JP5306549B2 - リチウムイオン二次電池負極用電極の製法 - Google Patents
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Description
本明細書ではこのような両極集電体を積層した電池内部の構造体を「電極積層体」と呼ぶ。また、板状(シート状)の金属材料のうち、特に厚さが100μm以下のものを「箔」と呼ぶ。
〔普通鋼〕
質量%で、C:0.001〜0.15%、Si:0.001〜0.1%、Mn:0.005〜0.6%、P:0.001〜0.05%、S:0.001〜0.5%、Al:0.001〜0.5%、Ni:0.001〜1.0%、Cr:0.001〜1.0%、Cu:0〜0.1%、Ti:0〜0.5%、Nb:0〜0.5%、N:0〜0.05%、残部Feおよび不可避的不純物。
質量%で、C:0.0001〜0.15%、Si:0.001〜4.0%、Mn:0.001〜2.5%、P:0.001〜0.045%、S:0.0005〜0.03%、Ni:6.0〜28.0%、Cr:15.0〜26.0%、Mo:0〜7.0%、Cu:0〜3.5%、Nb:0〜1.0%、Ti:0〜1.0%、Al:0〜0.1%、N:0〜0.3%、B:0〜0.01%、V:0〜0.5%、W:0〜0.3%、Ca、Mg、Y、REM(希土類元素)の合計:0〜0.1%、残部Feおよび不可避的不純物。
質量%で、C:0.0001〜0.15%、Si:0.001〜1.2%、Mn:0.001〜1.2%、P:0.001〜0.04%、S:0.0005〜0.03%、Ni:0〜0.6%、Cr:11.5〜32.0%、Mo:0〜2.5%、Cu:0〜1.0%、Nb:0〜1.0%、Ti:0〜1.0%、Al:0〜0.2%、N:0〜0.025%、B:0〜0.01%、V:0〜0.5%、W:0〜0.3%、Ca、Mg、Y、REM(希土類元素)の合計:0〜0.1%、残部Feおよび不可避的不純物。
上記の銅被覆鋼箔の銅被覆層の少なくとも一方の表面上に、リチウムイオン二次電池負極用の炭素系活物質を含有する塗膜を形成する工程、
前記塗膜が乾燥した後、ロールプレスによって塗膜厚さを30〜70%減じることにより塗膜を高密度化する工程、
を有する製法が提供される。
この場合、ロールプレスによって塗膜の密度を1.80g/cm3以上に高密度化することがより好ましく、2.00g/cm3以上とすることが特に好ましい。
本発明の銅被覆鋼箔を製造し、さらにそれを用いてリチウムイオン二次電池の電極を得るための製造工程を例示すると、例えば以下のA〜Dのようなものが挙げられる。[ ]内は中間または最終材料である。
A.→[冷延鋼板]→箔への圧延→銅めっき→[銅被覆鋼箔]→活物質含有塗料塗布→塗膜乾燥→ロールプレス→裁断等の成形加工→[負極用電極]
A2.→[冷延鋼板]→箔への圧延→銅めっき→さらに圧延→[銅被覆鋼箔]→活物質含有塗料塗布→塗膜乾燥→ロールプレス→裁断等の成形加工→[負極用電極]
B.→[冷延鋼板]→銅めっき→箔への圧延→[銅被覆鋼箔]→活物質含有塗料塗布→塗膜乾燥→ロールプレス→裁断等の成形加工→[負極用電極]
C.→[冷延鋼板]→銅箔とのクラッド接合→箔への圧延→[銅被覆鋼箔]→活物質含有塗料塗布→塗膜乾燥→ロールプレス→裁断等の成形加工→[負極用電極]
D.→[冷延鋼板]→箔への圧延→銅箔とのクラッド接合→[銅被覆鋼箔]→活物質含有塗料塗布→塗膜乾燥→ロールプレス→裁断等の成形加工→[負極用電極]
銅被覆鋼箔の芯材である鋼シートとしては、普通鋼の他、ステンレス鋼が採用できる。ステンレス鋼は耐食性に優れるため、高い耐久性・信頼性が重視される用途においては好適である。具体的な化学組成範囲は前述のとおりである。
銅被覆層を形成させるための手法として、上記A、A2、B工程に例示されるように銅めっき法を利用することができる。本発明では公知の各種銅めっき技術、例えば電気めっき、化学めっき、気相めっき等を用いることができる。化学めっきとしては無電解めっき、気相めっきとしてはスパッタリング、イオンプレーティングが挙げられる。これらのなかで、電気銅めっき法は比較的高速かつ経済的にめっき層を形成することができ、めっき厚さのコントロールも容易であることから、大量生産には適している。
