JP5306423B2 - 太陽電池セル - Google Patents

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本発明は、電極に接合して電気出力を取り出すリード線を備え、このリード線を接合した後のセル割れを低減することができる太陽電池セルに関するものである。
太陽電池セルには、電気出力を取り出す目的で平角銅線でなるリード線が接合される。このリード線は、接合直後の高温状態から常温に冷却されるさいに収縮する。このリード線の収縮は、基板に反りを発生させたり局所的な変形を発生させたりして、太陽電池セルの割れの原因となる。
太陽電池セルの基板の受光面(おもて面)には、リード線を接合する目的で、直線上に延びるリード接合電極が形成されている。一方、基板の裏面には、同じくリード線を接合する目的で、リード接合電極が所定の間隔を空けてドット状に(飛び石的に)形成されている。そして、基板の裏面のドット状のリード接合電極以外の部分は全面的にアルミニウム電極となっている。
従来、太陽電池セルの反りを緩和するために、基板の裏面にリード接合電極が無い位置の受光面に、同じようにリード接合電極を設けないようにする提案がされている。このような構造の太陽電池セルにおいては、受光面側のリード接合電極が無い部分において基板に反りが発生するが、この反りは基板裏面側のアルミニウム電極の剛性により緩和される(例えば、特許文献1参照)。
特許第4174545号公報
しかしながら、上記特許文献1の構造は、太陽電池セルの反りを緩和するためには、ある程度効果を有するが、以下に説明するような応力集中による局所的な変形を原因とするセル割れに対しては十分な効果を有するものではなかった。
一般に平角銅線でなるリード線が銀製のリード接合電極に接合された場合、リード線(銅)の方がリード接合電極(銀)より収縮率が大きいため、リード線が太陽電池セル表面に形成されたリード接合電極を縮めるように応力を作用させる。このリード線がリード接合電極を縮めるようにして働く応力は、裏面のリード線により裏面のリード接合電極にも同じように発生する。そして、受光面側のリード接合電極から基板にかかる応力と、裏面側のリード接合電極から基板にかかる応力とが、基板を挟んで同じ位置に作用すると応力が集中しセル割れの原因となる。これに対して、上記特許文献1の構造は、受光面側のリード接合電極と裏面側のリード接合電極とが基板を挟んで重なる部分が存在するので、この部分において応力集中が発生してしまう。このようなことから、この応力の集中に対して有効な改善策が望まれていた。
一方、近年以下のような場所にも応力集中が起こることが発明者等の実験等により確認された。すなわち、万一リード線が幅方向にずれて接合され、リード接合電極からリード線が飛び出てしまったとき、リード接合電極の縁部で局所的に大きな応力が発生することが解明された。そのため、このようにして発生する応力の集中に対しても有効な改善策が望まれていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、太陽電池セルのリード接合電極から基板にかかる応力の集中を効果的に緩和し、局所的な過大変形を防止することでセル割れの発生を削減することができる太陽電池セルを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明の太陽電池セルは、半導体基板の受光面に、平行に形成された複数のグリッド電極と、該グリッド電極にほぼ直交する第1の直線上に延びて形成されて受光面リード線と接合する受光面リード接合電極とを有し、前記半導体基板の裏面に、前記第1の直線と前記半導体基板を挟んで概略対向する第2の直線上に複数形成されて裏面リード線と接合する裏面リード接合電極を有し、前記受光面リード接合電極は、前記半導体基板を挟んで前記裏面リード接合電極に対向する箇所が欠落したように、第1の直線上に断続的に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、受光面リード接合電極は、半導体基板を挟んで裏面リード接合電極に対向する箇所が欠落したように、第1の直線上に断続的に形成されているので、受光面リード接合電極と裏面リード接合電極とが重なった場合に発生する応力の集中を緩和することができ、また、受光面リード線が受光面リード接合電極からはみ出したときにその縁部で発生する応力と、裏面リード接合電極が裏面リード線からはみ出したときにその縁部で発生する応力とが重なることがなく、リード接合電極からリード線がはみ出したときに発生する応力に対して、応力の集中を緩和することができるので、局所的な過大変形を緩和することでセル割れの発生を削減することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る太陽電池セルの受光面側の平面図である。 図2は、図1の裏面図である。 図3は、図1のA−A断面図である。 図4は、受光面リード接合電極に重ねて受光面リード線が接合された様子を示す平面図である。 図5は、裏面リード接合電極に重ねて裏面リード線が接合された様子を示す裏面図である。 図6は、複数の太陽電池セルの受光面及び裏面がリード線により接続された様子を示す斜視図である。 図7は、図1のB部分を拡大して示す拡大図である。 図8は、受光面リード接合電極の欠落した部分に延びるグリッド電極の接続に関して、第2のグリッド電極を設ける例を説明するための図7に対応する拡大図である。 図9は、本発明の実施の形態2に係る太陽電池セルの受光面側の平面図である。 図10は、図9の裏面図である。 図11は、図9のC部分を拡大して示す拡大図である。
