確率状態)450である可能性の程度を示唆することができる。
また、現在の遊技状態の高確期待度は、現在のステージに対する移行先のステージによって示唆することができる。具体的には、たとえば高確期待度が高い場合に移行先となるステージは現在のステージより高確期待度が高いことを示唆するステージであるため、現在のステージの高確期待度に対する移行先のステージの高確期待度によって、現在の遊技状態が潜伏確変遊技状態(高確率状態)450である可能性の程度を示唆することができる。
現在の遊技状態の高確期待度は、ステージ移行の頻度、および、現在のステージに対する移行先のステージによって示唆することができる。具体的には、たとえばステージ移行の頻度が高く、かつ、現在のステージよりも移行先のステージの高確期待度が低い場合には、現在の遊技状態が潜伏確変遊技状態(高確率状態)450である可能性が普通であることを示唆することができる。また、ステージ移行の頻度が高く、かつ、現在のステージよりも移行先のステージの高確期待度が高い場合には、現在の遊技状態が潜伏確変遊技状態(高確率状態)450である可能性が高いことを示唆することができる。
同様に、ステージ移行の頻度が低く、かつ、現在のステージよりも移行先のステージの高確期待度が高い場合には、現在の遊技状態が潜伏確変遊技状態(高確率状態)450である可能性が普通であることを示唆することができる。また、ステージ移行の頻度が低く、かつ、現在のステージよりも移行先のステージの高確期待度が低い場合には、現在の遊技状態が潜伏確変遊技状態(高確率状態)450である可能性が低い、通常状態であることを示唆することができる。
(遊技機の演出処理手順)
つぎに、本実施の形態の遊技機の演出処理手順について説明する。図10−1および図10−2は、本実施の形態の遊技機の処理手順を示すフローチャートである。図10−1および図10−2に示すフローチャートにおいて、まず、主制御部301により、始動入賞があったか否かの判定がおこなわれ(ステップS1001)、始動入賞があるまで待機状態にある(ステップS1001:Noのループ)。始動入賞があると(ステップS1001:Yes)、始動入賞したタイミングにて取得した乱数を用いて、リーチ演出を実行するか否かを判定する(ステップS1002)。
リーチ演出を実行しないと判定した場合(ステップS1002:No)、演出制御部302は、主制御部301からその旨のコマンドを受けて、図8に示したステージ移行抽選の当選確率テーブル810を用いて、ステージ移行抽選をおこなう(ステップS1003)。この抽選の結果、ステージ移行抽選に当選したか否かを判定する(ステップS1004)。
ステージ移行抽選に当選しない場合(ステップS1004:No)、通常のハズレ演出を実行し(ステップS1005)、処理を終了する。ステップS1002において、リーチ演出を実行する場合(ステップS1002:Yes)、リーチ演出を実行する(ステップS1006)。そして、大当たりであるか否かを判定し(ステップS1007)、大当たりである場合(ステップS1007:Yes)、大当たりラウンド演出を実行し(ステップS1008)、処理を終了する。大当たりではない場合(ステップS1007:No)、そのまま処理を終了する。
ステージ移行抽選に当選した場合(ステップS1004:Yes)、すなわち、ステージ移行演出を実行する場合、変動開始コマンドに含まれる主制御部301の遊技状態を示すコマンドに基づいて、演出制御部302は、電チューサポート機能を有する遊技状態として、時短遊技状態または確変遊技状態であるか否かを判定する(ステップS1009)。
時短中または確変中であると判定した場合(ステップS1009:Yes)、保留球があるか否かを判定する(ステップS1010)。なお、演出制御部302は、保留球としての始動入賞があった際に、主制御部301から当該保留球を示す旨のコマンドを受信するとともに、演出制御部302のRAM343に先読み判定結果を含む保留数を記憶しておくことにより、保留球の有無を判定する。