公知の種々の電気銅めっき法を採用することができる。硫酸浴を使用する場合の電気銅めっきの条件を例示すれば、例えば、硫酸銅:200〜250g/L、硫酸:30〜75g/L、液温:20〜50℃のめっき浴を用いて、陰極電流密度:1〜20A/dm2とすることができる。ただし、銅めっき後に所定の厚さの箔に圧延するか、あるいは銅めっきによって目標膜厚の銅被覆層を直接形成させるかによって、銅めっきの付着量は大きく相違する。前者の場合は、後工程での圧延率に応じて、銅被覆層の目標膜厚から逆算した厚さの銅めっき層を形成させる必要がある。1回の銅めっきライン通板では必要な銅めっき層厚さが得られない場合は、銅めっきラインの通板を複数回行えばよい。
電気銅めっきを施す場合は、前処理としてニッケルストライクめっきを施すことができる。特に鋼シートがステンレス鋼である場合には、銅めっきの密着性を改善するためにニッケルストライクめっきが極めて有効である。ニッケルストライクめっきの条件は、例えば、塩化ニッケル:230〜250g/L、塩酸:125ml/L、pH:1〜1.5の常温のめっき浴を用いて、陰極電流密度:1〜10A/dm2とすることができる。
蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の気相めっき法によって銅被覆層を形成させることもできる。スパッタリングを用いた製造方法を例示すると、まず、普通鋼冷延鋼板あるいはステンレス鋼冷延鋼板を箔圧延機により所定厚さの箔にまで冷間圧延して鋼箔を得る。その鋼箔に、前処理として「メチレンクロライド洗浄→乾燥→イソプロピルアルコール洗浄→水洗→乾燥」の各工程を有する湿式洗浄ラインで脱脂洗浄を施す。次に、脱脂洗浄後の前記鋼箔を連続式スパッタリングラインに通板することにより銅被覆層を形成する。連続式スパッタリングラインは、例えばコイル払出し装置、高周波マグネトロンスパッタリング装置、および巻取り装置の一式を真空チャンバー内に配置することによって構成できる。
銅被覆鋼箔を製造する別の方法として、冷延鋼板または鋼箔の両面に銅箔をクラッド接合する手法を採用することもできる。クラッド法としては、熱間圧接法、冷間圧接法、爆着法等が知られている。特に、冷間圧接法は厚み精度に優れ、生産性も良好であるため、大量生産に適している。
前述の製造工程A〜Dにおける箔への圧延においては、一般のセンジミア式圧延機、クラスター式圧延機など高圧下力を付与できる圧延機を用いればよい。これらの圧延機では多数のバックアップロールによりワークロールの弾性変形が制御されるため、得られる銅被覆鋼箔あるいは鋼箔の形状を適切にコントロールしやすい。ここで、圧延前の板厚をtin、圧延後の板厚をtoutとすると、圧延率rは次式で表される。
圧延率r(%)=(1−tout/tin)×100
本発明に従う負極用電極は、上記で得られた銅被覆鋼箔とその表面に形成された負極活物質層で構成される。負極活物質層は、電解液が浸透してリチウムイオンによる電荷移動が可能な空隙を有するものであり、負極活物質、導電助剤、結着剤等を含むものである。負極活物質としては、リチウムイオンを挿入および脱離できるものであればよい。例えば炭素系活物質としては、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子焼成体(フラン樹脂等を適当な温度で焼成して炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等が挙げられる。導電剤としては、例えば、黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維、金属繊維などを用いることができる。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などを用いることができる。