以下に、本発明にかかる太陽電池セルの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態においては、一例として、半導体基板をシリコン基板、受光面リード接合電極をバスバー電極、リード線をタブ線、裏面リード接合電極を銀電極として説明する。この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る太陽電池セルの受光面側の平面図である。図2は、図1の裏面図である。図3は、図1のA−A断面図である。図4は、受光面リード接合電極に重ねて受光面リード線が接合された様子を示す平面図である。図5は、裏面リード接合電極に重ねて裏面リード線が接合された様子を示す裏面図である。図6は、複数の太陽電池セルが受光面リード線及び裏面リード線により接続された様子を示す斜視図である。図7は、図1のB部分を拡大して示す拡大図である。
本実施の形態の太陽電池セル101においては、シリコン基板(半導体基板)1の受光面側には、受光面積を極力確保しながらセル全面より集電する複数の細いグリッド電極2が、半導体基板1のほぼ全幅に渡ってほぼ平行に配設されている。そして、このグリッド電極2にほぼ直交して、2本のバスバー電極(受光面リード接合電極)3が半導体基板1のほぼ全長に渡って直線(第1の直線)上に設けられている。そしてさらに、図4に示すように、このバスバー電極3の上面のほぼ全長に渡って、受光面タブ線(受光面リード線)5が接合されている(図1においては、受光面タブ線5が重なる領域を一点鎖線にて示している)。受光面側タブ線5の幅は、バスバー電極3と同じか或いは若干小さい。この受光面タブ線5は、シリコン基板1どうしを直列に接続するために、セル面よりも外側に突出する延長部5aを有している。受光面タブ線5は、太陽電池用リード線として一般的に使用される平角銅線である。
一方、シリコン基板1の裏面側には、ドット状の銀電極(裏面リード接合電極)7が2列にそれぞれ一定の間隔を空けながら複数個設けられている。2列にならぶ銀電極7は、それぞれバスバー電極3に対向する直線(第2の直線)上に一定の間隔を置いて飛び石状に設けられている。図5に示すように、この銀電極7の上面には、列のほぼ全長に渡って、裏面タブ線(裏面リード線)8が接合されている(図2においては、裏面タブ線8が重なる領域を一点鎖線にて示している)。裏面タブ線8の幅は、銀電極7の幅よりも小さい。裏面タブ線8もまた、太陽電池用リード線として一般的に使用される平角銅線である。なお、本実施の形態においては、受光面タブ線5と裏面タブ線8は別部材となっているが、連続する1本のタブ線(リード線)となっていてもよい。
図6に示すように、併設された複数のシリコン基板1は、受光面側から隣接するシリコン基板1の裏面側に潜り込む受光面タブ線5の延長部5aを、隣接するシリコン基板1の裏面タブ線8と順次電気的に接続されて直列に接続されている。なお、図6においては、受光面タブ線5と裏面タブ線8の接続箇所が見えるように、半導体基板1の裏面を上した斜視図としている。
そして本実施の形態の太陽電池セル101においては、図1及び図3に示すように、バスバー電極3は、シリコン基板1の裏面側に銀電極7がある位置の部分が欠落したように断続的に形成されている。つまり、本実施の形態の太陽電池セル101においては、シリコン基板1を挟んで対向する位置にバスバー電極3と銀電極7とが存在しないようにしている。なお、このバスバー電極3と銀電極7の存在する位置を良く示すように、図1乃至図3においては、バスバー電極3と銀電極7とを黒く塗りつぶして表現している。
図7に示すように、バスバー電極3の欠落した部分に延びるグリッド電極2をバスバー電極3に接続するために、隣接するバスバー電極3間に迂回路部3aが設けられている。迂回路部3aは、グリッド電極2と同じ細い線路により成り欠落した箇所を迂回して形成され、バスバー電極3の欠落部に対向する端部とグリッド電極2とを接続する。
なお、バスバー電極3の欠落した部分に延びるグリッド電極2の接続に関しては、図8に示すように、第2のグリッド電極2Bを設けてもよい。第2のグリッド電極2Bは、グリッド電極2に直交して形成され、複数のグリッド電極2間を接続する。