ステップS1010において、保留球があると判定した場合(ステップS1010:Yes)、保留球の先読み判定結果に大当たりまたはリーチを示す予兆情報があるか否かを判定する(ステップS1011)。予兆情報があると判定した場合(ステップS1011:Yes)、図6−1〜図6−3に示した移行先ステージ抽選テーブル610〜630を用いて、移行先の抽選をおこなう(ステップS1012)。ただし、この場合、高確率状態を示唆するモードへの当選確率を上げてモード移行抽選をおこなう。具体的には、たとえば現在の遊技状態にかかわらず、図6−1〜図6−3に示した移行先ステージ抽選テーブル610〜630のうち、高確率状態の振分確率を用いて、モード移行抽選をおこなう。
そして、移行先抽選の抽選結果に基づき移行先の演出モードを決定し、現在の変動から、予兆情報を有する保留球の手前の保留球まで跨るステージ(モード)移行演出を実行し(ステップS1013)(図3−3の符号373〜375参照)、処理を終了する。
ステップS1011において、予兆情報がないと判定した場合(ステップS1011:No)、図6−1〜図6−3に示した移行先ステージ抽選テーブル610〜630を用いて、現在の遊技状態に応じた移行先の抽選をおこなう(ステップS1014)。この後、移行先抽選の抽選結果に基づき移行先の演出モードを決定し、2変動分に跨るステージ移行演出を実行し(ステップS1015)、処理を終了する。
ステップS1009において、時短中または確変中ではないと判定した場合(ステップS1009:No)、図6−1〜図6−3に示した移行先ステージ抽選テーブル610〜630を用いて、現在の遊技状態に応じた移行先の抽選をおこなう(ステップS1016)。この後、1変動分に相当するステージ移行演出を実行し(ステップS1017)、処理を終了する。
ステップS1010において、保留球がないと判定した場合(ステップS1010:No)、ステップS1016に移行する。なお、ステップS1010において、保留球がないと判定した場合であっても(ステップS1010:No)、ステップS1014に移行させて移行先抽選をおこなうとともに、ステップS1015にて2変動分に跨るステージ移行演出を実行することも可能である。
(ステージ移行演出の一例)
つぎに、演出モードの切り替えをおこなう演出(ステージ移行演出)について説明する。図11−1、図11−2、図11−3および図11−4は、ステージ移行演出の一例を示す説明図である。図11−1、図11−2、図11−3および図11−4において、演出制御部302は、演出モードを切り替える(ステージ移行する)際に、ステージ移行演出をおこなう。
ステージ移行演出に際しては、現在実行中の演出モードを示す画面(図11−1を参照)を、扉によって閉じる画像を表示し(図11−2を参照)、その後扉を開いて移行先の演出モードを示す画面を表示する(図11−3を参照)。このように、演出モードを切り替える際に演出モード切り替え演出をおこなうことにより、演出モードが切り替わることを意識させ、移行先の演出モードへの期待感を高めさせることができる。
また、ステージ移行演出に際しては、ステージ移行演出が完了した時点で、各小リール203a〜203iを所定の順序で順次停止させる(図11−4を参照)。各小リール203a〜203iを停止させる際、表示部104においては、たとえば停止した(あるいは停止する)小リール203a、203iに重なる部分の明度を上げる(透過率を高くする)などして、停止した小リール203a、203iを目立たせるような画像を表示してもよい。停止した小リール203a、203iを目立たせるような画像は、以降の各段階において停止する小リール203b〜203hの位置が変わるごとに、表示場所を変えるとよい。
また、たとえば既にハズレ図柄が確定した小リール203a、203bに重なる部分の明度を下げる(透過率を低くする)などして、ハズレ図柄が確定した小リール203a、203bを目立たせないような画像を表示してもよい。小リール203d、203f、203h、203iの回転を停止または抑制するように見えるリール連動画像を表示してもよい。