電極の放電容量を増大させるためには、活物質層の密度を高めることが有効である。活物質層の高密度化の手法として、一般的にはロールプレスにより前述の乾燥塗膜の厚さを減じる手法が採用される。本発明では、強度の大きい銅被覆鋼箔を使用しているので、ロールプレスによる圧下力を増大させても金属箔の塑性変形が起こりにくい。このため、ロールプレスによる圧下力を従来より高めることができる。
[塗膜厚さ減少率(%)]=(h0−h1)/h0×100 …(1)
ここで、h0はロールプレス前の片面当たりの平均塗膜厚さ(μm)、h1はその塗膜をロールプレスした後の平均塗膜厚さ(μm)である。活物質層の高密度化を重視する場合には、塗膜厚さ減少率を35%以上とすることがより効果的であり、40%以上とすることが一層好ましい。ただし、圧下力をあまり大きくすると、塗膜密度が過剰となって電解液が塗膜中に浸透しにくくなり、電荷移動に必要な空隙を十分に確保できない恐れがある。また、金属箔の不均一な変形を招く要因となる。種々検討の結果、ロールプレスによる塗膜厚さ減少率は70%以下の範囲とすることが望ましく、60%以下の範囲に管理してもよい。
上述の銅被覆鋼箔の表面上に、上記のようにして高密度化された負極活物質層を持つ負極用電極は、セパレータを介して正極用電極と組み合わされて「電極積層体」とされ、電解液とともにリチウムイオン二次電池を構成する。正極用電極、セパレータ、および電解液は、リチウムイオン二次電池に用いられている公知の材料や、その代替として使用できる新たな材料を適用することができる。
《例a》上記の製造工程Bにより銅被覆鋼箔を作製した例を示す。
以下の化学組成を有する板厚0.3mm、板幅200mmの冷延鋼帯(焼鈍材)を複数本用意した。
化学組成; 質量%で、C:0.003%、Al:0.038%、Si:0.003%、Mn:0.12%、P:0.012%、S:0.122%、Ni:0.02%、Cr:0.02%、Cu:0.01%、Ti:0.073%、N:0.0023%、残部Feおよび不可避的不純物
上記電気銅めっき(本めっき)は、硫酸銅:210g/L、硫酸:45g/Lを含み、液温:40℃の銅めっき浴を用い、陰極電流密度10A/dm2の条件で行った。
《例b》上記の製造工程Aにより銅被覆鋼箔を作製した例を示す。
市販のSUS304、およびSUS430の冷延鋼帯(いずれもJIS G4305:2005相当の焼鈍材)を箔圧延機により冷間圧延して、板厚20μmの鋼箔を得た。この鋼箔の両面に、電気めっき設備にて、ニッケルストライクめっきおよび電気銅めっきを施すことにより、片面当たりの銅被覆層の平均厚さtCuが0.5μm、または0.05μmの銅被覆鋼箔を作製した。ニッケルストライクめっきの付着量は片面当たり約0.2μmである。1つの銅被覆鋼箔において、両面の銅被覆層厚さはほぼ均等とした。
市販のSUS304の冷延鋼帯(JIS G4305:2005相当の焼鈍材)を箔圧延機により冷間圧延して、板厚20μmの鋼箔を得た。この鋼箔の両面に、電気めっき設備にて、ニッケルストライクめっきおよび電気銅めっきを施すことにより、片面当たりの銅被覆層の平均厚さが0.5μmの銅被覆鋼箔(中間製品)を作製した。ニッケルストライクめっきの付着量は片面当たり約0.2μmである。この銅被覆鋼箔をさらに箔圧延機で圧延することにより銅被覆層を含めた平均厚さtが8.0μm、片面当たりの銅被覆層の平均厚さtCuが0.2μmの銅被覆鋼箔を得た。両面の銅被覆層厚さは均等とした。
以下の化学組成を有する板厚0.684mm、板幅300mmのSUS430相当のフェライト系ステンレス鋼冷延鋼帯(焼鈍材)を用意した。
化学組成; 質量%で、C:0.058%、Al:0.009%、Si:0.56%、Mn:0.31%、P:0.021%、S:0.005%、Ni:0.20%、Cr:16.7%、Mo:0.32%、Cu:0.031%、N:0.030%、残部Feおよび不可避的不純物