以上のように、本実施の形態の太陽電池セル101は、シリコン基板1の受光面に平行に形成された複数のグリッド電極2とこのグリッド電極2に直交する第1の直線上に延びて形成され受光面タブ線5と接合するバスバー電極3とを有し、シリコン基板1の裏面に裏面タブ線8と接合する銀電極7を有する太陽電池セルである。そして、銀電極7は、第1の直線とシリコン基板1を挟んで対向する第2の直線上に所定の間隔を空けてドット状に形成され、バスバー電極3は、シリコン基板1を挟んで銀電極7に対向する箇所が欠落したように、第1の直線上に断続的に形成されている。これにより、バスバー電極3と銀電極7とがシリコン基板1を挟んで重なる箇所が無くなるので、課題であったバスバー電極3と銀電極7とが重なった場合に発生する応力の集中を緩和することができる。また、万一受光面タブ線5がバスバー電極3からはみ出したときにその縁部で発生する応力と、同じく裏面タブ線8が銀電極7からはみ出したときにその縁部で発生する応力とが重なることがなく、応力の集中を緩和することができるので、局所的な過大変形を緩和することでセル割れの発生を削減することができる。
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2に係る太陽電池セルの受光面側の平面図である。図10は、図9の裏面図である。図11は、図9のC部分を拡大して示す拡大図である。本実施の形態の太陽電池セル102においては、4本のバスバー電極(受光面リード接合電極)13がシリコン基板のほぼ全長に渡って直線(第1の直線)上に設けられている。このバスバー電極13の上面のほぼ全長に渡って、実施の形態1と同じように、図示しない受光面タブ線5が接合される。
シリコン基板の裏面側には、ドット状の銀電極(裏面リード接合電極)7が4列に一定の間隔を置いて複数個設けられている。4列にならぶ銀電極7は、それぞれバスバー電極13に対向する直線(第2の直線)上に一定の間隔を置いて飛び石状に設けられている。この銀電極7の上面には、実施の形態1と同様に、列のほぼ全長に渡って、図示しない裏面タブ線8が接合される。
そして、本実施の形態の太陽電池セル102においては、バスバー電極13の銀電極7に対向する箇所の幅13bは、銀電極7に対向しない箇所13aの幅よりも大きく、かつ受光面リード線5の幅よりも大きい。そのため、バスバー電極13の幅方向縁部と銀電極7の幅方向縁部とを一致しないようにすることができる。これにより、受光面タブ線5がバスバー電極13からはみ出すことがなく、銀電極7が裏面タブ線8からはみ出したときにその縁部で発生する応力と重なることがなく、接合電極がタブ線からはみ出したときに発生する応力に対して、応力の集中を緩和することができるので、局所的な過大変形を緩和することでセル割れの発生を削減することができる。さらに、バスバー電極13の銀電極7に対向する箇所13bの幅のみを、銀電極7に対向しない箇所13aの幅よりも大きくして、バスバー電極13の全体に渡って幅を大きくするものではないので、材料が極端に増加することがなくコストの向上を抑制することができる。
そしてさらに、バスバー電極13の銀電極7に対向する箇所13bのバスバー電極13の延在方向の長さは、銀電極7のバスバー電極13の延在方向の長さよりも大きい。そのため、長さ方向にも縁部が重なることがなく、さらに長さ方向に関して、上記と同様な効果を得ることができる。
以上のように、本発明にかかる太陽電池セルは、受光面にグリッド電極と受光面リード接合電極とを有し、裏面リード接合電極を有する太陽電池セルに適用されて好適なものであり、特に裏面リード接合電極が所定の間隔を空けてドット状に形成された太陽電池セルに適用されて最適なものである。
1 シリコン基板(半導体基板)
2 グリッド電極
2B 第2のグリッド電極
3,13 バスバー電極(受光面リード接合電極)
3a 迂回路部
5 受光面タブ線(受光面リード線)
5a 延長部
7 銀電極(裏面リード接合電極)
8 裏面タブ線(裏面リード線)
13a バスバー電極の銀電極に対向しない箇所
13b バスバー電極の銀電極に対向する箇所
101,102 太陽電池セル

Claims (3)

  1. 半導体基板の受光面に、平行に形成された複数のグリッド電極と、該グリッド電極にほぼ直交する第1の直線上に延びて形成されて受光面リード線と接合する受光面リード接合電極とを有し、
    前記半導体基板の裏面に、前記第1の直線と前記半導体基板を挟んで概略対向する第2の直線上に複数形成されて裏面リード線と接合する裏面リード接合電極を有し、
    前記受光面リード接合電極は、前記半導体基板を挟んで前記裏面リード接合電極に対向する箇所が欠落したように、第1の直線上に断続的に形成されている
    ことを特徴とする太陽電池セル。
  2. 隣接する前記受光面リード接合電極間に、前記欠落した箇所を迂回して形成され、該欠落した箇所に延びる前記グリッド電極と前記受光面リード接合電極とを接続する迂回路部を備えた
    ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池セル。
  3. 前記グリッド電極にほぼ直交して形成され、複数の前記グリッド電極間を接続する第2のグリッド電極が設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池セル。
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