また、ステージ移行演出においてどのような演出モードの切り替え(ステージの移行)があったのかを遊技者にわかり易くするため、図5−1の地図のように、演出の概要を示す画像を表示してもよい。具体的には、たとえば各演出モード(ステージ)に対応した地点(または領域)および隣接する演出モード(ステージ)間を、道などを模した線で結び、演出モードの切り替え(ステージの移行)をおこなった際には、切り替え前の演出モード(たとえば「小人ステージ」)と、切り替え後の演出モード(たとえば「ゲートステージ」)とを結ぶ線(道)を他の線(道)よりも強調した画像を表示するとよい。
通常、図11−1〜図11−4に示した一連の演出画面が、特別図柄の1変動に相当して演出されるようになっているが、本実施の形態における時短中または確変中では、特別図柄の複数回の変動に跨いで演出されるようになっている。具体的には、たとえば、特別図柄の2変動に跨ぐ演出をおこなう場合、図11−1および図11−2の画面にて特別図柄の1変動分の演出とし、図11−3および図11−4にて特別図柄の1変動分の演出としてモード移行演出をおこなう。
また、たとえば3変動に跨ぐ演出をおこなう場合、たとえば図11−1および図11−2の画面にて特別図柄の1変動分の演出とし、図11−3の画面にて特別図柄の1変動分の演出とし、図11−4にて特別図柄の1変動分の演出としたモード移行演出をおこなう。さらに、たとえば4変動に跨ぐ演出をおこなう場合、たとえば図11−1、図11−2、図11−3、図11−4の画面にて、それぞれ特別図柄の1変動分の演出としたモード移行演出をおこなう。なお、特別図柄の停止に合わせて、それぞれの画面において演出図柄を停止させる。具体的には、たとえば、図11−2に示した扉を閉じる画像を表示させた際にも、たとえば、リール203を透過させるようにし、演出図柄を停止させる。
以上説明したように、この実施の形態の遊技機は、電チューサポート機能を有する時短遊技状態などの遊技状態において、複数回の特別図柄の変動を跨いでモード移行演出をおこなうようにしたので、特別図柄の変動時間を長期化させることなく、モード移行の演出を適宜おこなうことが可能になる。したがって、時短遊技状態などの遊技状態において、遊技機の興趣性を損なうことなく、モード移行演出をおこなうことができる。
また、本実施の形態においては、モード移行抽選に当選し、かつ、保留球を保持した状態にある場合に、複数回の特別図柄の変動を跨いでモード移行演出をおこなうようにしたので、時間的に連続するモード移行演出が可能になる。
また、特別図柄の変動を跨ぐ回数を可変にしてモード移行演出をおこなうようにしたので、たとえば、保留球の数や移行するモードや期待度などに応じて、特別図柄の変動を跨ぐ回数を可変にし、多様な演出をおこなうことができ、遊技の興趣性を向上させることができる。
また、先読み情報に大当たりまたはリーチを示す予兆情報が含まれる場合、複数回の特別図柄の変動を跨いでモード移行演出をおこなうようにしたので、先読みを利用した段階的な演出をおこなうことができ、演出時間が不足する時短遊技状態であっても、遊技者の期待感を高めるための十分な演出をおこなうことができる。
特に、予兆情報を有する保留球よりも手前の保留球を消化するまでの変動において、複数回の特別図柄の変動を跨いでモード移行演出をおこなうようにしたので、遊技者は予兆情報を有する保留球の変動により期待感を得ることができ、遊技の興趣性を高めることができる。特に、この場合、特別図柄の変動回数を跨ぐ回数が多ければ多いほど、大当たりの期待度を高くするようにすれば、変動時間を短縮しながら、擬似連続演出と同様に段階的な演出をおこなうことによって遊技者に期待感を与えることが可能になる。
さらに、この場合、高確率状態を示唆するモードへの当選確率を上げてモード移行抽選をおこなうようにしたので、高確率状態を示唆するモードに移行し易くなり、遊技者は予兆情報を有する保留球の変動により期待感を得ることができる。