また、以下の化学組成を有する厚さ18μm、幅300mmの圧延銅箔帯を2本用意した。
化学組成; 質量%で、O:0.0003%、P:0.0002%、残部Cuおよび不可避的不純物
上記例dと同様の組成を有するSUS430相当のフェライト系ステンレス鋼冷延鋼帯および圧延銅箔帯を用意した。ステンレス鋼冷延鋼帯は板厚1.8mm、板幅300mmであり、圧延銅箔帯は厚さ38μm、幅300mmである。上記例dと同様の手法にて50%の冷間圧延率で3層クラッド材を作製した。これをさらに箔圧延機で冷間圧延することにより銅被覆層を含めた平均厚さtが100μm、片面当たりの銅被覆層の平均厚さtCuが2μmの銅被覆鋼箔を得た。
上記例dと同様の組成を有するSUS430相当のフェライト系ステンレス鋼冷延鋼帯および圧延銅箔帯を用意した。ステンレス鋼冷延鋼帯は板厚0.5mm、板幅300mmであり、圧延銅箔帯は厚さ63μm、幅300mmである。上記例dと同様の手法にて50%の冷間圧延率で3層クラッド材を作製した。これをさらに箔圧延機で冷間圧延することにより銅被覆層を含めた平均厚さtが50μm、片面当たりの銅被覆層の平均厚さtCuが5μmの銅被覆鋼箔を得た。
上記例dと同様の組成を有するSUS430相当のフェライト系ステンレス鋼帯(焼鈍材)および圧延銅箔帯を用意した。ステンレス鋼冷延鋼帯は板厚0.6845mm、板幅300mmであり、圧延銅箔帯は厚さ12μm、幅300mmである。前記ステンレス鋼冷延鋼帯を箔圧延機で冷間圧延して厚さ15μmの鋼箔帯とした。この鋼箔帯の両表面を前記圧延銅箔帯で挟み込んだ状態として連続式冷間圧接クラッド製造ラインにて38%の冷間圧延率で圧接し、銅被覆層を含めた平均厚さtが15μm、片面当たりの銅被覆層の平均厚さtCuが4.5μmの銅被覆鋼箔を得た。
上記の普通鋼、SUS304、SUS430の各鋼シートを芯材とする銅被覆鋼箔について、電解液中での耐食性を調べた。各銅被覆鋼箔から切り出した30×50mmサイズの試験片を使用した。試験片の端面には鋼シートの鋼素地が露出している。リチウムイオン二次電池用電解液として、エチレンカーボネート(EC)とジエチレンカーボネート(DEC)を1:1の体積比で混合した溶媒中にLiPF6を1mol/L濃度で溶解させた液を用意した。ガス循環精製機付グローブボックスを使用し、酸素および水分濃度がそれぞれ1ppm以下に保持されたグローブボックス内で、試験片を25℃の上記電解液に4週間浸漬させた。耐食性評価は、浸漬試験前後における試験片の質量測定、および電解液中に溶解したFeおよびCuのICP−AES定量分析によって行った。
銅めっき工程を経て作製された上記銅被覆鋼箔(例a、bにより作製されたtCu=0.5μmの本発明材)、市販の銅箔(比較材)、および市販のアルミニウム箔(比較材)について、万能精密引張試験機を用いて引っ張り試験を行った。試験片寸法は幅12.7mm、長さ175mmであり、圧延方向を長手方向とした。初期のチャック間距離は125mmとし、引張速度2mm/minで破断するまで引張試験を行い、最大荷重を試験片の初期断面積(実測値)で除することにより引張強さを求めた。各材料とも試験数n=3で実施し、その平均値をその材料の引張強さとした。結果を表1に示す。
負極活物質として黒鉛粉末90質量部、導電助剤としてアセチレンブラック5質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン5質量部を混合し、この混合物をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状とすることにより活物質含有塗料を得た。この塗料を実施例1で作製した各銅被覆鋼箔および厚さ20μmの銅箔の片面に塗布して炭素系活物質含有塗膜を形成させた。塗膜を乾燥させた後、活物質層の密度を向上させるためにロールプレスを行って炭素系活物質層を形成させ、負極用電極試料を得た。ロールプレスは、ロールから材料に付与されるロール軸方向(材料の板幅方向)単位長さ当たりの荷重(「線圧」という)が1tonf/cm(980kN/m)と2tonf/cm(1960kN/m)の2条件で実施した。ここでは、金属箔の片面のみに負極活物質層を有する負極集電体試料を得たが、両面に活物質層を形成させる場合でも、活物質層の密度に及ぼす線圧の影響は、片面のみに形成させる場合と基本的に同様となる。線圧および前述(1)式により定まる塗膜厚さ減少率を表2中に示してある。
負極用電極試料をイオンミリング断面研磨した後、CCDカメラを備えた光学顕微鏡で観察し、このCCDカメラで撮影した断面組織のデジタル画像を基に炭素系活物質層の厚さを測定した。1試料につき3視野の観察を行って活物質層平均厚さを算出した。また、負極用電極試料から直径35mmの円形試料を打ち抜き、その円形試料の質量を測定した。その後、その円形試料をN−メチル−2−ピロリドン溶液に1週間浸漬させることにより試料表面の炭素系活物質層を完全に剥離させ、剥離後の試験片の質量を測定した。剥離前後の質量差と、上記の活物質層平均厚さの測定値を用いて、活物質層の密度を求めた。結果を表2中に示してある。
上記の各負極用電極試料から直径15.958mm(面積2cm2)の円形の小片を打ち抜き、これを放電容量測定用試験片とした。ガス循環精製機付グローブボックスを使用し、酸素および水分濃度がそれぞれ1ppm以下に保持されたグローブボックス内で、作用極、参照極、対極を持つ一般的な3電極式の試験セルを構成した。試験セル筐体には宝泉株式会社製のHS−3Eを用いた。上記の放電容量測定用試験片を作用極としてセットし、参照極および対極にはそれぞれ金属リチウム箔を使用した。作用極と参照極との間、および対極と参照極との間を仕切るセパレータとして、ポリプロピレン製微多孔膜(厚さ25μm)を使用した。電解液として、エチレンカーボネート(EC)とジエチレンカーボネート(DEC)を1:1の体積比で混合した溶媒中にLiPF6を1mol/L濃度で溶解させた液を使用した。
[充電率(CmA)]=[電池容量(mAh)]/[充電時間(h)] …(2)
[放電率(CmA)]=[電池容量(mAh)]/[放電時間(h)] …(3)
放電容量の評価は、金属箔として銅箔を使用した負極用電極試料(表2中のNo.12)を標準試料とし、下記(4)式で定義される放電容量比率によって行った。
[放電容量比率]=[評価対象試料の上記Q10]/[標準試料の上記Q10] …(4)
結果を表2に示す。
一方、銅被覆鋼箔のうち、比較例No.6は銅被覆層の厚さtCuが過小であったため放電容量に劣った。
2 塗膜
3 ロール
4 活物質層
5 未塗布部
6 鋼シート
7 銅被覆層
10 銅被覆鋼箔
40 高密度化された負極活物質層
Claims (2)
- 鋼シートを芯材に持ち、その両面に片面当たりの平均膜厚tCuが0.02〜5.0μmの銅被覆層を持ち、銅被覆層を含めた平均厚さtが3〜100μmであり、かつtCu/tが0.3以下である銅被覆鋼箔の少なくとも一方の銅被覆層の表面上に、リチウムイオン二次電池負極用の炭素系活物質を含有する塗膜を形成する工程、
前記塗膜が乾燥した後、ロールプレスによって塗膜厚さを30〜70%減じることにより塗膜を高密度化する工程、
を有するリチウムイオン二次電池の負極用電極の製法。 - 鋼シートを芯材に持ち、その両面に片面当たりの平均膜厚tCuが0.02〜5.0μmの銅被覆層を持ち、銅被覆層を含めた平均厚さtが3〜100μmであり、かつtCu/tが0.3以下である銅被覆鋼箔の少なくとも一方の銅被覆層の表面上に、リチウムイオン二次電池負極用の炭素系活物質を含有する塗膜を形成する工程、
前記塗膜が乾燥した後、ロールプレスによって塗膜の密度を1.80g/cm3以上に高密度化する工程、
を有するリチウムイオン二次電池の負極用電極の製法。
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